JP2004286155A - 軸と回転体を締結する摩擦式締結具 - Google Patents

軸と回転体を締結する摩擦式締結具 Download PDF

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一宏 茂木
Terunori Kondo
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Tsubaki Emerson Co
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Abstract

【課題】伝達トルクの低下がなく、かつ安価で耐蝕性のある軸と回転体を締結する摩擦式締結具を提供する。
【解決手段】複数の締付ボルト2を締め付けることにより軸31と回転体32を締結する摩擦式締結具1において、複数の締付ボルト2とインナーリング3とアウターリング4と一対の対向するテーパリング5,5は炭素鋼からなり、複数の締付ボルト2の表面に亜鉛粉末を含有し配合量が40〜60重量%の珪酸塩系樹脂をコーティングして第1皮膜21を形成するとともに第1皮膜21の表面にアルミニウム粉末及び配合量が10〜20重量%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を含有するエポキシ樹脂をコーティングして第2皮膜22を形成し、インナーリング3とアウターリング4と一対のテーパリング5,5の表面に無電解ニッケルめっき層23を形成した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の締付ボルトと円錐状テーパ面を有する複数の部材を備え、該複数の締付ボルトを締め付けることにより軸と回転体を締結する摩擦式締結具に関するものである。ここで、回転体とは歯車、スプロケット、プーリ、カム、カップリング(軸継手)等を含むものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の締付ボルトと円錐状テーパ面を有する複数の部材を備え、該複数の締付ボルトを締め付けることにより軸を回転体を締結する摩擦式締結具は、グリース等の潤滑剤を塗布して使用するのが一般的である。その理由は、摩擦係数の安定化、かじり防止及び錆などによる腐食を防止するためである。ところで、最近では、この種の摩擦式締結具をクリーンルーム内で使用する需要が増加傾向にある。その場合、摩擦式締結具にグリース等の潤滑剤を塗布することは厳禁であり、また、錆の発生も好ましくない。また、食品機械等に使用する場合も同様にグリース等の潤滑剤を使用することができず、また、耐蝕性を有するものでなければならない。
【0003】
そこで、グリース等の潤滑剤を使用できない場合に使用する耐蝕性を有する摩擦式締結具として、ステンレス仕様のものが提案されている。すなわち、軸外周にインナーリングを、回転体のボス内周にアウターリングをそれぞれ拡縮可能に嵌着し、インナーリングとアウターリングの対向面の両外側に形成したそれぞれの円錐状テーパ面に押し込まれる一対のテーパリングを締付ボルトによって互いに引き寄せて軸と回転体のボスを締結する摩擦式締結具において、インナーリング、アウターリング及び一対のテーパリングをそれぞれオーステナイト系ステンレス鋼とし、締付ボルトを析出硬化系ステンレス鋼とするとともに、テーパリングの締付ボルト締付面と接する締着面に窒化による硬質層を設けた耐蝕性を有する軸と回転体のボスを締結する摩擦式締結具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
実公昭62−6338号公報(第(1)頁第1欄第2−18欄、第1−4図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記実公昭62−6338号公報に開示された摩擦式締結具は、次のような問題点があった。
(1)ステンレス鋼からなる締付ボルトは炭素鋼からなる締付ボルトより強度が低いので、伝達トルクが低下する。その結果、伝達トルクが不足する場合は締付ボルトの数を増加しなければならない。
(2)締付ボルト、インナーリング、アウターリング及び一対のテーパリングにステンレス鋼を使用するので、高価になる。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題点を解決し、伝達トルクの低下がなく、かつ安価で耐蝕性のある軸と回転体を締結する摩擦式締結具を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、前記問題点を解決するために、複数の締付ボルトと円錐状テーパ面を有する複数の部材を備え、該複数の締付ボルトを締め付けることにより軸と回転体を締結する摩擦式締結具において、前記複数の締付ボルトと前記複数の部材は炭素鋼からなり、前記複数の締付ボルトの表面に亜鉛粉末を含有する珪酸塩系樹脂をコーティングして第1皮膜を形成するとともに該第1皮膜の表面にアルミニウム粉末及びポリテトラフルオロエチレン粉末を含有するエポキシ樹脂をコーティングして第2皮膜を形成し、前記複数の部材の表面に無電解ニッケルめっき層を形成したものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記問題点を解決するために、請求項1記載の軸と回転体を締結する摩擦式締結具において、前記第1皮膜を構成する前記珪酸塩系樹脂の配合量を40〜60重量%としたものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記問題点を解決するために、請求項1または2記載の軸と回転体を締結する摩擦式締結具において、前記第2皮膜を構成するポリテトラフルオロエチレン粉末の配合量を10〜20重量%としたものである。
【0010】
請求項1,2,3記載の発明によれば、複数の締付ボルトと複数の部材は炭素鋼からなり、複数の締付ボルトの表面に亜鉛粉末を含有する珪酸塩系樹脂をコーティングして第1皮膜を形成するとともに第1皮膜の表面にアルミニウム粉末及びポリテトラフルオロエチレン粉末を含有するエポキシ樹脂をコーティングして第2皮膜を形成し、複数の部材の表面に無電解ニッケルめっき層を形成したので、締付ボルトに形成した第2皮膜と無電解ニッケルめっき層との相性がよく、締付ボルトの締め付け時及び取外し時の摩擦係数を小さくすることができ、締付ボルトの締め付け及び取り外しがスムーズであり、ステンレス鋼に比べて強度が強く、伝達トルクが低下しない。また、耐蝕性があり、かつ第1皮膜及び第2皮膜の密着性がよい。また、潤滑剤を使用しないので、クリーンルームや食品機械等に使用可能である。また、ステンレス鋼に比べて安価であり、水素脆性のチェック工程が不要であり、コストダウンを図ることができる。また、無電解ニッケルめっき層が薄く均等に形成できるので、標準品をそのまま利用でき、コストダウンを図ることができる。また、第1皮膜及び第2皮膜を形成する際、酸洗工程がないので、締付ボルトに関して水素脆性の問題がない。また、クロム、鉛等の有害物質を使用していないので、環境にやさしい。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、第1皮膜を構成する珪酸塩系樹脂の配合量を40〜60重量%としたので、締付ボルトへの密着性及び耐蝕性の向上を両立させることができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、第2皮膜を構成するポリテトラフルオロエチレン粉末の配合量を10〜20重量%としたので、潤滑性及び第1皮膜への密着性の向上を両立させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について以下に説明する。図1は本発明の実施の形態に係る摩擦式締結具を示し、(A)は正面図であり、(B)は(A)におけるX−X線断面図である。図2は図1に示す摩擦式締結具により軸と回転体を締結した状態を示す軸方向断面図である。図3は図1,2に示す締付ボルトを示し、(A)は側面図であり、(B)は(A)における楕円枠Z内の拡大図である。図4は図1,2に示すインナーリング、アウターリング、テーパリングを示し、(A)は上半分を断面で示すインナーリングの側面図であり、(B)は上半分を断面で示すアウターリングの側面図であり、(C)は上半分を断面で示す一対の対向するテーパリングの側面図である。
【0014】
図1に示す摩擦式締結具1は、複数の締付ボルト2と円錐状テーパ面を有する複数の部材を備えている。摩擦式締結具1における複数の部材はインナーリング3とアウターリング4と一対の対向するテーパリング5,5で構成されている。
【0015】
複数の締付ボルト2は炭素鋼からなっている。そして、図3に示すように、複数の締付ボルト2の表面に第1皮膜21が形成され、さらに、この第1皮膜21の表面に第2皮膜22が形成されている。なお、図3(B)においては、理解を容易にするために、第1皮膜21及び第2皮膜22の膜厚を誇張して図示している。
【0016】
第1皮膜21は亜鉛粉末を含有する珪酸塩系樹脂をコーティングして形成される。第1皮膜21を構成する珪酸塩系樹脂はバインダーであり、その配合量は40〜60重量%である。珪酸塩系樹脂の配合量を多くすると密着性はよくなるが、耐蝕性が悪くなる。珪酸塩系樹脂の配合量が少ない場合はその逆で、耐蝕性はよくなるが、密着性が悪くなる。また、第1皮膜21を構成する亜鉛粉末の配合量を多くすると耐蝕性はよくなるが、密着性が悪くなる。
【0017】
第2皮膜22はアルミニウム粉末及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を含有するエポキシ樹脂をコーティングして形成される。第2皮膜22を構成するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末の配合量は10〜20重量%である。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末の配合量を多くすると、潤滑性は良くなるが、密着性が悪くなる。また、第2皮膜22を構成するエポキシ樹脂はバインダーである。
【0018】
インナーリング3とアウターリング4と一対のテーパリング5,5も炭素鋼からなっている。そして、図4に示すように、インナーリング3とアウターリング4と一対のテーパリング5,5は、いずれもその表面に無電解ニッケルめっきを施すことにより無電解ニッケルめっき層23が形成されている。なお、図4においては、理解を容易にするために、無電解ニッケルめっき層23の層厚を誇張して図示している。また、無電解ニッケルめっきの代わりにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粉末を共析させる無電解複合ニッケルめっきを施すことにより、無電解ニッケルめっき層23中にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粉末を分散させたものであってもよい。この無電解ニッケルめっき層23中にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粉末を分散させたものは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粉末により潤滑性が一層向上し、より一層摩擦係数が小さくなるので好ましい。なお、無電解ニッケルめっきを選んだ理由は無電解ニッケルめっき層23を薄くかつ均等に形成でき、さらにねじ穴等にも均等にめっき層23を形成でき、安価に仕上げることができるからである。また、インナーリング3とアウターリング4と一対のテーパリング5,5の表面に無電解ニッケルめっきを施して無電解ニッケルめっき層23を形成することにより、インナーリング3とアウターリング4と一対のテーパリング5,5は水素脆性の心配がない。
【0019】
インナーリング3はその内周側に後述する軸31が嵌め込まれる円筒形軸穴3aが形成され、その外周側に左右対象に円錐状テーパ面3b,3bが形成されている。また、インナーリング3は一端から他端に向って貫通する軸方向スリット3cを有する。
【0020】
アウターリング4はその内周側に左右対象に円錐状テーパ面4a,4aが形成され、その外周側に後述する回転体32が嵌め込まれる円筒面4bが形成されている。また、アウターリング4は一端から他端に向って貫通する軸方向スリット4cを有する。
【0021】
一対の対向するテーパリング5,5はそれぞれその内周側にインナーリング3の円錐状テーパ面3bと相補的な円錐状テーパ面5aが形成され、その外周側にアウターリング4の円錐状テーパ面4aと相補的な円錐状テーパ面5bが形成されている。また、一対の対向するテーパリング5,5の内の一方には、その側面に円周方向等間隔に締付ボルト2を挿入するボルト挿入穴5cが締付ボルト2の数(図示の例では6個)だけ形成され、さらにその側面の直径方向対向位置に図示しない取外用ボルトがねじ込まれるねじ穴5d(図示の例では2個)が形成されている。また、ボルト挿入穴5cが形成されたテーパリング5と対向する側のテーパリング5には、その側面にボルト挿入穴5cと対向して円周方向等間隔に締付ボルト2がねじ込まれるねじ穴5eが締付ボルト2の数(図示の例では6個)だけ貫通して形成されている。
【0022】
摩擦式締結具1は、図1(A),(B)に示すように、インナーリング3とアウターリング4を同軸状に配置し、一対の対向するテーパリング5,5のそれぞれをインナーリング3とアウターリング4の間の環状空間に嵌め込み、複数の締付ボルト2を他方のテーパリング5のねじ穴5eにねじ込んで組み立てられる。
【0023】
次に、図1に示す摩擦式締結具1により軸31と回転体32を締結する場合について説明する。まず、図2に示すように、組み立てられた摩擦式締結具1を軸31と回転体32の間の環状空間に装着する。次に、締付ボルト2をテーパリング5のねじ穴5eにねじ込んで締め付けると、一対の対向するテーパリング5,5は互に接近する方向に引き寄せられる。このとき、インナーリング3の円錐状テーパ面3b、アウターリング4の円錐状テーパ面4a、一対の対向するテーパリング5の円錐状テーパ面5a,5bの間で楔作用が生じる。この楔作用により締付ボルト2の軸方向の引張力は半径方向の分力を発生させる。この半径方向の分力により、インナーリング3の円筒形軸穴3aが縮小すると同時にアウターリング4の円筒面4bは拡大する。このインナーリング3の円筒形軸穴3aの縮小及びアウターリング4の円筒面4bの拡大により軸31と回転体32が締結される。また、軸31と回転体32の締結を解除するには、テーパリング5のねじ穴5dに図示しない取外用ボルトをねじ込む。そして、図示しない取外用ボルトの先端で対向するテーパリング5の側面を押すことにより一対の対向するテーパリング5,5は互に引き離される。これにより楔作用が解放され、軸31と回転体32の締結が解除される。
【0024】
図1に示す摩擦式締結具1によれば、締付ボルト2とインナーリング3、アウターリング4及び一対の対向するテーパリング5,5を炭素鋼製とし、締付ボルト2の表面に亜鉛粉末を含有し配合量が40〜60重量%の珪酸塩系樹脂をコーティングして第1皮膜21を形成するとともに第1皮膜21の表面にアルミニウム粉末及び配合量が10〜20重量%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を含有するエポキシ樹脂をコーティングして第2皮膜22を形成し、さらにインナーリング3、アウターリング4及び一対の対向するテーパリング5,5の表面に無電解ニッケルめっき層23を形成したので、次のような効果を奏する。
(1)締付ボルト2に形成した第2皮膜22と無電解ニッケルめっき層23との相性がよく、締付ボルト2の締め付け時及び取外し時の摩擦係数を小さくすることができ、締付ボルト2の締め付け及び取り外しがスムーズであり、ステンレス鋼に比べて強度が強く、伝達トルクが低下しない。
(2)耐蝕性があり、かつ第1皮膜21及び第2皮膜22の密着性がよい。
(3)潤滑剤を使用しないので、クリーンルームや食品機械等に使用可能である。
(4)ステンレス鋼に比べて安価であり、水素脆性のチェック工程が不要であり、コストダウンを図ることができる。
(5)無電解ニッケルめっき層23が薄く均等に形成できるので、標準品をそのまま利用でき、コストダウンを図ることができる。
(6)第1皮膜21及び第2皮膜22を形成する際、酸洗工程がないので、締付ボルト2に関して水素脆性の問題がない。
(7)クロム、鉛等の有害物質を使用していないので、環境にやさしい。
【0025】
次に、本発明の他の実施の形態について以下に説明する。図5は本発明の他の実施の形態に係る摩擦式締結具を示し、(A)は正面図であり、(B)は(A)におけるY−Y線断面図である。図6は図5に示す摩擦式締結具により軸と回転体を締結した状態を示す軸方向断面図である。図7は図5,6に示す締付ボルトを示し、(A)は側面図であり、(B)は(A)における楕円枠Z内の拡大図である。図8は図5,6に示すインナーリング、アウターリングを示し、(A)は上半分を断面で示すインナーリングの側面図であり、(B)は上半分を断面で示すアウターリングの側面図である。
【0026】
図5に示す摩擦式締結具11は、複数の締付ボルト12と円錐状テーパ面を有する複数の部材を備えている。摩擦式締結具11における複数の部材はインナーリング13とアウターリング14で構成されている。
【0027】
複数の締付ボルト12は炭素鋼からなっている。そして、図7に示すように、複数の締付ボルト12の表面に第1皮膜21が形成され、さらに、この第1皮膜21の表面に第2皮膜22が形成されている。なお、図7(B)においては、理解を容易にするために、第1皮膜21及び第2皮膜22の膜厚を誇張して図示している。そして、この第1皮膜21及び第2皮膜22は、図3に示す締付ボルト2に形成した前述の第1皮膜21及び第2皮膜22と同じものである。したがって、重複を避けるため、この第1皮膜21及び第2皮膜22についての説明は省略する。
【0028】
インナーリング13とアウターリング14も炭素鋼からなっている。そして、図8に示すように、インナーリング13とアウターリング14は、いずれもその表面に無電解ニッケルめっきを施すことにより無電解ニッケルめっき層23が形成されている。なお、図8においては、理解を容易にするために、無電解ニッケルめっき層23の層厚を誇張して図示している。そして、この無電解ニッケルめっき層23は、図4に示すインナーリング3、アウターリング4及び一対のテーパリング5,5の表面に形成した前述の無電解ニッケルめっき層23と同じものである。したがって、重複を避けるため、この無電解ニッケルめっき層23についての説明は省略する。
【0029】
インナーリング13は一端にフランジ部13aを有し、さらにフランジ部13aの外周側に環状突起13bが形成されている。フランジ部13aには円周方向等間隔に締付ボルト12を挿入するボルト挿入穴13cが締付ボルト12の数だけ形成されている。さらに、フランジ部13aには図示しない取外用ボルトがねじ込まれるねじ穴13dが円周方向等間隔に複数個形成されている。インナーリング13はその内周側に軸31が嵌め込まれる円筒形軸穴13eが形成されている。インナーリング13はその外周側にフランジ部13aから他端に向って縮径する円錐状テーパ面13fが形成されている。また、インナーリング13は一端から他端に向って貫通するスリット13gを有する。さらに、インナーリング13の円筒形軸穴13eが縮小するを容易にするために、円錐状テーパ面13fが形成される部分には、図示はしないが、複数の軸方向スリットが形成されている。
【0030】
アウターリング14はその内周側にインナーリング13の円錐状テーパ面13fと相補的な円錐状テーパ面14aが形成されている。アウターリング14はその外周側に回転体32が嵌め込まれる円筒面14bが形成されている。アウターリング14には円周方向等間隔に締付ボルト12がねじ込まれるねじ穴14cが締付ボルト12の数だけ貫通して形成されている。また、アウターリング14は一端から他端に向って貫通する図示はしないスリットを有する。
【0031】
摩擦式締結具11は、図5(A),(B)に示すように、インナーリング13の円錐状テーパ面13fをアウターリング14の円錐状テーパ面14aに嵌め込み、複数の締付ボルト12をアウターリング14のねじ穴14cにねじ込んで組み立てられる。
【0032】
次に、図5に示す摩擦式締結具11により軸31と回転体32を締結する場合について説明する。まず、図6に示すように、組み立てられた摩擦式締結具11を軸31と回転体32の間の環状空間に装着する。次に、締付ボルト12をアウターリング14のねじ穴14cにねじ込んで締め付けると、インナーリング13とアウターリング14は互に接近する方向に引き寄せられる。このとき、インナーリング13の円錐状テーパ面13fとアウターリング14の円錐状テーパ面14aの間で楔作用が生じる。この楔作用により締付ボルト12の軸方向の引張力は半径方向の分力を発生させる。この半径方向の分力により、インナーリング13の円筒形軸穴13eが縮小すると同時にアウターリング14の円筒面14bは拡大する。このインナーリング13の円筒形軸穴13eの縮小及びアウターリング14の円筒面14bの拡大により軸31と回転体32が締結される。また、軸31と回転体32の締結を解除するには、インナーリング13のねじ穴13dに図示しない取外用ボルトをねじ込む。そして、図示しない取外用ボルトの先端でアウターリング14の側面を押すことによりインナーリング13とアウターリング14は互に引き離される。これにより楔作用が解放され、軸31と回転体32の締結が解除される。
【0033】
図5に示す摩擦式締結具11によれば、図1に示す摩擦式締結具1と同様に、複数の締付ボルト12の表面に第1皮膜21が形成され、この第1皮膜21の表面に第2皮膜22が形成されており、さらに、インナーリング13及びアウターリング14の表面に無電解ニッケルめっき層23が形成されているので、図1に示す摩擦式締結具1と同様の効果を奏する。したがって、その効果についての説明は省略する。
【0034】
【発明の効果】
請求項1,2,3記載の発明によれば、複数の締付ボルトと複数の部材は炭素鋼からなり、複数の締付ボルトの表面に亜鉛粉末を含有する珪酸塩系樹脂をコーティングして第1皮膜を形成するとともに第1皮膜の表面にアルミニウム粉末及びポリテトラフルオロエチレン粉末を含有するエポキシ樹脂をコーティングして第2皮膜を形成し、複数の部材の表面に無電解ニッケルめっき層を形成したので、次のような効果を奏する。
(1)締付ボルトに形成した第2皮膜と無電解ニッケルめっき層との相性がよく、締付ボルトの締め付け時及び取外し時の摩擦係数を小さくすることができ、締付ボルトの締め付け及び取り外しがスムーズであり、ステンレス鋼に比べて強度が強く、伝達トルクが低下しない。
(2)耐蝕性があり、かつ第1皮膜及び第2皮膜の密着性がよい。
(3)潤滑剤を使用しないので、クリーンルームや食品機械等に使用可能である。
(4)ステンレス鋼に比べて安価であり、水素脆性のチェック工程が不要であり、コストダウンを図ることができる。
(5)無電解ニッケルめっき層が薄く均等に形成できるので、標準品をそのまま利用でき、コストダウンを図ることができる。
(6)第1皮膜及び第2皮膜を形成する際、酸洗工程がないので、締付ボルトに関して水素脆性の問題がない。
(7)クロム、鉛等の有害物質を使用していないので、環境にやさしい。
【0035】
請求項2記載の発明によれば、第1皮膜を構成する珪酸塩系樹脂の配合量を40〜60重量%としたので、締付ボルトへの密着性及び耐蝕性の向上を両立させることができるという効果を奏する。
【0036】
請求項3記載の発明によれば、第2皮膜を構成するポリテトラフルオロエチレン粉末の配合量を10〜20重量%としたので、潤滑性及び第1皮膜への密着性の向上を両立させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る摩擦式締結具を示し、(A)は正面図であり、(B)は(A)におけるX−X線断面図である。
【図2】図1に示す摩擦式締結具により軸と回転体を締結した状態を示す軸方向断面図である。
【図3】図1,2に示す締付ボルトを示し、(A)は側面図であり、(B)は(A)における楕円枠Z内の拡大図である。
【図4】図1,2に示すインナーリング、アウターリング、テーパリングを示し、(A)は上半分を断面で示すインナーリングの側面図であり、(B)は上半分を断面で示すアウターリングの側面図であり、(C)は上半分を断面で示す一対の対向するテーパリングの側面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る摩擦式締結具を示し、(A)は正面図であり、(B)は(A)におけるY−Y線断面図である。
【図6】図5に示す摩擦式締結具により軸と回転体を締結した状態を示す軸方向断面図である。
【図7】図5,6に示す締付ボルトを示し、(A)は側面図であり、(B)は(A)における楕円枠Z内の拡大図である。
【図8】図5,6に示すインナーリング、アウターリングを示し、(A)は上半分を断面で示すインナーリングの側面図であり、(B)は上半分を断面で示すアウターリングの側面図である。
【符号の説明】
1 摩擦式締結具
2 締付ボルト
3 インナーリング(部材)
3a 円筒形軸穴
3b 円錐状テーパ面
3c スリット
4 アウターリング(部材)
4a 円錐状テーパ面
4b 円筒面
4c スリット
5 テーパリング(部材)
5a 円錐状テーパ面
5b 円錐状テーパ面
5c ボルト挿入穴
5d ねじ穴
5e ねじ穴
11 摩擦式締結具
12 締付ボルト
13 インナーリング(部材)
13a フランジ部
13b 環状突起
13c ボルト挿入穴
13d ねじ穴
13e 円筒形軸穴
13f 円錐状テーパ面
13g スリット
14 アウターリング(部材)
14a 円錐状テーパ面
14b 円筒面
14c ねじ穴
21 第1皮膜
22 第2皮膜
23 無電解ニッケルめっき層
31 軸
32 回転体

Claims (3)

  1. 複数の締付ボルトと円錐状テーパ面を有する複数の部材を備え、該複数の締付ボルトを締め付けることにより軸と回転体を締結する摩擦式締結具において、
    前記複数の締付ボルトと前記複数の部材は炭素鋼からなり、前記複数の締付ボルトの表面に亜鉛粉末を含有する珪酸塩系樹脂をコーティングして第1皮膜を形成するとともに該第1皮膜の表面にアルミニウム粉末及びポリテトラフルオロエチレン粉末を含有するエポキシ樹脂をコーティングして第2皮膜を形成し、前記複数の部材の表面に無電解ニッケルめっき層を形成したことを特徴とする軸と回転体を締結する摩擦式締結具。
  2. 前記第1皮膜を構成する前記珪酸塩系樹脂の配合量を40〜60重量%としたことを特徴とする請求項1記載の軸と回転体を締結する摩擦式締結具。
  3. 前記第2皮膜を構成するポリテトラフルオロエチレン粉末の配合量を10〜20重量%としたことを特徴とする請求項1または2記載の軸と回転体を締結する摩擦式締結具。
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