JP3765207B2 - 塗液の製造方法および粘着シートの製造方法 - Google Patents
塗液の製造方法および粘着シートの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3765207B2 JP3765207B2 JP24943099A JP24943099A JP3765207B2 JP 3765207 B2 JP3765207 B2 JP 3765207B2 JP 24943099 A JP24943099 A JP 24943099A JP 24943099 A JP24943099 A JP 24943099A JP 3765207 B2 JP3765207 B2 JP 3765207B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pressure
- sensitive adhesive
- adhesive sheet
- producing
- moisture absorption
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Adhesive Tapes (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Finishing Walls (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメント凝結遅延作用を有する物質を含有する粘着剤層用の塗液の製造方法に関する。また、その塗液を用いた粘着シート、特に、建築構造物の外壁等に使用するタイルパネルを作製する際に使用されるタイルパネル作製用粘着シートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築構造物の壁面にタイルを敷設する方法としては、モルタルやセメント面に直接タイルを1枚ずつ貼り付ける方法と、事前に一定枚数のタイルを貼り付けて一体化したタイルパネルを作製しておき、このパネルを壁面に固定する方法(いわゆるプレキャスト工法)がある。最近は作業効率、コスト、仕上がり精度等の点より後者のプレキャスト工法が広く行われている。
【0003】
タイルパネルを作製する工程を具体的に述べると、(1)タイルを表面が上になるようにして所定の間隔で平面的に配列した後、タイルの隙間に目地材を敷き詰める工程、(2)この敷き詰めたタイルと目地材の表面側からタイルパネル作製用粘着シート(以下、単に粘着シートともいう)を圧着してこれらを一体化する工程、(3)一体化したシート(以下、タイルシートともいう)の粘着シートの反対面にセメントを打設、硬化養生する工程、(4)セメントが硬化した後、最後に表面の粘着シートを剥離してタイルパネルとする工程を有するのが一般的である。
【0004】
通常、上記(3)の工程では、タイルの裏面側にセメントを打設するが、その際、セメントがタイル裏面のすみずみまで均等にゆきわたるように振動が与えられ、またセメント硬化のための養生の際には40〜60℃程度の熱が加えられる。また、セメント打設をする際には目的物により、粘着シートを圧着後、粘着シートを反転して、タイルより深い型枠に、平らに載置して打設する場合と、枠型を垂直に立てて、タイルシートが地面に垂直になるように枠に固定した状態で打設する場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この過程において、粘着シートとタイル表面間に生じた隙間に、未硬化の液状セメントがしみ込み、タイル表面でそのまま固まってしまう。この現象は、特に表面が凹凸に富むタイルの場合に顕著であるが、このしみ出して硬化した余分なセメントは、粘着シートを剥離した後に労力により除去せねばならず、これが極めて困難な作業であり多くの時間と労力を要している。この課題を解決するために、粘着剤層中にオキシカルボン酸および/またはオキシカルボン酸塩を配合することにより、タイル面と粘着シートの隙間にしみ出したコンクリートの硬化を遅延でき、タイル表面のコンクリートを容易に除去することが可能となることを見出し、先に出願を行った(特願平11−32467号)。
【0006】
このようなオキシカルボン酸および/またはオキシカルボン酸塩を主として用いたコンクリート硬化遅延剤(セメント凝結遅延作用を有する物質)には、水溶液タイプのものと粉体のタイプの2種が知られているが、有機溶剤には殆ど溶解しないために有機溶剤に溶解したタイプは市販されていない。一方、タイルパネル作製用に用いられる粘着シートを製造する場合には、粘着剤に高い耐水性を付与する必要があるので、有機溶剤系の粘着剤が好ましいが、コンクリート硬化遅延剤として水溶液タイプのものを選ぶと、粘着剤中に含まれる架橋剤が水と反応するため、ポットライフが著しく低下する。
【0007】
従って、粉体タイプのものを主として使用するが、この場合には、ポットライフの低下はないものの、オキシカルボン酸および/またはオキシカルボン酸塩は吸湿により二次凝集を起こすため、粘着剤中に分散させると、凝集物の粒子径が粘着剤層の厚さよりも大きなものが発生した場合に、シート表面にストリークが発生し品質の制御が困難となる。さらに、溶剤型粘着剤を使用した場合には、オキシカルボン酸および/またはオキシカルボン酸塩と溶剤との相溶性が殆どないためか、継粉が発生し均一に分散させることが非常に困難なものとなる。このため粘着剤層中にオキシカルボン酸および/またはオキシカルボン酸塩を均一に分散させるために、サンドグラインダーやボールミル等を用いる方法を用いるが、この方法では系内の残留物が多量に発生するために歩留まりが悪く、コストアップを招くばかりか、系が複雑であるため洗浄に手間がかかり非常に効率が悪くなる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者はかかる現状に鑑みて、セメント凝結遅延作用を有する物質を粘着剤へ均一に分散させる際に、系内の残留物が少なく、かつ容易に洗浄できる方法について鋭意検討を行った結果、粘着剤に分散させる前にセメント凝結遅延作用を有する物質に所定量の吸湿防止剤を配合することにより、アジテーターの如き簡易な攪拌設備で容易に分散可能であり、且つそのために、系内への残留物が少なくすることができ、洗浄も容易になることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、セメント凝結遅延作用を有する物質と吸湿防止剤を混合し、この混合物と粘着剤を混合する塗液の製造方法である。また、この塗液の製造方法により製造した塗液を、基材に直接塗布するか、剥離シートに塗布した後に基材と貼り合わせるかして製造することを特徴とする粘着シートの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、粘着シートの粘着剤層中にセメント凝結遅延作用を有する物質を含有する塗液の製造方法及びこの塗液の製造方法により製造した塗液を用いる粘着シートの製造方法に関する。セメント凝結遅延作用を有する物質は、通常吸湿により二次凝集を起こしてしまう。二次凝集を起こすと、粘着剤中に均一に分散することが困難である上に、粘着剤層の厚さよりも凝集物の粒子径が大きくなると、シート表面にストリークを発生し、品質の制御が困難となる。このような粉体を粘着剤中に配合する場合には、二次凝集した粒子を粉砕しながら粘着剤と混合する必要があり、サンドグラインダーやボールミルの如き高価で且つ歩留まりおよび作業性の劣る設備を使わざるを得ず、コストと時間および労力が非常にかかる作業であった。
【0011】
本発明は、セメント凝結遅延作用を有する物質と吸湿防止剤とをまず混合して塗液を得ることに特徴がある。吸湿防止剤としては、無水シリカ、酸化アルミニウム、二酸化チタン等の吸湿性のない金属酸化物の微粉末等が使用できる。これらの吸湿防止機構としては、質量のある物質同士の間に生ずる引力の性質を利用すると考えられる。即ち、セメント凝結遅延作用を有する物質に、吸湿性のない金属酸化物の微粉末を配合させることにより、セメント凝結遅延作用を有する物質の表面に吸湿性のない粉体が引力により被覆される。その結果、セメント凝結遅延作用を有する物質は外気と遮断されるので空気中の水分で吸湿する頻度が少なくなる。また、吸湿が起こった場合にもセメント凝結遅延作用を有する物質同士が接触することが少なくなるので、二次凝集が起こり難くなる。従って、このような吸湿防止剤は、厳密には吸湿を完全に防止しているわけではなく、吸湿を起こしていても二次凝集を起こさないためにあたかも吸湿していないような状態になるものである。さらには、前述のような構造となるために溶液に分散させる際にも低いエネルギーで容易に且つ均一に分散させることが可能となる。
【0012】
以下、セメント凝結遅延作用を有する物質を粘着剤層に有する粘着シートの代表例として、タイルパネル作製用粘着シートについて説明する。粘着剤層を構成する粘着剤としては、その種類について特に限定されることはなく、その組成としてはゴム系、アクリル系、シリコン系等、また、形態としては水系、溶剤系、エマルジョン系等の公知のものから任意に使用することができるが、タイルシートの粘着剤面が水和コンクリートに接触するので、耐水性の点から溶剤系が良く、且つ粘着力のコントロールの容易さからアクリル系が最も優れている。
【0013】
粘着剤には必要に応じてイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、金属キレート系化合物の如き樹脂架橋剤や、タッキファイヤー、その他の助剤等の添加剤を配合することができる。特に限定するわけではないが、粘着剤層は、陶磁器質タイルを被着体としたときのJIS Z0237に準拠する180度剥離接着力が300〜1500gf/25mm程度であることが好ましく、更にポリエチレンを被着体としたときのJIS Z0237に準拠する180度剥離接着力が250gf/25mm以上であることが好ましい。このような接着力にするには、粘着剤、架橋剤などの選択および配合部数の調節、粘着剤の基材への塗工量を調節などの方法が採用できる。
【0014】
本発明は、この粘着剤層中にセメント凝結遅延作用を有する物質を含有させる。セメント凝結遅延作用を有する物質を粘着剤層中に含有せしめることにより、タイル表面にしみ出したセメントの硬化を遅らせることができ、後工程のタイル表面のセメント除去作業を効率良く行うことができる。
【0015】
セメント凝結遅延作用を有する物質としては、様々な材料が例示でき、例えばコンクリート硬化遅延剤として市販されている。コンクリートはアルカリ性下で水と反応させることにより硬化する。従って、酸性下では硬化時間が長くなり、その性質を利用したものが一般的なコンクリート硬化遅延剤である。粘着剤層中に配合して使用できるセメント凝結遅延作用を有する物質としては、オキシカルボン酸およびその塩のほか、CaSO4・2H2O、Ca(ClO3)2、CaI2、CaCl2、Ca(NO3)2、CaBr2、CaSO4・1/2H2O、NaCl、MgCl2、Na3PO4、Na2B4O7、Na3AsO4、Ca(CH2COO)2、リグニンスルホン酸塩(例えばリグニンスルホン酸カルシウム)、ショ糖などを成分とするコンクリート硬化遅延剤等が例示できる。
【0016】
中でもオキシカルボン酸および/又はオキシカルボン酸塩を主成分としたものは、粘着シートに用いた際のセメント凝結遅延効果が優れているので好ましい。恐らく粘着剤層中のオキシカルボン酸および/又はオキシカルボン酸塩がタイル表面に漏れ出したセメントと接触すると、オキシカルボン酸分子がセメント中のカルシウムイオンと結合して強いキレート環を形成し、これがセメント中の3CaO・SiO2(エーライトともいう)などの表面に吸着し、エーライトの水和を遅延することができるため、タイル表面でのセメントの硬化することを抑制することができると考えられる。
【0017】
オキシカルボン酸は、オキシ酸、ヒドロキシ酸、ヒドロキシカルボン酸、アルコール酸とも呼ばれ、1分子中にカルボキシル基とアルコール性水酸基とを持つ有機化合物であるが、カルボキシル基と水酸基の相対的位置によって、α−、β−、γ−、δ−…ヒドロキシ酸と区別される。また、一分子中のカルボキシル基の数によって、オキシモノカルボン酸、オキシジカルボン酸、オキシトリカルボン酸…と区別される。オキシカルボン酸の具体例としては乳酸、グリセリン酸、酒石酸、クエン酸、トロパ酸、ベンジル酸等が挙げられ、これらの酸を水酸化ナトリウムの如きアルカリ物で中和反応させて得られる塩もまた同様の効果を得ることができる。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上のオキシカルボン酸および/又はオキシカルボン酸塩を併用しても良く限定されない。また、その配合量も特に限定されるものではなく、所望のコンクリート遅延効果が得られる量を配合する。
【0018】
しかしながら、オキシカルボン酸塩をはじめとするセメント凝結遅延作用を有する物質の殆どが吸湿性が高く、空気中の水分で容易に二次凝集を起こす性質がある。なお、粘着剤中へのセメント硬化遅延剤の配合割合は、使用する遅延剤の種類などにより一概にいえないが、オキシカルボン酸塩の場合、粘着剤固形分100重量部に対し3〜20重量部程度である。
【0019】
このような吸湿性を有する粉体を粘着剤中に配合する場合には、二次凝集した粒子を粉砕しながら粘着剤と混合する必要があり、サンドグラインダーの如き高価で且つ歩留まりおよび作業性の劣る設備を使わざるを得ず、コストと時間および労力が非常にかかる作業であった。本発明では、このような吸湿性のある粉体を粘着剤中に容易に且つ均一分散させるために、吸湿防止剤を併用する。吸湿防止剤としては、無水シリカ、酸化アルミニウム、二酸化チタン等の吸湿性のない金属酸化物の微粉末が好ましい。予め吸湿性を有する粉体と吸湿防止剤を混ぜ合わせることにより、アジテータの如き簡易な攪拌装置で、しかも低エネルギーで粘着剤中に分散が可能となる。
【0020】
吸湿防止剤の添加割合は、使用する吸湿性を有する粉体、吸湿防止剤等によって一概にいえないが、タイルパネル用粘着シートの場合、過少の添加では二次凝集を防ぐ効果が得られ難く、過剰の添加はコストアップを招くばかりか、粉体の表面のほとんどを吸湿防止剤が覆うことになり、よってコンクリート中の水分では殆ど溶解し難くなり、コンクリート硬化抑制効果が得られなくなる。例えば、吸湿性を有する粉体としてオキシカルボン酸塩を用い、吸湿防止剤として無水シリカを用いた場合、オキシカルボン酸100重量部に対し無水シリカ0.3〜3部程度の配合量にすることが好ましい。その他の粉体を用いる場合にはその都度配合範囲を設定する必要があるが、前述のような機構で吸湿を防止することから、吸湿防止剤の比表面積が小さいほどその粉体への添加量は少なくなるものと考えられる。従って、吸湿防止剤としてはその性質、即ち吸湿性のない微粉末を用いればどの様な化合物でも吸湿防止剤として成り立ち、その配合量は性能を考慮して任意に設定可能である。
【0021】
粘着剤の塗工方法としては、バーコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、ダイコーター等の如き公知の方法を任意に使用することができる。また、直接基材に粘着剤を塗布、乾燥する直接法、シリコーン樹脂、フッ素樹脂の如き剥離剤層を設けた剥離シート上に一旦、粘着剤を塗布、乾燥し、次いで基材と貼り合わせる転写法のいずれも可能であり特に限定されない。
【0022】
なお、本発明で製造される粘着シートは、その粘着剤を保護するために粘着剤層の表面に剥離剤層を有する剥離シートを積層した構成、あるいは基材の粘着剤層を形成していない面に剥離剤層を形成してテープ状に巻き取ることにより粘着剤層を保護する構成などを採用することができる。剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系など、剥離シートの基材としては紙、グラシン紙、ポリラミ紙、フィルムなど、は公知の材料が使用できる。なお、剥離シートは、使用後廃棄物となるので、タイルパネル用粘着シートの場合、テープ状の形態が特に好ましい。
【0023】
本発明では、基材については特に限定せず、公知の紙類、フィルム類、不織布類、織布類、金属箔など、あるいはこれらの積層体が使用できる。タイルパネル用としても同様の基材が使用できるが、粘着シートを再剥離する際に、シート破れを生じると大きな問題となるので、引裂強度>粘着力となる基材が好ましい。具体的には、十分延伸強化した樹脂フィルムに細かい割れ目を入れた割繊維を縦・横に連続的に積層熱融着したもの(以下、割繊維不織布とする)にラミネート被覆層を形成したものや、あるいは、ポリエチレンの如きポリオレフィン系樹脂の加熱溶融したものをダイ等によって押し出し成形したフィルムを細巾にスリットし、次いで熱ロール等によって縦方向に延伸配向させて得られる扁平糸条であるフラットヤーン織布に、ラミネート被覆層を形成したもの等を例示することができる。特に、基材の180度ピール引裂強度が、引っ張り速度1000mm/minにおいて500gf以上であると、粘着シートの再剥離時の基材破れが生じ難いので好ましい。
【0024】
【実施例】
本発明について以下の如き実施例、比較例にてさらに具体的に説明するが、もちろんこれによって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は全て「重量部」、「重量%」を意味する。
【0025】
【実施例1】
「剥離シートの作成」
市販のポリエチレンラミネート紙(上質紙74g/m2にポリエチレンを15μm程度の厚さになるように溶融押し出し法によりラミネートしたもの)に付加型シリコーン樹脂(商標:SD7220/触媒SRX212 0.9部添加、東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)のトルエン希釈液をバーコーターにて絶乾で1g/m2となるように塗工した後、140℃で1分間乾燥、硬化し、剥離シートを作成した。
【0026】
「粘着シートの作成」
予め吸湿防止剤として親水性の吸湿防止剤粉体(商標:アエロジル200、無水シリカ系吸湿防止剤、日本アエロジル社製、平均粒子径1.2μm)をグルコン酸ソーダ粉体(藤沢薬品工業社製、一次粒子径2〜20μm)に対して0.5部添加した。これをアクリル系粘着剤(商標:AT−D37/架橋剤AL 2部添加、サイデン化学社製)に粘着剤固形分100重量部に対して3部添加し、アジテーターにて20rpmで60秒間の条件で撹拌して分散状況を確認した。得られた粘着剤をバーコーターで絶乾重量換算にて50g/m2となるように塗工した後、100℃で1分間乾燥した。
【0027】
ついでこの粘着剤層に、基材として高密度ポリエチレンのフラットヤーン織布の両面に低密度ポリエチレンを20μm程度の厚さになるように溶融押し出し法によりをラミネートし、総厚100μmとしたものを、ニップロールにより圧着した後、40℃で3日間エージングし、粘着シートを得た。
【0028】
【実施例2】
実施例1の「粘着シートの作成」において、吸湿防止剤をグルコン酸ソーダ粉体に対して3%添加した以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0029】
【実施例3】
実施例1の「粘着シートの作成」において、吸湿防止剤として疎水性アエロジル(商標:アエロジルR972V、無水シリカ系吸湿防止剤、日本アエロジル社製)を用い、これをグルコン酸ソーダ粉体に対して0.5部添加した以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0030】
【実施例4】
実施例1の「粘着シートの作成」において、吸湿防止剤として酸化アルミニウム粉末(商標:酸化アルミニウムC、酸化アルミニウム系吸湿防止剤、デグサ・ヒュルス社製)を用い、これをグルコン酸ソーダ粉体に対して0.5%添加した以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0031】
【実施例5】
実施例1の「粘着シートの作成」において、吸湿防止剤として二酸化チタン粉末(商標:二酸化チタンT805、二酸化チタン系吸湿防止剤、デグサ・ヒュルス社製)を用い、これをグルコン酸ソーダ粉体に対して0.5%添加した以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0032】
【実施例6】
実施例1の「粘着シートの作成」において、吸湿防止剤のグルコン酸ソーダに対する配合量を0.1%とした以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。粘着シートはややストリークが発生気味であった。
【0033】
【実施例7】
実施例1の「粘着シートの作成」において、吸湿防止剤のグルコン酸ソーダに対する配合量を5.0%とした以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0034】
【比較例1】
実施例1の「粘着シートの作成」において、吸湿防止剤を全く配合しなかった以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。粘着シートはストリークが多量に発生していた。
【0035】
上記の通り得られた粘着シートについて下記の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0036】
<分散性>
粘着剤中にコンクリート硬化遅延剤配合し、アジテーター(20rpm×1分)で撹拌した際の様子から、以下の評価基準で評価した。
○:均一に分散している
△:若干継粉がある程度
×:継粉が多量に発生
【0037】
<タイル吊り下げ保持性>
市販の磁器質粗面タイル(商標:SV50、ダントー社製)を被着体として、タイル(8枚)/発泡ポリエチレン製目地材に粘着シートを手で貼付した後、金属製束子でシート表面を軽く擦って圧着した。得られたタイルシートを室温で1週間吊り下げ放置後に粘着シートに全てのタイルが付着しているものを○、1枚以上の脱落があるものを×として評価した。
【0038】
<再剥離性>
ついで、タイル吊り下げ保持性評価後のタイルシートのタイル裏面に市販のセメント(商標:インスタントセメント、トーヨーマテラン社製、主成分:ポルトランドセメント)を水と練り合わせた物を約10mmの厚さで塗布し、振動を与えて脱気させたものを40℃で7時間処理しセメントを硬化させた後、粘着シートを剥離した。その際に、粘着テープとタイルがきれいに剥がれ、且つ目地材が粘着テープに付着した状態で粘着シートを剥がすことができるものを○とし、粘着シートとタイルがきれいに剥がれないものまたは/および粘着シートに目地材が付着した状態で粘着シートを剥がすことができないものを×として再剥離性を評価した。
【0039】
<セメント硬化抑制効果>
コンクリート硬化遅延性は、上記で作製したタイルユニットに残留しているコンクリートを流水下、軽く指先でこすることでセメントが容易に取り除けるものを○、容易に取り除くことができないものを×として評価した。
【0040】
【表1】
【0041】
このように、各実施例は吸湿性を有する粉体であるコンクリート硬化遅延剤をアジテーターで容易に粘着剤に分散することができることがわかる。また、得られたタイルパネル作製用粘着シートは、吸湿防止剤を併用することによる硬化遅延性、タイル吊り下げ保持性、再剥離性等の品質低下もない(実施例1〜7)。一方、吸湿防止剤を配合しない場合には粘着剤溶液に殆ど分散せずに多量のストリークが発生する(比較例1)。また、吸湿防止剤の配合量が過剰の場合、品質は良好なるもののそれ以上の性能アップはなくコストメリットがなくなる上に、コンクリート硬化遅延性がやや低下し(実施例7)、また過少の場合には、粉体の二次凝集を抑える性能がやや不足するために、分散性がやや劣り塗工面に品質上は殆ど問題とならないレベルではあるがのストリークを発生する(実施例6)ことがわかった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の塗液の製造方法および粘着シートの製造方法は、サンドグラインダー等の複雑な構造の設備を要することなく吸湿性のセメント凝結遅延作用を有する物質を粘着剤に容易に分散することができ、歩留まり並びに作業効率を大幅に向上させることができるので、タイルパネル作製用粘着シートに限らず様々な粘着シートに適用できるものである。
Claims (5)
- セメント凝結遅延作用を有する物質と吸湿防止剤を混合し、この混合物と粘着剤を混合する塗液の製造方法。
- セメント凝結遅延作用を有する物質がオキシカルボン酸および/又はオキシカルボン酸塩である請求項1に記載の塗液の製造方法。
- 吸湿防止剤が無水シリカ、酸化アルミニウム、二酸化チタンから選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の塗液の製造方法。
- 請求項1から請求項3の何れかに記載の塗液の製造方法により製造した塗液を、基材に直接塗布するか、剥離シートに塗布した後に基材と貼り合わせるかして製造することを特徴とする粘着シートの製造方法。
- 粘着シートがタイルパネル作製用粘着シートである請求項4に記載の粘着シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24943099A JP3765207B2 (ja) | 1999-09-03 | 1999-09-03 | 塗液の製造方法および粘着シートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24943099A JP3765207B2 (ja) | 1999-09-03 | 1999-09-03 | 塗液の製造方法および粘着シートの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001072946A JP2001072946A (ja) | 2001-03-21 |
JP3765207B2 true JP3765207B2 (ja) | 2006-04-12 |
Family
ID=17192863
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24943099A Expired - Fee Related JP3765207B2 (ja) | 1999-09-03 | 1999-09-03 | 塗液の製造方法および粘着シートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3765207B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019210598A1 (zh) * | 2018-05-03 | 2019-11-07 | 黄河勘测规划设计研究院有限公司 | 一种混凝土内外部水分迁移抑制剂 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5844965B2 (ja) * | 2010-07-13 | 2016-01-20 | 村樫石灰工業株式会社 | 酸性粉末状化合物とアルカリ性粉末状化合物の混合組成物 |
DE102012224319A1 (de) | 2012-12-21 | 2014-06-26 | Tesa Se | Verfahren zum Entfernen von Permeaten aus Flächengebilden |
DE102013202473A1 (de) | 2013-02-15 | 2014-08-21 | Tesa Se | Verfahren zum Entfernen von Permeaten aus Flächengebilden |
TW201436855A (zh) | 2012-12-21 | 2014-10-01 | Tesa Se | 從平面結構物移除滲透物的方法 |
-
1999
- 1999-09-03 JP JP24943099A patent/JP3765207B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019210598A1 (zh) * | 2018-05-03 | 2019-11-07 | 黄河勘测规划设计研究院有限公司 | 一种混凝土内外部水分迁移抑制剂 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001072946A (ja) | 2001-03-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1193283A1 (en) | Particle coated bonding systems for hydratable cementitious composition casting and methods for making same | |
AU2001281117A1 (en) | Particle coated bonding systems for hydratable cementitious composition casting and methods for making same | |
JP5713164B2 (ja) | タイル・セメントモルタル用混和剤組成物及びそれを含むタイル・セメントモルタル組成物 | |
JP3765207B2 (ja) | 塗液の製造方法および粘着シートの製造方法 | |
JP7257259B2 (ja) | 防水材用樹脂組成物、床版防水構造、および、床版防水構造の施行方法 | |
US2934932A (en) | Hydraulic cement mortar compositions and methods of use | |
GB2329895A (en) | Adhesive containing calcium sulphate | |
KR100848538B1 (ko) | 도자기질 타일용 접착제 조성물 | |
JPH056597B2 (ja) | ||
JP4240717B2 (ja) | タイルパネル作製用粘着シート | |
JPH1036800A (ja) | ゴム系感圧性接着剤 | |
JP4099167B2 (ja) | 粉体接着剤 | |
KR101880679B1 (ko) | 타설 콘크리트 접착형 방수시트 및 그 제조방법 | |
JP3217734B2 (ja) | コンクリート凝結遅延化材およびその製造方法 | |
JPS6343226B2 (ja) | ||
JPH10138224A (ja) | コンクリート型枠用剥離シート | |
KR840002369B1 (ko) | 벽체의 타일 부착 공법 | |
JPH11262908A (ja) | コンクリート表面硬化遅延テープ | |
JP2008156136A (ja) | 左官用耐火被覆材 | |
JP2000263524A (ja) | コンクリート表面硬化遅延テープ | |
JPH02212344A (ja) | 室内壁用組成物 | |
JP2000044898A (ja) | 反応性を示す粘弾性基材を用いた両面接着テ―プ | |
JP2859013B2 (ja) | セメントモルタル組成物 | |
JPH10259357A (ja) | 建築板用接着剤組成物 | |
JPH04234475A (ja) | 装飾材用接着剤組成物およびその使用方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050915 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050927 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20051017 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051124 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060104 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060117 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090203 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100203 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110203 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110203 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120203 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120203 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130203 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |