JP3764853B2 - ナノ物質の質量計測方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複数本のナノチューブを開閉してナノスケールの大きさを有するナノ物質を把持・放出できるナノピンセットに関し、更に詳細には、ナノ物質を把持する前後におけるナノピンセット把持部の共振振動数を測定して、把持しているナノ物質の質量を計測できるナノ物質の質量計測方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、原子や分子などの超微小物質の質量を測定する方法として質量分析法が使用されている。この質量分析法は、試料をイオン化し、そのイオンを電場で加速して質量に応じて飛行速度を変化させ、その後磁場中で回転させて比電荷e/m又はm/eに従ってイオン流を分離し、質量スペクトルの各ピークからイオンの質量を導出するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この質量分析法は、原子や分子のように比較的軽い物質の質量を精度よく測定できる利点を有している。しかし、この方法は、100個〜10000個程度の原子が集合してできる超微粒子などのナノ物質の質量測定には不向きである。
【0004】
ナノ物質の質量は原子と比較して大きいため、電子衝撃や高周波火花放電でイオン化しても、そのイオンを空間飛行させるためには超高電界が必要となり、このような電界を実現するには、装置が巨大化してしまう欠点がある。また、空間飛行させることができたとしても、イオンの慣性が大きいために、回転に必要な磁場が極端に大きくなり、上記と同様に装置全体が巨大化してしまう。
【0005】
原子核研究などで重イオンビームを作る装置が実現しているが、これらの装置は極めて巨大なもので、重イオンのレベルでさえこのように巨大な装置を必要とするのである。従って、重イオンより更に大きなナノ物質やナノ粒子をイオン化して質量を測定するとなると、この質量分析法では実用的にもコスト的にも不可能であると言わざるを得ない。
【0006】
従って、本発明に係るナノ物質の質量計測方法及びその装置は、イオン化装置や電界加速装置や磁場回転装置を用いないで、ナノチューブ等を先端に取り付けたナノピンセットでナノ物質を把持し、把持の前後における共振振動数の変化から極めて簡単にナノ物質の質量を計測することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ナノサイズを有するナノ物質を把持・放出することができるナノピンセットを用い、このナノピンセット把持部でナノ物質を把持し、この把持状態のナノピンセット把持部を共振させてその固有振動数fmを計測し、ナノ物質を把持しない状態のナノピンセット把持部の固有振動数をf0としたとき、両固有振動数を対比して把持されているナノ物質の質量を導出することを特徴とするナノ物質の質量計測方法である。
【0008】
請求項2の発明は、前記ナノピンセット把持部が複数本のナノチューブの先端部によって構成されている請求項1に記載のナノ物質の質量計測方法である。
【0009】
請求項3の発明は、前記ナノピンセット把持部に外部電極を接近させ、ナノピンセット把持部と外部電極間に交流電圧を印加し、交流静電誘導によりナノピンセット把持部を共振させて固有振動数f0、fmを計測する請求項1に記載のナノ物質の質量計測方法である。
【0010】
請求項4の発明は、ナノピンセット把持部を先端に有するナノピンセットに圧電素子を形成し、この圧電素子に交流電圧を印加することにより、前記ナノピンセット把持部を共振させて固有振動数f0、fmを計測する請求項1に記載のナノ物質の質量計測方法である。
【0011】
請求項5の発明は、複数本のナノチューブの基端部を固定するナノピンセット本体と、前記ナノチューブの先端部からなるナノピンセット把持部と、このナノピンセット把持部を開閉自在に制御する手段と、このナノピンセット把持部に接近して配置された外部電極と、ナノピンセット把持部と外部電極間に共振用の交流電圧を印加する交流電源から構成されることを特徴とするナノ物質の質量計測装置である。
【0012】
請求項6の発明は、複数本のナノチューブの基端部を固定するナノピンセット本体と、前記ナノチューブの先端部からなるナノピンセット把持部と、このナノピンセット把持部を開閉自在に制御する手段と、前記ナノピンセットに形成された圧電素子と、この圧電素子に共振用の交流電圧を印加する交流電源から構成されることを特徴とするナノ物質の質量計測装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、ナノ物質を把持したり放出できる装置として、ナノピンセットを特願平2000−112767号及び特願2000−404006として既に提案している。このナノピンセットは、ナノピンセット本体に複数本のナノチューブの基端部を固定し、ナノチューブの先端部を静電気や圧電素子により開閉自在に制御してナノ物質を把持・放出する装置である。
【0014】
本発明者等は、ナノピンセット把持部にナノ物質を把持させる前及び把持させた後において、ナノチューブの共振周波数が変化し、この変化量からナノ物質の質量を測定できるのではないかと想到するに到った。
【0015】
H原子1個の質量は1.6×10-24gであり、重いBi原子1個の質量は3.3×10-22gである。ナノ物質はこれらの原子が1000個〜1000000個程度集合した物質であると考えると、ナノ物質の質量は10−21g〜10−16g程度であると考えられる。
【0016】
これに対し、ナノチューブの典型例として、カーボンナノチューブの1本の質量を考察してみる。カーボンナノチューブは中空であるが、中実のグラファイト棒と仮定すると、直径20nmで長さ1μmのカーボンナノチューブの質量は、m=ρAL=2.3(g/cm3)×π×102(10-182)×10-6(m)=7.2×10-16gである。
【0017】
実際のカーボンナノチューブは中空であり、直径も更に小さくできるとすると、1本のカーボンナノチューブの質量は、10-16g〜10-17gであると考えられる。これに対し、ナノ物質の質量は10-21g〜10-16gであるから、ナノ物質をカーボンナノチューブに把持させたとき、その共振振動数は有意に変化するはずである。従って、その変化量からナノ物質の質量を逆算できることが考えられる。
【0018】
そこで、共振振動数を測定するためのモデルを考察するために、本発明者等が開発したナノピンセットの本体を壁体と考え、ナノチューブ先端部はこの壁体から突出した片持ばりであると考える。この片持ばりの固有振動数、つまり共振振動数を次ぎに考察する。
【0019】
図1は、本発明の原理となる片持ばりの固有振動を示すモデル図である。壁体Wから体積密度ρ、断面積A、長さLの片持ばり1が突出している。この片持ばり1が曲げ振動を起こしたとき、ニュートンの運動方程式を解くと、n=1の固有振動数f0はf0=(1/2π)(1.875/L)2(EI/ρA)1/2で与えられることが分かる。ここで、Eは材料の縦弾性係数、Iは断面二次モーメントである。
【0020】
図2は、本発明の原理となる質点を担持した片持ばりの固有振動を示すモデル図である。片持ばり1の先端に質量mの質点1aが担持されている。この片持ばり1が曲げ振動を起こしたとき、その固有振動数fmをレイリーの方法を用いて解くと、fm=(1/2π)(1.875/L)2(0.246/(0.227+μ))1/2(EI/ρA)1/2で与えられることが分かる。ここで、μ=m/ρALである。
【0021】
従って、これらの固有振動数の比率は、fm/f0=(0.246/(0.227+μ))1/2で与えられる。この式から、m={0.246(f0/fm2−0.227}ρALとなり、固有振動数f0、fmとカーボンナノチューブの質量ρALからナノ物質の質量mが導出できる。
【0022】
この式を更に簡単化する。係数0.246と0.227を0.24で近似し、fm=f0−Δfと置くと、2次以上の微小項を無視して、m=0.48(Δf/f0)ρALとなる。前述したように、ρAL=10-16g〜10-17gであり、Δf/f0として10-3のオーダーまで測定できるとすると、m=10-19g〜10-20gまで計測できることが分かった。
【0023】
ナノ物質の質量は、前述したように、10-21g〜10-16gと予想できるから、上記の測定限界(10-20g)にほぼ含まれており、本発明方法によってナノ物質の質量を測定できることが十分に示された。Δf/f0として10-4のオーダーまで測定できるとすれば、ρALの測定限界は10-21gとなり、ナノ物質の質量の予想範囲を全て測定可能範囲内に含むことになる。
【0024】
図3はナノピンセットの概略図である。ナノピンセット11は、本体3に電極4a、4bを形成し、各電極にナノチューブ5a、5bの基端部を固着させて構成されている。ナノチューブ5a、5bの先端部で把持部11aが形成される。
【0025】
図4はナノ物質を把持したナノピンセットの概略図である。電極4a、4bの間にスイッチSW1を介して直流電源Eが接続されている。この直流電源Eによりナノチューブ5a、5bに正負の静電気が誘導され、静電引力によってナノチューブ5a、5bの先端、即ち把持部11aが閉じ、ナノ物質2を把持する。
【0026】
カーボンナノチューブは導電性ナノチューブであり、このような導電性ナノチューブにより把持部11aを構成する場合には、静電引力により絶縁性や半導体性のナノ物質2を把持することは容易である。しかし、導電性のナノ物質2を把持するときには、把持部11aの先端がナノ物質2を介して導通し、静電引力が低下することがある。
【0027】
しかし、カーボンナノチューブなどの導電性ナノチューブの表面を絶縁膜でコーティングしてナノチューブ5a、5bとして用いれば、ナノ物質の導電性や絶縁性に拘わらず、広範囲の電気的性質を有したナノ物質2を把持することができる。
【0028】
図5は、ナノ物質を把持したナノピンセットを交流静電誘導により共振させる第1実施形態の構成図である。把持部11aに接近させて外部電極6を配置し、外部電極6とナノピンセット11の間にスイッチSW2を介して交流電源Vを取り付ける。この交流電源Vにより交流電圧を印加すると、把持部11aと外部電極6の間に交流静電誘導が生起して、把持部11aが強制振動される。
【0029】
図6はナノピンセットを共振させるために印加される交流電圧の概略波形図である。交流電圧V(t)は、V(t)=V0sin(2πft)で与えられ、振動数fの交流電圧が外部電極6から印加される。
【0030】
図7は交流静電誘導によりナノピンセットに作用する力の概略波形図である。外部電極6に正電荷が誘導されると、把持部11aには負電荷が誘導され、また外部電極6に負電荷が誘導されると、把持部11aには正電荷が誘導される。つまり、交流電圧の1周期の間に把持部11aに作用する静電引力は2回生起するから、交流静電引力F(t)の振動数は2fとなる。従って、ナノピンセット把持部11aは振動数2fで振動する。
【0031】
図8はナノピンセット把持部の振幅と振動数の関係を示す共振図である。ナノピンセット11に印加する交流電圧の振動数を次第に増大させてゆくと、把持部11aが振幅Aで強制振動し始め、振動数fmで振幅Aが最大に達したとき、共振状態にあると考えられる。つまり、交流電圧により印加される振動数2fが把持部の11aの固有振動数と一致したときに強制振動が最大に達する。この共振状態は電子顕微鏡の中で確認できるが、交流静電誘導における電流の位相変化を観察して確認することもできる。
【0032】
従って、ナノピンセット11が共振状態にあるとき、交流電圧の振動数の2倍が把持部11aの固有振動数fmに一致することになる。このようにして、ナノ物質2を把持しない状態の固有振動数f0と、ナノ物質2を把持したときの固有振動数fmを測定する。
【0033】
固有振動数f0とfmが測定されると、m={0.246(f0/fm)2−0.227}ρALの式、又はm=0.48(Δf/f0)ρAL=0.48((f0−fm)/f0)ρALの式から、ナノ物質2の質量mが導出できる。ここで、ρALは把持部11aの質量である。
【0034】
図9はナノ物質を把持したナノピンセットを圧電素子により共振させる第2実施形態の構成図である。電極4bに圧電素子7が皮膜状に形成され、この圧電素子7の両端に交流電圧を印加できるように、端子7a、7bを介して交流電源Vが接続されている。
【0035】
圧電素子7に交流電圧V(t)を印加すると、圧電素子7はその振動数fに従って伸縮振動し、把持部11aを振動数fで強制振動させる。この振動数fが前述した固有振動数f0、fmに一致したときに把持部11aは最大振幅で共振する。この共振状態の交流振動数を読み取ることにより、前記固有振動数f0又はfmを計測することができる。
【0036】
圧電素子7により把持部11aを機械的に共振させる場合には、ナノチューブの材質は特に関係しない。従って、ナノチューブの物性が導電性、半導体性、絶縁性の何れであっても把持部11aを共振させることが可能である。この理由は、静電引力を用いないため、電気的な短絡が生じないからである。従って、ナノチューブとしてはカーボンナノチューブのような導電性ナノチューブのみならず、BN系ナノチューブやBCN系ナノチューブのような絶縁性ナノチューブも使用することができる。
【0037】
また、ナノピンセット把持部11aの開閉機構として静電開閉機構以外に、圧電膜による開閉機構を用いることもできる。ナノチューブ5a、5bに圧電膜を被膜形成し、この圧電膜に電圧を印加してナノチューブ5a、5bを伸縮させることによりナノチューブ5a5bが屈伸し、この結果ナノピンセット把持部11aが開閉制御される。この場合には、固有振動数の計測には図5の交流静電誘導や図9の圧電素子による機械的振動の両者を使用できる。
【0038】
図10は3本のナノチューブを用いたナノピンセットを圧電素子で共振させる第3実施形態の構成図である。この実施形態では、AFM用のカンチレバーを用いてナノピンセット11を構成している。ここでAFMとは原子間力顕微鏡のことである
【0039】
カンチレバーにはリード電極12、13、14が形成され、その先端にナノチューブ8、9、10の基端部を接触させ、その上をコーティング膜12b、13b、14bで固定することによってナノピンセット11が形成されている。
【0040】
リード電極12、13、14の後端にある端子12a、13a、14aにスイッチSW1と直流電源Eを接続し、直流電源Eの負極をアースEAに接続している。この直流電源Eによりナノチューブ先端8aは正に帯電し、ナノチューブ先端9a、10aは負に帯電する。
【0041】
把持部11aはナノチューブ先端8a、9a、10aの3本で構成されるから、どのような形状のナノ物質2でも確実に把持することができる。スイッチSW1の開閉により、把持部11aを開閉することによりナノ物質2の把持と放出を操作できる。
【0042】
コーティング膜13bの近傍に圧電物質を膜状に形成した圧電素子7が形成されており、その両端にある端子7a、7bにスイッチSW2を介して交流電源Vが接続されている。この交流電源Vを印加すると、圧電素子7が伸縮振動して把持部11aを強制振動させる。把持部11aの共振状態は電子顕微鏡の中で観察できる。
【0043】
ナノ物質2を把持しない場合と把持した場合における共振振動数が、それぞれの場合の固有振動数f0、fmを与えるから、この振動数からナノ物質2の質量を前述した式を通して導出する。
【0044】
図11はAFM操作も可能なナノピンセットを圧電素子で共振させる第4実施形態の構成図である。ナノチューブ28、29の2本でナノピンセット把持部11aを形成するが、ナノチューブ28の方がナノチューブ29より下方に突出しており、ナノチューブ28の先端28cでAFM操作を行う。ナノチューブ先端部28aをナノチューブ先端部29aより長く設定する操作は電子顕微鏡の中で確認しながら行われる。
【0045】
ナノチューブ28、29の基端部28b、29bにはナノチューブリード線20、20が接続され、それらの上面はコーティング膜21、21により本体26に固定されている。また、本体26には圧電素子7が膜状に形成され、両端の端子7a、7bに交流電圧が印加される。
【0046】
図12は、ナノ物質の質量を計測しながらナノ構造物を構築するナノマニピュレータ装置の作動説明図である。図11に示されるナノピンセット11がカンチレバー25を利用して構成されており、ナノチューブリード線20は電極23を介してスイッチSW1及び直流電源E及び直流電圧制御回路ECに接続される。直流電圧を可変してナノチューブ28、29を開閉制御している。
【0047】
圧電素子7の端子7a、7bにはスイッチSW2及び交流電源Vが接続されている。まず、ナノチューブ先端28cを探針として試料表面24を走査しながらナノ物質26の集積場所を探索する。ナノ物質26の場所が分かると、ナノチューブ先端部28a、29aの間にナノ物質26を位置させ、スイッチSW1をオンして把持部11aを閉じ、ナノ物質26を固く保持する。
【0048】
次ぎに、スイッチSW2をオンして交流電源Vにより把持部11aを共振させ、ナノ物質26の質量を計測してナノ物質26の種類を同定する。その後、ナノチューブ先端28cにより試料表面24をAFM走査してナノ構造物27の位置に移動する。ナノ構造物27の必要位置をAFM走査で探索し、その位置に移動した後、スイッチSW1をオフしてナノ物質26を放出する。この操作を繰り返しながら、ナノ構造物27を組み立ててゆく。
【0049】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含することは云うまでもない。
【0050】
請求項1の発明によれば、ナノ物質を把持したナノピンセット把持部の固有振動数fmを共振現象を利用して計測し、無把持の固有振動数f0と対比計算するだけでナノ物質の質量を計測できるから、極めて簡単な構成で10-20g程度までのナノ物質の質量を迅速に導出できる。従って、半導体や分子生物学その他のナノ物質を扱う研究分野や製造技術分野に画期的なナノ物質計測手法を与えることができる。
【0051】
請求項2の発明によれば、ナノピンセット把持部を複数本のナノチューブの先端部によって構成するから、ナノチューブの各々を自在に制御できるから、効率的なナノ物質の質量計測方法を提供できる。
【0052】
請求項3の発明によれば、ナノピンセット把持部に外部電極を接近させ、両者間に交流電圧を印加し、交流静電誘導により共振させるだけで固有振動数f0、fmを計測できるから、極めて単純な構成で種々の形態のナノピンセットに対応でき、活用性の高いナノ物質の質量計測方法を提供できる。
【0053】
請求項4の発明によれば、ナノピンセット本体に圧電素子を形成し、この圧電素子に交流電圧を印加するだけでナノピンセット把持部を共振させることができるから、導電性、半導体性、絶縁性の全ての物性を有したナノ物質の質量計測を実現できる質量計測方法を提供できる。
【0054】
請求項5の発明によれば、ナノピンセット把持部と、外部電極と、交流電源という極めて簡単な構成で、交流静電誘導による共振現象をとおしてナノ物質の質量を迅速に計測できる装置を提供できる。
【0055】
請求項6の発明によれば、ナノピンセット把持部と、圧電素子と、交流電源という極めて単純な構成で、圧電素子による機械的共振現象を通してナノ物質の質量を迅速正確に計測できる装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理となる片持ばりの固有振動を示すモデル図である。
【図2】本発明の原理となる質点を担持した片持ばりの固有振動を示すモデル図である。
【図3】ナノピンセットの概略図である。
【図4】ナノ物質を把持したナノピンセットの概略図である。
【図5】ナノ物質を把持したナノピンセットを交流静電誘導により共振させる第1実施形態の構成図である。
【図6】ナノピンセットを共振させるために印加された交流電圧の概略波形図である。
【図7】交流静電誘導によりナノピンセットに作用する力の概略波形図である。
【図8】ナノピンセット把持部の振幅と振動数の関係を示す共振図である。
【図9】ナノ物質を把持したナノピンセットを圧電素子により共振させる第2実施形態の構成図である。
【図10】3本のナノチューブを用いたナノピンセットを圧電素子で共振させる第3実施形態の構成図である。
【図11】AFM操作も可能なナノピンセットを圧電素子で共振させる第4実施形態の構成図である。
【図12】ナノ物質の質量を計測しながらナノ構造物を構築するナノマニピュレータ装置の作動説明図である。
【符号の説明】
1は片持ばり、1aは質点、2はナノ物質、3は本体、4a・4bは電極、5a・5bはナノチューブ、6は外部電極、7は圧電素子、7a・7bは端子、8・9・10はナノチューブ、8a・9a・10aはナノチューブ先端部、11はナノピンセット、11aはナノピンセット把持部、12・13・14はリード電極、12b・13b・14bはコーティング膜、20はナノチューブリード線、21はコーティング膜、23は電極、23はカンチレバー、24は試料表面、26はナノ物質、27はナノ構造物、28・29はナノチューブ、28a・29aはナノチューブ先端部、28b・29bはナノチューブ基端部、28cはナノチューブ先端、Aは断面積、Lは長さ、ρは体積密度、Eは直流電源、SW1はスイッチ、SW2はスイッチ、EAはアース、Vは交流電源、ECは直流電圧制御回路、f0は無把持の固有振動数、fmは把持状態の固有振動数。

Claims (4)

  1. ナノサイズを有するナノ物質を把持・放出することができる複数本のナノチューブを有したナノピンセットを用い、前記ナノチューブ先端部でナノピンセット把持部を構成し、このナノピンセット把持部で前記ナノチューブ先端部を閉じてナノ物質を把持し、この把持状態のナノピンセット把持部を共振させてその固有振動数fを計測し、ナノ物質を把持しない状態のナノピンセット把持部の固有振動数をfとしたとき、両固有振動数を対比して固有振動関係式を用いながら把持されているナノ物質の質量を導出することを特徴とするナノ物質の質量計測方法。
  2. 前記ナノピンセット把持部に外部電極を接近させ、ナノピンセット把持部と外部電極間に交流電圧を印加し、交流静電誘導によりナノピンセット把持部を共振させて固有振動数f、fを計測する請求項1に記載のナノ物質の質量計測方法。
  3. 複数本のナノチューブの基端部を固定するナノピンセット本体と、前記ナノチューブの先端部からなるナノピンセット把持部と、このナノピンセット把持部を開閉自在に制御しナノ物質を把持・放出する手段と、このナノピンセット把持部に接近して配置された外部電極と、前記ナノピンセット把持部と前記外部電極間に共振用の交流電圧を印加する交流電源からなる共振手段と、前記ナノ物質を把持した状態の前記ナノピンセットの固有振動数f と前記ナノ物質を把持しない状態の前記ナノピンセットの固有振動数f を計測する計測手段と、前記f 及び前記f を対比する対比手段と、前記f 及び前記f からナノ物質の質量を導出する導出手段から構成されることを特徴とするナノ物質の質量計測装置。
  4. 複数本のナノチューブの基端部を固定するナノピンセット本体と、前記ナノチューブの先端部からなるナノピンセット把持部と、このナノピンセット把持部を開閉自在に制御しナノ物質を把持・放出する手段と、前記ナノピンセットに形成された圧電素子と、この圧電素子に共振用の交流電圧を印加する交流電源からなる共振手段と、前記ナノ物質を把持した状態の前記ナノピンセットの固有振動数f と前記ナノ物質を把持しない状態の前記ナノピンセットの固有振動数f を計測する計測手段と、前記f 及び前記f を対比する対比手段と、前記f 及び前記f からナノ物質の質量を導出する導出手段から構成されることを特徴とするナノ物質の質量計測装置。
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