JP3764208B2 - 多層皮膜構造を特徴づけ、その皮膜に直面する2つの面の間の距離を測定する方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は基板の上に1又はそれを越える層からなる皮膜構造(thin film system)を特徴づける(characterize)方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上の皮膜は、光学導波管、集積回路の製造、保護コーティング等のために、反−反射コーティングやその他の光学コーティングのような多様な適用分野に広汎に使用されている。これらの適用分野の多くは、デポジション(deposition)工程を制御し、コーティング又は仕上装置の正確な作動を保証するために、精密な「特徴づけ(characterization)」、すなわち、皮膜の厚さや屈折率の測定が必要とされる。
【0003】
前記皮膜の特徴づけを達成する最も一般的な方法は、機械的形状測定法(mehcanical profilometry)及び楕円測定法(ellipsometry)である。機械的形状測定法は、通常、スタイラス(針)を使用し、測定される表面との接触を必要とする。さらに、それはサンプルの破壊的準備を要求し、振動しやすいので、その精度が制限される。楕円測定法は、レーザ源を必要とし、むしろ遅く、複雑で高価である傾向がある。EP−A−0639753は、そらぞれ透明絶縁膜とシリコン膜と1つ又は2つの透明膜とからなる3又は4層構造の厚さを測定する方法を開示している。この方法は、2つの波長域の光、すなわち、UV域にある光と、該UV域より長い波長を含む第2の域の光とを使用する。大部分の光は下にあるシリコン膜によって吸収されるので、第1波長域の反射率から透明膜の厚さが正確に計算される。透明絶縁膜とシリコン膜の厚さの概略値が周波数分析によって計算され、これにより透明膜のスペクトル成分が低域フィルタによって除去される。次に、得られた概略値は固定量によって変更され、計算された変更厚さに対する理論スペクトル反射率と計測されたスペクトル反射率との差が計算される。絶縁膜とシリコン膜に対する厚さの値は、次に、非線形最適化法によって最適化される。
【0004】
前記方法は、キャリブレーションウェーハ(calibration wafer)の反射率の事前測定を必要とするという欠点を有している。これは時間の浪費であり、レファレンスウェーハ(reference wafer)の表面が劣化しないことを必要とする。また、この方法は、透明膜のスペクトル反射率、従ってその厚さが計算できるように、透明膜の下に配置されている層が第1波長域の光を吸収するような多層構造に適用可能であると思われる。さらに、この方法はUV光を使用するので、1つの層がUV感光性光抵抗層(UV-sensitive photo-resist)である多層構造には適用可能ではない。さらにまた、この方法は異なる層の厚さを計算するために屈折率の知識を必要とする。
【0005】
したがって、皮膜の厚さ及び/又は屈折率の迅速かつ正確な測定を許容する簡単な測定方法を提供することが好ましい。
【0006】
一方、皮膜特性以外の特定のパラメータを測定するための光学検査法の分野がある。このパラメータは、例えば、絶対的又は相対的な距離とすることができる。この方法には、膜の厚さや屈折率の知識は本質的に必要ではない。2つの面の間の距離を測定する場合については、前記2つの面から反射された光線間の干渉の強度を測定する「干渉(interferometric)」法がしばしば使用される。しかしながら、多層構造又は単層構造が存在すると、層からの反射による位相変化(phase shifts)が求められるパラメータの干渉法による正確な測定を妨げる。
【0007】
そのような方法の例は、集積回路の製造のための顕微鏡法(microscopy)及び微小石版印刷法(microlithography)において使用されるような光学的形状測定器(optical profilometer)、マイクロポジショニング装置(micropositioning
device)、及び集束システム(focusing system)である。
【0008】
距離測定のための前述の干渉法は、積層皮膜からの反射により導入される位相変化を考慮していないし、測定誤差が起こることがある。多層構造における位相変化による前述の測定誤差の結果、例えば、光学的形状測定器は被覆された表面の形状を測定する困難性を有するかもしれないし、あるいは干渉法集束システム(interferometric focusing system)を使用する微小石版印刷画像システム(microlithographic imaging system)は不正確な焦点でパターンを印刷し、画像がぼけるかもしれない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、層の厚さ又は屈折率に関して基板上の単層又は多層の皮膜構造を特徴づける方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、少なくとも一方が単層又は多層で被覆された本質的に平行な2つの面の間の距離を光学的に測定し、これにより層の数やタイプにかかわりなくその距離の正確な測定が得られる方法を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、干渉法による光学検査法における単層又は多層の皮膜構造からの位相変化を補正する方法を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、前記層の表面からの位相貢献(phase contribution)の測定及び補正によって、前記層の特徴づけとともに2つの面の間の距離の正確な測定を許容する装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、基板(27)上に1又はそれを越える層の皮膜構造を、干渉計特に白色光チャンネルスペクトラム干渉計(white-light channeled spectrum interferometry)又は多波長干渉計(multi-wave length interferometry)によって、特に層の厚さ及び屈折率に関して特徴づける方法において、
a)2つの分離した本質的に平行な反射面からなる干渉計に光線を導くステップであって、それらの反射面のパス長さは距離Dだけ異なり、それらのいずれか一方の面は1又はそれを越える層構造(27,41,43)であり、ここで特徴づけられる層は選択された波長に対して少なくとも部分的に透明であるステップと、
b)2つの干渉面から反射された光の少なくとも一部を回折格子(17)の上に導き、これにより反射光を分散するステップと、
c)分散された光を光検出アレイ(PDA)(21)の上で集束させるステップと、
d)測定された強度値を使用して、各PDA要素における干渉パターンの位相を評価し、「測定位相関数(measured phase function)」すなわち周波数の関数としての干渉の位相を与えるステップと、
e)位相関数モデル(phase function model)を測定位相関数に適合させるステップであって、ここで位相関数モデルは次式の通りであり、
【数3】
Ф(ν)=Ф0+(4π/c)Dν+δr(ν;ni,di) (1)
ここで、δrは多層構造の位相貢献、cは光の速度であり、
パラメータは位相関数モデルのパラメータであって、
niとdiはそれぞれi番目の層の屈折率と厚さ、
Ф0は位相決定方法による位相オフセット、
Dは2つの干渉面の間の距離、又は、干渉計の2つの干渉アーム(interfering arm)の間のパス長差(path length difference)であるステップと、
f)測定位相関数を最良に適合させる位相関数モデルのパラメータを決定するステップと、
からなる方法が提供されている。
【0014】
この発明の方法は、楕円測定法と比べて、簡単な光学配置から絶対測定値を生み出すむしろ迅速な測定方法であり、またスタイラス法と比べて、非接触かつ非破壊の方法であるという利点を有している。また、従来の距離測定用の干渉計による方法と対比すると、この発明の方法は、積層皮膜での反射に基づいて生み出される相変化を考慮しているので、測定された位相が補償され、距離測定誤差が回避される。また、1又はそれを越える層の屈折率及び層厚さが迅速、正確かつ同時に決定される。しかしながら、実施においては、屈折率は正確に知ることができるので、決定される最も興味のあるパラメータは層厚さである。
【0015】
EP−A−0639753に開示された方法と対比すると、本発明の方法は特定の多層構造に限定されないし、キャリブレーションウェーハの使用を必要としない。さらに、厚さが決定される層の屈折率の知識を必要としない。
【0016】
ある一般的な場合には、多層構造は金属のような本質的に不透明な層を含んでいてもよい。そのような場合、検出光線は不透明層と基板との間の層には到達しない。この場合、不透明層を基板として取り扱い、不透明層と基板との間の層を無視することが好ましい。
【0017】
干渉計は、距離Dだけ離れた2つの面から構成されるか、あるいは干渉アームがパス差Dを有するマイケルソン干渉計(Michelson interferometer)から構成されるのが好ましい。
【0018】
したがって、この方法は、本質的に平行な2つの面の間の距離Dを測定すること、さらに具体的には少なくともいずれか一方の面が少なくとも1つの層で被覆されている2つの面の間の距離を測定するのに同等に有益であることは明らかである。
【0019】
前記光線は広帯域若しくは多波長の光源又は発光ダイオード(LED)からのものであるのが好ましい。これらの光源は良心的な価格で商業的に入手可能である。測定の問題に依存して、放射スペクトラム(emmission spectrum)の窓(window)が選択されてもよい。
【0020】
前記位相関数モデルを前記測定位相関数に適合させるのに、最小二乗適合法(least squares fitting)が使用されてもよい。この最小二乗適合法は公知のモデル評価データ(modelling data)用数値解析ツールである。商業的に入手可能な既製プログラムがあり、それは数値問題の解に容易に採用することができる。例えば、WHプレスらによる「Numerical Recipes in Pascal」(1992年ケンブリッジ大学出版)を参照のこと。そこには、多くの方法、例えば、線形最小二乗適合、レーベンベルグ−マルカート法、及びガウス−ニュートン法がある。主に解決される問題に応じて最良の方法が選択される。最小二乗アルゴリズムが使用されるときには、次の条件が満たされなければならない。
−モデルの知識は義務的である。
−データポイントの数はモデルのパラメータの数より大きくなければならない。多層構造の特徴づけのための前述の白色チャンネルスペクトラム干渉計の場合、両条件は容易に満たされる(すなわち、位相関数のモデルは知られており、ローカル位相Фn(データポイント)の数Nはモデルのパラメータの数Mよりもはるかに大きい)。
【0021】
干渉縞当たり4つのサンプルを用いた同期サンプリングが利用されるのが好ましい。ここで、回折格子定数、光検出アレイの隣接するピクセル間の距離、及びリレーレンズの焦点距離は、概略距離D及び照明源の中央での波長又は周波数に関して選択され配置され、光検出アレイの各ピクセルがある波長又は周波数νnの光を測定するようになっている。該周波数は、隣接する2つのピクセルの間で、ΔФs=π/2の干渉パターンにおける位相分離に対応するΔνだけ離れている。これにより、原則としてπよりも大きなΔФsのいかなる値も使用することができるが、位相評価が簡単になり、ハードウェアの要求が最小になる。
【0022】
測定ポイントの数は、PDAの要素の数と光源のスペクトル帯域のよって決定される。前記測定点Nの数は、決定されるパラメータMの数を越えているのが適切である。そのような場合、余分なデータが入手できる、そのパラメータは最小二乗適合によって正確に決定され得る。最小二乗アルゴリズムの最も正確な結果は、適合するデータポイントの数及び光検出アレイによって解像される全スペクトルレンジが大きいときに期待できる。これに対し、データポイントの数が小さいと、計算時間が短くなるが、適合パラメータの信頼できる値が少なくなる。多くの場合、100から200の測定ポイントは、計算時間と正確性の間での良好な選択である。しかしながら、ほんの数十のデータポイントを使用することも可能である。
【0023】
ある条件の下では、前記決定されるパラメータの評価は適合手順の開始点として使用されるのが都合がよい。屈折率に対する良い評価は、例えば、よく知られ、利用できる。しかしながら、層厚さも、デポジションプロセスの従来の知識によって評価されてもよい。もしそのような評価が利用できるなら、この方法はなおさらに有効で迅速になる。
【0024】
各層の屈折率と層厚さを決定する第2の独立した方法を使用すること、及び位相関数モデルがより少ないパラメータを有するようにδrを計算するためにこれらのパラメータを使用することも可能であり、これにより、測定位相関数への適合がスピードアップし、単純化する。このようなアプローチは、厳密に制御され、また皮膜厚さや屈折率が正確に知られているようなデポジションプロセスで使用し得る。
【0025】
本発明のよりよき理解のために、次の詳細な説明及び本発明に対する数学的背景が参照される。
【0026】
多層構造の距離Dと特性の同時測定は次の方法に従って実行される。
【0027】
N個のサンプルSnを得るために、光検出アレイに関して干渉信号が採取される。ここで、Nは光検出アレイのピクセルの数であり、1≦n≦Nである。
【0028】
N−4のローカル位相Фnは、サンプルSnに集中する干渉信号の5つの隣接するサンプルを使用して計算される。
【数4】
Sn=sn-1−sn+1=2BsinΔФssinФn
Cn=sn−(sn+2+sn-2)/2=2Bsin2ΔФscosФn
Фn=tan-1[(Sn/Cn)sinΔФs] (2)
【0029】
ローカル位相Фnは、次の測定位相関数を得るために、アンラップ(unwrap)される(ΔФs=Фn−Фn-1=π/2及びФn>Фn-1であるから可能である)。
【数5】
Ф=Ф(νn) (3)
【0030】
光学周波数νの関数としての測定干渉位相のモデルは次式で記載することができる。
【数6】
Ф(ν)=Ф0+(4π/c)Dν+δr(ν;ni,di) (4)
ここで、符号は式(1)で定義された通りであり、δrは多層構造の位相貢献である。
【0031】
干渉計は位相に対して敏感であるので、多層構造の位相貢献δrを考慮することなく式(3)の測定位相関数から距離Dを計算すると、距離測定誤差が生じる。Dの測定が多層構造の位相貢献に無関係であるためには、多層構造の位相貢献δrを考慮する必要があり、したがってδrに対してモデルを処分することが義務づけられる。
【0032】
そのようなモデルは、多くの教科書で幾らか詳細に説明されているように、多層構造からの多反射を追加することによって引き出すことができる。もし、ある情報例えば層の数及び基板のタイプが入手できるならば、ある与えられた層構造からの反射光の強度及び位相に対して式が引き出される。2つ以上の層の場合、多反射を追加する方法は実用的でない。そのような場合、アザムアンドバシャラ(Azzam and Bashara)(楕円測定法と偏光(Ellipsometry and Polarised Light)、北オランダ個人図書館(NHPL)、アムステルダム、オランダ国、1987、pp.283−286、322−340)に記載されているような、優雅なアプローチが使用されてもよい。それには、層構造からの反射光の強度及び位相は2行2列のマトリクスで表されている。アザムアンドバシャラによって引き出される一般的表現は、測定される特定の多層構造に適用してもよい。
【0033】
一般的なアプローチは相関数モデルを測定相関数に適合させることを伴うので、モデルのパラメータが少なければ少ないほど、適合手続きは早くなる。次に、層が少なければ少ないほど、また層の屈折率のような知られたパラメータが多ければ多いほど、その方法は高効率となることは当然である。これは後で実施例で説明する。しかしながら、この方法は如何なる数の層に対しても有効である。
【0034】
多層構造のパラメータ(ni,di)が知られているとき、位相貢献δrのモデルによって可能である測定位相の正確な解釈により、距離測定誤差を回避することができる。もとの場所の多層構造のパラメータを決定するためには、前述したように、また後で実施例で説明するように、位相関数モデルを測定位相関数に適合させるための適当なアルゴリズムを使用することが必要である。
【0035】
N>M(過多)のとき、M適合パラメータの最良適合値(best fitting value)Φ0fit,Dfit,difit,及びnifitを見つけるために、式(4)の位相関数モデルを式(3)の測定位相関数に適合させるのに、最小二乗アルゴリズム(linear least squares algorithm)が使用される。
【0036】
前記方法は、特にTIRホログラフにおいて、ホログラム面と該ホログラム面に近接しかつ本質的に平行に配置され被覆された基板表面との間の正確な距離を決定するために使用される。
【0037】
TIRホログラフでは、まず最初に、集積回路(IC)のような微小構造の写真マスクパターンが、プリズムと光学的に接触するガラス基板の上の感光層(ホログラフィックフォトポリマー等)に写真のように記録される。2番目に、ホログラムが照明され、ホログラフ画像がウェーハ又は他の基板例えばガラスの上に被覆された第2の感光層(光抵抗層等)の上に照射される。例えば、Applied Physics Letters(1968年6月)のK.A.Atetsonを参照のこと。
【0038】
ホログラムの記録中、フォトマスクはホログラフ記録層に距離Lで近接して保持される。ホログラムに応答して、フォトマスクのリアル画像がホログラムから距離Lのところの空間に生成される。この距離Lに、感光コーティングを有するウェーハのような基板が配置され、当該感光層にフォトマスクの画像が照射される。このプロセスは被覆された複数の基板に対して通常何回も繰り返される。
【0039】
TIRホログラフにおいてキーパラメータはホログラムの焦点距離又は焦点として知られる距離Lであることが分かっている。ホログラム応答中に確実に測定され配置されるように、ホログラム記録中にLの正確な測定が必要である。
【0040】
ホログラフ画像が正確な焦点で印刷されることを保証するために、EP−A−0421645はホログラムとウェーハの間の距離をアクチュエータによって調整することができるTIRホログラフシステムを開示している。さらに、それは干渉計法によってホログラムとウェーハの間の距離を測定するための検査光線を提案している。前記検査光線はホログラフ画像の再生中に応答ビームのスキャンニング移動に同期して移動されていもよい。
【0041】
前記干渉計検査法は、2波長又は多波長干渉計、白色光干渉計、あるいはチャンネルスペクトラム干渉計であるのが適切である。そのような干渉計法は2つの面のみからの反射がある場合に信頼性のある結果を生む。
【0042】
しかしながら、1又はそれを越える層又は皮膜が既にウェーハ基板に設けられている現実的なシステムでは、層の境界面での多反射によって生み出される位相変化が正確な距離測定を妨げる。最小の場合でも、感光層(例えば光抵抗層)が存在する。一般的な場合には、酸化シリコン、窒化シリコン、その他の層のようないくつかの層が前以て設けられている。多層による位相貢献はEP−A−0421645で対応されていなかった。そのような位相変化は、多層構造によって生み出される位相変化に依存して、数ミクロンの距離測定誤差を誘発することがあり、それに対応して印刷画像に集束誤差が生じることになる。
【0043】
以上のように、TIRホログラフ石版印刷では、正確な焦点の維持は困難である。これまで、干渉計法が焦点決定に使用されるときに異なる面からの多反射による位相変化に対して矯正するような解決は知られていない。ホログラフ印刷プロセス中に焦点を調整し維持するために距離測定が使用されるのが好ましい。正確な距離測定は、層の数にかかわらず、印刷されるサブミクロン領域で高解像度の特徴を可能にする。
【0044】
前述のTIRホログラフ石版印刷の目的のために使用される最も好ましい位相関数モデルは、次のように書くことができる。
【数7】
Ф(ν)=Ф0+(4π/c)Lν+δr(ν;ni,di) (5)
ここで、Lはホログラム面とウェーハ面との間のエアギャップ、他の符号は式(1)に定義されたものと同じである。
【0045】
本発明のさらに他の目的は、本質的に平行な2つの面の間の距離を測定するため、さらに具体的には少なくとも1つの面が少なくとも1つの層で被覆されている2つの面の間の距離を測定するための干渉計システムにおいて、
白色又は広帯域の光源(11)と、
光線(13)を平行にするコリメート手段と、
光線を面(39,25,45,47)に集束させるための集束手段(15)と、 回折格子(17)と、
該回折格子に向かって反射光を導く手段(19)と、
前記回折格子(17)とリレーレンズ(29)に関して配設され、反射され分散された光線を検出するための光検出アレイ(21)とからなり、
ここで、回折定数、リレーレンズ(29)の焦点距離、光検出アレイ(21)のピクセル間隔は、干渉縞周期当たり少なくとも3つのサンプルを備えた同期サンプリングが得られるように、光源の中央での波長と概略距離Lに関して、選択され配置される干渉計システムにより達成される。
【0046】
本発明の好ましい実施形態においては、入射光線は、反射光線が本質的に光検出アレイ(21)で一致するように約90°の角度である。いくつかの面すなわち屈折率が変化する境界からの反射がある。しかしながら、原理的には、反射光線が干渉すると仮定すると、いくらかの角度がある。これは実際には、それらは検出アレイで大部分重ね合わせられる。
【0047】
光源は、広帯域又は白色光の光源であるのが適切である。これにより、測定位相のアンラップ(unwrapping)される。
【0048】
特定の実施形態では、前述の装置は、TIRホログラフ石版印刷システムにおける焦点測定に使用され、ここで測定される距離はホログラムの面と印刷される基板の単一又は多重に被覆された面との間の距離Lである。
【0049】
前記白色光源(11)は、約100nmのスペクトル帯域を備えた中央での波長が633nmで動作するハロゲンランプであり、回折格子の空間周期は577.36nmであり、回折格子上で反射された光線の入射角度は33.2°であり、光検出アレイの隣接するピクセルの間の距離は25ミクロンであり、リレーレンズの焦点距離は60mmであり、測定される距離は約125ミクロンmmであるのが好都合である。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のより良い理解のために、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0051】
干渉測定器は、基本的に、白色又は広帯域の光源11、コリメート手段13、集束手段15、回折格子17、ビームスプリッター19、及び光検出アレイ21からなっている。動作時において、一般にハロゲンランプや発光ダイオード(LED)等の白色光源11の光線は、コリメートレンズ13によって平行にされ、レンズ15によって集束される。これにより光線はプリズム23を通って基板27又はウェーハの上面のテスト面25に導かれる。入射光線は好ましくはテスト面25に対して90°である。これにより、入射光線と反射光線は本質的に一致する。ビームスプリッター19は反射光線を回折格子17に導き、該回折格子17は反射光線を分散する。分散された光線は次にレンズ29によって多数のピクセル(pixels)からなる光検出アレイ21の上に集束される。光検出アレイ21からの信号は電子制御ユニット31に供給され、そして次にコンピュータ33に供給される。光の強度分布から、距離、屈折率、層の厚さ、多層構造からの位相貢献が計算される。
【0052】
図2からさらに明瞭に分かるように、ウェーハ27はプリズム23の下面と光学的に接触しているホログラム35に近接しかつ平行に配置されている。距離Lの小さなエアギャップ37がテスト面25からホログラム面39を分離している。ホログラム面39とテスト面25は干渉計を形成する。基板27の表面は、SiO2層41と光抵抗層43の2つの層によって被覆されている。光線が90°で基板27に導かれると、その光線は2つの層すなわち皮膜43と44を透過する。屈折率が変化する境界では、光線の一部分が反射される。これにより、面39、25、45及び47からの反射が得られる。本質的には、面39と25からの反射によって形成されるような干渉計を考えることができるが、しかし45と47からの反射は25から反射された光線に位相変化を伝える。もし前述した多反射により生み出される位相変化が測定アルゴリズムにおいて考慮されなければ、距離測定誤差が導入され、この結果焦点外れの画像がウェーハに印刷される。位相変化の大きさすなわち距離測定誤差は当該層及び使用される帯域により変化するが、数ミクロンを越えてもよい。高解像印刷に対しては、そのような誤差は受け入れられない。
【0053】
回折格子17によって生成される分散は、光検出アレイ21の2つの隣接するピクセルnとn−1の間の周波数の差Δνが測定された干渉パターンの2つの隣接するサンプルSnの間のΔФs=π/2の位相差になるようなものである。図3を参照すると、スペクトラムで観測される縞(fringes)は縞周期当たり4つのサンプルでもって同時に検出され、縞位相(fringe phase)が計算される。図においては、サンプリングが縞パターンに(ほとんど)同期していることを証明するために、全ての4番目のサンプルは図面的に強調されている。
【0054】
装置の重要な特徴は、17、29及び21の寸法である。前述したように、光検出アレイ(PDA)21の隣接するピクセルの間の干渉位相差はπよりも大きくあるべきであるが、この分光がπ/2であれば最も都合がよい。したがって、この条件を満足するために、回折格子17、リレーレンズ29及びPDA21は、光源の中心波長及び測定される距離に応じて選択され調整される。
【0055】
次に、4つの実施例を参照して方法を説明する。
【0056】
多層なしの絶対距離測定
多層構造が存在しない(すなわち無垢の基板である)とき、式(4)に示す位相関数モデルは次のように記載される。
【数8】
Ф(ν)=Ф0+(4π/c)Lν (6)
パラメータФ0とLのそれぞれの最良適合値Ф0fit、Lfitを見つけるために、非反復線形(non iterative linear)最小二乗アルゴリズムが用いられ、式(4)の位相関数モデルを式(3)の測定位相関数に適合させる。
【0057】
シリコン基板上に光抵抗層
Si基板の上に光抵抗層を有する場合、光抵抗層の屈折率(nres)とSi基板の屈折率(nsi)が光学周波数νと無関係であると仮定すると、式(4)の位相モデルは次のように記載される。
【数9】
Ф(ν)=Ф0+(4π/c)Lν+δr(ν;dres) (7)
商業的に入手可能なレーベンベルグ−マルカート法、例えば「MATLABとともに使用する最適化ツールボックス(Optimisation Toolbox)」(The Mathworks, Inc., Natick, Mass. 0176-1500, 1994)で実行されるようなものが、式(7)を式(3)の測定位相関数に1折り非線形適合(one-fold non linear fitting)してФ0,L及びdresを見つけるのに使用することができる。図4は現在の光学的方法を使用して得られた光抵抗層の厚さdresの測定値の表を示す。機械的形状測定法で測定された値が比較のために示されている。Lucは光抵抗層による位相変化に対する補正のないLの測定値、Lcは補正値、ΔLはLucとLcの間の差である。
【0058】
同様のアプローチは、多層構造において、光抵抗層の前の最終層が金属のような本質的に不透明な層であるときに使用することができる。そのような場合、多層構造は基板として透明層を有する本質的に単層構造として挙動する。
【0059】
Si層上のS i O 2 層に光抵抗層
Si基板上のSiO2層の光抵抗層によって形成された多層構造の場合、光抵抗の屈折率(nres)とシリカの屈折率(nsi)が光学周波数と無関係であると仮定すると、式(4)の位相モデルは次式のように記載される。
【数10】
Ф(ν)=Ф0+(4π/c)Lν+δr(ν;dres,dSiO2)(8)
式(8)を式(3)の測定位相関数に2折り非線形適合(two-fold non linear fitting)することが、Ф0,L、dres及びdSiO2を見つけるのに使用することができる。図5は現在の方法を使用して得られた光抵抗層と酸化シリコン層の厚さの値の表を示す。機械的形状測定法で測定された値が比較のために示されている。Lucは光抵抗層及びSiO2層による位相変化に対する補正のないLの測定値、Lcは補正値、ΔLはLucとLcの間の差である。
【0060】
公知の多層構造
ni,diの値が(例えば他の測定方式から)従来公知であれば、δrはモデルから直接計算し得ることは明らかである。そのような場合、パラメータФ0とLのそれぞれの最良適合値Ф0fit、Lfitを見つけるために式(5)の位相関数モデルを式(4)の測定位相関数に適合するには、非反復最小二乗アルゴリズムが十分である。
【0061】
このように、前述の方法は、例えばTIRホログラフシステムにおいて1層で被覆されたウェーハのように、1つの表面に1又はそれを越える層がある2つの面の間の正確な距離を決定するのに特に有益である。それは、本方法が光学的形状測定器に有利に適用しうるという前述の記載からも分かる。形状測定器は参照面と形状が描かれた第2面との間の距離を測定する。もし決定される形状がコーティングであれば、その測定は正確でない。この問題は従来この技術分野において力が注がれなかった。したがって、公知の形状測定器の使用は2つの面の間の距離の測定に限定されている。これに関連して、本方法は公知の形状測定器の多用性を増加する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全反射(Total Internal Reflection=TIR)ホログラフシステムにおける被覆された基板とホログラムの間の隙間を測定するためのTIRホログラフ装置に使用される干渉法測定システムの概略図である。
【図2】 被覆された基板とホログラムを示す図1の拡大詳細図である。
【図3】 干渉の周期あたり4つのサンプルでの同期サンプリングの原理を示すグラフである。
【図4】 現在の方法を使用して得られたホログラム面と光抵抗層で被覆されたシリコンウェーハ面との間の距離Lと光抵抗層の厚さdresの測定値の図表である。
【図5】 Lと、現在の方法を使用して得られたシリコンウェーハ上のSiO2と光抵抗層の厚さdSiO2、dresの測定値の図表である。
【符号の説明】
11…光源、13…コリメートレンズ、15…収束レンズ、17…回析格子、19…ビームスプリッター、21…光検出アレイ、23…プリズム、25…基板面、27…基板、35…ホログラム、37…エアギャップ、39…ホログラム面、41…SiO2層、43…光抵抗層、41,45,47…面。
Claims (13)
- 基板(27)上に1又はそれを越える層の皮膜構造を、干渉計特に白色光チャンネルスペクトラム干渉計又は多波長干渉計によって、特に層の厚さ及び屈折率に関して特徴づける方法において、
a)2つの分離した本質的に平行な反射面からなる干渉計に光線を導くステップであって、それらの反射面のパス長さは距離Dだけ異なり、それらのいずれか一方の面は1又はそれを越える層構造(27,41,43)であり、ここで特徴づけられる層は選択された波長に対して少なくとも部分的に透明であるステップと、
b)2つの干渉面から反射された光の少なくとも一部を回折格子(17)の上に導き、これにより反射光を分散するステップと、
c)分散された光を光検出アレイ(PDA)(21)の上で集束させるステップと、
d)測定された強度値を使用して、各PDA要素における干渉パターンの位相を評価し、「測定位相関数」すなわち周波数の関数としての干渉の位相を与えるステップと、
e)位相関数モデルを測定位相関数に適合させるステップであって、ここで位相関数モデルは次式の通りであり、
【数1】
Ф(ν)=Ф0+(4π/c)Dν+δr(ν;ni,di)
ここで、νは光学周波数、δrは多層構造の位相貢献、cは光の速度であり、
パラメータは位相関数モデルのパラメータであって、
niとdiはそれぞれi番目の層の屈折率と厚さ、
Ф0は位相決定方法による位相オフセット、
Dは2つの干渉面の間の距離、又は、干渉計の2つの干渉アームの間のパス長差であるステップと、
f)測定位相関数を最良に適合させる位相関数モデルのパラメータを決定するステップと、
からなる方法。 - 前記光線は広帯域若しくは多波長の光源又はLEDからのものである請求項1に記載の方法。
- 前記位相関数モデルを前記測定位相関数に適合させるのに、最小二乗適合法が使用される請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
- 前記回折格子(17)、光検出アレイ(21)の隣接するピクセルの間の距離、及びリレーレンズ(29)の焦点距離は、距離Dと照明源の中央での波長又は周波数に関して選択され配置され、光検出アレイの各ピクセルがある波長又は周波数の光を測定するようになっている請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 前記要素は、隣接するピクセルがπ/2の干渉パターンにおける位相分離に対応する周波数Δνだけ分離されるように配置されている請求項4に記載の方法。
- 前記測定点Nの数は、決定されるパラメータMの数を越えている請求項1から5のいずれかに記載の方法。
- 前記決定されるパラメータの評価は適合手順の開始点として使用される請求項1から6のいずれかに記載の方法。
- ホログラム面(39)と、該ホログラム面(39)に近接しかつ本質的に平行に配置された被覆基板面(25)との間の正確な距離Lを決定するためのTIRホログラフ形状において使用される請求項1から7のいずれかに記載の方法。
- 前記基板(27)は1又はそれを越える層(41,43)で被覆されている請求項8に記載の方法。
- 前記位相関数モデルは、
【数2】
Ф(ν)=Ф0+(4π/c)Lν+δr(ν;ni,di)
で記載され、
ここで、Lは測定される距離、他の記号は請求項1で定義されたている通りである請求項8から9のいずれかに記載の方法。 - 各層の屈折率及び層厚さを決定するのに第2の独立した方法が使用され、さらに決定されるパラメータは位相関数モデルがより少ないパラメータを有するようにδrを計算するのに使用され、これにより測定位相関数への適合を迅速化し単純化する請求項8から10のいずれかに記載の方法。
- 本質的に平行な2つの面の間の距離を測定するため、さらに具体的には少なくとも1つの面が少なくとも1つの層で被覆されている2つの面の間の距離を測定するための干渉計システムであって、
白色又は広帯域の光源(11)と、
光線を平行にするコリメート手段(13)と、
光線を面(39,25,45,47)に集束させるための集束手段(15)と、
回折格子(17)と、
該回折格子に向かって反射光を導く手段(19)と、
前記回折格子(17)に関して配設され、反射され分散された光線を検出するための光検出アレイ(21)とからなり、
ここで、回折定数および光検出アレイ(21)のピクセル間隔は、干渉縞周期当たり少なくとも3つのサンプルを備えた同期サンプリングが得られるように、光源の中央での波長と概略距離Dに関して、選択され配置される干渉計システムを使用して実行される請求項1に記載の方法。 - 前記2つの表面は、TIRホログラフ石版印刷システムにおけるホログラムと基板であり、測定された距離は焦点位置を決定するのに使用される請求項12に記載の方法。
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