JP3763617B2 - 可撓セグメント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大きな変位が想定される部位でのトンネルの覆工に、変位吸収用として使用する可撓セグメントに関するものである。なお、地震の際にトンネル覆工の振動を吸収する目的から免震セグメントと称することもあるが、現在のところ両者は同じものを意味している。
【0002】
従来、この種の可撓性セグメントとしては「図16」乃至「図19」に示すようなものが汎用されている。この従来例の可撓セグメントは、一対の鋼製枠セグメント体20A,20Aを所定の間隔に並置し、その間を連結片50で仮り連結してある。
【0003】
そして、この従来例の可撓セグメントは両鋼製枠セグメント体20A,20Aを連結片50で仮り連結したままの状態でセグメントリングに組み立てる。「図16」はSが通常のセグメント、100がシールド掘進機(このシールド掘進機は「図16」右方向に向けてトンネルを掘進する。)、101がテールシールで、該可撓セグメントはシールド掘進機100のテール部内において、通常のセグメントS,S,S・・・と同じようにして該通常のセグメントS,S,S・・・に連結して,その前方に(トンネル掘進方向前方に)リング状に組み立てられる。
【0004】
そして、上記可撓セグメントで、セグメントリングが組み立てられたら、複数のセグメントの連結片50を順次外しつつ一次止水ゴム40aを装着(「図17」に示す状態)しつつ、該連結片50は順次戻して取り付けて「図18」に示す状態となす。
【0005】
「図18」の状態、すなわち一次止水ゴム40aを装着して全ての連結片50を戻して取り付けた状態で、シールド掘進機100の推進力の反力を該連結片50が伝達するようになし、シールドジャッキ103でシールド掘進機100の推進力を得て、以後順次通常のセグメントS,S,S・・・を組み立てつつ、通常の方法でトンネルを掘削(「図19」参照)する。そして、掘進がさらに進行して該可撓セグメント部位に推進力の影響が無くなったら、連結片50を全て外し、二次止水ゴム40bと耐力棒51を取り付け、「図19」の状態で従来の可撓セグメントの取付が完了するようになしてある。
【0006】
なお、上記耐力棒51は外部土水圧に抗するために使用されるので、同一円周上に比較的狭い間隔で多数が並置されるようになしてある。また、この耐力棒51はその両端に設けたフランジ部53,53と、挿通したスリーブ52とで、両鋼製枠セグメント体20A,20Aの変位量の限界となった場合の変位規制装置(変位ストッパー)としても機能するようになしてある。
【0007】
上記従来例の可撓セグメントは、施工実績も多く、高い信頼性を有しているが、前記もしたように、その組立作業が非常に煩雑で、手数を要するという問題点を有している。
【0008】
また、上記従来の可撓セグメントは耐力棒51を取り付けるまでは外部土水圧を充分に受けることができないので、裏込材施工には適さないという問題点をも有していた。なお、裏込材施工ができないか、裏込施工が不完全であると、漏水の確率が高くなることもあり、この従来法では止水性を特に慎重に施す必要性があるとされていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、普通のセグメントとほとんど変わることのない施工手順(裏込材注入施工を含め)で施工でき、施工に特別な工程及び手間を要さず、しかも、施工したトンネルの覆工が地盤の大きな変位にも破損することなく追従変位できる可撓セグメントを提供することを課題としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本発明の構成は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の連結棒30,30,30・・・で、両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮した状態を着脱可能に保持するように連結してなる技術的手段を講じたものである。
【0011】
したがって、両鋼製枠セグメント体20a,20bは連結棒30,30,30・・・で連結され一体化されており、ゴム片10も両側より両鋼製枠セグメント体20a,20bで仮圧縮・挟持され、かつ、連結棒30,30,30・・・が遊挿しているので、この両鋼製枠セグメント体20a,20bとゴム片10とは、通常の運搬等の取扱では一体物として取り扱うことができる作用を呈する。
【0012】
そして、本発明可撓セグメントは、通常方法で掘削するトンネルの通常のセグメントS,S,S・・・のリングに連結して、同様にセグメントリングとして組み立てる。一リングまたは数リング(通常は一リングのみ)の本発明可撓セグメントによるリングが組み立てられたら、次に、また通常のセグメントを組み立ててトンネルの掘削を続行する。
【0013】
「図16」以下の従来例では、一次止水ゴム40a及び二次止水ゴム40bのゴムシートで可撓性を得るようになしていたので、可撓セグメントによるリングが組み立てられた後のトンネル掘進は、シールド掘進機100推進力を得るのに、特別に連結片50を使用したが、本発明ではゴム片10を使用しているので、シールド掘進機100の推進力の反力はこのゴム片10で受けることができる(該ゴム片10はさらに圧縮して変形することはあるが充分な抗力を有する。)作用を呈するものである。
【0014】
そして、トンネル掘進を所定の距離続行した後、両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮する状態を脱着(「図3」のナット31を緩める等する。)することで「図4」に示すように、トンネル覆工の途中にゴム片10、10、10・・・のリングが介装されることになり両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10の変形許容範囲で、圧縮方向及び膨出方向の双方に変位可能となる作用を呈するものである。
【0015】
なお、連結棒30,30,30・・・が両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bを遊挿してあるので、この連結棒30と内側主桁21b,21bとの遊び(クリアランス)に対応した分、上記伸縮の変位に加え、角度変位及び捻じれ変位にも対処する作用を呈するものである。
【0016】
さらに、ゴム片10はそれ自体で大きな抗力を有するが、連結棒30,30,30・・・の補強もあって、外部の土水圧受けとしても充分その機能が発揮でき、裏込注入を行なっても、裏込材の大きな注入圧に対して充分抗する作用を呈するものである。
【0017】
次に、本発明は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の螺子棒30a,30a.30a・・・と、この各螺子棒30aに、両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bのいずれか一方または双方の外側で螺合して両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮するナット31,31,31・・・とで連結してなる技術的手段を講じたものである。
【0018】
それ故、両鋼製セグメント体20a,20bは、螺子棒30a,30a.30a・・・と両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮するナット31,31,31・・・とで連結してなるので、このナット31,31,31・・・を締着することで、両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮する状態を保つ作用を呈する。
【0019】
また、このナット31,31,31・・・を緩めることで両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮した状態を脱着して、ゴム片10の弾性により充分なる可撓性を発揮する作用を呈するものである。
【0020】
次に、本発明は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の連結棒30,30,30・・・と、この各連結棒30に鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bのいずれか一方または双方の外側で係合して両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮した状態を着脱可能に保持するピン等の係止具32とで連結してなる技術的手段を講じたものである。
【0021】
それ故、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の連結棒30,30,30・・・と、この各連結棒30に鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bのいずれか一方または双方の外側で係合して両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮した状態を着脱可能に保持するピン等の係止具32とで連結してなるので、両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮した状態でこのピン等の係止具32,32,32・・・を装着しておくことで該ゴム片10の圧縮状態を保つ作用を呈する。
【0022】
また、上記ピン等の係止具32,32,32・・・を抜き取ることで、両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮した状態を脱着する作用を呈するものである。
【0023】
次に、本発明は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の連結棒30,30,30・・・と、この各連結棒30に鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bのいずれか一方または双方の外側で係合して両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮した状態を着脱可能に保持するピン等の係止具32とで連結し、上記各連結棒30には両鋼製セグメント体20a,20bの間隔が所定以上広がることを防ぐフランジ状ストッパー33,33を設けてなる技術的手段を講じたものである。
【0024】
それ故、上記の作用に加え、本発明はフランジ状ストッパー33,33を設けてあるので、両鋼製セグメント体20a,20bのゴム片10が膨出する方向での変位量が制約される作用を呈するものである。なお、ゴム片10がその弾性で膨出する量以上に両鋼製セグメント体20a,20bの距離が広がると止水性が阻害されるが、フランジ状ストッパー33,33は、この設定以上の両鋼製セグメント体20a,20bの距離が広がるのを防ぐよう作用するものである。
【0025】
次に、本発明は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の連結棒30,30,30・・・で、両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮した状態を着脱可能に保持すると共に、両鋼製セグメント体20a,20bの距離関係を着脱可能に固定するように連結してなる技術的手段を講じたものである。
【0026】
それ故、本発明は両鋼製セグメント体20a,20bの距離関係を着脱可能に固定するように連結してなるので、シールド掘進機の推進力の反力をも、該連結棒30,30,30・・・で受けられ、両鋼製セグメント体20a,20bの距離関係の固定と、両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮した状態とを脱着することで、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10の変形許容範囲で変位可能となる作用を呈するものである。
【0027】
次に、本発明は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の螺子棒30a,30a.30a・・・と、この各螺子棒30aに鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bの双方の外側で螺合して両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮するナット31,31とで連結して、この各螺子棒30aの両端は鋼製セグメント体20a,20bの外側主桁22a,22bに着脱可能に固定してなる技術的手段を講じたものである。
【0028】
それ故、ナット31,31の螺合位置で両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮した状態を着脱可能に保持できる作用を呈し、各螺子棒30aの両端を鋼製セグメント体20a,20bの外側主桁22a,22bに着脱することで、両鋼製セグメント体20a,20bの距離関係を着脱可能に固定する作用を呈するものである。
【0029】
次に、「請求項1」の発明は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、上記一方の鋼製枠セグメント体20aの外側主桁21aの複数ケ所に内側に向けて突出する螺子筒22a,22a,22a・・・を突設し、他方の鋼製枠セグメント体20bの外側主桁21aの上記螺子筒22a,22a,22a・・・に対向する位置に、同じく内側に向けて突出する螺子筒22b,22b,22b・・・を突設し、上記対向する各螺子筒22a,22b間には、両鋼製枠セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとゴム片10とを遊挿する螺子棒30aの両端を螺合し、上記螺子棒30aと螺子筒22a,22bとは、鋼製枠セグメント体20a,20bでゴム片10を適宜圧縮した状態で、該螺子棒30aを螺子筒22a,22bの一方側に螺進するとその両端が両螺子筒22a,22bに螺合し、他方側に螺進すると一端側は螺子筒22a,22bのいずれか一方との螺合が外れる寸法となした技術的手段を講じたものである。
【0030】
本発明の可撓セグメントは、「図7」または「図9」の状態で用意される。すなわち、両鋼製枠セグメント体20a,20bはその中間に挟んだゴム片10を圧縮した状態で、連結棒30,30,30・・・の夫々の両端部を対向する螺子筒22a,22bに螺合して連結した状態で用意される。
【0031】
したがって、両鋼製枠セグメント体20a,20bは連結棒30,30,30・・・で連結され一体化されており、ゴム片10も両側より両鋼製枠セグメント体20a,20bで圧縮・挟持され、かつ、連結棒30,30,30・・・が遊挿しているので、この両鋼製枠セグメント体20a,20bとゴム片10とは、通常の運搬等の取扱では一体物として取り扱うことができる作用を呈する。
【0032】
そして、本発明可撓セグメントは、通常方法で掘削するトンネルの通常のセグメントリングに連結して、同様にセグメントリングとして組み立てる。本発明可撓セグメントリングが組み立てられたら、次に、また通常のセグメントを組み立ててトンネルを掘削し続行する。
【0033】
そして、本発明可撓セグメントリングが組み立てられた後、シールド掘進機の推進力の反力は、連結棒30,30,30・・・を介して既設の各セグメントリングで受けられる作用を呈する。
【0034】
そして、トンネル掘削が進行して、シールド掘進機の推進力が既に組み立てた本発明可撓セグメントリング部に影響を与えなくなったら、連結棒30,30,30・・・を螺子筒22a,22bの一方より螺合が外れる方向に螺進させ、「図11」に示すように、連結棒30,30,30・・・による両鋼製枠セグメント体20a,20bの連結を外す。
【0035】
すると、前記もしたようにトンネル覆工の途中にゴム片10のリングが介装されることになり、このゴム片10の変形許容範囲において、トンネル覆工がこの部位で変位可能となる作用を呈するものである。
【0036】
次に、「請求項2」の発明は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の螺子棒30a,30a.30a・・・と、この各螺子棒30aに、両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bの双方の外側で螺合して両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮するナット31,31,31・・・とで連結し、上記各螺子棒30aの両端または一端は着脱可能な連結片34を介して鋼製枠セグメント体20aの外側主桁21aに連結してなる技術的手段を講じたものである。
【0037】
それ故、本発明は、ゴム片10を仮圧縮するナット31,31,31・・・を緩め、連結片34を外すと螺子棒30a,30a.30a・・・は自由となって両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10の変形許容範囲で変位可能となる作用を呈するものである。
【0038】
【発明の実施の態様】
次ぎに、本発明の実施の態様を添付図面を参照して説明する。図中、10がセグメント形状に構成したゴム片である。このゴム片10は、最近、合成ゴムとして長期間使用しても疲労がほとんどなく、また長期間経過しても化学的にも物理的にも変質しないものが開発され、建設・建築関係にも汎用されているもので、本発明でもこれら従来公知のゴム材を使用すればよい。
【0039】
そして、このゴム片10はセグメント形状に構成してある。セグメント形状に構成するには、所定幅のリングを複数分割した形状となせばよく、無論その分割方法は従来のトンネル覆工用のセグメントと略同じでよく、セグメント形状として一般的なA型、B型、K型等夫々の形状に対応したセグメント形状となせばよい。
【0040】
すなわち、セグメント形状とは、所定のセグメント厚み(「図1」のL3に相当する部位の寸法)を有し、セグメント幅(「図2」のL2方向の幅寸法)が小さく、弦長(「図1」のL1に相当する部位の寸法)の長い弧面形状であるので、このような弧面形状にゴム材を中実状に一体成形すればよく、本実施態様でも中実状の一体成形物を使用したが、その他に、分割して複数のピースを組み合わせてセグメント形状に構成してもよく、さらにはエアークッションのように中空状に構成してもよい。
【0041】
上記ゴム片10を複数のピースで構成する場合、弦長L1方向を複数に分割してもよいが、この場合は土水圧を受けるのに、各ゴム片10のピースを支持する連結棒30,30,30・・・(螺子棒30a,30a,30a・・・)を多数用意しなくてはならず不利益となることが多いのであまり望ましいものではない。そこで、ゴム片10をトンネル軸方向に複数枚重ねるようになすと、中実一体成形物とその性状がほぼ変わるところがないもので、鋼板とゴム板とを積層するものは一般に積層ゴムと称され大きな荷重に抗するものとして大きな信頼性を得ており、この種の積層ゴムを使用してもよいものである。
【0042】
また、上記ゴム片10を中空状に構成する場合は、図示はしていないが、従来エアークッションとして知られている構成となせばよく、中空部は外気とは完全に遮断されるようになしておく(貫通する連結棒30または螺子棒30aが中空部内に挿通されて、中空部の密閉性を損なわないようになす。)ものとするのは無論である。
【0043】
そして、上記ゴム片10の両側に、鋼製枠セグメント体20a,20bを並置して、この両鋼製枠セグメント体20a,20bでゴム片10を挟む。この鋼製枠セグメント体20a,20bは一対の主桁21b,21bと一対の継手板25,25とスキンプレート24とで構成され、必要に応じては適所に補強用のリブ23a,23bを設けるもので、これらの構成は従来の鋼製セグメントと何等変わるものではない。
【0044】
そして、上記鋼製枠セグメント体20a,20bは、一方の主桁21b、本発明では外側、言い換えるとゴム片10に接する側の内側主桁21b側とは逆の面側の外側主桁21aには、リング継手孔25a,25a,25a・・・を、継手板25にはセグメント継手孔25bを設けているのも従来と同じである。なお、このセグメント継手孔25bに夫々ボルト等のセグメント継手を配して複数の鋼製枠セグメント体20a,20bをリング状に連結するようになし、リング継手孔25a,25a,25a・・・には同様なリング継手を配して、本発明可撓セグメントのリングを通常のセグメントリングに連結するものである。
【0045】
なお、図示例では上記鋼製枠セグメント体20a,20bはセグメント幅L2aを通常のものよりは小さく(二分の一以下)してあるが、これは、本発明可撓セグメントの大きさ及び重さを通常のセグメントと略同等となすためで、その他には特にセグメント幅L2aの寸法を限定する必要性は無いので、通常のセグメントと同じセグメント幅となしてもよく、要は複数でセグメントリングを構成できるものであればよい。
【0046】
そして、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の連結棒30,30,30・・・で、両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮した状態を着脱可能に保持するように連結してある。
【0047】
本願において、「ゴム片10を仮圧縮する」とは、予めゴム片10を適当な範囲で(さらに圧縮可能な程度に)圧縮しておくことで、「仮圧縮した状態を着脱可能に保持する」とは、圧縮したものが特別な脱着工程を施さないと仮圧縮した前の状態にその弾性で戻ることができないようになしておくことを意味している。
【0048】
本発明可撓セグメントは、ゴム片10を仮圧縮したままの状態でシールド掘進機のテール部内に従来法を利用してリング状に組立てる。そして、本発明による可撓セグメントリングが組み立てられたら、続いて通常のセグメントを使用してトンネルの掘進を続行する。適宜なときにゴム片10の仮圧縮状態を「図4」に示すように脱着して、トンネル覆工の途中にゴム片10のリングを介装し、該ゴム片10による可撓性を得るものである。
【0049】
次は、上記両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮した状態を着脱可能に保持するように連結した具体例の一つで、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の螺子棒30a,30a.30a・・・と、この各螺子棒30aに両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bのいずれか一方または双方の外側で螺合して、両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮するナット31,31,31・・・とで連結してなる。
【0050】
すなわち、仮圧縮した状態を、螺子棒30a,30a.30a・・・とナット31,31,31・・・とで保持するようになしたもので、このナット31,31,31・・・を締めることで「図3」に示すように仮圧縮する(別途装置で仮圧縮してナット31,31,31・・・はその状態を保持するのみに使用してもよい。)ようになし、該ナット31,31,31・・・を緩めることで「図4」に示すように両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮した状態を外す、すなわち脱着できるようになしてある。
【0051】
なお、上記において、ナット31は両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bのいずれか一方または双方の外側で螺合するとしたのは、一方は「図3」及び「図4」に示すように螺子棒30aに螺頭(フランジ状ストッパー33)がある場合これを利用すればよいためで、螺子棒30aに螺頭が無い場合は一対のナット31,31を両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bの双方の外側に螺合させるようになす。
【0052】
本発明において、ゴム片10を仮圧縮したものを「図4」に示すように、仮圧縮した状態を脱着しなくても、両鋼製セグメント体20a,20bは一応変位に追従して変位できる。すなわち、ゴム片10の圧縮可能範囲の3割程度仮圧縮しておくと、残りの7割の圧縮範囲で両鋼製セグメント体20a,20bは変位できることになる。しかし、この方法だとゴム片10の弾性を十分に活用できないので、本発明では、ゴム片10を仮圧縮した状態を脱着して使用している。
【0053】
なお、上記螺子棒30aはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する(ゴム片10内は特に遊挿しなくても、クリアランスなしに挿通してもよい。)ようになしてある。両鋼製セグメント体20a,20bがその距離を平行な状態で変化する場合は特に問題は無いが、トンネルの変位には、角度変位、捻じれ変位も存在する。そこで、これらに対処するため、ゴム片10自体は局所的に圧縮されたり、捻じれたりできるので、螺子棒30aがこれら角度変位、捻れ変位の支障とならないように遊挿したもので、特に、内側主桁21b,21bに開穿した図示しない通孔に螺子棒30aは相応の余裕を有して挿通されるようになしてある。
【0054】
また、螺子棒30aの螺頭(フランジ状ストッパー34)及びナット31はストッパーとしての機能を有し、両鋼製セグメント体20a,20bの距離がゴム片10の膨張可能範囲に無関係に無制限に広がることを防ぐために使用できるものである。すなわち、「図4」の鋼製セグメント体20a,20bが左右に広がろうとするとき、それを無制限に許すと、圧縮状態にあるゴム片10が弾性で両者の間隙を密閉できなくなることがあるので、螺子棒30aの螺頭(フランジ状ストッパー34)とナット31(図示していないが螺子棒30aに螺合した一対のナット31,31でもよい。)とで所定以上両鋼製セグメント体20a,20bの距離が離れるのを阻止している。
【0055】
次が、さらに別の具体例で、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の連結棒30,30,30・・・と、この各連結棒30に鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bのいずれか一方または双方の外側で係合して両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮した状態を着脱可能に保持するピン等の係止具32とで連結してなる。
【0056】
上記ピン等の係止具32は、「図5」「図6」図示例では、テーパーピンを使用して、このテーパーピンは連結棒30内を挿通してあるが、その他に、従来公知な割りピンを使用してもよく、さらには、図示はしていないが、連結棒30の適所の周面に溝を設けてC字状・E字状等の止めリングを嵌着するようになしてもよく、さらには同じく図示はしていないが、二つ割りの着脱式フランジ状の止輪を使用してもよいものである。
【0057】
次は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の連結棒30,30,30・・・と、この各連結棒30に鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bのいずれか一方または双方の外側で係合して両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮した状態を着脱可能に保持するテーパーピン32とで連結し、上記各連結棒30には両鋼製セグメント体20a,20bの間隔が所定以上広がることを防ぐフランジ状ストッパー33,33を設けてなるものである。
【0058】
すなわち、前記の螺子棒30aを使用した場合は、前記したように螺頭またはナット31が両鋼製セグメント体20a,20bの変位のストッパーとなるが、連結棒30には特にこのストッパーが用意されていないので、フランジ状ストッパー33,33を設けたものである。なお、製造の都合上、このフランジ状ストッパー33,33は、連結棒30とは別個に製造して螺合したり、溶接止め等で後から固定するようになしてもよいものである。
【0059】
次は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の連結棒30,30,30・・・で、両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮した状態を着脱可能に保持すると共に、両鋼製セグメント体20a,20bの距離関係を着脱可能に固定するように連結してなる。
【0060】
セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の連結棒30,30,30・・・で、両鋼製セグメント体20a,20bがゴム片10を仮圧縮した状態を着脱可能に保持するのは前記と同じである。
【0061】
そして、本発明は両鋼製セグメント体20a,20bの距離関係を着脱可能に固定しているが、この着脱可能に固定するには、両鋼製セグメント体20a,20bの距離が変更不能に固定すると共に、必要時はその固定を外すことができるようになすものである。そして、両鋼製セグメント体20a,20bの距離が変更不能に固定したものを外した後は、両鋼製セグメント体20a,20bは相互に離れる方向にも近づく方向にも所定範囲で移動可能となすのは無論である。
【0062】
そして、次は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の螺子棒30a,30a.30a・・・と、この各螺子棒30aに鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bの双方の外側で螺合して両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮するナット31,31とで連結して、この各螺子棒30aの両端は鋼製セグメント体20a,20bの外側主桁22a,22bに着脱可能に固定してなる。
【0063】
すなわち、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の螺子棒30a,30a.30a・・・と、この各螺子棒30aに鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bの双方の外側で螺合して両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮するナット31,31とで連結してあるのは前記と同じである。
【0064】
そして、この螺子棒30aの両端は両鋼製セグメント体20a,20bの外側主桁22a,22aに着脱可能に固定してなるが、この螺子棒30aは外側主桁22a,22aに単に着脱可能に連結したのでは、すなわち、螺子棒30aの長さが「図4」の状態で、図示より長く形成され、両鋼製セグメント体20a,20bの外側主桁22a,22aの内法寸法に同一としておくと、その両端を外側主桁22a,22aより外しても、両鋼製セグメント体20a,20bは相互に近づくように変位しようとすると該螺子棒30aがストッパーとなって変位不能となってしまう。
【0065】
したがって、この螺子棒30aの長さは、トンネル覆工に使用する状態(最終施工後の状態)での両鋼製セグメント体20a,20bの外側主桁22a,22bの距離より短く設定しておく必要があり、(この寸法の差で施工後にゴム片10が圧縮できる範囲を確保する。)この短い螺子棒30aの両端を外側主桁22a,22aの間に着脱可能に連結するには適宜連結体を介装する必要があるのは無論である。
【0066】
次に「請求項1」の発明は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、上記一方の鋼製枠セグメント体20aの外側主桁21aの複数ケ所に内側に向けて突出する螺子筒22a,22a,22a・・・を突設し、他方の鋼製枠セグメント体20bの外側主桁21aの上記螺子筒22a,22a,22a・・・に対向する位置に、同じく内側に向けて突出する螺子筒22b,22b,22b・・・を突設し、上記対向する各螺子筒22a,22b間には、両鋼製枠セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとゴム片10とを遊挿する螺子棒30aの両端を螺合し、上記螺子棒30aと螺子筒22a,22bとは、鋼製枠セグメント体20a,20bでゴム片10を適宜圧縮した状態で、該螺子棒30aを螺子筒22a,22bの一方側に螺進するとその両端が両螺子筒22a,22bに螺合し、他方側に螺進すると一端側は螺子筒22a,22bのいずれか一方との螺合が外れる寸法となしている。
【0067】
すなわち、上記した短い螺子棒30の連結具として螺子筒22a,22bを使用したもので、上記螺子筒22a,22bは外側主桁21aに一体成形してもよいが、製造の便宜上予め螺子筒22a,22bを製造しておいて溶接止め等で固着してもよいのは無論である。
【0068】
そして、上記対向する各螺子筒22a,22b間には、両鋼製枠セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとゴム片10とを遊挿する螺子棒30aの両端を螺合してある。
【0069】
すなわち、この螺子棒30aは中間に締着具を掛けるための螺頭部30a1を有し両端に螺足部30a2,30a3を設けて、両端螺足部30a2,30a3を螺子筒22a,22bに夫々螺合可能となしてある。
【0070】
また、上記螺子棒30aが両鋼製枠セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとゴム片10とを遊挿するには、両内側主桁21bとゴム片10とに通孔を予め開穿しておくのは無論である。
【0071】
また、内側主桁21b,21bとゴム片10とを遊挿するとしたのは、上記の通孔の径を螺子棒30aの外径より余裕を有して大径となすもので、両鋼製枠セグメント体20a,20bが変位する場合、特に内側主桁21b,21b(ゴム片10の通孔10aは連結棒30または螺子棒30aを挿通するのに不便でない程度に大径とすればよい。)がきしんで、両鋼製枠セグメント体20a,20bの変位を阻害することがあるためであるのは前記した通りである。
【0072】
そして、上記螺子棒30a,30a,30a・・・と螺子筒22a,22bとは、両鋼製枠セグメント体20a,20bでゴム片10を適宜圧縮した状態で、該螺子棒30a,30a,30a・・・を螺子筒22a,22bの一方側に螺進するとその両端が両螺子筒22a,22bに螺合し、他方側に螺進すると一端側は螺子筒22a,22bのいずれか一方との螺合が外れる寸法となしてある。
【0073】
「図7」例では、一方の螺子筒22aはその高さH1が低く、他方の螺子筒22bはその高さH2を高くして、鋼製枠セグメント体20a,20bでゴム片10を適宜圧縮した状態での両外側主桁21a,21a間の距離をL11とした場合、連結棒30の長さL10を次の「数1」の条件となるようにしてある。
【0074】
【数1】
【0075】
L10>L11−(H1+H2)
L10<L11−H1
L10>L11−H2
そして、両鋼製枠セグメント体20a,20bでゴム片10を適宜仮圧縮した状態で、連結棒30の両端を螺子筒22a,22bに螺合したものを製造するには、まず、「図8」実線に示すように、一方の鋼製枠セグメント体20aの外側主桁21aを取り付けていない状態で、螺子棒30aを一方の鋼製枠セグメント体20a側より挿入して先端を他方の鋼製枠セグメント体20bの螺子筒22bの一番奥までねじ込んでおく。
【0076】
そして、ゴム片10を適宜圧縮した状態を確保したまま、「図8」破線部分に一方の鋼製枠セグメント体20aの外側主桁21aを固着する。そして、ゴム片10を適宜圧縮した状態をさらに確保したまま、螺子棒30aを「図8」左側に螺進させることで、一端螺足部30a2を螺子筒22aに、他端螺足部30a3を螺子筒22bに夫々螺合して、「図7」に示した状態のものが製造できるものである。
【0077】
なお、両鋼製枠セグメント体20a,20bの外周面には、一端が両鋼製枠セグメント体20a,20bの一方に固定され、他端側が両鋼製枠セグメント体20a,20bの他方の外周面部位まで延設したカバー体40を設けてなる。
【0078】
上記カバー体40は、「図1」乃至「図11」実施態様全てで利用可能で、薄手の鋼板で構成され一端を両鋼製枠セグメント体20a,20bの一方外面に固着し、他端は自由端となすか、容易に外れる程度のスポット溶接をしておき、両鋼製枠セグメント体20a,20bが変位すると、接触面がずれたり、変形したりしてその変位を許容するようになしてある。なお、後記する「図13」乃至「図15」実施態様では、このカバー体40は両端を鋼材部位に固定しているが、カバー体40自体が大きな力で変形するようなものを使用している。
【0079】
なお、このカバー体40は裏込材の進入防止のためで、裏込材注入圧に抗する程度のものであればよい。また、図示例では、このカバー体40の内面側とゴム片10の外面側との間に多少の間隙を持たせてあるが、この間隙はなくても差し支えはないものである。
【0080】
なお、「図2」の符号27は裏込注入口を示すもので、この裏込注入口27を設ける場合はカバー体40で塞がらないようになすのは無論である。なお、裏込施工をする場合でも、この裏込注入口27は次に組み立てられる通常のセグメントのものを使用してもよく必須のものではない。
【0081】
また、「図9」乃至「図11」例では、前記螺子棒30aには、両鋼製枠セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bの外側にその間隔を規制する一対のナット31,31を螺合してなる。
【0082】
上記螺子棒30aに一対のナット31,31を螺合する場合、「図9」に示すように、別個に用意した螺子筒22bを予め連結棒30に螺合しておき、他方の鋼製枠セグメント体20bの外側主桁21aを固定する際に螺子筒22bを該外側主桁21aに固定するようになせばよい。
【0083】
上記ナット31,31は「図9」の一方の外側主桁21aを取り付けていない状態で、ゴム片10を圧縮した状態をこのナット31,31の締着で保つことができ、外側主桁21aの取り付け等の以後の製造に便利である。また、組立後、このナット31,31を「図11」に示すように所定距離内側主桁21b,21bより離れるように緩めると、両鋼製枠セグメント体20a,20bの変位範囲を限定するストッパーとして機能するものである。
【0084】
次に、本発明可撓セグメントを使用した施工手順を説明する。「図11」が施工終了段階を示すもので、S,Sが通常のセグメント、Cが二次覆工、Bが裏込材である。この状態に本発明可撓セグメントを組み立てるには、「図9」の可撓セグメント(「図7」のものでもよい。)を、「図11」の左側に位置する通常のセグメントSをセグメントリングに組み立てた後、この通常のセグメントSのセグメントリングに連結・連続して、本発明可撓セグメントでセグメントリングを組み立てる。
【0085】
本発明可撓セグメントは前記したように、ゴム片10を仮圧縮して螺子棒30a,30a,30a・・・で両鋼製枠セグメント体20a,20bを連結してあるので、両鋼製枠セグメント体20a,20bとゴム片10とは一体物として取り扱うことができるので、従来法でセグメントリング状に組み立てることができる。
【0086】
そして、本発明可撓セグメントでセグメントリングを組み立てたら、次は、また通常のセグメントSを使用して順次トンネルを掘進する。なお、この際螺子棒30a,30a,30a・・・は両鋼製枠セグメント体20a,20bを連結したままの状態として、シールド掘進機の推進力の反力は、この螺子棒30a,30a,30a・・・を介して、掘進手前側(「図11」左側)の所定リング数のセグメントで受ける。
【0087】
そして、トンネル掘進が進行して、シールド掘進機の推進力の影響が本発明可撓セグメントのリング部位に影響しなくなったら、ナット31,31を緩め、連結棒30を所定方向に螺進させ、両鋼製枠セグメント体20a,20bの連結をとく。
【0088】
そして、止水ゴム55、内側スキンプレート54を取り付け、二次覆工Cを施すことで「図11」の状態となすことができるものである。
【0089】
次に「請求項2」の発明は、セグメント形状に構成したゴム片10の両側に鋼製セグメント体20a,20bを並置して、この鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を挟み、両鋼製セグメント体20a,20bはゴム片10内と両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bとを遊挿する複数本の螺子棒30a,30a.30a・・・と、この各螺子棒30aに、両鋼製セグメント体20a,20bの内側主桁21b,21bの双方の外側で螺合して両鋼製セグメント体20a,20bでゴム片10を仮圧縮するナット31,31,31・・・とで連結し、上記各螺子棒30aの両端または一端は着脱可能な連結片34を介して鋼製枠セグメント体20a,20bの外側主桁21b,21bに連結してなる。
【0090】
「図12」乃至「図15」実施態様の鋼製セグメント体20a,20bは、補強用のリブが配設され、中央長手方向リブ23a,23aでセグメントの内側は左右に仕切られかつ短手方向のリブ23b,23b,23b・・・を互い違いに設けて小さな部屋に仕切ってある。そして、中央長手方向リブ23a,23aの外側の各部屋にはコンクリートが充填されている。また、26はコンクリート欠部で継手装着用の空部として利用するものである。
【0091】
そして、本発明では、「請求項1」の螺子筒22a,22bと螺子棒30aとに代え、螺子棒30aと着脱可能な連結片34とを使用したもので、「図12」乃至「図14」例では連結片34と螺子筒22cとを外側主桁21b,21b(図示例では、中央長手方向リブ23a,23a)に螺子止めし、セグメントリング組立後で、シールド掘進機の推進力の影響を受けなくなったら該連結片34と螺子筒22cとを撤去するようになしてある。
【0092】
なお、「図12」乃至「図14」例では、螺子棒30aの他端は固定用筒22dに挿入し固定螺子22eで固定するようになしてあるが、螺子棒30aの他端は外側主桁21bに取り外し不能に固着してもよく、或いは、同じように連結片34と螺子筒22cとを介装してもよいものである。
【0093】
また「図15」実施態様例は、上記連結片34に代え二分割連結体34aで構成し、螺子棒30aの先端に係止溝30eを設け、鋼製枠セグメント体20a,20b側には係止溝35eを有した柱35を設け、二分割割連結体34aは両端に係止溝30e,35eに係入する凸条34b,34bを設けて、螺子棒30aと柱35とを抱え込むようにして取り付け、固定螺子36で連結するようになしてある。
【0094】
なお、図中、11はゴム片10内に埋入した板で、この板11よりゴム片10の外方に連結棒部12,12,12・・・を貫出し、この連結棒部12,12,12・・・を内側主桁21bに連結して、ゴム片10と両鋼製枠セグメント体20a,20bとの一体性を確保している。また、21cは内側当て板で止水ゴム55の取付部を構成している。
【0095】
【発明の効果】
本発明は上記のごときで、ゴム片10を鋼製枠セグメント体20a,20bの間に挟持しているので、このゴム片10の変形可能範囲で可撓性を有したセグメントリングが構成でき、かつ各可撓セグメントは通常のセグメント同様に一体物として取り扱うことのできる可撓セグメントを提供できるものである。
【0096】
また、本発明はゴム片10と、連結棒30,30,30・・・または螺子棒30a,30a,30a・・・とが大きな抗力で土水圧を受けるので、高圧での裏込施工を行なっても両鋼製枠セグメント体20a,20bの間にあまり裏込材が進入するのを防ぎ確実な裏込施工が可能で、また、ゴム片10部位に局所的に大きな土水圧等が加わってもゴム片10の可撓性が阻害されない可撓セグメントを提供できるものである。
【0097】
そして、本発明は、シールド掘進機の推進力の反力をゴム片10を介して後方に伝達するが、ゴム片10は通常の推進力の反力受けとして充分な抗力を有するもので、通常のセグメント同様にして施工できる可撓セグメントを提供できるものである。
【0098】
また、本発明は、連結棒30,30,30・・・或いは螺子棒30a,30a,30a・・・で、両鋼製セグメント体20a,20bを連結しておくことで、シールド掘進機の推進力の影響を後方の既設セグメント側に確実に伝えることができる可撓セグメントを提供できるものである。
【0099】
そして「請求項1」の発明は、螺子棒30aは一方側に螺進する操作のみで両鋼製枠セグメント体20a,20bの連結を脱着でき、操作性のよい可撓セグメントを提供できるものである。
【0100】
また「請求項2」の発明は、螺子棒30aに対する連結片34の着脱のみで両鋼製枠セグメント体20a,20bの連結を脱着でき、操作性のよい可撓セグメントを提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明可撓セグメントの一実施態様正面図である。
【図2】平面図である。
【図3】縦断面図である。
【図4】組立後の縦断面図である。
【図5】別の実施態様での縦断面図である。
【図6】「図5」実施態様の組立後の縦断面図である。
【図7】さらに別の実施態様での縦断面図である。
【図8】製造途中の縦拡大断面図である。
【図9】さらに別の実施態様での縦拡大断面図である。
【図10】「図9」実施態様例での製造途中の縦拡大断面図である。
【図11】「図9」実施態様例での組み立て終了後の縦断面図である。
【図12】さらに別の実施態様での部分平面図である。
【図13】「図12」実施態様の組み立て途中での縦断面図である。
【図14】「図12」実施態様の組み立て終了後の縦断面図である。
【図15】さらに別の実施態様での縦断面図である。
【図16】従来例可撓セグメントでのトンネル掘削工程を示す断面図である。
【図17】従来例可撓セグメントでの「図16」に続くトンネル掘削工程を示す断面図である。
【図18】従来例可撓セグメントでの「図17」に続くトンネル掘削工程を示す断面図である。
【図19】従来例可撓セグメントでの「図18」に続くトンネル掘削工程を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ゴム片
20a 鋼製枠セグメント体
20b 鋼製枠セグメント体
21a 外側主桁
21b 内側主桁
22a 螺子筒
22b 螺子筒
30 連結棒
30a 螺子棒
31 ナット
32 係止具
33 フランジ状ストッパー
34 連結片
Claims (2)
- セグメント形状に構成したゴム片(10)の両側に鋼製セグメント体(20a,20b)を並置して、この鋼製セグメント体(20a,20b)でゴム片(10)を挟み、
上記一方の鋼製枠セグメント体(20a)の外側主桁(21a)の複数ケ所に内側に向けて突出する螺子筒(22a,22a,22a・・・)を突設し、他方の鋼製枠セグメント体(20b)の外側主桁(21a)の上記螺子筒(22a,22a,22a・・・)に対向する位置に、同じく内側に向けて突出する螺子筒(22b,22b,22b・・・)を突設し、
上記対向する各螺子筒(22a,22b)間には、両鋼製枠セグメント体(20a,20b)の内側主桁(21b,21b)とゴム片(10)とを遊挿する螺子棒(30a)の両端を螺合し、
上記螺子棒(30a)と螺子筒(22a,22b)とは、鋼製枠セグメント体(20a,20b)でゴム片(10)を適宜圧縮した状態で、該螺子棒(30a)を螺子筒(22a,22b)の一方側に螺進するとその両端が両螺子筒(22a,22b)に螺合し、他方側に螺進すると一端側は螺子筒(22a,22b)のいずれか一方との螺合が外れる寸法となした可撓セグメント。 - セグメント形状に構成したゴム片(10)の両側に鋼製セグメント体(20a,20b)を並置して、この鋼製セグメント体(20a,20b)でゴム片(10)を挟み、
両鋼製セグメント体(20a,20b)はゴム片(10)内と両鋼製セグメント体(20a,20b)の内側主桁(21b,21b)とを遊挿する複数本の螺子棒(30a,30a.30a・・・)と、この各螺子棒(30a)に、両鋼製セグメント体(20a,20b)の内側主桁(21b,21b)の双方の外側で螺合して両鋼製セグメント体(20a,20b)でゴム片(10)を仮圧縮するナット(31,31,31・・・)とで連結し、
上記各螺子棒(30a)の両端または一端は着脱可能な連結片(34)を介して鋼製枠セグメント体(20a,20b)の外側主桁(21b,21b)に連結してなる可撓セグメント。
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