JP2662942B2 - シールドトンネルにおけるセグメントの継手 - Google Patents

シールドトンネルにおけるセグメントの継手

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JP2662942B2
JP2662942B2 JP7216739A JP21673995A JP2662942B2 JP 2662942 B2 JP2662942 B2 JP 2662942B2 JP 7216739 A JP7216739 A JP 7216739A JP 21673995 A JP21673995 A JP 21673995A JP 2662942 B2 JP2662942 B2 JP 2662942B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セグメントピースを多
数のボルト・ナットにより締結するシールドトンネルに
おけるセグメントの継手に関する。
【0002】
【従来の技術】図12はシールドトンネルの概要を示す
斜視図、図13は同シールドトンネルを内側から見た展
開図、図14は同シールドトンネルの隣合うセグメント
ピースを継なぐ従来の継手を示す拡大図である。
【0003】一般に、図12に示すごときシールドトン
ネル1を築造する場合、シールド機によりトンネル軸方
向xに地山を所定長さ掘進後、シールド機の後方でセグ
メントピース3をリング状に組み立て、セグメント2を
構築する。ついで、構築されたセグメント2に反力を取
ってシールド機を推進させる。
【0004】以上の工程を繰り返して行い、図12に示
すようなシールドトンネル1を築造する。
【0005】ところで、トンネル軸方向xおよびトンネ
ル軸直角方向yに隣合うセグメントピース3,3同士を
締結する従来の継手10′は、次のように構成されてい
る。
【0006】すなわち、図12〜図14に示すように、
締結部に所定の間隔をおいて多数のボルトボックス4と
継手プレート5とを設け、隣合うセグメントピース3,
3の継手プレート5,5を当接させ、ボルト6の頭部
6′側に予め平ワッシャ8を装着し、ボルトボックス4
を利用して一方の継手プレート5側から他方の継手プレ
ート5にボルト6を挿通し、ボルト6における他方の継
手プレート5側にスプリングワッシャ9を装着し、ボル
ト6にナット7を嵌め、そのナット7を締め付けてい
た。
【0007】このように、ボルト6と継手プレート5間
の摩擦の低減および平坦性の確保のため、ボルト6の頭
部6′と継手プレート5間に平ワッシャ8を介在させて
いる。
【0008】また、ボルト締め付け時の摩擦低減効果に
加え、ボルト・ナット6・7の緩みに対するばね効果を
期待して、ナット7と継手プレート5間にスプリングワ
ッシャ9を介在させている。
【0009】ついで、図15は近時開発された弾性ワッ
シャを示す縦断面図である。
【0010】この図15に示す弾性ワッシャ20は、上
部補強鋼板21と、繊維補強ゴム層22と、下部補強鋼
板23とを積層し、一体化して形成されている。そし
て、例えば内径d=40mm,外径D=100mmのも
のでは、全体の厚さh=32.6mmに形成されてい
る。
【0011】かかる弾性ワッシャ20は、地震時のボル
トの軸方向変位に対して、繊維補強ゴム層22が縮むこ
とにより、ボルトに作用する引張力を低減させる効果を
持っている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図12〜図1
4に示す従来のセグメントの継手10′には次のような
問題があった。
【0013】 ボルト6の頭部6′と継手プレート5
の間に平ワッシャ8を介在させた場合でも、ボルト・ナ
ット6・7にはセグメント組み立て後に作用するジャッ
キ推力,土・水圧によって、ボルト6の伸び,シール材
の変形およびセグメントピース3,3間の馴染み等によ
る緩みが生じる。 ナット7と継手プレート5間にスプリングワッシャ
9を介在させた場合においても、ばねの力が弱く、必要
締め付け力を作用させた場合には、ばねの効果が殆どな
くなってしまう。 セグメント2は、ボルト・ナット6・7によって一
体化されているものとして設計されているため、ボルト
・ナット6・7が緩んだ場合、シールドトンネル1の安
定に問題が生じる。そのため、従来ボルト・ナット6・
7の増し締めを行うことによって対処しているが、その
分工程が増えて不経済であり、特に大断面のシールドト
ンネルになる程、危険な高所作業を伴うことになる。
【0014】一方、図15に示す弾性ワッシャ20に
は、次のような問題がある。
【0015】(a)主材がゴムであるため、経年変化に
より強度が劣化し、これによりボルトの初期導入軸力が
低下してしまう。 (b)前述のごとく主材がゴムのため、ボルト締め付け
時および軸方向力作用時のたわみが大きく、したがって
弾性ワッシャ自体の厚さを厚くする必要があり、弾性ワ
ッシャ20およびボルトのコストアップを招く。 (c)通常のワッシャと同様、トルクレンチによる管理
が必要であり、トルク管理の省力化ができない。 (d)ばね効果があまり期待できないため、増し締めの
低減効果が小さい。
【0016】本発明は、上記の事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、ボルト・ナットを小さな
トルクで、必要な締め付け力に締め付けることができ、
またボルト・ナットの締め付け後、ばね力が残存し、そ
のばね力により、ボルトの伸び,シール材の変形および
セグメントピース同士の馴染み等によるボルト・ナット
の緩みを的確に吸収し、ボルト・ナットの増し締めの回
数,度合いを大幅に低減でき、またはボルト・ナットの
増し締め作業を省略することも可能であって、しかもコ
スト低減を図り得るシールドトンネルにおけるセグメン
トの継手を提供することにある。
【0017】本発明の他の目的は、ボルト・ナットの緩
みをより一層低減でき、しかもトンネル軸方向の圧縮力
および引張力による撓みをより一層良好に吸収し得るシ
ールドトンネルにおけるセグメントの継手を提供するこ
とにある。
【0018】さらに、本発明の他の目的は、築造すべき
シールドトンネルの規模や、地盤の急変部,圧密の考え
られる粘性土等、地盤の条件が変化する場合にも、容易
にかつ的確に対応し得るシールドトンネルにおけるセグ
メントの継手を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明はボルト6の頭部6′と一方の継手プレート
5の間と、ナット7と他方の継手プレート5の間の少な
くとも一方に、可撓性座金11と、この可撓性座金11
を収容しかつその可撓性座金11に撓みを持たせるため
の支点となる支承座金12とを組み合わせた座金ユニッ
トを介在させ、ボルト・ナット6・7を締め付けたもの
である。
【0020】また、前記目的を達成するため、本発明は
ボルト6の頭部6′と一方の継手プレート5の間と、ナ
ット7と他方の継手プレート5の間の少なくとも一方
に、可撓性座金11と、この可撓性座金11を収容しか
つその可撓性座金11に撓みを持たせるための支点とな
る支承座金12とを組み合わせた座金ユニットを介在さ
せるとともに、継手プレート5,5間にも前記座金ユニ
ットを介在させ、ボルト・ナット6・7を締め付けたも
のである。
【0021】また、前記目的を達成するため、本発明は
前記座金ユニットとして、複数枚重ね合わせた可撓性座
金11と、1個の支承座金12とを組み合わせたものを
用いている。
【0022】さらに、前記目的を達成するため、本発明
は前記可撓性座金11と支承座金12とを組み合わせた
座金ユニットを複数組介在させたものである。
【0023】そして、前記目的を達成するため、本発明
は前記座金ユニットとして、1枚の可撓性座金11と、
1個の支承座金12とを1組とするもの、または複数枚
重ね合わせた可撓性座金11と、1個の支承座金12と
を1組とするものを複数組用い、かつ隣合う組の可撓性
座金11,11間に、これらの可撓性座金11,11よ
りも小径の平ワッシャ13を介挿したものである。
【0024】
【作用】本発明では、ボルト6の頭部6′と一方の継手
プレート5の間と、ナット7と他方の継手プレート5の
間の少なくとも一方に、座金ユニットを介在されてい
る。この座金ユニットは、可撓性座金11と、この可撓
性座金11を収容しかつその可撓性座金11に撓みを持
たせるための支点となる支承座金12とを組み合わせて
構成されている。前記座金ユニットを介在させたうえ
で、ボルト・ナット6・7を座金ユニットの撓み代がな
くなるまで締め付ける。
【0025】これにより、(1)可撓性座金11を、支
承座金12に設けられた支点を利用して撓ませることに
より、ボルト6に必要な所定軸力を導入でき、かつ導入
軸力を保持でき、したがってボルト・ナット6・7の緩
みを防止できること、(2)座金ユニットの可撓性座金
11を撓ませることによって生じるばね力により、ボル
ト6の伸び,シール材の変形およびセグメントピース
3,3同士の馴染み等によるボルト・ナット6・7の緩
みを吸収できること、(3)座金ユニットの支承座金1
2により、継手プレート5にボルト軸力を良好に伝える
ことができ、したがって回転ばねを考慮した引張接合継
手の特徴をより一層良好に生かすことができること、
(4)弾性ワッシャのごとく強度の劣化の懸念が殆どな
く、ボルト6の初期導入軸力を長期間にわたって維持す
ることができること、等が相俟って、シールドトンネル
を良質な形態に維持することができるし、シールドトン
ネルを良質で安定した形態に維持するためのボルト・ナ
ット6・7の増し締めの回数,度合いを大幅に低減でき
るし、場合によってはボルト・ナット6・7の増し締め
作業を省略することも可能である。
【0026】また、本発明ではボルト・ナット6・7を
締め付けたときに、座金ユニットの支承座金12に設け
られた支点を利用して、可撓性座金11を簡単に撓ませ
ることができるので、小さなトルクで必要な締め付け力
に締め付け、ボルト6に所定軸力を導入することができ
る。
【0027】さらに、本発明では可撓性座金11と支承
座金12とを組み合わせた座金ユニットを用いたことに
より、通常のワッシャに比べて継手全体としての剛性を
高めることができるため、継手プレート5を薄くするこ
とができ、したがってボルト6も短いもので足りるこ
と、高価な弾性ワッシャを用いる必要がないこと等が相
俟って、コスト低減を図ることができる。
【0028】また、本発明ではボルト6の頭部6′と一
方の継手プレート5の間と、ナット7と他方の継手プレ
ート5の間の少なくとも一方に前記座金ユニットを介在
させるとともに、継手プレート5,5間にも前記座金ユ
ニットを介在させている。
【0029】その結果、ボルト・ナット6・7をより一
層強力に締め付け、複数枚の可撓性座金11の撓みを通
じてより一層強力なボルト軸力を導入することができる
し、複数個の支承座金12を通じて継手プレート5,5
により一層良好に軸力を伝達することができるので、ボ
ルト・ナット6・7の増し締め作業を省略しても、シー
ルドトンネルを良質で安定した形態に維持することがで
きる。
【0030】また、本発明では前記座金ユニットとし
て、複数枚重ね合わせ(並列重ね)た可撓性座金11
と、1個の支承座金12とを組み合わせたものを用いて
いる。可撓性座金11を2枚並列に重ね合わせると、荷
重が同じであれば撓みが2分の1になり、荷重を2倍に
すると撓みが同じになる。
【0031】したがって、本発明によれば可撓性座金1
1の使用枚数を選択することによって、セグメントの継
手部分の色々な仕様にも簡単に対応することができる。
【0032】さらに、本発明では前記座金ユニットとし
て、可撓性座金11と支承座金12とを組み合わせたも
のを複数組介在させている。
【0033】これにより、座金ユニットのばね力に余裕
を持たせることができるし、座金ユニットの用いる組数
により色々な仕様にも対応できる等の点で、築造すべき
シールドトンネルの規模や、地盤の急変部,圧密の考え
られる粘性土等、地盤の条件が変化する場合にも、容易
にかつ的確に対応することが可能である。
【0034】そして、本発明では前記座金ユニットとし
て、1枚の可撓性座金11と1個の支承座金12とを1
組とする座金ユニット、または複数枚重ね合わせた可撓
性座金11と1個の支承座金12とを1組とする座金ユ
ニットを複数組用いている。また、隣合う座金ユニット
の組の可撓性座金11,11間に、これらの可撓性座金
11,11よりも小径の平ワッシャ13を介挿してい
る。
【0035】このように、複数組の座金ユニットの可撓
性座金11,11間に平ワッシャ13を介挿してボルト
・ナット6・7を締め付けることにより、平ワッシャ1
3が可撓性座金11,11の内側を支える役目をする。
その結果、継手構造に良好な耐震性を持たせることがで
きる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0037】図1〜図8は本発明の第1実施例を示すも
ので、図1は横断平面図、図2は図1のA−A線断面
図、図3は座金ユニットの可撓性座金の拡大縦断面図、
図4は図3の平面図、図5は同座金ユニットの支承座金
の拡大縦断面図、図6は図5の平面図、図7は図5のB
部分の拡大図、図8はこの第1実施例において、ボルト
・ナットを締め込んだ状態を模式的に示した横断平面図
である。
【0038】これらの図に示す第1実施例におけるセグ
メントの継手10では、隣合うセグメント3,3に設け
られた継手プレート5,5はボルト・ナット6・7によ
り締結されている。
【0039】前記ボルト・ナット6・7におけるボルト
6の頭部6′と一方の継手プレート5の間、およびナッ
ト7と他方の継手プレート5の間には、それぞれ座金ユ
ニットを介在させている。
【0040】前記座金ユニットは、可撓性座金11と、
支承座金12とを組み合わせて構成されている。
【0041】前記可撓性座金11は、ばね鋼または高張
力鋼等により、この実施例では図3,図4に示すよう
に、厚さt1 ,内径D1 ,外径D2 の中空円形に形成さ
れているが、外形は正多角形や長方形、またはだ円形等
に形成しても良い。
【0042】前記支承座金12は、ばね鋼,高張力鋼等
により、図5および図6に示すように、円孔12aを有
するフランジ12bと、リム12cとを備えたほぼ凹字
型断面に形成されている。また、支承座金12の深さt
2 は、前記可撓性座金11の厚さt1 とほぼ同じに形成
され、円孔12aの直径D3 は、可撓性座金11の外径
2 よりも小径に形成され、リム12cの内径D4 は、
可撓性座金11の外径D2 よりも僅かに大きく形成さ
れ、円孔12aとリム12cの根元部分間には、可撓性
座金11の支承部12dが設けられ、リム12cの上縁
内周は、図7に示すように、可撓性座金11をセットす
るときのガイドをなすテーパ面12eに形成されてい
る。つまり、支承座金12は可撓性座金11を簡単に収
容でき、かつその可撓性座金11に撓みを持たせるため
の支承部12dを有する形状に形成されている。
【0043】前記ボルト6の頭部6′と一方の継手プレ
ート5の間、およびナット7と他方の継手プレート5の
間に、可撓性座金11を収容した座金ユニットを介在さ
せ、ボルト・ナット6・7を可撓性座金11の撓み代が
なくなるまで締め付ける。
【0044】前述のごとく、ボルト6の頭部6′と一方
の継手プレート5の間、およびナット7と他方の継手プ
レート5の間に座金ユニットを介在させ、ボルト・ナッ
ト6・7を締め付けることにより、図8に示すように、
座金ユニットの可撓性座金11は支承座金12に設けら
れた支承部12dを支点として撓む。したがって、可撓
性座金11を小さなトルクで簡単に撓ませ、所定のボル
ト軸力を得ることができるし、ボルト・ナット6・7を
締め付けるだけで、必要なボルト軸力を導入することが
できる。
【0045】ところで、はり−ばね計算法はセグメント
を梁の骨組としてモデル化し、セグメント継手を継手プ
レートの目開き角と、継手部に作用するモーメントに対
する回転ばねとして評価し、またリング継手を千鳥組に
よる添接効果を考慮できるせん断ばねに評価して、その
弾性挙動を有限要素法による骨組解析により断面力を計
算するものである。この計算法は、セグメントリングの
耐荷機構を説明する有効な方法と考えられ、近年、この
はり−ばね計算法を採用する企業体が増えている。
【0046】しかし、この計算法による場合、前述した
回転ばねおよびせん断ばねは、実験や解析によって求め
た値を用いて検討されるため、施工に際してはボルトの
初期導入軸力およびその後の軸力管理が非常に重要なも
のとなっている。例えば、施工時にセグメント間のボル
ト導入軸力が不足すると、外力の作用により継手プレー
トが離間し、回転ばねを考慮した引張接合継手の特性が
生かされないばかりでなく、トンネルの防水上の観点か
らも問題が生じる。
【0047】セグメントピース3,3の継手部に、可撓
性座金11と支承座金12とを組み合わせた座金ユニッ
トを使用することにより、ボルト6の緩みを防止すると
ともに、可撓性座金11の用いる枚数、または座金ユニ
ットの用いる組数を選択し、適宜設計することにより、
締め付けただけでボルト6に必要とされる軸力を導入で
き、その後の管理も容易に行うことができるものであ
る。
【0048】例えば、厚さ250mmのRCセグメント
の継手にM−24の高力ボルト(10.9;許容引張応
力度σt2 =3000kgf/cm2 )を用いる場合
で、ボルトの引張応力度として許容値の80%(240
0kgf/cm2 )を導入すると、ボルトの有効断面積
A=3.53cm2 に対して8.47tfの軸力が必要
である。さらに、トンネルの品質と長期にわたる耐久性
を考慮すると、導入軸力は使用するボルトの降伏点応力
度を基準に決定した方がよいという考え方もあり、これ
によると、より大きな導入軸力とその管理が必要とな
る。この問題に対して、ボルト軸力に対応するように、
可撓性座金11を重ね合わせ、または座金ユニットの用
いる組数を選択することで、ボルトの緩み防止とボルト
の導入軸力の管理を兼ねた継手構造とすることが可能で
ある。
【0049】導入軸力が大きくなると、トルクレンチも
大型化してくるため、トンネル内での操作がより一層困
難となる。そのため、可撓性座金11の撓み代がなくな
るまで締め付けた時点で、所要のボルト軸力を導入でき
るように設計することにより、トルクレンチ等によって
その都度締め付けトルクを計測しなくても、ボルトに一
定の軸力を導入することができ、きわめて良好な品質の
シールドトンネルを築造することができる。
【0050】また、ボルト・ナット6・7を必要な締め
付け力で締め付けた状態で、可撓性座金11のばね力に
より、ジャッキの推力や土・水圧等によるボルト6の伸
び,シール材の変形およびセグメントピース3,3間の
馴染み等による緩みを吸収し、必要な締め付け力を維持
できるので、増し締めの回数,度合いを低減できるし、
場合によっては増し締め作業を省略することも可能とな
る。したがって、特に大断面のシールドトンネルにおい
て増し締めのための労力および危険作業を低減すること
ができるし、所定のばね力を残して、良質で安定したシ
ールドトンネルとしての形態を維持することも可能であ
る。
【0051】しかも、可撓性座金11と支承座金12と
を組み合わせた座金ユニットを用いることにより、通常
のワッシャに比べて継手全体としての剛性を高めること
ができるため、継手プレート5の厚みを薄くすることが
でき、経済的である。また、継手プレート5の端部に、
より近い部分まで接合力を伝えられるため、回転ばねを
考慮した引張接合継手の特徴をより生かした、良質なト
ンネルとすることができる。
【0052】次に、図9は本発明の第2実施例を示す横
断平面図である。
【0053】この図9に示す第2実施例では、ボルト6
の頭部6′と一方の継手プレート5の間、およびナット
7と他方の継手プレート5の間に、それぞれ支承座金1
2と、これに収容された可撓性座金11と、この可撓性
座金11に重ね合わされた可撓性座金11′とを組み合
わせ(並列重ね)た座金ユニットを介在させ、ボルト・
ナット6・7を締め付けている。なお、この実施例では
可撓性座金11の外径に対して、可撓性座金11′の外
径が若干小さく形成されている。
【0054】このように、可撓性座金11,11′を2
枚重ね(並列重ね)にすると、荷重が同じであれば撓み
が2分の1になり、荷重を2倍にすると撓みが同じにな
る。
【0055】したがって、この第2実施例によれば、可
撓性座金11…の使用枚数を選択することによって、セ
グメントの継手部分の色々な仕様にも簡単に対応するこ
とが可能となる。
【0056】なお、この第2実施例の他の構成,作用に
ついては、前記第1実施例と同様である。
【0057】ついで、図10は本発明の第3実施例を示
す横断平面図である。
【0058】この図10に示す第3実施例では、ボルト
6の頭部6′と一方の継手プレート5の間には、1組の
座金ユニットを介在させ、継手プレート5,5の間に
は、可撓性座金11,11間に、これらの可撓性座金1
1,11よりも小径の平ワッシャ13を介挿して2組の
座金ユニットを介在させ(直列重ね)、ナット7と他方
の継手プレート5の間には、1組の座金ユニットを介在
させ、ボルト・ナット6・7を締め付けている。
【0059】その結果、ボルト・ナット6・7をより一
層強力に締め付け、複数枚の可撓性座金11の撓みを通
じてより一層強力なボルト軸力を導入することができる
し、複数個の支承座金12を通じて継手プレート5,5
により一層良好にボルト軸力を伝達することができる。
【0060】また、この第3実施例では継手プレート
5,5間に、可撓性座金11と支承座金12とを組み合
わせた座金ユニットを、平ワッシャ13をはさんで複数
組としての2組介在させ(直列重ね)ているので、座金
ユニットのばね力に余裕を持たせることができるし、座
金ユニットの用いる組数により色々な仕様に対応できる
等の点で、築造すべきシールドトンネルの規模や、地盤
の急変部,圧密の考えられる粘性土等、地盤の条件が変
化する場合にも、容易にかつ的確に対応することが可能
である。
【0061】さらに、この第3実施例では継手プレート
5,5間に、平ワッシャ13を介挿して2組の座金ユニ
ットを介在させており、ボルト・ナット6・7を締め付
けたときに、平ワッシャ13が可撓性座金11,11の
内側を支える役目をする。これにより、継手構造に良好
な耐震性を付与することができる。
【0062】しかして、前述の相乗作用により、ボルト
・ナット6・7の増し締めを行わなくても、シールドト
ンネルをきわめて良質な形態に維持することができる。
【0063】続いて、図11は本発明の第4実施例を示
す横断平面図である。
【0064】この図11に示す第4実施例では、ボルト
6の頭部6′と一方の継手プレート5の間に、1枚の可
撓性座金11と1個の支承座金12を1組とする座金ユ
ニットを介在させ、継手プレート5,5の間には、1枚
の可撓性座金11と1個の支承座金12を1組とする座
金ユニットと、平ワッシャ13と、2枚の可撓性座金1
1,11′と1個の支承座金12を1組とする座金ユニ
ットと、平ワッシャ13と、1枚の可撓性座金11と1
個の支承座金12を1組とする座金ユニットを介在さ
せ、ナット7と他方の継手プレート5の間には、1枚の
可撓性座金11と1個の支承座金12を1組とする座金
ユニットを介在させている。
【0065】つまり、この第4実施例では前記第1,第
2および第3実施例に示す座金ユニットを組み合わせた
構造となっている。
【0066】この第4実施例から分かるように、必要に
応じて継手部分の色々なバリエーションにも直ちに対応
することができる。
【0067】また、本発明ではボルト・ナット6・7を
所定の締め付け力で締め付け後、ボルト・ナット6・7
および座金ユニットの部位に、例えばウレタンゴムを含
んだ塗料を塗布し、弾力性を持った防錆皮膜を施しても
よい。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
記載の発明では、セグメントピース3の締結部に、所定
の間隔をおいて多数の継手プレート5を設け、隣合うセ
グメントピース3,3の継手プレート5,5同士をボル
ト・ナット6・7により締結するシールドトンネルにお
けるセグメントの継手において、ボルト6の頭部6′と
一方の継手プレート5の間と、ナット7と他方の継手プ
レート5の間の少なくとも一方に、可撓性座金11と、
この可撓性座金11を収容しかつその可撓性座金11に
撓みを持たせるための支点となる支承座金12とを組み
合わせた座金ユニットを介在させ、ボルト・ナット6・
7を締め付けており、ボルト・ナット6・7を締め付け
たときに、座金ユニットの支承座金12に設けられた支
点を利用して、可撓性座金11を簡単に撓ませることが
できるので、小さなトルクで必要な締め付け力に締め付
け、ボルト6に所定軸力を導入し得る効果がある。ま
た、本発明では可撓性座金11を、支承座金12に設け
られた支点を利用して撓ませることにより、ボルト6に
必要な所定軸力を導入でき、かつ導入軸力を保持でき、
したがってボルト・ナット6・7の緩みを防止できる
し、座金ユニットの可撓性座金11を撓ませることによ
って生じるばね力により、ボルト6の伸び,シール材の
変形およびセグメントピース3,3同士の馴染み等によ
るボルト・ナット6・7の緩みを吸収できるし、座金ユ
ニットの支承座金12により、継手プレート5にボルト
軸力を良好に伝えることができ、したがって回転ばねを
考慮した引張接合継手の特徴をより一層良好に生かすこ
とができるし、弾性ワッシャのごとく強度の劣化の懸念
が殆どなく、ボルト6の初期導入軸力を長期間にわたっ
て維持することができる等が相俟って、シールドトンネ
ルを良質な形態に維持し得る効果があり、シールドトン
ネルを良質で安定した形態に維持するためのボルト・ナ
ット6・7の増し締めの回数,度合いを大幅に低減で
き、場合によってはボルト・ナット6・7の増し締め作
業を省略し得る効果がある。さらに、本発明では可撓性
座金11と支承座金12とを組み合わせた座金ユニット
を用いたことにより、通常のワッシャに比べて継手全体
としての剛性を高めることができるため、継手プレート
5を薄くすることができ、したがってボルト6も短いも
ので足りること、高価な弾性ワッシャを用いる必要がな
いこと等が相俟って、コスト低減を図り得る効果もあ
る。
【0069】また、本発明の請求項2記載の発明では、
ボルト6の頭部6′と一方の継手プレート5の間と、ナ
ット7と他方の継手プレート5の間の少なくとも一方
に、前記座金ユニットを介在させるとともに、継手プレ
ート5,5間にも前記座金ユニットを介在させており、
ボルト・ナット6・7をより一層強力に締め付け、複数
枚の可撓性座金11の撓みを通じてより一層強力なボル
ト軸力を導入することができるし、複数個の支承座金1
2を通じて継手プレート5,5により一層良好にボルト
軸力を伝達することができるので、ボルト・ナット6・
7の増し締め作業を省略しても、シールドトンネルを良
質で安定した形態に維持し得る効果がある。
【0070】また、本発明の請求項3記載の発明では、
前記可撓性座金11を複数枚重ね合わせた座金ユニット
を介在させているので、可撓性座金11の使用枚数を選
択することによって、セグメントの継手部分の色々な仕
様にも簡単に対応し得る効果がある。
【0071】さらに、本発明の請求項4記載の発明で
は、前記可撓性座金11と支承座金12とを組み合わせ
た座金ユニットを複数組介在させているので、座金ユニ
ットのばね力に余裕を持たせることができるし、座金ユ
ニットの用いる組数により色々な仕様にも対応できる等
の点で、築造すべきシールドトンネルの規模や、地盤の
急変部,圧密の考えられる粘性土等、地盤の条件が変化
する場合にも、容易にかつ的確に対応し得る効果があ
る。
【0072】そして、本発明の請求項5記載の発明で
は、前記座金ユニットとして、1枚の可撓性座金11と
1個の支承座金12とを1組とする座金ユニット、また
は複数枚重ね合わせた可撓性座金11と1個の支承座金
12とを1組とする座金ユニットを複数組用い、また隣
合う座金ユニットの組の可撓性座金11,11間に、こ
れらの可撓性座金11,11よりも小径の平ワッシャ1
3を介挿しており、複数組の座金ユニットの可撓性座金
11,11間に平ワッシャ13を介挿してボルト・ナッ
ト6・7を締め付けることにより、平ワッシャ13が可
撓性座金11,11の内側を支える役目をする結果、継
手構造に良好な耐震性を付与し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す横断平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】座金ユニットの可撓性座金の拡大縦断面図であ
る。
【図4】図3の平面図である。
【図5】座金ユニットの支承座金の拡大縦断面図であ
る。
【図6】図5の平面図である。
【図7】図5のB部分の拡大図である。
【図8】第1実施例において、ボルト・ナットを締め込
んだ状態を模式的に示した横断平面図である。
【図9】本発明の第2実施例を示す横断平面図である。
【図10】本発明の第3実施例を示す横断平面図であ
る。
【図11】本発明の第4実施例を示す横断平面図であ
る。
【図12】シールドトンネルの概要を示す斜視図であ
る。
【図13】同シールドトンネルを内側から見た展開図で
ある。
【図14】同シールドトンネルの隣合うセグメントピー
スを継なぐ従来の継手を示す拡大断面図である。
【図15】セグメントの継手部に用いられる弾性ワッシ
ャの縦断面図である。
【符号の説明】
3 セグメントピース 5 継手プレート 6 ボルト 6′ ボルトの頭部 7 ナット 10 セグメントの継手 11 座金ユニットの可撓性座金 12 座金ユニットの支承座金 12d 支承座金に設けられた可撓性座金の支承部 13 平ワッシャ

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セグメントピース3の締結部に、所定の
    間隔をおいて多数の継手プレート5を設け、隣合うセグ
    メントピース3,3の継手プレート5,5同士をボルト
    ・ナット6・7により締結するシールドトンネルにおけ
    るセグメントの継手において、ボルト6の頭部6′と一
    方の継手プレート5の間と、ナット7と他方の継手プレ
    ート5の間の少なくとも一方に、可撓性座金11と、こ
    の可撓性座金11を収容しかつその可撓性座金11に撓
    みを持たせるための支点となる支承座金12とを組み合
    わせた座金ユニットを介在させ、ボルト・ナット6・7
    を締め付けたことを特徴とするシールドトンネルにおけ
    るセグメントの継手。
  2. 【請求項2】 セグメントピース3の締結部に、所定の
    間隔をおいて多数の継手プレート5を設け、隣合うセグ
    メントピース3,3の継手プレート5,5同士をボルト
    ・ナット6・7により締結するシールドトンネルにおけ
    るセグメントの継手において、ボルト6の頭部6′と一
    方の継手プレート5の間と、ナット7と他方の継手プレ
    ート5の間の少なくとも一方に、可撓性座金11と、こ
    の可撓性座金11を収容しかつその可撓性座金11に撓
    みを持たせるための支点となる支承座金12とを組み合
    わせた座金ユニットを介在させるとともに、継手プレー
    ト5,5間にも前記座金ユニットを介在させ、ボルト・
    ナット6・7を締め付けたことを特徴とするシールドト
    ンネルにおけるセグメントの継手。
  3. 【請求項3】 前記座金ユニットとして、複数枚重ね合
    わせた可撓性座金11と、1個の支承座金12とを組み
    合わせたものを用いたことを特徴とする請求項1または
    2記載のシールドトンネルにおけるセグメントの継手。
  4. 【請求項4】 前記可撓性座金11と支承座金12とを
    組み合わせた座金ユニットを複数組介在させたことを特
    徴とする請求項1または2記載のシールドトンネルにお
    けるセグメントの継手。
  5. 【請求項5】 前記座金ユニットとして、1枚の可撓性
    座金11と、1個の支承座金12とを1組とするもの、
    または複数枚重ね合わせた可撓性座金11と、1個の支
    承座金12とを1組とするものを複数組用い、かつ隣合
    う組の可撓性座金11,11間に、これらの可撓性座金
    11,11よりも小径の平ワッシャ13を介挿したこと
    を特徴とする請求項1または2記載のシールドトンネル
    におけるセグメントの継手。
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