JP3763126B2 - 負荷駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等を含む種々の車両に搭載可能な負荷駆動装置に関し、より詳細には、近年開発が進められている高電圧電源部を搭載した車両において種々の電気負荷をそれぞれ適宜駆動するための負荷駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
14ボルト(以下、“ボルト”または“V”と称す)のオルタネータおよび充放電可能な12Vバッテリを有する定格直流12V〜14V出力の電源部を搭載した自動車(即ち、所謂14V車)は、従来の車両として一般的に知られている。近年、42Vモータ/ジェネレータおよび充放電可能な36Vバッテリを有する定格直流36V〜42V出力の電源部を搭載した、燃費に有利な、高電圧自動車(即ち、所謂42V車)の開発が進められている。
【0003】
現在、14V車から42V車への移行に向けて、14V車で用いられているコスト的に有利な汎用の種々の電気負荷(例えば、車両内照明用ランプ、ECU(即ち、Electronic Control Unit)、等)を42V車においても用いるべく、当該電気負荷を駆動するための負荷駆動装置が検討されている。この現在検討されている42V車用の負荷駆動装置を図3に基づいて説明する。図3は、42V車の電源部、負荷駆動装置および電気負荷を示すブロック回路図である。
【0004】
図3に示されるように、電源部10は充放電可能な36Vバッテリ12と42Vモータ/ジェネレータ14とを備えており、電源部10の定格出力電圧値は直流36V〜42Vである。モータ/ジェネレータ14は、バッテリ12から電力供給を受けて車両の動力の一部として働くモータ機能と、エンジン(不図示)の回転により42Vの電力を発電するジェネレータ機能とを兼ね備えている。
【0005】
負荷駆動装置1は、高電圧電力線16により電源部10と電気的に接続されており、該高電圧電力線16を介して電源部10から36V〜42Vといった高直流電圧の電力供給を受けている。通常、高電圧電力線16は、電源部10に設けられた少なくともJ/B(即ち、Junction Block)を経由して様々な負荷駆動装置へ導かれるが、図3では当該J/Bの図示を省略している。
【0006】
負荷駆動装置1は、電源部10から出力された高直流電圧を12Vといった低直流電圧に変換する直流電圧変換器として、DC/DCコンバータ(即ち、直流−直流コンバータ)2を備えている。DC/DCコンバータ2は、半導体素子、トランス、出力電圧平滑化素子、等(不図示)により構成された公知のスイッチングレギュレータである。
【0007】
図3では、14V車でも用いられる汎用の電気負荷の例として、ECU1〜ECU6、第1ランプL1および第2ランプL2が示されている。ECU1〜ECU6は、種々の電気装置を制御するためのCPUやドライバー回路等(不図示)を含む電子制御ユニットである。第1ランプL1および第2ランプL2は、例えば、ルームランプ、マップランプ、フットランプ、等の車両内照明用ランプである。これらのECU1〜ECU6、第1ランプL1および第2ランプL2は、DC/DCコンバータ2の出力端子に接続された低電圧電力線3を介してそれぞれ低直流電圧を印加されて駆動される。尚、低電圧電力線3と第1ランプL1との間および低電圧電力線3と第2ランプL2との間には、第1ランプL1と第2ランプL2を点灯(ON)または消灯(OFF)させるためのスイッチ回路SW1とSW2がそれぞれ設けられている。
【0008】
ランプの特性上、第1ランプL1および第2ランプL2にはスイッチ回路SW1およびSW2のON操作直後に突入電流が生じる。常温環境下で一定時間通電されて点灯が安定した各ランプL1,L2の消費電流を例えば1アンペア(以下、“A”と称す)とすると、スイッチ回路SW1およびSW2のON操作直後に生じる各ランプL1,L2の突入電流は、一般的に、常温環境下では3倍の3Aに、−30℃の低温環境下では10倍の10Aにもなる。勿論、この突入電流に伴い各ランプL1,L2の消費電力も増大する。即ち、第1ランプL1および第2ランプL2は大きな消費電力変動を持つ電気負荷である。
【0009】
それ故、DC/DCコンバータ2が、常温環境における第1ランプL1および第2ランプL2の消費電力を賄えるだけの電力供給能力を持つDC/DCコンバータから選定されていると、前述した突入電流および低温環境が起因してDC/DCコンバータ2の出力電圧(即ち、低電圧電力線3から供給される電圧)が電圧降下を起こし、第1ランプL1および第2ランプL2の点灯が安定するまで所定の電圧値(即ち、直流12V)に復帰しない可能性がある。その上、スイッチ回路SW1およびSW2のON操作によって第1ランプL1および第2ランプL2が直ぐには点灯せず、徐々に点灯を開始する可能性もある。ただし、第1ランプL1および第2ランプL2は、電力供給直後に点灯せねばならない法規のあるヘッドランプとは異なり、当該法規の無い例えば、ルームランプ、マップランプ、フットランプ、等の車両内照明用ランプであるため、車両仕様上および実際の体感上支障が無ければ前述のようなランプ駆動であっても大きな問題とはならない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、低電圧電力線3には第1ランプL1および第2ランプL2の他、ECU1〜ECU6が電気的に接続されている。ECU1〜ECU6等の電子制御ユニットの定格入力電圧値は一般的に8V〜16Vであるため、DC/DCコンバータ2の出力電圧(即ち、低電圧電力線3から供給される電圧)が電圧降下して各ECU1〜ECU6に印加される電圧が下限値である8Vを下回った場合は、ECU1〜ECU6が不必要に停止または誤動作する可能性があり、前述の負荷駆動装置1には解決せねばならない課題がある。
【0011】
一方、低温環境における第1ランプL1および第2ランプL2の消費電力を賄え且つECU1〜ECU6に定格入力電圧の下限値を満足する電圧を印加できる電力供給能力を持つDC/DCコンバータをDC/DCコンバータ2として選定することは物理的に可能と言える。しかしながら、これらの電気負荷を適切に駆動するために求められる電力量は一時的にでも膨大であり、そのような膨大な電力供給能力を持つDC/DCコンバータは非常に高価で、サイズ、重量、発熱、等にも課題があるため、有利とは言えない。
【0012】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高電圧電源部を搭載した車両において種々の電気負荷をそれぞれ適宜駆動することができる負荷駆動装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の負荷駆動装置は、請求項1に記載したように、
車両の電源部から出力された高直流電圧をその電圧値よりも低い第1低直流電圧に変換し、当該第1低直流電圧の電力を第1低電圧電力線を介して第1電気負荷に供給する第1直流電圧変換器と、
前記高直流電圧を前記第1低直流電圧の電圧値よりも僅かながら低い第2低直流電圧に変換し、当該第2低直流電圧の電力を第2低電圧電力線を介して第2電気負荷に供給する第2直流電圧変換器と、
前記第1低電圧電力線および前記第2低電圧電力線を電気的に接続するように当該第1低電圧電力線と当該第2低電圧電力線との間に設けられ、前記高直流電圧が前記第1直流電圧変換器により前記第1低直流電圧に変換され且つ前記第2直流電圧変換器により前記第2低直流電圧に変換されている際の前記第1直流電圧変換器から前記第2電気負荷への電力供給を許容する整流器と、
を備え、
前記第1電気負荷は大きな消費電力変動を持つ電気負荷であり、前記第2電気負荷は消費電力が略一定の電気負荷である
ことを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、消費電力に大きな変動を生じる第1電気負荷が第1直流電圧変換器から電力を供給され、この第1直流電圧変換器とは別に設けられた第2直流電圧変換器から消費電力が略一定の第2電気負荷が電力を供給されるため、第1電気負荷の消費電力変動の影響により第1低電圧電力線(即ち、第1直流電圧変換器の出力)が電圧降下を起こしても第2低電圧電力線(即ち、第2直流電圧変換器の出力)に当該影響を与えずに済み、第2電気負荷への安定した電圧供給(即ち、電力供給)ができる。従って、本発明の負荷駆動装置により第1電気負荷および第2電気負荷はそれぞれ適宜駆動される。また、第2電気負荷への第1直流電圧変換器からの電力供給が整流器により許容されるように、第2低直流電圧の電圧値が第1低直流電圧の電圧値よりも僅かながら低く設定されているため、第1直流電圧変換器の出力電力に余裕がある場合は、整流器を介して第2電気負荷へ第1直流電圧変換器から電力を供給するといった一方向に電力供給を助勢する第1直流電圧変換器と第2直流電圧変換器の並列運転ができる。
【0015】
また、本発明の負荷駆動装置は、請求項2に記載したように、前記第1直流電圧変換器の電力供給能力と前記第2直流電圧変換器の電力供給能力が略等しいことを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、第1直流電圧変換器と第2直流電圧変換器の電力供給能力が略等しく且つ、第1低電圧電力線および第2低電圧電力線との間に設けられた整流器によって第1直流電圧変換器と第2直流電圧変換器が並列運転されるため、第1直流電圧変換器の出力電力と第2直流電圧変換器の出力電力が略等しくなり、効率的に見て最も良い運転となるので好ましい。
【0017】
また、本発明の負荷駆動装置は、請求項3に記載したように、前記第1電気負荷の消費電力が前記第2電気負荷の消費電力よりも低いとき、当該第1電気負荷の消費電力と当該第2電気負荷の消費電力との差分電力が前記第1直流電圧変換器から前記整流器を介して前記第2電気負荷へ供給されて前記第1直流電圧変換器の出力電力量と前記第2直流電圧変換器の出力電力量が略等しくなることを特徴としている。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、第1電気負荷の消費電力が第2電気負荷の消費電力よりも低く且つ、第1直流電圧変換器の電力供給能力が、第2直流電圧変換器の電力供給能力と略等しいか、または第2直流電圧変換器の電力供給能力よりも高いときに整流器を介して第2電気負荷へ第1直流電圧変換器から電力を供給するといった一方向に電力供給を助勢する第1直流電圧変換器と第2直流電圧変換器の並列運転が為されるため、第1直流電圧変換器の出力電力と第2直流電圧変換器の出力電力が略等しくなり、第1直流電圧変換器と第2直流電圧変換器の運転が安定するので好ましい。
【0019】
また、請求項4に記載したように、前記第1電気負荷を起動時に突入電流を生じる車両内照明用ランプとし、前記第2電気負荷を前記車両に搭載された機器を制御する電子制御ユニットとしてもよい。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、起動時に突入電流が生じるような車両内照明用ランプを第1電気負荷として、そして車両に搭載された機器を制御する電子制御ユニットを第2電気負荷として用いれば、これらの第1電気負荷および第2電気負荷を本発明の負荷駆動装置により適宜駆動することができる。特に、CPUやドライバー回路等を含む電子制御ユニットに第2低電圧電力線を介して第2直流電圧変換器から安定した電圧(電力)が供給されるため、電子制御ユニットが不必要に停止したり、または誤動作したりすることが防止される。
【0021】
また、請求項5に記載したように、前記高直流電圧を出力する前記電源部の定格出力電圧値が低くとも36ボルトであることが望ましい。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、定格出力電圧値が低くとも36ボルトの電源部を搭載した例えば42V車に本発明の負荷駆動装置を搭載すれば、第1電気負荷および第2電気負荷として汎用の種々の電気負荷を用いることができる。汎用の種々の電気負荷を用いることができれば、コスト的に有利である。
【0023】
第1および第2低直流電圧の電圧値を例えば約28ボルトに設定した場合は、第1および第2電気負荷として、例えばバス、トラック、等の所謂28V車で用いられる汎用の電気負荷を用いることができ、例えば当該電圧値を約14ボルトに設定した場合は、第1および第2電気負荷として、例えば汎用の14V車用電気負荷を用いることができる。従って、42V車専用の電気負荷を用いた場合と比較して、より安価な汎用の電気負荷を第1および第2電気負荷として用いることができる。それ故、第1および第2低直流電圧の電圧値は高くとも約28Vに設定することが望ましい。
また、請求項6に記載したように、前記整流器は、前記第1直流電圧変換器から前記第2電気負荷への一方向の電力供給のみ許容するダイオードであり、当該ダイオードのアノードが前記第1低電圧電力線に電気的に接続され、そして当該ダイオードのカソードが前記第2低電圧電力線に電気的に接続されていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明によれば、第1電気負荷の消費電力が第2電気負荷の消費電力よりも低いとき、当該第1電気負荷の消費電力と当該第2電気負荷の消費電力との差分電力が第1直流電圧変換器からダイオードを介して第2電気負荷へ供給される。
また、請求項7に記載したように、前記高直流電圧をその電圧値よりも低い第3低直流電圧に変換し、当該第3低直流電圧の電力を第3低電圧電力線を介して第3電気負荷に供給する第3直流電圧変換器と、
前記第2低電圧電力線および前記第3低電圧電力線を電気的に接続するように当該第2低電圧電力線と当該第3低電圧電力線との間に設けられ、前記高直流電圧が前記第1直流電圧変換器により前記第1低直流電圧に変換され且つ前記第2直流電圧変換器により前記第2低直流電圧に変換され且つ前記第3直流電圧変換器により前記第3低直流電圧に変換されている際の前記第3直流電圧変換器から前記第2電気負荷への電力供給を許容する整流器と、
を更に備え、
前記第2低直流電圧の電圧値が前記第3低直流電圧の電圧値よりも僅かながら低く、そして前記第3電気負荷が大きな消費電力変動を持つ電気負荷であることを特徴としている。
また、請求項8に記載したように、前記第3低直流電圧が前記第1低直流電圧と同じ電圧値であり、そして前記第3直流電圧変換器に前記第1直流電圧変換器と同一の直流電圧変換器が用いられている
ことを特徴としている。
また、請求項9に記載したように、前記第2低電圧電力線と前記第3低電圧電力線との間に設けられた前記整流器は、前記第3直流電圧変換器から前記第2電気負荷への一方向の電力供給のみ許容するダイオードであり、当該ダイオードのアノードが前記第3低電圧電力線に電気的に接続され、そして当該ダイオードのカソードが前記第2低電圧電力線に電気的に接続されていることを特徴としている。
請求項7〜9に記載の発明によれば、第3直流電圧変換器の電力供給能力に余裕がある場合に、整流器を介して第2電気負荷へ電力が供給され、第2直流電圧変換器と、この第2直流電圧変換器の電力供給を助成する第1直流電圧変換器及び第3直流電圧変換器との並列運転ができる。
【0024】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明の実施の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の負荷駆動装置の構成を示すブロック回路図であり、特に、前述した現在開発が進められている高電圧自動車(即ち、所謂42V車)に本発明を適用した場合を例として示している。
【0026】
図1に示されるように、本発明の負荷駆動装置20は、高電圧電力線16により電源部10と電気的に接続されており、該高電圧電力線16を介して電源部10から36V〜42Vといった高直流電圧の電力供給を受けている。尚、電源部10は既に図3を参照して説明したものと同じであるため説明を省略する。また、重複説明回避のため、既に図3を参照して説明した電気負荷にも同一符号を付して図1の明確化を図る。
【0027】
負荷駆動装置20は、第1直流電圧変換器として第1DC/DCコンバータ22と、第2直流電圧変換器として第2DC/DCコンバータ24と、を備えている。
【0028】
第1DC/DCコンバータ22は、大きな消費電力変動を持つ第1電気負荷である第1ランプL1および第2ランプL2に第1低電圧電力線21によって電気的に接続され、これらの第1ランプL1および第2ランプL2に低直流電圧を印加する。具体的に、第1DC/DCコンバータ22は、電源部10から出力された高直流電圧をその電圧値よりも低い12.4Vといった第1低直流電圧に変換し、当該第1低直流電圧の電力を第1低電圧電力線21を介して第1ランプL1および第2ランプL2に供給する。
【0029】
第2DC/DCコンバータ24は、消費電力が略一定の第2電気負荷であるECU1〜ECU6に第2低電圧電力線23によって電気的に接続され、これらのECU1〜ECU6に低直流電圧を印加する。具体的に、第2DC/DCコンバータ24は、高直流電圧を第1低直流電圧の電圧値(即ち、12.4V)よりも僅かながら低い12Vといった第2低直流電圧に変換し、当該第2低直流電圧の電力を第2低電圧電力線23を介してECU1〜ECU6に供給する。
【0030】
第1および第2DC/DCコンバータ22,24の例としては、半導体素子、トランス、出力電圧平滑化素子、等により構成された公知のスイッチングレギュレータ、半導体素子等により構成された公知のシリーズレギュレータ、等が挙げられる。一般に、スイッチングレギュレータの方がシリーズレギュレータよりも変換効率は高いが、コスト的にみるとスイッチングレギュレータの方がシリーズレギュレータよりも高価であるため、電圧変換比率や電気負荷の消費電力等も考慮して第1および第2DC/DCコンバータ22,24は選定されるべきである。本実施形態では、必要とされる電力供給能力や発熱量等を考慮して第1および第2DC/DCコンバータ22,24の両方に公知のスイッチングレギュレータを用いた。
【0031】
このように構成された負荷駆動装置20によれば、第1ランプL1および第2ランプL2が第1DC/DCコンバータ22から電力を供給され、この第1DC/DCコンバータ22とは別に設けられた第2DC/DCコンバータ24からECU1〜ECU6が電力を供給されるため、第1ランプL1および第2ランプL2の消費電力変動の影響により第1低電圧電力線21(即ち、第1DC/DCコンバータ22の出力)が電圧降下を起こしても第2低電圧電力線23(即ち、第2DC/DCコンバータ24の出力)に当該影響を与えずに済み、ECU1〜ECU6への安定した電圧供給(即ち、電力供給)ができる。従って、負荷駆動装置20により第1ランプL1、第2ランプL2およびECU1〜ECU6はそれぞれ適宜駆動される。特に、ECU1〜ECU6はCPUやドライバー回路等を含む電子制御ユニットであるため、第2低電圧電力線23を介して第2DC/DCコンバータ24から安定した電圧(電力)を供給すれば、ECU1〜ECU6の不必要な停止や誤動作を防止できる。
【0032】
更に、負荷駆動装置20は、第1低電圧電力線21および第2低電圧電力線23を電気的に接続するように第1低電圧電力線21と第2低電圧電力線23との間に設けられ、第1DC/DCコンバータ22からECU1〜ECU6への電力供給を許容する整流器25を備えている。この整流器25の例としては、内部抵抗値が低く大電流を流せるショットキーダイオード等が挙げられる。
【0033】
前述の通り、第1低直流電圧の電圧値は12.4Vであり、そして第2低直流電圧の電圧値は12Vである。このように第2低直流電圧の電圧値が第1低直流電圧の電圧値よりも僅かながら低く設定されているため、ECU1〜ECU6への第1DC/DCコンバータ22からの電力供給が整流器25により許容される。従って、第1ランプL1および第2ランプL2の消費電力に対して第1DC/DCコンバータ22の電力供給能力に余裕がある場合は、整流器25を介してECU1〜ECU6へ第1DC/DCコンバータ22から電力を供給するといった一方向に電力供給を助勢する第1DC/DCコンバータ22と第2DC/DCコンバータ24の並列運転ができる。
【0034】
即ち、スイッチ回路SW1およびスイッチ回路SW2がON操作またはOFF操作された際の第1ランプL1および第2ランプL2の消費電力がECU1〜ECU6の消費電力よりも低いとき、当該第1ランプL1および第2ランプL2の消費電力と当該ECU1〜ECU6の消費電力との差分電力が第1DC/DCコンバータ22から整流器25を介してECU1〜ECU6へ供給されて第1DC/DCコンバータ22の出力電力量と第2DC/DCコンバータ24の出力電力量が略等しくなる。
【0035】
より詳細には、第1ランプL1および第2ランプL2の消費電力がECU1〜ECU6の消費電力よりも低く且つ、第1DC/DCコンバータ22の電力供給能力が、第2DC/DCコンバータ24の電力供給能力と略等しいか、または第2DC/DCコンバータ24の電力供給能力よりも高いときに整流器25を介してECU1〜ECU6へ第1DC/DCコンバータ22から電力を供給するといった運転が為される。従って、第1DC/DCコンバータ22の出力電力と第2DC/DCコンバータ24の出力電力が略等しくなり、第1DC/DCコンバータ22と第2DC/DCコンバータ24の運転が安定するので好ましい。
【0036】
尚、第1DC/DCコンバータ22の電力供給能力が第2DC/DCコンバータ24の電力供給能力と略等しい(即ち、定格出力電力値が略等しいDC/DCコンバータを2つ用意し、第1DC/DCコンバータ22および第2DC/DCコンバータ24として用いた)場合、効率的に見て最も良い運転となるので好ましい。
【0037】
図2は、第1DC/DCコンバータ22および第2DC/DCコンバータ24の出力を示すタイミングチャートである。特に、図2は、第1ランプL1が安定して点灯し且つECU1〜ECU6の全てが通電されている際にスイッチ回路SW2をON操作して第2ランプL2を常温環境下で点灯させた状態を示している。また、本実施形態をより理解し易いように図2の符号Iにより指し示されるタイムにおける電流の流れを図1に示した。尚、この例では、第1ランプL1および第2ランプL2の安定点灯時における消費電力の合計を2A、そしてECU1〜ECU6の消費電力の合計を4Aとした。
【0038】
さて、本発明の負荷駆動装置20を理解し易くするために基本構成要素である第1DC/DCコンバータ22、第2DC/DCコンバータ24および整流器25についてのみ説明してきたが、図1において符号E1により指し示される回路を更に負荷駆動装置20に加えてもよい。図1において符号E1により指し示される回路は、大きな消費電力変動を持つ他の電気負荷を適宜駆動するためのものである。具体的に、第3DC/DCコンバータ26が第1DC/DCコンバータ22および第2DC/DCコンバータ24と並列に設けられている。
【0039】
第3DC/DCコンバータ26は、第1DC/DCコンバータ22と同一のDC/DCコンバータで構成されていてもよく、電源部10から出力された高直流電圧をその電圧値よりも低い12.4Vといった第3低直流電圧に変換し、当該第3低直流電圧の電力を第3低電圧電力線28を介して第3電気負荷である大容量コンデンサC1およびモータM1に供給する。大容量コンデンサC1およびモータM1は第1ランプL1および第2ランプL2と同様に大きな消費電力変動を持つ電気負荷である。また、第2低電圧電力線23および第3低電圧電力線28を電気的に接続するように整流器27が第2低電圧電力線23と第3低電圧電力線28との間に設けられている。整流器27は、第3DC/DCコンバータ26からECU1〜ECU6への電力供給を許容する。尚、第3DC/DCコンバータ26および整流器27の動作、作用、等に関する説明は、第1DC/DCコンバータ22、第2DC/DCコンバータ24および整流器25について既に説明した内容から容易に推察可能であるため省略する。
【0040】
尚、負荷駆動装置20は、定格出力電圧値が低くとも直流36Vである電源部を搭載した車両に効果的であることは言うまでもない。定格出力電圧値が低くとも36ボルトの電源部10を搭載した例えば42V車に負荷駆動装置20を本実施形態のように搭載すれば、第1電気負荷(即ち、第1ランプL1、第2ランプL2、等)、第2電気負荷(即ち、ECU1〜ECU6等)および第3電気負荷(大容量コンデンサC1、モータM1、等)として汎用の種々の電気負荷を用いることができる。汎用の種々の電気負荷を用いることができれば、コスト的に有利である。第1、第2および第3低直流電圧の電圧値を例えば約28ボルトに設定した場合は、第1、第2ならびに第3電気負荷として、例えばバス、トラック、等の所謂28V車で用いられる汎用の電気負荷を用いることができ、例えば当該電圧値を約14ボルトに設定した場合は、第1、第2ならびに第3電気負荷として、例えば汎用の14V車用電気負荷を用いることができる。従って、42車専用の電気負荷を用いた場合と比較して、より安価な汎用の電気負荷を第1、第2ならびに第3電気負荷として用いることができる。勿論、低直流電圧を約5V等、より低い電圧値に設定してもよい。従って、第1、第2および第3低直流電圧の電圧値は高くとも約28Vに設定することが望ましい。
【0041】
尚、第1DC/DCコンバータ22と第1ランプL1および第2ランプL2それぞれの間ならびに第3DC/DCコンバータ28とモータM1との間に設けられているスイッチ回路SW1,SW2,SW3は、設けなくてもよい。設けない代わりに制御回路(不図示)を設けて、各DC/DCコンバータの制御、各DC/DCコンバータの入力制御、等を行えばスイッチ回路と同等な機能を満たすこともできる。
【0042】
尚、図1には複数のランプL1,L2と複数のECU1〜6が示されているが、第1電気負荷として一つのランプを設け、第2電気負荷として一つのECUを設けてもよいことは言うまでもない。また、第1ランプL1および第2ランプL2の代わりに第1DC/DCコンバータ22の電気負荷として大容量コンデンサC1およびモータM1を設けてもよい。
【0043】
尚、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形,改良,等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の形態,配置個所,数,数値,等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0044】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、消費電力に大きな変動を生じる第1電気負荷が第1直流電圧変換器から電力を供給され、この第1直流電圧変換器とは別に設けられた第2直流電圧変換器から消費電力が略一定の第2電気負荷が電力を供給されるため、第1電気負荷の消費電力変動の影響により第1低電圧電力線(即ち、第1直流電圧変換器の出力)が電圧降下を起こしても第2低電圧電力線(即ち、第2直流電圧変換器の出力)に当該影響を与えずに済み、第2電気負荷への安定した電圧供給(即ち、電力供給)ができる。従って、本発明の負荷駆動装置により第1電気負荷および第2電気負荷はそれぞれ適宜駆動される。また、第2電気負荷への第1直流電圧変換器からの電力供給が整流器により許容されるように、第2低直流電圧の電圧値が第1低直流電圧の電圧値よりも僅かながら低く設定されているため、第1直流電圧変換器の出力電力に余裕がある場合は、整流器を介して第2電気負荷へ第1直流電圧変換器から電力を供給するといった一方向に電力供給を助勢する第1直流電圧変換器と第2直流電圧変換器の並列運転ができる。
【0045】
また、本発明によれば、第1直流電圧変換器と第2直流電圧変換器の電力供給能力が略等しく且つ、第1低電圧電力線および第2低電圧電力線との間に設けられた整流器によって第1直流電圧変換器と第2直流電圧変換器が並列運転されるため、第1直流電圧変換器の出力電力と第2直流電圧変換器の出力電力が略等しくなり、効率的に見て最も良い運転となるので好ましい。
【0046】
また、本発明によれば、第1電気負荷の消費電力が第2電気負荷の消費電力よりも低く且つ、第1直流電圧変換器の電力供給能力が、第2直流電圧変換器の電力供給能力と略等しいか、または第2直流電圧変換器の電力供給能力よりも高いときに整流器を介して第2電気負荷へ第1直流電圧変換器から電力を供給するといった一方向に電力供給を助勢する第1直流電圧変換器と第2直流電圧変換器の並列運転が為されるため、第1直流電圧変換器の出力電力と第2直流電圧変換器の出力電力が略等しくなり、第1直流電圧変換器と第2直流電圧変換器の運転が安定するので好ましい。
【0047】
また、本発明によれば、起動時に突入電流が生じるような車両内照明用ランプを第1電気負荷として、そして車両に搭載された機器を制御する電子制御ユニットを第2電気負荷として用いれば、これらの第1電気負荷および第2電気負荷を本発明の負荷駆動装置により適宜駆動することができる。特に、CPUやドライバー回路等を含む電子制御ユニットに第2低電圧電力線を介して第2直流電圧変換器から安定した電圧(電力)が供給されるため、電子制御ユニットが不必要に停止したり、または誤動作したりすることが防止される。
【0048】
また、本発明によれば、定格出力電圧値が低くとも36ボルトの電源部を搭載した例えば42V車に本発明の負荷駆動装置を搭載すれば、第1電気負荷および第2電気負荷として汎用の種々の電気負荷を用いることができる。汎用の種々の電気負荷を用いることができれば、コスト的に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の負荷駆動装置の構成を示すブロック回路図である。
【図2】第1DC/DCコンバータおよび第2DC/DCコンバータの出力を示すタイミングチャートである。
【図3】42V車の電源部、現在検討されている42V車用の負荷駆動装置および汎用の14V車用電気負荷を示すブロック回路図である。
【符号の説明】
10 電源部
20 負荷駆動装置
21 第1低電圧電力線
22 第1DC/DCコンバータ(第1直流電圧変換器)
23 第2低電圧電力線
24 第2DC/DCコンバータ(第2直流電圧変換器)
25 整流器
L1,L2 第1ランプ,第2ランプ(第1電気負荷)
ECU1〜ECU6 電子制御ユニット(第2電気負荷)
Claims (9)
- 車両の電源部から出力された高直流電圧をその電圧値よりも低い第1低直流電圧に変換し、当該第1低直流電圧の電力を第1低電圧電力線を介して第1電気負荷に供給する第1直流電圧変換器と、
前記高直流電圧を前記第1低直流電圧の電圧値よりも僅かながら低い第2低直流電圧に変換し、当該第2低直流電圧の電力を第2低電圧電力線を介して第2電気負荷に供給する第2直流電圧変換器と、
前記第1低電圧電力線および前記第2低電圧電力線を電気的に接続するように当該第1低電圧電力線と当該第2低電圧電力線との間に設けられ、前記高直流電圧が前記第1直流電圧変換器により前記第1低直流電圧に変換され且つ前記第2直流電圧変換器により前記第2低直流電圧に変換されている際の前記第1直流電圧変換器から前記第2電気負荷への電力供給を許容する整流器と、
を備え、
前記第1電気負荷は大きな消費電力変動を持つ電気負荷であり、前記第2電気負荷は消費電力が略一定の電気負荷であることを特徴とする負荷駆動装置。 - 前記第1直流電圧変換器の電力供給能力と前記第2直流電圧変換器の電力供給能力が略等しいことを特徴とする請求項1に記載した負荷駆動装置。
- 前記第1電気負荷の消費電力が前記第2電気負荷の消費電力よりも低いとき、当該第1電気負荷の消費電力と当該第2電気負荷の消費電力との差分電力が前記第1直流電圧変換器から前記整流器を介して前記第2電気負荷へ供給されて前記第1直流電圧変換器の出力電力量と前記第2直流電圧変換器の出力電力量が略等しくなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した負荷駆動装置。
- 前記第1電気負荷は起動時に突入電流を生じる車両内照明用ランプであり、前記第2電気負荷が前記車両に搭載された機器を制御する電子制御ユニットであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載した負荷駆動装置。
- 前記高直流電圧を出力する前記電源部の定格出力電圧値が低くとも36ボルトであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載した負荷駆動装置。
- 前記整流器は、前記第1直流電圧変換器から前記第2電気負荷への一方向の電力供給のみ許容するダイオードであり、当該ダイオードのアノードが前記第1低電圧電力線に電気的に接続され、そして当該ダイオードのカソードが前記第2低電圧電力線に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載した負荷駆動装置。
- 前記高直流電圧をその電圧値よりも低い第3低直流電圧に変換し、当該第3低直流電圧の電力を第3低電圧電力線を介して第3電気負荷に供給する第3直流電圧変換器と、
前記第2低電圧電力線および前記第3低電圧電力線を電気的に接続するように当該第2低電圧電力線と当該第3低電圧電力線との間に設けられ、前記高直流電圧が前記第1直流電圧変換器により前記第1低直流電圧に変換され且つ前記第2直流電圧変換器により前記第2低直流電圧に変換され且つ前記第3直流電圧変換器により前記第3低直流電圧に変換されている際の前記第3直流電圧変換器から前記第2電気負荷への電力供給を許容する整流器と、
を更に備え、
前記第2低直流電圧の電圧値が前記第3低直流電圧の電圧値よりも僅かながら低く、そして前記第3電気負荷が大きな消費電力変動を持つ電気負荷であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一つに記載した負荷駆動装置。 - 前記第3低直流電圧が前記第1低直流電圧と同じ電圧値であり、そして前記第3直流電圧変換器に前記第1直流電圧変換器と同一の直流電圧変換器が用いられていることを特徴とする請求項7に記載した負荷駆動装置。
- 前記第2低電圧電力線と前記第3低電圧電力線との間に設けられた前記 整流器は、前記第3直流電圧変換器から前記第2電気負荷への一方向の電力供給のみ許容するダイオードであり、当該ダイオードのアノードが前記第3低電圧電力線に電気的に接続され、そして当該ダイオードのカソードが前記第2低電圧電力線に電気的に接続されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載した負荷駆動装置。
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