JP3762143B2 - 無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高靭性型の繊維補強セメント複合材料を用いた無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
構造物の耐震性能を高めるために、図7に示すような鉄筋コンクリート造耐震壁1を増設することが一般的に行われる。図7は鉄筋コンクリート造の建物の場合で、図中2は鉄筋コンクリート造の既存柱、3は鉄筋コンクリート造の既存梁であり、鉄筋コンクリート造耐震壁1はこれら既存柱2と既存梁3との架構内開口部に配設する。
【0003】
しかし、このような従来の鉄筋コンクリート造耐震壁1による増設耐震壁は以下のように、多くの工程を要する。
【0004】
アンカー筋4を配設するとか、補強筋5をダブル配筋する等の数多くの後施工アンカーを用いて、既存柱2と既存梁3などの既存部材との一体性を確保する必要がある。さらに、鉄筋コンクリート造耐震壁1自体の施工に型枠組立、鉄筋配筋、コンクリート打設の一連の作業が必要である。
【0005】
一方、短繊維を混入してコンクリートおよびモルタルを練り混ぜ、同繊維を3次元ランダム配合させることにより、引張・曲げ強度および靭性を向上させた複合材料(短繊維補強セメント複合材料、FRC)が一般に普及している。
【0006】
そして、特開平10−152927号公報では、後施工アンカーを打ち込まずに周辺フレームに接着したコッターおよび吹き付けFRCを用いて、後施工アンカーと配筋作業を省略する工法を提案している。
【0007】
図8に示すように、耐震壁6を構築する場合、まず、既存柱2と既存梁3の開口7側の面に、ブロック状の多数のコッター8を所定間隔をもって配置し接着する。次いで、これらコッター8の周縁部に包含するようにして、開口7に繊維補強モルタル9を吹き付けて耐震壁6を構築する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特開平10−152927号公報では、1)コッター8を周辺フレームヘ接着する工程が依然として残ること、また、2)従来型の繊維補強モルタル9(吹き付けFRC)を用いているので、無筋の耐震壁6は、水平力作用時にせん断クラックが発生すると、そのクラックがそのまま進展して大きな開口変位となり、急激に耐力を失い、脆性的な挙動を示すことが予想される。
【0009】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を使用することで、簡易に高靭性の耐震補強壁を施工することができる無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法を提供することにある。
【0010】
本発明は前記目的を達成するため、第1に、はり下に片方のみの型枠を立て、これに向かって高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を吹き付け施工すること、第2に、表裏2枚の型枠を施工し、これに高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を流入すること、第3に、工場製作したPCa版(プレキャストコンクリート版)を既存フレーム開口部に立て込み仮止めした後、既存フレームとPCa版の間、およびPCa版間を現場にて高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を圧入すること、第4に、高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)で成形したブロックを積み上げることを要旨とするものである。
【0011】
さらに、第5に、高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)は、
材令28日の硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック分散型であって、下記[F1]のPVA短繊維を水セメント比40%以上でかつ砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1.5越え3vo1.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものであることを要旨とするものである。
[F1]
・繊維径40〜50μm
・繊維長5〜20mm
・繊維強度1000MPa〜1500MPa未満
・みかけの繊維強度700MPa〜1000MPa未満
【0012】
第6に、高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)は、
材令28日の硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック分散型であって、下記[F2]のPVA短繊維を水セメント比30%以上でかつ砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1越え3vo1.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものであることを要旨とするものである。
[F2]
・繊維径50μm以下
・繊維長5〜20mm
・繊維強度1500MPa〜2400MPa以下
・みかけの繊維強度1000MPa〜1800MPa以下
【0013】
請求項1記載の本発明によれば、高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を既存のコンクリート上に後打設した場合の界面の挙動は、靭性に富み、かつ高い面内せん断力に耐えるもので、既存コンクリート上に後打ちコンクリートを打設した場合と比較して大きな改善が期待される。従って、既存躯体と増設耐震壁の境界における滑り破壊を遅らせ、高いせん断力に耐えることができる。
【0014】
また、高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を用いることにより、靭性に富む挙動を示す耐震壁とすることができる。高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)は、引張挙動のみならず、圧縮挙動においてもコンクリートと比較して大幅な圧縮ひずみ性能の向上が図られており、高い引張ひずみ能力と相まって、非常に大きなせん断変形に耐えることが可能である。したがって、本発明で形成される耐震補強壁は、一般のRCと比較して非常に靭性に富む挙動を示す。
【0015】
それゆえ、はり下に片方のみの型枠を立て、これに向かって高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を吹き付け施工することで、非常に簡単かつ迅速に耐震補強壁を形成することができる。
【0016】
請求項2記載の本発明によれば、前記作用と同様に、表裏2枚の型枠を施工し、これに高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を流入することで、非常に簡単にかつ迅速に耐震補強壁を形成することができる。
【0017】
請求項3記載の本発明によれば、前記作用と同様に、仮止めした後、既存フレームとPCa版の間、およびPCa版間を現場にて高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を圧入することで、非常に簡単かつ迅速に耐震補強壁を形成することができる。
【0018】
請求項4記載の本発明によれば、前記作用と同様に、高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)で成形したブロックを積み上げることで非常に簡単にかつ迅速に耐震補強壁を形成することができる。
【0019】
さらに、請求項1ないし請求項4記載の本発明において、安価な汎用材料であるPVA繊維(マトリクス中の見かけ繊維強度は高性能ポリエチレン繊維の1/2〜1/3程度でしかない)を用いて高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法で施工された増設耐震補強壁の1実施形態を示す一部切欠いた正面図、図2は本発明の無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法の第1実施形態を示す縦断側面図で、図1は前記従来例を示す図7と同一構成要素には同一参照符号を付したものである。
【0021】
すなわち、鉄筋コンクリート造の建物で、鉄筋コンクリート造の既存柱2と既存梁3との架構内の開口7に耐震壁10を増設する場合、図1に示すように既存梁3の下に片方のみの型枠11を立て、これに向かって高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)12を吹き付けて施工するものとした。
【0022】
型枠11は後日脱型するものでも、また、埋殺すものでもよく、埋殺す場合には高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)12の付着性を考慮して金属製網体等の利用が考えられる。
【0023】
高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)12は、材令28日の硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック分散型であって、下記[F1]のPVA短繊維を水セメント比40%以上でかつ砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1.5越え3vo1.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものである。
[F1]
・繊維径40〜50μm
・繊維長5〜20mm
・繊維強度1000MPa〜1500MPa未満
・みかけの繊維強度700MPa〜1000MPa未満
【0024】
もしくは、高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)12は、材令28日の硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック分散型であって、下記[F2]のPVA短繊維を水セメント比30%以上でかつ砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1越え3vo1.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものである。
[F2]
・繊維径50μm以下
・繊維長5〜20mm
・繊維強度1500MPa〜2400MPa以下
・みかけの繊維強度1000MPa〜1800MPa以下
【0025】
前記PVA繊維配合の高靭性FRC材料12は、マトリクスと繊維の摩擦付着強度が1〜6MPa、化学付着強度が40MPa以下である。
【0026】
そして、モルタル中にPVA短繊維を3次元方向にランダムに配合させてなる繊維補強セメント複合材料(FRC材料)の調合にさいし、下記の式(5)で求まるコンプリメンタルエネルギーJ′b と、式(l)の関係を有するマトリクスの破壊靭性Jtip 間で、
3Jtip <J′b
の関係が成立するPVA短繊維を使用し且つマトリクスの調合を決定することを特徴とするPVA短繊維を用いた高靭性FRC材料の調合法による。
を提供する。
【0027】
【数1】
ただし、
σa :マルチクラック発生時の作用応力
δa :マルチクラック発生時のクラック中央部の開口変位
σc :繊維による架橋応力
σc (δ):繊維による架橋応力σcと開口変位δの関係
δpeak:最大架橋応力
δpeak:σpeakに対応する開口変位
を表す。
ここに、Jtip はマトリクスの調合すなわち水セメント比や砂/セメント比によって制御可能な値であり、実験によってその値を確認することができる。例えば大岸、小野:セメントペースト、モルタルの破壊靭性に及ぼす試験要因効果、「コンクリート工学」vol.25.No.2、PP.113−125。
【0028】
前記PVA繊維配合の高靭性FRC材料12は引張ひずみ1%以上、好ましくは2%以上を有する。本明細書で言う「引張ひずみ」は材令28日以上の硬化体の引張試験で得られる応力一歪み曲線において、最大引張応力値でのひずみ量(%)を言う。実際には、材令28日での試験体の引張試験(例えば後記の実施例に示すように断面30mm×13mmの試験体を80mmの試験区間で引張試験を行う)における引張ひずみ(%)で代表される。
【0029】
この引張ひずみが1%以上であることは、載荷方向(応力方向)とほぼ直角方向に多数のクラック(マルチクラック)が発生するクラック分散型の破壊現象が生じていることを意味する。これまでも、PVA繊維配合のFRC材料それ自体は知られているが、その引張ひずみは高々0.5%程度であり、マルチクラック発生による引張ひずみ1%以上を達成したPVA繊維配合のFRC材料は例を見ない。
【0030】
例えば特開平5−24897号公報では、直径と長さが異なる2種のPVA繊維(ビニロン繊維)を配合することにより厚付け可能でひび割れ抵抗に優れたモルタルが開示されているが、繊維無添加のものと比べた曲げ靭性は高々20倍でであり、この値から推定すると引張ひずみは0.5%以下である(引張ひずみ約1%では、曲げ靭性は繊維無添加のものの約80倍以上となる筈である)。
【0031】
前記PVA繊維配合の高靭性FRC材料12によれば、マルチクラックの発生要因であるSteady State Cracking 現象(SSC現象)をPVA繊維で実現すべく、用いるPVA繊維の性質と、マトリクスの性質をうまく組み合わせると、PVA繊維であっても引張ひずみ1%以上、好ましくは2%以上の高靭性FRC材料12が得られる。
【0032】
すなわち、下記のPVA短繊維F1を、水セメント比(W/C×100)が40%以上で砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合のマトリクスに、1.5超え〜3vol.%の配合量で、3次元方向にランダムに分散配合させた場合(配合と言う)と、前記のPVA繊維F2を、水セメント比(W/C×100)が30%以上で砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合のマトリクスに、l〜3vol.%の配合量で、3次元方向にランダムに分散配合させた場合(配合と言う)には、クラック分散型の高靭性FRC材料が得られる。
【0033】
F1とF2における「見かけの繊維強度」は、当該PVA繊維が実際のFRC材料中で破断する強度であり、これは実際のFRC材料中の繊維について破断試験することにより実測できる。
【0034】
F1を用いる配合においては、マトリクスの水セメント比が40%未満ではこの繊維にとってはマトリクスの弾性係数と破壊靭性が高くなってマルチクラックが発生せず、1%以上の引張ひずみが発生しない。また、砂セメント比が1.0を超えるとこの繊維にとってはマトリクスの弾性係数と破壊靭性が高くなってマルチクラックが発生せず、1%以上の引張ひずみが発生しない。したがって、F1繊維を用いる場合のマトリクスは水セメントが40%以上、好ましくは42%以上、さらに好ましくは44%以上とし、砂セメント比は1.0以下、好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下とする。しかし、この調合のマトリクスであっても、F1繊維の配合量が1.5vol.%以下ではマルチクラックが発生しないので、F1繊維の配合量を1.5vol.%より多くする必要がある。しかし、あまり多く配合しても効果は飽和するので3vol.%以下とする。
【0035】
また、この調合のマトリクスと繊維配合量であっても、F1繊維の長さが5mm未満であると、マルチクラックが発生しないので、5mm以上の長さのものを使用する必要がある。しかし、20mmより長いものを使用しても、前記の配合量ではマルチクラックが発生しなくなる。したがってF1繊維の長さは5〜20mmとする必要があり、好ましくは6〜20mm、さらに好ましくは8〜15mmである。
【0036】
他方、F2を用いる配合においては、マトリクスの水セメント比が30%未満ではこの繊維にとってはマトリクスの弾性係数と破壊靭性が高くなってマルチクラックが発生せず、l%以上の引張ひずみが発生しない。また砂セメント比が1.0を超えるとこの繊維にとってはマトリクスの弾性係数と破壊靭性が高くなってマトリクスが発生せず、1%以上の引張ひずみが発生しない。したがって、F2繊維を用いる場合のマトリクスは水セメントが30%以上、好ましくは32%以上、さらに好ましくは35%以上とし、砂セメント比は1.0以下、好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下とする。しかし、この調合のマトリクスであっても、F2繊維の配合量が1.0vol.%以下ではマルチクラックが発生しがたいので、F2繊維の配合量を1.0vol.%より多くする必要がある。しかし、あまり多く配合しても効果は飽和するので3vol.%以下とする。
【0037】
また、この調合のマトリクスと繊維配合量であっても、F2繊維の長さが5mm未満であると、マルチクラックが発生しないので、5mm以上の長さのものを使用する必要がある。しかし、20mmより長いものを使用しても、前記の配合量ではマルチクラックが発生しなくなる。したがってF2繊維の長さは5〜20mmとする必要があり、好ましくは6〜18mm、さらに好ましくは6〜15mmである。
【0038】
前記PVA繊維配合の高靭性FRC材料12、破壊靭性が金属のアルミニウムと同等の水準(通常のコンクリートの100倍のオーダー)まで向上するため、材料内部に必ず存在する初期欠陥の大きさに材料挙動が左右されにくくなる。したがって、材料の信頼性が大きく増すことにより、部材を設計する際に安全率を低減して実際の材料強度により近い許容応力とすることができる。
【0039】
第2実施形態として、鉄筋コンクリート造の既存柱2と既存梁3との架構内の開口7に耐震壁10を増設する場合、図3に示すように、表裏2枚の型枠13a,13bを適宜な間隔を存して設置し、この型枠13a, 13b間に高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)12を、いずれか一方の型枠の下部に接続口14を設け、この接続口14に圧入ホース15を接続して圧入する。
【0040】
第3実施形態として図4に示すように表裏2枚の型枠13a, 13bを適宜な間隔を存して設置し、この型枠13a, 13b間に高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)12を流入する場合に、上方にホッパー16を形成してここから流し込むようにしてもよい。
【0041】
前記第2実施形態、第3実施形態、いずれの場合も型枠13a, 13bは、合板、金属製板、コンクリート系板など材質を問わない。また、埋殺し、または脱型のいずれのタイプでもよい。
【0042】
第4実施形態として、図5に示すように、鉄筋コンクリート造の既存柱2と既存梁3との架構内の開口7に耐震壁10を増設する場合、工場製作したPCa版(プレキャストコンクリート版)17を開口7の部分に立て込み仮止めした後、既存柱2と既存梁3による既存フレームとPCa版17の間、およびPCa版17間を現場にて、高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)12を充填する。この充填はホース等による圧入が適する。
【0043】
また、PCa版17は外周に凹凸を形成して、コッター的な作用を行わしめる。
【0044】
第5実施形態として、図6に示すように、鉄筋コンクリート造の既存柱2と既存梁3との架構内の開口7に耐震壁10を増設する場合、高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)12で成形したブロック18を、積み上げる。
【0045】
ブロック18の形状は特に限定がなく、通常あるコンクリート製のブロック形状や煉瓦形状のものの他種々の形状が考えられる。
【0046】
また、既存柱2と既存梁3による既存フレームとこれらブロック18間、およびブロック18の隙間はモルタルもしくは高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)12で充填する。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法は、高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を使用することで、簡易に高靭性の耐震補強壁を施工することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法で施工された増設耐震補強壁の1実施形態を示す一部切欠いた正面図である。
【図2】 本発明の無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法の第1実施形態を示す縦断側面図である。
【図3】 本発明の無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法の第2実施形態を示す縦断側面図である。
【図4】 本発明の無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法の第3実施形態を示す縦断側面図である。
【図5】 本発明の無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法の第4実施形態を示す正面図である。
【図6】 本発明の無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法の第5実施形態を示す正面図である。
【図7】 従来例を示す一部切欠いた正面図である。
【図8】 他の従来例を示す一部切欠いた正面図である。
【符号の説明】
1…鉄筋コンクリート造耐震壁 2…既存柱
3…既存梁 4…アンカー筋
5…補強筋 6…耐震壁
7…開口 8…コッター
9…繊維補強モルタル 10…耐震壁
11…型枠
12…高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)
13a,13b…型枠
14…接続口 15…圧入ホース
16…ホッパー 17…PCa版
18…ブロック
Claims (8)
- はり下に片方のみの型枠を立て、これに向かって、短繊維を混入してコンクリートおよびモルタルを練り混ぜ、同繊維を3次元ランダム配合させることにより、引張・曲げ強度および靭性を向上させた複合材料であり、材令28日の硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック分散型であって、下記[F1]のPVA短繊維を水セメント比40%以上でかつ砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1.5越え3vo1.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものである高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を、吹き付け施工することを特徴とした無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法。
[F1]
・繊維径40〜50μm
・繊維長5〜20mm
・繊維強度1000MPa〜1500MPa未満
・みかけの繊維強度700MPa〜1000MPa未満 - はり下に片方のみの型枠を立て、これに向かって、短繊維を混入してコンクリートおよびモルタルを練り混ぜ、同繊維を3次元ランダム配合させることにより、引張・曲げ強度および靭性を向上させた複合材料であり、材令28日の硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック分散型であって、下記[F2]のPVA短繊維を水セメント比30%以上でかつ砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1越え3vo1.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものである高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を、吹き付け施工することを特徴とした無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法。
[F2]
・繊維径50μm以下
・繊維長5〜20mm
・繊維強度1500MPa〜2400MPa以下
・みかけの繊維強度1000MPa〜1800MPa以下 - 表裏2枚の型枠を施工し、これに、短繊維を混入してコンクリートおよびモルタルを練り混ぜ、同繊維を3次元ランダム配合させることにより、引張・曲げ強度および靭性を向上させた複合材料であり、材令28日の硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック分散型であって、下記[F1]のPVA短繊維を水セメント比40%以上でかつ砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1.5越え3vo1.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものである高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を、流入することを特徴とした無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法。
[F1]
・繊維径40〜50μm
・繊維長5〜20mm
・繊維強度1000MPa〜1500MPa未満
・みかけの繊維強度700MPa〜1000MPa未満 - 表裏2枚の型枠を施工し、これに、短繊維を混入してコンクリートおよびモルタルを練り混ぜ、同繊維を3次元ランダム配合させることにより、引張・曲げ強度および靭性を向上させた複合材料であり、
材令28日の硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック分散型であって、下記[F2]のPVA短繊維を水セメント比30%以上でかつ砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1越え3vo1.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものである高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を、流入することを特徴とした無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法。
[F2]
・繊維径50μm以下
・繊維長5〜20mm
・繊維強度1500MPa〜2400MPa以下
・みかけの繊維強度1000MPa〜1800MPa以下 - 工場製作したPCa版(プレキャストコンクリート版)を既存フレーム開口部に立て込み仮止めした後、既存フレームとPCa版の間、およびPCa版間を現場にて、短繊維を混入してコンクリートおよびモルタルを練り混ぜ、同繊維を3次元ランダム配合させることにより、引張・曲げ強度および靭性を向上させた複合材料であり、
材令28日の硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック分散型であって、下記[F1]のPVA短繊維を水セメント比40%以上でかつ砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1.5越え3vo1.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものである高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を、圧入することを特徴とする無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法。
[F1]
・繊維径40〜50μm
・繊維長5〜20mm
・繊維強度1000MPa〜1500MPa未満
・みかけの繊維強度700MPa〜1000MPa未満 - 工場製作したPCa版(プレキャストコンクリート版)を既存フレーム開口部に立て込み仮止めした後、既存フレームとPCa版の間、およびPCa版間を現場にて、短繊維を混入してコンクリートおよびモルタルを練り混ぜ、同繊維を3次元ランダム配合させることにより、引張・曲げ強度および靭性を向上させた複合材料であり、
材令28日の硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック分散型であって、下記[F2]のPVA短繊維を水セメント比30%以上でかつ砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1越え3vo1.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものである高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)を、圧入することを特徴とする無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法。
[F2]
・繊維径50μm以下
・繊維長5〜20mm
・繊維強度1500MPa〜2400MPa以下
・みかけの繊維強度1000MPa〜1800MPa以下 - 短繊維を混入してコンクリートおよびモルタルを練り混ぜ、同繊維を3次元ランダム配合させることにより、引張・曲げ強度および靭性を向上させた複合材料であり、
材令28日の硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック分散型であって、下記[F1]のPVA短繊維を水セメント比40%以上でかつ砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1.5越え3vo1.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものである高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)で成形したブロックを、積み上げることを特徴とする無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法。
[F1]
・繊維径40〜50μm
・繊維長5〜20mm
・繊維強度1000MPa〜1500MPa未満
・みかけの繊維強度700MPa〜1000MPa未満
で成形したブロックを、積み上げることを特徴とする無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法。 - 短繊維を混入してコンクリートおよびモルタルを練り混ぜ、同繊維を3次元ランダム配合させることにより、引張・曲げ強度および靭性を向上させた複合材料であり、
材令28日の硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック分散型であって、下記[F2]のPVA短繊維を水セメント比30%以上でかつ砂セメント比(S/C)が1.0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1越え3vo1.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものである高靭性FRC材料(短繊維補強セメント複合材料)で成形したブロックを、積み上げることを特徴とする無補強・無アンカーの耐震補強壁の施工法。
[F2]
・繊維径50μm以下
・繊維長5〜20mm
・繊維強度1500MPa〜2400MPa以下
・みかけの繊維強度1000MPa〜1800MPa以下
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