JP3761764B2 - 管継手・バルブ等の継手構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配管同志を接続したり、或はバルブの接続にも適用することができる継手構造に関し、特に、接続施工後の確認を外方から確実に視認することができる継手構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の管継手は、継手本体に接合した配管をシール機構を介して袋ナットで締め付けて接続する構造であって、接続に際しては、まず、継手本体に配管を挿入して袋ナットを手締めにより仮締めをした後に、レンチ等による工具を用いて袋ナットを継手本体に締め付ける本締め工程を経て配管を組込んで接続するようにしている。
【0003】
ところが、施工の際に、仮締めの状態のままで本締めによるナットの締め付け工程を怠ると、配管後の漏洩試験では流体の漏れが認められなくても、その後の使用に際して流体漏れが生じるおそれがある。
そこで、管継手におけるナットを締め付ける際に、接合された状態を確実に確認できる機能が要求されており、この確認機構は、一般に、次のような方式が知られている。
【0004】
例えば、実開昭63−145089号公報は、薄肉ステンレス鋼管の端部外周に傾斜面を有する山型突起部を形成し、この山型突起部に密着するテーパ部とパッキン部位を有する継手を密着させ、更に、もう一方の山型突起部に密着可能なテーパを有するナット内周のめねじを継手の雄ねじに螺合させて薄肉ステンレス鋼管と継手を接続させるようにした接続機構である。
【0005】
この接続機構は、継手の鍔端面とナットの端面の間に、凸面側に着色を施した皿バネを圧縮するようにして密着させ、着色した色表示部位が外方から見えなくなるように皿バネを変形させながらナットで締付けるようにしている。色表示部分が隠れることによって締結されたことを確認することができ、締め付け不足や締め忘れなどを防ぐようにしている。
【0006】
一方、特開平9−178063号公報における管継手は、継手本体のおねじに続いて内リングを装着し、内リングとおねじに螺合した袋ナットとの間に伸縮する外リングを装着し、手締めを行なった際には内リングと外リングが衝突して袋ナットの回転が係止されてシールが行なわれず、更に、工具で袋ナットの本締めを行なうことによってシール接続がなされると共に、外リングが内リングの外面に摺動して、内リングの外面を覆うことで締付の確認ができるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前者の接続機構の場合には、皿バネの凸面側を押圧した後に色表示部位が外方から視認できなくなるまでナットを押圧しなければならず、皿バネの凸面側を継手の鍔端面に当接させた後にナットの増締めを行なうことによって皿バネと鍔端面、皿バネとナット端面を密接させると共に、パッキンをナットの継手当接面に当接させてシールを行っていた。従って、皿バネが平坦状になり、色表示部位によって締結の確認を行なったとしても、更に締め付けてしまったり、或は、実際には締付けが十分でないことがあった。また、締め付け前の各構成部品の組み込みが複雑で、面倒であった。
【0008】
また、締結が完了した場合の確認としては、色表示部位、或は内リングを視認して行なっていたので、視認する方向や角度、或は作業者等によって締め付け力が異なることがあった。
【0009】
一方、外リングと内リングの2色の段付タイプを用いる場合についても同様であり、確実に締結されていないことがあった。また、外リングを内リングの外周に摺動させた後には、増締めが必要であり、増締めすることによって締結を終了するようにしていた。このように、いずれの継手においても締め付ける強さがその都度異なることが少なくなく、最適な荷重で接合することが難しかった。
【0010】
しかも、締め付け時に締め付けが強い場合には、これらの金属・樹脂製の皿バネやリングは、締結時の圧縮荷重によって変形したり、破損することがあるので再利用することができず、また、締め付けが弱い場合には、パッキンによるシールが確実でないことがあり、漏れを生じるなどの問題が起こることがあった。
【0011】
本発明は、上述の問題点に鑑みて開発したものであり、その目的とするところは、組込み等の接合が行ない易く、締め付け不足や締め忘れ等による接合具合を確実に確認することができ、しかも構造が簡単でコストの削減に寄与する継手構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明はバルブの継手等の接続部にスパナ掛け用のナット部とこのナット部に続けておねじ部を設け、このおねじ部の奥側でナット部の端面に胴着部を形成し、このおねじ部の奥側には、一部を切欠いて設けた割り部を有する確認リングを装着し、この確認リングの奥側端の接触面を前記胴着部に当接し、かつ前記確認リングの内周面に形成した少なくとも1つの突条部を前記おねじ部の谷部に係止すると共に、前記袋ナットの先端内周面に切欠部を形成し、袋ナットを締め込んで袋ナットの先端部が前記胴着部に当接したとき、前記切欠部内に前記確認リングを収納して当該確認リングを被覆するようにしたことを特徴とする管継手・バルブ等の継手構造である。
【0013】
請求項2に係る発明は、接続部は、管継手用の継手本体である。
【0014】
請求項3に係る発明は、接続部は、バルブの配管接続に用いる接続部である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明における管継手・バルブ等の継手構造を適用した一実施形態を図面に従って説明する。
本例は、管継手にステンレス等の薄肉配管を接続する例を示したものであって、継手本体(接続部)1には、端部に形成したおねじ部2と略中央位置にスパナ掛け用のナット部3を形成し、このナット部3の端面には胴着部4を形成している。
【0016】
おねじ部2の奥側には樹脂製等の確認リング5を装着しており、この確認リング5は、接触面9において胴着部4に当接し、かつおねじ部2に係着している。また、10は袋ナットであり、確認リング5は、胴着部4側に袋ナット10の内周側に設けためねじ部11の先端部に形成した環状の切欠部13に収納される。
【0017】
図3において、6は、確認リング5の内周に突設して設けたテーパ面7を有する突状部であり、この突状部6のテーパ面7をおねじ部2のねじ山の谷部2aに係止可能に設けている。また、図2において、8は、確認リング5の一部を切欠いて設けた割り部であり、この割り部8によって確認リング5が円周方向に縮径可能であり、おねじ部2への装着を簡単にしていると共に、確認リング5の装着時には、継手本体(接続部)1と袋ナット10との間をダストシールしている。
【0018】
図1において、20は、薄肉状に成形した薄肉スレンレス鋼管であり、この管20の外周には、適宜の位置に凹状の凹状溝21を設けている。
22は、板ばねであり、この板ばね22は、袋ナット10に装着され、管20の凹状溝21に係着して管20の抜け出しを防止している。また、23は、シール部材(Oリング)であり、管20と継手本体1に圧着してシールするようにしたシール機構である。
【0019】
なお、上記の継手構造は、一例を示したもので、本例以外にも、通常使用されるその他のメカニカルジョイント等の手段によって装着すれば良い。
【0020】
図3において、確認リング5は、その内周面に少なくとも1つの突状部6を継手本体1のおねじ部2の谷部2aの奥部に係止する。この場合、突状部6に設けたテーパ部7によっておねじ部2の奥側への確認リング5の挿入を容易にしている。
突状部6は、本例のように一ヶ所である必要はなく、実施に応じて複数の突状部を適宜設けるものとする。また、突状部6は、全周に設けてもよいし、円周の一部のみに設けてもよい。
【0021】
継手本体1に袋ナット10を手締めによって締め込んだ後に、レンチ等の工具で袋ナット10を更に締め込むようにして本締めを行なう。
袋ナット10を本締めすると、袋ナット10の端面12が継手本体1の胴着部4に突き当り、袋ナット10が胴着すると共に、確認リング5は袋ナット10の先端内周部の切欠部13に収納され、被覆されて、外部より視認できなくなる。
【0022】
より確実に締付状態を確認する必要がある場合には、図6のように袋ナット10の端面12の一部を切り欠いて視認部14を設け、本締め後確認リング5が袋ナット10の先端内周部の切欠部13に収納された後であっても、視認部14より確認リング5の一部を視認できるようにしてもよい。
【0023】
図4は、確認リングの他の例を示す一部拡大断面図である。本例においては、確認リング15の内周の円周方向に一様な複数の切欠溝16を設け、この切欠溝16におねじ部2のねじ山2bを嵌め込むことによって確認リング15を継手本体(接続部)1に装着して固定するようにしている。本例によると、確認リング15をおねじ部2に装着する際に装着の方向性を問うことがなく、また、ねじ山2bを切欠溝16に嵌め込んだ際に確認リング15が胴着部4に接触可能になるように切欠溝16をねじ山2bのピッチに合わせて適宜の溝数、或は間隔になるように成形すればよいので、あらゆるねじ山、ピッチ等の使用のおねじ部2に適応でき、量産が可能である。
【0024】
なお、上述以外の継手本体1への確認リング15の固定方法としては、胴着部4に設けた凹部に確認リング15を嵌合したり、接着剤を用いたりする等があり、実施に応じて適宜選択される。
【0025】
次に、上記の実施形態における作用を説明する。
本例の継手構造は、継手本体1と袋ナット10の胴着によって本締めを行なっているので、締付けを正確に行なうことができ、また、締め付けの強度が変わることがなく内部のシールを確実に行なうことができる。胴着の際の締結に関しては、袋ナット10の切欠部13に確認リング5を収納して確認リング5を覆うようにしたインロー構造であるので、確認リング5に荷重が加わることがなく、変形や破損を防いで再利用することができる。
【0026】
次いで、締結を完了した管継手は、確認リング5が袋ナット10の切欠部13に収納され、外部から視認できなくなることによって締結したことを確認できるので、締め付け不足や締め忘れを防ぐことができ、しかも、確認リング5の状態を継手本体1の円周方向のあらゆる位置から容易に確認できるので、随時締付け状態を把握することができる。
【0027】
更に、袋ナット10の端面12が継手本体1の胴着部4に突き当ることにより、袋ナット10の締付が完了することから、それ以上の増締めの必要がなく、また、分解等によって袋ナット10を緩めたとしても、内周に突設して設けた突状部6や切欠溝16がおねじ部2の谷部2aやねじ山2bに係着しているので、確認リング5がずれたり、外れたりすることがない。
【0028】
【発明の効果】
従って、本発明における継手構造によると、ナットを組付ける際、過大な圧縮荷重がかかることなく、組込み等の接合が行ない易く、締め付け不足や締め忘れ等による接合具合を確実に確認することができ、しかも構造が簡単であるからコストの削減に寄与する継手構造である。
【0029】
しかも、確認リングを割りリングにすることによって、容易におねじに係着させることができ、しかも接続部のおねじ部に確実に係着させることができるため、ナットを緩めてもリングがずれたり、外れたりするおそれがない。
【0030】
また、本発明の継手構造は、何れの方向からも確実に判別できる構造で、しかも一目で締め付け状態を確認することができるものであり、更に、確認リングは外部からの荷重を一切受けないようにしているので、耐久性を有し、再利用に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の管継手の一例を示す断面図である。
【図2】 継手本体を示す正面図である。
【図3】 接続状態の一例を示す一部拡大参考断面図である。
【図4】 接続状態の他例を示す一部拡大参考断面図である。
【図5】 図4の確認リングの一部拡大参考断面図である。
【図6】 袋ナットの他例を示す参考図である。
【符号の説明】
1 接続部(継手本体)
2 おねじ部
2a 谷部
2b ねじ山
4 胴着部
5,15 確認リング
6 突状部
10 袋ナット
13 切欠部
16 切欠溝
Claims (3)
- バルブの継手等の接続部にスパナ掛け用のナット部とこのナット部に続けておねじ部を設け、このおねじ部の奥側でナット部の端面に胴着部を形成し、このおねじ部の奥側には、一部を切欠いて設けた割り部を有する確認リングを装着し、この確認リングの奥側端の接触面を前記胴着部に当接し、かつ前記確認リングの内周面に形成した少なくとも1つの突条部を前記おねじ部の谷部に係止すると共に、前記袋ナットの先端内周面に切欠部を形成し、袋ナットを締め込んで袋ナットの先端部が前記胴着部に当接したとき、前記切欠部内に前記確認リングを収納して当該確認リングを被覆するようにしたことを特徴とする管継手・バルブ等の継手構造。
- 前記接続部は、管継手用の継手本体である請求項 1 に記載の管継手・バルブ等の継手構造。
- 前記接続部は、バルブの配管接続に用いる接続部である請求項 1 に記載の管継手・バルブ等の継手構造。
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