JP3761476B2 - 膜透過型nfat阻害ペプチド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体膜通過シグナル配列を含有する新規ペプチド化合物に関する。さらに本発明は、数残基のアルギニンとVIVITからなるNFAT活性化の阻害剤、免疫抑制剤および心肥大抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、移植手術後の拒絶反応やアトピー性皮膚炎などの免疫疾患に対して、様々な化合物が免疫抑制剤として使用されている。たとえば、シクロスポリンA(CysA)およびFK506は周知の免疫抑制剤であるが、それらを動物に投与した場合には腎機能低下、高血圧、インスリン分泌量の低下または神経毒性などの副作用が生じることも知られている。また、CysAやFK506以外の免疫抑制剤についても、様々な副作用が生じることが調べられており、副作用のより少ない免疫抑制剤が切に望まれてきた。
【0003】
現在では、前記合成化合物による治療のほか、外来遺伝子を含有するベクターを人間に投与するという遺伝子治療が注目を集めており、様々な疾患に関して臨床段階での検討が行われている。しかしながら、遺伝子治療に用いられるベクターには、たとえば、ベクターを人間に投与した場合の細胞内への導入効率、投与からタンパク質発現までに必要な期間および副作用など、解決されるべき問題が多く残されている。また、種々のペプチド製剤なども検討されているが、現時点では臨床で使用されているものはない。
【0004】
心肥大は、遺伝的背景または圧負荷などによって心臓が通常より大きくなった状態であり、心不全につながる可能性がある。しかしながら、心肥大に対し、その進行を防ぐまたはその退縮を促進するといった心肥大抑制剤は、現在のところ市販されていない。これは、現在知られる心肥大抑制剤が強い副作用を有するため、実際にヒトに適用することができないからである。したがって、心肥大を抑制または改善し、かつ副作用などの問題のない薬剤が切望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は前記のような従来の問題点を解消することであり、投与してから実際に効果を発揮するまでの期間が短く、副作用や抗原性のないペプチド化合物を提供することである。本発明はとくに、免疫疾患および心肥大に対する治療剤を提供することを目的とする。また本発明は、NFAT活性化の阻害剤をも提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
アルギニン9残基〜13残基、とくにアルギニン11残基からなるペプチドが、生体膜通過シグナル配列として非常に有効であることを特願2000−358442に開示した。そして、さらに検討を重ねた結果、アルギニン9残基〜13残基と核内T細胞活性化因子(Nuclear Factor Activated T cell)NFATの活性阻害ペプチドとを融合したペプチド化合物をインビボ系で用いた場合に、優れた免疫抑制効果が得られることを初めて見出した。そのうえ、該ペプチドを心肥大のラットに投与した場合には、心肥大の症状が極めて良好に改善されることも見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、アルギニン9残基〜13残基および配列番号1のアミノ酸配列を含有するペプチド化合物に関する。
【0008】
本発明は、アルギニン9残基〜13残基および配列番号1のアミノ酸配列を含有するペプチド化合物からなるNFAT活性化の阻害剤に関する。
【0009】
また、本発明は、アルギニン9残基〜13残基および配列番号1のアミノ酸配列を含有するペプチド化合物を有効成分とする免疫抑制剤に関する。
【0010】
さらに、本発明は、アルギニン9残基〜13残基および配列番号1のアミノ酸配列を含有するペプチド化合物を有効成分とする心肥大抑制剤に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のペプチド化合物およびその用途について詳細に説明する。
【0012】
本願発明のペプチド化合物は、数個のアルギニンが連続するアミノ酸配列および配列番号1のアミノ酸配列を含有する。
【0013】
連続するアルギニンの残基数としては、9〜13残基が好ましく、11残基が最も好ましい。連続したアルギニンが8残基以下または14残基以上である場合、本願発明のペプチド化合物の細胞への導入効率が悪くなる傾向がある。
【0014】
本願発明のペプチド化合物はまた、NFATの活性阻害ペプチドVIVITを含有する。NFATとは、カルシニューリンに脱リン酸化されることによって活性化する転写調節因子であり、NFAT1、NFAT2、NFAT3およびNFAT4などを含むファミリーを形成する。VIVITは、MAGPHPVIVITGPHEE(配列番号1)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドである。VIVITは、カルシニューリンのホスファターゼ活性に影響することなく、NFATファミリーに属するタンパク質とカルシニューリンとの相互作用を選択的に阻害する(アラムブル J.(Aramburu, J.)ら、サイエンス(Science)、第285巻、2129〜2133頁、1999年)。配列番号1に示すアミノ酸配列において、各アミノ酸残基は、NFATを阻害するものであれば生物学的に同等のアミノ酸配列に置換してもよく、VIVITと同等の生物学的活性を有するものであれば、数個のアミノ酸残基が付加、欠失されていてもよい。
【0015】
また、本発明のペプチド化合物は、同等の生物学的活性を有する限り、前記の数個のアルギニンが連続するアミノ酸配列および配列番号1のアミノ酸配列に加え、数個のアミノ酸残基が付加、欠失または置換されていてもよい。
【0016】
さらに、本願発明のペプチド化合物は、細胞内に導入されたことを確認するためのマーカーを含有してもよい。マーカーはとくに限定されるものではなく、たとえばフルオレセインイソチオシアネート(以下、FITCと略称する)、GFPおよびローダミンなどの蛍光タンパク質を使用することができる。
【0017】
本発明のペプチド化合物は、通常の人工合成法によって、または一般に市販されている人工合成機によって製造することができる。あるいは、本発明のペプチド化合物は、遺伝子工学的手法を用いて製造することができる。たとえば、数個のアルギニンが連続する配列およびVIVITからなる配列を含むペプチド配列をコードするDNAを挿入した組換えベクターを作製し、適当な宿主細胞に組換えベクターを導入後、その宿主細胞を培養する。ついで、培養物を回収することにより、本発明のペプチド化合物を得ることができる。本発明のペプチド化合物を製造後、得られたペプチド化合物は公知の方法で精製することもできる。これらのペプチド化合物の製造法および精製法は、本分野において一般的な手法であり、当業者により容易に実施されるものである。
【0018】
本発明のペプチド化合物は、NFAT活性化の抑制剤として使用することができる。NFAT活性化の抑制剤は、NFATの活性化に起因する疾患の治療剤として用いることができる。NFATの活性化に起因する疾患としては、たとえば、アレルギー疾患および心肥大などを挙げることができる。
【0019】
本発明のペプチド化合物は、免疫抑制を誘導する作用を有しており、移植の際の免疫抑制剤として用いることができる。また、本発明の免疫抑制剤は、免疫疾患などの治療剤として利用することもできる。具体的な免疫疾患としては、移植手術後の拒絶反応、アトピー性皮膚炎などが挙げられる。
【0020】
本発明の免疫抑制剤は、静脈内、皮下、筋肉内、経皮、直腸内等の非経口的に投与することができる。とくに、ペプチド化合物を直接血流に導入することによってペプチド化合物の分解を防ぐことができるため、静脈内投与または皮下投与が好ましい。
【0021】
本発明の免疫抑制剤の剤型は投与方法によって適宜設定することができる。具体的には、水溶液および乳液などの液剤および軟膏を例示することができる。
【0022】
本発明の免疫抑制剤の有効量は、投与方法、適用する患者の年齢、体重、病状などを考慮して適宜設定することができ、有効成分に換算して通常は1〜10mg/kgである。しかしながら、有効成分である本発明のペプチド化合物の量は変更可能であり、これらの範囲に限定されるものではない。
【0023】
本発明の免疫抑制剤は、本発明のペプチド化合物を有効成分として含有するものであればとくに限定されず、適当な薬学的賦形剤、適当な担体、溶媒、ゲル形成剤、酸化防止剤、希釈剤、等張化剤、担体、pH安定剤など本技術分野で通常用いられるほかの成分を添加してもよい。これらの添加剤は、通常当業者により適宜選択され得る。
【0024】
本発明のペプチド化合物は心肥大抑制剤として有効である。本発明の心肥大抑制剤は、静脈内、皮下、経皮、直腸内等の非経口的に投与することができる。とくに、ペプチド化合物を直接血流に導入することが、ペプチド化合物の分解を防ぐうえで重要であることから、静脈内投与が好ましい。
【0025】
本発明の心肥大抑制剤の剤形は投与方法によって適宜設定することができる。具体的には、水溶液および乳液などの液剤および軟膏を例示することができる。
【0026】
本発明の心肥大抑制剤の投与量は、投与方法、適用する患者の年齢、体重、病状などによって適宜設定することができ、有効成分に換算して通常は0.1〜2mg/kgである。しかしながら、有効成分である本発明のペプチド化合物の量は変更可能であり、これらの範囲に限定されるものではない。
【0027】
本発明の心肥大抑制剤は、本発明のペプチド化合物を有効成分として含有するものであればとくに限定されず、適当な薬学的賦形剤、適当な担体、溶媒、ゲル形成剤、酸化防止剤、希釈剤、等張化剤、担体、pH安定剤など本技術分野で通常用いられるほかの成分を添加してもよい。これらの添加剤は、通常当業者により適宜選択され得る。
【0028】
以下、実施例によって、本発明のペプチド化合物をさらに詳細に説明するが、本発明はその趣旨と適用範囲に逸脱しない限りこれらに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
実施例1
連続したアルギニン11残基、VIVITおよびFITCを含有するペプチド化合物を人工合成し(シグマ ジェノシス ジャパン社(Sigma Genosis Japan, Inc.)に製造依頼)、分取逆相HPLCにより該ペプチドを精製した。以下、連続したアルギニン11残基およびグリシン3残基を付加したVIVITからなるペプチドを、11R−VIVITと略称する。11R−VIVITのペプチド配列を配列番号2に示す。なお、FITCは、11R−VIVITのアミノ末端側に付加されている。
【0030】
実施例2
6週齢のC3H/HeNマウスH−2k(クレアジャパン社(CLEA Japan, Inc.)製)に対し、実施例1で製造した11R−VIVITとFITCとからなるペプチド化合物10mg/kg量を溶解した0.5mlのリンガー液を注射剤とする腹腔内注射を実施した。注射から6時間後、各マウスから脾臓、リンパ節、肝臓、腎臓および心臓を摘出し、それぞれを3mlのヒスト プレップ(フィッシャー サイエンティフィック社(Fisher Scientific)製)中で、−80℃で凍結させた。次に、クリオスタット上で10〜50μmの切片を作製し、ツアイス顕微鏡(ツアイス社(Zeiss)製)で分析した。なお、コントロールとして、未処理のC3H/HeNマウスの切片を用いた。
【0031】
分析の結果、複合ペプチドを投与したマウスに由来する脾臓、リンパ節、肝臓、腎臓および心臓の切片では、いずれもFITCの蛍光が観察された。一方、コントロールの切片においては、FITCの蛍光は観察されなかった。これは、腹腔内投与により、少なくとも脾臓、リンパ節、肝臓、腎臓および心臓の細胞に11R−VIVITが導入されることを示すものである。
【0032】
実施例3
IL−2遺伝子の転写に対する11R−VIVITの容量依存的効果を検討した。
【0033】
1nM、10nM、100nMまたは1μMの11R−VIVITを含む1mlの10%ウシ胎仔血清含有RPMI(インビトロゲン社(Invitorogen)製)を用いて、1×105細胞個のジャーカット細胞(Jurkat cells)を、37℃、5%炭酸ガス濃度に設定した炭酸ガス培養装置(山洋電気株式会社製)において1時間培養した。ついで、2μMのホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)(シグマ社(Sigma)製)および40μMのイオノマイシン(シグマ社製)を含む100μlのRPMIを添加し、さらに12時間培養を続けた。ついで細胞を回収し、得られた細胞を用いて、下記のリアルタイム定量RT−PCR(real-time quantitative RT-PCR)によりIL−2遺伝子の転写量を測定した。リアルタイム定量RT−PCRでは、ハウスキーピング遺伝子として知られるGAPDHを内部標準物質として使用した。なお、11R−VIVITを含まない培地で培養したジャーカット細胞をコントロール細胞として用い、同様のリアルタイム定量RT−PCRを実施した。
【0034】
RNeasy Mini Kit(キアゲン社(QIAGEN)製)をプロトコルにしたがって使用し、細胞から全RNAを抽出した。得られた全RNAを用い、逆転写反応を22℃で10分間、ついで42℃で20分間インキュベーションすることにより実施した。
【0035】
つぎに、ライトサイクラー−ファーストスタートDNAマスターSYBRグリーンIキット(LightCycler-FastStart DNA Master SYBR Green I Kit(ロッシュ モレキュラー バイオケミカルズ社(Rhoche Molecular Biochemicals)製)を用い、20μlの反応混液(転写産物の10分の1量、4mM MgCl2、4種のプライマー 各0.5μM、2μlの10×ライトサイクラーファーストスタートDNAマスターSYBRグリーンI)を増幅反応用に調製した。ヒトIL−2に対するプライマーとしては、競合定量RT−PCRキット(Competitive Quantitative RT-PCR Kit)(フナコシ株式会社製)内に含まれるプライマーを用いた。GAPDHに対するプライマーとしては、5′−CTGACCAGGGTCCTATTCCA−3′(配列番号5)および5′−TGGTTATCCCAAGCAAGAGG−3′(配列番号6)を用いた(ともに、ジーンセット社製)。増幅反応は、95℃で10分間インキュベーションしたのち、94℃15秒間、57℃5秒間および72℃10秒間のインキュベーションを1サイクルとし、これを60サイクル実施した。ついで、0.2℃/秒で95℃まで温度を上昇させた。解離カーブ解析には、ライトサイクラーソフトウェア(ロッシュモレキュラー バイオケミカルズ社製)を使用した。解析の結果得られたGAPDHに対する相対RNA量を図1に示す(n=3)。
【0036】
11R−VIVITは、IL−2遺伝子の転写を未処理の場合の12%に抑制した。IL−2遺伝子は、アレルギーや拒絶反応によりT細胞が活性化される場合に、転写が促進される遺伝子である。したがってこの結果は、11R−VIVITがT細胞活性化を抑制し得ることを示す。
【0037】
比較例1
実施例1と同様にして、連続したアルギニン11残基およびグリシン3残基を付加したVEETからなるペプチド化合物(以下、11R−VEETと略称する)を人工合成し、精製した。VEETは、MAGPPHIVEETGPHVI(配列番号3)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドである。11R−VEETのペプチド配列を配列番号4に示す。以下、11R−VEETを11R−VIVITのネガティブコントロールとして用いる。
【0038】
11R−VIVITの代わりに100nMのFK506(藤沢薬品工業株式会社製)または1μMの11R−VEETを含む培地を使用したほかは実施例3と同様にして、ジャーカット細胞を培養し、得られた細胞を用いてRT−PCRを実施した。結果を図1に示す。
【0039】
11R−VEETは、IL−2遺伝子の転写レベルに影響を与えなかった。
【0040】
実施例4
T細胞における11R−VIVITの半減期を、IL−2転写に対する阻害活性に基づき検討した。
【0041】
1μMの11R−VIVITを含む1mlの10%ウシ胎仔血清含有RPMIを用いて、1×105細胞個のジャーカット細胞を、37℃、5%炭酸ガス濃度に設定した炭酸ガス培養装置において1時間培養した。ついで、2μM PMAおよび40μMのイオノマイシンを含む100μlのRPMIを添加し、さらに12時間、17時間、23時間、35時間または59時間培養を続けた。なお、コントロール細胞としては、11R−VIVITを含まない10%ウシ胎仔血清含有RPMIで前記同様に1時間培養し、2μM PMAおよび40μMのイオノマイシンを含む100μlのRPMIを添加したのち、さらに12時間、17時間、23時間、35時間または59時間培養したジャーカット細胞を用いた。
【0042】
ついで、得られた各細胞を試料として用いたほかは実施例3と同様にして、RT−PCRおよびリアルタイム定量RT−PCRを実施して解析することにより、GAPDHに対する相対RNA量を測定した。結果を図2に示す(n=3)。図2に示す時間は、培養全体の時間を意味する。
【0043】
11R−VIVITの半減期は、約30時間であった。11R−VIVITを添加してから60時間後には、そのIL−2転写阻害活性はみられなかった。
【0044】
比較例2
1μMのFK506を含む1mlの10%ウシ胎仔血清含有RPMIを用いて、1×105細胞個のジャーカット細胞を、37℃、5%炭酸ガス濃度に設定した炭酸ガス培養装置において1時間培養した。ついで、2μM PMAおよび40μMのイオノマイシンを含む100μlのRPMIを添加したのち、さらに12時間、17時間、23時間、35時間または59時間培養した。つぎに、得られた培養細胞を用いたほかは実施例3と同様の方法で、RT−PCRおよびリアルタイム定量RT−PCRを実施した。FK506の添加から60時間後の相対IL−2 mRNAレベルを、図2に示す。
【0045】
FK506は60時間後においても代謝されず、IL−2の転写を強く抑制した。
【0046】
実施例5
T細胞の活性化および増殖に対する11R−VIVITの効果を、リンパ球混合試験により検討した。
【0047】
6〜8週齢のC3H/HeNマウスおよび6〜8週齢のBALB/cマウスH−2d(清水実験材料株式会社製)から脾臓細胞を取り出した。BALB/c脾臓細胞はマイトマイシンC(協和醗酵工業株式会社製)で処理し、刺激細胞として用いた。
【0048】
1pM、1nMもしくは1μMの11R−VIVITを含むRPMIを、平底96穴プレート(イワキ株式会社製)に添加した。ついで、前記刺激細胞とC3H/HeNマウス由来の脾臓細胞とを1:5で混合した混合細胞を、各ウェルに5×105個添加し、37℃、5%炭酸ガス濃度に設定した炭酸ガス培養装置において90時間培養した。なお、コントロールとして、培地のみのウェルに混合細胞を添加し、同様に培養した。
【0049】
つぎに、0.5μCi/穴の3Hメチルチミジン(以下、[3H]TdRとする。アマシャム ファルマシア バイオテク株式会社製)を添加し、6時間培養した。ついで、細胞を直径1cmのフィルター紙上に置き、細胞に取り込まれた[3H]TdRの放射活性を、ベータカウンター(ベックマン社製)により測定した。結果を図3に示す。
【0050】
1μMの11R−VIVITは、コントロールに対し、リンパ球の増殖を43%抑制した。図3において、*はコントロールと比較してP<0.05であることを意味し、**はいずれもP<0.001であることを意味する。
【0051】
比較例3
11R−VIVITの代わりに1pM、1nMもしくは1μMのFK506または1μMの11R−VEETを含むRPMIを用いたほかは実施例5と同様の方法により、混合細胞を培養し、[3H]TdRを添加して、細胞に取り込まれた[3H]TdRの放射活性を、ベータカウンターにより測定した。結果を図3に示す。
【0052】
11R−VEETは、1μMでは、リンパ球の増殖に影響を与えなかった。
【0053】
比較例4
11R−VIVITを含まないRPMIを培地として用い、混合細胞の代わりにC3H/HeNマウス由来の脾臓細胞のみを用いたほかは実施例5と同様の方法により、細胞を培養し、[3H]TdRを添加して、細胞に取り込まれた[3H]TdRの放射活性を、ベータカウンターにより測定した。結果を図3に示す。
【0054】
実施例6
10mg/kg量の11R−VIVITを溶解した0.5mlのリンガー液を注射剤として用い、インビボにおけるT細胞の活性化および増殖に対する11R−VIVITの効果を検討した。
【0055】
6週齢のC3H/Henマウスに、前記注射剤を、1日1回2日間、腹腔内に注射した。
【0056】
2回目の注射から6時間後に、脾臓を外科的に摘出した。得られた脾臓細胞(1×104個)を、マイトマイシンCで処理されたBALB/cマウスの脾臓細胞(1×105個)とともに平底96穴プレートに添加し、37℃、5%炭酸ガス濃度に設定した炭酸ガス培養装置において90時間培養した。培地は、RPMIを使用した。なお、コントロールとして、培地のみのウェルに混合細胞を添加し、同様に培養した。
【0057】
つぎに、0.5μCi/穴の[3H]TdRを添加し、6時間培養した。ついで、細胞を直径1cmのフィルター紙上に置き、細胞に取り込まれた[3H]TdRの放射活性を、ベータカウンターにより測定した。結果を図4に示す。図4において、**はいずれもコントロールと比較してP<0.001であることを意味する。
【0058】
インビボにおいて、10mg/kgの11R−VIVITは、コントロールに対して30%の抑制効果を示した。
【0059】
比較例5
11R−VIVITの代わりに1mg/kgのFK506または10mg/kgの11R−VEETを用いたほかは実施例6と同様の方法により、C3H/Henマウスに対して腹腔内注射を実施し、脾臓細胞を取り出して培養し、[3H]TdRを添加して、細胞に取り込まれた[3H]TdRの放射活性をベータカウンターにより測定した。結果を図4に示す。
【0060】
11R−VEETは、1μMでは、リンパ球の増殖に影響を与えなかった。
【0061】
比較例6
11R−VIVITを含まないRPMIを培地として用い、混合細胞の代わりにC3H/HeNマウス由来の脾臓細胞のみを用いたほかは実施例6と同様の方法により、細胞を培養し、[3H]TdRを添加して、細胞に取り込まれた[3H]TdRの放射活性を、ベータカウンターにより測定した。結果を図4に示す
【0062】
実施例7
10mg/kg量の11R−VIVITを溶解した0.5mlのリンガー液を注射剤として用い、ベータ細胞の移植における11R−VIVITの効果を検討した。移植の際、ドナーとして6週齢のBALB/cマウスを、レシピエントとして6週齢のC3H/HeNマウスを用いた。
【0063】
C3H/HeNマウスに対して220mg/kgのストレプトゾシン(シグマ−アルドリッチ ジャパン株式会社)を1回腹腔内注射することにより、糖尿病モデルマウスを作製した。また、ストレプトゾシン注射から6日後、グルコース値が350mg/dlを超えたマウスを高血糖症であると判断した。
【0064】
一方、BALB/cマウスの膵臓を取り出し、不連続フィコール密度勾配遠心を実施したのち、通常のコラゲナーゼ消化によりベータ細胞を単離した。
【0065】
単離した約500個のベータ細胞を、前記糖尿病モデルマウスの左腎の被膜下に移植した。移植後、毎日1回、マウスに10mg/kgの11R−VIVITを腹腔内注射した(n=6)。コントロールとして、11R−VIVITを含まない生理食塩水を、ベータ細胞を移植したマウスに注射した(n=4)。血糖を測定し、その値が2日間連続200mg/dlを超えた場合に移植組織拒絶とした。図5に、カプランマイヤーで評価した結果を示す。
【0066】
11R−VIVITの投与により、コントロールと比較して、生存率が有意に上がった(P<0.005)。
【0067】
比較例7
11R−VIVITの代わりに10mg/kgの11R−VEETを用いたほかは実施例7と同様にして、ベータ細胞の移植に対する11R−VEETの効果を検討した。結果を図5に示す。
【0068】
11R−VEETは、コントロールと同様に、移植組織の生存には何の影響も与えなかった。
【0069】
実施例8
実施例1において11R−VIVITを投与したマウスを用い、移植したベータ細胞の機能を検討した。
【0070】
ベータ細胞の移植から50日後の腎臓を外科的に摘出した。ついで、凍結ミトクローム(カールツアイス社製)を用い、30μmの腎臓の切片を作製した。つぎに、得られた切片について、インスリンに対するポリクローナル抗体(サンタクルーズ社製)およびアビジン、ビオチンペルオキシダーゼ法(ベクター社製)を用いて免疫染色を実施した。
【0071】
免疫染色の結果を図6に示す。図6において、1は移植されたベータ細胞であり、2はレシピエントの腎臓である。移植したベータ細胞がインスリン抗体により染色されたことから、移植細胞がインスリンを産生していることを確認した。
【0072】
実施例9
βTC6細胞によるインスリン分泌に対する11R−VIVITの効果を検討した。βTC6細胞は、グルコース応答性でインスリンを分泌するランゲルハンス島の細胞系である。
【0073】
βTC6細胞(アメリカン タイプ カルチャー コレクション(American Type Culture collection)、CRL−11506)を96穴プレートに播種し(5×104細胞個/穴)、10、100、1000または10000nMの11R−VIVITを含む1mlの10%ウシ胎仔血清含有RPMIを用いて37℃、5%炭酸ガス濃度に設定した炭酸ガス培養装置において96時間培養した。培地は24時間毎に、11R−VIVITを含む新鮮な培地と交換した。96時間後、新鮮な培地に交換してさらに1時間培養し、培養上清を回収した。コントロールとして、11R−VIVITを含まない培地を用いたほかは同様にして、βTC6細胞の培養を実施した。
【0074】
つぎに、回収した培養上清を用いて、マウスインスリンELISA(TMB)キット(シバヤギ製)をプロトコルにしたがって使用し、分泌されたインスリンを分析した。図7(a)は、11R−VIVITで処理された細胞によるインスリン分泌量を、コントロールに対する相対値で示したものである。
【0075】
βTC6細胞のインスリン分泌量は、11R−VIVITが0〜1μMの範囲でコントロールとほぼ同じであったが、10μMではコントロールの71%であった(P=0.042)。
【0076】
比較例8
11R−VIVITの代わりに1、10、100もしくは1000nMのFK506または10、100、1000もしくは10000nMの11R−VEETを含む完全培地を用いたほかは実施例9と同様の方法により、βTC6細胞を培養し、βTC6細胞によるインスリン分泌に対する効果を検討した。その結果を図7(b)および図7(c)に示す。
【0077】
βTC6細胞のインスリン分泌量は、FK506により著しく減少され、一方、11R−VEETにより影響されなかった。
【0078】
実施例10
βTC6細胞の増殖に対する11R−VIVITの効果を検討した。
【0079】
βTC6細胞を96穴プレートに播種し(5×104細胞個/穴)、10、100、1000または10000nMの11R−VIVITを含む完全培地を用いて37℃、5%炭酸ガス濃度に設定した炭酸ガス培養装置において88時間培養した。培地は24時間毎に、11R−VIVITを含む新鮮な培地と交換した。つぎに、1μCi/穴の[3H]TdRを添加し、さらに8時間培養した。コントロールとして、11R−VIVITを含まない培地を用いたほかは同様にして、βTC6細胞の培養を実施した。ついで、細胞を直径1cmのフィルター紙上に置き、細胞に取り込まれた[3H]TdRの放射活性を、ベータカウンターにより測定した。図8(a)は、11R−VIVITで処理された細胞の増殖を、コントロールに対する相対値で示したものである。
【0080】
βTC6細胞の増殖に関しては、11R−VIVITが0〜1μMの範囲ではコントロールとほぼ同じであったが、10μMではコントロールの73%であった(P=0.075)。
【0081】
比較例9
11R−VIVITの代わりに1、10、100もしくは1000nMのFK506または10、100、1000もしくは10000nMの11R−VEETを含む完全培地を用いたほかは実施例10と同様の方法により、βTC6細胞を培養し、βTC6細胞の増殖に対する効果を検討した。その結果を図8(b)および図8(c)に示す。
【0082】
FK506および11R−VEETは、βTC6細胞の増殖に対して阻害効果を示さなかった。
【0083】
実施例11
心肥大に対する11R−VIVITの効果を検討した。
【0084】
心肥大モデルラットに対し、1.5mg/kg量の11R−VIVITを溶解した0.5mlのリンガー液を隔日で皮下注射した(n=6)。なお、心肥大モデルラットは、体重200〜250gの7週齢の雄ウィスターラット(清水実験材料株式会社製)の大動脈を結紮し心臓に圧負荷をかけることにより作製した。以下、心肥大モデルラットをAoBと略称する。
【0085】
ついで、0、1、2、3、4および5週後にラットの心臓を以下の方法で評価した。なお、コントロールとして11R−VIVITを投与されなかった正常なラットを用いた。
【0086】
コントロールおよび11R−VIVITを投与したAoBに対し、超音波エコー検査(ULC)、組織標本の作製および血液検査を、以下のようにして実施した。
【0087】
ULCは、ラットの心室中隔および左室全壁の厚さを超音波エコー(日立株式会社製)により、小児用プローブを用いて解析した。結果を図9(a)および図9(b)に示す。その結果、11R−VIVIT投与により、AoBにおける心室中隔壁厚および左室全壁厚はともに改善されることを確認した。
【0088】
組織標本は、ラットの心臓を外科的に摘出し、凍結ミクロトームにより厚さ5μmの切片を作製し、ついで得られた切片をヘマトキシリンエオジン染色法で染色することにより作製した。得られた組織標本は、顕微鏡で観察した(図10(d))。図10において、3は左心室を示し、4は右心室を示す。その結果、11R−VIVIT投与により、正常に近い形態にまで症状が改善されることを確認した。
【0089】
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)およびB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の測定は、日本エスアールエル株式会社に依頼した。結果を図11(a)および図11(b)に示す。その結果、11R−VIVIT投与により、AoBにおけるANPおよびBNPはともに改善されることを確認した。
【0090】
比較例10
11R−VIVITを投与しないAoBを用いたほかは実施例11と同様にしてULCの測定、組織標本の作製および血液検査を実施した。結果を図9(a)、図9(b)、図10(b)、図11(a)および図11(b)に示す。
【0091】
比較例11
11R−VIVITの代わりに5mg/kgのCysAを用いたほかは実施例11と同様にして、心肥大に対するCysAの効果を検討した。結果を図9(a)、図9(b)、図10(c)、図11(a)および図11(b)に示す。
【0092】
試験例1
肝機能および腎臓機能に対する11R−VIVITの毒性を、11R−VIVITを投与したAoBを用いて検討した。
【0093】
1.5mg/kg量の11R−VIVITを溶解した0.5mlのリンガー液を隔日で4週間、AoBに皮下注射した(n=6)。得られたAoBについて、以下の測定を日本エスアールエル株式会社に依頼した。
【0094】
肝機能検査としてグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)およびグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)を測定し、腎臓機能検査としてクレアチニン(Cr)および尿素窒素(BUN)を測定した。なお、11R−VIVITを投与しない正常ラットおよびAoBをコントロールとして使用した。結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
測定の結果、本発明のペプチド化合物は肝臓および腎臓の機能に影響を与えないことが示唆された。
【0097】
【発明の効果】
本発明のペプチド化合物は、副作用が極めて少ないNFATの活性化に起因する疾患の治療剤として使用することができる。具体的には、たとえば免疫抑制剤および心肥大抑制剤として使用し得るため、非常に有用である。
【0098】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、11R−VIVIT、FK506および11R−VEETを各濃度で添加して培養した細胞におけるIL−2遺伝子の転写量を示すグラフである。縦軸は、GAPDHに対するIL−2遺伝子の相対RNA量を表す。
【図2】図2は、10%ウシ胎仔血清含有RPMI培地のみで60時間培養したジャーカット細胞、11R−VIVIT添加後13時間、18時間、24時間、36時間および60時間培養したジャーカット細胞およびFK506添加後60時間培養したジャーカット細胞におけるIL−2遺伝子の転写量を示すグラフである。縦軸は、GAPDHに対するIL−2遺伝子の相対RNA量を表す。
【図3】図3は、リンパ球混合試験において、細胞に取り込まれた[3H]TdRの放射活性を示すグラフである。
【図4】図4は、11R−VIVIT、FK506および11R−VEETを投与したマウスから得られた細胞を用いたリンパ球混合試験において、細胞に取り込まれた[3H]TdRの放射活性を示すグラフである。
【図5】図5は、移植したベータ細胞の生存率をカプランマイヤーで評価したグラフである。
【図6】図6は、移植したベータ細胞を免疫染色した結果を示す顕微鏡像である。
【図7】図7は、各処理を行った細胞によるインスリン分泌量を、コントロールに対する相対値で示したグラフである。図7(a)は、各濃度の11R−VIVITで処理された細胞によるインスリン分泌量を、コントロールに対する相対値で示したグラフである。図7(b)は、各濃度のFK506で処理された細胞によるインスリン分泌量を、コントロールに対する相対値で示したグラフである。図7(c)は、各濃度の11R−VEETで処理された細胞によるインスリン分泌量を、コントロールに対する相対値で示したグラフである。
【図8】図8は、各処理を行った細胞の増殖を、コントロールに対する相対値で示したグラフである。図8(a)は、11R−VIVITで処理された細胞の増殖を、コントロールに対する相対値で示したグラフである。図8(b)は、FK506で処理された細胞の増殖を、コントロールに対する相対値で示したグラフである。図8(c)は、11R−VEETで処理された細胞の増殖を、コントロールに対する相対値で示したグラフである。
【図9】図9は、ラットの心室中隔および左室全壁の厚さを超音波エコーにより解析した結果を示すグラフである。図9(a)は、コントロール、AoB、CysA投与AoBおよび11R−VIVIT投与AoBの心室中隔壁厚を示すグラフである。図9(b)は、コントロール、AoB、CysA投与AoBおよび11R−VIVIT投与AoBのラットの左室全壁厚を示すグラフである。
【図10】図10は、ラット心臓の組織標本の顕微鏡像である。図10(a)は、正常なラットの心臓切片を示す顕微鏡像である。図10(b)は、AoBの心臓切片を示す顕微鏡像である。図10(c)は、CysAを投与したAoBの心臓切片を示す顕微鏡像である。図10(d)は、11R−VIVITを投与したAoBの心臓切片を示す顕微鏡像である。
【図11】図11は、ラットの血液検査結果を示すグラフである。図11(a)は、コントロール、AoB、CysA投与AoBおよび11R−VIVIT投与AoBのANPを示すグラフである。図11(b)は、コントロール、AoB、CysA投与AoBおよび11R−VIVIT投与AoBのBNPを示すグラフである。
【符号の説明】
1 BALB/cマウスのベータ細胞
2 糖尿病モデルマウスの腎臓
3 左心室
4 右心室
Claims (5)
- アルギニン9残基〜13残基および配列番号1のアミノ酸配列を含有するペプチド化合物。
- アルギニンが11残基である請求項1記載のペプチド化合物。
- 請求項1または2記載のペプチド化合物からなるNFAT活性化の阻害剤。
- 請求項1または2記載のペプチド化合物を有効成分とする免疫抑制剤。
- 請求項1または2記載のペプチド化合物を有効成分とする心肥大抑制剤。
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