JP3761221B2 - 接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、金属とプラスチックシートを接着する接着剤に関する。より詳細には、鋼板と塩化ビニルシートとを接着する接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、金属とプラスチックシートを接着する接着剤、とりわけ鋼板と塩化ビニルシート用接着剤としては、熱硬化型のアクリル系樹脂が使用されてきた。
【0003】
ところが、熱硬化型のアクリル系樹脂は、初期接着、耐熱性、耐水性などには優れた性能を有するが、金属とプラスチックシートとを接着・熱硬化させる温度が200℃以上と高いため、意匠性向上のために塩化ビニルシートの表面にエンボス加工などが施されている場合には、これらの立体的模様が高い接着温度によってつぶれてしまい、本来の意匠性が損なわれるという問題があった。また、鋼板と塩化ビニルシートを接着した製品を低温で裁断や折り曲げなどの加工を行う際に、鋼板の端部において塩化ビニルシートのめくれや剥れが発生するという加工性の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題を解決するために、金属とプラスチックシートとの接着については、特開平5-70758 号公報、特開平5-295344号公報などではポリエステル樹脂系接着剤が、特開平5-140340号公報ではウレタン変性ポリエステル系樹脂接着剤が、また、特開平5-25456 号公報ではウレタン樹脂系接着剤などがそれぞれ提案されている。
しかしながら、上記公報で提案されたポリエステル樹脂系接着剤においては、低温での加工性は使用するポリエステル樹脂のガラス転移点を低くすることにより改善することが可能であるが、耐水性が低下するという問題があった。また、ウレタン樹脂系接着剤を用いると低温における加工性は改善されるものの接着力に問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、本願発明を完成したものである。
本発明は、ポリエステル樹脂系接着剤の接着力および特性を保持したまま、低温での加工性に優れたポリエステル樹脂系の接着剤組成物を提供することを目的とする。
【0006】
すなわち、本発明は、ポリエステル樹脂100重量部に対し、溶剤200〜400重量部と、前記溶剤に不相溶な不相溶樹脂1〜12重量部と、ポリイソシアネート5〜30重量部とを含む接着剤組成物であって、該溶剤が、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレンおよびシクロヘキサノンからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、該不相溶樹脂が、ポリウレタン樹脂、ニトリルゴムおよびポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする接着剤組成物である。
【0007】
以下に、本発明を詳細に説明する。
ポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとの縮合物およびこの縮合物を基本骨格として、これを油、脂肪酸、ロジン酸系単量体などで変性した熱硬化性樹脂をいう。
多塩基酸には;無水フタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などの飽和多塩基酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和多塩基酸;シクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物、テルペン−無水マレイン酸付加物、ロジン−無水マレイン酸付加物などのディールス−アルダー反応による多塩基酸などを挙げることができる。
【0008】
また、多価アルコールとしては;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどの二価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三価アルコール;ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニット、ソッルビットなどの多価アルコールを挙げることができる。
【0009】
上記多塩基酸と多価アルコールの縮合物は;大豆油、アマニ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、およびこれらの脂肪酸や、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸、脱水リシノレイン酸などの油脂および油脂脂肪酸;ロジン、コーバル、コハク、セラックなどの天然樹脂、エステルガム、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの合成樹脂;あるいは少量のスチレンなどの重合性単量体によって変性されていてもよい。
【0010】
ポリエステル樹脂は、上記の多価アルコールと多塩基酸、またはこれらに上記の変性剤を加えて加熱縮合させることによって得られる。
【0011】
本発明で用いるポリエステル樹脂は、好ましくは、ジカルボン酸とグリコールからなるポリエステル樹脂である。
上記ジカルボン酸は、その85モル%以上が芳香族ジカルボン酸であることが好ましく、さらに95モル%以上が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、これらは単独で使用してもよく2種以上を混合してもよい。2種以上を混合して使用する場合、イソフタル酸を60モル%以上含有することが好ましい。
【0012】
また、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサハイドロ無水フタル酸などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン、あるいはε−カプロラクトンなどのようなヒドロキシカルボン酸、あるいはそれらの環状エステル化合物などを15モル%未満の範囲で使用してもよい。
さらに、全カルボン酸中に7モル%以下の3官能以上のポリカルボン酸を使用することが好ましい。3官能以上のポリカルボン酸としては、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸などを挙げることができる。
【0013】
一方、上記グリコールは、側鎖にアルキル基を有する炭素数5〜11の脂肪族グリコールおよび/または炭素数6〜8の脂環族グリコールを主成分とするものであり、これらのグリコールが全グリコール中の70モル%以上、好ましくは、85モル%以上含まれていることが好ましい。
【0014】
上記の側鎖にアルキル基を有する炭素数5〜11の脂肪族グリコールとしては、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートなどを挙げることができる。
上記の炭素数6〜8の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールなどを挙げることができる。
【0015】
これらは単独で使用してもよく2種以上を混合してもよい。2種以上を混合して使用する場合、全グリコール中脂環族グリコールが10〜50モル%含まれることが好ましい。
また、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールジエチレングリコールなどの脂肪族グリコールを全グリコール中に30モル%未満で使用してもよい。
【0016】
上記ジカルボン酸とグリコールとを、所定の量で混合し、加熱してエステル交換反応を行い、その後、減圧下において重縮合反応させ、本発明に用いるポリエステル樹脂を得た。
【0017】
本発明で用いるポリエステル樹脂は、後述する有機溶剤に可溶なポリエステル樹脂であり、還元粘度が0.3〜0.7、酸価が70〜460当量/106 g、比重が1.25以下のものを用いることが好ましい。還元粘度が0.3未満では初期接着性が低下し、0.7を超えると低温接着性が低下する。酸価が70未満では、耐熱水試験後の接着性とが低下し、460を超えると初期接着性および耐熱水試験後の接着性ともに低下する。比重が1.25を超えると、塩化ビニルに対する接着性、とりわけ耐熱水試験後の接着性が低下する。
また、ガラス転移点(Tg)が60℃以上のものを用いることが、後述する各成分と混合して本発明の接着剤組成物としたときに、耐水接着性を改善できるために好ましい。
【0018】
本発明で用いる溶剤は、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレンおよびシクロヘキサノンからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、これらのうち、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを使用することが、接着剤の製造工程および接着剤の塗布を良好に実施する観点から好ましい。
【0019】
これらの有機溶媒は、上記ポリエステル樹脂100重量部に対して、200〜400重量部を用いることが塗布時の作業性と乾燥後の塗膜厚の確保の理由から好ましく、さらに好ましくは、250〜350重量部である。
【0020】
不相溶樹脂は、上記溶剤と相溶しない樹脂をいい、具体的には、ポリウレタン樹脂、ニトリルゴム、ポリブタジエンなどを挙げることができる。
【0021】
ポリウレタン樹脂は、脂肪族系、脂環族系、または芳香族系のポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアミン類などの活性水素を持った化合物より得られる。
【0022】
ポリエーテルポリオールは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの1種または2種以上を、例えば;エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類;エチレンジアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン等のアミン類;レゾルシン、ビスフェノール等の多価フェノール類等の2個以上の活性水素を有する化合物に付加重合させた生成物である。
【0023】
また、ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基性カルボン酸の縮合物、ヒドロキシカルボン酸と多価アルコールの縮合物、ラクトンの重合物等である。これらに使用される多価アルコール類としては、先にポリエーテルポリオールの項で例示した化合物等が挙げられ、また、多塩基性カルボン酸類としては、例えば、アジピン酸、グルタール酸、フマル酸、マレイン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0024】
さらに、ヒドロキシカルボン酸と多価アルコールの縮合物として、ヒマシ油、ヒマシ油とエチレングリコールの反応生成物、ヒマシ油とプロピレングリコールの反応生成物等も有用である。
ラクトンの重合物とは、プロピオンラクトン、カプロラクトン、バレロラクトン等を適当な重合開始剤で開環重合させたものをいう。
【0025】
ポリマーポリオールは、例えば、前記ポリエーテルポリオールないしはポリエステルポリオールに、アクリロニトリル、スチレン、メチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させたものや、1,2−もしくは1,4−ポリブタジエンポリオール、またはこれらの水素添加物をいう。
上述のポリヒドロキシル化合物は、単独でも2種以上を使用してもよい。
【0026】
ポリイソシアネート化合物としては、具体的には、2,4−トリレンジイソシアナートまたは2,6−トリレンジイソシアナート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアナート(MDI)およびこれらの変性品、1,5−ナフタレンジイソシアナート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等が挙げられる。
上記ポリイソシアネート化合物は、単独でも2種以上を併用してもよい。
【0027】
前述のヒドロキシル化合物とポリイソシアネート化合物とを、50〜100℃程度の反応温度で、常圧下で反応させ、必要に応じて、充填剤、可塑剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、接着付与剤、分散剤等を配合し、ポリウレタン樹脂とする。
【0028】
本発明の不相溶樹脂として用いるポリウレタン樹脂は、通常使用されるポリウレタン樹脂であれば特に限定されない。
また、架橋可能な官能基を有するポリウレタン樹脂を用いることが、硬化剤としてイソシアネートを用いる点から好ましく、特に、TDI系の官能基を有するポリウレタン樹脂を使用すると、低温での加工性の改善の効果が高い。
これらの不相溶樹脂は、上述のポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜12重量部を配合する。
【0029】
配合量をこの範囲としたのは、1重量部未満では、上記ポリエステル樹脂の耐衝撃性を高める効果が発揮されないからであり、あまりに多量に配合すると接着性が低下するからである。2〜8重量部の範囲で配合することが接着性が低下せず低温加工性が改善される理由からより好ましい。
【0030】
ニトリルゴムは、アクリロニトリルとブタジエンとの乳化共重合体によって得られるゴムである。
アクリロニトリルは、塩化銅(I)触媒の存在下にアセチレンにシアン化水素を付加させる方法、エチレンオキサイドとシアン化水素からエチレンシアンヒドリンを合成し、脱水反応を行う方法、アセトアルデヒドとシアン化水素からラクトニトリルを合成し脱水反応を行う方法、または金属触媒の存在下にプロピレンとアンモニアと空気から合成するソハイオ法などにより合成される。
【0031】
ブタジエンは、ナフサの熱分解によるエチレン製造の際の副生成物からの分離、またはブタンや1−ブテンの接触脱水素により製造される。
【0032】
ニトリルゴムは、上述のようにして得たアクリロニトリルとブタジエンとを水を媒体として乳化重合し、重合停止後、脱気および水蒸気蒸留を行った後に、カーボンブラックや無機充填剤などの補強性充填剤および硫黄・硫黄系化合物である架橋剤を加え、酸化亜鉛やステアリン酸などの活性剤、加硫促進剤、アミン系やフェノール系などの酸化防止剤といった成分を必要に応じて加えて加硫することにより製造される。
【0033】
本発明で使用するニトリルゴムは、ニトリル含量は特に限定されないが、NIPOL 1001(日本ゼオン(株)製、ニトリル含量41%)、NIPOL 1072(日本ゼオン(株)製)などを用いると、低温加工性の改善の効果が高い。
【0034】
ポリブタジエンは、上述したように、ナフサの熱分解によるエチレン製造の際の副生成物からの分離やブタンや1−ブテンの接触脱水素により製造されたブタジエンより、塊状重合、溶液重合、乳化重合によって合成する。
一般的には、有機リチウム化合物または低原子価状態にある金属の配位化合物を触媒として用い、芳香族、脂肪族あるいは脂環式炭化水素を溶媒として、溶液重合により工業的に製造される。
その後、硫黄あるいは過酸化物系の架橋剤、HAFなどの充填剤、芳香族系のプロセス油、ワックス、酸化防止剤、老化防止剤などを配合し、ポリブタジエンとする。
【0035】
本発明で用いるポリブタジエンでは、その中に含まれるtrans−1,4−ポリブタジエンやcis−1,4−ポリブタジエンなどの割合は特に限定されない。
上記のポリブタジエンは、単独、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
本発明で用いるポリブタジエンは、固体であっても液状であってもよく、特に限定されないが、液状ポリブタジエンを用いると低温加工性の改善の効果が高い。
【0037】
上述のような不相溶樹脂は、本発明の接着剤組成物中においては、ポリエステル樹脂中に分散して海島構造を形成し、上述したポリエステル樹脂の耐衝撃性を高めるはたらきをする。
これらの不相溶樹脂は、上述のポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜12重量部を配合する。
配合量をこの範囲としたのは、1重量部未満では、上記ポリエステル樹脂の耐衝撃性を高める効果が発揮されないからであり、12重量部を超えて配合すると接着性が低下するからである。2〜8重量部の範囲で配合することが接着性が低下せず低温での加工性が改善される理由からより好ましい。
【0038】
ポリイソシアネートは、脂肪族系、脂環族系、芳香族系のものがあり、ジニトリルトルエンのCO酸化、カルバミン酸を経由する二段法、ジアミンを経由するホスゲン法などにより製造される。
本発明の接着剤組成物中において、ポリイソシアネートは、硬化剤として機能する。本発明において使用するポリイソシアネートは、上述したTDI、MDIなどの汎用ポリイソシアネートの他、NDI、トリジンジイソシアネート(TODI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、水添MDIなどを挙げることができ、特に限定されない。
また、トリメチロールプロパンなどのポリアルコールなどでTDIやIPDI、HDIなどのポリイソシアネートの末端を変性した変性ポリイソシアネート等を使用することができる。
【0039】
ポリイソシアネートの配合量は、5〜30重量部であることが好ましい。配合量が5重量部未満では、金属との接着性が不充分であり、30重量部を超えて配合しても接着性に改善効果が見られないからである。10〜20重量部の範囲で配合することが、接着性が良くポットライフが長い理由からさらに好ましい。
【0040】
本発明の接着剤組成物は、鋼板、アルミなどの金属材料と、塩化ビニルシート、アクリル樹脂シート、フッ化ビニルシートなどのプラスチックシートとの接着に用いるが、特に、鋼板と塩化ビニルシートとの接着に好適である。
本発明の接着剤組成物は、上記被着体同士を接着する際の熱硬化温度が低いため、塩化ビニルシートにエンボス加工などの意匠性を高めるための加工が施されている場合などに、こうした加工を損なうことなく接着できるという効果を有する。
【0041】
本発明の接着剤組成物を使用して、上記金属材料と上記プラスチックシートとを接着する場合には、本発明の接着剤を金属材料上に塗布し、所定の温度で所定の時間乾燥処理したのち、上記プラスチックシートを乗せて圧着する。
このようにして上記金属材料と圧着された上記プラスチックシートは、耐衝撃性が高く、低温時に加工を行っても、金属材料から端部ではがれたりめくれたりしないといった利点がある。
また、本発明の接着剤組成物は、耐水性が高いので、本発明の接着剤で上記塩化ビニルシートと接着した上記鋼板は、意匠性の高いVTRキャビネット、冷蔵庫の扉などの耐水性を必要としない用途ばかりでなく、ユニットバスの壁面など耐水性を要求される用途にも好適に使用することができる。
【0042】
以下に、実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
(実施例1)
ポリエステル樹脂としてバイロン200(東洋紡(株)製)、溶剤としてメチルエチルケトンおよびトルエン、不相溶樹脂としてパンデックスT−5205(ポリエステルポリウレタン、大日本インキ(株)製)、ポリイソシアネートとしてスミジュール HT(住友化学(株)製)を表1に示す量で配合し、実施例1の接着剤組成物を得た。
【0044】
(実施例2および3)
不相溶樹脂としてパンデックスT−5205Lを表1に示す量で配合した点を除き実施例1と同様にして、実施例2および3の接着剤組成物を得た。
【0045】
(実施例4、5および6)
不相溶樹脂としてNIPOL 1001(ニトリルゴム、日本ゼオン(株)製)を表1に示す量配合した点を除き実施例1と同様にして、実施例4、5および6の接着剤組成物を得た。
【0046】
(実施例7、8および9)
不相溶樹脂としてpolybd R45HT(ポリブタジエン、出光石油化学(株)製)を表1に示す量配合した点を除き実施例1と同様にして、実施例7、8および9の接着剤組成物を得た。
【0047】
(比較例1)
不相溶樹脂を配合しない点を除き実施例1と同様にして、比較例1の組成物を得た。
【0048】
(比較例2および5)
不相溶樹脂であるパンデックス T−5205を表1に示す量配合した点を除き実施例1と同様にして、比較例2および5の組成物を得た。
【0049】
(比較例3および6)
不相溶樹脂であるNIPOL 1001を表1に示す量配合した点を除き実施例1と同様にして、比較例3および6の組成物を得た。
【0050】
(比較例4および7)
不相溶樹脂であるPolybd R45HTを表1に示す量配合した点を除き実施例1と同様にして、比較例4および7の組成物を得た。
【0051】
(試験片の作成)
上述のようにして得た実施例1〜9の接着剤組成物および比較例1〜7の組成物をそれぞれ、0.5mm厚のクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板上に、乾燥膜厚6μmとなるようにバーコータを用いて塗布し、180℃で1分間熱風乾燥機で加熱乾燥し、その後直ちに塩化ビニルシートを乗せ、ロールラミネータにて圧着した。その後、直ちに冷却し、20℃で1日放置した後、試験片とした。
【0052】
(接着性評価)
上記のようにして作成した各試験片について、初期接着性、耐沸水性を以下のように試験し評価した。
【0053】
(1)初期接着性
エリクセン試験機にて、8mm押し出し後カッターナイフを用いて強制剥離させ、その剥離の程度を以下の3段階で評価した。
5:強制剥離困難
3:強制剥離可能
1:自然剥離
【0054】
(2)耐沸水性
沸騰水に12時間浸漬した後、エリクセン試験機にて8mm押し出し、これをカッターナイフを用いて強制剥離させ、その剥離の程度を以下の3段階で評価した。
5:強制剥離困難
3:強制剥離可能
1:自然剥離
【0055】
(加工性評価)
加工性は、0℃エリクセン試験を以下に示す条件で行って評価した。上記の各試験片を0℃雰囲気中に5時間放置した後、その温度のまま、エリクセン試験機にて8mm押し出しを行い、外観の変化を観察し、以下の5段階で評価した。
A:外観変化なし
B:井形部分の塩化ビニルシート端部が若干めくれる
C:井形部分の塩化ビニルシートが若干めくれる
D:井形部分に沿って塩化ビニルシートが剥がれる
E:平面部まで塩化ビニルシートが剥がれる
【0056】
上記接着性および加工性の評価の結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1に示したように、実施例1〜9の接着剤組成物は、初期接着性、耐沸水性ともに高く、0℃エリクセン試験の結果もAまたはBと剥がれやめくれもほとんどなく良好な接着性を示した。
一方、比較例1〜7の組成物は、初期接着性や、耐沸水性の低下(比較例5〜7)、あるいは0℃エリクセン試験による剥がれが大きかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明の接着剤組成物によれば、金属材料とプラスチックシート、特に、鋼板と意匠性を高めるためにエンボス加工などが施された塩化ビニルシートとを接着する際に、このようなエンボス加工などをつぶすことなく接着することができるという効果がある。
また、本発明の接着剤組成物を用いて接着された金属材料とプラスチックシートは、低温で加工を行っても端部のめくれや剥がれがほとんど起こらず、冬期に工場などで加工を行う際に特に有用である。
Claims (1)
- ポリエステル樹脂100重量部に対し、溶剤200〜400重量部と、前記溶剤に不相溶な不相溶樹脂1〜12重量部と、ポリイソシアネート5〜30重量部とを含む接着剤組成物であって、
前記溶剤が、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレンおよびシクロヘキサノンからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
前記不相溶樹脂が、ポリウレタン樹脂、ニトリルゴムおよびポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする接着剤組成物。
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