JP3760893B2 - 抗菌性下水道管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、抗菌性下水道管、詳しくはチオバチルス(Thiobacillus)属の硫黄酸化細菌によるコンクリート成分の腐食を防げるとともに、カビの発生も抑えられる抗菌性下水道管に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート二次製品である下水道管は、土中に埋設されて下水を流すことで劣化することが知られている。これは、下水中に存在するチオバチルス属の硫黄酸化細菌が硫化水素を酸化して硫酸を生成させ、これがコンクリート成分を腐食(石膏化)させるためである。
すなわち、生成された硫酸は、セメント中の成分と反応し、二水石膏とシリカゲルを生成する。その反応を次式に示す。
Ca(OH)2+H2SO4 → CaSO4・2H2O
3CaO・2SiO2・3H2O+H2SO4
→ CaSO4・2H2SO4+Si(OH)4
注)Si(OH)4 :シリカゲル
CaSO4・2H2O:二水石膏
シリカゲルは水に溶けやすく、またpH1〜2で二水石膏はパテ状となり、下水の飛沫などの小さな衝撃でも、容易に剥離する。剥離した後は、下水道管の壁面が露出し、この腐食はさらに加速していく。
なお、コンクリートの成分中には、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が20%、珪酸カルシウム(3CaO・2SiO2・3H2O)が70%くらい含まれている。
【0003】
従来、このコンクリート製の下水道管の腐食防止手段として、例えば特開平6−16460号公報の「コンクリート、モルタル又は高分子材料の劣化防止方法」に記載されたものなどが知られている。
この従来技術は、コンクリート、モルタル又は高分子材料に、抗菌性を有する非水溶性のニケロセン(ビスシクロペンタジエニルニッケル(II))を含有させることにより、下水中に存在する硫黄酸化細菌を抗菌および殺菌し、これにより長時間にわたって、かつ効率的にコンクリート、モルタルまたは高分子材料の劣化を防げる。しかも、コンクリート自体が金属系の殺菌剤を含んでいるので、長年の使用により磨耗や損傷などが発生しても、抗菌および殺菌の効果が低下せず、当初の効果を維持することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来技術にあっては、このようにニケロセンを含有する下水道管は、コンクリートのスラリーの混練作製中にニケロセンを単に添加し、それを型枠に流し込んでから、養生硬化して製造していた。
これにより、製造された下水道管の表面に、ニケルセンの主成分であるニッケルの色が現出し、商品価値を損ねるおそれがあった。
また、ニケルセンは金属粉体としてスラリーに添加されるので、比重が他のコンクリート成分より重く、スラリー中の全般に混ざりにくいという問題があった。
【0005】
【発明の目的】
そこで、この発明は、金属系の抗菌剤を添加しても下水道管の露出したコンクリートの色を損ねず、しかも均一で安定した抗菌効果が得られる抗菌性下水道管を提供することを、その目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、セメント,水,粗骨材,発泡軽量コンクリート製の細骨材を混練してコンクリートのスラリーとし、次いでこのスラリーを型枠に流し込み、その後、これを養生硬化して得られた下水道管であって、水酸化アパタイト中のカルシウムイオンの一部を抗菌性の金属イオンで置換した金属置換型水酸化アパタイトが、上記下水道管の内周面および/またはその付近に存在する抗菌性下水道管である。
【0007】
セメントとしては、普通ポルトランドセメント,早強ポルトランドセメントなどの各種のポルトランドセメントが使用することができる。例えば、普通ポルトランドセメントは、珪酸三カルシウムC3S(3CaO・SiO2),珪酸二カルシウムC2S(2CaO・SiO2),アルミン酸三カルシウムC3A(3CaO・Al2O3),鉄アルミン酸四カルシウムC4AF(4CaO・Al2O3・Fe2O3)を主成分としている。
また、早強ポルトランドセメントは、セメント組成中、早期強度の発現に貢献する化合物である珪酸三カルシウム(3CaO・SiO2)の量を、普通ポルトランドセメントより多くしている。これにより、例えば2〜3時間程度で充分な強度が得られる。
【0008】
水は、コンクリート硬度に応じて、適当量だけセメント中に加えられる。粒径が5mm以上の粗骨材および粒径が5mm以下の細骨材も、予め設定されたコンクリートの条件によって、所定量だけ添加される。
コンクリートのスラリー中に添加される金属置換型水酸化アパタイトは、前述したように水酸化アパタイト(〔Ca10(PO4)6(OH)2〕)の中のカルシウムイオンの一部を抗菌性の金属イオンで置換したものである。置換される抗菌性の金属としては、例えば銀イオン,金イオン,銅イオン,ニッケルイオン,亜鉛イオン,鉛イオン,白金イオンなどが挙げられる。水酸化アパタイトおよび金属置換型水酸化アパタイトは、それぞれどのような方法により製造されたものでもよい。
【0009】
水酸化アパタイトの製造方法としては、例えばリン酸溶液、(NH4)2HPO4,NH4H2PO4,Na2HPO4などの溶液を用いて、Ca(OH)2と湿式合成を行い、60℃の恒温槽にて、1週間養生することにより、水酸化アパタイトスラリーを得る。
合成時は、カルシウムとリンのモル比を、Ca/P=5/3=1.67に調整する。
また、金属置換型水酸化アパタイトの製造方法としては、この水酸化アパタイト中のカルシウムイオンと置換することができる抗菌性の金属イオンを含む溶液、例えば硝酸銀溶液を上記の水酸化アパタイトスラリーに添加する。1日、常温放置後に、このスラリーを乾燥、粉砕する。
【0010】
ここで、カルシウムイオンと抗菌性金属の一種である銀イオンとの置換反応式を例示する。
〔Ca10(PO4 )6(OH)2〕+xAgNO3
→〔Ca10−(x/2)Agx(PO4)6(OH)2〕+(x/2)Ca(NO3)2
このように、水酸化アパタイトに、銀イオンを含む硝酸銀溶液を加えて反応させることにより、水酸化アパタイト中のカルシウムイオンの一部が銀イオンに置換される。この置換割合は、0.1〜10%、特に1〜3%が好ましい。0.1%未満では、抗菌性の不足という不都合が生じる。また、10%を超えるとコストが高くなるという不都合が生じる。
【0011】
この銀置換の反応条件は、水酸化アパタイトスラリーに、硝酸銀を添加し、1日常温で放置する。
金属置換型水酸化アパタイトは、少なくとも下水道管の内周面か、内周面に近い部分か、この内周面とそれに近い部分かに存在していればよい。したがって、例えば下水道管の全体に金属置換型水酸化アパタイトがあってもよい。
なお、下水道管を遠心成型する場合には、コンクリートのスラリー中にノロ防止剤を添加した方が好ましい。これは、成型時の遠心力により、比較的比重の軽いノロと金属置換型水酸化アパタイトが下水道管の内周面側へ移行し、実質的には、大半の金属置換型水酸化アパタイトはノロとの混合になるからである。
【0012】
請求項1に記載の下水道管を製造する方法としては、例えば次のものを採用することができる。すなわち、セメント,水,粗骨材,細骨材を混練してコンクリートのスラリーとし、次いでこのスラリーを型枠に流し込み、その後、これを養生硬化する下水道管の製造方法であって、上記細骨材は、水酸化アパタイト中のカルシウムイオンの一部を抗菌性の金属イオンで置換した金属置換型水酸化アパタイトを含む発泡軽量コンクリートを有し、上記スラリーを型枠に流し込んだ後、この型枠をその軸線回りに高速回転して、上記軽量な発泡軽量コンクリート製の細骨材を、上記下水道管の内周面付近に集めた抗菌性下水道管の製造方法である。
【0013】
ここでいう発泡軽量コンクリートは、比重が0.5〜0.8という多孔質の軽量化されたコンクリートである。細骨材は、その全部を発泡軽量コンクリートとしてもよいし、その一部だけをこの発泡軽量コンクリート製としてもよい。細骨材である発泡軽量コンクリートは、あらかじめ5mm以下、好ましくは0.15〜5mmに粒度調整されている。
また、発泡軽量コンクリートに金属置換型水酸化アパタイトを含有させる方法としては、例えば銀置換型水酸化アパタイトの場合、発泡軽量コンクリートを5〜50wt%のリン酸溶液に1〜10分間浸漬し、その後、水温60〜80℃の水の中で5〜7日間養生する。これにより、発泡軽量コンクリート中に水酸化アパタイトが生成される。養生中は、水にアンモニアが添加されて、そのpHが7〜9前後に調整されている。次式に、水酸化アパタイトの生成反応式を示す。
【0014】
10Ca2+6PO4 3−+2OH−→Ca10(PO4)6(OH)2
上記の反応式では、発泡軽量コンクリート中のフリーのカルシウム分とリン酸とが反応する。さらにリン酸の濃度を上げていくと、発泡軽量コンクリート中のトバモライト(5CaO−6SiO2−5H2O)のカルシウム分と反応して水酸化アパタイトが生成する。
【0015】
その後、水酸化アパタイトが生成された発泡軽量コンクリートを、0.01〜0.1mol/lの硝酸銀溶液に24時間以上浸漬する。これにより、水酸化アパタイト中のカルシウムイオンが銀イオンに置換される。その後、これを乾燥して抗菌性を有する細骨材(砂)を得る。次式に、カルシウムイオンと銀イオンとの置換反応式を示す。銀置換量は、水酸化アパタイトが生成された発泡軽量コンクリート(ドライベース)に対して、1wt%である。
Ca10(PO4 )6(OH)2+xAgNO3
→Ca10−(x/2)Agx(PO4)6(OH)2+(x/2)Ca(NO3)2
【0016】
こうして得られた金属置換型水酸化アパタイトを含む発泡軽量コンクリート製の細骨材は、上記スラリーの混練作製時において、他のコンクリート原料とともに所定量添加されて、混練される。
また、このスラリーが流し込まれた型枠を、その軸線回りに高速回転する装置としては、各種の遠心成型機が採用することができる。型枠の回転速度、条件は、下水道管を成型するときと同じ程度でよい。例えば低速運転(3〜6G)では2〜3分間、中速運転(13〜17G)では2〜3分間、高速運転(33〜37G)の場合は5〜6分間とする。
【0017】
【作用】
請求項1に記載の抗菌性下水道管によれば、通常、下水道管を埋設して管内に下水を流すと、下水中の硫黄酸化細菌が硫化水素を酸化して硫酸を生成し、コンクリート成分を腐食しようとする。
しかしながら、この発明では、下水道管の内周面および/またはその面に近い管内部に抗菌性を有する金属置換型水酸化アパタイトが存在するので、この成分中の抗菌性金属が、下水中の硫黄酸化細菌を抗菌および殺菌する。これにより、効率的に下水道管の腐食を防ぐことができる。なお、コンクリート中に金属置換型水酸化アパタイトを練り混んだ下水道管の場合、この抗菌効果は、長年の使用でこの管内周面に磨耗や損傷などが発生しても、低下せず、当初の効果を維持することができる。また、この金属置換型水酸化アパタイトの場合、抗カビ性も有する。
【0018】
また、金属置換型水酸化アパタイトの色は、白色であるので、例えば従来の抗菌性を有するニケルセンなどの金属粉体を加えた場合に比べて、下水道管の露呈面の色が略コンクリート本来の色となり、デザイン上の商品価値の低下を招くおそれが少ない。
さらに、下水道管の管壁内に金属置換型水酸化アパタイトを混入する場合、その下水道管の製造時において、抗菌性を有する金属は、水酸化アパタイトのカルシウムイオンと置換された比較的比重の軽い金属置換型水酸化アパタイトとしてコンクリートスラリー中に添加される。よって、従来の比重が重い金属粉体のままでスラリーに添加していたものに比べて、スラリー全体に抗菌性の金属を混ぜやすい。これにより、均一で安定した抗菌効果が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を表を参照して説明する。ただし、この発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜実施例3、比較例1)
表1に示す配合で、内径600mm,肉厚60mm,長さ500mmの下水道管を遠心成型した。低速(5G)で2分間、中速(15G)で2分間、高速(35G)で6分間の遠心成型を行う。成型後、ボイラーにより発生させた蒸気を用いる常圧の蒸気養生を行った。具体的には、まず20℃で3〜5時間養生し、それから20℃/hの昇温速度で2〜3時間かけて温度を60〜80℃まで昇温させる。その後、この状態を4〜5時間維持し、それから20℃/hの降温速度で2〜3時間かけて、元の20℃まで降温させる。
【0020】
【表1】
【0021】
表1中、1%銀置換水酸化アパタイトには、消石灰とリン酸とを合成して得たものを使用した。すなわち、Ca/Pが1.67となるように、消石灰0.5mol/lと、工業用リン酸75重量%を精製水中に添加して攪拌し、60℃の水温で一週間養生することにより、水酸化アパタイトのスラリーを生成する。その後、この水酸化アパタイトのスラリー1l(リットル)に対して、0.8gの硝酸銀を100ml程度の水に溶かしたものを、添加、攪拌し、1%銀置換水酸化アパタイトを得た。
なお、実施例1〜実施例3において、コンクリートスラリーに対する1%銀置換水酸化アパタイトの添加量は、遠心成型時に生じるノロに対して5重量%,1重量%,0.1重量%となるように、それぞれ15kg/m3,3kg/m3,0.3kg/m3だけ添加した。
【0022】
その後、製造された下水道管の内周面から1cm×1cm×1cmの立方体を3個切り出し、これを試料片として抗菌試験を行った。細菌には、市販品のチオバチルス属の硫黄酸化細菌を使用した。この菌液1ml(106個/ml)と、リン酸緩衝液100mlを混合したものに試験片を加え、30℃、150rpmで24時間震盪して、この試験片を加える前と後の生菌数を調べた。また、この試験を継続的に行うことで、一日,一ヵ月,二ヵ月,三ヵ月の各期間が経過したときの生菌数を、同様に検査した。この抗菌試験の結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
表2から明らかなように、比較例1では期間の経過とともに、下水道管中で発生した硫黄酸化細菌により、下水道管の内周面の腐食が増殖されたが、実施例1〜3では、下水道管の金属置換型水酸化アパタイトにより、下水中の硫黄酸化細菌が抗菌または殺菌されたので、三ヵ月間の経過後も下水道管の内周面の腐食はほとんどなかった。
しかも、金属置換型水酸化アパタイトの色は、白色であるので、下水道管の外観的な商品価値は従前通りであった。
さらに、コンクリート中に金属置換型水酸化アパタイトを練り混んではいるものの、金属置換型水酸化アパタイトが従来の抗菌性の金属パウダーに比べて軽いので、スラリーの混練作製時に、抗菌剤を、このスラリー全体に分散させやすくなって、この結果、均一で安定した抗菌効果が得られた。なお、表記しないものの、同じ試験片を使用して、クロカワカビ,クロカビ,アオカビ,クモノスカビの抗カビ試験を行った。抗カビ試験はハロー法により行った。その結果、1%銀置換型水酸化アパタイトは、各カビに対して抗カビ性を有することも分かった。
【0025】
(実施例4〜実施例6、比較例2)
0.15〜5mmに粒度調整された発泡軽量コンクリート100gを、20重量%のリン酸100gに5分間浸漬し、その後、アンモニアでpH9に調整された60℃の水中で、1週間養生した。養生後の物質85gに対して、200mlの硝酸銀溶液(0.05ml/l)に一日浸漬した後、これを乾燥して抗菌性の砂(細骨材)とした。
次いで、表3に示す配合で、コンクリートのスラリーを中間製造し、これを型枠に流し込んで、内径600mm,肉厚60mm,長さ500mmの下水道管を遠心成型した。遠心成型の条件などは、実施例1〜3と同様である。
なお、細骨材の総使用量中、抗菌性砂の添加量は、実施例4〜実施例6においてそれぞれ1重量%,5重量%,10重量%とした。なお、その後の抗菌試験など、その他は実施例1〜実施例3と同様に行った。抗菌試験の結果を表4に示す。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
表4から明らかなように、比較例2では期間の経過とともに、下水道管中で発生した硫黄酸化細菌の影響で、下水道管の内周面の腐食があった。しかし、実施例4〜実施例6では、三ヵ月間の経過後も、この腐食はほとんどなかった。また、細骨材の一部に金属置換型水酸化アパタイトを含有する発泡軽量コンクリートの砂を採用したので、比較的少量の金属置換型水酸化アパタイトでもって、効率的に下水道管を抗菌化することができた。
【0029】
(実施例7、比較例3)
表5に示す配合で、実施例1〜実施例3と同様にして、3本の下水道管を製造した。そのうちの1本の下水道管の内周面に、アンモニアによりpH9に調整した5重量%のリン酸溶液を1.6kg/m2で吹き付けた。次いで、管壁内部が乾燥しないように下水道管の両端を密閉し、これを一週間養生した。これにより、管内周面付近に水酸化アパタイトが生成した。その後、この下水道管の内周面に、硝酸銀溶液(0.05ml/l)を0.254l/m2で吹き付け、同じく管壁内部が乾燥しないように両端を密閉して養生し、下水道管の内周面付近に銀置換水酸化アパタイトを生成させた。
【0030】
【表5】
【0031】
抗菌試験は、まず3本の各下水道管の両端を密閉し、その後、この抗菌処理された下水道管(実施例7)と、残った2本の内の1本の下水道管(比較例3)中に、35リットルの培養液と同量の水と106個/mlのチオバチルス属の硫黄酸化細菌とを投入し、残り1本は重量測定の基準となる下水道管とし、この管中に、培養液と同量の水を投入した。その後、抗菌処理の下水道管(実施例7)の培養液にだけ、三ヵ月間、14日ごとに管上部の孔から、所定量の培養液と細菌(106個/ml)とをスプレーするとともに、75ppmの硫化水素を所定量だけ投入した。
なお、1リットル当たりの培養液の組成は、(NH4)2SO4=2g,KNO3=3g,MgCl2・6H2O=0.5g,CaCl2・6H2O=0.25g,FeSO4・7H2O=0.01g,NaMoO4・2H2O=0.3mg,Na2SiO3・5H2O=0.5gである。
【0032】
その後、下水道管の質量を測定し、この質量の変化から硫黄酸化細菌の発生を調べた。評価は、温度20℃、湿度60パーセントの恒温恒湿室において、下水道管の質量変化の測定により行った。
質量の測定にあっては、3本の各下水道管中の培養液または水を排出し、それぞれの管内周面に付着した水分を拭き取ってから測定を行った。水だけを投入した基準の下水道管により、乾燥による下水道管の質量の減少量を求めた。結果を表6の1),2)に示す。
【0033】
【表6】
【0034】
表6から明らかなように、比較例3では、細菌によって生成された硫酸とセメント中の成分が反応して二水石膏とシリカゲルとなって、下水道管の内周面に腐食があった。これに対して、実施例7では抗菌作用により、硫酸は、生成されず下水道管の内周面の腐食はなかった。また、ここでは、下水道管の内周面に対する吹き付けによって抗菌処理を施したので、新規な下水道管だけではなく、既存の下水道管にでも抗菌処理を行えることが分かった。
【0035】
【発明の効果】
この発明の抗菌性下水道管によれば、下水道管の金属置換型水酸化アパタイトにより、下水中の硫黄酸化細菌が抗菌または殺菌されるようにしたので、下水道管の腐食を防止することができる。
しかも、金属置換型水酸化アパタイトの色は、白色であり、下水道管の外観的な商品価値を、汎用の下水道管と同等にすることができる。
さらに、コンクリート中に金属置換型水酸化アパタイトを練り混んだものにおいては、従来の抗菌剤として添加される金属パウダーに比べて、この金属置換型水酸化アパタイトの比重がセメントとほぼ同じであるので、スラリー全体に抗菌剤を分散させやすい。これにより、均一で安定した抗菌効果が得られる。
Claims (1)
- セメント,水,粗骨材,発泡軽量コンクリート製の細骨材を混練してコンクリートのスラリーとし、次いでこのスラリーを型枠に流し込み、その後、これを養生硬化して得られた下水道管であって、
水酸化アパタイト中のカルシウムイオンの一部を抗菌性の金属イオンで置換した金属置換型水酸化アパタイトが、上記下水道管の内周面および/またはその付近に存在する抗菌性下水道管。
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