JP2003138634A - 抗菌性下水道管およびその製造方法 - Google Patents

抗菌性下水道管およびその製造方法

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JP2003138634A JP2002192304A JP2002192304A JP2003138634A JP 2003138634 A JP2003138634 A JP 2003138634A JP 2002192304 A JP2002192304 A JP 2002192304A JP 2002192304 A JP2002192304 A JP 2002192304A JP 2003138634 A JP2003138634 A JP 2003138634A
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正康 山▲崎▼
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克己 原田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属系抗菌剤を添加しても下水道管のコンク
リート色を損ねず、しかも均一で安定した抗菌効果が得
られる抗菌性下水道管およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 下水道管の金属置換型水酸化アパタイト
により、下水中の硫黄酸化細菌が殺菌されるので、下水
道管の腐食を防止できる。しかも、金属置換型水酸化ア
パタイトは白色であるので、下水道管の外観的な商品価
値を、汎用の下水道管と同等にできる。さらに、コンク
リート中に金属置換型水酸化アパタイトを練り混んだも
のにおいては、従来の抗菌剤として添加される金属パウ
ダーに比べて、この金属置換型水酸化アパタイトの比重
が軽いので、スラリー全体に抗菌剤を分散させやすい。
これにより、均一で安定した抗菌効果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、抗菌性下水道管
およびその製造方法、詳しくはチオバチルス(Thio
bacillus)属の硫黄酸化細菌によるコンクリー
ト成分の腐食を防げるとともに、カビの発生も抑えられ
る抗菌性下水道管およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリート二次製品である下水道管
は、土中に埋設されて下水を流すことで劣化することが
知られている。これは、下水中に存在するチオバチルス
属の硫黄酸化細菌が硫化水素を酸化して硫酸を生成さ
せ、これがコンクリート成分を腐食(石膏化)させるた
めである。すなわち、生成された硫酸は、セメント中の
成分と反応し、二水石膏とシリカゲルを生成する。その
反応を次式に示す。 Ca(OH)+HSO → CaSO・2HO 3CaO・2SiO・3HO+HSO → CaSO・2HSO+Si(OH) 注)Si(OH) :シリカゲル CaSO・2HO:二水石膏 シリカゲルは水に溶けやすく、またpH1〜2で二水石
膏はパテ状となり、下水の飛沫などの小さな衝撃でも、
容易に剥離する。剥離した後は、下水道管の壁面が露出
し、この腐食はさらに加速していく。なお、コンクリー
トの成分中には、水酸化カルシウム(Ca(OH)
が20%、珪酸カルシウム(3CaO・2SiO・3
O)が70%くらい含まれている。
【0003】従来、このコンクリート製の下水道管の腐
食防止手段として、例えば特開平6−16460号公報
の「コンクリート、モルタル又は高分子材料の劣化防止
方法」に記載されたものなどが知られている。この従来
技術は、コンクリート、モルタル又は高分子材料に、抗
菌性を有する非水溶性のニケロセン(ビスシクロペンタ
ジエニルニッケル(II))を含有させることにより、下
水中に存在する硫黄酸化細菌を抗菌および殺菌し、これ
により長時間にわたって、かつ効率的にコンクリート、
モルタルまたは高分子材料の劣化を防げる。しかも、コ
ンクリート自体が金属系の殺菌剤を含んでいるので、長
年の使用により磨耗や損傷などが発生しても、抗菌およ
び殺菌の効果が低下せず、当初の効果を維持することが
できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来技術にあっては、このようにニケロセンを含有する下
水道管は、コンクリートのスラリーの混練作製中にニケ
ロセンを単に添加し、それを型枠に流し込んでから、養
生硬化して製造していた。これにより、製造された下水
道管の表面に、ニケルセンの主成分であるニッケルの色
が現出し、商品価値を損ねるおそれがあった。また、ニ
ケルセンは金属粉体としてスラリーに添加されるので、
比重が他のコンクリート成分より重く、スラリー中の全
般に混ざりにくいという問題があった。
【0005】
【発明の目的】そこで、この発明は、金属系の抗菌剤を
添加しても下水道管の露出したコンクリートの色を損ね
ず、しかも均一で安定した抗菌効果が得られる抗菌性下
水道管を提供することを、その目的としている。また、
この発明は、下水と接触する内周面周辺に抗菌剤を集中
させることができる抗菌性下水道管の製造方法を提供す
ることを、その目的としている。さらに、この発明は、
既存の下水道管でも抗菌処理を施すことができる抗菌性
下水道管の製造方法を提供することを、その目的として
いる。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、セメント,水,粗骨材,細骨材を混練してコンクリ
ートのスラリーとし、次いでこのスラリーを型枠に流し
込み、その後、これを養生硬化して得られた下水道管で
あって、水酸化アパタイト中のカルシウムイオンの一部
を抗菌性の金属イオンで置換した金属置換型水酸化アパ
タイトが、上記下水道管の内周面および/またはその付
近に存在する抗菌性下水道管である。
【0007】セメントとしては、普通ポルトランドセメ
ント,早強ポルトランドセメントなどの各種のポルトラ
ンドセメントが使用することができる。例えば、普通ポ
ルトランドセメントは、珪酸三カルシウムCS(3C
aO・SiO),珪酸二カルシウムCS(2CaO
・SiO),アルミン酸三カルシウムCA(3Ca
O・Al),鉄アルミン酸四カルシウムCAF
(4CaO・Al ・Fe)を主成分として
いる。また、早強ポルトランドセメントは、セメント組
成中、早期強度の発現に貢献する化合物である珪酸三カ
ルシウム(3CaO・SiO)の量を、普通ポルトラ
ンドセメントより多くしている。これにより、例えば2
〜3時間程度で充分な強度が得られる。
【0008】水は、コンクリート硬度に応じて、適当量
だけセメント中に加えられる。粒径が5mm以上の粗骨
材および粒径が5mm以下の細骨材も、予め設定された
コンクリートの条件によって、所定量だけ添加される。
コンクリートのスラリー中に添加される金属置換型水酸
化アパタイトは、前述したように水酸化アパタイト
(〔Ca10(PO(OH)〕)の中のカルシ
ウムイオンの一部を抗菌性の金属イオンで置換したもの
である。置換される抗菌性の金属としては、例えば銀イ
オン,金イオン,銅イオン,ニッケルイオン,亜鉛イオ
ン,鉛イオン,白金イオンなどが挙げられる。水酸化ア
パタイトおよび金属置換型水酸化アパタイトは、それぞ
れどのような方法により製造されたものでもよい。
【0009】水酸化アパタイトの製造方法としては、例
えばリン酸溶液、(NH)HPO ,NHPO
,NaHPOなどの溶液を用いて、Ca(OH)
と湿式合成を行い、60℃の恒温槽にて、1週間養生
することにより、水酸化アパタイトスラリーを得る。合
成時は、カルシウムとリンのモル比を、Ca/P=5/
3=1.67に調整する。また、金属置換型水酸化アパ
タイトの製造方法としては、この水酸化アパタイト中の
カルシウムイオンと置換することができる抗菌性の金属
イオンを含む溶液、例えば硝酸銀溶液を上記の水酸化ア
パタイトスラリーに添加する。1日、常温放置後に、こ
のスラリーを乾燥、粉砕する。
【0010】ここで、カルシウムイオンと抗菌性金属の
一種である銀イオンとの置換反応式を例示する。 〔Ca10(PO(OH)〕+xAgNO
→〔Ca10−(x/2)Ag(PO(OH)
〕+(x/2)Ca(NO このように、水酸化アパタイトに、銀イオンを含む硝酸
銀溶液を加えて反応させることにより、水酸化アパタイ
ト中のカルシウムイオンの一部が銀イオンに置換され
る。この置換割合は、0.1〜10%、特に1〜3%が
好ましい。0.1%未満では、抗菌性の不足という不都
合が生じる。また、10%を超えるとコストが高くなる
という不都合が生じる。
【0011】この銀置換の反応条件は、水酸化アパタイ
トスラリーに、硝酸銀を添加し、1日常温で放置する。
金属置換型水酸化アパタイトは、少なくとも下水道管の
内周面か、内周面に近い部分か、この内周面とそれに近
い部分かに存在していればよい。したがって、例えば下
水道管の全体に金属置換型水酸化アパタイトがあっても
よい。なお、下水道管を遠心成型する場合には、コンク
リートのスラリー中にノロ防止剤を添加した方が好まし
い。これは、成型時の遠心力により、比較的比重の軽い
ノロと金属置換型水酸化アパタイトが下水道管の内周面
側へ移行し、実質的には、大半の金属置換型水酸化アパ
タイトはノロとの混合になるからである。これらの事項
は、請求項2および請求項3にも当てはまる。
【0012】請求項2に記載の発明は、セメント,水,
粗骨材,細骨材を混練してコンクリートのスラリーと
し、次いでこのスラリーを型枠に流し込み、その後、こ
れを養生硬化する下水道管の製造方法であって、上記細
骨材は、水酸化アパタイト中のカルシウムイオンの一部
を抗菌性の金属イオンで置換した金属置換型水酸化アパ
タイトを含む発泡軽量コンクリートを有し、上記スラリ
ーを型枠に流し込んだ後、この型枠をその軸線回りに高
速回転して、上記軽量な発泡軽量コンクリート製の細骨
材を、上記下水道管の内周面付近に集めた抗菌性下水道
管の製造方法である。
【0013】ここでいう発泡軽量コンクリートは、比重
が0.5〜0.8という多孔質の軽量化されたコンクリ
ートである。細骨材は、その全部を発泡軽量コンクリー
トとしてもよいし、その一部だけをこの発泡軽量コンク
リート製としてもよい。細骨材である発泡軽量コンクリ
ートは、あらかじめ5mm以下、好ましくは0.15〜
5mmに粒度調整されている。また、発泡軽量コンクリ
ートに金属置換型水酸化アパタイトを含有させる方法と
しては、例えば銀置換型水酸化アパタイトの場合、発泡
軽量コンクリートを5〜50wt%のリン酸溶液に1〜
10分間浸漬し、その後、水温60〜80℃の水の中で
5〜7日間養生する。これにより、発泡軽量コンクリー
ト中に水酸化アパタイトが生成される。養生中は、水に
アンモニアが添加されて、そのpHが7〜9前後に調整
されている。次式に、水酸化アパタイトの生成反応式を
示す。
【0014】10Ca2+6PO 3−+2OH→C
10(PO(OH) 上記の反応式では、発泡軽量コンクリート中のフリーの
カルシウム分とリン酸とが反応する。さらにリン酸の濃
度を上げていくと、発泡軽量コンクリート中のトバモラ
イト(5CaO−6SiO−5HO)のカルシウム
分と反応して水酸化アパタイトが生成する。
【0015】その後、水酸化アパタイトが生成された発
泡軽量コンクリートを、0.01〜0.1mol/lの
硝酸銀溶液に24時間以上浸漬する。これにより、水酸
化アパタイト中のカルシウムイオンが銀イオンに置換さ
れる。その後、これを乾燥して抗菌性を有する細骨材
(砂)を得る。次式に、カルシウムイオンと銀イオンと
の置換反応式を示す。銀置換量は、水酸化アパタイトが
生成された発泡軽量コンクリート(ドライベース)に対
して、1wt%である。 Ca10(PO(OH)+xAgNO→C
10−(x/2)Ag(PO(OH)
(x/2)Ca(NO
【0016】こうして得られた金属置換型水酸化アパタ
イトを含む発泡軽量コンクリート製の細骨材は、上記ス
ラリーの混練作製時において、他のコンクリート原料と
ともに所定量添加されて、混練される。また、このスラ
リーが流し込まれた型枠を、その軸線回りに高速回転す
る装置としては、各種の遠心成型機が採用することがで
きる。型枠の回転速度、条件は、下水道管を成型すると
きと同じ程度でよい。例えば低速運転(3〜6G)では
2〜3分間、中速運転(13〜17G)では2〜3分
間、高速運転(33〜37G)の場合は5〜6分間とす
る。
【0017】請求項3に記載の発明は、セメント,水,
粗骨材,細骨材を混練してコンクリートのスラリーと
し、次いでこのスラリーを型枠に流し込み、その後、こ
れを養生硬化する下水道管の製造方法であって、上記養
生硬化された下水道管の内周面にリン酸溶液を塗布し、
その後、これを養生することで、上記下水道管の表面に
水酸化アパタイトを生成させ、次いで、この水酸化アパ
タイトが生成された下水道管の内周面に、抗菌性の金属
イオンを含む溶液を塗布し、その後、これを養生するこ
とで、上記水酸化アパタイトのカルシウムイオンの一部
を、抗菌性を有する金属イオンと置換して金属置換型水
酸化アパタイトとする抗菌性下水道管の製造方法であ
る。
【0018】下水道管の内周面にリン酸溶液を塗布する
方法としては、例えば刷毛塗り法、吹き付け法などがあ
る。5wt%リン酸溶液の塗布量は1500〜1700
g/m程度である。リン酸溶液の塗布後の養生には蒸
気養生などを採用することができる。養生は5〜7日
間、養生温度は60〜80℃、pHは7〜9(例えばア
ンモニアにより調整)などとすることができる。リン酸
溶液の塗布、養生により、下水道管の内周面近傍のコン
クリート中に、水酸化アパタイトが生成される。
【0019】抗菌性の金属イオンを含む溶液としては、
上述した例えば硝酸銀溶液が挙げられる。この抗菌性の
金属イオンを含む溶液を、水酸化アパタイトが生成され
た下水道管の内周面に塗布する方法としては、リン酸溶
液の場合と同様の方法を採用することができる。硝酸銀
溶液(0.05mol/l)の塗布量は、0.2〜0.
3l/mとする。また、この塗布後の養生条件は、養
生時間が24時間、養生温度は常温(20〜30℃)と
する。この溶液中の金属イオン(例えば銀イオン)によ
り、水酸化アパタイト中のカルシウムイオンの一部が置
換される。
【0020】
【作用】請求項1〜請求項3に記載の抗菌性下水道管お
よびその製造方法によれば、通常、下水道管を埋設して
管内に下水を流すと、下水中の硫黄酸化細菌が硫化水素
を酸化して硫酸を生成し、コンクリート成分を腐食しよ
うとする。しかしながら、この発明では、下水道管の内
周面および/またはその面に近い管内部に抗菌性を有す
る金属置換型水酸化アパタイトが存在するので、この成
分中の抗菌性金属が、下水中の硫黄酸化細菌を抗菌およ
び殺菌する。これにより、効率的に下水道管の腐食を防
ぐことができる。なお、コンクリート中に金属置換型水
酸化アパタイトを練り混んだ下水道管の場合、この抗菌
効果は、長年の使用でこの管内周面に磨耗や損傷などが
発生しても、低下せず、当初の効果を維持することがで
きる。また、この金属置換型水酸化アパタイトの場合、
抗カビ性も有する。
【0021】また、金属置換型水酸化アパタイトの色
は、白色であるので、例えば従来の抗菌性を有するニケ
ルセンなどの金属粉体を加えた場合に比べて、下水道管
の露呈面の色が略コンクリート本来の色となり、デザイ
ン上の商品価値の低下を招くおそれが少ない。さらに、
下水道管の管壁内に金属置換型水酸化アパタイトを混入
する場合、その下水道管の製造時において、抗菌性を有
する金属は、水酸化アパタイトのカルシウムイオンと置
換された比較的比重の軽い金属置換型水酸化アパタイト
としてコンクリートスラリー中に添加される。よって、
従来の比重が重い金属粉体のままでスラリーに添加して
いたものに比べて、スラリー全体に抗菌性の金属を混ぜ
やすい。これにより、均一で安定した抗菌効果が得られ
る。
【0022】請求項2に記載の抗菌性下水道管の製造方
法によれば、スラリーを型枠に流し込み、その後、この
型枠をその軸線回りに高速回転すると、金属置換型水酸
化アパタイトを含む軽量な発泡軽量コンクリート製の細
骨材が、下水道管の内周面付近に移動する。これによ
り、比較的少ない量の金属置換型水酸化アパタイトでも
って、効率的に下水道管の抗菌化を行うことができる。
【0023】請求項3に記載の抗菌性下水道管の製造方
法によれば、養生硬化された下水道管の内周面にリン酸
溶液を塗布後、養生すると、下水道管の表面に水酸化ア
パタイトが生成する。それから、この下水道管の内周面
に、抗菌性の金属イオンを含む溶液を塗布して養生する
と、水酸化アパタイトのカルシウムイオンの一部が、こ
の抗菌性の金属イオンと置換し、金属置換型水酸化アパ
タイトが生成する。このような工程を踏まえて、下水道
管の抗菌処理が行われるので、新たに製造された下水道
管だけでなく、例えば既に製造されていた下水道管でも
抗菌化することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例を表を参
照して説明する。ただし、この発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。 (実施例1〜実施例3、比較例1)表1に示す配合で、
内径600mm,肉厚60mm,長さ500mmの下水
道管を遠心成型した。低速(5G)で2分間、中速(1
5G)で2分間、高速(35G)で6分間の遠心成型を
行う。成型後、ボイラーにより発生させた蒸気を用いる
常圧の蒸気養生を行った。具体的には、まず20℃で3
〜5時間養生し、それから20℃/hの昇温速度で2〜
3時間かけて温度を60〜80℃まで昇温させる。その
後、この状態を4〜5時間維持し、それから20℃/h
の降温速度で2〜3時間かけて、元の20℃まで降温さ
せる。
【0025】
【表1】
【0026】表1中、1%銀置換水酸化アパタイトに
は、消石灰とリン酸とを合成して得たものを使用した。
すなわち、Ca/Pが1.67となるように、消石灰
0.5mol/lと、工業用リン酸75重量%を精製水
中に添加して攪拌し、60℃の水温で一週間養生するこ
とにより、水酸化アパタイトのスラリーを生成する。そ
の後、この水酸化アパタイトのスラリー1l(リット
ル)に対して、0.8gの硝酸銀を100ml程度の水
に溶かしたものを、添加、攪拌し、1%銀置換水酸化ア
パタイトを得た。なお、実施例1〜実施例3において、
コンクリートスラリーに対する1%銀置換水酸化アパタ
イトの添加量は、遠心成型時に生じるノロに対して5重
量%,1重量%,0.1重量%となるように、それぞれ
15kg/m,3kg/m,0.3kg/mだけ
添加した。
【0027】その後、製造された下水道管の内周面から
1cm×1cm×1cmの立方体を3個切り出し、これ
を試料片として抗菌試験を行った。細菌には、市販品の
チオバチルス属の硫黄酸化細菌を使用した。この菌液1
ml(10個/ml)と、リン酸緩衝液100mlを
混合したものに試験片を加え、30℃、150rpmで
24時間震盪して、この試験片を加える前と後の生菌数
を調べた。また、この試験を継続的に行うことで、一
日,一ヵ月,二ヵ月,三ヵ月の各期間が経過したときの
生菌数を、同様に検査した。この抗菌試験の結果を表2
に示す。
【0028】
【表2】
【0029】表2から明らかなように、比較例1では期
間の経過とともに、下水道管中で発生した硫黄酸化細菌
により、下水道管の内周面の腐食が増殖されたが、実施
例1〜3では、下水道管の金属置換型水酸化アパタイト
により、下水中の硫黄酸化細菌が抗菌または殺菌された
ので、三ヵ月間の経過後も下水道管の内周面の腐食はほ
とんどなかった。しかも、金属置換型水酸化アパタイト
の色は、白色であるので、下水道管の外観的な商品価値
は従前通りであった。さらに、コンクリート中に金属置
換型水酸化アパタイトを練り混んではいるものの、金属
置換型水酸化アパタイトが従来の抗菌性の金属パウダー
に比べて軽いので、スラリーの混練作製時に、抗菌剤
を、このスラリー全体に分散させやすくなって、この結
果、均一で安定した抗菌効果が得られた。なお、表記し
ないものの、同じ試験片を使用して、クロカワカビ,ク
ロカビ,アオカビ,クモノスカビの抗カビ試験を行っ
た。抗カビ試験はハロー法により行った。その結果、1
%銀置換型水酸化アパタイトは、各カビに対して抗カビ
性を有することも分かった。
【0030】(実施例4〜実施例6、比較例2)0.1
5〜5mmに粒度調整された発泡軽量コンクリート10
0gを、20重量%のリン酸100gに5分間浸漬し、
その後、アンモニアでpH9に調整された60℃の水中
で、1週間養生した。養生後の物質85gに対して、2
00mlの硝酸銀溶液(0.05ml/l)に一日浸漬
した後、これを乾燥して抗菌性の砂(細骨材)とした。
次いで、表3に示す配合で、コンクリートのスラリーを
中間製造し、これを型枠に流し込んで、内径600m
m,肉厚60mm,長さ500mmの下水道管を遠心成
型した。遠心成型の条件などは、実施例1〜3と同様で
ある。なお、細骨材の総使用量中、抗菌性砂の添加量
は、実施例4〜実施例6においてそれぞれ1重量%,5
重量%,10重量%とした。なお、その後の抗菌試験な
ど、その他は実施例1〜実施例3と同様に行った。抗菌
試験の結果を表4に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】表4から明らかなように、比較例2では期
間の経過とともに、下水道管中で発生した硫黄酸化細菌
の影響で、下水道管の内周面の腐食があった。しかし、
実施例4〜実施例6では、三ヵ月間の経過後も、この腐
食はほとんどなかった。また、細骨材の一部に金属置換
型水酸化アパタイトを含有する発泡軽量コンクリートの
砂を採用したので、比較的少量の金属置換型水酸化アパ
タイトでもって、効率的に下水道管を抗菌化することが
できた。
【0034】(実施例7、比較例3)表5に示す配合
で、実施例1〜実施例3と同様にして、3本の下水道管
を製造した。そのうちの1本の下水道管の内周面に、ア
ンモニアによりpH9に調整した5重量%のリン酸溶液
を1.6kg/mで吹き付けた。次いで、管壁内部が
乾燥しないように下水道管の両端を密閉し、これを一週
間養生した。これにより、管内周面付近に水酸化アパタ
イトが生成した。その後、この下水道管の内周面に、硝
酸銀溶液(0.05ml/l)を0.254l/m
吹き付け、同じく管壁内部が乾燥しないように両端を密
閉して養生し、下水道管の内周面付近に銀置換水酸化ア
パタイトを生成させた。
【0035】
【表5】
【0036】抗菌試験は、まず3本の各下水道管の両端
を密閉し、その後、この抗菌処理された下水道管(実施
例7)と、残った2本の内の1本の下水道管(比較例
3)中に、35リットルの培養液と同量の水と10
/mlのチオバチルス属の硫黄酸化細菌とを投入し、残
り1本は重量測定の基準となる下水道管とし、この管中
に、培養液と同量の水を投入した。その後、抗菌処理の
下水道管(実施例7)の培養液にだけ、三ヵ月間、14
日ごとに管上部の孔から、所定量の培養液と細菌(10
個/ml)とをスプレーするとともに、75ppmの
硫化水素を所定量だけ投入した。なお、1リットル当た
りの培養液の組成は、(NHSO=2g,KN
=3g,MgCl・6HO=0.5g,CaC
・6HO=0.25g,FeSO・7HO=
0.01g,NaMoO・2HO=0.3mg,N
SiO・5HO=0.5gである。
【0037】その後、下水道管の質量を測定し、この質
量の変化から硫黄酸化細菌の発生を調べた。評価は、温
度20℃、湿度60パーセントの恒温恒湿室において、
下水道管の質量変化の測定により行った。質量の測定に
あっては、3本の各下水道管中の培養液または水を排出
し、それぞれの管内周面に付着した水分を拭き取ってか
ら測定を行った。水だけを投入した基準の下水道管によ
り、乾燥による下水道管の質量の減少量を求めた。結果
を表6の1),2)に示す。
【0038】
【表6】
【0039】表6から明らかなように、比較例3では、
細菌によって生成された硫酸とセメント中の成分が反応
して二水石膏とシリカゲルとなって、下水道管の内周面
に腐食があった。これに対して、実施例7では抗菌作用
により、硫酸は、生成されず下水道管の内周面の腐食は
なかった。また、ここでは、下水道管の内周面に対する
吹き付けによって抗菌処理を施したので、新規な下水道
管だけではなく、既存の下水道管にでも抗菌処理を行え
ることが分かった。
【0040】
【発明の効果】この発明の抗菌性下水道管およびその製
造方法によれば、下水道管の金属置換型水酸化アパタイ
トにより、下水中の硫黄酸化細菌が抗菌または殺菌され
るようにしたので、下水道管の腐食を防止することがで
きる。しかも、金属置換型水酸化アパタイトの色は、白
色であり、下水道管の外観的な商品価値を、汎用の下水
道管と同等にすることができる。さらに、コンクリート
中に金属置換型水酸化アパタイトを練り混んだものにお
いては、従来の抗菌剤として添加される金属パウダーに
比べて、この金属置換型水酸化アパタイトの比重がセメ
ントとほぼ同じであるので、スラリー全体に抗菌剤を分
散させやすい。これにより、均一で安定した抗菌効果が
得られる。
【0041】特に、請求項2に記載の抗菌性下水道管の
製造方法によれば、金属置換型水酸化アパタイトを含有
する発泡軽量コンクリートを細骨材としたコンクリート
のスラリーを遠心成型して、下水道管を製造するように
したので、比較的少量の金属置換型水酸化アパタイトで
もって、効率的に下水道管を抗菌化することができる。
【0042】請求項3に記載の抗菌性下水道管の製造方
法によれば、まずリン酸溶液を塗布して、この下水道管
の内周面に水酸化アパタイトを生成させ、その後、この
内周面に抗菌性の金属イオンを含む溶液を塗布して、水
酸化アパタイトを金属置換型水酸化アパタイトにしたの
で、新規な下水道管だけではなく、既存の下水道管をも
抗菌化することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C04B 103:69 C04B 103:69 (72)発明者 原田 克己 福岡県北九州市八幡西区洞南町1番1号 三菱マテリアル株式会社セメント開発セン ター内 (72)発明者 吉田 正春 福岡県北九州市八幡西区洞南町1番1号 三菱マテリアル株式会社セメント開発セン ター内 Fターム(参考) 2D063 BA01 BA31 3H111 AA01 BA07 BA31 CB02 CB14 DA26 DB05 EA03 4G012 MB41 PB02 PB31 PC01 PE04 4G028 DA01 DB05 DB07 DB14 DC07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメント,水,粗骨材,細骨材を混練し
    てコンクリートのスラリーとし、次いでこのスラリーを
    型枠に流し込み、その後、これを養生硬化して得られた
    下水道管であって、 水酸化アパタイト中のカルシウムイオンの一部を抗菌性
    の金属イオンで置換した金属置換型水酸化アパタイト
    が、上記下水道管の内周面および/またはその付近に存
    在する抗菌性下水道管。
  2. 【請求項2】 セメント,水,粗骨材,細骨材を混練し
    てコンクリートのスラリーとし、次いでこのスラリーを
    型枠に流し込み、その後、これを養生硬化する下水道管
    の製造方法であって、 上記細骨材は、水酸化アパタイト中のカルシウムイオン
    の一部を抗菌性の金属イオンで置換した金属置換型水酸
    化アパタイトを含む発泡軽量コンクリートを有し、 上記スラリーを型枠に流し込んだ後、この型枠をその軸
    線回りに高速回転して、上記軽量な発泡軽量コンクリー
    ト製の細骨材を、上記下水道管の内周面付近に集めた抗
    菌性下水道管の製造方法。
  3. 【請求項3】 セメント,水,粗骨材,細骨材を混練し
    てコンクリートのスラリーとし、次いでこのスラリーを
    型枠に流し込み、その後、これを養生硬化する下水道管
    の製造方法であって、 上記養生硬化された下水道管の内周面にリン酸水溶液ま
    たは水溶性のリン酸塩水溶液を塗布し、その後、これを
    養生することで、上記下水道管の表面に水酸化アパタイ
    トを生成させ、 次いで、この水酸化アパタイトが生成された下水道管の
    内周面に、抗菌性の金属イオンを含む溶液を塗布し、そ
    の後、これを養生することで、上記水酸化アパタイトの
    カルシウムイオンの一部を、抗菌性を有する金属イオン
    と置換して金属置換型水酸化アパタイトとする抗菌性下
    水道管の製造方法。
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