JPH07242449A - セメント組成物 - Google Patents

セメント組成物

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JPH07242449A
JPH07242449A JP6033886A JP3388694A JPH07242449A JP H07242449 A JPH07242449 A JP H07242449A JP 6033886 A JP6033886 A JP 6033886A JP 3388694 A JP3388694 A JP 3388694A JP H07242449 A JPH07242449 A JP H07242449A
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    • Y02P40/10Production of cement, e.g. improving or optimising the production methods; Cement grinding

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  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フラックスを使用せず、しかも高炉スラグを
混入しない、あるいは高炉スラグの混合量の少ない耐海
水性に富むセメント組成物を提供することである。 【構成】 3CaO・SiO2 ,2CaO・SiO2
3CaO・Al2 3 ,4CaO・Al2 3 ・Fe2
3 の化合物組成を含むものであって、SiO2とAl
2 3 との重量比が8以上であるセメント組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に海水の侵食に対し
て優れた抵抗性を有するセメントペースト、モルタル及
びコンクリート等のセメント硬化体を製造できる耐海水
性セメント組成物に関するものである。
【0002】
【発明の背景】従来、耐海水性セメントとして、以下に
述べる組成物等が提案されている。例えば、特開昭49
−51312号公報に示される如く、セメント中の3C
aO・Al2 3 (C3 A)量と4CaO・Al2 3
・Fe2 3 (C4 AF)量を制限し、そして少量のフ
ラックスを添加してセメントクリンカーを焼成する技術
がある。
【0003】又、特公昭57−10055号公報に示さ
れる如く、C3 A量とC4 AF量の制限と共に、両者の
重量比を規定し、かつ、3CaO・SiO2 (C3 S)
を60重量%以上としたセメントクリンカーに、活性シ
リカ質微粉末と多量の石膏とを加えてセメントを調製す
る技術がある。又、特公昭56−31296号公報に示
される如く、C3 Sを60〜70重量%、C3 Aを4重
量%以下含むセメントクリンカーに、高炉スラグと石膏
とを各々のセメント中の含有量が60〜70重量%及び
SO3 換算で3. 0〜4. 5重量%となるように加えて
セメントを調製する技術がある。
【0004】ところで、上記特開昭49−51312号
公報および特公昭57−10055号公報の技術は、C
3 A量およびC4 AF量の低減に伴うクリンカー中の液
相量の減少によって生じる焼成の困難さを解決する為
に、フラックスを配合している。しかしながら、フラッ
クスとして通常用いられるCaF2 (ホタル石)の添加
は、低温度域で分解、溶融するCaO−SiO2 −Ca
2 系化合物を生成する為、現在の焼成様式の主流であ
るニューサスペンションプレヒータ付きキルンにおいて
はプレヒータのサイクロンが閉塞し、連続安定運転に支
障を来すことが多い問題点があった。又、フラックスの
添加には、原料粉砕工程に新たな供給設備の新設が必要
である。
【0005】このようなことから、フラックスを使用し
ないで製造できる耐海水性セメントが望まれて来た。
又、特公昭56−31296号公報の技術は、高炉スラ
グを60〜70重量%と言ったように多量に混合したセ
メントである為、コンクリートの中性化の進行が速く、
鉄筋コンクリート構造物の鉄筋が腐食するなど耐久性の
面で問題点があった。
【0006】この為、高炉スラグを混入しないポルトラ
ンドセメント、あるいは高炉スラグ混合量の少ない高炉
セメントによる耐海水性セメントが望まれて来た。
【0007】
【発明の開示】本発明の目的は、フラックスを使用せ
ず、しかも高炉スラグを混入しない、あるいは高炉スラ
グの混合量の少ない耐海水性に富むセメント組成物を提
供することである。この本発明の目的は、3CaO・S
iO2 ,2CaO・SiO2 ,3CaO・Al2 3
4CaO・Al2 3 ・Fe2 3 の化合物組成を含む
ものであって、SiO2 とAl2 3 との重量比が8以
上であることを特徴とするセメント組成物によって達成
される。
【0008】特に、3CaO・SiO2 ,2CaO・S
iO2 ,3CaO・Al2 3 ,4CaO・Al2 3
・Fe2 3 の化合物組成を含むものであって、SiO
2 とAl2 3 との重量比が8〜15であることを特徴
とするセメント組成物によって達成される。尚、このセ
メント組成物(特に、耐海水性セメント組成物)におい
て、3CaO・SiO2 ,2CaO・SiO2 ,3Ca
O・Al2 3 及び4CaO・Al 2 3 ・Fe2 3
の総量を100重量部とした場合に、Fe2 3 が2.
0〜4.2重量部の割合であることが好ましい。
【0009】又、3CaO・SiO2 ,2CaO・Si
2 ,3CaO・Al2 3 及び4CaO・Al2 3
・Fe2 3 の総量100重量部に対して、3CaO・
SiO2 が20〜45重量部、2CaO・SiO2 が4
0〜75重量部の割合であることが好ましい。そして、
高炉スラグを5〜60重量%添加したものは一層好まし
いものとなる。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。セ
メント硬化体の海水による侵食には、塩素イオン(Cl
- )と硫酸イオン(SO4 2- )の作用がある。塩素イオ
ンは、C3 Sや2CaO・SiO2 (C2 S)の水和生
成物である水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )と反応
し、溶解度の大きな塩化カルシウム(CaCl2 )を生
じる為、その溶脱によって硬化体が多孔化し、劣化させ
ると考えられている。
【0011】硫酸イオンは、C3 AやC4 AFの水和物
および水酸化カルシウムと反応してエトリンガイト(C
3 A・3CaSO4 ・32H2 O)を生成させ、この時
の体積膨張によって、硬化体が膨張し、崩壊すると考え
られている。尚、C4 AFはC3 Aよりも硫酸塩抵抗性
は大きいが、海水抵抗性はC3 Aと同様に小さいという
報告が有る。
【0012】従って、耐海水性に優れたセメント組成物
を得るには、水酸化カルシウムの生成量が少なく、C3
AやC4 AFの含有量の少ないものにすれば良いことに
なる。ところで、本発明は、連続安定運転によるクリン
カーの製造を可能とする為に、フラックスを使用せず、
かつ、コンクリート等のセメント硬化体の耐久性を向上
させることを目的として、中性化速度が遅い耐海水性セ
メント組成物の開発を行ったものである。
【0013】前記特公昭57−10055号公報におい
ては、海水の侵食を受け易い化合物であるC3 AとC4
AFの合量を10重量%以下としているが、C3 Sを少
なくとも60重量%としたセメントクリンカーを耐海水
性セメントの構成成分とし、同公報の第4欄第4〜15
行目に記載されている如く、クリンカーの焼成において
CaF2 (ホタル石)に代表される無機融剤(フラック
ス)の使用が不可欠である。この技術においてフラック
スが必要な理由は、C3 AとC4 AFの含有量を低減す
ることによってクリンカー焼成における液相量が減少
し、セメント化合物、特にC3 Sの生成反応が阻害さ
れ、未反応CaOすなわち遊離CaOの増加につなが
り、良質なセメントを製造することが困難になる為、こ
れを解決する為である。
【0014】これに対して、本発明者は、フラックスを
使用することなく耐海水性に優れたセメントを製造する
ことを目的として、C3 A及びC4 AFの含有量が少な
い処方に関して、遊離CaOが少ないクリンカーを焼成
することが出来、かつ、それを用いたセメントの耐海水
性が優れたものとなる化学組成について研究を進めた
処、セメント中の化学成分におけるSiO2 とAl2
3 との重量比(SiO2/Al2 3 、活動係数)が高
いものほど目的とする物性が得られる傾向の有ることを
見出すに至った。
【0015】そして、更なる検討の結果、セメント(ポ
ルトランドセメント)の構成化合物であるC3 S,C2
S,C2 A,C4 AFの組成割合を適正化し、活動係数
を8以上、望ましくは8〜15、より望ましくは8〜1
3、特に望ましくは9〜12としたセメント(ポルトラ
ンドセメント)は耐海水性に極めて優れ、かつ、遊離C
aOの少ない良質なセメントになり得ると言うことを見
出した。
【0016】すなわち、活動係数が8未満のポルトラン
ドセメントは、海水養生によるセメント硬化体の強度低
下が大きく、耐海水性に劣るものであった。逆に、活動
係数が15を越えたポルトランドセメントは、Al2
3 量が少なく、クリンカー中の液相量が少なくなり、ク
リンカーが塊状にならず、細粒や粉状になり、ロータリ
ーキルンやクリンカークーラの安定運転が出来にくい傾
向が有った。
【0017】尚、従来のセメントにおける活動係数は、
下記の表Aに示す如く、大体2. 5〜6. 0である。 表 A ポルトランド 化 学 成 分 (%) 活動係数 セメント種類 SiO2 Al2O3 Fe2O3 CaO SO3 普通 22.0 5.2 3.0 64.3 2.0 4.23 早強 20.9 4.8 2.8 65.1 2.8 4.35 超早強 20.0 4.9 2.7 65.3 3.6 4.08 中庸熱 23.5 4.1 4.0 63.7 1.8 5.73 耐硫酸塩 22.5 3.5 4.3 64.8 1.8 6.43 白色 23.3 4.7 0.2 66.1 2.4 4.96 ASTM規格タイプIV 24.0 4.4 3.9 61.0 1.9 5.45 更に、活動係数が8〜15の範囲内にあり、かつ、ポル
トランドセメント中の化学成分におけるFe2 3
(C3 S+C2 S+C3 A+C4 AF)(以下、Fe2
3 割合)が2.0〜4.2重量%、より望ましくは
2.2〜3.8重量%、特に望ましくは2.3〜3.5
重量%の範囲内にあることが好ましいことも判って来
た。すなわち、Fe2 3 割合が前記の範囲を外れたも
のになると、ボーグ式で計算されるC4 AF/(C3
+C2 S+C3 A+C4 AF)が6重量%以下あるいは
12重量%以上となり、前者の場合はクリンカー中の遊
離CaOが1重量%以下の良質なセメントを製造するこ
とが出来ず、後者の場合は耐海水性が悪化した。
【0018】そして、本発明によれば、耐海水性に優
れ、かつ、フラックスを用いることなく、遊離CaOの
少ない良質なポルトランドセメントが得られたのである
が、その理由は次のように考えられた。先ず、本発明の
セメント組成物が耐海水性に優れる理由としては、Si
2 /Al2 3 を通常のセメントよりも大きくするこ
とによって、SiO2 分に対するAl2 3 が少なくな
り、耐海水性に優れる化合物であるC2 Sに対する耐海
水性に劣る化合物であるC3 AやC4 AFの比率が小さ
くなる為と理解された。又、固溶成分を多く含む化合物
であるC2 S量が多くなる為、これに固溶するAl2
3 とFe2 3 の量が多くなり、C3 AおよびC4 AF
の実際の量がボーグ式で計算される量よりも少なくな
り、このことが耐海水性を更に向上させていると理解さ
れた。
【0019】次に、フラックスを用いることなく、遊離
CaOの少ない良質なセメントを得ることが可能となっ
た理由としては、SiO2 /Al2 3 の高いことが、
3Sに対するC2 Sの量が多くなる方向にあることを
挙げることが出来る。すなわち、C3 Sは液相量が少な
いと生成速度が極端に遅い化合物であるが、C2 Sは液
相が存在しなくても固相反応によって十分に生成する化
合物であり、一般的なセメントよりもC3 S量が少な
く、C2 S量が多くなることによって、C3 AおよびC
4 AFの量が少量であっても、遊離CaOの少ない良質
なクリンカーが焼成できるものと理解された。
【0020】又、C2 Sは、C3 Sよりも次の水和反応
式で示される如く、塩素イオンによって侵食を受ける水
酸化カルシウム(Ca(OH)2)の生成量が少なく、C
2 S量の多いセメントは、このことによっても耐海水性
に優れたものになる。 2(2CaO・SiO2 )+4H2 O→3CaO・2S
iO2 ・3H2 O+Ca(OH)2 2(3CaO・SiO2 )+6H2 O→3CaO・2S
iO2 ・3H2 O+3Ca(OH)2 次に、セメントの化合物組成において、3CaO・Si
2 ,2CaO・SiO2 ,3CaO・Al2 3 及び
4CaO・Al2 3 ・Fe2 3 の総量100重量部
に対して3CaO・SiO2 が20〜45重量部、2C
aO・SiO2が40〜75重量部の割合とした理由
は、汎用的な耐海水性セメントを製造し、実用に供する
際の強度発現性を考慮に入れた、より好ましいセメント
とする為である。
【0021】すなわち、セメントの強度発現に寄与する
化合物は、主にC3 SとC2 Sとである。そして、活動
係数が8〜15、Fe2 3 割合が約2〜3重量%にお
いて、C3 SとC2 Sとの量を変化させて検討した結
果、C3 S/(C3 S+C2 S+C3 A+C4 AF)
(以下、C3 S割合)が20〜45重量%、C2 S/
(C 3 S+C2 S+C3 A+C4 AF)(以下、C2
割合)が40〜75重量%となるセメントが得られるよ
うにクリンカーの化合物組成を設計すれば、遊離CaO
が1重量%以下となる良質なクリンカーが焼成でき、こ
れに石膏を添加して得られたセメントは全材齢の強度発
現性が良好で、かつ、耐海水性に極めて優れていたので
ある。
【0022】尚、C3 S割合が45重量%を越えて多す
ぎ、そしてC2 S割合が40重量%未満と少な過ぎる
と、液相の少ないクリンカー組成に対して反応速度の遅
いC3Sの量が過多となる為、遊離CaOが多くなり、
良質なセメントを得ることが出来難かった。又、C3
割合が20重量%未満と少な過ぎ、そしてC2 S割合が
75重量%を越えて多すぎると、硬化体の初期材齢の強
度が極端に低下する傾向が有った。これは、C3 Sが初
期材齢の水和活性が高く、反対にC2 Sが初期材齢の水
和活性が低い化合物の為であると考えられる。
【0023】そして、コンクリートの施工速度等の実用
面から、材齢3日における必要強度を50kgf/cm
2 程度とすれば、C3 S割合は20重量%以上とするこ
とが好ましい。尚、C3 S割合は、より望ましくは22
〜42重量%、特に望ましくは22〜37重量%、C2
S割合は、より望ましくは45〜72重量%、特に望ま
しくは55〜72重量%とすることが一層好ましい。
【0024】但し、施工期間を長期間に出来る場合に
は、C3 S割合が20重量%未満となり、C2 S割合が
75重量%を越えても差し支えない。特に、巨大なマス
コンクリート構造物を施工する場合には、C2 Sが水和
発熱量の小さな化合物であり、かつ、長期材齢の強度発
現性に優れる為、セメントの水和熱に起因する温度上昇
によるひび割れ発生防止の観点から好ましいケースもあ
る。
【0025】次に、上記の耐海水性セメント組成物に高
炉スラグを組み合せれば、比較的少量の高炉スラグの混
合量で、さらに耐海水性に優れ、かつ、中性化速度の遅
い高炉セメントが得られるのではないかとの発想に基づ
き実験・検討を行った。高炉セメントは、高炉スラグの
混合割合が内割表示で60〜70重量%以上になると、
中性化速度が急激に増大することが知られている。そこ
で、高炉スラグを混合後のセメントの内割表示で60重
量%以下とした高炉セメントについて検討を行った。
【0026】従来、特公昭56−31296号公報の第
3欄第28行目〜第4欄第4行目にも記述されている通
り、セメント中の高炉スラグ混合量が多いほど、塩化物
への抵抗性が向上し、耐硫酸塩性への影響もなく、耐海
水性に優れたセメントが得られるものの、高炉スラグの
混合量が60重量%以下になると、耐硫酸塩性および耐
塩化物性が共に低下し、耐海水性が悪化すると言われて
来た。
【0027】しかしながら、本発明者の研究によれば、
60重量%以下のスラグ混合量で耐海水性に優れる高炉
セメントを得ることが出来た。この理由としては、上記
のような組成のセメント(ポルトランドセメント)にあ
っては、それ自体の耐海水性が向上している為、少量の
スラグ添加でも耐海水性に寄与する効果が相乗作用的に
現れるものと考えられた。
【0028】すなわち、高炉スラグの添加量を5〜60
重量%(望ましくは25〜45重量%)とした本発明の
セメント組成物は、海水中養生において、さらに高い強
度発現性を示し、耐中性化も含め、総合的な耐久性に優
れた耐海水性高炉セメントと言える。尚、本発明のセメ
ント組成物は、クリンカー、高炉スラグ及び適量の石膏
を別々に、又は適宜に組み合わせて粉砕した後、それら
を混合して製造しても良く、あるいはクリンカーと高炉
スラグに適量の石膏を加え、混合粉砕して製造しても良
い。
【0029】本発明において、石膏をセメント中のSO
3 換算で0. 5〜4. 5重量%としたのは次の理由によ
る。石膏は、セメントの凝結、硬化を正常なものとする
為に不可欠なものであり、通常、セメント中のSO3
算で0. 5〜2. 5重量%となる量が添加されている。
そして、クリンカーに元来0. 5〜1. 0重量%のSO
3 分が含まれている為、セメント中のSO3 量は1. 5
〜3. 5重量%程度となっている。従って、本発明にお
いても、石膏添加量の下限値をセメント中のSO3 換算
で0. 5重量%とした。
【0030】これに対して、耐海水性は、セメント中の
SO3 量、すなわち石膏添加量がある程度多い方が良い
ことが知られている。本発明においては、セメント中の
SO 3 量が2重量%程度であっても、十分良好な耐海水
性を示すが、上記の理由からSO3 量が増加すれば耐海
水性がさらに向上することが予想される。しかしなが
ら、日本工業規格におけるセメント中のSO3 量の上限
値は多いものでも4. 5重量%であることから、上限値
として4. 5重量%を選定した。
【0031】以下、本発明について具体的な実施例を挙
げて説明する。
【0032】
【実施例】セメント工場の製造設備によって、石灰石、
珪石、粘土質原料、酸化鉄原料を調合用原料に用いて焼
成されたクリンカーに、石膏を添加して、粉末度325
0〜3450cm2 /gに粉砕して得られた〔表1〕の
化学成分と化合物組成(ボーグ式による)を持つポルト
ランドセメントについて海水抵抗性試験を行った。
【0033】
【表1】
【0034】試験用の供試体にはJIS R 5201
「セメントの物理試験方法」に従って作製したモルタル
を用い、20℃において材齢6日間の水道水による養生
の後、〔表2〕に示すKalleの処方の人工海水によ
る養生を1年間行った。人工海水は、材齢3ケ月までは
2週間ごとに、その後は1ケ月ごとに新しく調製したも
のと交換した。
【0035】
【表2】
【0036】海水抵抗性の評価には長い年数を要する
為、1年間の人工海水中養生以降は、20℃の人工海水
浸漬24時間と70℃の乾燥24時間を1サイクルとす
る乾・湿の繰り返しによる促進海水抵抗性試験(促進試
験)を26サイクルまで行った。尚、試験を中断する際
は、乾燥後の供試体をポリ袋中に密封し、20℃の室内
に保存し、試験は人工海水浸漬から再び継続した。又、
使用する人工海水は6サイクルごとに新しいものと交換
した。
【0037】所定材齢における供試体の圧縮強さ試験結
果を〔表3〕に示す。
【0038】
【表3】
【0039】これによれば、実施例1や実施例2のポル
トランドセメントは、20℃の人工海水中養生によって
材齢1年まで強度増進が続き、その後の促進試験によっ
ても亀裂の発生や強度の低下がなく、優れた耐海水性を
示していることが判る。これに対し、比較例1の普通ポ
ルトランドセメントは、20℃の人工海水中養生材齢6
ケ月以降に強度低下を示し、促進試験13サイクルで亀
裂が発生し、耐海水性に劣るものであった。又、比較例
2の耐硫酸塩ポルトランドセメントは、20℃の人工海
水中養生材齢1年で強度低下を示し、促進試験で徐々に
強度が低下し、これも耐海水性に劣る傾向にあった。
【0040】更に、本発明品は、促進試験26サイクル
後の強度値が400kgf/cm2以上であり、比較例
のセメントよりも高強度を示し、優れた耐海水性コンク
リート構造物を建設することが出来る。又、実施例1と
同様にしてセメント工場の製造設備によって得られた、
化合物組成の異なる4種類のセメントの内訳を〔表4〕
に、JIS R 5201によるモルタル圧縮強さ試験
結果を〔表5〕に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】これによれば、C3 Sの量が多いほど、す
なわちC2 Sの量が少ないほど、材齢28日までの圧縮
強さが増加する。又、実施例1のポルトランドセメント
に市販の粉末度4520cm2 /g、SO3 量2. 0%
の高炉スラグ粉末を、内割で25重量%および45重量
%混合して作製した高炉セメントの海水抵抗性試験結果
を〔表6〕の実施例7、実施例8として示す。比較の
為、秩父セメント(株)製の高炉セメントA種と高炉セ
メントB種の試験結果を比較例3、比較例4として示
す。供試体の作製方法、海水抵抗性の試験方法は、実施
例1〜実施例2,比較例1〜比較例2と同一である。
【0044】
【表6】
【0045】これによれば、普通ポルトランドセメント
に高炉スラグを約25重量%混合した比較例3の高炉セ
メントA種は、20℃の人工海水中養生材齢1年で供試
体に亀裂が発生し、強度低下を招くと共に、促進試験に
よって徐々に強度が低下し、耐海水性に劣っていた。
又、普通ポルトランドセメントに高炉スラグを約45重
量%混合した比較例4の高炉セメントB種も、供試体に
亀裂は発生しなかったが、促進試験によって徐々に強度
が低下し、耐海水性に劣る傾向があった。
【0046】これに対して、実施例7,8に示す本発明
品は、比較例3の高炉セメントA種や比較例4の高炉セ
メントB種と同一の高炉スラグ混合量においても、20
℃の人工海水中養生、その後の促進試験において強度増
進が続き、優れた耐海水性を示した。尚、実施例1と比
較しても、高炉スラグの添加によって強度がさらに増加
していることが判る。
【0047】すなわら本発明品は、JIS R 521
1「高炉セメント」のA種およびB種の高炉スラグの分
量である5〜60重量%において、中性化速度が小さ
く、かつ、耐海水性に優れるコンクリート構造物を建設
することが出来る。
【0048】
【効果】本発明のセメント組成物を用いれば、海水の侵
食に対して優れた抵抗性を有するセメントペースト、モ
ルタルおよびコンクリート等のセメント硬化体を造るこ
とが出来、臨海ならびに海洋開発に大きく貢献すること
が出来る。
【0049】尚、耐海水性に優れると言うことは、硫酸
イオンや塩素イオンの侵食に対する抵抗性を有すること
であり、本発明のセメント組成物は耐硫酸塩セメントや
耐塩化物セメントとしての適用も出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 光男 埼玉県熊谷市月見町二丁目1番1号 秩父 セメント株式会社中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3CaO・SiO2 ,2CaO・SiO
    2 ,3CaO・Al 2 3 ,4CaO・Al2 3 ・F
    2 3 の化合物組成を含むものであって、SiO2
    Al2 3 との重量比が8以上であることを特徴とする
    セメント組成物。
  2. 【請求項2】 3CaO・SiO2 ,2CaO・SiO
    2 ,3CaO・Al 2 3 ,4CaO・Al2 3 ・F
    2 3 の化合物組成を含むものであって、SiO2
    Al2 3 との重量比が8〜15であることを特徴とす
    る請求項1のセメント組成物。
  3. 【請求項3】 3CaO・SiO2 ,2CaO・SiO
    2 ,3CaO・Al 2 3 ,4CaO・Al2 3 ・F
    2 3 の化合物組成を含むものであって、3CaO・
    SiO2 ,2CaO・SiO2 ,3CaO・Al2 3
    及び4CaO・Al2 3 ・Fe2 3 の総量を100
    重量部とした場合にFe2 3 が2.0〜4.2重量部
    の割合であることを特徴とする請求項1または請求項2
    のセメント組成物。
  4. 【請求項4】 3CaO・SiO2 ,2CaO・SiO
    2 ,3CaO・Al 2 3 及び4CaO・Al2 3
    Fe2 3 の総量100重量部に対して3CaO・Si
    2 が20〜45重量部、2CaO・SiO2 が40〜
    75重量部の割合であることを特徴とする請求項1、請
    求項2または請求項3のセメント組成物。
  5. 【請求項5】 高炉スラグが5〜60重量%添加されて
    なることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3ま
    たは請求項4のセメント組成物。
  6. 【請求項6】 石膏がセメント中のSO3 換算で0.5
    〜4.5重量%添加されてなることを特徴とする請求項
    1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5のセ
    メント組成物。
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