JP3759531B2 - ベルト定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真複写機、ファクシミリあるいはプリンター等の画像形成装置において、トナー像をベルトを用いて定着するベルト定着装置に関するものである。
画像形成装置に用いられるベルト定着装置においては、定着ベルト内面に発熱部材を配置し、この発熱部材を介してローラを押し当てニップ部を形成し、そのニップ部でトナー像などの未定着画像が転写された転写紙を挾持搬送し定着を行なっている。
とろこで、上記定着ベルトは耐久性等を考慮して、ポリアミド等の耐熱フィルム表層に四弗化エチレン樹脂(テフロン(登録商標))がコーティングされている。そのため、上記ベルト定着装置を用いて転写紙上のトナー像を定着すると、従来から知られているテフロン(登録商標)加工がなされた押圧ローラを用いて画像定着するときに現れる梨地画像と同様の梨地画像が発生してしまう。この梨地画像は、未定着画像(トナー像)側を剛体でつぶしてもトナー層の表面の凹凸を慣らすことができず、部分部分に凹部が残りその凹部で光が乱反射することで発生するものである。
そこで、上記ベルトにテフロン(登録商標)に変わってシリコーンゴム等の弾性材をコーティングすることで、上記梨地画像の発生を防止することができる。
上述した定着ベルトにコーティングするシリコーンゴムは、肉厚(1mm程度)にコーティングすることで、上記梨地画像の発生防止に効果があるが、シリコーンゴムはコストが高い上に軟らかく、ベルト定着装置のコスト上昇を招くと共に耐久性に問題が発生してしまう。
本発明の目的は、低コストで耐久性に富むベルト定着装置を提供することにある。
そこで、請求項1に記載した発明では、弾性層を有する無端ベルトと、無端ベルトに圧接可能に配設されニップ部を形成する加圧回転体と、無端ベルトの内側から該無端ベルトを介して加圧回転体に対向配置される対向部材と、ニップ部に対して無端ベルトの回転方向の上流側で該無端ベルトを加熱する加熱源とを備え、無端ベルトの弾性層厚は、100μm以上であり、対向部材の硬度は、無端ベルトの弾性層の硬度以上であり、加圧回転体は無端ベルトの弾性層の硬度以上の弾性体層を有し、フルカラー3色重ねの未定着トナー像を担持する記録材の未定着トナー面が無端ベルトと接触する向きでニップ部を通過することで該未定着トナーが該記録材に定着されることを特徴としている。
請求項2に記載した発明では、請求項1記載の無端ベルト定着装置を備えることを特徴としている。
ベルトの弾性体層の厚みを100μm以上とし、対向ローラの表面硬度Aと加圧ローラの表面硬度Cを該弾性体層の硬度Bと同一もしくは硬く形成するので、転写紙の未定着画像側のトナー層の表面に直接当たる該弾性体層がつぶれ、該トナー層の凹凸が慣らされ、梨地画像の発生が抑えられる。
本発明によれば、定着ベルトの弾性体層の厚みや表面硬度、対向、加圧の各ローラの表面硬度を調整することにより、上記定着ベルトにコーティングする弾性体層の肉厚が薄くとも良好な転写画像を得ることができ、コストが低く耐久性に富むベルト定着装置を提供することができる。
以下、図を用いて本発明の第1の実施例を詳細に説明する。
符号101は複写機の定着装置を示す。この定着装置101は、内部に発熱体4を有する正逆回転可能なベルト加熱ロ−ラ2と従動ローラー3に巻き掛けられた無端ベルト1と、このベルト1の内側で上記ローラー2,3の間に位置する対向ローラー6と、ベルト1を挾んで対向ローラー6に圧接する正逆回転可能で発熱体7を内蔵した加圧ロ−ラ5とで、主要部が構成されている。
加圧ローラ5の周面の前後には、現像剤の溶剤が浸透しやすい普通紙からなる転写紙Pが搬送される搬送路を構成するガイド11,12が配設されるとともに、転写紙Pの搬送方向下流側(図において左側)には加圧ローラ5に接した分離爪8と一対の排紙ローラ9,10が配置されている。
ベルト加熱ローラ2により加熱されるベルト1と発熱体7により加熱する加圧ローラ5との接触部位は、図示しない転写部で転写紙Pに転写されたトナー像を加熱溶解定着する定着部(ニップ部)を形成しており、定着温度を所定値に保つためローラ2,5には温度センサ20,21がそれぞれ設置されている。
上述したベルト1の表面には、弾性体層であるゴム硬度45HS'のシリコ−ンゴムが200μmの層厚でコーティングされている。また、対向ローラ6にはゴム材が用いられ、加圧ローラ5にもゴム材が巻装されており、両者に用いられているゴム材は、ベルト1にコーティングしたシリコーンゴムの硬度と同じ硬度45HS'のものが用いられている。
本発明者は、弾性体層の表面硬度(B)と加圧ローラ5及び対向ロ−ラ6の表面硬度(A),(C)との関係における梨地画像の発生の有無について、実験を行なった。以下、その実験について図2を用いて説明する。
図2(a)は、ベルト1にコーティングするシリコーンゴムに(JIS−A)の規格でゴム硬度45HS'のものを層厚100μmにして使用し、図2(b)は、同シリコーンゴムの層厚を300μmとし、さらに、対向ローラ6と加圧ローラ5に用いるゴム材の硬度をそれぞれ30,45,60HS'に設定し、各組合せによる梨地の発生状態について5段階の評価をしたものである。
梨地の状態はランク1が梨地の発生が多く、ランク5が梨地の発生がない状態、すなわち転写紙上に定着された画像状態が極めて良い状態を示し、ランク4以上を合格(採用ライン)と定めた。また、固定条件として、画像はフルカラー3色重ねで、トナー付着量は1mg/cm2のべた画像、ニップ部の面圧は1kgf/cm2とした。
図2(a),(b)によると、シリコーンゴムの層厚が100μmmの場合、加圧ローラ5,対向ローラ6の硬度(C),(A)が共に45HS'以上の時は、ランク4から5を示し、シリコーンゴムの層厚が300μmの場合、加圧ローラ5,対向ローラ6の硬度(C),(A)が共に45HS'の時で、最高のランクである5を示している。また、図示はしていないが、シリコーンゴムの層厚が50μmの場合には、加圧ローラ5,対向ローラ6の硬度(C),(A)が共に60HS'の場合のみ、ランク4であり、その他の組合せではランク3以下であった。
従って梨地が発生しない条件としては、
ベルト1のシリコーンゴム層厚100μmm以上
対向ローラ6のゴム硬度(A)≧ベルト1のシリコーンゴム硬度(B)
加圧ローラ5のゴム硬度(C)≧ベルト1のシリコーンゴム硬度(B)
という条件を満たせば良いことになる。
換言すると、上記条件は、トナー像に直接当たるシリコーンゴム層をつぶすことができれば、梨地は形成されることはなくなる。但し、上記シリコーンゴム層が50μmではつぶれる量が少なく、ベルト1が剛体のときと同様の作用が働いてしまうので、梨地画像が発生してしまうことになる。
本実施例では、ベルト1にゴム硬度45HS'のシリコ−ンゴムがコーティングされ、対向ローラ6と加圧ローラ5には硬度45HS'のゴム材が用いられているので、転写紙Pが定着部に搬送されると、発熱体4によって加熱されたローラ2を介して蓄熱されるベルト1に、自身の内部より加熱される加圧ロ−ラ5が押圧すると、対向ローラ6と加圧ローラ5に挾まれるベルト1は十分に弾性変形して転写紙上の未定着画像(トナー像)を挾圧し加熱溶解定着する。そして、定着がなされた転写紙Pは、ガイド12に案内されて排紙ローラー9,10により図示しない排紙トレー上に排出される。
本発明の第2の実施例について説明する。
第2の実施例は、第1の実施例におけるベルト1にコーティングしたシリコーンゴム層だけをより弾性変形させてつぶすために、対向ローラ6と加圧ローラ5の材質を第1の実施例よりも硬質としたものである。
具体的には、対向ローラー6をステンレス(SUS)製にし、加圧ローラ5にテフロン(登録商標)ローラを使用して、更に、このテフロン(登録商標)ローラの外周面を内側に0.08mm窪ませた鼓形状とし、ベルト1にコーティングするシリコーンゴムの層厚が100μmと300μmにおける梨地画像の発生状態の実験を行なところ、シリコーンゴムの層厚100μm,300μm共にランク5を示す結果が得られた。しかし、ここで新たな問題が発生した。
対向ローラ6と加圧ローラ5をある程度硬質にしてもベルト1の弾性体層を厚くすれば梨地の発生を防ぐことはできたが、加圧ローラ5を鼓形状にしたために転写部の中央部に定着不足が発生した。
そこで、加圧ローラ5の鼓量を変化させると共に、対向ローラ6の材質にゴム材とステンレス(SUS)材とを用いて、定着性の実験を行なった。その時の実験結果を示すものが図3である。図に示す○×印は定着度の良不を示したもので、○印が定着状態良好で×印が良くない状態を示す。
この図によると、対向ローラ6が(SUS)の場合、加圧ローラ5に鼓量がないとき定着状態がよく、対向ローラ6がゴム製であるときは、加圧ローラ5に鼓量があっても満足のいく定着状態を示している。つまり、対向ローラ6が剛体である時、加圧ローラ5は円筒形がよく、対向ローラ6が弾性材であれば加圧ローラ5は円筒形でも鼓形状でもどちらでも良いということである。
対向ローラ6が剛体で加圧ローラ5が円筒形であると、ニップ幅が均一に得られ、良好な定着性を得ることができ、対向ローラ6が弾性体であると、それが加圧ローラ5の表面形状にそって弾性変形するので、加圧ローラ5が円筒形でなく鼓形状であっても所定のニップ幅を得られ、シワのない良好な画像が形成される
ということである。
本発明を実施したベルト定着装置の構成を示す構成図である。 (a),(b)は定着ベルト、対向ローラ、加圧ローラの硬度と厚みの関係を示す実験データである。 対向ローラと加圧ローラの材質と形状の関係を示す実験データである。
符号の説明
1 無端ベルト
5 加圧ローラ
6 対向ローラ
A 対向ローラの表面硬度
B 弾性体層の硬度
C 加圧ローラの表面硬度
P 転写紙

Claims (2)

  1. 弾性層を有する無端ベルトと、
    前記無端ベルトに圧接可能に配設され、ニップ部を形成する加圧回転体と、
    前記無端ベルトの内側から該無端ベルトを介して前記加圧回転体に対向配置される対向部材と、
    前記ニップ部に対して前記無端ベルトの回転方向の上流側で該無端ベルトを加熱する加熱源とを備え、
    前記無端ベルトの弾性層厚は、100μm以上であり、
    前記対向部材の硬度は、前記無端ベルトの弾性層の硬度以上であり、
    前記加圧回転体は、前記無端ベルトの弾性層の硬度以上の弾性体層を有し、
    フルカラー3色重ねの未定着トナー像を担持する記録材の未定着トナー面が前記無端ベルトと接触する向きで前記ニップ部を通過することで該未定着トナーが該記録材に定着されることを特徴とする無端ベルト定着装置。
  2. 請求項1記載の無端ベルト定着装置を備える画像形成装置。
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