JP3759462B2 - オゾン水製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原料水にオゾンガスを溶解させてオゾン水を製造し、供給するためのオゾン水製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
オゾン水製造装置は、水道水等の原料水にオゾンガスを溶解させてオゾン水を製造し、必要に応じてオゾン水を供給して洗浄等の用途に供するための装置である。オゾンガスを水に溶解させるための溶解効率が高い方法として、混合ポンプ方式が知られている。
【0003】
従来の混合ポンプ方式のオゾン水製造装置を図3に示す。1はオゾン水タンクであり、原料水にオゾンガスを溶解させたオゾン水を貯留するために用いられる。原料水ライン2は、入水口2aから原料水を供給するための管路である。オゾン水ライン3は、オゾン水タンク1に貯留されたオゾン水をオゾン水出口3aから取り出すための管路である。混合ライン4は、オゾン水タンク1から貯留された水を引きだし、オゾンガスを混合させてオゾン水タンク1に再度流入させる管路を形成する。混合ライン4には混合ポンプ5が設置されており、混合ライン4を通る水流を駆動する。
【0004】
6はオゾンガス発生装置であり、オゾンガス発生装置6に付された矢印aと、混合ライン4に付された矢印aにより示されるように、混合ポンプ5の吸引側にオゾンガスを供給する。7はオゾン濃度計であり、オゾン水ライン3からバイパスライン3bを介してサンプル水が供給され、オゾン水ライン3におけるオゾン濃度を検出する。
【0005】
原料水ライン2及びオゾン水ライン3には、互いに連動するモーターバルブ10、11が各々設けられている。原料水ライン2には更に、ストレーナ12、圧力調節弁13、及び逆流防止弁14が設けられている。オゾン水タンク1には、圧力センサー16が設けられ、混合ライン4には、圧力調節弁17、及び圧力計18が設けられている。
【0006】
このオゾン水製造装置の動作は、次の通りである。オゾン水を供給する際には、モーターバルブ10、11が連動して開かれ、オゾン水出口3aからオゾン水が取り出されるとともに、入水口2aから原料水がオゾン水タンク1に供給される。オゾン水出口3aから出たユーザー側では、使用流量に応じて、弁(図示せず)の開閉等によりオゾン水の取水流量を調節する。このようなオゾン水の取水流量の変化により、オゾン水ライン3を流れるオゾン水の流量が変化する。
【0007】
従って、オゾン水のオゾン濃度を所定の設定値に維持するためには、取水流量の変化に応じて、オゾンガス発生装置6から供給されるオゾンガスの量を調整する必要がある。そのようなオゾンガス供給量の調整は、オゾン濃度計7の表示値を見ながら、その表示値が所定の値になるように、オゾンガス発生装置6によるオゾンガスの発生量を調整することにより行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなオゾン水製造装置において、混合ライン4を流れる水は、オゾンガス供給量に応じた流量が必要である。言い換えれば、オゾンガス供給量が小さければ、混合ライン4を流れる水の流量は小さくてよい。従って、オゾン水の供給流量が変化し、それに応じてオゾンガス供給量が変化した際に、その変化に応じて混合ポンプ5の出力を変化させて、エネルギの消費を抑制することが望ましい。
【0009】
一方、混合ポンプ5は通常、オゾンガス発生装置6による最大のオゾンガス供給量を考慮して容量(能力)が設定される。そのため、オゾンガス供給量が小さい場合にポンプの出力を抑えて運転すれば、ポンプ効率が低い領域で運転することになる。そこで、混合ポンプ5を効率が最大となる一定の出力で運転するものとすれば、オゾンガス供給量が小さい場合には、不要な高出力で運転することになる。いずれの場合も、不要なエネルギーを消費することになる。
【0010】
以上のように従来のオゾン水製造装置においては、オゾンガス供給量の変動に合わせて混合ポンプ5を効率良く運転することが困難であり、オゾン水供給流量の広範囲な変化幅に対応させるのに適したものではなかった。
【0011】
本発明は、オゾン水供給量の大幅な変化がある使用状況においても、混合ポンプを効率の高い範囲で運転することを可能とし、広範囲なオゾン水供給量の変化に対応可能なオゾン水製造装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のオゾン水製造装置は、オゾン水を貯留するオゾン水タンクと、前記オゾン水タンクに原料水を供給するための原料水ラインと、前記オゾン水タンクからオゾン水を取り出すためのオゾン水ラインと、前記オゾン水タンクから水を引きだしオゾンガスを混合して再度前記オゾン水タンクに流入させるための流路を形成する混合ラインと、前記混合ラインに設置された混合ポンプと、前記混合ポンプの吸引側にオゾンガスを供給するためのオゾンガス発生装置とを備える。上記課題を解決するために、更に、前記混合ポンプが設置された前記混合ラインを複数本有し、前記オゾン水ラインを流れるオゾン水の流量を検出して流量検出値を出力する流量センサと、前記流量検出値に応じて前記混合ポンプの稼働台数を増減させるとともに、前記稼働させる混合ポンプの設置された混合ラインのみにオゾンガスを供給するように制御する制御部とを備える。
【0013】
好ましくは、前記制御部は、オゾン濃度の設定値と前記流量検出値に基づき、前記流量検出値に対して前記設定値のオゾン濃度を得るために必要なオゾンガス発生量になるように、前記オゾンガス発生装置によるオゾンガス発生量を調整する。
【0014】
また好ましくは、前記稼働させる混合ポンプは、ほぼ最高効率の出力領域で運転が行われる構成とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるオゾン水製造装置の構成を示す。図3に示した従来の装置と同様の要素については、同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0016】
本実施の形態におけるオゾン水製造装置は、3本の混合ライン4a、4b、4cを有し、それぞれの混合ラインに混合ポンプ5a、5b、5cが設置されている。制御装置22に付された矢印a、b、cと、混合ライン4a、4b、4cに付された矢印a、b、cにより示されるように、制御装置22に内蔵されたオゾンガス発生装置からは、混合ライン4a、4b、4cにおける混合ポンプ5a、5b、5cの吸引側にそれぞれオゾンガスが供給される。
【0017】
オゾン水のオゾン濃度を調整するためには、制御装置22の設定を操作してオゾンガス発生装置によるオゾンガス発生量を変化させ、それにより混合ライン4a、4b、4cへのオゾンガス供給量を調整する。オゾンガス発生量の設定値に応じて、制御装置22は、混合ライン4a、4b、4cのうちのオゾンガスが供給されるラインの本数を増減させる。また、混合ポンプ5a、5b、5cは個別に稼働可能であり、制御装置22は、オゾンガスが供給される混合ライン4a、4b、4cの増減に合わせて、混合ポンプ5a、5b、5cの稼働を切り替える。
【0018】
オゾン濃度計21は、濃度信号線21aを通じて、オゾン濃度の検出値を制御装置22に出力する。制御装置22は、オゾン濃度の検出値を単に表示するだけの構成とする場合もある。その場合は、手動によりオゾンガス発生量を変化させて、オゾン水のオゾン濃度を調整する。あるいは制御装置22により、電気信号として得られるオゾン濃度の検出値を用い、設定されたオゾン濃度が得られるようにオゾンガス発生量を自動制御する構成としてもよい。
【0019】
オゾンガス発生装置としては、例えば、圧力スイング吸着方式(PSA方式)により発生させた酸素ガスをオゾナイザによりオゾンガス化させる構造の装置を用いることが望ましい。PSA方式を用いることにより、空気をそのまま原料として用いるオゾンガス発生装置に比べて、高濃度のオゾンガス製造が可能であり、オゾン水の製造を効率的に行うことが可能である。従って、広範囲に亘るオゾン水供給流量の変化に対応させるのに好適である。
【0020】
このオゾン水製造装置の動作の一例は、次の通りである。従来装置と同様に、オゾン水を供給する際には、モーターバルブ10、11が連動して開かれ、オゾン水出口3aからオゾン水が取水され、入水口2aから原料水が供給される。オゾン水出口3aから出たユーザー側で、使用流量に応じて弁の開閉等によりオゾン水の取水流量を調節することにより、オゾン水ライン3を流れるオゾン水の流量が変化する。
【0021】
オゾン水のオゾン濃度を所定の設定値に維持するために、オゾン水の取水流量の変化に応じて、オゾンガス発生装置からのオゾンガス供給量を調整する。そのために、オゾン濃度計21により検出された濃度表示値を見ながら制御装置22を操作して、その表示値が所定の値になるように、オゾンガス発生量を調整する。
【0022】
制御装置22は、調整されたオゾンガス供給量に応じて、オゾンガスが供給される混合ライン4a、4b、4cの増減、および混合ポンプ5a、5b、5cの稼働台数の増減を行う。そのような増減は、例えば以下のように行われる。
【0023】
オゾンガス発生装置による最大のオゾンガス供給能力をL(流量)とすれば、例えば、オゾンガス供給量が、L/3未満、L/3以上2L/3未満、2L/3以上の各領域にある場合に応じて、オゾンガスが供給されるべき混合ライン4a、4b、4cの本数を増減させる。混合ライン4a、4b、4cの選択に合わせて、混合ポンプ5a、5b、5cの稼働も切り替える。
【0024】
オゾンガス供給量がL/3未満であれば、混合ポンプ5aのみを稼働させ、混合ライン4aのみにオゾンガスを供給する。その状態で、流量センサ20による流量検出値に応じ、L/3未満の範囲でオゾンガス発生量を制御する。
【0025】
オゾンガス供給量がL/3以上2L/3未満であれば、2台の混合ポンプ5a、5bを稼働させ、混合ライン4a、4bにオゾンガスを供給する。その場合、例えば、L/3のオゾンガスを混合ライン4bに供給し、残りのL/3未満のオゾンガスを混合ライン4aに供給する。従って、流量センサ20による流量検出値に応じてオゾンガス発生量を制御することにより、混合ライン4aへのオゾンガス供給量がL/3未満の範囲で変化する。
【0026】
オゾンガス供給量が2L/3以上であれば、3台の混合ポンプ5a、5b、5cを稼働させ、混合ライン4a、4b、4cにオゾンガスを供給する。その場合、L/3のオゾンガスを混合ライン4bに、L/3のオゾンガスを混合ライン4cにそれぞれ供給し、残りのL/3未満のオゾンガスを混合ライン4aに供給する。従って、流量センサ20による流量検出値に応じてオゾンガス発生量を制御することにより、混合ライン4aへのオゾンガス供給量がL/3未満の範囲で変化する。
【0027】
いずれの場合でも、稼働させる混合ポンプは、最も効率の高い状態で運転させる。
【0028】
このように混合ポンプの稼働台数、およびオゾンガスが供給される混合ラインの本数を増減させることにより、ポンプ効率の高い領域で運転を行い、エネルギ損失を抑制することができる。例えば上記の構成によれば、1台の容量の大きい混合ポンプのみを用いる場合に比べて、1台当たりの容量が約1/3の小さい混合ポンプを3台用いることができる。1台のポンプのみを用いる装置では、負荷量(オゾン水流量)が小さい場合には、上記の通り不要なエネルギーを消費することになるのに対して、3台のポンプを用いて、必要に応じて稼働台数を減らすことにより、稼働させるポンプを効率が高い領域で運転させたまま、全体としての出力を低減させることが可能となり、エネルギー消費の総量を低減させることができる。
【0029】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2におけるオゾン水製造装置を図2に示す。本実施の形態においては、オゾン水ライン3に、実施の形態1の流量計15に代えて流量センサ20が設けられた構成を有する。流量センサ20の出力である流量検出値は、流量信号線20aを通って、オゾンガス発生装置と一体となった制御装置23に入力される。
【0030】
制御装置23は、流量センサ20により検出された流量検出値に基づいて、混合ライン4a、4b、4cのうちのオゾンガスが供給されるラインの本数を増減させ、それに合わせて、混合ポンプ5a、5b、5cの稼働台数を増減させる機能を有する。制御装置23はまた、流量センサ20により検出された流量検出値に基づいて、オゾンガス発生装置からのオゾンガス供給量を制御する機能も有する。制御装置22には、オゾン水のオゾン濃度について、所望の設定値が保存される。
【0031】
このオゾン水製造装置の動作は、次の通りである。制御装置23は、流量センサ20から入力される流量検出値に基づき、オゾンガス発生装置によるオゾンガス発生量、すなわちオゾンガスの発生濃度を制御する。それにより、混合ライン4a、4b、4cに供給されるオゾンガス供給量が調整される。オゾンガス供給量は、オゾン濃度設定値と、流量センサ20による流量検出値が表すオゾン水流量に基づいて、次式により決定される。
【0032】
オゾン水のオゾン濃度設定値=オゾンガス供給量(g/h)/オゾン水流量検出値(m3/h)
すなわち、設定された所望のオゾン濃度を得るためのオゾンガス供給量は、分母のオゾン水流量に応じて決まる。それにより制御装置23は、オゾンガス発生装置の運転を制御し、適切な流量のオゾンガスを混合ライン4a、4b、4cに供給する。
【0033】
このように、オゾン水ライン3におけるオゾン水流量に基づいてオゾンガス発生量を調整することにより、オゾン濃度を速やかに所定値に制御することが可能となる。すなわち、検出された流量値に対してオゾンガスが拡散した状態を前提としてオゾンガス供給量が調整されるので、従来装置のように、オゾン濃度計によるオゾン濃度検出の応答時間に制約されることなく、オゾン水流量の変化に迅速に応答して、オゾン濃度が所定値に安定化する。
【0034】
また、オゾン水流量の変化に迅速に応答可能であることにより、実用的に満足できる早さの制御が、少流量から大流量に至る広範囲なオゾン水供給流量に対して可能となる。
【0035】
また制御装置23は、流量センサ20による流量検出値に応じて、オゾンガスが供給される混合ライン4a、4b、4cを増減し、それに合わせて、混合ポンプ5a、5b、5cの稼働を切り替える。その動作は、実施の形態1において、制御装置22が、設定されたオゾンガス供給量に応じて、混合ライン4a、4b、4cの増減、および混合ポンプ5a、5b、5cの稼働台数の増減を行う動作と同様である。
【0036】
より高精度にオゾン濃度を制御するために、制御装置23は更に、オゾン濃度計21から出力されるオゾン濃度検出値を用いて、流量センサ20による流量検出値に基づく上記のオゾンガス発生量を補正する。すなわち、オゾン濃度検出値をオゾン濃度設定値と比較し、その差に基づいて上記の式によるオゾンガス発生量を狭い範囲で増減させる。
【0037】
なお、オゾン濃度計21から出力されるオゾン濃度値を用いず、流量センサ20による流量検出値のみに基づいてオゾン濃度の制御を行った場合でも、用途によっては実用的に十分な精度及び速度で、オゾン濃度の制御が可能である。それにより、簡易で安価なオゾン水製造装置を作製することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、オゾン水供給流量の大幅な変化がある使用状況においても、混合ポンプを効率の高い範囲で運転することを可能とし、広範囲なオゾン水供給流量の変化に対応可能なオゾン水製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1におけるオゾン水製造装置の概略構成を示す図
【図2】 本発明の実施の形態2におけるオゾン水製造装置の概略構成を示す図
【図3】 従来例のオゾン水製造装置の概略構成を示す図
【符号の説明】
1 オゾン水タンク
2 原料水ライン
2a 入水口
3 オゾン水ライン
3a オゾン水出口
3b バイパスライン
4、4a、4b、4c 混合ライン
5、5a、5b、5c 混合ポンプ
6 オゾンガス発生装置
7 オゾン濃度計
10、11 モーターバルブ
12 ストレーナ
13 圧力調節弁
14 逆流防止弁
15 濃度信号線
16 圧力センサー
17 圧力調節弁
18 圧力計
20 流量センサ
20a 流量信号線
21 オゾン濃度計
21a 濃度信号線
22、23 制御装置
Claims (3)
- オゾン水を貯留するオゾン水タンクと、前記オゾン水タンクに原料水を供給するための原料水ラインと、前記オゾン水タンクからオゾン水を取り出すためのオゾン水ラインと、前記オゾン水タンクから水を引きだしオゾンガスを混合して再度前記オゾン水タンクに流入させるための流路を形成する混合ラインと、前記混合ラインに設置された混合ポンプと、前記混合ポンプの吸引側にオゾンガスを供給するためのオゾンガス発生装置とを備えたオゾン水製造装置において、
前記混合ポンプが設置された前記混合ラインを複数本有し、
前記オゾン水ラインを流れるオゾン水の流量を検出して流量検出値を出力する流量センサと、
前記流量検出値に応じて前記混合ポンプの稼働台数を増減させるとともに、前記稼働させる混合ポンプの設置された混合ラインのみにオゾンガスを供給するように制御する制御部とを備えたことを特徴とするオゾン水製造装置。 - 前記制御部は、オゾン濃度の設定値と前記流量検出値に基づき、前記流量検出値に対して前記設定値のオゾン濃度を得るために必要なオゾンガス発生量になるように、前記オゾンガス発生装置によるオゾンガス発生量を調整する請求項1に記載のオゾン水製造装置。
- 前記稼働させる混合ポンプは、ほぼ最高効率の出力領域で運転が行われることを特徴とする請求項1に記載のオゾン水製造装置。
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