JP3758879B2 - 蓄圧式燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄圧式燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンの燃料噴射装置として、蓄圧器に蓄圧した高圧燃料をエンジンの各気筒に安定に供給して低速域から高速域までの広い運転領域においてエンジン性能を向上可能とする蓄圧式燃料噴射装置(コモンレールシステム)がある。このような燃料噴射装置を用いた場合でも、燃料噴射開始直後における燃料噴射率が過大であると、燃焼の初期に急激な爆発燃焼が行われ、エンジン騒音が増大するばかりでなく排気ガス中の窒素酸化物(NOx)が増大する。
【0003】
このような不具合を解消するため、各回の燃料噴射サイクルの初期段階において、低めの燃料噴射率で燃料を噴射する蓄圧式燃料噴射装置が提案されている。この提案に係わる燃料噴射装置は、例えば、低圧燃料を貯溜する低圧蓄圧器と、高圧燃料を貯溜する高圧蓄圧器と、低圧蓄圧器又は高圧蓄圧器をインジェクタ(燃料噴射ノズル)に選択的に連通させて燃料噴射率を切り換える切換弁と、インジェクタの圧力制御室と燃料タンクとを連通・遮断して燃料噴射時期を制御する開閉弁とを備えている。
【0004】
蓄圧器での燃圧形成に関して、高圧燃料ポンプにより高圧燃料を得ると共に低圧蓄圧器へ導入した高圧燃料を調圧して低圧燃料を得るタイプの蓄圧式燃料噴射装置(例えば、WO98/09068)では、例えば、各気筒のインジェクタに対応して設置してある燃料噴射時期制御用の開閉弁を閉弁すると共に燃料噴射率切換用の切換弁を低圧側へ切り換えることにより、インジェクタの燃料室(燃料溜まり)に低圧燃料を満たすと共にインジェクタを閉弁状態に保持し、燃料噴射開始時期が到来した時に開閉弁を開弁させてインジェクタを開弁させて低圧燃料をノズルから噴射させて低圧初期噴射(以下「低圧噴射」という)を行い、低圧噴射期間が経過した時に切換弁を高圧側へ切り換え、高圧蓄圧器からの高圧燃料をノズルから噴射させて高圧主噴射(以下「高圧噴射」という)を行い、噴射終了時期が到来すると切換弁を低圧側へ切り換えると共に開閉弁を閉弁する。即ち、切換弁により低圧蓄圧器と高圧蓄圧器を燃料噴射中に切り換えて燃料の噴射波形の制御を行う。
【0005】
低圧蓄圧器では、前記切換弁が閉弁した後当該切換弁とインジェクタの燃料室との間に溜まった高圧燃料を調圧して低圧燃料を得る。即ち、低圧蓄圧器と燃料タンクとの燃料通路に接続されている低圧蓄圧器の圧力制御弁をデューティ制御して、低圧蓄圧器内の燃料圧が所定圧となるように当該低圧蓄圧器内の燃料を燃料タンク(大気開放側)に排出する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、低圧蓄圧器と高圧蓄圧器とを燃料噴射中に切り換えて噴射波形の制御を行う上記構成の蓄圧式燃料噴射装置において、寒冷地等における低温状態で、エンジン冷却水温が十分に上がる前の暖機時に低圧噴射を行うと、燃焼室温度が低いために未燃焼又は不完全燃焼の燃料が排出されて白煙を生じ易いという問題がある。
【0007】
エンジンの暖機運転制御装置として例えば、特開平8−28321号公報に開示されたものがある。この暖機運転制御装置は、エンジンのアイドル運転時における暖房性能を維持することを目的としたもので、暖房スイッチを投入すると暖機制御モードに突入し、蓄圧器の圧力を増大して燃料噴射期間全体で噴射圧力を増大することにより、高圧燃料供給ポンプの負荷即ち、エンジン負荷を増大し、その結果、エンジン回転を同一のまま燃料量を増大して暖機を促進する。
【0008】
しかしながら、この暖機運転制御装置は、単一蓄圧器による蓄圧式燃料噴射装置を使用しているため、燃料噴射波形は、高圧矩形となり、上記暖機制御では、初期噴射から高圧を更に増圧した圧力となり、燃料噴射から着火までに筒内に噴射されて混合される燃料量が増大し、予混合燃焼量が増大する。これに伴い筒内圧力上昇が高くなり、騒音が増大するという問題がある。
【0009】
また、アイドル時の暖房性能維持が主眼であるため、エンジンの回転域が限定されており、低温時の始動直後の暖機時のエンジン回転(最大では通常アイドル回転+500〜600rpm)に対応しておらず、更に、低温時の始動直後の暖機時(エンジン冷却水温が通常運転時に対応して可成り低い場合)における白煙低減については対処されていない等の問題がある。
【0010】
このため、本発明では、寒冷地等の低温状態で始動後のエンジン冷却水温が十分上がるまでの暖機時にエンジン騒音を増大させることなく白煙の低減を図るようにした蓄圧式燃料噴射制御装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1では、燃料ポンプで加圧された高圧燃料は、第1蓄圧器に貯溜され、第1制御弁、燃料通路を介してエンジンの燃焼室内に噴射する燃料噴射ノズルに供給されると共に、前記燃料通路に分岐通路を介して接続され、前記第1蓄圧器内の燃圧よりも低圧の第2蓄圧器に供給されて貯溜される。この第2蓄圧器の燃圧は、当該第2蓄圧器内の燃料を大気開放側へ排出する第2制御弁により制御される。燃料制御手段は、前記第1蓄圧器内の高圧燃料を前記第2蓄圧器に向かって排出すべく前記第1制御弁を開弁制御し、且つ前記第2蓄圧器の燃料圧を設定圧にすべく前記第2制御弁を開弁制御する。
【0012】
燃料制御手段は、エンジン冷却水温に応じてエンジン始動を通常始動と低温始動の2つの態様に分割し、低温始動では通常始動よりも第2蓄圧器のみ燃料圧を冷却水温の変化に応じて高圧側に設定して第1制御弁の閉弁状態にて燃料噴射ノズルのみ開弁させて初期噴射を行う。燃料噴射ノズル開弁時期の途中で第1制御弁を開弁させて通常始動時と同じ燃料圧に設定された第1蓄圧器からの主噴射を行う。これにより、低温始動時にエンジンから排出される白煙を低減しつつ、燃焼騒音を低減することが可能となる。
【0013】
請求項2の発明では、燃料制御手段は、エンジン負荷が有負荷であるときには、第2蓄圧器の圧力の増分を禁止して即ち、初期噴射圧のエンジン冷却水温に優先してエンジン負荷に応じた噴射圧制御を行う。これにより負荷に応じた適切なエンジン出力をえることができる。
請求項3の発明では、低温始動時には燃料噴射ノズル及び第1制御弁の閉弁時期を通常始動時よりも早期側に設定させた主噴射を行う。これにより、燃焼騒音を抑えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態としての蓄圧式燃料噴射制御装置の概略構成図、図2は、図1に示す燃料噴射制御装置の主要要素とエンジンの各気筒のインジェクタとの接続を示す概略図である。
【0015】
図1及び図2において、蓄圧式燃料噴射制御装置は、例えば直列6気筒のディーゼルエンジン(図示せず)に搭載されるもので、高圧燃料ポンプ1は、例えば図3に示すようなプランジャポンプ20を2つ備え、各プランジャポンプ20は、前記直列6気筒エンジンの前3気筒と後3気筒に夫々対応しており、前3気筒のプランジャ21、後3気筒のプランジャ21を駆動する各カム22は、夫々3つの山を備えており、高圧燃料ポンプ軸が1回転する間に各プランジャ21が3回の圧送ストロークを実施して燃料を圧送するようになっている。圧送ストロークの調整は、プンランジャポンプ20の吐出側に設けられている電磁弁23の閉弁時期を調整することにより行われ、この電磁弁23が開弁している間は、プランジャポンプ20の圧送動作が無効になるようになっている。電磁弁23は、後述する電子制御装置8により制御される。
【0016】
図1に戻り、蓄圧式燃料噴射制御装置の燃料制御手段としての電子制御装置(ECU)8は、エンジン回転センサ8aにより検出されたエンジン回転数Neと、エンジン負荷検出手段としてのアクセル開度センサ(図示せず)により検出されたアクセルペダル踏込量(アクセル開度)Accとに応じて高圧燃料ポンプ1の電磁弁23を制御して圧送ストロークを可変調整し、更に、高圧蓄圧器(第1蓄圧器)3に設けられている圧力センサ3aにより検出された燃料圧PHPに応じて圧送ストローク(吐出圧)をフィードバック制御することにより、エンジン運転状態に適合する高圧燃料を得るようになっている。
【0017】
高圧燃料ポンプ1により加圧された燃料は、高圧蓄圧器3に貯溜される。この高圧蓄圧器3は、各気筒に共通するものであり、燃料通路10aに連通している。燃料通路10aの途中には、例えば、二方電磁弁から成る燃料噴射率切換用の切換弁(第1制御弁)5が各気筒毎に設けられ(図2)、当該切換弁5の直ぐ下流に上流側から下流側にのみ燃料の流れを許容する逆止弁32が設けられている。
【0018】
燃料通路10aには、逆止弁32の下流において当該燃料通路10aから分岐した燃料通路10bを介して各気筒に共通の低圧蓄圧器(第2蓄圧器)4が接続されている。燃料通路10bの途中には逆止弁6と、当該逆止弁6をバイパスするバイパス通路が設けられており、このバイパス通路にオリフィス6aが設けられている。逆止弁6は、低圧蓄圧器4から燃料通路10a方向にのみ燃料の流れを許容する。燃料通路10a内の燃料圧が燃料通路10b内の燃料圧よりも高い場合、燃料通路10a内の燃料がオリフィス6aを通して燃料通路10bに流入し、更に低圧蓄圧器4に流入する。燃料通路10bの低圧蓄圧器4と燃料タンク17との間には電子制御装置8の制御下で動作して低圧蓄圧器4の燃料圧を制御する圧力制御弁(第2制御弁)34が設けられている。また、図2に示すように低圧蓄圧器4には当該低圧蓄圧器4内の燃圧PLPを検出する圧力センサ4aが設けられている。
【0019】
電子制御装置8は、低圧蓄圧器4内の燃圧がエンジン回転数Neとアクセルペダル踏込量Accとによって表されるエンジン運転状態に適合した圧力になるように、圧力センサ4aにより検出した実圧力PLPに基づいて圧力制御弁34を制御する。
更に、電子制御装置8は、エンジンに装着されてエンジン冷却水温を検出する冷却水温検出手段としての温度センサ(図示せず)からの冷却水温Twに基づいてエンジン始動時を、通常始動時と低温始動時との2つの態様に分割し、低温始動時においては、通常始動時よりも低圧蓄圧器4のみ燃料圧を高圧側に設定し、燃料噴射ノズルとしてのインジェクタ9のみ開弁させて初期噴射を行い、インジェクタ9の開弁時期の途中で切換弁5を開弁させて主噴射を行う。更に、電子制御装置8は、アイドル運転よりも有負荷運転を優先し、負荷に応じた燃料噴射制御を行い適切なエンジン出力を得るようにしている。
【0020】
エンジンの各気筒に設けられているインジェクタ9は、燃料通路10aにオリフィス15を介して接続された圧力制御室11及び燃料室(燃料溜まり)12を有し、圧力制御室11は、オリフィス16、燃料戻り通路10cを介して燃料タンク17に接続されている。そして、燃料戻り通路10cの途中に例えば、二方電磁弁からなる燃料噴射時期制御用の開閉弁7が接続されている。尚、開閉弁7は、インジェクタ内に設置されていてもよい。
【0021】
インジェクタ9は、ノズル(噴孔)9aを開閉するニードル弁13と、圧力制御室11内に摺動可能に収納された油圧ピストン14とを有し、ニードル弁13は、スプリング(図示せず)によりノズル9a側に付勢されて閉弁されている。燃料通路10aから圧力制御室11と燃料室12とに燃料が供給されると共に噴射時期制御用の開閉弁7を閉弁されている場合前記スプリングのばね力と燃料圧との合力がニードル弁13に加わり、当該ニードル弁13は、燃料室12内の燃料圧に抗してノズル9aを閉塞する。開閉弁7が開弁して圧力制御室11内の燃料が燃料タンク17側(大気開放側)へ排出されると、燃料室12内の燃料圧によりニードル弁13が前記スプリングのばね力に抗して油圧ピストン14側へ移動してノズル9aが開口し、燃料室12内の燃料がノズル9aからエンジンの燃焼室へ噴射される。
【0022】
以下、上記構成の燃料噴射装置の通常モードでの動作を説明する。
電子制御装置8の制御下で、高圧蓄圧器3内の燃料圧及び低圧蓄圧器4内の燃料圧がエンジン運転状態に適合するように制御され、エンジン運転状態(エンジン回転数、アクセルペダル踏込量等)に応じて燃料噴射期間(燃料噴射開始・終了時期)及び低圧噴射期間が設定される。
【0023】
図4に示すように、燃料噴射開始時期が到来するまでの間、切換弁5及び開閉弁7は、共に閉弁されており、切換弁5の下流側の燃料通路10aには低圧蓄圧器4から低圧燃料が供給され、この低圧燃料がインジェクタ9の圧力制御室11及び燃料室12に供給される。開閉弁7が閉弁されていることで圧力制御室11内に供給された燃圧が油圧ピストン14を介してニードル弁13に加わり、当該ニードル弁13によりノズル9aが閉塞されて閉弁されている。
【0024】
燃料噴射開始時期になると、開閉弁7のみが開弁され、インジェクタ9の圧力制御室11内の低圧燃料がオリフィス16及び燃料戻り通路10cを通して燃料タンク17に排出される。これにより油圧ピストン14を介してニードル弁13に加わる燃圧とスプリングのばね力との合力が、当該ニードル弁13を押し上げるように作用する燃料室12内の燃圧よりも小さくなった時点でニードル弁13が上昇してノズル9aが開口され、ノズル9aから低圧燃料が噴射される。即ち、噴射初期において比較的小さい燃料噴射率(単位時間当たりの燃料噴射量)での低圧噴射が実行される。この低圧噴射により、燃料噴射期間の初期段階での燃焼は、比較的緩慢に行われ、排気ガス中のNOx量の低減が図られる。
【0025】
低圧噴射を開始してから所定時間が経過すると、噴射時期制御用の開閉弁7が開弁された状態のまま、噴射率切換用の切換弁5が開弁され、燃料室12に高圧燃料が供給され、インジェクタ9から高圧燃料が噴射される。即ち、低圧噴射での燃料噴射率よりも大きい噴射率での高圧噴射が実行される。
そして、燃料噴射終了時期になると、噴射時期制御用の開閉弁7が閉弁され、燃料通路10aからオリフィス15を通して圧力制御室11に供給された高圧燃料が油圧ピストン14を介してニードル弁13に作用し、当該ニードル弁13がノズル9aを閉塞し、ノズル9aからの燃料噴射が終了する。燃料噴射終了時点で燃料噴射率が急速に立ち下がってエンジンからの黒煙(スモーク)やパティキュレート(粒状物質PM)の排出量が低減される。噴射率切換用の切換弁5は、燃料噴射終了時期における開閉弁7の閉弁と同時に閉弁され、或いは、燃料噴射時期終了時期から所定時間が経過した時点で閉弁される。
【0026】
図5に示すようにインジェクタ9の燃料室12と噴射率切換用の切換弁5との間において、燃料通路10a内の高圧燃料は、燃料通路10bのオリフィス6aを通して低圧蓄圧器4に流入し、これにより、燃料通路10a内の燃料圧は、各回の燃料噴射サイクルでの燃料噴射が終了した時点から漸減して、次回の燃料噴射サイクルでの燃料噴射が開始されるまでに圧力制御弁34により設定される低圧噴射に適合する燃料圧に低下し、次回の低圧噴射での噴射率は、所要のものとなる。
【0027】
次に、寒冷地等の低温状態において、エンジン冷却水温が十分に上がる前のアイドル運転時の暖機制御を図6乃至図8により説明する。図6は、エンジン冷却水温が十分に上がる前のアイドル運転時の暖機制御の手順を示すフローチャートである。電子制御装置8は、エンジン冷却水温Twが設定温度Twoよりも高いか否かを判定し(ステップS1)、設定温度Twoよりも高いときには通常モード制御に移行し(ステップS2)、前述した制御を実行する。従って、低圧蓄圧器4は、通常の圧力に制御される。電子制御装置8は、ステップS1においてエンジン冷却水温Twが設定温度Twoよりも低いと判定したときにはエンジンが無負荷状態であるか否かを判定し(ステップS3)、無負荷状態でないと判定したときには通常モード制御に移行し(ステップS2)、無負荷状態であると判定したときには暖機モード制御に移行する(ステップS4)。無負荷状態の判別は、アクセル開度により行われる。電子制御装置8は、エンジンが負荷状態にある場合には、エンジン冷却水温Twが設定温度Two以下の場合でも暖機モード制御に優先して通常モード制御を行う。
【0028】
電子制御装置8は、暖機モード制御に入ると、図7に示すように低圧蓄圧器4の圧力を冷却水温Twに応じて通常モード制御時の圧力よりもΔPLCRだけ増大して初期噴射(低圧噴射)を行い、インジェクタ9の開弁期間の途中で通常モード制御時における高圧蓄圧器3の圧力で主噴射(高圧噴射)を行う。即ち、初期噴射のみ噴射圧を増大する。この低圧蓄圧器4の増圧は、制御弁34の開弁時間のデューティ比を制御して行う。図8にエンジン冷却水温Twと低圧蓄圧器4の圧力増分ΔPLCRとの関係を示す。
【0029】
図7に示すようにインジェクタ9の開弁時期(開閉弁7の開弁時期)、切換弁5の開弁時期は、通常モード制御と同一であり、インジェクタ9の初期噴射量(低圧噴射量)は、点線で示す通常モード制御時における初期噴射圧(低圧噴射圧)よりも増圧分(低圧蓄圧器4の増圧分)ΔPLCRに応じて増大する。一方、暖機モード制御時における燃料噴射量(総量)を通常モード制御時における燃料噴射量(総量)と同量とする必要がある。従って、電子制御装置8は、インジェクタ9、切換弁5の閉弁時期を、初期噴射量が増大した分だけ噴射期間を短く(インジェクタ9、切換弁5の閉弁時期を早く)する。これにより、1燃料噴射における暖機モード制御時の燃料噴射量を通常モード制御時の燃料噴射量(点線で示す)と同量にすることができ、且つ噴射波形も所謂ブーツ型を維持して噴射することができ、燃焼騒音の増大を最小限に抑えることができる。
【0030】
図6に戻り、電子制御装置8は、ステップS1においてエンジン冷却水温Twが設定温度Twoよりも高くなり、暖機モード制御が終了すると通常モード制御に移行し(ステップS2)、低圧蓄圧器4の圧力増分ΔPLCTを0にする。
このように、低温状態で始動後のエンジン冷却水温が十分上がるまでの暖機時において、低圧蓄圧器4の圧力をエンジン冷却水温に応じて増分することにより、エンジンから排出される白煙を低減することができる。また、初期噴射(低圧噴射)時の圧力のみ増大し、主噴射(高圧噴射)時の圧力は通常モード制御のままであるため、燃焼騒音の増大を最小限に抑えることができる。
【0031】
また、電子制御装置8は、アイドル運転よりも有負荷運転を優先し、負荷に応じた適切なエンジン出力を得るようにしている。電子制御装置8は、エンジン負荷検出手段としてのアクセル開度センサにより検出されたアクセルペダル踏込量(アクセル開度)Accが0でないとき、即ち、エンジン負荷が有負荷状態にあるときには、温度センサにより検出されたエンジン冷却水温Twに拘わらず低圧蓄圧器4の増圧制御を禁止してエンジン負荷状態に応じた噴射圧制御を行う。これにより、暖機モード制御中であっても走行等の有負荷運転に応じたエンジン出力を得ることができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、請求項1の発明では、低温始動時に低圧初期噴射を高圧側に設定することでエンジンから排出される白煙を防止することができ、1燃料噴射における最高燃料圧を抑えることで燃焼騒音も低減することができる。
請求項2の発明では、アイドルより走行等の有負荷運転を優先することで、有負荷に応じた適切なエンジン出力を得ることができる。
【0033】
請求項3の発明では、低温始動時の燃料噴射量と通常始動時の燃料噴射量とを同量にすることで、燃焼騒音の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る蓄圧式燃料噴射装置を示す概略図である。
【図2】図1に示す燃料噴射装置の主要要素とエンジンの各気筒のインジェクタとの接続を示す概略図である。
【図3】図1に示す高圧燃料ポンプの概略図である。
【図4】通常モードで実施される一燃料噴射サイクルにおける、時間経過に伴う噴射率の変化並びに噴射率切換用の切換弁及び噴射時期制御用の開閉弁の各開閉状態の変化を示す図である。
【図5】通常モードで実施される一燃料噴射サイクルにおける、時間経過に伴うインジェクタと切換弁との間の燃料通路内の燃料圧力の変化を示す図である。
【図6】エンジン始動時における通常モード制御及び暖機モード制御の手順を示すフローチャートである。
【図7】暖機モード制御時における燃料噴射波形、インジェクタ及び切換弁の駆動、及び低圧蓄圧器の増圧制御を示すタイミングチャートである。
【図8】エンジン冷却水温と低圧蓄圧器の増圧分との関係を示すマップである。
【符号の説明】
1 高圧燃料ポンプ
3 高圧蓄圧器(第1蓄圧器)
4 低圧蓄圧器(第2蓄圧器)
3a 圧力センサ(第1燃圧検出手段)
4a 圧力センサ(第2燃圧検出手段)
5 高圧・低圧蓄圧器(燃料噴射率)切換用の切換弁(第1制御弁)
7 噴射時期制御用の開閉弁
8 電子制御装置(制御手段)
9 インジェクタ(燃料噴射ノズル)
10a、10b 燃料通路
20 プランジャポンプ(燃料ポンプ)
34 低圧蓄圧器の圧力制御弁(第2制御弁)
Claims (3)
- 燃料ポンプにより加圧された高圧の燃料を貯溜する第1蓄圧器と、
前記第1蓄圧器と燃料通路を介して接続され且つ供給された燃料をエンジン燃焼室内に噴射する燃料噴射ノズルと、
前記第1蓄圧器内の高圧燃料を前記燃料通路下流側へ排出制御する第1制御弁と、
前記第1蓄圧器内の高圧燃料よりも低圧の燃料を貯溜し前記第1制御弁より下流側の前記燃料通路に分岐通路を介して接続される第2蓄圧器と、
エンジンの冷却水温を検出する冷却水温検出手段と、
前記冷却水温に応じてエンジン始動時を通常始動時と低温始動時の2つの態様に分割し、前記低温始動時では前記通常始動時よりも前記第2蓄圧器のみ燃料圧を前記冷却水温の変化に応じて高圧側に設定し、前記第1制御弁の閉弁状態にて前記燃料噴射ノズルのみ開弁させて初期噴射を行い、前記燃料噴射ノズル開弁時期の途中で前記第1制御弁を開弁させて前記通常始動時と同じ燃料圧に設定された前記第1蓄圧器からの主噴射を行う燃料制御手段と
を有したことを特徴とする蓄圧式燃料噴射制御装置。 - 前記エンジンの負荷を検出するエンジン負荷検出手段を更に備え、
前記エンジン負荷検出手段によりエンジン負荷が有負荷状態のとき前記冷却水温検出手段の出力に拘わらず前記初期噴射の増圧制御を禁止し、エンジン負荷状態に応じた噴射圧制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射制御装置。 - 前記燃料制御手段は、前記低温始動時には前記燃料噴射ノズル及び前記第1制御弁の閉弁時期を前記通常始動時よりも早期側に設定させた主噴射を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄圧式燃料噴射制御装置。
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