JP3758683B2 - 屈曲性ベアリングを備えた集積回路トレイ - Google Patents

屈曲性ベアリングを備えた集積回路トレイ Download PDF

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Description

本発明は、広くは、半導体集積回路チップの製造に関し、更に詳しくは、製造過程の各ステップの間に、集積回路チップを保持するのに用いられるトレイに関する。
半導体集積回路チップ(「チップ」)を製造する際には、チップは、トレイ内に配置される。それぞれのトレイは、多くのチップを保持し、それらのチップが、マシンによって同時に移送又は処理されることが可能になる。例えば、自動テスト・システムは、それ自体が32個のチップを同時にテストすることを可能にする32個のテスト・サイトを有する。テスタ上の32個のテスト・サイトに整列(位置合わせ、アライメント、align)された32個のビン(bin)を有するトレイが、テスト実施の間、チップを保持するのに用いられる。
トレイのこれらのビンは、ほぼ同一であり、処理されている特定のタイプのチップを保持するように構成されている。例えば、ビンは、チップのリード線を、テスト・システムの接触器(contactors)に一致する位置に整列させる。それぞれのビンには、ポスト(post)も含まれている。ポストは、ビンにおけるチップを整列させる、又は、ビンをテスト・システムに整列させるのに用いることができる。
トレイは、プラスチックから成形され、それによって、低コストかつ軽量とすることができる。しかし、成形されたプラスチック部品は、位置的な公差に関して劣っているのが一般的である。公差は、大きな部品であるほど、悪化する。従って、比較的大きな部品であるトレイは、特に、位置的な公差が劣っている。公差が劣っていることが問題であるのは、チップに接触しなければならない作業サイトに対して、チップが正しい位置でトレイ内に保持されないからである。例えば、公差が大きすぎると、トレイのある部分に置かれたチップは作業サイトに対し適切に整列されているかもしれないが、別の部分にあるチップはそうではない可能性がある。
この問題を回避するための1つのアプローチが、O'Conner他への米国特許第5,131,535号に記載されている。この米国特許には、ビンがプラスチック・タイプの材料から別個に作られているトレイが記載されている。しかし、ビンは、同じサイズの成形プラスチック部品よりも優れた位置的公差を有する金属フレームの中に挿入される。この米国特許には、ビンが、トレイの表面に対して垂直方向に上下に移動し、テスト・サイトに対するビンの高さの差を僅かに調整することが記載されている。これらの調整は、一度にテストされるすべてのチップがテスト・サイトと接触することを確実にするのに役立つ。
このトレイ設計は、トレイの表面に垂直な方向(Z方向)の不正確さだけが訂正される。また、この設計は、トレイの表面全体の位置的な精度を提供するのに、コストのかかる金属フレームに依存している。
別のトレイ設計では、プラスチック製のフレームとビンとの両方を有している。プラスチックのフレームは、グリッドを構成し、1つのグリッド・セルがそれぞれのビンに対応する。グリッド・セルは、ビンよりも大きく、それにより、ビンは、セルの内部でスライドして移動することができる。この運動により、トレイの表面に平行な方向(X−Y方向)の不正確な位置的な公差が訂正される。
これらのアプローチのそれぞれは、位置決めの不正確さを、限定された方向についてだけ、補償している。先のものではZ方向だけであるし、後のものではX−Y方向だけである。完全に自由度6を有するビンのコンプライアンス(順応性)を与えるようなトレイを提供することが望ましい。
また、これらのアプローチのそれぞれでは、それぞれのビンが別個であるために、トレイが多数の部品から構成されることが必要となる。コストを考慮すると、複雑な構成は望ましくない。構成要素の数を減らすことが望まれる。
我々は、プラスチック・フレーム内部でスライドするビンを有するトレイに伴ういくつかの短所を見いだした。半導体部品からのモールド・フラッシング(mold flashing)が、時には、チップから落下し、スライドを邪魔することがある。また、プラスチック・フレームを成形する際に、モールド・フラッシングが、その上をビンがスライドするトラック内に残存することがある。モールド・フラッシングは、ビンとトラックとの間に摩擦を生じさせる。この摩擦により、部品が摩耗し、又は、ビンがフレーム内で望むようにスライドすることが妨げられる可能性がある。ビンが適切にスライドしない場合には、チップは、処理される際に、適切に整列されないことになる。これは、チップが処理装置内で詰まってしまうことの原因となり得る。この詰まり(jams)は、極めて望ましくない。というのは、それによって、製造工程を停止させることが必要になり、よって、かなりのコストを要するからである。
スライドするビンを有するトレイを用いることに伴う別の短所は、トレイが反ったり(warp)屈曲したり(flex)する場合には、ビンとフレームとの間の摩擦が変化することである。これにより、ビンの応答特性が変化し、又は、極端な場合には、詰まりを引き起こす可能性もある。
X−Y平面においてスライドするビンを有するトレイを用いることに伴う更に別の問題点は、このようなトレイは、トレイを水平に維持した状態でチップを処理する装置と共に用いる場合にのみ、適しているということである。装置によっては、トレイを垂直方向に保持した状態でチップを処理することがある。スライドするビンを有するトレイが垂直方向に保持されると、すべてのビンに、セルの中心で始動する場合よりも、はるかに大きな調整を行うことを強制しなければならない。チップを作業サイトに整列させるのに必要な調整が大きければ大きいほど、摩耗や詰まりが生じる可能性は高くなる。
以下により詳細に説明するように、我々は、屈曲性ベアリング(flexural bearings)を用いた改良トレイによって、これらの問題点を解決した。屈曲性ベアリングは、光学的アライメント(位置合わせ、整列)システムや駆動システムにおける結合要素などの、別の応用例において用いられてきている。しかし、屈曲性ベアリングは、一般に、自由度が2のシステムである。いくつかの希な例では、屈曲性ベアリングは、コイル状のスプリングやベロー(bellows)などの形状を有し軸継手(shaft coupling)を形成する場合には、自由度5を与えるのに用いられることもある。これらの設計は、参考文献であるAlexander H. Slocum, Precision Machine Design, Prentice Hall, Englewood Cliffs, NJ 1992, ISDN0-13-719972-4において論じられている。この文献は、本出願において援用する。
発明の概要
以上の背景を鑑み、低コストのチップ・トレイを提供することが、本発明の目的である。
更に、トレイにおけるそれぞれのチップに対して独立に、自由度6までのコンプライアンスを有するチップ・トレイを提供することもまた、本発明の目的である。
更に、自己中心化(センタリング)チップ支持プラットフォームを有するチップ・トレイを提供することも、本発明の目的である。
以上の目的及びそれ以外の目的は、一連の屈曲性ベアリングを介してフレームに結合されたビンを有するチップ・トレイにおいて、達成される。好適実施例においては、フレームと、ビンと、屈曲性ベアリングとは、プラスチックから一体的に成形される。
【図面の簡単な説明】
本発明は、以下のより詳細な説明と次の添付の図面とを参照することによって、よりよく理解することができる。
図1は、本発明によるチップ・トレイの図である。
図2は、図1のチップ・トレイにおけるビンの1つの拡大図である。
図3は、図2のビンの別の実施例の図である。
図4は、図2のビンの第2の別の実施例の図である。
好適実施例の説明
図1は、32個のチップを保持できるチップ・トレイを示している。このトレイには、4つのビンが8列あり、これらは、2a…2d、3a…3d、4a…4d、5a…5d、6a…6d、7a…7d、8a…8d、9a…9dという参照番号が付されている。これらのビンは、トレイの複数の部分に取り付けられており、それによって、ビンの間にグリッド10が形成されている。
トレイ1は、好適実施例では、プラスチックから成形されている。半導体保持デバイスにおいて通常用いられるタイプのロー・スタティック(low static)なプラスチックが好適である。好ましくは、トレイの全体とすべてのビンとは、1回の操作で一体的に成形(モールド)される。ビンの数と構成とは本発明にとって重要ではなく、半導体処理工程によって決定される。また、トレイ1は、半導体処理工程の間の保持及び操作が可能な構造を有している。この構造に関しては、従来技術と同様であり、図面には明示的に示されていない。
ビン2a…2d、3a…3d、4a…4d、5a…5d、6a…6d、7a…7d、8a…8d、9a…9dのそれぞれは、この好適実施例では、同一である。図2には、ビン2aがより詳細に示されている。ビン2aは、チップ(図示せず)をプラットフォーム60上で保持している。プラットフォーム60の特定の形状と外形とは、トレイ1(図1)に保持されるチップのタイプによって決定される。
ここに図解されている実施例では、プラットフォーム60は、ガイド50aによって分離されたスロット50bを含む。スロット50bは、チップのリード線を受け入れる。
中央のホール90により、プラットフォーム60上でのチップへの背面のアクセスが可能になる。このアクセスは、テスト実施又は処理工程の間に、制御されたエアをチップ(図示せず)上に吹き付けることなどに用いられる。
ポスト80、81、82は、チップ(図示せず)をプラットフォーム60上で整列させる(位置合わせする)のに用いられる。このようなポストは、チップがキャリア・タイプのリード・フレームを有しているときに、有用である。ポスト80、81、82は、リード・フレームのホールを通過し、チップを位置決めする。
ポスト80、81、82はまた、自動テスト装置上のテスト・サイト又はトレイ1(図1)のチップ(図示せず)が配置されるそれ以外の半導体処理装置上の作業サイトに対して、プラットフォーム60を、位置決めするのにも用いられる。例えば、これらは、プラットフォーム60上のチップ(図示せず)を、ハンドラの接触器のタスク・サイトの中に誘導するのに用いられる。
スロット50bと、ポスト80、81、82と、中央ホール90とを含むプラットフォーム60は、従来技術と同様である。プラットフォーム60は、トレイ1(図1)に取り付けられている態様が、従来技術とは異なっている。特に、プラットフォーム60は、トレイ1のフレーム10に、自由度を6まで許容する屈曲性ベアリング・システムを介して、取り付けられている。ビン2a…2d、3a…3d、4a…4d、5a…5d、6a…6d、7a…7d、8a…8d、9a…9dは、それぞれが、同様のベアリング・システムを介して結合されたプラットフォーム60を含む。これらの屈曲性ベアリング・システムにより、ビンのそれぞれにおけるプラットフォームが、6までの自由度を有しながら独立に動くことが可能となる。従って、トレイ1の製造過程における不正確さや作業サイトの位置決めの不正確さとがあっても、トレイが多数の作業サイトに与えられるときに、トレイにおけるチップ(図示せず)のすべてが、それぞれの作業サイトに対して適切に位置合わせされることになる。
この好適実施例では、ビン2aに対する屈曲性(可撓性)ベアリング・システムは、4つのビーム21、22、23、24を含んでいる。各ビームは、それぞれの端部において、少なくとも自由度2の屈曲(曲げ)が可能である屈曲性ベアリングを含み、それによって、プラットフォーム60の運動に関して完全な自由度6を得る。ビームは対になっており、それぞれの対における各ビームの一方の端部は、屈曲性ベアリングを通じて直角に接続されている。特に、ビーム21及び22が第1の対を形成し、ビーム23及び24が第2の対を形成する。それぞれの対において、一方のビームの他方の端部はフレーム10に接続され、他方のビームの残りの端部は、プラットフォーム60に接続されている。図2では、ビーム21及び23は、フレーム10に接続されている。ビーム22及び24は、プラットフォーム60に接続されている。
図2の実施例において用いられている屈曲性ベアリングは、直角の2つのヒンジ31a及び41a、31b及び41b、32a及び42a,32b及び42b、33a及び43a、33b及び43b、34a及び44a、34b及び44bから構成されている。図2の実施例では、それぞれのヒンジは、対称的な窪み(indentations)をビームの対向する側部に形成することによって形成される。結果的に得られるヒンジは、「砂時計(hour glasses)」のような形状をしている。それぞれの屈曲性ベアリングにおけるヒンジは直角をしているので、結果的なベアリングは、「交差した砂時計(crossed hour glasses)」の形状を有している。
図2に図解されている屈曲性ベアリング・システムは、比較的単純な要素から作られている。このシステムは、屈曲を可能にする少数の窪み(切れ込み)を有するビームから構成されている。しかし、結果的に得られる屈曲性ベアリング・アセンブリ・システムは、極めて複雑である。それぞれの屈曲性ベアリングは、本質的に、フック継手(Hooke's joint)である。4つのビームと屈曲性ベアリングとは、協動して機能し、プラットフォーム60が自由度6で移動することを可能にする。このシステムは、フレーム10に対して「浮遊する(float)」ことができる。従って、それぞれのビンにおけるそれぞれのチップを、ポスト80、81、82を位置決めすることによって、それぞれの作業サイトに整列させることができる。
ビーム21、22、23、24は、可能な限りの最大限度まで、プラットフォーム60のそれぞれの側部の長さに沿って延びている。ビームは、その剛性(スチフネス)を可能な限り最小化し、プラットフォーム60が「浮遊する」容易さを最大にするように作成されることが好ましい。
自由度6は、ビーム22及び24に平行なX方向と、ビーム21及び23に平行なY方向とを有するデカルト座標系を定めることによって、見ることができる。すると、Z方向は、プラットフォーム60の表面と垂直となる。
ヒンジ31a、31b、32a、32b、33a、33b、34a、34bは、同じ方向又は対向する方向に屈曲させることができ、X−Y平面内の並進(平行移動)や回転の任意の組合せを可能とする。例えば、X方向への並進運動の間は、ヒンジ31a及び33aは、同じ方向に屈曲する。X−Y平面内の回転の間には、これらのヒンジは、対向する方向に屈曲する。
ヒンジ41a、41b、42b、43a、43b、44a、44bは、Z方向の並進やX軸又はY軸のどちらかの回りの回転を可能にするように屈曲する。例えば、ヒンジ42a及び44aは、Z方向の並進のために、対向する方向に屈曲する。これらのヒンジは、Y軸の回りの回転のためには、同じ方向に屈曲する。同様に、ヒンジ41a及び43aは、Z方向の並進の間は、対向する方向に屈曲するが、X軸の回りの回転のためには、同じ方向に屈曲する。
ビーム21は、ビーム23と平行に作用して、本質的に4つのバーのリンク仕掛け(リンケージ:linkage)を形成するが、これは、ビーム23が、一方の端部において直交する砂時計形ヒンジ33b及び43bを、他方の端部において同様に33a及び43aを有することによる。ビーム21及び23の両方により、X方向の運動が可能になる。ビーム21及び23はカンチレバー式のビームであり、その剛性を最小化する(これが望ましい)ために、これらのビームの端部は、ガイドされた状態であってはならず、軸方向に束縛されていてはならず、従って、屈曲性ビーム22及び24を介して、プラットフォーム60に結合されている。ビーム21の端部は、ビーム22の端部に結合されているが、屈曲性ビーム22のこの端部は、直交砂時計形ヒンジ32a及び42aを有している。ビーム22の他方の端部は、直交砂時計形ヒンジ32b及び42bによって、プラットフォーム60に取り付けられている。ビーム22が、ビーム21の先端(tip)の所望の運動を制約せずに、ビーム21をプラットフォーム60に接続し、それによって、剛性を最小化する(これが、屈曲性のあるベアリングの運動には望ましい)のと全く同じように、ビーム21は、ビーム22に対しても同じことをする。砂時計形のヒンジ31b、41b、32a、42aのすべてが集まって、屈曲剛性を最小化し運動の範囲を最大化するビーム21及び22の先端部の間のモーメントの移動を妨げるように作用する。同様にして、ビーム24は、直交屈曲性ヒンジ34b、44b、34a、44aによって、その端部において支持されている。更に、同様に、ビーム22及び24は、4つのバーのリンケージとして協動し、Y方向の運動を与える。ビーム24及び23は、相互の先端部を、所望の運動方向に制限することなく、誘導し、プラットフォーム60とフレーム10との間の接続を与える。
望ましくないピッチ又はヨー抵抗を生じさせずにZ方向の運動を達成するには、ビーム21及び22は、可撓性の直交対として機能し、一方のビームの屈曲によって、他方のビームに投影された長さと勾配とが変化し、ほぼ制約のない垂直方向の運動が可能となる。同様に、ビーム24及び23も協動して機能する。やはり、直交する砂時計形の屈曲性ベアリング・ヒンジが、接続を与えるヒンジのそれぞれの端部に対し、2つの方向における可撓性を与える。
回転に関する自由度を与えるには、ビームは、再び、直交対として機能し、一方のビームが他方のビームの端部を制約することなく誘導する。例えば、Z軸の回りの右手の法則の回転によれば、ビーム23の先端部は、負のX方向に偏向しなければならない。砂時計33b及び34bは、ビーム23の端部のX方向の運動を誘導し、それをプラットフォーム60に伝えるが、その際に、ビーム23の端部における勾配を制限しない。それによって、ビーム23を曲げるのに要求される力を最小化する。同様にして、ビーム21は、正のX方向に曲がり、その先端部の運動は、ビーム22によって、構造60に伝えられる。この結果は、Z軸の回りの回転におけるコンプライアンスである。ビームの端部の間の運動を最小化する屈曲性のある結合された接続部を有するビームの対を用いることにより、可撓性と運動の範囲とが増加する。
Y軸の回りの角度コンプライアンスのために、ビーム23及び24の端部は、正のZ方向に移動する。また、ビームの端部の勾配とY及びX方向の僅かな偏向成分とは、制限されないが、これは、相互のビームの間の一方から他方への接続の可撓性に起因する。同様に、ビーム22及び21の端部は、負のZ方向に偏向するが、これらの相互に接続された端部は、ビームの直交的な可撓性によって制約されない。
Y軸の回りの角度コンプライアンスのために、ビーム24の砂時計形の屈曲34b及び44bは、正のZ方向に移動し、砂時計形の屈曲44a及び34aは、負のZ方向に屈曲し移動する。更に、直交的に接続されたビーム23の偏向によって、X軸の回りの回転の場合のように、いくらかの可撓性が得られる。また、ビーム22及び21は、同様の態様で、システムとして協動して機能し、負のZ方向に移動する。
ビーム21、22、23、24は、フレーム10の中の公称の中央位置で、プラットフォーム60を保持する。プラットフォーム60は、トレイ1の向きとは無関係に、この位置に保持される。これが可能であることにより、トレイ1は、チップをテスト実施のために垂直位置に保持するハンドラと共に用いることに非常に適することになる。
また、プラットフォーム60は、フレーム10の上でスライドすることなく、「浮遊する」ことに注意すべきである。従って、フレーム10上に成形フラッシングが存在する場合でも、動かなくなることはない。本発明によるトレイは、同様に、フレーム上のゴミの堆積にも、影響されない。別の効果として、トレイ1の反り(warping)や屈曲(flexing)も、トレイ60の応答特性を変化させない。従って、結果として得られるトレイは、極度に堅牢である。
以上では、1つの実施例を説明したが、多数の別の実施例や改変が可能である。例えば、トレイ1は、プラスチック成形によるものであると説明した。しかし、別の材料から作ることもできる。また、シートからのスタンピング(stamping)や、ミリング(milling)によってなど、別の方法で作ることもできる。
低コストの製造方法提供されるために、一体的な成形が好ましいが、必須ではない。屈曲部(flexures)を含むビンは、個別に作成し、金属又はプラスチックで作られたフレームの中に配置することもできる。
図3は、いくつかの屈曲性ベアリングのための別の構成を示している。ヒンジ34a及び33bの代わりに、単一の薄い曲線状の(湾曲した)ビーム122cが用いられている。同様に、ヒンジ31b及び32aの代わりには、単一の薄い曲線状のビーム121cが用いられている。ビーム121c及び122cは、ビーム21、22、23、24に対して、同じ相対的な屈曲運動を提供する。
図4は、更に別の実施例を示している。図4では、ビーム21、22、23、24の代わりに、ビーム121、122、123、124が用いられていることを示している。ビーム121、122、123、124は、砂時計形の部分にウエスト(waist)140a、140b、140c、140dを与えることにより、テーパ状にしている。ビーム121及び122は、屈曲部131によって接続されている。ビーム123及び124は、屈曲132によって接続されている。ビーム121、122、123、124は、それぞれ、2次元的に、ウエスト140a、140b、140c、140dの中がテーパ状となっている。従って、これらは、図2に示されているヒンジ対と同じ方向に屈曲することができる。しかし、長いテーパ状の部分は、より一様な応力を生じさせる。
薄く一定の断面を有するビームを用いることもできる。薄いビームは、状況によっては、要求される屈曲コンプライアンスを与える。しかし、そのようなビームでは、運動の範囲は限定される。
更に、ビームが、プラットフォーム60の長さに沿った方向に延びることは必要ではない。ただし、一般的に、ビームは、長いほど、より大きな運動範囲を提供するし、ビームをプラットフォーム60のエッジと平行に走らせることによって、よりコンパクトな構造を作ることはできる。しかし、プラットフォーム60を、コイル・スプリングにより類似する構造を介して複数の点でフレーム10に取り付けることができる。このようなコイル状のスプリング・タイプの構造は、接合部に屈曲性ベアリングを用いたジグザグ状のビームを用いて作成することができる。
他のタイプの屈曲部を用いることができることは理解すべきである。例えば、弾性ダイアフラム、ツイスト状のフラット・バー・リンク、回転ベロー(rollong bellows)、それ以外の膜及びスプリング状の構造を用いて、プラットフォーム60に、自由度6までを与えることができる。これらのシステムは、どれでも、応力偏向解析の分野の当業者であれば、剛性及び応力が最小となるように最適化することができる。
別の修正の例として、いくつかの従来技術によるトレイは、僅かに自由度2を有するチップ・ビンへのコンプライアンスを与えることを理解すべきである。望むのであれば、ヒンジの半分を除去することができる。例えば、X−Y平面でのコンプライアンスだけが必要であるのならば、ヒンジ41a、41b、42a、42b、43a、43b、44a、44bを除去することができる。
また、本発明による屈曲性ベアリング・システムは、ビーム対21及び22、23及び24を含むことに注意すべきである。それぞれの対におけるビームは、直角に結合されており、剛性を減少させ、運動範囲を拡大させている。本発明の効果のいくつかは、ビーム21及び23を屈曲性ベアリングを用いてプラットフォーム60に結合されている場合でも、達成することができる。
従って、本発明は、請求の範囲における請求項の趣旨と範囲とによってのみ限定されるべきである。

Claims (9)

  1. フレーム(10)と、それぞれがプラットフォーム(60)を含む複数のビン(2a、2b、2c、2d、3a、3b、3c、3d、4a、4b、4c、4d、5a、5b、5c、5d、6a、6b、6c、6d、7a、7b、7c、7d、8a、8b、8c、8d、9a、9b、9c、9d)とを含む、半導体チップを保持するトレイ(1)であって、
    各プラットフォームは、それぞれ1組のビームによって、前記フレームに結合され、
    それぞれの1組のビームは、対として構成され、各対のビームは、一方の端部で直角に結合されており、この1対のビームの一方は、一方の端部において前記フレームに結合され、この1対のビームの他方は、一方の端部において前記プラットフォームに結合され、
    各ビームは、屈曲性の運動を提供する手段を含み、
    それによって、各プラットフォームが、複数の自由度をもって、前記フレームに対して運動することを許容することを特徴とするトレイ。
  2. 前記屈曲性の運動を提供する手段は、複数の交差した砂時計形ヒンジ(31a、41a、31b、41b、32a、42a、32b、42b、33a、43a、33b、43b、34a、44a、34b、44b)を備えており、
    前記交差した砂時計形ヒンジの1つが、前記ビームの前記端部のそれぞれに設けられている、請求項1記載のトレイ。
  3. それぞれの交差した砂時計形ヒンジは、1対のヒンジから構成され、各対におけるヒンジは直交方向の屈曲を許容する、請求項2記載のトレイ。
  4. 各対におけるそれぞれのヒンジは前記ビームの対向する側面に凹部を有する、請求項3記載のトレイ。
  5. 前記屈曲性の運動を提供する手段は、複数のヒンジ(31a、41a、41b、42a、32b、42b、33a、43a、43b、44a、34b、44b)と、複数の曲線状のビーム(122c)とを備えており、
    第1の対のヒンジは、前記プラットフォームと前記フレームとに結合された前記ビームの端部のそれぞれに設けられ、それぞれの第1の対におけるヒンジは、直交方向の屈曲を許容し、
    第2の対のヒンジとそれぞれの曲線状のビームとは、直角に結合されているビームの端部に設けられ、それぞれの曲線状のビームは、それぞれの第2の対におけるヒンジの間にあって、直交方向の屈曲を許容する、請求項1記載のトレイ。
  6. 前記屈曲性の運動を提供する手段は、ウエスト(140a、140b、140c、140d)を有する複数のテーパ状の砂時計形部分(121、122、123、124)を備えている、請求項1記載のトレイ。
  7. 前記複数のビンは、少なくとも32個のビンから構成される、請求項1記載のトレイ。
  8. それぞれのプラットフォームは、前記複数の組のビームの中の2つによって前記フレームに結合されている、請求項1記載のトレイ。
  9. 前記フレームと、前記プラットフォームと、前記それぞれの組のビームとは、一体的に成形されている、請求項1記載のトレイ。
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