JP3758648B2 - 乳液の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、乳液の製造方法に関する。本発明は、特に油相成分と水相成分とから、乳液を製造するにあたり、油相成分の高温溶解処理工程で生じる酸化・分解を回避し、またビタミン剤等の熱に不安定な添加成分の変質を回避して、原料成分が酸化、分解・変質等を受けることなく製品中に含有されている優良な品質の乳液を提供するための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
乳液は、基礎化粧品などにおいて一般的に汎用されてきたものである。こういった乳液剤は水と油のように互いに溶解しない2つの液体の一方を分散相として、他方の分散媒中に安定な状態で分散させたエマルジョンの一種であるので、各種の成分を配合することができるという利点を有している。また、脂肪分、保湿剤及び水分を配合できるため皮膚のモイスチャーバランスを保つべく、主に水分、保湿剤、そして脂肪分を補給することができるのに適した化粧品として、さらに皮膚の保湿、柔軟化をはたす機能を持たせるのに適した化粧品として、色々な種類のものが製造されている。乳液は、比較的油分量を少なくし流動性を持たせたエマルジョンからなる化粧品であり、その水分量が多いことから、皮膚のモイスチャーバランスを保つのにより適した化粧品として使用され、主に水分・保湿剤を補い、さらには油分も補給し、皮膚の保湿・柔軟機能をはたす化粧品として利用され、皮膚の恒常性機能の維持、回復やその他の役割を持つものとして利用されている。乳液は、使いやすくかつ均一に塗布し易いために、そして上記したように水性成分や油溶性成分の配合が可能であることから、例えば使用感の上でもさっぱりしたもの、しっとりしたもの、みずみずしい形態のもの、よくのびるもの、すぐ肌になじむもの、手で拭って落ちやすくしたもの、水洗いのできるものなど色々な性状を有するものとすることが可能で、その時々にあった、特には夏の季節、使用者の年齢、生活環境によって異なる肌の質や状態、化粧習慣の違いや嗜好性の違いに応じた使用目的に合わせて使いやすいものを製造することができる便利かつ有用な剤型である。このように各種の用途に対応できる乳液は、化粧品本来の目的であるありのままの美しさを引き立て、さらにその美しさを長持ちさせるという役割を果たす上で重要なものである。
【0003】
現在生体についての理解が進むとともに皮膚などの役割の理解についてもその生理的な機能の重要性が認識されてきている。皮膚は外界からの機械的な作用が直接体の内部に及ばないように緩衝化する働きと共に化学的な刺激や作用などからも人体を守る働きをしている。皮膚はこのような保護作用だけでなく、体温調節やその他様々な作用をも受け持っている。そして美しい皮膚というものは、以上の様な機能及び作用のバランスがとれ、水分と脂肪分とが丁度ほどよいバランス状態にあり、みずみずしさがあり、つやつやしたものであることがわかってきた。こうして、皮膚をより美しく保つための化粧品の一つである乳液の持つべき性質として、この皮膚の角質層の外にあり、極く薄い膜でありながら、この角質層の水分の調節、外からの刺激あるいは攻撃の防御、汚れを包んでしまうという働きなど、いろいろな役割を見事に果たしている皮脂膜の働きを見習ったり、その働きを助けるようなものにすることが大事であるとの認識がなされるようになった。ところで、この皮脂膜のうちの皮脂としては、スクワレン、コレステロールエステル、コレステロール、ワックス、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、脂肪酸などが含まれていることがわかってきたが、このほかにも角質層の脱落物であるリポタンパク、ポリペプチド、リポポリサッカライド、スフィンゴリピッド、グリセリド、リン脂質などがあることがみいだされてきている。
【0004】
また、乳液の性質として、皮膚の過角化予防をするとともに、皮膚のみずみずしさを保つために角質層を覆っている皮脂膜の働きを助けるようなものであることが求められている。このような機能を持った乳液としては、皮膚のなかにある天然保湿因子(NMF=ナチュラル・モイスチュア・ファクター)に良く似た物質を補給するとか、NMFが流出して無くなってしまうのを防ぐような物質を補給するとか、あるいはそれらの働きを助ける物質を与えるものであることも求められている。ところでこれまでNMFとしては、糖脂質、リン脂質、アミノ酸などが知られているが、このうち特に重要な成分としては、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、乳酸塩、尿素、グルコサミン、クレアチン、クエン酸、有機酸、ペプチド、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがあるといわれ、それと皮膚の角質層にあるケラチンとがあいまって保水に貢献しているといわれている。このような機能及び作用を求められている乳液は、その使用成分としてスクワレン、コレステロールエステル、コレステロール、ワックス、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、脂肪酸などの皮脂の成分を加えたようなものとしたり、あるいはそれと極めて似た性質のものを使用するようになっており、その製造に当たってはその油相成分と水相成分とを乳化処理して製造されている。
【0005】
ところで、この乳化処理にあたっては各水相成分も油相成分もともに均一に溶解したものとなっていなければならないことから、各水相成分も油相成分もともに乳化処理に先立ってその中の成分それぞれが均一に混合あるいは溶解するよう加熱溶解処理されなければならない。そして上記したように所要の機能及び作用を付与するためには、その水相も油相もある特定の成分を最低限配合せねばならない一方で、そのような成分は加熱処理しなければ互いに乳化処理に用いうるように均一に溶解混合できない。特に油相成分として使用されるものは、常温で固体の成分が使用され、それらを均一に混合あるいは溶解するためには高い温度にまで加熱するか、あるいは長時間加熱しなければならない。このように加熱溶解処理工程は省くことができないものだが、成分のうちには高い温度にまで加熱したり、長時間加熱したりすると、酸化されたり、分解されたりして、本来の性質に変質をきたしたり、所望の働きがなくなったり、さらには有害な物質に変わったりするという問題がある。また、乳液は油性成分量に対して水性成分量の比率が大きいので、肌に対しては前記したようにのびが良く、なじみやすいという特徴も有していて、脂ぽっく無くさっぱりした使用感が得られ、夏期の使用や、普通の肌から脂性の肌用の化粧品に適している。ところが、乳液は油性成分の割合の少ない水と油という互いに溶け合わない液体の分散系を利用し、そのうちにあるエマルジョン系の安定化のためには、乳化粒子を細かくするなど、その製造に工夫をこらす必要があり、そのような乳化粒子の微細化をはかるためには、油性成分同志の混合をかなり高温のもとで行い、互いに均一に溶解せしめなければならないし、さらにこうして互いに均一に溶解せしめられた油性成分相は、これまたかなり高い温度のもとで、水相と共に乳化処理に付されなければならない。ところが、乳液の成分として好ましい性質を持つ成分の中には熱に対して敏感なものも多く、そのためそのように加熱に対して不安定な成分を配合できなかったり、あるいは加熱処理後に不安定になっているものの変質を防ぐために酸化防止剤などを添加しなければならない。特に油相成分として使用されるものの中には熱に対して敏感なものも多く、そのため加熱によって刺激物を生じたり、加熱によって生じた物質により人体にアレルギー反応を起こしたりする心配もある。
【0006】
前記したような肌・皮膚を美しく保つために用いられる乳液においては、その目的のため加えられるべき成分に制限があったり、あるいは酸化防止剤などという好ましくない成分を加えなければならなかったり、その加熱処理などのために一部の成分に変質を来してアレルギーなどの問題を起こすなどということは避けねばならない。特に、従来技術では70℃以上に加熱し、そして70℃以上の温度に保ったまま乳化処理まで行うため、刺激物が生成したり、あるいはその刺激物の生成を抑えるために酸化防止剤などを加えなければならない。またこうして加えられた酸化防止剤などの添加物は70℃以上の加熱処理の間に更に別の刺激物を生じたり、あるいは一旦得られた製品に問題を引き起こす心配もある。ところで、一般に液体の沸点などは、その液体を取り囲む環境を減圧状態にすることにより、簡単にその沸点の温度を低下させることができることが知られているが、固体や半固体、固体混合物などでは減圧などにしても、その溶解温度の降下は期待できないことが理論的に指摘されている。乳液の成分としての原料油分は固体であるものを使用するので、その溶解温度を下げることは理論的には不可能であるとされる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記した問題点を簡単な方法で解決し、その使用成分においての制限の少ないかつ皮膚に好ましくない成分の使用を避け、長期間使用しても害がなく、さらに皮膚が過敏症であり通常の乳液を使用すると皮膚が刺激を受けてかゆみや赤くなるなどの障害を生ずる使用者に対しても安心して使用できる製品を開発すべく鋭意研究開発を行った結果、本発明をなすに至ったものである。
すなわち、本発明は、油相成分と水相成分とから乳液を製造するにあたり、固形油分又は半固形油分を含む油相成分を不活性雰囲気を除く雰囲気中において、30〜59℃で、かつ通常の乳液製造時の固形油分又は半固形油分の溶解段階の溶解温度よりも低い温度となし得る0〜200mmHgの減圧下で混合溶解処理し、次にこうして溶解処理して得られた油相成分と水相成分とを混合し、温度30〜59℃、0〜200mmHgで乳化処理し、その後こうして処理して得られた生成物に35〜50℃で熱に不安定な成分を添加混合処理することを特徴とする乳液の製造方法である。
【0008】
本発明においては、油相成分の混合溶解処理工程は、30℃から59℃でかつ減圧下で行われ、好ましくは35℃から58℃で行われ、さらに好ましくは45℃から57℃で行われる。もちろん、通常の乳液製造における油相成分の混合溶解処理工程が70℃あるいはそれ以上の温度で行わなければならないような原料物質を用いる場合には、油相成分の混合溶解処理工程は、それより実質的に十分低い温度下でなされるものであればよく、必ずしも59℃以下でなければならないことはなく、例えば、減圧下40℃から64℃で行われ、好ましくは40℃から60℃で行われ、さらに好ましくは45℃から59℃で行われ、さらにより好ましくは58℃以下で行うことができる。また、通常の乳液製造における油相成分の混合溶解処理工程が60℃あるいはそれ以上の温度で行わなければならないような原料物質を用いる場合には、油相成分の混合溶解処理工程は、減圧下30℃から55℃で行われ、好ましくは35℃から54℃で行われ、さらに好ましくは40℃から54℃で行うことができる。この減圧下とは、広い意味では通常の圧力よりも低いことを指すが、例えば、0から約300mmHgの圧力下であってよく、また狭い範囲としては約0から約200mmHgの圧力下であってよく、好ましくは約0から約100mmHgの圧力下であってよく、さらに好ましくは約0から約50mmHgの圧力下であってよく、さらにより好ましくは約0から約10mmHgの圧力下であることができる。なお、本発明でいう0mmHgとは、理論的に0mmHgを言うのではなく、実現可能な最大限の真空度を意味するものである。本発明においては、油相成分の混合溶解処理工程は、0から約200mmHgの圧力下で45℃から58℃で行うことができる。
【0009】
本発明においては、乳化処理工程は、低温減圧下で行なうことができる。この場合、低温下での乳化処理工程とは、通常の乳液製造におけるよりも実質的に低い温度下でなされることを意味する。この場合、低温減圧下での乳化処理工程とは、通常の乳液製造におけるよりも実質的に低い温度下、実質的に低い温度を達成できるに足る低圧雰囲気下でなされることを意味してよい。また、この処理工程は、不活性雰囲気下に行われることができ、例えば、窒素気流中で行うことができる。この乳化処理工程は、窒素雰囲気下で実質的に減圧下で行うことができ、実質的により低温下で行うことが好ましい。乳化処理工程においては、油相成分は徐々に攪拌されている水相成分に添加することができるし、また油相成分は攪拌されて、そこに徐々に水相成分を添加することもできる。この処理工程は、不活性雰囲気下に行うことができ、例えば、窒素気流中で行うことができる。この低温減圧下での乳化処理工程の減圧下とは、広い意味では通常の圧力よりも低い雰囲気下のことを指すが、例えば、約0から約200mmHgの圧力下であってよく、また狭い範囲としては0から100mmHgの圧力下であってよく、好ましくは0から50mmHgの圧力下であってよく、さらに好ましくは0から20mmHgの圧力下であってよく、さらにより好ましくは0から10mmHgの圧力下であることができる。本発明においては、乳化処理工程は、約0から200mmHgの圧力下で45℃から58℃で行うことができる。本発明においては、低温下での乳化処理工程の低温下とは、30℃から59℃であってよく、好ましくは35℃から58℃であってよく、さらに好ましくは45℃から57℃であってよい。もちろん、通常の乳液製造における乳化処理工程が70℃あるいはそれ以上の温度で行わなければならないような原料物質を用いる場合には、それより実質的に十分低い温度下でなされるものであればよく、必ずしも59℃以下でなければならないことはなく、例えば、減圧下40℃から64℃で行うこともできるが、より低温で行うのが好ましい。また、低温下での乳化処理工程は、40℃から59℃で行うこともできるが、より低温で行うのが好ましい。好ましくは40℃から58℃で行われ、さらに好ましくは57℃以下で行われる。また、通常の乳液製造における乳化処理工程が60℃あるいはそれ以上の温度で行わなければならないような原料物質を用いる場合には、低温下で乳化処理工程は、30℃から57℃で行われ、好ましくは35℃から56℃で行われ、さらに好ましくは40℃から55℃で行うことができる。さらに、本発明においては、油相成分の混合溶解処理工程から乳化処理工程の終わるまで一貫してそれが低温下で行なわれるものであることが好ましい。この場合、低温 下での処理工程とは、通常の乳液製造におけるよりも実質的に低い温度下でなされることを意味し、これら処理工程は、低温減圧下で行なわれる。この場合、低温減圧下での処理工程とは、通常の乳液製造におけるよりも実質的に低い温度下、実質的に低い温度を達成できるに足る雰囲気圧力下でなされることを意味してもよい。本発明においては、これら処理工程は、一貫して0から400mmHgの圧力下で45℃から58℃で行うことができる。
【0010】
本発明においては、乳化処理工程は、減圧下30℃から59℃で行われ、好ましくは0から300mmHgのもと45℃から58℃で行われ、さらに好ましくは0から200mmHgの圧力下で40℃から55℃で行われ、さらにより好ましくは0から50mmHgの圧力下でさらに低い温度で行うことができる。本発明においては、乳化処理工程は、例えば、ホモミキサーによりなされる。本発明においては、乳化工程の前に予備乳化処理工程を設けてもよく、予備乳化処理工程は、通常の乳液製造におけると同様にして行うこともできるが、低温下で行うこともできる。この場合、低温下予備乳化処理工程とは、通常の乳液製造におけるよりも実質的に低い温度下でなされることを意味し、この実質的に低い温度下とは、例えば、減圧下で行われるものを意味してもよい。予備乳化処理工程においては、油相成分は徐々に攪拌されている水相成分に添加されることができるし、また反対に水相成分を徐々に攪拌されている油相成分に添加されることができる。この処理工程は、不活性雰囲気下に行われることができ、例えば、窒素気流中で行うことができる。この予備乳化処理工程は、0から500mmHgの圧力下で行われ、好ましくは0から300mmHgの圧力下で行われ、さらに好ましくは0から200mmHgの圧力下で行われ、さらにより好ましくは0から100mmHgの圧力下で行うことができる。特には約0〜約10mmHgであってよい。
【0011】
本発明においては、予備乳化処理工程は、30℃から59℃で行われ、好ましくは35℃から58℃で行われ、さらに好ましくは45℃から57℃で行うことができる。もちろん、通常の乳液製造における予備乳化処理工程が70℃あるいはそれ以上の温度で行わなければならないような原料物質を用いる場合には、それより実質的に十分低い温度下でなされるものであればよく、必ずしも59℃以下でなければならないことはなく、例えば、減圧下40℃から64℃で行うこともできるが、より低温で行うのが好ましい。低温下での予備乳化処理工程は、40℃から59℃で行われ、好ましくは40℃から58℃で行われ、さらに好ましくは57℃以下で行われる。また、通常の乳液製造における予備乳化処理工程が60℃あるいはそれ以上の温度で行わなければならないような原料物質を用いる場合には、低温下での予備乳化処理工程は、30℃から57℃で行われ、好ましくは35℃から56℃で行われ、さらに好ましくは40℃から55℃で行われる。本発明においては、予備乳化処理工程は、減圧下30℃から59℃で行われ、好ましくは0から300mmHgのもと45℃から58℃で行われ、さらに好ましくは0から100mmHgの圧力下で40℃から57℃で行われ、さらにより好ましくは約0から約50mmHgの圧力下で更に低い温度で行われる。本発明においては、乳化処理工程に引き続き熱に不安定な成分を添加混合処理でき、これは低温下で行うことが好ましい。この場合、添加混合処理は、通常の乳液製造におけるよりも実質的に低い温度下でなされてよく、この実質的に低い温度下は、例えば、減圧下で行われるものであってよく、下記薬剤、保湿剤など熱に不安定な配合成分に悪影響を与えない温度で処理することを意味してもよい。この処理工程は、不活性雰囲気下に行われることができ、例えば、窒素気流中で行うことができる。
【0012】
本発明においては、この配合処理工程は、10℃から60℃で行われ、好ましくは20℃から58℃で行われ、より好ましくは30℃から57℃で行われ、さらに好ましくは35℃から50℃で行われる。また、本発明においては、この配合処理工程は、常圧下で行われことができるが、場合によっては減圧下で行うことができる。配合処理工程は、0から760mmHgの圧力下で行われ、0から500mmHgの圧力下で行われることもでき、さらには0から200mmHgの圧力下で行われることもでき、さらには0から100mmHgの圧力下で行われることができる。特には約0〜約10mmHgであってよい。本発明においては、この配合処理工程は、常圧下10℃から60℃で行われ、好ましくは常圧下20℃から55℃で行われ、より好ましくは常圧下30℃から50℃で行われ、さらに好ましくは常圧下35℃から45℃で行われる。この配合処理工程は、熱に不安定な物質を特に扱うときには減圧下20℃から60℃で行うことができ、さらに0から200mmHgのもと20℃から60℃で行われ、好ましくは0から100mmHgのもと20℃から55℃で行われ、より好ましくは0から50mmHgの圧力下で20℃から50℃で行われ、さらに好ましくは0から10mmHgの圧力下で20℃から45℃で行われることもできる。
【0013】
本発明においては、油相成分の混合溶解処理に引続き必要に応じ香料、その他の成分を添加混合することができ、界面活性剤、香料、防腐剤、色剤、保湿剤、及び薬剤からなる群から選ばれたものを油相成分に適宜目的に合わせ添加混合することができる。また、本発明においては、乳化処理中あるいは乳化処理に引続いて必要に応じ香料、その他の成分を添加混合することができ、界面活性剤、香料、防腐剤、色剤、保湿剤、及び薬剤からなる群から選ばれたものを適宜目的に合わせ添加混合することができる。このように本発明においては、ビタミン類あるいは生理活性物質等を添加して乳化処理においてあるいは乳化処理に引続いて配合処理することができる。このビタミン類あるいは生理活性物質としては、下記に添加できる薬剤のうち熱に比較的不安定なものあるいは非常に不安定なものが挙げられる他、天然保湿剤のうちの一つあるいはそれと類似の働きをするもの等も挙げられる。例えば、グリセロール、ソルビトール、乳酸塩、ピロリドンカルボン酸塩のようなヒューメクタントとして角質層が水分を保つのを助ける作用をする物質、乳酸菌発酵生産物、ビフィズス菌発酵生産物、ソホロリピッド、ミトコンドリア成分、酵母培養生産物、ソホロリビッド修飾誘導体、ストレプトコカス・ズーエビデミクスなどから得られるヒアルロン酸、細胞培養などで得られるシコニンなど、カーサミン、カニ、エビなどの甲殻類から得られるキチン、キトサン、きのこ由来チロシナーゼ抑制剤、糸状菌モルティエレライサベリナなどを用い製造されるバイオγ−リノレン酸、可溶性コラーゲン加水分解物、β−サイクロデキストリンが挙げられる。
【0014】
これらビタミン類あるいは生理活性物質は、上記したようにあるものは乳化処理工程で添加する前に、混合処理しておくことができる。この混合処理は、通常の乳液製造におけると同様にして行うこともできるが、低温下で行うこともできる。この場合、低温下での混合処理工程とは、通常の乳液製造におけるよりも実質的に低い温度下でなされることを意味し、この実質的に低い温度下とは、減圧下で行われるものを意味してよい。この処理工程は、不活性雰囲気下で行うことができ、例えば、窒素気流中で行うことができる。本発明においては、この混合処理工程は、10℃から60℃で行われ、好ましくは20℃から59℃で行われ、より好ましくは30℃から58℃で行われ、さらに好ましくは35℃から50℃で行われてもよい。そして、本発明においては、好ましくはこの混合処理工程は減圧下で行われる。この減圧の場合、この混合処理工程は、0から500mmHgのもとで、あるいは0から300mmHgのもとで、さらには0から200mmHgのもとで、また特には0から100mmHgのもとで行われる。この混合処理工程は、特に熱に不安定な物質を扱うときには減圧下10℃から55℃で行われ、好ましくは0から500mmHgのもと10℃から50℃で行われ、より好ましくは0から100mmHgの圧力下で10℃から45℃で行われる。特には約0〜約10mmHgであってよい。
【0015】
本発明においては、油相成分と香料、その他の成分との混合処理工程は、通常の乳液製造におけると同様にして行うこともできるが、低温下で行うこともできる。この場合、低温下での油相成分と香料、その他の成分との混合処理工程とは、通常の乳液製造におけるよりも実質的に低い温度下でなされることを意味し、この実質的に低い温度下とは、例えば、減圧下で行われるものを意味してもよい。この処理工程は、不活性雰囲気下に行われることができ、例えば、窒素気流中で行うことができる。本発明においては、油相成分と香料、その他の成分との混合処理工程は、30℃から59℃で行うことができ、好ましくは35℃から55℃で行われ、さらに好ましくは45℃から55℃で行うことができる。もちろん、通常の乳液製造における油相成分と香料、その他の成分との混合処理工程が70℃あるいはそれ以上の温度で行わなければならないような原料物質を用いる場合には、低温下油相成分と香料、その他の成分との混合処理工程は、それより実質的に十分低い温度下でなされるものであればよく、必ずしも59℃以下でなければならないことはなく、例えば、減圧下40℃から69℃で行うこともできるが、より低温で行うのが好ましい。例えば、40℃から65℃で行うこともできるが、40℃から60℃で行うことができ、好ましくは45℃から59℃で行うことができ、さらにより好ましくは55℃以下で行われる。また、通常の乳液製造における油相成分と香料、その他の成分との混合処理工程が60℃あるいはそれ以上の温度で行わなければならないような原料物質を用いる場合には、低温下油相成分と香料との混合処理工程は、30℃から59℃で行われ、好ましくは40℃から55℃で行われ、さらに好ましくは特別の場合40℃から50℃で行われる。
【0016】
本発明においては、油相成分と香料との混合処理工程での減圧下とは、実質的により低い温度を達成できるものであればよく、例えば、0から500mmHgであってよく、あるいは0から400mmHgであってよく、好ましくは0から300mmHgであってよく、さらに好ましくは0から200mmHgの圧力下であってよく、さらにより好ましくは0から100mmHgの圧力下であってよい。特には約0〜約10mmHgであってよい。予備乳化処理にあたっては、一般的にパドルタイプの攪拌機で予備乳化を行うこともできるが、本予備乳化処理にあたっては、高速のホモミキサーを用いたほうが良好な結果が得られる。また本乳化処理にあたっては、高速のホモミキサーを用いたほうが良好な結果が得られる。乳化装置としては、開放式のものもあるが、空気の混入や、無菌状態で製品を作る上で密閉式のものが好ましく使用される。開放式乳化装置としては、パドルタイプの攪拌機をもつものや、プロペラ式攪拌機をもつものが挙げられる。密閉式乳化装置としては、ホモミキサー(高速攪拌機)を備えたものが挙げられる。また乳化装置としては、パドルタイプの攪拌機とホモミキサー(高速攪拌機)とを組み合わせた型のものもある。乳化処理は、これら乳化器を用いミキサー処理、コロイドミル処理、ホモジナイザー処理、超音波処理して行いうる。ホモミキサーなどでは、1000〜20000rpmの回転、好ましくは2000〜4000rpmの回転、更に好ましくは2500〜3500rpmの回転を与えて行われる。例えば、予備乳化処理は、ホモミキサーを用いて、1000〜20000rpmの回転、好ましくは2000〜4000rpmの回転、更に好ましくは2500〜3500rpmの回転を与えて行われる。例えば、乳化処理は、ホモミキサーを用いて、1000〜20000rpmの回転、好ましくは2000〜4000rpmの回転、更に好ましくは2500〜3500rpmの回転を与えて行われる。
【0017】
上記のようにして得られた乳液は、通常の処理がなされ製品とされる。例えば、乳化処理され得られた生成物は、脱気処理、濾過処理、冷却処理などを施され、貯蔵されることができ、さらには容器に充填されることができる。本発明において用いられる油相成分としては、固形油分、半固形油分、流動油分及び界面活性剤などが挙げられる。また本発明の油相成分としては、界面活性剤、香料、防腐剤、色剤、保湿剤、及び薬剤からなる群から選ばれたものをさらに含有していてもよい。代表的な本発明の油相成分としては、例えば、脂肪酸類、高級アルコール、脂肪酸エステル、油脂類、ロウ類、及び界面活性剤などが挙げられる。
【0018】
油相成分の油分の具体的なものとしては、スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、マイクロクリスタリン ワックス、セレシンなどの炭化水素類、オリーブ油、ツバキ油、アーモンド油、カカオ脂、ホホバ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、硬化パーム油、ココヤシ油、ヒマシ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ピーナツ油、月見草油、合成トリグリセライドなどの油脂類、ミツロウ、ラノリン、水添ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウなどのロウ類、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、リシノール酸、ラウリン酸、ベヘニン酸などの脂肪酸類、セタノール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、オレイルアルコール、コレステロールなどの高級アルコール類、イソオクタン酸セチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸イソブチル、ヘキサデシルアジピン酸エステル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、16−ヒドロキシパルミチン酸セリル、パルミチン酸セリル、パルミチン酸ミリシル、パルミチン酸セチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、モノリシノール酸グリセリル、オレイン酸デシル、セバシン酸ジ−n−ブチル、グリセロールトリ2−エチルヘキサン酸エステル、グリセリントリエステル、ペンタエリスリトールテトラエステル、コレステリルエステルなどの合成エステル類、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シクロメチコンなどのシリコーン油類、ポリオキシプロピレン付加物などが挙げられる。これらは本発明の目的及び意図に従うかぎり任意に制限無く使用できる。特に、シリコーン油類、例えばメチルポリシロキサンなどを配合すると、僅かな減圧条件ではより低温下で溶解処理をすることが難しいので、意識的にそれらを省いて使用し、より低温化で油相成分を混合溶解処理を図るのが好ましい。
【0019】
界面活性剤の具体的なものとしては、モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンなどのグリセリンのエステル、ジグリセロールジオレイン酸エステルなどのジグリセロールのエステル、トリオクタン酸グリセリルなどのトリグリセリルエステル、トリメチロールロパンのエステル、ペンタエリスリトールのエステル、ソルビトールのエステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのショ糖のエステル、ポリオキシエチレン(POE)(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル、POE(20)ソルビタンモノステアリン酸エステル、POE(20)ソルビタンモノオレイン酸エステルなどのPOEソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタンのエステル、POE(20)セチルアルコールエーテル、POEグリセロールトリイソステアリン酸エステルなどのPOEグリセロール脂肪酸エステル、POE(25)セチルアルコールエーテルなどのPOEアルキルエーテル、プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、POE・POPブロックポリマー、POE硬化ヒマシ油エステルなどの非イオン性のもの、脂肪酸石鹸、アルキル硫酸ナトリウムなどの陰イオン性のもの、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、トラガントゴム、レシチン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリンなどが挙げられる。これらは本発明の目的及び意図に従うかぎり任意に制限無く使用できる。
【0020】
本発明において用いられる油相成分の代表的組み合わせの具体的例としては、ステアリン酸、ステアリルアルコール、及びステアリン酸ブチルを含むもの、ステアリン酸、ステアリルアルコール、水添ラノリン、スクワラン、及びオクチルドデシルアルコールを含むもの、セタノール、ステアリン酸、ワセリン、スクワラン、及びグリセロールトリ2−エチルヘキサン酸エステルを含むもの、固形パラフィン、ミツロウ、ワセリン、及び流動パラフィンを含むもの、ステアリン酸、セタノール、ワセリン、流動パラフィン、及びミリスチン酸イソプロピルを含むもの、マイクロクリスタリン ワックス、固形パラフィン、ミツロウ、ワセリン、水添ラノリン、スクワラン、及びヘキサデシルアジピン酸エステルを含むもの、スクワラン、ステアリン酸、ベヘニルアルコール、オクチルドデシルアルコール、トリオクタン酸グリセリル、POE(20)ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、親油型モノステアリン酸グリセリン、アボガド油、メチルポリシロキサン、濃グリセリン、及び1,3−ブチレングリコールを含むもの、スクワラン、ベヘニルアルコール、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、オクチルドデシルアルコール、レシチン、アボガド油、ゴマ油、オリーブ油、及び濃グリセリンを含むものが挙げられる。さらに油相成分の中には、特に適宜油溶性の香料、保湿剤、油溶性の粘液物質、油溶性の色剤、油溶性の薬剤などが添加されていてもよい。特に保湿剤は、油相成分の中に好ましく配合されていることができる。これらは本発明の目的及び意図に従うかぎり任意に制限無く使用できる。
【0021】
香料としては、植物より得られる植物性香料や動物の腺嚢などから得られる動物性香料などの天然香料、天然香料から単離されたものやそれをもとに化学合成されたものなどの合成香料、各種の天然香料と合成香料とをブレンドした調合香料などがあげられる。天然香料の具体的なものとしては、ムスク、シベット、カストリウム、アンバーグリスなどの動物性香料、バラ油、ジャスミン油、ネロリ油、ラベンダー油、イランイラン油、チュベローズ油、クラリセージ油、クローブ油、ペパーミント油、ゼラニウム油、パッチュリー油、サンダルウッド油、シナモン油、コリアンダー油、ナツメグ油、ペパー油、レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、オポポナックス油、ベチバー油、オリス油、オークモス油などの植物性香料があげられる。合成香料の具体的なものとしては、モノテルペン、セスキテルペンなどの炭化水素類、脂肪族アルコール、モノテルペンアルコール、セスキテルペンアルコール、芳香族アルコールなどのアルコール類、脂肪族アルデヒド、テルペンアルデヒド、芳香族アルデヒドなどのアルデヒド類、脂環式ケトン、テルペンケトン、大環状ケトンなどのケトン類、テルペンエステル、芳香族エステルなどのエステル類、ウンデカラクトンなどのラクトン類、オーランチオールなどのシッフ塩基を持つものなどが挙げられ、例えばl−シトロネロール、ゲラニオール、l−リナロール、d−リナロール、リナリルアセテート、リモネン、ダマスコン、ダマセノン、β−フェニルエチルアルコール、ファルネソール、ノニルアルデヒド、ローズオキサイド、ベンジルアルコール、ベンジルアセテート、ベンジルベンゾエート、ジャスモン、シスジャスモン、ジャスミンラクトン、インドール、フィトール、d−ネロリドール、テルピネオール、ピネン、ネロール、カンフェン、シネオール、ゲラニオールエステル、d−ボルネオール、ラバンジュロール、リナロールエステル、セスキテルペン類、メチルベンゾエート、メチルサリシレート、メチルアンスラニレート、ネロリドール、スクラレオール、オイゲノール、アセチルオイゲノール、β−カリオフィレン、メチル−n−アミルケトン、メチルヘプチルケトン、l−メントール、メントン、イソメントン、1,8−シネオール、メンチルアセテート、メントフラン、ゲラニルフォーメート、ゲラニルチグレート、シトロネリルフォーメート、パッチュリーアルコール、パッチュリオン、パッチュレノン、α−グアイエン、β−プルネッセン、α−又はβ−サンタロール、サンテン、サンテノン、サンテノール、テレサンタロール、サンタロン、α−又はβ−サンタレン、シンナミックアルデヒド、l−フェランドレン、ピネン、α,β−ピネン、n−デシルアルデヒド、サビネン、β−ビネン、エレモール、メチルヘプテノン、α−ベルガモテン、β−ビサボレン、n−ノニルアルコール、ヌートカトン、p−サイメン、デカナール、α,δ−カジネン、クシモール、ベチセリネオール、α,β−ベチボン、ベチベロール、ベチベン、α,β,γ−イロン、エベルニックアシッド、α,β−ツヨン、アトラノリン、クロロアトラノリン、カンファー、ナフタレン、3−メチルシクロペンタデカノン、ムスコピリジン、シベトン、スカトール、カストリン、カストラミン、イソカストラミン、バクダノール、ブラマノール、アンブレイン、ターピネオール、リラール、リリアール、メチルイオノン、イソイースーパー、アセチルセドレン、メチルジヒドロジャスモネート、メチルジャスモネート、シクロペンタデカノリッド、エチレンブラッシレート、ガラクソリッド、アンブロキサンなどが挙げられる。またこれら香料は、エチレンブラシレート、3−メチルシクロペンタデカノン、シクロペンタデカノン、シクロペンタデカノリド、シベトンなどバイオ技術で製造されるものが挙げられる。これらは本発明の目的及び意図に従うかぎり任意に制限無く使用できる。
【0022】
香料としては、上記のようなものを単独で用いることができるし、あるいはそれらの任意のものを選んで組み合わせて用いることもできる。香料は、本発明の乳液を使用者に受容可能にしたり、その使い心地を良好にするに充分な量で用いることができる。通常組成物の約0.0001〜約10重量%加えられることができる。本発明において用いられる水相成分としては、蒸留水あるいはイオン交換水といった精製水、あるいは精製水に保湿剤又はアルカリを配合したものが挙げられる。水相成分のうちには、さらに界面活性剤、香料、防腐剤、色剤、保湿剤、及び薬剤からなる群から選ばれたものを含有することもできる。さらに水相成分のうちには、特に粘液物質、水混和性有機溶媒、水溶性の成分、例えば、水溶性香料、水溶性色剤、緩衝化剤、薬剤などが配合されることもできる。これらは本発明の目的及び意図に従うかぎり任意に制限無く使用できる。保湿剤としては、天然保湿因子(NMF=ナチュラル・モイスチュア・ファクター)として知られた親水性吸湿物質あるいはそれらの誘導体が挙げられ、例えば、糖脂質、リン脂質、アミノ酸などが知られているが、このうち特に重要な成分としては、アミノ酸類、ピロリドンカルボン酸(PCA)、乳酸塩、尿素、アンモニア、グルコサミン、クレアチン、クエン酸塩、有機酸、ペプチド、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げらる。また保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコール(PEG)200、PEG600、PEG1000、PEG1500などのポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジグリセリン、マンニトール、マルチトール、POEメチルグリコシド、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウムなどのヒアルロン酸類、コンドロイチン硫酸、コラーゲン、エラスチン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、アミノ酸類、糖類、プラセンタエキス、アロエエキス、ニンジンエキス、海藻エキス、ミルクエキス、パール可溶化物などが特に挙げられる。
【0023】
保湿剤としては、上記のようなものを単独で用いることができるし、あるいはそれらの任意のものを選んで組み合わせて用いることもできる。保湿剤は、本発明の乳液に皮膚の保湿、柔軟化をはたす機能を持たせるのに充分な量配合することができ、それにより使用者に優れた使用感を付与する量で用いることができる。通常組成物の約0.0001〜約30重量%加えられることができる。粘液物質としては、植物あるいは微生物から得られる多糖類、動物から得られるタンパク質類、さらに半合成セルロース高分子、半合成デンプン高分子、半合成アルギン酸高分子、ポリビニル系高分子、アルキレンオキサイド系高分子などが挙げられる。粘液物質の代表的なものとしては、グアーガム、ローカストビンガム、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、ペクチン、マンナン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプンなどのデンプン誘導体、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸誘導体、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ゼラチン、クインスシード、アルギン酸ナトリウム、ソアギーナ、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシドなどが挙げられる。水混和性有機溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
【0024】
色剤としては、有機合成色素、天然色素、無機顔料などが挙げられる。有機合成色素としては、黄色5号(サンセットエローFCF)、赤色505号などのアゾ系染料、赤色230号(エオシンYS)、赤色104号(フロキシンB)、赤色218号(テトラクロルテトラブロモフルオレッセイン)、赤色223号、橙色201号、赤色213号(ローダミンB)などのキサンテン系染料、黄色204号(キリンエローSS)、黄色203号(キリンエローWS)などのキノリン系染料、青色1号などのトリフェニルメタン系染料、緑色201号(アリザニンシアニングリーン)、緑色202号(キニザリングリーンSS)、紫201号などのアンスラキノン系染料、青色2号などのインジゴ系染料、黄色403号などのニトロ系染料、緑色204号などのピレン系染料、緑色401号などのニトロソ系染料が挙げられる。天然色素としては、ニンジン、オレンジ、パプリカ、トマト、ベニの木、クチナシ、シソ、カブ、ブドウ、ベニバナ、ソバ、黒カシの皮、カカオ豆、西洋アカネ、紫根、ビートなどの植物から得られる色素、きのこ、酵母、ラックカイガラ虫、サボテンのエンジ虫、ナラの木のエンジ虫、ケルメスのエンジ虫、ウニなどから得られる色素、β−カロチン、β−アポ−8−カロチナール、カプサンチン、リロピン、ビキシン、クロシン、カンタキサンチンなどのカロチノイド系色素、シソニン、ラファニン、ニノシアニン、カルサミン、サフロールイエロー、ルチン、クエルセチンなどのフラボノイド系色素、リポフラビンなどのフラビン系色素、ラッカイン酸、カルミン酸、ケルメス酸、アリザリン、シコニン、アルカニン、ニキノクロームなどのキノン系色素、クロロフィルなどのポルフィリン系色素、クルクミンなどのジケトン系色素、ベタニンなどのベタシアニジン系色素が挙げられる。
【0025】
無機顔料及びその他の機能性顔料としては、マイカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、硫酸バリウムなどの体質顔料、ベンガラ、酸化クロム、黄酸化鉄、群青、紺青、カーボンブラックなどの着色顔料、超微粒子二酸化チタン、酸化亜鉛などの白色顔料、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマスなどの真珠光沢顔料、窒化ホウ素、高分子樹脂微粒子、合成マイカ、ホトクロミック顔料などが挙げられる。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩、トリエタノールアミンなどの脂肪族アミン類、L−アルギニン等の塩基性アミノ酸類、ホウ砂などが挙げられる。これらは本発明の目的及び意図に従うかぎり任意に制限無く使用できる。薬剤としては、血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、消炎剤、ビタミン剤、栄養剤、ホルモン剤、制汗剤、抗炎症剤、皮脂抑制剤、皮脂分泌促進剤、代謝改善剤、毛根機能賦活剤、過酸化脂質抑制剤、細胞賦活剤、殺菌剤などが挙げられる。これらは本発明の目的及び意図に従うかぎり任意に制限無く使用できる。
【0026】
例えば、代表的な薬剤としては、アルブチン、コウジ酸などのメラニン生成抑制剤、γ−オリザノール、バイオ γ−リノレン酸油、グアイアズレン、β−カロチンなどのプロビタミンA、ビタミンAアセテート、ビタミンAパルミテートなどのビタミンA類、ビタミンC、ビタミンC−2−ホスフェート、アスコルビン酸モノステアリル、ビタミンC−2,6−ジパルミテートなどのビタミンC類、硝酸チアミンなどのビタミンB1 類、リボフラビンなどのビタミンB2 類、ビタミンB6 、ビタミンB6 の脂肪酸エステル、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンなどのビタミンB6 類、シアノコバラミンなどのビタミンB12類、トコフェロールアセテート、トコフェロールカルシウムスクシネートなどのビタミンE及びその誘導体、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロールなどのビタミンD類、パントテン酸、パントテン酸エチルエーテルなどのパントテン酸類、パントテニルアルコール、ビオチン、センブリエキス、セファランチン、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、カンタリスチンキ、アロエエキス、カモミラエキス、、クロレラエキス、大麦若葉エキス、イチョウ葉エキス、アンズエキス、イブキトラノオ、ウコギ抽出液、黄柏、黄連、甘草エキス、カンフル、高麗ニンジン、シコニン、センブリエキス、桑白皮、たいそうエキス、当帰、トマトオイル、トラウマチン酸、にんにくエキス、ハッカ油、ヒノキチオール、へちまエキス、ムクロジエキス、れいしエキス、マルメロ粘質物、紅花、ワレモコウ、ローズマリン酸エキス、ミニササニシキエキス、エラブウミヘビ抽出物、カンタリスチンキ、プロテアーゼ、リゾチーム、リパーゼ、ムラミダーゼなどの酵素類、組織呼吸促進因子、アセチルコリン、グルタチオン、エスラジオール、エチニルエスラジオールなどの女性ホルモン、男性ホルモン、脳下垂体ホルモン、プロスタグランジン、ジエチルスチルベストロールなどの卵胞ホルモン、β−グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウムなどのグリチルリチン酸誘導体、アラントインなどのアラントイン類、アズレン、ε−アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロンなどの副腎皮質ホルモン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、オキシフェンブタゾン、フルフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、ナプロキセン、ケトプロフェン、プラノプロフェン、ピロキシカム、ε−アミノカプロン酸、イオウ、ウロカニン酸などのウロカニン酸類、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、コハク酸、ジイソプロピルアミノジクロロアセテート、チオキソロン、尿素、臭素酸カリ、ミノキシジル、ジンクピリチオン、ピクトンオラミン、クロルヘキシジン類、ハロカルバンなどが挙げられる。また、過酸化脂質抑制剤として知られた、L−シスチン、L−システイン、あるいはそれらの誘導体、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD),タンニン、エンジュ、ルチン、プラルミン、プラトニン、カプサイシン類、黄ゴンエキスなど、細胞賦活剤として知られた、エピコレスタノールあるいはそのリン酸エステル、EGF、リボ核酸、デオキシリボ核酸、牛胎盤由来皮膚線維芽細胞賦活物質含有液、子牛血清エキス、牛脾臓抽出エキス、L−アルギニン、ローヤルゼリーなどが挙げられる。また、保湿剤として挙げたもの、ビタミン類あるいは生理活性物質として挙げたもの、その他の添加物もそれの有する特定の活性、例えば、生物活性を利用する場合には薬剤として考えられる。
【0027】
本発明において用いられる代表的な薬剤の配合割合は、広い範囲で目的及び得られる最終製品の性状により選択され、例えば、天然ビタミンE等の場合0.001重量%から1.00重量%、好しくは0.010重量%から0.50重量%、より好しくは0.15重量%から0.30重量%であるが、これ以上添加することもできる。また、バイオ γ−リノレン酸油等の場合0.05重量%から3.00重量%、好しくは0.10重量%から1.50重量%、より好しくは0.50重量%から1.00重量%であるが、これ以上添加することもできる。さらにまた、グアイアズレンあるいはβ−カロチン等の場合0.00001重量%から1.00重量%、好しくは0.0001重量%から0.2重量%、より好しくは0.0004重量%から0.05重量%であるが、これ以上添加することもできる。本発明においては、その生成物乳液中にはさらに紫外線防除剤、紫外線吸収剤などを添加してあってよく、例えば、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、安息香酸系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤が挙げられる。本発明においては、その生成物乳液中にはさらにEDTAなどのキレート化剤、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウムなどの緩衝剤を添加してあってよい。またパラベンなどの防腐剤などを加えることもできるが、生成物乳液を冷蔵あるいは冷凍保存する場合など、その添加を省くこともできる。冷蔵あるいは冷凍保存された本発明の乳液製品は、優れた使用感を示す場合もある。
【0028】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、これは単に本発明をより良く理解するためのものであって本発明を限定することを意図するものでなく、本発明はその思想に従い、種々の態様が当業者にとって容易に導き出すことが可能である。
実施例1:成分 配合量(a) 油相成分 (wt/wt)
(1)ステアリン酸 2.00 (2)セチルアルコール 1.50 (3)ワセリン 4.00 (4)スクワラン 5.00 (5)グリセロールトリ−2−エチルヘキサン酸 2.00 エステル (6)ソルビタンモノオレイン酸エステル 2.00 (7)香料 0.01(b) 水相成分 (8)精製水 73.48 (9)トリエタノールアミン 1.00 (10)ジプロピレングリコール 5.00 (11)PEG 1500 3.00(c) その他の成分 (12)天然ビタミンE 0.20 (13)バイオ γ−リノレン酸油 0.80 (14)β−カロチン 0.01 合計 100.00
【0029】
油相成分(1)〜(7)を一緒にし、「みずほ式真空乳化装置PVQ−5」を使用し、バトルミキサーは約100rpm、そしてホモミキサーは約500rpmで攪拌しながら約20〜30mmHgの圧力下、徐々に加温し、混合物の溶解性を観察した。約49℃では混合物の一部に不溶解物が観察され、約51℃ではほんの僅かな不溶解物が観察され、約52℃では、ほぼ透明に溶解しているのが観察された。得られた溶解物中に、予め52℃にされ溶解処理されている水相成分(8)〜(11)を徐々に添加しながら約20〜30mmHgの圧力下、バトルミキサーは約30rpm、そしてホモミキサーは約2500rpmで約52℃で攪拌して乳化混合する。転相は、水相部約35%のところで起きた。成分(12)〜(14)を予め常温で混合しておいた液を40℃にし、それをこうして得られた乳化物に、40℃で混合し、ゆるやかに攪拌しながら冷却処理し、更に30℃まで冷却し、目的とする乳液を得た。製品の乳化状態は優れていた。また冷蔵下1週間の保存後もその安定性は良好であった。きめ細やかな均一性のある乳液であった。こうして得られた乳液についてパネラー5人による官能試験を行う。年齢20歳から30歳までの女性5人の皮膚に朝及び夕方の1日2回上記乳液を1週間塗布する。その結果、使用感はいずれも良好とされ、いずれのパネラーにおいても、その乳液に刺激はないとされ、さらに皮膚が赤くなるとか、かゆみを生ずることは全くない。
【0030】
実施例2:実施例1の最初の油相成分(1)〜(7)の混合物の溶解処理及び水相成分を添加しての乳化処理を、約100mmHgの圧力下で行い、水相成分を約56℃で混合する以外、実施例1と同様の成分を用いかつ同様に処理した。油相成分(1)〜(6)の混合物は約50℃では混合物の一部に不溶解物が観察され、約54℃で僅かな不溶解物が観察され、約56℃では、ほぼ透明に溶解しているのが観察された。転相は、水相部約35%のところで起きた。製品の乳化状態は優れていた。また冷蔵下1週間の保存後もその安定性は良好であった。きめ細やかな均一性のある乳液が得られた。
【0031】
実施例3:最初の油相成分(1)〜(6)の混合物の溶解処理及び水相成分を添加しての乳化処理を、約200mmHgの圧力下で行い、水相成分を約58℃で混合する以外、実施例1と同様の成分を用いかつ同様に処理した。油相成分(1)〜(6)の混合物は約50℃及び約54℃では混合物の一部に不溶解物が観察され、約57℃で僅かな不溶解物が観察され、約58℃では、ほぼ透明に溶解しているのが観察された。転相は、水相部約35%のところで起きた。製品の乳化状態は優れていた。また冷蔵下1週間の保存後もその安定性は良好であった。きめ細やかな均一性のある乳液が得られた。
【0032】
比較例1:実施例1の最初の油相成分(1)〜(7)の混合物の溶解処理を常圧下で行い、水相成分を添加しての乳化処理を、約460mmHgの圧力下で行い、水相成分を約60℃で混合する以外、実施例1と同様の成分を用いかつ同様に処理した。油相成分(1)〜(6)の混合物は約50℃及び約55℃では混合物の一部が不溶であり、約60℃でようやく、ほぼ透明に溶解しているのが観察された。転相は、水相部約35%のところで起きた。
【0033】
実施例4:成分 配合量(a) 油相成分 (wt/wt)
(1)スクワラン 2.00 (2)ステアリン酸 4.00 (3)ベヘニルアルコールSR 2.00 (4)2−オクチルドデカノール 2.00 (5)パルミチン酸イソプロピル 4.00 (6)トリ2−エチルヘキサン酸グリセル 4.00 (7)ニッコール(NIKKOL TS-10) 0.40 (8)クロダランSWL 1.00 (9)KF−96 100 cps 0.40 (10)1,3−BG 4.00 (11)濃グリセリン 0.40 (12)アルゲコロイド(2.0%) 4.00(b) 水相成分 (13)精製水 66.80 (14)水酸化カリウム液(10.0%) 1.00(c)その他の成分 (15)天然ビタミンE 0.20 (16)バイオγーリノレン酸油 0.80 (17)βーカロチン 0.01 合計100.00
【0034】
油相成分(1)〜(12)を一緒にし、「みずほ式真空乳化装置PVQ−5」を使用し、バトルミキサーは約100rpm、そしてホモミキサーは約500rpmで攪拌しながら約20〜30mmHgの圧力下、徐々に加温し、混合物の溶解性を観察した。約47℃では混合物の一部に不溶解物が観察され、約49℃ではほんの僅かな不溶解物が観察され、約51℃では、ほぼ透明に溶解しているのが観察された。得られた溶解物中に、予め51℃にされ溶解処理されている水相成分(13)〜(14)を徐々に添加しながら約20〜30mmHgの圧力下、バトルミキサーは約30rpm、そしてホモミキサーは約2500rpmで約51℃で攪拌して乳化混合する。転相は、水相部約30%のところで起きた。成分(15)〜(17)を予め常温で混合しておいた液を40℃にし、それをこうして得られた乳化物に、40℃で混合し、ゆるやかに攪拌しながら冷却処理し、更に30℃まで冷却し、目的とする乳液を得た。製品の乳化状態は優れていた。また冷蔵下1週間の保存後もその安定性は良好であった。きめ細やかな均一性のある乳液であった。こうして得られた乳液についてパネラー5人による官能試験を行う。年齢20歳から30歳までの女性5人の皮膚に朝及び夕方の1日2回上記乳液を1週間塗布する。その結果、使用感はいずれも良好とされ、いずれのパネラーにおいても、その乳液に刺激はないとされ、さらに皮膚が赤くなるとか、かゆみを生ずることは全くない。
【0035】
実施例5:実施例1の最初の油相成分(1)〜(12)の混合物の溶解処理及び水相成分を添加しての乳化処理を、約100mmHgの圧力下で行い、水相成分を約53℃で混合する以外、実施例4と同様の成分を用いかつ同様に処理した。油相成分(1)〜(12)の混合物は約50℃では混合物の一部に不溶解物が観察され、約52℃で僅かな不溶解物が観察され、約53℃では、ほぼ透明に溶解しているのが観察された。転相は、水相部約30%のところで起きた。製品の乳化状態は優れていた。また冷蔵下1週間の保存後もその安定性は良好であった。きめ細やかな均一性のある乳液が得られた。
【0036】
比較例2:実施例1の最初の油相成分(1)〜(12)の混合物の溶解処理を常圧下で行い、水相成分を添加しての乳化処理を、約460mmHgの圧力下で行い、水相成分を約56℃で混合する以外、実施例4と同様の成分を用いかつ同様に処理した。油相成分(1)〜(12)の混合物は約50℃及び約52℃では混合物の一部が不溶であり、約56℃でようやく、ほぼ透明に溶解しているのが観察された。転相は、水相部約30%のところで起きた。
【0037】
以上実施例及び比較例から明らかなように、予想外にも減圧下に油相成分を溶解処理することによりより低い温度で溶解処理ができることが明らかとなった。一般に油相成分はその入手先、天然か合成かにより、さらに混合成分の組成によってもその溶解温度は異なるが、通常完全に溶解するため少なくとも70℃以上、極く一般的には80℃あるいはそれ以上まで加熱されて溶解されるが、減圧下に加熱することで実質的により低い温度で化粧品乳液の製造に実質的に使用可能に溶解できることが判明した。これは昇華するような特別なものを除き沸点と異なり、減圧としても融点の降下は期待できないとの物理化学的な理論上の予測からは全く予想外のことである。融点は混合物では、純粋物よりより低い温度でかつより広い範囲で溶けはじめから完全に溶融するという挙動を示すが、融点と圧力との関係からみて、例え0mmHgに減圧しても1℃より大きく融点が降下することはないはずである。減圧にすることにより、化粧品乳液の原料である油相成分混合物がこのようにより低い温度で溶解できることは知られていない。これは理論的あるいは細部の現象観察に基づいたものではないが、化粧品乳液の原料である油相成分混合物の固体中には空気などが多量に含まれ、加熱に伴いそれら気体成分が膨張などにより出て来て、固体の表面などで断熱相としての働きをして熱の伝達を阻害し、結果として通常の溶解処理では高い温度にしなければ溶解を達成できないと考えられる。ところが、減圧状態では断熱相を形成するような空気などを効率よく固体の表面などから除くことができ、伝熱性が阻害されることがないためではないかと考えられる。したがって、本発明はこの様な思想に基づく如何なる手法によっても、実質的により温和な化粧品乳液の原料である油相成分混合物の溶解処理を達成する方法も含んだ態様のものである。化粧品の油相成分混合物には長時間加熱したり、高い温度に加熱すると、複雑な組成の一部の成分が酸化されたり、分解したりするが、本発明の方法ではこれらを有効に防ぐ手法を提供する。
【0038】
実施例6:成分 配合量(a) 油相成分 (wt/wt)
(1)ステアリン酸 2.00 (2)セチルアルコール 1.50 (3)ワセリン 4.00 (4)スクワラン 5.00 (5)グリセロールトリ−2−エチルヘキサン酸 2.00 エステル (6)ソルビタンモノオレイン酸エステル 2.00 (7)香料 0.01(b) 水相成分 (8)精製水 73.48 (9)トリエタノールアミン 1.00 (10)ジプロピレングリコール 5.00 (11)PEG 1500 3.00(c) その他の成分 (12)天然ビタミンE 0.20 (13)バイオ γ−リノレン酸油 0.80 (14)β−カロチン 0.01 合計 100.00
【0039】
油相成分(1)〜(7)を一緒にし、実施例1〜3と同様にして攪拌しながら混合溶解処理し、得られた溶解物中に、予め加温溶解処理されている水相成分を徐々に添加しながら実施例1〜3と同様にして攪拌して乳化混合する。成分(13)天然ビタミンE、(14)バイオ γ−リノレン酸油及び(15)β−カロチンを予め常温で混合しておいた液を40℃にし、それをこうして得られた乳化物に、40℃で混合し、ゆるやかに攪拌しながら冷却処理し、更に30℃まで冷却し、目的とする乳液を得た。製品の乳化状態は優れていた。また冷蔵下1週間の保存後もその安定性は良好であった。こうして得られた乳液についてパネラー5人による官能試験を行う。年齢20歳から30歳までの女性5人の皮膚に朝及び夕方の1日2回上記乳液を1週間塗布する。その結果、使用感はいずれも良好とされ、いずれのパネラーにおいても、その乳液に刺激はないとされ、さらに皮膚が赤くなるとか、かゆみを生ずることは全くない。
【0040】
実施例7:成分 配合量(a) 油相成分 (wt/wt)
(1)セチルアルコール 1.00 (2)ミツロウ 0.50 (3)ワセリン 2.00 (4)スクワラン 6.00 (5)ジメチルポリシロキサン 2.00(6)POEモノオレイン酸エステル 1.00 (7)グリセロールモノステアリン酸エステル 1.00 (8)防腐剤 0.01(b) 水相成分 (9)精製水 52.48 (10)グリセリン 4.00 (11)1,3−ブチレングリコール 4.00 (12)色剤 0.01(c) その他の成分 (13)天然ビタミンE 0.20 (14)バイオ γ−リノレン酸油 0.80 (15)エタノール 5.00 (16)クインスシード抽出液(5%水溶液) 20.00 合計 100.00
【0041】
油相成分(1)〜(8)を一緒にし、実施例1〜3と同様にして攪拌しながら混合溶解処理し、得られた溶解物中に、予め加温溶解処理されている水相成分を徐々に添加しながら実施例1〜3と同様にして攪拌して乳化混合する。さらに成分(15)及び(16)を一緒にし、実施例1〜3と同様にして攪拌しながら混合する。成分(13)天然ビタミンE、及び(14)バイオ γ−リノレン酸油を予め常温で混合しておいた液を40℃にし、それをこうして得られた乳化物に、40℃で混合し、ゆるやかに攪拌しながら冷却処理し、更に30℃まで冷却し、目的とする乳液を得た。製品の乳化状態は優れていた。また冷蔵下1週間の保存後もその安定性は良好であった。
【0042】
実施例8:成分 配合量(a) 油相成分 (wt/wt)
(1)ステアリルアルコール 0.50 (2)硬化パーム油 3.00 (3)流動パラフィン 35.00 (4)ソルビタンセスキオレイン酸エステル 1.60 (5)POE(20)オレイルアルコールエーテル 2.40 (6)防腐剤 0.01 (7)香料 0.01(b) 水相成分 (8)精製水 30.35 (9)ジプロピレングリコール 6.00 (10)PEG 400 4.00 (11)キレート剤 0.01(c) その他の成分 (12)水酸化カリウム 0.10(13)天然ビタミンE 0.20 (14)バイオ γ−リノレン酸油 0.80 (15)β−カロチン 0.02 (16)カルボキシビニルポリマー(1.0%水溶液) 16.00 合計 100.00
【0043】
油相成分(1)〜(7)を一緒にし、実施例1〜3と同様にして攪拌しながら混合溶解処理し、得られた溶解物中に、予め加温溶解処理されている水相成分を徐々に添加しながら実施例1〜3と同様にして攪拌して乳化混合する。さらに成分(16)を一緒にし、実施例1〜3と同様にして攪拌しながら混合する。さらに成分(12)の水溶液を一緒にし、攪拌しながら混合する。成分(13)天然ビタミンE、(14)バイオ γ−リノレン酸油及び(15)β−カロチンを予め常温で混合しておいた液を40℃にし、それをこうして得られた乳化物に、40℃で混合し、ゆるやかに攪拌しながら冷却処理し、さらに30℃まで冷却し、目的とする乳液を得た。製品の乳化状態は優れていた。また冷蔵下1週間の保存後もその安定性は良好であった。
【0044】
【発明の効果】
本発明では、従来技術において高い温度で油相成分を加熱溶解し、続いて乳化処理するという工程を回避し、固形油分又は半固形油分を含む油相成分を、不活性雰囲気を除く雰囲気中において、通常の乳液製造におけるよりも低い温度の30〜59℃で溶解可能としているので、熱に対して不安定な有用成分などを任意に配合できると共にその分解を防ぐことができる。そのため、刺激物の生成を抑えることができ、その乳液の長期間などの使用により、アレルギーを起こして皮膚が赤くなるとか、あるいはかゆくなるという問題が生じない。そして、本発明の方法では、低温下に製造するにもかかわらず、製品の品質も良好で、その使用感も満足できるものである。本発明では、低温下にすべての製造を行うことができるので、抗酸化剤などを加えることを省くことができ、成分の分解などに伴う問題を防ぐことができる。本発明の方法で製造された製品は、抗酸化剤などを加えることを省くことができ、かつそれを低温下に保存しても品質は良好である。ある場合には、その乳液は、冷凍などして保存してもその使用感や品に問題なく、かつ使用時の使い心地も優れている。

Claims (2)

  1. 油相成分と水相成分とから乳液を製造するにあたり、固形油分又は半固形油分を含む油相成分を不活性雰囲気を除く雰囲気中において、30〜59℃で、かつ通常の乳液製造時の固形油分又は半固形油分の溶解段階の溶解温度よりも低い温度となし得る0〜200mmHgの減圧下で混合溶解処理し、次にこうして溶解処理して得られた油相成分と水相成分とを混合し、温度30〜59℃、0〜200mmHgで乳化処理し、その後こうして処理して得られた生成物に35〜50℃で熱に不安定な成分を添加混合処理することを特徴とする乳液の製造方法。
  2. 熱に不安定な成分が、香料、防腐剤、色剤、保湿剤、及び薬剤からなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項記載の乳液の製造方法。
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