JP3758578B2 - 放電管負荷を接続した電力変換装置の電力制御方法 - Google Patents

放電管負荷を接続した電力変換装置の電力制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、放電管負荷を接続した電力変換装置が出力する交流電力を制御する放電管負荷を接続した電力変換装置の電力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は放電管負荷へ交流電力を供給する電力変換装置の電力制御回路の従来例を示した回路図である。図6の従来例回路において、電力変換装置6は、交流/直流変換器2と直流/交流変換器4とこれら両変換器の直流側同士の結合でなる直流中間回路に接続された平滑コンデンサ3とで構成されている。商用電源1から供給される交流電力は、この電力変換装置6により所望の電圧と周波数の交流電力に変換されて放電管5へ供給される。なお、放電管5が数kV以上の高電圧を要する場合は、電力変換装置6の出力側に変圧器等の昇圧装置を接続することもある。
【0003】
放電管5の電力は、最大値である定格電力から連続的に低減できることが望ましいが、電力変換装置6の出力電圧を低下させると、ある電圧以下では放電が安定に行われなくなってしまう。そこで電力変換装置6の出力電圧は一定にして運転と停止とを繰り返す際の全時間に対する運転時間の比率を変えることにより、平均電力を所望の値に制御する。すなわち、電力変換装置6が出力する負荷電力を検出(検出装置の図示は省略)する一方で、電力設定器18が目標とする電力設定値を設定している。この電力設定値と前述の電力検出値との偏差を電力調節器11へ入力させることにより、電力調節器11からはその入力偏差を零に調節する制御信号が得られる。
【0004】
運転時間をtとし、運転時間と停止時間とを合計した時間をTとすると、放電管5へ与えられる電力はt/Tに比例する。合計時間Tを予め定めておくならば、運転時間制御回路12は電力調節器11からの制御信号に対応して運転時間tを調節するから、電力変換装置6はその出力を断続させることで放電管5へ与える電力を電力設定器18で設定した値に一致させるように動作する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電力変換装置6では、放電管5へ供給する交流電力を変化させたい場合に、印加電圧を変化させると放電が不安定になる恐れがあることから、電圧は一定のままで全時間に対する運転時間の比率を変化させることで対処している。
図7は図6に図示の従来例回路で電力変換装置が100 %電力出力時の入力電流と出力電流を示した動作波形図であって、図7▲1▼は出力電流I0 ,図7▲2▼は入力電流IINである。
【0006】
図8は図6に図示の従来例回路で電力変換装置が50%電力出力時の入力電流と出力電流を示した動作波形図であって、図8▲1▼は出力電流I0 であるが、運転時間tを合計時間Tの50%にしている。図8▲2▼は入力電流IINであって、電力変換装置6が運転しているときと停止しているときとで、100 %出力時に比べて大きな差がある。
【0007】
図9は図6に図示の従来例回路で電力変換装置が25%電力出力時の入力電流と出力電流を示した動作波形図であって、図9▲1▼は出力電流I0 であるが、運転時間tを合計時間Tの25%にしている。図9▲2▼は入力電流IINであって、電力変換装置6が運転しているときと停止しているとの差は、50%出力時よりもより一層大きくなっている。
【0008】
そこでこの発明の目的は、電力変換装置から放電管負荷へ供給する交流電力を変化させる際の電力変換装置の入力電流の大きな変動を抑制できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、この発明の放電管負荷を接続した電力変換装置の電力制御方法は、
商用電源に接続した電力変換装置を制御して放電管へ交流電力を供給する電力変換装置の出力電圧を変化させてその出力交流電力を制御し、この出力電圧が予め定めた下限値まで低下すれば、その電圧下限値で前記電力変換装置の出力交流電力にオンとオフを繰り返させるが、そのときのオン時間の比率を制御して出力交流電力を制御する。
【0010】
前記出力交流電力のオン時間の比率の制御は、前記電力変換装置のオン期間中に出力する交流電力のパルス数を計数し、このパルス数からオン時間の比率を制御する。
前記電力変換装置の出力交流電力の周波数を、前記商用電源の周波数よりも高くする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施例を表したフローチャートである。図1のフローチャートにおいて、放電管5の電力を低減させたい(判断21)ときは、電力変換装置6が出力する交流電力の電圧を低減(処理26)させるが、それでも電力が設定値まで低減しなければ、出力電圧は放電が不安定になる下限値まで低下することになる。この電圧下限値到達を検出(判断22)し、なお且つ電力を更に低減したい(判断23)場合は、電力変換装置6の運転時間tを短縮(処理27)させることで運転時間tに対する全時間Tの比率を減少(処理28)させる。その結果、電力が設定値まで低下したか否かを判断24で判定する。
【0012】
図2は図1で記述のフローチャートを実現する本発明の実施例を表した回路図であるが、この実施例回路に記載の商用電源1,交流/直流変換器2,平滑コンデンサ3,直流/交流変換器4,放電管5,電力変換装置6,電力調節器11,運転時間制御回路12及び電力設定器18の名称・用途・機能は、図6で既述の従来例回路の場合と同じであるから、これらの説明は省略する。
【0013】
図2に図示の実施例回路では、放電管5の放電が不安定になるのを防止するために、電圧の下限値を定めるリミッタ13を設けている。このリミッタ13を介して得られる電力調節器11の出力信号と、図示していない電圧検出器から得られる負荷電圧検出値との偏差を電圧調節器14へ入力させる。電圧調節器14はその入力偏差を零に調節する制御信号を直流/交流変換器4に与えて、その出力電圧を制御するのであるが、電圧が前述のリミッタ13で定めた下限値に達すれば、それ以降は運転時間制御回路12により出力のオン・オフを繰り返す際の運転時間tを短縮することで、放電管5への平均電力を低減させる。
【0014】
図3乃至図5は図2に図示の実施例回路の動作を表した動作波形図であるが、ここでは50%電力までは電圧制御で電力を低減させ、それ以下の電力のときに出力のオン・オフを繰り返させるものとしている。
図3は図2に図示の実施例回路で電力変換装置が100 %電力出力時の入力電流と出力電流を示した動作波形図であって、図3▲1▼は出力電流I0 ,図3▲2▼は入力電流IINである。このときの入力電流IINの状態は従来例回路で説明した図7と同じである。
【0015】
図4は図2に図示の実施例回路で電力変換装置が50%電力出力時の入力電流と出力電流を示した動作波形図であるが、50%電力出力時は電圧制御のみであるから、図4▲1▼に図示の出力電流I0 の振幅が小さくなる。また図4▲2▼に図示の入力電流IINもこれに比例してその振幅は小さくなるが、図8に図示のような振幅の変動は生じていない。
【0016】
図5は図2に図示の実施例回路で電力変換装置が25%電力出力時の入力電流と出力電流を示した動作波形図であって、電圧制御とオン・オフ制御とが併用されている。図5▲1▼は出力電流I0 であって、その振幅は50%出力時と同じで、t/T=0.5 にすることで25%電力を出力している。図5▲2▼は入力電流IINであって、その振幅と変動の程度は、図9に図示の従来例回路の場合よりも大幅に低減されていることが分かる。
【0017】
放電管5へ与える交流電力の周波数は、商用電源1の周波数よりも高くすることが多い。例えば商用電源1の周波数が50Hzで負荷の周波数が500Hz の場合に、全時間Tを電源周期の1/5 (負荷のパルス数で100 に対応する)に設定し、電圧制御で電力を50%まで低減させるならば、運転時間を50バルス,停止時間を50パルスにすることで25%電力が得られるし、運転時間を10パルスで停止時間を90パルスにすれば5%電力を得ることも容易である。
【0018】
【発明の効果】
従来の放電管負荷は、電圧を低下させると放電が不安定になることから、電力を低減させる場合は、放電管への電力をオン・オフさせて、全時間に対するオン時間の比率を変化させる電力制御方法が一般的であり、そのため、電力を供給する電力変換装置の入力電流に大きな変動を生じ、これが原因で騒音・電圧変動・高調波障害などの不都合を発生していた。これに対して、本発明では電力の低減は電圧を予め定めた下限値まで低下させることで行い、より一層の電力低減の場合に、電圧が低下した状態で放電管への電力をオン・オフさせる。これにより、従来に比べて電力低減時の電力変換装置への入力電流の変動が抑制さされ、従来発生していた騒音・電圧変動・高調波障害などを低減できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を表したフローチャート
【図2】図1で記述のフローチャートを実現する本発明の実施例を表した回路図
【図3】図2に図示の実施例回路で電力変換装置が100 %電力出力時の入力電流と出力電流を示した動作波形図
【図4】図2に図示の実施例回路で電力変換装置が50%電力出力時の入力電流と出力電流を示した動作波形図
【図5】図2に図示の実施例回路で電力変換装置が25%電力出力時の入力電流と出力電流を示した動作波形図
【図6】放電管負荷へ交流電力を供給する電力変換装置の電力制御回路の従来例を示した回路図
【図7】図6に図示の従来例回路で電力変換装置が100 %電力出力時の入力電流と出力電流を示した動作波形図
【図8】図6に図示の従来例回路で電力変換装置が50%電力出力時の入力電流と出力電流を示した動作波形図
【図9】図6に図示の従来例回路で電力変換装置が25%電力出力時の入力電流と出力電流を示した動作波形図
【符号の説明】
1 商用電源
2 交流/直流変換器
4 直流/交流変換器
5 放電管
6 電力変換装置
11 電力調節器
12 運転時間制御回路
13 リミッタ
14 電圧調節器
18 電力設定器
21〜24 判断
26〜28 処理

Claims (3)

  1. 商用電源に接続した電力変換装置を制御して放電管へ交流電力を供給する電力変換装置の電力制御方法において、
    前記電力変換装置の出力電圧を変化させてその出力交流電力を制御し、
    前記出力電圧が予め定めた下限値まで低下すれば、その電圧下限値で前記電力変換装置の出力交流電力にオンとオフを繰り返させる際のオン時間の比率を制御することを特徴とする放電管負荷を接続した電力変換装置の電力制御方法。
  2. 請求項1に記載の電力変換装置の電力制御方法において、
    前記出力交流電力のオン時間の比率の制御は、前記電力変換装置のオン期間中に出力する交流電力のパルス数を計数し、このパルス数からオン時間の比率を制御することを特徴とする放電管負荷を接続した電力変換装置の電力制御方法。
  3. 請求項1乃至請求項2に記載の電力変換装置の電力制御方法において、
    前記電力変換装置の出力交流電力の周波数を、前記商用電源の周波数よりも高くすることを特徴とする放電管負荷を接続した電力変換装置の電力制御方法。
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