JP3758395B2 - 封止用のエポキシ樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子等の封止に使用されるエポキシ樹脂組成物と、これを用いて封止した半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属などからなるリードフレームに搭載され、リードフレームとボンディングワイヤーやパンプ等を用いて電気的に接続された半導体素子(チップ)などの電子部品の保護は、例えば、金型を使用して、半導体素子の全体及びリードフレームの一部を、樹脂で封止することにより行われる。
【0003】
この封止に用いられるエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤および無機充填材を主成分としている。無機充填材は粉末状のものであり、エポキシ樹脂組成物の成形体(樹脂硬化物)の熱膨張率および吸湿率の低減、もしくは熱伝導率向上等の目的で使用されている。近年、集積回路の機能集中が進み、その集積度アップが必須となってきたことによる、パッケージの大型化、薄型化等の影響で上記特性の更なる向上が望まれている。組成物成形体の熱膨張率及び吸湿率の低減のためにはエポキシ樹脂組成物中へそれ自体熱膨張率の低い無機充填材(たとえば非晶質シリカ粉末)の含有率を上げることがますます必要となるが、これらの無機充填材を高充填するとエポキシ樹脂組成物(封止材)の粘度が上昇し、流動性が低下するという問題が生じてきた。また、成形性についても、エポキシ樹脂組成物をトランスファー成形する際に金型内での狭部または薄肉部への未充填、及び、パッケージ表面および/または内部にボイドが生じるという課題も発生した。また、ボイドが発生すると、吸湿時等にボイド部に水分が偏在するため、耐湿信頼性を損なうおそれがある。
【0004】
従って、無機充填材の含有率を上げても、組成物の粘度が上昇せず、且つ成形時に未充填及びボイドが生じない技術が必要となってきた。
上記ボイド低減技術としては、成形時の材料のエアーの巻き込みを低減させる方法、タブレット内の揮発分を低減させる方法が検討されていた。これらの手法はある程度効果が認められるものの、特に薄型、大型パッケージの表面ボイド及び内部ボイドを皆無にするまでには至らず、更なる有効な低減方法が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の事情を踏まえ、本発明の課題は、封止材の硬化物(成形体)の低熱膨張率化、低吸湿化、もしくは高熱伝導率化を達成しようとすると、封止材の流動性が低下し、成形時にボイドが発生するという問題点を解決することである。すなわち、本発明の目的は、流動性が良好に保たれ、成形時にボイドが発生しにくく、耐湿性およびはんだ耐熱性を損なわずに成形時にボイドが発生しにくくなる封止用のエポキシ樹脂組成物、ボイドが少なく、耐湿性およびはんだ耐熱性の良好な半導体装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明にかかる封止用のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と無機充填材とを含むエポキシ樹脂組成物において、硬化促進剤として、下記一般式(A)で示される4級アミン塩が少なくとも含まれていることを特徴とする。
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、互いに独立に、−CH3 、−CH2 CH3 、−CH2 CH2 CH3 、−CH2 CH2 CH2 CH3 、または−CH2 CH(CH3 )2 を表す。)
上記課題を解決するために、本発明にかかる半導体装置は、半導体素子がエポキシ樹脂組成物を用いてトランスファー成形により封止されている半導体装置において、前記エポキシ樹脂組成物として上記本発明にかかるエポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
(エポキシ樹脂組成物)
エポキシ樹脂としては、封止材に一般的に使用可能なエポキシ樹脂を使用することができる。エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を持っているものであれば特に制限はないが、例えば、o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても併用してもよい。エポキシ樹脂の全部または一部がビフェニル型エポキシ樹脂および/またはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂であることが好ましい。ビフェニル型エポキシ樹脂およびジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂はそれぞれ下記一般式(1)および(2):
【0010】
【化3】
【0011】
ビフェニル型エポキシ樹脂
(式中、Ra 〜Rh は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。)
【0012】
【化4】
【0013】
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂
(式中、nは0〜6の整数である。)
で示されるものであり、いずれも、粘度が低く、密着性が高く、吸湿性が低いという点で他のエポキシ樹脂よりも優れている。特に、ビフェニル型エポキシ樹脂を必ず用いるようにすると、成形時のボイドがより発生しにくくなるという利点があるので好ましい。ビフェニル型エポキシ樹脂の割合は、たとえば、エポキシ樹脂の30〜100重量%である。ビフェニル型エポキシ樹脂の割合が30重量%未満であると無機充填材を従来よりも多く配合することができないおそれがある。
【0014】
硬化剤としては、上記エポキシ樹脂の硬化剤として使用可能なものであれば特に限定はなく、たとえば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂などの多価フェノール化合物;ナフトール化合物;無水ヘキサヒドロフタル酸等の酸無水物;キシレノール、レゾルシン等とホルムアルデヒドとを縮合反応して得られるノボラック樹脂;アミン系硬化剤等が挙げられる。これらは単独で用いても併用してもよい。
【0015】
前記硬化剤の配合割合は、エポキシ樹脂1当量に対して硬化剤0.5〜1.5当量の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2当量である。硬化剤の配合割合が上記範囲を外れると信頼性が劣ると共に成形時の剛性が下がり作業性に悪影響を与える傾向がある。
エポキシ樹脂組成物では、硬化促進のために、通常、硬化促進剤が用いられる。硬化促進剤としては、エポキシ樹脂と硬化剤の反応を促進させる作用があるものであれば特に制限はないが、たとえば、トリフェニルホスフィン(TPP)、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン等の有機ホスフィン類;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等の三級アミン類;上記一般式(A)で示される化合物(たとえば、テトラブチルアンモニウムテレフタル酸塩)、テトラメチルアンモニウムトリメリット酸塩、テトラメチルアンモニウムアジピン酸塩等の4級アミン塩;2−メチルイミダゾール(2MZ)、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、併用してもよい。ただし、上記一般式(A)で示される化合物は、著しい潜在性と硬化性を有し、ボイド低減に有用であるので、硬化促進剤として必ず用いるようにする。
【0016】
前記硬化促進剤の配合割合は、封止用樹脂組成物全体に対して硬化促進剤0.03〜1.0重量%であることが好ましい。硬化促進剤の配合量が0.03重量%未満では、ゲル化時間が長くなり、硬化作業性を著しく低下させる傾向がみられ、逆に1.0重量%を超えると、材料がランナー流動中に硬化してしまい、未充填になりやすくなる恐れがあるからである。上記一般式(A)で示される化合物の割合は、硬化促進剤の全量に対して、たとえば5〜80重量%の範囲で、好ましくは20〜60重量%の範囲である。一般式(A)で示される化合物の割合が前記範囲を下回るとこの促進剤の潜在性が十分に生かされないためボイド低減を妨げるおそれがあり、上回ると著しい硬化性のためにエポキシ樹脂組成物の粘度が上昇して流動性を低下させ、外部および/または内部ボイドの発生を引き起こすおそれがある。
【0017】
封止部分の樹脂硬化物の、熱膨張率および吸湿率を低減させたり、熱伝導率(熱放散性)を向上させたり、信頼性を向上させたり、強度を高めたりするために、通常は、エポキシ樹脂組成物中に無機充填材を配合することができる。無機充填材としては、粉末状のものであれば特に限定する訳ではないが、溶融シリカ(非晶質シリカとも言う)、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素等を挙げることができる。これらは単独で使用されるほか、併用されることもある。無機充填材の粉末は、封止材に通常用いられる程度の粒度、たとえば、粒度5〜30μmの範囲のもの、であればよい。無機充填材の配合割合は、特に限定されないが、従来よりも高充填、たとえば、組成物全体の80〜92重量%であることが好ましい。
【0018】
本発明にかかるエポキシ樹脂組成物には離型剤が配合されていてもよい。離型剤としては、封止材に通常使用しているものを使用できる。例えば、天然カルナバ系、長鎖脂肪酸類、およびその金属石鹸類、エステル類、アマイド類、または、ポリエチレン系ワックス等のポリオレフィン類などを用いることができ、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。具体的には、カルナバワックス、ステアリン酸及びその誘導体、モンタン酸及びその誘導体、カルボキシル基含有ポリオレフイン等が好ましく用いられる。これらは単独で使用されるほか、併用されることもある。離型剤の配合割合は組成物全体の0.05〜1.5重量%であることが好ましい。離型剤として脂肪酸アミドを用いると、金型汚れがより一層生じ難くなる。
【0019】
本発明にかかる封止用エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、カップリング剤、難燃剤、着色剤、可とう剤、低応力化剤等が適宜量添加されてよい。カップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、ハロゲン化合物、リン化合物等が挙げられる。着色剤としては、例えばカーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。可とう剤としては、例えば、シリコーン等が挙げられる。低応力化剤としては、例えば、シリコーンゲル、シリコーンゴム、シリコーンオイル等が挙げられる。前記カップリング剤、難燃剤、着色剤、可とう剤、低応力化剤等は2種類以上を併用することもできる。
【0020】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前述した各成分をミキサー、ブレンダー等によって均一に混合したのち、ロール、ニーダー等によって混練することで製造することができる。成分の配合順序は特に制限はない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、より具体的には、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材その他の配合成分を混合分散した後、加熱ロール等で溶融混練し、この混練物を冷却・固化した後、粉砕して粉粒状のものにしたり、あるいは、粉砕したものを必要ならタブレット状に打錠したりすることにより製造することができる。
(半導体装置の封止)
このようにして得られたエポキシ樹脂組成物は、金型を用い、固形の場合は粉粒状またはタブレットをトランスファー成形することにより、半導体装置のリードフレームに搭載した半導体素子を封止することができる。
【0021】
上記リードフレームとしては、電気伝導性の点で銅合金製のリードフレームが、また、熱膨張率の点で42アロイ合金製のリードフレームが一般に使用されている。
【0022】
【実施例】
以下に、本発明の実施例と、本発明の範囲を外れた比較例とを示すが、本発明は下記実施例に限定されない。
実施例、比較例で使用した化合物は以下のとおりである。
エポキシ樹脂としては、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、品番YX4000H)、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業(株)製、品番ESCN−195XL)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(大日本インキ(株)製、品番HP7200)、ブロム化エポキシ樹脂(住友化学工業(株)製、品番ESB400T)を用いた。
【0023】
硬化剤としては、フェノールアラルキル樹脂(三井東圧化学(株)製、品番XL−225−3L)を用いた。
硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン(以下、「TPP」と略す。北興化学(株)製)、上記一般式(A)で示される4級アミン塩(MB18PA(一般式(A)中、R1 〜R3 =−CH3 、R4 =−CH2 CH(CH3 )2 であるもの)、サンアプロ製)を用いた。
【0024】
無機充填材は、溶融シリカ(平均粒径25μm。電気化学(株)製、品番FB60)を使用した。
ワックスは天然カルナバワックスを、カップリング剤はγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(東芝シリコーン(株)製メルカプトシラン系カップリング剤、品番TSL8380)を、難燃剤としては三酸化二アンチモン(三菱マテリアル(株)製、品番Sb2O3−NT)を、顔料はカーボンブラック(三菱マテリアル(株)製、品番750−B)を使用した。
【0025】
(実施例1〜7および比較例1〜7)
表1〜2に示す、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材、及びその他の成分を配合し、ブレンダーで30分間混合し、均一化した後、80℃に加熱したニーダーで混練溶融させて押し出し、冷却固化し、粉砕機で所定粒度(平均粒径4mmφ)に粉砕して粒状のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0026】
実施例および比較例のエポキシ樹脂組成物及びその成形体の物性評価は以下のようにして行った。
成形性:成形性の評価は、各樹脂組成物ごとに評価用パッケージ(QFPパッケージ)を作製し、これらのパッケージに生じるボイドおよびダイシフトを観察して行った。ボイド評価用パッケージは、28mm□、3.2mm厚の160QFPの金型を用いて各エポキシ樹脂組成物をトランスファー成形し、175℃で6時間アフターキュアー(後硬化)して作製した。成形条件は、温度175℃、注入時間10秒間、加圧時間90秒間、注入圧力70kgf/cm2 であった。得られたパッケージの内部ボイドを、各パッケージの表裏両面から超音波探査装置M−700II((株)キャノン製)で観察し、得られたチャート中で直径0.2mm以上のボイド像があったパッケージを不良とし、パッケージ10個あたりの不良品数を示した。また、パッケージの表面ボイドを実体顕微鏡で観察し、0.1mmφ以上の表面ピンホールおよび/または未充填部があったパッケージを不良とし、パッケージ10個あたりの不良品数を示した。ダイシフト評価用パッケージは、9.8mm□、1.2mm厚の128pLQFPの金型を用いて各エポキシ樹脂組成物をトランスファー成形し、175℃で6時間アフターキュアー(後硬化)して作製した。成形条件は、金型温度175℃、注入時間10秒間、加圧時間90秒間、注入圧力80kgf/cm2 であった。得られたパッケージを埋め込み用樹脂で固めてゲートを含む対角で切断してその切断面を研磨し、この研磨面において工具顕微鏡を用いてパッケージの外側からチップを載せたダイの部分までの距離を測定することにより、成形によってどれだけの距離を移動したかが分かる。その移動距離が120μmを超えるパッケージを不良とし、パッケージ10個あたりの不良品数を示した。いずれも不良品数が少ないほど成形性が良いことを意味している。
【0027】
また、信頼性として、耐湿性、耐湿リフロー性および耐湿信頼性を次のようにして評価した。
耐湿性:耐湿性の評価は、各樹脂組成物ごとに評価用パッケージ(Cuリードフレームパッケージおよび42アロイリードフレームパッケージ)を作製し、これらのパッケージについて下記の不良を生じたパッケージ数を数えて行った。評価用パッケージは、シリコンチップを搭載したCuリードフレームと42アロイリードフレームに、それぞれ、28mm□、3.2mm厚の160QFPの金型を用いて各エポキシ樹脂組成物をトランスファー成形し、175℃で6時間アフターキュアー(後硬化)して作製した。成形条件は、温度175℃、注入時間10秒間、加圧時間90秒間、注入圧力70kgf/cm2 であった。アフターキュアー後の各パッケージについて、樹脂硬化物(成形体)とダイパッドとの間に面剥離を生じたパッケージを不良とし、パッケージ10個あたりの不良品数を示した。不良品数が少ないほど耐湿性が良いことを意味する。
【0028】
耐湿リフロー性(吸湿リフロー性):耐湿リフロー性の評価は、各樹脂組成物ごとに評価用パッケージ(Cuリードフレームパッケージおよび42アロイリードフレームパッケージ)を作製し、これらのパッケージについて下記の不良を生じたパッケージ数を数えて行った。評価用パッケージは、シリコンチップを搭載したCuリードフレームと42アロイリードフレームに、それぞれ、28mm□、3.2mm厚の160QFPの金型を用いて各エポキシ樹脂組成物をトランスファー成形し、175℃で6時間アフターキュアー(後硬化)して作製した。成形条件は、温度175℃、注入時間10秒間、加圧時間90秒間、注入圧力70kgf/cm2 であった。アフターキュアー後のパッケージ(樹脂硬化物とダイパッドとの間に面剥離を生じていないもの)を85℃で相対湿度85%の雰囲気中に168時間放置した後、260℃のハンダ浴に10秒間浸し、樹脂硬化物とチップ・リードフレーム・ダイパッドとの間に剥離を生じたり、または樹脂硬化物にクラックが生じたりしたパッケージを不良とし、パッケージ10個あたりの不良品数を示した。不良品数が少ないほど、耐湿性およびはんだ耐熱性が良いことを意味しており、パッケージを吸湿状態のままハンダ浴に入れても不良を生じにくい。
【0029】
耐湿信頼性:耐湿信頼性の評価は、各樹脂組成物ごとに評価用パッケージ(16DIP)を作製し、これらのパッケージについて下記の不良を生じたパッケージ数を数えて行った。評価用パッケージは、評価用のアルミ回路を形成した素子(ICチップ)を42アロイリードフレームに実装した16DIP−ICに各エポキシ樹脂組成物をトランスファー成形し、175℃で6時間アフターキュアー(後硬化)して作製した。成形条件は、温度175℃、注入時間10秒間、加圧時間90秒間、注入圧力70kgf/cm2 であった。アフターキュアー後のパッケージ(樹脂硬化物とダイパッドとの間に面剥離を生じていないもの)にPCT試験を施した。PCT試験は、各パッケージに2atm/121℃/1000hr.の処理を施してアルミ回路の断線不良を有無を調べ、断線不良が生じたパッケージを不良とし、パッケージ10個あたりの不良品数を示した。不良品数が少ないほど耐湿信頼性が良いことを意味する。
【0030】
以上の結果を表1〜2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
表1〜2にみるように、実施例のエポキシ樹脂組成物で封止したパッケージは、比較例のもので封止したパッケージに比べて、成形性が良く、しかも、耐湿リフロー性が比較例のものとほぼ同等以上に良く、優れていた。
【0034】
【発明の効果】
請求項1〜5の発明にかかる封止用のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体装置を封止すれば、吸湿リフロー性を損なうことなく封止部分の樹脂硬化物中のボイドを大幅に低減することができる。
請求項2の発明のエポキシ樹脂組成物によれば、さらに、樹脂硬化物と半導体素子および/またはリードフレームとの密着性が向上ししかも樹脂硬化物の吸湿性が低くなる。
【0035】
請求項3の発明のエポキシ樹脂組成物によれば、上記効果に加えて、低粘度のビフェニル型エポキシ樹脂の割合が高くなるので、無機充填材の高充填が可能になり、これにより、封止部分の樹脂硬化物の、信頼性を向上させたり、強度を高めたり、熱放散性を向上させたりすることができる。
請求項4の発明のエポキシ樹脂組成物によれば、上記効果に加えて、無機充填材が高充填になるので、封止部分の樹脂硬化物の、信頼性を向上させたり、強度を高めたり、熱放散性を向上させたりする。
金型汚れを起こし難い。
【0036】
請求項5の発明のエポキシ樹脂組成物によれば、さらに、流動性低下が起こりにくくなるため、樹脂硬化物の外部および/または内部ボイドの発生が抑えられ得る。
請求項6の発明にかかる半導体装置は、上記本発明にかかるエポキシ樹脂組成物を使用して半導体封止を行うため、吸湿リフロー性を損なうことなく封止部分の樹脂硬化物中のボイドを大幅に低減することができる。
Claims (6)
- 前記エポキシ樹脂の少なくとも一部がビフェニル型エポキシ樹脂である、請求項1に記載の封止用のエポキシ樹脂組成物。
- 前記ビフェニル型エポキシ樹脂の割合がエポキシ樹脂の全量に対して30〜100重量%の範囲である、請求項2に記載の封止用のエポキシ樹脂組成物。
- 前記無機充填材の割合が前記エポキシ樹脂組成物固形分に対して80〜92重量%の範囲である、請求項1から3までのいずれかに記載の封止用のエポキシ樹脂組成物。
- 前記一般式(A)で示される4級アミン塩の割合が硬化促進剤の全量に対して5〜80重量%の範囲である、請求項1から4までのいずれかに記載の封止用のエポキシ樹脂組成物。
- 半導体素子がエポキシ樹脂組成物を用いてトランスファー成形により封止されている半導体装置において、前記エポキシ樹脂組成物として請求項1から5までのいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物が用いられていることを特徴とする半導体装置。
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