JP3758233B2 - 熱可塑性樹脂成形品の加熱方法と装置 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形品の加熱方法と装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロー成形や延伸ブロー成形等によって形成されるプラスチックボトル形成用のプリフォーム等の熱可塑性樹脂成形品のマイクロ波誘電加熱方法および装置、並びに赤外線輻射加熱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公平6−22874号公報には、空洞共振器内に共振状態で存在するマイクロ波定在波の高電界域および低電界域を高分子樹脂成形品を繰り返し通過させて、高分子樹脂成形品をマイクロ波誘電加熱する方法が提案されている。すなわち図9に示すように、矢印B方向にマイクロ波を伝送して、高電界域101および低電界域102が交互に存在するようにした空洞共振器100の内部を通って、高分子樹脂成形品の被加熱部分103を矢印A方向に通過させてマイクロ波誘電加熱する。
しかしながら本発明者の経験によれば、この方法では、同時に2個以上の被加熱部分103が空洞共振器100を通過するようにすると、満足な加熱を行なうことができないことが判明した。従ってこの方法は、比較的長い空洞共振器100で1個づつのみしか加熱できないので、量産に不適当である。
【0003】
その理由は次のように考えられる。図9の空洞共振器100の受端105が特性インピーダンスで閉じていれば、入射するエネルギーは全部受短105で吸収され反射波はない。受端105のインピーダンスが特性インピーダンスと異なれば、受端105で入射エネルギーの一部あるいは全部が反射されて反射波を生ずる。この場合、空洞共振器100内の電界は入射波と反射波を合成したものとなり、この合成波を定在波とよぶ。定在波は図10に示すように(空洞共振器が入射端104を除いて実質的に閉鎖している場合)、一定の場所に波の腹と節があって、その間で電界強度が正弦的に分布し、その位置で時間的に変化するだけで少しも進行しない波のことをいう。
空洞共振器100の底部に被加熱部分103を通過させるためのスリット(図3の35に対応する)が形成されている場合は、図11に示すように、特に長さ方向中央ほどマイクロ波の漏れが多く、電界強度が小さくなる。そのため空洞共振器100の中央部では、通過する被加熱部分103が1個の場合でも加熱効率が低くなる。
この状態で空洞共振器100の中に誘電体である被加熱部分103が1個入ってきた時、インピーダンスの整合をとると図12に示すように、被加熱部分103の吸収率が大きいため、反射マイクロ波電力が小さくなると共に、透過マイクロ波電力も小さくなる。従って複数の被加熱部分103が空洞共振器100を矢印A方向に通過する場合、入射側の被加熱部分103によってマイクロ波電力の殆どが吸収され、それより下流にある被加熱部分103に向う透過マイクロ波電力が小さくなり、加熱効率が更に低下する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、量産に適した、熱可塑性樹脂成形品のマイクロ波誘電加熱方法および装置を提供することを目的とする。
さらに本発明は、熱可塑性樹脂成形品の被加熱部分を結晶化させるため、被加熱部分をその再結晶化温度を越える温度に均一に急速に加熱する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る熱可塑性樹脂成形品の加熱方法は、多数の熱可塑性樹脂成形品をマイクロ波により連続的に誘電加熱する方法であって、熱可塑性樹脂成形品の送られる経路に串形に配列された、1個もしくは複数の空洞共振器内にマイクロ波を上記経路に対して直角に伝送し、上記空洞共振器内に、経路の軸線の軌跡と空洞共振器の端壁の内面間の距離を1/4・λとして高電界域を形成し、熱可塑性樹脂成形品の被加熱部分を、各空洞共振器につき1つの高電界域のみを通過させることを特徴とする。
請求項2に係る熱可塑性樹脂成形品の加熱方法は、熱可塑性樹脂成形品を自転させながら、その被加熱部分に側方より近赤外線を照射して、被加熱部分を当該熱可塑性樹脂のガラス転移点以上、再結晶化温度未満の温度に加熱した後に、請求項1記載の誘電加熱を行なうものである。
請求項3に係る熱可塑性樹脂成形品の加熱方法は、請求項1記載の誘電加熱を行なった後に、熱可塑性樹脂成形品を自転させながら、その被加熱部分に側方より近赤外線を照射して、被加熱部分を熱可塑性樹脂の再結晶化温度を越える温度に加熱するものである。
請求項4に係る熱可塑性樹脂成形品の加熱方法は、熱可塑性樹脂成形品を自転させながら、その被加熱部分に側方より近赤外線を照射して、被加熱部分を当該熱可塑性樹脂のガラス転移点以上、再結晶化温度未満に加熱し、次に請求項1記載の誘電加熱により再結晶化温度近傍の温度に加熱し、次いで熱可塑性樹脂成形品を自転させながら、その被加熱部分に側方より近赤外線を照射して、被加熱部分を当該熱可塑性樹脂の再結晶化温度を越える温度に加熱するものである。
【0006】
請求項5に係る熱可塑性樹脂成形品の加熱方法は、多数の熱可塑性樹脂成形品をマイクロ波により連続的に誘電加熱する装置であって、該装置は、熱可塑性樹脂成形品の送られる経路に串形に配列された、1個もしくは複数の空洞共振器、マイクロ波を上記経路に対して直角に伝送する導波管、上記空洞共振器内に、経路の軸線の軌跡と空洞共振器の端壁の内面間の距離を1/4・λとして1つの高電界域を形成し、空洞共振器の該経路に沿って移送する装置を備えることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
プリフォーム(ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂よりなる)の口頚部を加熱により結晶化(白化)して、硬化し、耐熱性等を向上させる方法と装置の例について説明する。
図1は上記装置の説明用平面図であって、1は架台、2は駆動スプロケット、3は案内スプロケット、4は駆動スプロケット2および案内スプロケット3と係合して、矢印方向に一定速度で移動し、かつプリフォーム5を移送する移動チエーンである。6および7はそれぞれ、プリフォーム5の送入部および送出部である。案内スプロケット3の送入部6側に移動チエーン4に沿って、その外側に第1の赤外線前加熱装置8aと第2の赤外線前加熱装置8bが配設されている。また第1の赤外線前加熱装置8aおよび第2の赤外線前加熱装置8bにそれぞれ対向して、移動チエーン4に沿って、その外側に第3の赤外線前加熱装置8cおよび第4の赤外線前加熱装置8dが配設されている。
駆動スプロケット2の送出部7側近傍に移動チエーン4に沿って、その外側に赤外線後加熱装置9が配設されている。
第4の赤外線前加熱装置8dに近接して、その下流側に空洞共振器セット10が配設されている。空洞共振器セット10は、導波管12およびアイソレータ13を介してマイクロ波発振器14に接続する。アイソレータ13は、反射波を吸収体11に回避して発振器14を保護する。吸収体11は、空洞共振器セット10からの反射波を吸収する水負荷である。
【0008】
図2に示すように、移動チエーン4の各リンク・ピン15は上方に鉛直に延びており、その上方部15aに、玉軸受16を介してスリーブ17が外挿されている。スリーブ17にスプロケット18が周設されている。19および20はそれぞれ、移動チエーン4の直線経路に沿って平行に設けられた内側固定チエーンおよび外側固定チエーンであり、スプロケット18に係合しており、移動チエーンの移動に伴ってスリーブ17が回転するようになっている。なお21および22はそれぞれ、移動チエーン4の側部案内部材および下部案内部材であり、23は移動チエーン4の下部に着設されたコロである。下部案内部材22は、移動チエーン4の全経路に沿って配設されており、プリフォーム5が常に同じ高さで移動することができるように、その上面22aは全長に亘り定レベルに位置する。
【0009】
スリーブ17の鍔部17aの上に鉛直方向に延びる円筒状のプリフォーム保持具24が着設されている。プリフォーム保持具24は金属、例えばアルミニュウムよりなっている。プリフォーム5の底部は受台17bとばね17cによって支持され、プリフォーム5の鍔部5aは、プリフォーム保持具24の上部細径部24aの端面より2〜3mm上方に浮いている。
赤外線前加熱装置8a、8b、8c、8dおよび赤外線後加熱装置9には、プリフォーム5の鍔部5aおよびねじ部5bを含む口頚部5cに対向する位置に、プリフォーム5の移動方向(長手方向)に延びる断面U字形の赤外線反射鏡26が設けられている。赤外線反射鏡26の内部には上下2本のセットよりなる近赤外線ランプ25が、口頚部5cに集光可能の位置に長手方向に配設されている。27は赤外線遮蔽板であり、28はプリフォーム保持具24のガイド板である。
【0010】
図3、図4および図5に示すように、空洞共振器セット10は、2個の空洞共振器10aおよび10bが一体になったもので、全体として金属板(好ましくは電気伝導度が高いアルミニュウムや銅等よりなる)で包囲された、均一な内面高さHの密閉箱(後記のスロット30a、31aおよびスリット35を除いて密閉された)よりなっている。空洞共振器10aおよび空洞共振器10bは、ロッド32を起点とし、端壁33に垂直に延びる隔壁29によって隔離されており、かつ両者は同じサイズであり、そのサイズは内部にそれぞれ1個の高電界域36が形成されるように定められている。2個の独立した高電界域36の中心Oを、移動するプリフォーム5の軸線の軌跡5x(つまりリンク・ピン15の軸線の軌跡)が通るように、プリフォーム5の通る経路は定められる。
この場合プリフォームの軸線の軌跡5xと空洞共振器の端壁33の内面間の距離が(1/4)・λ(λは空洞共振器内のマイクロ波の波長:図10参照)になる。空洞共振器の端壁33が短絡板(密閉板)なので、端壁33での電界は0になり、高電界域36の中心Oの端壁33の内面からの距離は、(1/4)・λになるからである。
隔壁29、空洞共振器10aの入口側壁部30および空洞共振器10bの出口側壁部31は、プリフォーム5の移動方向、すなわち移動チエーン4に垂直になっており、これら各々にはそれぞれ方形のスロット29a、30aおよび31aが形成されている。スロット29a、30aおよび31aは、中心線(例えば図4の31a1)が、移動するプリフォーム5の軸線の軌跡5xを通るように、同じサイズで形成されている。スロット29a、30aおよび31aは、高さhおよび幅wがそれぞれ、プリフォーム5の口頚部5cの高さおよび最大直径より若干大きく定められている。空洞共振器10aおよび10bには、発振器14より矢印B方向にマイクロ波が伝送される。
スロット29a、30aおよび31aの底部を結んで、空洞共振器セット10の底部34に矢印B方向に直角にスリット35が形成されいて、プリフォーム5の口頚部5cが入口側壁部30から出口側壁部31に向って通り抜けることができるようになっている。
このように空洞共振器10a、10bは、プリフォーム5の移動経路に対して串形に配列している。すなわち空洞共振器10a、10bに対するマイクロ波の伝送方向(矢印B方向)は、上記移動経路に対して直角になっている。
【0011】
入口側壁部30は内側斜め方向に延びる傾斜部38に接続する。入口側壁部31も内側斜め方向に延びる傾斜部39に接続する。隔壁29の長さ、並びに傾斜部38の内面および傾斜部39の内面とロッド32の中心との距離は、空洞共振器10aの端壁33aの側壁部30内面と隔壁29間の距離s、あるいは空洞共振器10bの端壁33bの側壁部31内面と隔壁29間の距離sにほぼ等しい。また入口側壁部30および出口側壁部31の長さは、距離sとほぼ等しいか、あるいはそれより若干大きい。距離sは、λ/2以上で、かつλ以下の適宜の大きさに定められる。高さHは約s/2であるのが好ましい。
なおマイクロ波の自由空間における波長をλ0とすると、λは、λ0を{1−(λ0/s)2x1/4}の平方根で割った値に等しい。但しs≠λ0/2。
傾斜部38および39は、内面幅が距離sに等しい基部37に接続する。40は、基部37を導波管12に接続するためのフランジ部である。41および42は、空洞共振器10aおよび10bのインピーダンスを調節するためのスタブチューナである。
【0012】
以上の装置により、プリフォーム5の口頚部5cの結晶化は次のようにして行なわれる。
作業開始前に、近赤外線ランプ25を点燈し、マイクロ波発振器14をONにして、空洞共振器10a、10bにマイクロ波を矢印B方向に(図1、図3)伝送すると、空洞共振器10a、10b内にマイクロ波定在波が共振状態で存在するようになり、かつプリフォーム5が通過するスリット35に対応する空洞共振器内の部分に高電界域36が形成される。
駆動スプロケット2を駆動して、移動チエーン4を矢印方向に移動させる。
以上の準備が終わった後、送入部6において、挿入装置(図示されない)より各プリフォーム保持具24に、プリフォーム5を次々と図2に示すように挿入する。プリフォーム5の口頚部5cは自転しながら赤外線前加熱装置8a、8b、8cおよび8dを通過して近赤外線を照射され、赤外線前加熱装置8dを出る時点で、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルのガラス転移点(Tgとよぶ:75〜80℃)以上、再結晶化温度(Tcとよぶ:155〜160℃)未満の温度に加熱される。好ましくはTgとTg+50℃の間の温度、より好ましくはTgとTg+30℃の間の温度に加熱される。
【0013】
このように口頚部5cを前加熱するのは、ガラス転移点以上の温度になると樹脂が急速に誘電加熱されて昇温するためである。その理由は次のように考えられる。樹脂がガラス転移点以上の温度になると、その高分子鎖間の結合が弱まって高分子鎖が運動し易くなる。この状態で樹脂をマイクロ波の電界の中に入れると、分極作用による高分子鎖の運動が激しくなり、その際の高分子鎖間の摩擦力による発熱等によって誘電加熱が促進される。
直ちに口頚部5cは自転しながら空洞共振器10a、10bを通過する。この際、各空洞共振器では1つの高電界域36のみを通過してマイクロ波誘電加熱される。このように1個の高電界域に複数の口頚部5c(熱可塑性樹脂成形品の被加熱部分)がマイクロ波の伝送方向(矢印B方向)に直角方向に入った場合、それぞれの口頚部5cにマイクロ波電力が均等に分割されて吸収される。そのため段落番号0002および0003で説明したような、1個の被加熱部分のみが満足に加熱され、他の被加熱部分は満足に加熱されないというようなことは起こらない。
空洞共振器10a、10bにおいてプリフォーム5の口頚部5cを誘電加熱する場合、口頚部5cの高さ方向の温度分布は、図4の顎部5aの挿入深さfにより変化し、後述の実施例の場合では、挿入深さfが4mmの時に良好な結果が得られた。
空洞共振器のスリット35はかなりの高電界になり、プリフォーム保持具24と接触すると放電することがあるので、スリット35の端面を誘電損失の少ない電気絶縁体で被覆することが好ましい。
【0014】
空洞共振器10bを出た時点で、口頚部5cはポリエチレンテレフタレート系ポリエステルの再結晶化温度Tc(155〜160℃)近傍の温度に加熱されている。好ましくはTc−10℃とTc+10℃の間の温度に加熱される。
その後直ちに口頚部5cは、自転しながら赤外線後加熱装置9を通過して、全体が均一に再結晶化温度を越えて加熱され、好ましくはTc+5℃とTc+40℃の間の温度に加熱されて、再結晶化(白化)が開始する。プリフォーム5は赤外線後加熱装置9を出ると直ちに送出部7において、送出装置(図示されない)によってプリフォーム保持具24から取り出され、次工程の装置へ送られる。次工程までに口頚部5cは若干自然放冷されて、再結晶化が熟すると同時に、金型により口頚部5cの内径と高さを所定の値にするための整形が行なわれた後、急冷される。
【0015】
近赤外線ランプ(4kw)加熱とマイクロ波(出力2.7kw)加熱における、プリフォーム口頚部の初期温度に対する温度上昇速度の関係を図6に示す。近赤外線ランプ加熱の場合は、初期温度が低い時は温度上昇速度が高いが(ただし厚み方向の温度差が大きい)、マイクロ波加熱の場合は初期温度が、ガラス転移点以上で高くなる程温度上昇速度は高くなる。このように加熱効率を高くするための、近赤外線ランプ出力やマイクロ波加熱出力および加熱時間等の設定を図6から行なうことができる。
【0016】
【実施例】
赤外線前加熱装置8a、8b、8c、8dおよび赤外線後加熱装置9の各々に、1本2kw、長さ300mmの近赤外線ランプ25を1セット(2本)配設した。マイクロ波発振器14として、マイクロ波周波数が2,450MHz、定格出力5kWのものを使用した(加熱時の出力は2.7kw)。空洞共振器10a、10bは、距離s(図3)が110mm、高さHが55mm、スロット(31a等の)の高さhが40mm、幅wが38mmのものを使用した。ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルよりなるプリフォーム5の口頚部5cの高さは23mm、ねじ部5bのねじ山部の直径は27mmであった。移動チエーン4のリンク・ピン15の中心間隔、従ってプリフォーム5間の中心間隔を65mmにし、移動チエーン4の移動速度を4.1m/分にした。この時の加熱速度は約63本/分である。
以上の条件でプリフォームの口頚部5cを加熱した所、赤外線前加熱時間20秒後に120℃、マイクロ波加熱時間3秒後に165℃、赤外線後加熱時間5秒後に180℃になって、口頚部5cの満足な結晶化が行なわれた。
【0017】
比較のため、空洞共振器10a、10bがある位置に、図9に示すタイプの空洞共振器100(長さrが400mm、幅pが113mm、高さ60mm)をプリフォーム5の移動方向(矢印A方向)が長さ方向になるように配設した。アイソレータ13と空洞共振器100の間に3本のスタブチューナ(インピーダンス整合器)を入れ、マイクロ波を矢印B方向に伝送した。これ以外は、前記と同様の条件で加熱を行なったが、空洞共振器100を出た後の口頚部5cの温度は130℃で、後加熱後も結晶化は行なわれなかった。
【0018】
本発明は以上の実施例によって制約されるものでなく、例えば図7に示すようなY字形の空洞共振器セット50および51を向い合わせて組み立てたものの中をプリフォーム5の口頚部5cを通過させてもよい。図7において、50a、50bは空洞共振器セット50の空洞共振器であり、51a、51bは空洞共振器セット51の空洞共振器であり、何れも図3に示す空洞共振器10aと同様の構造をしており、同様のスロットおよびスリットを有している。52が口頚部5cが通過するスリットが形成された部分である。マイクロ波は矢印B方向に伝送される。
また図8に示すようにI字形の空洞共振器60、61を、熱可塑性樹脂成形品が送られる経路に対して串形に近接して配列したものでもよい。62、63はスリットであり、マイクロ波は矢印B方向に伝送される。
生産速度(毎分当たりの加熱本数)が小さい場合は、空洞共振器は1個でもよい。この場合は空洞共振器セット10のロッド32と傾斜部39の基部37側端部の間に隔壁53を設け、マイクロ波が空洞共振器10bに伝送されるのを遮断すればよい。あるいは図8の空洞共振器60または61の1個のみを用いてもよい。誘電加熱の時、熱可塑性樹脂成形品は自転しなくてもよい。
【0019】
【発明の効果】
請求項1、請求項2および請求項5に係る発明は、熱可塑性樹脂成形品を量産的にマイクロ波誘電加熱できるという効果を奏する。
請求項3に係る発明は、熱可塑性樹脂成形品の被加熱部分を均一に結晶化させることができるという効果を奏する。
請求項4に係る発明は、熱可塑性樹脂成形品の被加熱部分を均一に、かつ急速に結晶化させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための装置の例の説明用平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う縦断面図である。
【図3】図1に示される空洞共振器セットの拡大平面図である。
【図4】図3の空洞共振器セットの、IV−IV線から見た側面図である。
【図5】図3の空洞共振器の、V−V線から見た正面図である。
【図6】近赤外線加熱とマイクロ波加熱における、被加熱部分の初期温度と温度上昇速度との関係の例を示す線図である。
【図7】本発明の実施に用いられる空洞共振器セットの他の例の平面図である。
【図8】本発明の実施に用いられる空洞共振器セットの更に他の例の平面図である。
【図9】従来の空洞共振器の説明用平面図である。
【図10】図9の空洞共振器が、マイクロ波入射部を除いて、実質的に密閉状態にある場合の、定在波を示す線図である。
【図11】図9の空洞共振器の底部にスリットがある場合で、被加熱部分(誘電体)が入っていない時の電界強度分布を示す線図である。
【図12】図9の空洞共振器の底部にスリットがある場合に、被加熱部分(誘電体)が1個入った時の電界強度分布を示す線図である。
【符号の説明】
1 移動チエーン(移送する装置)
5 プリフォーム(熱可塑性樹脂成形品)
5c 口頚部(被加熱部分)
5x プリフォームの軸線の軌跡(熱可塑性樹脂成形品が送られる経路)
8a 赤外線前加熱装置(ガラス転移点以上の温度まで加熱する装置)
8b 赤外線前加熱装置(ガラス転移点以上の温度まで加熱する装置)
8c 赤外線前加熱装置(ガラス転移点以上の温度まで加熱する装置)
8d 赤外線前加熱装置(ガラス転移点以上の温度まで加熱する装置)
9 赤外線後加熱装置(再結晶化温度を越えて加熱する装置)
10a 空洞共振器
10b 空洞共振器
12 導波管(高電界を形成する装置)
14 マイクロ波発振器(マイクロ波電界を発生する装置)
18 スプロケット(熱可塑性樹脂成形品を自転させる装置)
19 内側固定チエーン(熱可塑性樹脂成形品を自転させる装置)
20 外側固定チエーン(熱可塑性樹脂成形品を自転させる装置)
25 近赤外線ランプ
35 スリット(熱可塑性樹脂成形品が送られる経路)
36 高電界域
50a 空洞共振器
50b 空洞共振器
51a 空洞共振器
51b 空洞共振器
52 スリット(熱可塑性樹脂成形品が送られる経路)
60 空洞共振器
61 空洞共振器
62 スリット(熱可塑性樹脂成形品が送られる経路)
63 スリット(熱可塑性樹脂成形品が送られる経路)

Claims (5)

  1. 多数の熱可塑性樹脂成形品をマイクロ波により連続的に誘電加熱する方法において、熱可塑性樹脂成形品の送られる経路に串形に配列した1個もしくは複数の空洞共振器内にマイクロ波を上記経路に対して直角に伝送し、上記空洞共振器内に、経路の軸線の軌跡と空洞共振器の端壁の内面間の距離を1/4・λとして高電界域を形成し、熱可塑性樹脂成形品の被加熱部分を、上記1つの高電界域のみを通過させることを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の加熱方法。
  2. 熱可塑性樹脂成形品を自転させながら、その被加熱部分に側方より近赤外線を照射して、被加熱部分を当該熱可塑性樹脂のガラス転移点以上、再結晶化温度未満の温度に加熱した後に、請求項1記載の誘電加熱を行なう熱可塑性樹脂成形品の加熱方法。
  3. 請求項1記載の誘電加熱を行なった後に、熱可塑性樹脂成形品を自転させながら、その被加熱部分に側方より近赤外線を照射して、被加熱部分を熱可塑性樹脂の再結晶化温度を越える温度に加熱する熱可塑性樹脂成形品の加熱方法。
  4. 熱可塑性樹脂成形品を自転させながら、その被加熱部分に側方より近赤外線を照射して、被加熱部分を当該熱可塑性樹脂のガラス転移点以上、再結晶化温度未満の温度に加熱し、次に請求項1記載の誘電加熱により再結晶化温度近傍の温度に加熱し、次いで熱可塑性樹脂成形品を自転させながら、その被加熱部分に側方より近赤外線を照射して、被加熱部分を当該熱可塑性樹脂の再結晶化温度を越える温度に加熱する熱可塑性樹脂成形品の加熱方法。
  5. 多数の熱可塑性樹脂成形品をマイクロ波により連続的に誘電加熱する装置において、該装置は、熱可塑性樹脂成形品の送られる経路に串形に配列された1個もしくは複数の空洞共振器、マイクロ波を上記経路に対して直角に伝送する導波管、上記空洞共振器内に、経路の軸線の軌跡と空洞共振器の端壁の内面間の距離を1/4・λとして1つの高電界域を形成し、熱可塑性樹脂成形品を、該経路に沿って移送する装置を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の加熱装置。
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