JP7233653B2 - マイクロ波乾燥装置 - Google Patents

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Description

本発明は、加熱乾燥処理の対象となる粉体等をマイクロ波によって加熱乾燥させるマイクロ波乾燥装置に係る。
燃料電池または二次電池などに用いられる活物質として、金属酸化物などの粉体を加熱乾燥処理したものが一般的に利用される。当該粉体に対して加熱による乾燥処理を連続的に行う構成として、加熱対象である粉体をベルトコンベア上に載置させ、粉体が乾燥処理装置内を通過するように搬送を行う装置が用いられる。
従来、加熱対象を加熱する方法としては、ヒータ加熱、ガス加熱、および赤外線加熱などを例とする外部加熱の他、マイクロ波による加熱を例とする内部加熱が挙げられる(例えば、特許文献1ないし3)。
特開平8-195279号公報 特開平10-112385号公報 特開平10-112387号公報
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
活物質として用いられる粉体は、高い乾燥品質が求められる。すなわち、粉体を構成する粒子と粒子との間に存在する水分のみならず、当該粒子の内部に存在する結晶水をも除去する必要がある。具体的に、水分のみならず結晶水をも高精度に除去するためには、粉体を300℃程度に加熱する必要がある。その一方で、加熱温度が300℃を超えると粉体は活物質としての機能を失う。従って、高い乾燥品質を実現するには粉体を300℃以下かつ300℃に近い温度で均一に加熱する必要がある。また近年では、大量の活物質粉体を迅速に乾燥処理すべく、高い乾燥処理効率も求められている。
従来の乾燥装置では、活物質の粉体に対して要求される乾燥品質および乾燥処理効率を実現することが困難である。すなわち、外部加熱による乾燥を行う場合、粉体粒子間に存在する空気によって熱伝導が阻害されるので、粉体粒子の内部まで十分に加熱されるには時間がかかる。その結果、粉体の加熱効率が低下するので、結晶水を含めて除去できる程度の高い乾燥品質を実現させるためには長い時間を要する。
また、加熱に要する時間を短縮すべく外部加熱装置が付与する熱エネルギーを大きく上昇させると、外部加熱装置による加熱温度がベルトコンベアの耐熱性を上回るという新たな問題が懸念される。よって、外部加熱を行う従来装置では加熱乾燥処理の処理効率を向上させることが困難である。
一方、マイクロ波による内部加熱を行う場合、マイクロ波のエネルギーによって粉体ベルトコンベア上において粉体が搬送される位置によって加熱ムラが発生する。よって、マイクロ波加熱を行う従来装置では粉体を均一に加熱することが困難であるので、要求される乾燥品質の精度を実現することが困難であるという問題が懸念される。
特に、上記の各特許文献に係るマイクロ波装置は、装置の構成上、対象の加熱温度は100℃程度に限定されており、粒子内の結晶水を含めて加熱除去することを想定した構成とはなっていない。従って、活物質粉体を十分に乾燥できるような加熱温度を実現することすら困難である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、被加熱物を迅速かつ均一に加熱乾燥することができるマイクロ波乾燥装置を提供することを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係るマイクロ波乾燥装置は、被加熱物を所定経路に沿って搬送させる搬送手段と、前記所定経路上において前記搬送手段と交差するように配設されており、前記被加熱物をマイクロ波によって加熱させる乾燥炉と、前記乾燥炉の一端側に配設されており、前記乾燥炉の一端側から他端側へ前記マイクロ波を照射するマイクロ波発振器と、前記乾燥炉の他端側に配設される無反射終端器と、前記乾燥炉を通過した前記被加熱物を回収する回収器と、粉体である前記被加熱物を、厚みが所定値であるシート状に成型させる成型手段と、を備え、前記乾燥炉は、TE10モードの前記マイクロ波を前記一端側から前記他端側へ伝送するように構成された導波管を備え、前記搬送手段は、前記成型手段によって成型された前記被加熱物を前記所定経路に沿って搬送させ、前記所定値は、前記マイクロ波の前記TE10モードを安定に維持できる程度に小さい値となるように予め定められるものである。
当該構成において、乾燥炉は被加熱物の搬送経路と交差するように配設されており、乾燥炉の一端側にはマイクロ波発振器が配設され、乾燥炉の他端側には無反射終端器が配設される。そのため、マイクロ波発振器から発生されたマイクロ波は被加熱物を加熱しつつ、乾燥炉の一端側から他端側へと伝送され、当該他端側において反射されることなく吸収される。すなわち乾燥炉の内部においてマイクロ波は進行波となり振幅が一定となる。従って、マイクロ波の伝送方向すなわち被加熱物の搬送方向と交差する方向について、被加熱物に対する加熱効率を均一化できる。
さらに、乾燥炉は、TE10モードのマイクロ波を一端側から他端側へ伝送するように構成された導波管を備える。マイクロ波をTE10モードに維持することにより、マイクロ波の電界強度は被加熱物の搬送方向について一定となる。従って、被加熱物の搬送方向についても被加熱物に対する加熱効率を均一化できるので、マイクロ波乾燥装置において加熱ムラが発生することをより確実に回避できる。
また、上述した発明において、前記無反射終端器の代わりに可動式短絡板を備え、前記被加熱物に対して前記マイクロ波を照射する際に、前記可動式短絡板を前記マイクロ波の照射方向に沿って往復移動させる短絡板駆動手段をさらに備えることが好ましい。
[作用・効果]本発明に係るマイクロ波乾燥装置によれば、無反射終端器の代わりに可動式短絡板を乾燥炉の他端側に備え、可動式短絡板をマイクロ波の照射方向に沿って往復移動させながら被加熱物にマイクロ波を照射する。この場合、可動式短絡板の往復移動によってマイクロ波の伝送距離が周期的に変化するので、マイクロ波の進行波と反射波との干渉によって形成される定在波の位相パターンも周期的に変化する。
すなわち、マイクロ波の伝送方向について、マイクロ波の加熱効率が高い領域と低い領域とがそれぞれ周期的に変化する。従って、マイクロ波の伝送方向における位置に関係なく、単位時間あたりにおいて加熱効率が高い時間と加熱効率が低い時間とを均等に発生させることができるので、マイクロ波の伝送方向における被加熱物の加熱効率を均一化できる。
また、上述した発明において、前記被加熱物は粉体であり、前記粉体をシート状に成型させる成型手段を備え、前記搬送手段は、前記成型手段によって成型された前記被加熱物を前記所定経路に沿って搬送させることが好ましい。
[作用・効果]本発明に係るマイクロ波乾燥装置によれば、粉体である被加熱物をシート状に成型させた状態で搬送し、マイクロ波による加熱を行う。この場合、マイクロ波の波形(伝送モード)が被加熱物の厚みによって不安定化することを防止できる。そのため多量または大型の被加熱物であっても、シート状に成型することによってムラなく加熱できる。
また、上述した発明において、前記乾燥炉は前記搬送手段の所定経路に沿って複数並列配列されていることが好ましい。
[作用・効果]本発明に係るマイクロ波乾燥装置によれば、乾燥炉を搬送手段の所定経路に沿って複数設けることにより、一の乾燥炉におけるマイクロ波発振器から照射されるマイクロ波の強度と、他の乾燥炉におけるマイクロ波発振器から照射されるマイクロ波の強度とを独立制御できる。そのため、被加熱物を所定の温度に精度良く加熱できる。
また、上述した発明において、複数の前記乾燥炉のうち少なくとも1つは前記マイクロ波発振器が前記所定経路の一方の側面に設けられており、前記乾燥炉のうち少なくとも1つは前記マイクロ波発振器が前記所定経路の他方の側面に設けられていることが好ましい。
[作用・効果]本発明に係るマイクロ波乾燥装置によれば、複数の前記乾燥炉のうち少なくとも1つは所定経路の一方の側面から他方の側面へマイクロ波を照射するものであり、さらに少なくとも1つの乾燥炉は所定経路の他方の側面から一方の側面へマイクロ波を照射するものである。
マイクロ波を被加熱物の搬送方向と交差する方向に照射する場合、マイクロ波が被加熱物に吸収されて減衰することに起因して、マイクロ波発振器に近い側を搬送される被加熱物の方がマイクロ波発振器から遠い側を搬送される被加熱物より加熱効率が高くなる。そこで、複数の乾燥炉についてマイクロ波の照射方向を同じとせず、マイクロ波の照射方向を異ならせることにより、マイクロ波が被加熱物に吸収されて減衰することに起因する加熱効率の影響がより均一化される。従って、被加熱物に吸収されることによるマイクロ波の減衰効果に起因する加熱ムラを防止できる。
本発明に係るマイクロ波乾燥装置によれば、無反射終端器または可動式短絡板によってマイクロ波の伝送方向すなわち被加熱物の搬送方向と交差する方向について、被加熱物に対する加熱効率を均一化できる。また、TE10モードのマイクロ波を一端側から他端側へ伝送するように構成された導波管を備えることにより、マイクロ波の電界強度は被加熱物の搬送方向について一定となる。従って、被加熱物の搬送方向についても被加熱物に対する加熱効率を均一化できるので、マイクロ波乾燥装置において加熱ムラが発生することをより確実に回避できる。
実施例1に係るマイクロ波乾燥装置の全体構成を説明する斜視図である。 実施例1に係るマイクロ波乾燥装置の構成を説明する平面図である。 実施例1に係るマイクロ波乾燥装置の構成を説明する縦断面図である。 従来例に係る構成の問題点を説明する図である。(a)は定在波であるマイクロ波の位相パターンを示す縦断面図であり、(b)は加熱効率の高低が発生する領域を示す平面図である。 実施例1に係る構成の効果を説明する図である。(a)は進行波であるマイクロ波の位相パターンを示す縦断面図であり、(b)はマイクロ波乾燥装置の平面図である。 TE10モードのマイクロ波について、電界強度が高い領域を示す縦断面図である。 TE20モードのマイクロ波について、電界強度が高い領域を示す縦断面図である。 実施例2に係るマイクロ波乾燥装置の構成を説明する平面図である。 実施例2において、可動式短絡板が位置P1に移動している状態を示す図である。(a)はマイクロ波の位相パターンを示す縦断面図であり、(b)はマイクロ波乾燥装置の平面図である。 実施例2において、可動式短絡板が位置P2に移動している状態を示す図である。(a)はマイクロ波の位相パターンを示す縦断面図であり、(b)はマイクロ波乾燥装置の平面図である。 変形例に係るマイクロ波乾燥装置の構成を説明する平面図である。 変形例に係るマイクロ波乾燥装置の構成を説明する平面図である。 変形例に係るマイクロ波乾燥装置の構成を説明する平面図である。 変形例に係るマイクロ波乾燥装置の効果を説明する概略平面図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。図1は実施例1に係るマイクロ波乾燥装置1の斜視図であり、図2は実施例1に係るマイクロ波乾燥装置1の平面図である。図3は実施例1に係るマイクロ波乾燥装置1のA-A断面図である。
<全体構成の説明>
実施例1に係るマイクロ波乾燥装置1は図1に示すように、ベルトコンベア3と、成型器5と、乾燥炉7と、回収器9と、放射温度計11とを備えている。
ベルトコンベア3は、加熱乾燥処理の対象である粉体Pwを所定の経路に沿って搬送する。ベルトコンベア3は、図示しないコンベア駆動機構を備えており、当該コンベア駆動機構によって、符号Cで示される方向へ駆動する。ベルトコンベア3が符号Cで示される方向へ駆動することにより、ベルトコンベア3の上に載置された粉体Pwは符号Lで示される方向へと搬送される。粉体Pwの搬送方向Lは、ベルトコンベア3の長手方向に相当するx方向と平行である。粉体Pwは本発明における被加熱物に相当し、ベルトコンベア3は本発明における搬送手段に相当する。
ベルトコンベア3の幅の大きさ(x方向の長さ)は適宜変更できるが、好ましい値の一例として100mm以上1000mm以下が挙げられる。また、ベルトコンベア3の搬送速度の好ましい例としては、0.01m/分以上10m/分以下が挙げられる。
本実施例において、「上流」および「下流」とは粉体Pwの搬送方向Lに沿うものとして定義される。すなわち「上流」とは粉体Pwの搬送方向Lにおいて、成型器5に近い側を意味するものとする。また、ベルトコンベア3の幅方向yに沿うものとして「手前側」および「奥側」を定義する。すなわち「手前側」とは図1においてベルトコンベア3を基準として後述するマイクロ波発振装置13に近い側を意味するものとする。
ベルトコンベア3は、粉体Pwの搬送を可能とする物性強度と、300℃以上の耐熱温度とを備える素材で構成される。また、ベルトコンベア3は、マイクロ波によって加熱されにくい素材、すなわち非電導性を有し誘電損率が低い素材で構成されることが好ましい。ベルトコンベア3を構成する素材の好ましい例として、セラミックシートなどが挙げられる。また、上記の条件をより好適に満たすという点において、ベルトコンベア3はガラスシートで構成されることが特に好ましい。ベルトコンベア3を構成するガラスシートの厚みは、一例として0.1mm程度である。
成型器5はベルトコンベア3の上面に載置されており、粉体Pwをシート状に成型するとともに、当該シート状に成型された粉体Pwをベルトコンベア3に載置させる。成型器5は、投入口5aと排出口5bとを備えている。投入口5aは成型器5の上部に設けられており、粉体Pwは投入口5aを介して成型器5の内部へ投入される。
排出口5bは成型器5の側面下部に設けられている。シート状に成型された粉体Pwは、排出口5bから排出されてベルトコンベア3の上に載置される。成型器5の内部には図示しないプレス機構が配備されている。プレス機構はy方向に延びるプレート状の構造を有しており、成型器5の内部へ投入された粉体Pwを上方から押圧することによって、粉体Pwは所定の厚みを有するシート状に成型される。
成型器5は、粉体Pwの厚みdがより小さくなるように、粉体Pwをシート状に成型することが好ましい。粉体Pwの厚みdを小さくすることにより、後述する乾燥炉7の内部において、マイクロ波のTE10モードをより安定に維持できる。好ましい粉体Pwの厚みdは、一例として5mm以下である。
乾燥炉7はマイクロ波で粉体Pwを加熱することにより、粉体Pwを乾燥させる。乾燥炉7は、成型器5の下流側において、ベルトコンベア3による粉体Pwの搬送経路と交差するように配設されている。マイクロ波による加熱乾燥効率を向上させるという点において、乾燥炉7はベルトコンベア3と直交する方向(y方向)へ延びるように配設されることが好ましい。y方向は、ベルトコンベア3の幅方向、およびシート状に成型された粉体Pwの幅方向に相当する。
回収器9は、乾燥炉7の下流に設けられており、乾燥炉7において乾燥された粉体Pwを回収する。放射温度計11は、ベルトコンベア3の上で搬送されている粉体Pwの温度を随時測定する。放射温度計11の測定温度に基づいて、粉体Pwが所望の温度に加熱されているか否かを判定できる。
乾燥炉7は図1ないし図3に示すように、マイクロ波発振装置13と、アイソレータ15と、インピーダンス整合器17と、導波管19と、無反射終端器21とを備えている。乾燥炉7の一端側には、マイクロ波発振装置13、アイソレータ15、およびインピーダンス整合器17が上述の順序で乾燥炉7の一端から他端に向かって並列配置されている。乾燥炉7の他端側には無反射終端器21が配設されている。マイクロ波発振装置13と無反射終端器21とは、y方向に延びる導波管19を介して接続されている。
図2に示すように、マイクロ波発振装置13の内部にはマイクロ波発振器23が設けられている。マイクロ波発振器23は、所定の周波数のマイクロ波Rを導波管19に供給する。マイクロ波発振器23から供給されたマイクロ波Rは導波管19によって伝送され、乾燥炉7の一端側から他端側へ向けて照射される。
本実施例において、マイクロ波Rの周波数は2.45GHzであるものとする。また、マイクロ波Rの発振に用いられる電力は6kWであるものとする。マイクロ波Rに係る当該周波数および電力は一例であって、適宜変更して良い。
アイソレータ15は、導波管19の内部で発生する反射波の影響を抑制することによってマイクロ波発振器23を保護する。インピーダンス整合器17は、マイクロ波発振器23側と負荷側とのインピーダンスを調整する。インピーダンス整合器17として、例えばスリースタブチューナまたはE-Hチューナなどが用いられる。
導波管19は、ベルトコンベア3と交差するように配設されている角形導波管であり、図3に示すように縦断面は矩形となっている。導波管19の延びる方向は、y方向すなわちベルトコンベア3の幅方向と平行になるよう構成されている。導波管19は、マイクロ波発振器23によって出力されたマイクロ波を、導波管19の一端側から導波管19の他端側へと伝送する。
導波管19の内部の寸法は、導波管19を伝送されるマイクロ波RがTE10モード(シングルモード)を維持できるような大きさとなるように定められる。マイクロ波Rの周波数が2.45GHzである場合、x方向(粉体Pwの搬送方向)における導波管19の内径の長さFは40mm以上58mm以下であることが好ましい。長さFが当該範囲である場合、より確実にマイクロ波RをTE10モードに維持できる。本実施例において、長さFは54.6mmであるものとする。当該長さは、WRI-22(EIAJ規格)に沿った寸法であるという点において、特に好ましい寸法である。
また、z方向(粉体Pwの厚み方向)における導波管19の内径の長さHは80mm以上115mm以下であることが好ましい。長さHが当該範囲である場合、より確実にマイクロ波RをTE10モードに維持できる。本実施例において、長さHは109.2mmであるものとする。当該長さも、WRI-22(EIAJ規格)に沿った寸法であるという点において、特に好ましい寸法である。
導波管19の両側の側面には、y方向に延びるスリットSLが形成されている。粉体Pwを搬送するベルトコンベア3は、スリットSLを経由して導波管19の内部を通過する。
すなわちy方向およびz方向におけるスリットSLのサイズは、ベルトコンベア3の幅の大きさと粉体Pwの厚みとに応じて適宜定められる。
また、導波管19は支持部材25と漏洩防止部27とを備えている。支持部材25は、導波管19の両側の側面に設けられているy方向に延びる板状部材である。支持部材25は、各々のスリットSLの上方において、導波管19から外側に向けて突出している。
漏洩防止部27はチョーク構造を有する部材であり、支持部材25から垂下されるように配設されている。すなわち支持部材25は、y方向に並列する多数の漏洩防止部27を懸垂支持する。スリットSLの外部近傍に、チョーク構造を備える多数の漏洩防止部27をy方向に並列配置することにより、マイクロ波発振器23から供給されたマイクロ波RがスリットSLから導波管19の外側へ漏洩することを防止できる。
無反射終端器21は導波管19の他端に接続されており、マイクロ波の反射を抑制する。一例として、無反射終端器21はマイクロ波を吸収するダミーロードであり、他端側へ伝送されたマイクロ波を吸収することにより、マイクロ波の反射を抑制する。すなわち、マイクロ波発振器23によって発生し、導波管19の一端から他端へと伝送されたマイクロ波Rは、反射することなく無反射終端器21によって吸収される。
ここで、実施例1に係るマイクロ波乾燥装置1の動作の概要について説明する。まず、マイクロ波発振器23によるマイクロ波Rの照射を開始するとともに、加熱対象である粉体Pwを開口部5aに投入する。粉体Pwは、成型器5が備えるプレス機構に押圧されることによって薄いシート状の塊に成型され、排出口5bから排出される。シート状に成型された粉体Pwはベルトコンベア3に載置され、搬送方向Lに沿って乾燥炉7へ向けて搬送される。
ベルトコンベア3によって搬送されることにより、粉体PwはスリットSLを介して導波管19の内部を通過する。乾燥炉7が備える導波管19の内部を通過する際に、マイクロ波発振器23によって照射されたマイクロ波Rが、シート状に成型された粉体Pwを加熱する。当該加熱によって、粉体Pwに含まれる水分および結晶水が除去され、粉体Pwが乾燥される。
マイクロ波Rの照射によって加熱乾燥された粉体Pwは、下流側のスリットSLから導波管19の外部へと搬出され、さらに搬送方向Lに沿って下流へと搬送される。そして粉体Pwはベルトコンベア3の終端部Kまで搬送され、ベルトコンベア3の終端部Kから離れて回収器9の中へと落下する。このように、ベルトコンベア3を用いた連続搬送と、ベルトコンベア3の搬送経路上に配設された乾燥炉7とによって、粉体Pwに対する加熱乾燥処理が連続的に行われる。
<実施例1の構成による効果>
ここで、実施例1に係るマイクロ波乾燥装置1の構成による効果について説明する。第1に、実施例1では乾燥炉7が備える導波管19の一端側にマイクロ波発振器23が配設されるとともに、導波管19の他端側に無反射終端器21が配設される。そのため、マイクロ波発振器23によって発生したマイクロ波は、導波管19の一端側から他端側へ進行波として伝送された後、他端側に接続されている無反射終端器21に吸収される。
従来の装置では、導波管19の一端側から他端側へと進行したマイクロ波が、他端側(終端部Q)において反射される。そのため、一端側から他端側へ向かう進行波と他端側から一端側へと向かう反射波とが干渉することによって、マイクロ波Rの定在波が導波管の内部に発生する。以下、定在波となったマイクロ波Rを「定在マイクロ波Rs」と呼称して説明する。
図4(a)は、導波管19の内部において定在マイクロ波Rsが発生する場合における、当該マイクロ波の波形を示す縦断面図であり、図4(b)は定在マイクロ波Rsが発生した場合における平面図である。なお、符号λgは、マイクロ波Rの管内波長(導波管19の内部におけるマイクロ波の波長)を示すものとする。そして定在マイクロ波Rsが振動する範囲を、振動範囲Spとして網点を付して示している。
定在マイクロ波Rsが発生すると、導波管19が延びる方向であるy方向について、定在マイクロ波Rsの振幅Jが最大となる部分(腹部t1)と振幅Jが最小となる部分(節部t2)との位置が時間的に変わること無く、腹部における波の大きさが周期的に変化する。図4において、マイクロ波発振器23からの距離がλg・(1/4)またはλg・(3/4)である位置などが腹部t1となっており、マイクロ波発振器23からの距離がλg・(1/2)またはλgである位置などが節部t2となっている。
腹部t1では、定在マイクロ波Rsの振幅が大きいので定在マイクロ波Rsによる加熱効率が比較的大きくなる。一方、節部t2では定在マイクロ波Rsの振幅が小さいので定在マイクロ波Rsによる加熱効率が比較的小さくなる。そして定在マイクロ波Rsが伝送される方向(y方向)において、定在マイクロ波Rsの腹部t1の位置および節部t2の位置は時間が経過しても変化しない。そのため、ベルトコンベア3によって搬送される粉体Pwのうち、腹部t1に相当するラインL1に沿ってL方向へ搬送される粉体Pwは乾燥効率が高い一方、節部t2に相当するラインL2に沿ってL方向へ搬送される粉体Pwは乾燥効率が低い。このように、従来の構成では少なくともマイクロ波Rsが伝送される方向について加熱ムラが発生する。
これに対し、実施例1に係るマイクロ波乾燥装置1は導波管19の終端部に無反射終端器21を備えている。そのため、導波管19の一端側から他端側へと伝送されるマイクロ波の進行波は、他端側において反射されることなく吸収される。よって、進行波と反射波とが干渉することが抑止されるので、導波管19の内部に発生するマイクロ波Rは、導波管19の終端部Qへ向かって進行する進行波となる。以下、進行波となったマイクロ波Rを「進行マイクロ波Rh」と呼称して説明する。
図5(a)は、導波管19の内部において進行マイクロ波Rhが発生する場合における当該マイクロ波の波形を示す縦断面図であり、図5(b)は進行マイクロ波Rhが発生した場合における平面図である。そして進行マイクロ波Rhが振動する範囲を、振動範囲Spとして網点を付して示している。進行マイクロ波Rhは光速で進行するため、マイクロ波Rを進行波とすることにより、進行マイクロ波Rhが伝送される方向(y方向)について、進行マイクロ波Rhの振幅の大きさJはどの位置においても一定となる。
従って、図4(b)に示される従来構成と異なり、図5(b)に示される実施例1の構成では、粉体Pwが搬送されるラインの位置と無関係に、粉体Pwの加熱効率が一定となる。すなわちラインL1に沿って搬送される粉体PwとラインL2に沿って搬送される粉体Pwとは、いずれも同じ効率で加熱乾燥される。その結果、マイクロ波Rによる内部加熱を行う場合において、粉体Pwの幅方向における加熱ムラの発生を確実に防止できる。
第2に、実施例1に係るマイクロ波乾燥装置1では、導波管19を伝送されるマイクロ波RがTE10モード(シングルモード)を維持できるように、導波管19のサイズが定められる。図6は、導波管19の内部を伝送されるマイクロ波RがTE10モードを維持する場合において、導波管19の内部における電界強度を示す図である。当該図において、電界強度が大きい領域Mgを右斜線で示している。
マイクロ波RがTE10モードを維持する場合、x方向に延びる中心軸Gxにおいて電界強度が最大となり、x方向については電界強度が均一となる。従って、マイクロ波RがTE10モードを維持するように導波管19を構成することによって、x方向における粉体Pwの加熱効率が均一となる。よって、x方向における加熱ムラの発生を防止できる。
なお、電界強度は中心軸Gxからz方向に所定距離以上離れると、中心軸Gxからz方向に離れるにつれて電界強度が低下する。そのため、z方向における粉体Pwの厚みを所定値以下とすることにより、粉体Pwの加熱効率を向上できる。また、粉体Pwをシート状に成型させることにより、粉体Pwの厚みによってマイクロ波RのTE10モードが不安定化することを防止できる。そのため多量または大型の被加熱物であっても、シート状に成型することによってムラなく加熱できる。
一方、従来の装置ではマイクロ波がTE10モードを確実に維持できるような構成を有していないので、TE10モードが不安定になる。そのため従来装置では、マルチモードを例とするTE10モード以外のモードによるマイクロ波が、導波管19の内部においてランダムのタイミングで発生する。図7は、マルチモードの一例としてTE20モードのマイクロ波が発生している場合における、導波管19内部の電界強度を示す図である。
マイクロ波がマルチモードである場合、マイクロ波はx方向において複数のピークを有することとなる。そのため、x方向における電界強度が不均一となる。具体的には図7に示すように、電界強度が強い領域Mgは導波管の中心軸Gxからz方向(上下方向)へ離れた領域に形成される。この場合、中心軸Gxおよびその近傍領域では電界強度が低いので、中心軸Gxの近傍領域を搬送される粉体Pwの加熱効率が大きく低下する。言い換えると、マイクロ波RのTE10モードが失われる時点において、導波管19の内部を通過する粉体Pwに対する加熱効率が大きく低下する。
従来の構成において、マイクロ波RのTE10モードが失われるタイミング、およびTE10モードが失われた場合に表れるマイクロ波Rのモードの種類は、いずれも一定ではない。そのため、TE10モードを安定に維持できない従来の構成では、導波管19を通過するタイミングによって、粉体Pwに対する加熱効率が大きく変化する。すなわちTE10モードが維持されているタイミングで導波管19を通過する粉体Pwと、TE10モードが失われているタイミングで導波管19を通過する粉体Pwとではマイクロ波Rによる加熱効率が異なる。その結果、x方向における粉体Pwの加熱ムラがランダムに発生しうるので、粉体Pwの全てを均一に加熱乾燥させることが困難となる。
このように、実施例1に係るマイクロ波乾燥装置1では、導波管19の終端部に無反射終端器21を配設することによってy方向における粉体Pwの加熱ムラを防止する。さらに、マイクロ波がTE10モードを安定に維持するように導波管19を構成することによって、x方向における粉体Pwの加熱ムラも防止する。その結果、大量の粉体Pwを連続的にマイクロ波で加熱する場合であっても、粉体Pwを均一に加熱できる。よって、マイクロ波乾燥装置による加熱乾燥処理の精度を大きく向上できる。
以下、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。図8に示すように、実施例2に係るマイクロ波乾燥装置1Aは、無反射終端器21の代わりに可動式短絡板31を備えているという点において、実施例1に係るマイクロ波乾燥装置1の構成と相違する。すなわち、実施例2では可動式短絡板31を導波管19の終端部に設けることにより、マイクロ波Rで粉体Pwを加熱乾燥する際に加熱ムラが発生することを防止する。
可動式短絡板31は導波管19の他端側に設けられており、伝送されたマイクロ波を短絡する。すなわち、マイクロ波発振器23から発振されたマイクロ波Rは導波管19を介して乾燥炉7の一端側から他端側へと伝送され、他端側に設けられている可動式短絡板31に到達して短絡される。
可動式短絡板31には短絡板駆動部33が接続されている。短絡板駆動部33は、可動式短絡板31をマイクロ波Rの伝送方向に沿って往復移動させる。すなわち、短絡板駆動部の動作に従って、可動式短絡板31は位置P1から位置P2の間をy方向に往復移動する。短絡板駆動部33の一例として、回転に応じて可動式短絡板31を駆動させるモータなどが挙げられる。
可動式短絡板31の移動可能範囲Deの長さ、すなわち位置P1から位置P2までの距離は、マイクロ波Rの管内波長λgの1/4以上であることが好ましい。実施例2では実施例1と同様にマイクロ波Rの周波数および導波管19のサイズが定められる。そのため、マイクロ波Rの管内波長λgは約148mmである。従って、移動可能範囲Deは37mm以上であることが好ましい。実施例2において、移動可能範囲Deは37mmであるものとする。
可動式短絡板31が位置P1から位置P2まで往復移動する速度(往復移動速度Ve)は、粉体Pwの搬送速度に応じて定められる。具体的には、ベルトコンベア3上を搬送される粉体Pwが導波管19を通過する間に、可動式短絡板31が位置P1から位置P2までの距離を1往復以上移動することが好ましく、3往復以上することがより好ましい。実施例2ではベルトコンベア3による粉体Pwの搬送速度が5mm/秒であるものとする。実施例2において、x方向における導波管19の内径の長さFが54.6mmであり、移動可能範囲Deが37mmである。従って、粉体Pwの搬送速度が5mm/秒である場合、可動式短絡板31の往復移動速度Veは20.3mm/秒以上であることがより好ましい。
ここで、実施例2において可動式短絡板31を導波管19の終端部に設ける効果について説明する。可動式短絡板31が導波管19の終端部に設けられている場合、導波管19の一端側から他端側へ伝送されたマイクロ波は、可動式短絡板31によって反射される。そのため、一端側から他端側へ向かう進行波と他端側から一端側へと向かう反射波とが干渉することによって、定在マイクロ波Rsが導波管19の内部に発生する。
ここで、マイクロ波の進行波と干渉する反射波の位相は、導波管19の一端と終端部との距離、すなわちマイクロ波発振器23から可動式短絡板31までの距離によって変化する。そのため、可動式短絡板31の位置を変化させることによって、定在マイクロ波Rsの位相パターンが変化することとなる。
図9(a)は、可動式短絡板31が位置P1に移動している場合において、導波管19の内部における定在マイクロ波Rsの位相パターンを示している。説明の便宜上、図9(a)における定在マイクロ波Rsは、図4(a)と同様の位相パターンを示すものとしている。すなわち、マイクロ波発振器23からの距離がλg・(1/4)またはλg・(3/4)である位置などが腹部t1となっており、マイクロ波発振器23からの距離がλg・(1/2)またはλgである位置などが節部t2となっている。
図9(b)は、可動式短絡板31が位置P1に移動している場合における、導波管19の周辺部を示す平面図である。可動式短絡板31が位置P1に移動している場合、ラインL1で示される領域は定在マイクロ波Rsの腹部t1に相当し、ラインL2で示される領域は定在マイクロ波Rsの節部t2に相当する。なお、導波管19の内部において、電界強度が強い領域を符号Mgで示している。電界強度が強い領域Mgは、腹部t1を中心としてy方向へ延びる矩形領域である。また、図6などで示したように、マイクロ波RがTE10モードを維持する場合、電界強度はx方向について均一である。
腹部t1ではマイクロ波Rの振幅が大きいためマイクロ波Rによる加熱効率が高く、節部t2ではマイクロ波Rによる加熱効果が低い。そのため、可動式短絡板31が位置P1に移動している場合、ベルトコンベア3によって搬送される粉体Pwのうち、ラインL1に沿って搬送される粉体Pwは乾燥効率が高く、ラインL2に沿って搬送される粉体Pwは乾燥効率が低い。
実施例2に係る構成では、可動式短絡板31を位置P1と位置P2との間で往復移動させることにより、マイクロ波発振器23から可動式短絡板31までの距離(伝送距離)を周期的に変化させる。図10(a)は、可動式短絡板31が位置P2に移動している場合において、導波管19の内部における定在マイクロ波Rsの位相パターンを示している。
位置P1と位置P2との距離はλg・(1/4)であるため、可動式短絡板31が位置P1から位置P2に移動することによって定在マイクロ波Rsの位相もλg・(1/4)ずれることとなる。その結果、腹部t1の位置と節部t2の位置もλg・(1/4)の距離だけ移動する。言い換えれば、可動式短絡板31が位置P1に移動している場合と比べると、可動式短絡板31が位置P2に移動している場合では腹部t1の位置と節部t2の位置とが入れ替わる。
図10(b)は、可動式短絡板31が位置P2に移動している場合における、導波管19の周辺部を示す平面図である。可動式短絡板31が位置P2に移動している場合、図9(b)とは逆に、ラインL1で示される領域は定在マイクロ波Rsの節部t2に相当し、ラインL2で示される領域は定在マイクロ波Rsの腹部t1に相当する。
そのため、可動式短絡板31が位置P2に移動している場合、ベルトコンベア3によって搬送される粉体Pwのうち、ラインL2に沿って搬送される粉体Pwは乾燥効率が高く、ラインL1に沿って搬送される粉体Pwは乾燥効率が低くなる。可動式短絡板31を位置P1と位置P2との間で往復移動させることにより、定在マイクロ波Rsの位相パターンは図9(a)に示されるパターンと図10(a)に示されるパターンとを周期的に繰り返すこととなる。
このように、実施例2では可動式短絡板31をy方向に往復移動させることにより、乾燥効率が高い領域の位置がy方向について周期的に変化することとなる。つまりシート状に成型された粉体Pwの幅方向(y方向)について、粉体Pwがどの位置(ライン)を搬送されていたとしても、粉体Pwが導波管19を通過している時間のうち、乾燥効率が高い時間の割合および乾燥効率が低い時間の割合がいずれも均等になる。従って、導波管19の内部に定在マイクロ波Rsが発生する場合であっても、y方向について粉体Pwの加熱ムラが発生することを好適に回避できる。
このように、従来の構成ではマイクロ波発振器から導波管の終端部までの距離が常に一定であるので、導波管の内部で発生する定在マイクロ波Rsの位相パターンが常に同じである(図4(a)を参照)。一方、実施例2に係る構成では可動式短絡板31を往復移動させながらマイクロ波Rによる加熱を行う。この場合、定在マイクロ波Rsの位相パターンが周期的に変化させながらマイクロ波Rによる加熱を行うので、マイクロ波Rの加熱効率を均一化することができる。
実施例2に係るマイクロ波乾燥装置1Aを用いて粉体Pwを乾燥させる場合、導波管19の一端から他端に向けてマイクロ波Rを伝送させつつ、可動式短絡板31を位置P1と位置P2との間で往復移動させる。そして、マイクロ波Rの伝送と可動式短絡板31の往復移動を行わせるとともに、成型器5によって薄いシート状に成型された粉体PwをL方向に搬送させて導波管19を通過させる。
粉体Pwが導波管19を通過する間に、y方向の位相パターンが周期的に変化する定在マイクロ波Rsが粉体Pwに照射される。そのため、粉体Pwはy方向における位置と無関係に均一に加熱乾燥される。均一に加熱乾燥された粉体PwはスリットSLを通って乾燥炉7の外部へと搬出され、ベルトコンベア3の終端部Kを経由して回収部9に回収される。
<他の実施形態>
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲、並びに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。例として、本発明は下記のように変形実施することができる。
(1)上述した各実施例において、導波管19は1本の直線部を備え、マイクロ波Rはベルトコンベア3を1回交差して導波管19の終端部へ伝送される構成であるがこれに限られない。すなわち図11に示すように、導波管19は折り返し構造を備えており、マイクロ波Rはベルトコンベア3を複数回交差して終端部へ伝送される構成であってもよい。なお図11は、無反射終端器21を備える実施例1をベースにした変形例を示している。
折り返し構造を備える変形例において、導波管19はベルトコンベア3と交差する複数本の直線部19aと、直線部19aを連結する折曲部19bとを備えている。直線部19aおよび折曲部19bは、マイクロ波発振器23から無反射終端器21までのマイクロ波Rの伝送経路中において交互に繰り返し形成されている。図11では直線部19aが4本配設されておりマイクロ波Rが2往復する構成であるが、直線部19aの数は適宜変更して良い。直線部19aの各々は、実施例1に係る導波管19と同様に、ベルトコンベア3および粉体Pwを通過させるスリットSLが両側面に形成されている。
乾燥炉7において折り返し構造を備える導波管19を用いることにより、粉体Pwは乾燥炉7を通過する際にマイクロ波Rによる加熱を複数回にわたって段階的に受けることとなる。そのため、マイクロ波乾燥装置1による加熱効率を向上できる。
(2)上述した実施例において、図12に示すように、ベルトコンベア3による搬送経路に沿って複数の乾燥炉7を配設してもよい。複数の乾燥炉7を配設することにより、上流側の乾燥炉7が備えるマイクロ波発振器23から照射されるマイクロ波Rの強度と、下流側の乾燥炉7が備えるマイクロ波発振器23から照射されるマイクロ波の強度とを独立制御できる。そのため、被加熱物を所定の温度に精度良く加熱できる。
一例として、2つの乾燥炉7の間に放射温度計11を配設することにより、上流側の乾燥炉7を通過した粉体Pwの温度を随時測定することにより、上流側の乾燥炉7において粉体Pwが想定通りに加熱されているか否かを確認できる。放射温度計11が測定した温度が想定以上である場合、上流側の乾燥炉7における加熱温度が想定より高いことが確認できる。この場合、図示しない制御部によって、下流側の乾燥炉7における加熱温度を初期設定より下げるようにマイクロ波Rの強度を調整する。当該調整により、粉体Pwの最終的な温度が想定された温度(例えば300℃)となるように精度良く調節できる。
(3)上述した実施例において、図13に示すように、ベルトコンベア3による搬送経路に沿って複数の乾燥炉7を配設するとともに、マイクロ波Rの伝送方向が互いに異なるように各々の乾燥炉7の向きを設定してもよい。すなわち、複数の乾燥炉7のうち少なくとも1つはマイクロ波発振器23がベルトコンベア3の一方の側面に設けられており、乾燥炉7のうち少なくとも1つはマイクロ波発振器23がベルトコンベア3の他方の側面に設けられている。図13では、上流側の乾燥炉7ではマイクロ波Rが手前側から奥側へと伝送され、下流側の乾燥炉7ではマイクロ波Rが奥側から手前側へと伝送される。
複数の乾燥炉7を、マイクロ波Rの伝送方向が互いに異なるように配設する当該変形例の効果について、図14に係る概略図を用いて説明する。マイクロ波Rが導波管19を介して終端部Qへと伝送される際に、ベルトコンベア3上の粉体Pwを加熱していくことによって、マイクロ波Rが徐々に吸収されて弱まる。そのため、y方向に広がる粉体Pwのうちマイクロ波発振器23に近い側の領域Bs1ではマイクロ波Rによる加熱効率が比較的高い。一方、マイクロ波発振器23から遠い側の領域Bs2ではマイクロ波Rによる加熱効率が比較的低い。すなわちマイクロ波Rの吸収に起因して、マイクロ波Rの伝送方向yについて加熱ムラが僅かであるが発生すると考えられる。
本変形例では、マイクロ波Rの伝送方向を互いに異ならせることにより、マイクロ波Rの吸収に起因する加熱ムラの発生を防止できる。すなわち、ベルトコンベア3の手前側に相当するラインM1に沿って搬送される粉体Pwは、上流側の乾燥炉7においてはマイクロ波発振器23に近い領域Bs1を通過するので、上流側の乾燥炉7では加熱効率が比較的高い。一方、下流側の乾燥炉7においてはマイクロ波発振器23から遠い領域Bs2を通過するので、下流側の乾燥炉7では加熱効率が比較的低くなる。
一方、ベルトコンベア3の奥側に相当するラインM2に沿って搬送される粉体Pwは、加熱効率がラインM1と逆転する。すなわち、上流側の乾燥炉7を通過する際には比較的低い加熱効率で加熱され、下流側の乾燥炉7を通過する際には比較的高い加熱効率で加熱される。従って、ラインM1に沿って搬送される粉体PwおよびラインM2に沿って搬送される粉体Pwは、最終的な加熱効率がいずれも同じとなる。すなわち、マイクロ波Rの吸収に起因する加熱ムラの発生を防止できる。
(4)上述した実施例において、マイクロ波乾燥装置1による加熱乾燥処理の対象として、活物質の粉体Pwを例示したが、処理対象は粉体Pwに限ることはない。特に、薄いシート状に成型できる材料であれば各実施例および変形例に係るマイクロ波乾燥装置1によって、より確実に均一な加熱乾燥処理を行うことができる。また、フィルムなどのシート状材料も同様に、好適な加熱乾燥処理の対象とすることができる。加熱乾燥処理対象が当初からシート状の形状を有する場合、成型器5を省略できる。
(5)上述した実施例において、処理対象である粉体Pwを搬送する構成はベルトコンベア3に限られない。所定の経路に沿って粉体Pwを搬送する構成であれば、適宜ベルトコンベア3に変えて適用できる。
1 …マイクロ波乾燥装置
3 …ベルトコンベア
5 …成型器
7 …乾燥炉
9 …回収器
11 …放射温度計
13 …マイクロ波発振装置
19 …導波管
21 …無反射終端器
23 …マイクロ波発振器
25 …支持部材
27 …漏洩防止部
31 …可動式短絡板
33 …短絡板駆動部
Pw …粉体(被加熱物)

Claims (4)

  1. 被加熱物を所定経路に沿って搬送させる搬送手段と、
    前記所定経路上において前記搬送手段と交差するように配設されており、前記被加熱物をマイクロ波によって加熱させる乾燥炉と、
    前記乾燥炉の一端側に配設されており、前記乾燥炉の一端側から他端側へ前記マイクロ波を照射するマイクロ波発振器と、
    前記乾燥炉の他端側に配設される無反射終端器と、
    前記乾燥炉を通過した前記被加熱物を回収する回収器と、
    粉体である前記被加熱物を、厚みが所定値であるシート状に成型させる成型手段と、
    を備え、
    前記乾燥炉は、TE10モードの前記マイクロ波を前記一端側から前記他端側へ伝送するように構成された導波管を備え
    前記搬送手段は、前記成型手段によって成型された前記被加熱物を前記所定経路に沿って搬送させ、
    前記所定値は、前記マイクロ波の前記TE10モードを安定に維持できる程度に小さい値となるように予め定められる
    ことを特徴とするマイクロ波乾燥装置。
  2. 請求項1に記載のマイクロ波乾燥装置において、
    前記無反射終端器の代わりに可動式短絡板を備え、
    前記被加熱物に対して前記マイクロ波を照射する際に、前記可動式短絡板を前記マイクロ波の照射方向に沿って往復移動させる短絡板駆動手段をさらに備える
    ことを特徴とするマイクロ波乾燥装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のマイクロ波乾燥装置において、
    前記乾燥炉は前記搬送手段の所定経路に沿って複数並列配列されていることを特徴とするマイクロ波乾燥装置。
  4. 請求項3に記載のマイクロ波乾燥装置において、
    複数の前記乾燥炉のうち少なくとも1つは前記マイクロ波発振器が前記所定経路の一方の側面に設けられており、前記乾燥炉のうち少なくとも1つは前記マイクロ波発振器が前記所定経路の他方の側面に設けられていることを特徴とするマイクロ波乾燥装置。
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