JP3758054B2 - 半導体記憶装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強誘電体を有するキャパシタを備えた半導体記憶装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体記憶装置は、コンピュータの発展と共に、データ、プログラム等の記憶装置として普及してきている。半導体記憶装置としては、DRAM、SRAMといったRAM(Random Access Memory)及びマスクROM、PROMといったROM(Read Only Memory)が挙げられる。ROMは、一般に不揮発性メモリで構成され、メモリの電源を切っても記憶状態は保持される。特にPROM(Programmable Read Only Memory)は、ユーザーがデータの書き込みを自由にできることから、普及が進んでおり、その中で電気的にデータの書き込みができるEEPROM(Electrically Erasable PROM)がその利便性から有望視されている。
【0003】
EEPROMでは、MIS-FET(Metal Insulator Semiconductor-Field Effect Transistor)構造を用い、ゲート絶縁膜中のトラップ領域またはフローティングゲートを利用して、シリコン基板からの電荷注入及び基板への電荷放出により記憶状態を保持する方法や強誘電体膜に高い電圧を印加することにより自発分極させて記憶状態を保持する方法が従来より知られている。強誘電体を用いる方法としては、MFS-FET(Metal Ferroelectric Semiconnductor-Field Effect Transistor)構造を利用して、ゲート絶縁膜として用いた強誘電体を高いゲート電圧により自発分極させる方法及びDRAMに類似の回路構成でキャパシタとして酸化膜の代わりに強誘電体を使用する方法があり、特に後者の方法はDRAMに類似のセル構造が単純であるというメリットを生かしながら不揮発性を持たせることができることから、最近開発が進められている。
【0004】
DRAMに類似の回路構成でキャパシタに強誘電体を用いた半導体記憶装置としては、例えば、特開平8−36888号公報には、図8に示すような回路構成をもつものが記載されている。図において、WL0〜WL3はワードライン、DWL0〜DWL1はダミーワードライン、BL0、/BL0、BL1、/BL1はビットライン、CP0、CP1はプレートライン、DCP0、DCP1はダミープレートライン、EQ11はビットイコライズ及びプリチャージ制御信号、S100、S101は制御信号、V10は信号、SAE0、SAE1はセンスアンプ制御信号、Vssは接地電圧、SA0、SA1はセンスアンプ、Cs1〜Cs8は本体メモリセル強誘電体キャパシタ、Cd1〜Cd4はダミーメモリセル強誘電体キャパシタ、Cb1〜Cb4は通常のキャパシタまたは強誘電体キャパシタからなるビットライン容量調整用キャパシタ、QnはNチャネル型MOSトランジスタである。
【0005】
上記のような回路構成でデータを読み出すためには、初期状態として、ワードラインWL0〜WL3、ダミーワードラインDWL0、DWL1、プレートラインCP0、CP1、ダミープレートラインDCP0、DCP1、センスアンプ制御信号SAE0、SAE1、制御信号S100、S101を論理電圧”L”とし、ビットイコライズ及びプリチャージ制御信号EQ11を論理電圧”H”とし、ビットラインBL0、/BL0、BL1、/BL1を論理電圧”L”とする。
【0006】
次に、信号EQ11を論理電圧”L”として、ビットラインBL0、/BL0、BL1、/BL1をフローティング状態とする。そして、本体メモリセルキャパシタCs2を読み出す場合には、ワードラインWL1、ダミーワードラインDWL1、プレートラインCP0、ダミープレートラインDCP0、制御信号S101をすべて論理電圧”H”とすると、MOSトランジスタQnが作動してビットラインBL0にダミーメモリセルのデータが読み出され、ビットライン/BL0に本体メモリセルのデータが読み出される。ここで、制御信号S101が論理電圧”H”となることによりビットラインBL0とビットライン容量調整用容量が接続するが、信号V10を適当な電位に設定することで、ビットラインBL0の容量を大きくし、ダミーメモリセルキャパシタを本体メモリセルキャパシタと同程度のものとしても、適正なリファレンス電圧を得ることができるように設定されている。その後、センスアンプ制御信号SAE0を論理電圧”H”として、センスアンプSA0を動作させ、ビットラインBL0、/BL0のデータを比較増幅し、Cs2にメモリされたデータを出力する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
強誘電体キャパシタは、上述したように強誘電体の有する残留自発分極という特性を利用することで不揮発性メモリとして機能している。図9は強誘電体のヒステリシス特性図で、横軸が強誘電体に加えられる電圧で縦軸が強誘電体の分極状態を等価な電荷で示している。強誘電体に圧力がない状態を実線で示し、圧力がかかった状態を点線で示している。
【0008】
図の実線上の点B及び点Dに示すように、強誘電体は電圧が”0”の状態でも残留分極を有している。そして、強誘電体が点Dの状態で十分な大きさの正の電圧を印加すると、点Aの状態に移行する。次に、電圧を”0”にすると、強誘電体は点Dの状態に戻らず点Bの状態に移行する。この状態で正の電圧を印加しても分極状態は点Bから点Aまで変化するだけだが、十分な大きさの負の電圧を印加して電圧を”0”に戻すと、分極状態は点Dになる。こうした点B、Dの分極状態を論理値”1”、”0”に対応させることでメモリとして用いることができる。
【0009】
ところが、強誘電体は外力を加えると電位変動を生じる圧電性も併せ有している。例えば、図9の点線で示すように、外力が加えられた場合強誘電体のヒステリシス特性は、外力がない状態に比べ歪んだものとなる。点A及び点Cは、それぞれ点A’及び点C’のように蓄積電荷が大きくなるが、点B及び点Dは、それぞれ点B’及び点D’のように蓄積電荷が小さくなる。
【0010】
外力による読出電圧の変動をみると、まず、圧力がない状態では、負荷容量をCFとして図から算出すると、電圧V1、V2が導かれるから、基準用電圧Vrefを図のようにV1とV2との間に設定すれば、V1で論理値”1”、V2で論理値”0”を識別する。同様に圧力がかかった状態では、V1’、V2’となるが、V1’はVrefより小さくなるため、論理値”0”と誤読み出しをしてしまうことになる。
【0011】
一方、図10は、半導体記憶装置に外力を加えた場合に生じる強誘電体の圧電性に伴う電位の変動を模式的に示したものである。横軸は検出位置で、縦軸は検出位置の検出電位を示しており、図に示すように各検出位置での歪み圧力に基づいて検出電位は変化する。
例えば、図10(a)において、図8に記載の従来の半導体記憶装置のダミーメモリセルキャパシタ及びビットライン容量調整用キャパシタが点Aに位置している場合、これらのキャパシタから生成されるリファレンス電圧と検出電位VAとの電位差で記憶状態の判定を行う。同様に点Cに位置するメモリセルには、検出電位VAが点Aと同じであるため、リファレンス電圧と比較する際には問題はない。ところが、点Bに位置するメモリセルは、検出電位VBが生じているため、リファレンス電圧と比較する際に、(VAーVB)分の誤差が残ることになる。
【0012】
図10(b)においても、同様に、ダミーメモリセルキャパシタ及びビットライン容量調整用キャパシタが点Aに位置している場合に、点Dに位置するメモリセルは問題ないが、それ以外に位置するメモリセルは最大(VAーVC)分の誤差が生じることになる。
つまり、図9に示すように、強誘電体キャパシタ自体が外力により読出しマージンを低下させるとともに、図10に示すように、パッケージされた半導体記憶装置に外力がかかると歪み圧力が遍在的に加わり、メモリセルの配置により電位誤差が異なるようになる。したがって、特に上記した半導体記憶装置のダミーメモリセルキャパシタ及びビットライン容量調整用キャパシタのように一部にしか配置されていない強誘電体キャパシタに遍在的に圧力が加わると、読出しマージンの低下が発生し、極端な場合には誤読出しをしてしまうことになる。一般に強誘電体メモリの読み出し動作は記憶破壊読み出しであるため読み出したデータを再書き込みする必要があることから、強誘電体メモリは、誤読み出しをすると、メモリからの読み出し後再書き込みの段階で誤ったデータを書き込み、結局データが化けてしまうといった問題点を有している。
【0013】
本発明に係る半導体記憶装置は、記憶用強誘電体キャパシタを有するメモリセルをm行×n列(m、nは自然数)のマトリクス状に複数配置し、各行の前記メモリ群には、それぞれ、選択された前記メモリセルの前記記憶用強誘電体キャパシタ及び複数の強誘電体キャパシタにより生成される電位に基づき記憶されたデータを読み出す手段を有し、前記複数の強誘電体キャパシタは、それぞれ行方向に分散して配置され、前記複数の強誘電体キャパシタにより基準用強誘電体キャパシタ、該基準用強誘電体キャパシタに直列に電気的に接続される第 1 負荷用強誘電体キャパシタまたは前記記憶用強誘電体キャパシタに直列に電気的に接続される第 2 負荷用強誘電体キャパシタの少なくとも 1 つが合成される半導体記憶装置において、
前記複数の強誘電体キャパシタにより合成されるキャパシタの、約1/2の容量を合成する前記強誘電体キャパシタが各行の前記メモリセル群の中央部近傍に配置され、かつ約1/4の容量を合成する前記強誘電体キャパシタがそれぞれ各行の前記メモリセル群の両端部近傍に配置されたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る別の半導体記憶装置は、記憶用強誘電体キャパシタを有するメモリセルをm行×n列(m、nは自然数)のマトリクス状に複数配置し、各行の前記メモリ群には、それぞれ、選択された前記メモリセルの前記記憶用強誘電体キャパシタ及び複数の強誘電体キャパシタを有する複数の電位発生手段により生成される電位に基づき記憶されたデータを読み出す手段を有し、前記複数の強誘電体キャパシタは、それぞれ行方向に分散して配置され、前記複数の強誘電体キャパシタにより基準用強誘電体キャパシタ、該基準用強誘電体キャパシタに直列に電気的に接続される第 1 負荷用強誘電体キャパシタまたは前記記憶用強誘電体キャパシタに直列に電気的に接続される第2負荷用強誘電体キャパシタの少なくとも 1 つが合成される半導体記憶装置において、
前記複数の強誘電体キャパシタにより合成されるキャパシタの、約1/2の容量を合成する前記強誘電体キャパシタが各行の前記メモリセル群の中央部近傍に配置され、かつ約1/4の容量を合成する前記強誘電体キャパシタがそれぞれ各行の前記メモリセル群の両端部近傍に配置されたことを特徴とする。
【0018】
そして、読み出し手段の複数の強誘電体キャパシタ又は強誘電体キャパシタを有する複数の電位発生手段を行方向に分散配置したので、たとえ半導体記憶装置に遍在的に歪み圧力がかかったとしても、分散配置した一部の強誘電体キャパシタ又は電位発生手段だけがその圧力を受けるため、全体として歪み圧力の影響を軽減できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例について、詳述する。
図1は、第1実施例として本発明の半導体記憶装置の回路図を示しており、図2は、図1の回路の一部を模式的に示している。
(m×n)個のメモリセルM11、M21、・・・・、Mmnはマトリクス状に配置されており、例えば縦方向の配置は、M11、M12、・・・・、M1nであり、横方向の配置は、M11、M21、・・・・、Mm1というふうになされている。各メモリセルMij(i=1,2,・・・,m;j=1,2,・・・,n)は、選択用トランジスタTRij及び記憶用強誘電体キャパシタCijを備えている。ビットライン/BLj、BLj(j=1,2,・・・,n)及びワードラインWLi(i=1,2,・・・,m)が縦横に配置されており、選択用トランジスタTRij、TRi+1jのゲートがそれぞれワードラインWLi、WLi+1に接続され、さらに記憶用強誘電体キャパシタCijの一端が選択用トランジスタTRijを介してビットライン/BLjに、記憶用強誘電体キャパシタCi+1jの一端が選択用トランジスタTRi+1jを介してビットラインBLjに接続されている。記憶用強誘電体キャパシタCij、Ci+1jの他端はともにプレートラインPLi(i=1,2,・・・,m/2)に接続されている。
【0020】
ワードラインWLiは行デコーダ10に接続され、ビットライン/BLj、BLjはトランジスタを介して出力バッファ12及び入力バッファ13に接続されており、このトランジスタのゲートは列デコーダ11に接続されている。行デコーダ10及び列デコーダ11はアドレスバッファ19からのアドレスデータにより特定のワードラインWL、ビットライン/BL、BLを選択することでメモリセルを特定し、出力バッファ12及び入力バッファ13を介してメモリセルの書き込み、読み出しを行う。
【0021】
基準セルプリセット回路部16は、基準セル駆動回路17及びビット線イコライズ回路18を備えているとともに、図2において模式的に示されるように、ビットライン/BLj、BLj毎に基準用強誘電体キャパシタ/Crefj、Crefj及び負荷用強誘電体キャパシタ/CBLj、CBLjを備えている。
基準用強誘電体キャパシタ/Crefjは、図1に示すように分割された強誘電体キャパシタ/Crefja、/Crefjb及び/Crefjcを並列接続して構成されている。同様に基準用強誘電体キャパシタCrefjは、分割された強誘電体キャパシタCrefja、Crefjb及びCrefjcを並列接続して構成されている。そして、強誘電体キャパシタ/Crefja及びCrefjaは半導体記憶装置の左端部近傍(図1ではメモリセルM1j付近)に、強誘電体キャパシタ/Crefjb及びCrefjbは半導体記憶装置の中央部近傍(図1ではメモリセルMm/2j付近)に、強誘電体キャパシタ/Crefjc及びCrefjcは半導体記憶装置の右端部近傍(図1ではメモリセルMmjに隣接した基準セルプリセット回路部16内)にそれぞれ配置されている。基準用強誘電体キャパシタ/Crefjと分割された強誘電体キャパシタ/Crefja、/Crefjb、/Crefjcとは、以下の式で規定される関係を有する。
【0022】
/Crefja=/Crefj×1/4 (左端部近傍) ・・・(1)
/Crefjb=/Crefj×1/2 (中央部近傍) ・・・(2)
/Crefjc=/Crefj×1/4 (右端部近傍) ・・・(3)
そして、並列接続されていることを考慮すると、
/Crefja+/Crefjb+/Crefjc=/Crefj
となる。基準用強誘電体キャパシタCrefjとCrefja、Crefjb、Crefjcについても同様に、以下の式で規定される関係を有する。
【0023】
Crefja=Crefj×1/4 (左端部近傍) ・・・(4)
Crefjb=Crefj×1/2 (中央部近傍) ・・・(5)
Crefjc=Crefj×1/4 (右端部近傍) ・・・(6)
したがって、
Crefja+Crefjb+Crefjc=Crefj
となる。
【0024】
負荷用強誘電体キャパシタ/CBLj、CBLjについても、基準用強誘電体キャパシタ/Crefj及びCrefjと同様に、それぞれ分割された強誘電体キャパシタ/CBLja、/CBLjb、/CBLjc及びCBLja、CBLjb、CBLjcを並列接続して構成されており、以下の関係式を有する。
/CBLja=/CBLj×1/4 (左端部近傍) ・・・(7)
/CBLjb=/CBLj×1/2 (中央部近傍) ・・・(8)
/CBLjc=/CBLj×1/4 (右端部近傍) ・・・(9)
/CBLja+/CBLjb+/CBLjc=/CBLj
BLja=CBLj×1/4 (左端部近傍) ・・・(10)
BLjb=CBLj×1/2 (中央部近傍) ・・・(11)
BLjc=CBLj×1/4 (右端部近傍) ・・・(12)
BLja+CBLjb+CBLjc=CBLj
また、基準セル駆動回路17は、ラインGCP、接地ラインVss、ラインRBP及びライン/RWL、RWLを備え、ビット線イコライズ回路18はラインBPを備えている。
【0025】
ラインGCPには、ゲートをワードラインWLiに接続したトランジスタを介して上述したプレートラインPLiに接続されている。
ラインBPには、トランジスタ/TRA、TRAのゲートが接続され、トランジスタ/TRAのソース及びドレインはビットライン/BLj、接地ラインVssに、トランジスタTRAのソース及びドレインはビットラインBLj、接地ラインVssに接続されている。
【0026】
基準用強誘電体キャパシタ/Crefjは、一端をラインGCPに接続し、他端を、ゲートをライン/RWLに接続したトランジスタ/TRBを介してビットライン/BLjに接続すると共に、ゲートをラインRBPに接続したトランジスタ/TRCを介して接地ラインVssにも接続している。
基準用強誘電体キャパシタCrefjは、一端をラインGCPに接続し、他端を、ゲートをラインRWLに接続したトランジスタTRBを介してビットラインBLjに接続すると共に、ゲートをラインRBPに接続したトランジスタTRCを介して接地ラインVssにも接続している。
【0027】
負荷用強誘電体キャパシタ/CBLj、CBLjは一端をビットライン/BLj、BLjに接続し、他端を接地している。
センスアンプ部14は、センスアンプ駆動回路15を備え、ビットライン/BLj、BLj毎にセンスアンプAMPjが設けられている。センスアンプAMPjは、一端をビットライン/BLjに、他端をビットラインBLjに接続することで、基準セルプリセット回路部16と接続している。
【0028】
行デコーダ10、列デコーダ11、センスアンプ駆動回路15、基準セル駆動回路17、ビット線イコライズ回路18及びアドレスバッファ19は、制御信号発生回路20により制御される。
次に、上述した半導体記憶装置の読み出し動作について図5を参照しつつ説明する。例えば、メモリセルM11の記憶内容”H”、すなわち記憶用強誘電体キャパシタC11が図3に示す分極状態P6であることを読み出す場合には、まず、ビット線イコライズ回路18が、ラインBPを一定時間”H”とした後、再び”L”に戻す。これにより、トランジスタ/TRA、TRAが一定時間オンになり、接地ラインVssとビットライン/BL1、BL1とが接続されて、その間ビットライン/BL1、BL1は”L”になる。ビットライン/BL1、BL1が”L”の間に負荷用強誘電体キャパシタ/CBL1、CBL1は放電される。その後、トランジスタ/TRA、TRAがオフになると、ビットライン/BL1、BL1は、フローティング状態となる。
【0029】
ラインBPが一定時間”H”になると同時に、基準セル駆動回路17によりラインRBPを一定時間”H”とした後、再び”L”に戻す。これにより、トランジスタTRCが一定時間オンになり、基準用強誘電体キャパシタCref1の一端は接地ラインVssと接続されて”L”になる。そして、基準用強誘電体キャパシタCref1の他端はラインGCPに接続されているため”L”となっていることから、基準用強誘電体キャパシタCref1は、分極状態P11にされる。
【0030】
次に、基準セル駆動回路17によりラインGCPを”H”とすることで、基準用強誘電体キャパシタCref1の他端を”H”として読出用電圧Vpを与える。そして、行デコーダ10によりワードラインWL1を”H”にすることにより、プレートラインPL1が”H”となり、記憶用強誘電体キャパシタC11の他端に読出用電圧Vpが与えられる。さらに、ワードラインWL1が”H”となるためトランジスタTR11がON状態となり、記憶用強誘電体キャパシタC11の一端は、ビットライン/BL1を介して負荷用強誘電体キャパシタ/CBL1と直列接続される。
【0031】
したがって、直列接続された記憶用強誘電体キャパシタC11及び負荷用強誘電体キャパシタ/CBL1に読出用電圧Vpが印加されることになり、記憶用強誘電体キャパシタC11には読出用電圧Vpに基づく分圧V3が印加される。図3においては、分圧V3では記憶用強誘電体キャパシタC11は分極状態P1に対応している。すなわち、
V3=0
となる。
【0032】
上述したワードラインWL1を”H”にすると同時に、基準セル駆動回路17によりラインRWLが”H”となり、トランジスタTRBがON状態となる。したがって、基準用強誘電体キャパシタCref1の一端がビットラインBL1を介して負荷用強誘電体キャパシタCBL1と直列に接続される。上述したようにラインGCPは基準セル駆動回路17により”H”に保持されているため、直列接続された基準用強誘電体キャパシタCref1及び負荷用強誘電体キャパシタCBL1に読出用電圧Vpが印加されることになり、基準用強誘電体キャパシタCref1には読出用電圧Vpに基づく分圧Vrefが印加される。図4においては、負荷用強誘電体キャパシタCBL1と接続する直前の分極状態P11から分圧Vrefに対応する分極状態P12に移行する。
【0033】
以上の状態でセンスアンプAMP1を作動する。センスアンプAMP1は、ビットライン/BL1、BL1を介して基準用強誘電体キャパシタCref1に印加される分圧Vrefの電位及び記憶用強誘電体キャパシタC11に印加される分圧V3の電位を比較し、高い方のビットラインを”H”に、低い方のビットラインを”L”とする。図3に示すように、分圧Vrefの電位に比べ分圧V3の電位が高いので、ビットライン/BL1の電位が”H”に、ビットラインBL1の電位が”L”に設定される。このとき、ビットライン/BL1の電位が”H”であることから、記憶用強誘電体キャパシタC11は図3に示す分極状態P1のままであるが、基準用強誘電体キャパシタCref1は、ビットラインBL1の電位が”L”になるため図4に示す分極状態P13に移行する。
【0034】
続けて基準セル駆動回路17によりラインRWLを”L”にすると、トランジスタTRBがOFF状態となり、基準用強誘電体キャパシタCref1はフローティング状態となる。そして、時間が経過するとともに、基準用強誘電体キャパシタCref1は放電し、図4に示す分極状態P11になる。
その後基準セル駆動回路17によりラインGCPを”L”とすることで、プレートラインPL1が”L”になる。ビットライン/BL1の電位が”H”のままなので、プレートラインPL1との間に電位差が生じ、この電位差が書込用電圧Vrwとして記憶用強誘電体キャパシタC11に印加されて、記憶用強誘電体キャパシタC11は、もとの分極状態P6に移行する。基準用強誘電体キャパシタCref1はフローティング状態であるため、ラインGCPが”L”となっても、分極状態に変化はない。続いて、行デコーダ10によりワードラインWL1を”L”にすることで、トランジスタTR11をOFF状態とし、記憶用強誘電体キャパシタC11をフローティング状態とする。
【0035】
次に、列デコーダ11によりラインB1を”H”とすることで、ビットライン/BL1の電位”H”が出力バッファ12に取り込まれた後、センスアンプAMP1をOFFしてビットライン/BL1、BL1をフローティング状態とし、その後列デコーダ11によりラインB1を”L”にして読出処理を終了する。
上述した読出処理は、記憶用強誘電体キャパシタC11が図3で示す分極状態P6から放電する前に行う高速読出処理であるが、記憶用強誘電体キャパシタC11が放電した後に図3に示す分極状態P1での読出処理も上述した処理と同様に行われるが、記憶用強誘電体キャパシタC11の読出用電圧Vpに基づく分圧は図3に示すV1に設定され、分極状態P4に移行することになる。その後センスアンプAMP1によりビットライン/BL1を”H”にすると、分極状態P5に移行する。そして、再書込用電圧Vrwが印加されると分極状態P6に移行し、読出処理終了後放電により分極状態P1に戻る。
【0036】
また、メモリセルM11の記憶内容”L”、すなわち記憶用強誘電体キャパシタC11が図3で示す分極状態P2であることを読み出す場合も、記憶内容が”H”の場合と同様に処理されるが、記憶用強誘電体キャパシタC11の読出用電圧Vpに基づく分圧は図3に示すV2に設定され、分極状態P3に移行することになる。その後センスアンプAMP1によりビットライン/BL1を”L”にすると、”H”が維持されたプレートラインPL1との間の電位差による再書込用電圧Vrwが印加されて分極状態P7に移行し、読出処理終了後放電により分極状態P2に戻る。
【0037】
以上の説明から明らかなように、基準プリセット回路部16は、記憶用強誘電体キャパシタ及び負荷用強誘電体キャパシタに基づき記憶データに依存した電位を発生させるとともに、基準用強誘電体キャパシタ及び負荷用強誘電体キャパシタに基づき基準用電位を発生し、センスアンプ部14及び列デコーダ11等により記憶データが出力される。したがって、これらの回路が読み出し手段に相当することになる。
【0038】
このような半導体記憶装置に外力が加えられた場合を説明する。メモリセルMmnは、マトリクス状に配置されているが、基準用強誘電体キャパシタ/Crefj、Crefj及び負荷用強誘電体キャパシタ/CBLj、CBLjは、上述したように、分割された強誘電体キャパシタが半導体記憶装置のビットライン/BLj、BLjに沿って左端部、中央部及び右端部に上記式(1)〜(12)のように分散して配置されている。
【0039】
図10で示したような歪み圧力による電位変動が発生した場合を考える。上記した従来の半導体記憶装置では、強誘電体キャパシタが遍在しているため、ワードラインWL方向に電位変動が発生した場合は問題ないが、ビットラインBL方向に電位変動が発生した場合には、図10(a)で最大誤差(VB−VA)、図10(b)で最大誤差(VC−VA)が発生していた。
【0040】
そこで、本願発明の半導体記憶装置に同様の外力を加えてみる。半導体記憶装置のビットライン/BLj、BLjに沿って左端部、中央部及び右端部がそれぞれ点A、点B及び点Cに対応するものとする。図10(a)の場合には、メモリセルMmnはビットラインに沿って配置されているために、各メモリセルの記憶用強誘電体キャパシタCijの検出電位はVAからVBの間でばらつくことになるが、基準用強誘電体キャパシタ/Crefjは、式(1)〜(3)で規定されるように分割されている。ここで、キャパシタの容量が例えば半分になると、蓄えられる電荷の量は半分になり、圧力による影響も半分しか受けない−というようにキャパシタの分割比率に等しい比率で圧力の影響も軽減される。したがって、分割された比率によりその検出電位の誤差は以下のようになる。
【0041】
左端部;VA/4、中央部;VB/2、右端部;VA/4
基準用強誘電体キャパシタ/Crefj全体の誤差は、
A/4+VB/2+VA/4=(VA+VB)/2
となる。したがって、各メモリセルの記憶用強誘電体キャパシタCijの検出電位はVAからVBの間でばらつくことを考慮すると、センスアンプ部で比較する際の誤差は、検出電位VA、VB
A−(VA+VB)/2=(VA−VB)/2
B−(VA+VB)/2=(VB−VA)/2
である。すなわち、誤差の大きさは、最大で|(VA−VB)/2|となり、従来のものに比べて半分の大きさになる。
【0042】
基準用強誘電体キャパシタCrefj及び負荷用強誘電体キャパシタ/CBLj、CBLjについても同様に誤差を算出することができ、結局誤差は従来の半分に抑えることができる。
図10(b)の場合も同様に、分割された強誘電体キャパシタの誤差は、
左端部;VA/4、中央部;{(VA+VC)/2}/2、右端部;VC/4
であるから、全体の誤差は、
A/4+(VA+VC)/4+VC/4=(VA+VC)/2
となる。したがって、センスアンプ部で比較する際の最大誤差は、
A−(VA+VC)/2=(VA−VC)/2
C−(VA+VC)/2=(VC−VA)/2
である。すなわち、図10(b)の場合も、従来のものに比べて半分の大きさになる。
【0043】
上述した実施例では、強誘電体キャパシタの分散配置のやり方として、分割された強誘電体を左端部近傍、中央部近傍、右端部近傍の3カ所に1/4、1/2、1/4の比率で配置していたが、本願発明ではこれに限定されるされることなく、半導体記憶装置の外力による誤差の発生状況等をみて、配置箇所を2カ所にしたり、4カ所以上にしたりすることは可能であり、配置場所も左端部近傍、中央部近傍、右端部近傍に限定されることなく、誤差が少なくなるように適宜設定できる。また、分割の比率も同様に誤差の状況をみて適宜設定することが可能である。
【0044】
図6及び図7は、第2実施例を示している。図6は左半分を、図7は右半分を示している。第1実施例では、基準セルプリセット回路部16の基準用強誘電体キャパシタ/Crefj、Crefj及び負荷用強誘電体キャパシタ/CBLj、CBLjのみを分割して分散配置していたが、第2実施例では基準セルプリセット回路部そのものを複数配置し、各基準セルプリセット回路部は、それぞれ分割された基準用強誘電体キャパシタ/Crefj、Crefj及び負荷用強誘電体キャパシタ/CBLj、CBLjを備えており、さらに第1実施例と同様に分散配置されている。具体的には、図において、基準セルプリセット回路部16A、16B、16Cをそれぞれ半導体記憶装置の左端部近傍、中央部近傍、右端部近傍に配置している。そして、基準セルプリセット回路部16Aは、基準用強誘電体キャパシタを分割した強誘電体キャパシタ/Crefja、Crefjaを、負荷用強誘電体キャパシタ分割した強誘電体キャパシタ/CBLja、CBLjaを備えており、その他の構成は第1実施例の基準セルプリセット回路部16と同じである。基準セルプリセット回路部16B、16Cについても同様の構成を有しており、基準セルプリセット回路部16Bは、基準用強誘電体キャパシタを分割した強誘電体キャパシタ/Crefjb、Crefjbを、負荷用強誘電体キャパシタ分割した強誘電体キャパシタ/CBLjb、CBLjbを備え、基準セルプリセット回路部16Cは、基準用強誘電体キャパシタを分割した強誘電体キャパシタ/Crefjc、Crefjcを、負荷用強誘電体キャパシタを分割した強誘電体キャパシタ/CBLjc、CBLjcを備えている。
【0045】
基準セルプリセット回路部16A、16B、16Cは、それぞれ分割された強誘電体キャパシタに応じて電位を発生するが、基準セル駆動回路17により同時に駆動されるので、全体としては図2の回路の基準セルプリセット回路部16と同様の動作を行う。そして、基準用強誘電体キャパシタ/Crefj、Crefj及び負荷用強誘電体キャパシタ/CBLj、CBLjは分割されて分散配置されているので、第1実施例と同様に外力による誤差を抑えることができる。
【0046】
第2実施例の半導体記憶装置は、第1実施例に比べビットライン方向(メモリセルM11からMm1の方向)でみると基準セルプリセット回路部を複数設けた点で回路構成が増加するが、ワードライン方向(メモリセルM11からM1nの方向)では第1実施例のような分割された強誘電体キャパシタを接続するためのn列分の配線が不要になる。したがって、多数のメモリセルからなる大規模の半導体記憶装置の場合には、第2実施例のものの方がワードライン方向のスペースをコンパクトにすることができ、より小型化が可能になる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る半導体記憶装置は、例えば、基準用強誘電体キャパシタ、該基準用強誘電体キャパシタに直列に電気的に接続される第1負荷用強誘電体キャパシタまたは前記記憶用強誘電体キャパシタに直列に電気的に接続される第2負荷用強誘電体キャパシタといった従来一部に遍在して配置されていたものを、それぞれ複数の強誘電体キャパシタで構成し、これら複数の強誘電体キャパシタを分散して配置したので、外部からの圧力等に伴う強誘電体キャパシタの電位変動の影響を軽減することができる。具体的には、
(1)外部圧力による影響を軽減できるため、パッケージに安価な物を使用でき、 また、半導体記憶装置に圧力クッションとしてモールドの際に行われるポッ ティング等の工程を省くことが可能となる。また、半導体記憶装置の組立時 に加わる圧力による影響も軽減されるので、組立工程を簡略化することがで きる。
(2)外部圧力に伴う電位誤差が抑えられることで強誘電体キャパシタの読み出しマージンの低下を防ぐので、強誘電体のエンデュランス(書換回数等)をより多くすることができる。
(3)熱等により生じる歪み応力に対してもその影響を抑えることが可能となるので、温度特性が改善される。
(4)製造する際にビットライン方向(行方向)の各メモリセル間にヒステリシス特性等の特性に関するばらつきが発生するが、基準となる強誘電体キャパシタにも同様のばらつきが発生するため、ばらつきに伴う影響が相殺されることになる。これまでは、各メモリセル間のばらつきにより設けるメモリセル数に制限があったが、ばらつきが相殺されることにより同じチップサイズでメモリセル数を増やすことが可能となる。
(5)同様に強誘電体薄膜のウエハ面内(チップ内)のばらつきに対してもその影響を相殺することになり、結果として歩留りを向上することが可能となる。
といった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1実施例を示す回路図
【図2】図1の回路を模式的に示した回路図
【図3】記憶用強誘電体キャパシタの履歴特性図
【図4】基準用強誘電体キャパシタの履歴特性図
【図5】第1実施例の回路のタイミングチャート
【図6】本願発明の第2実施例の回路の左半分を示す図
【図7】本願発明の第2実施例の回路の右半分を示す図
【図8】従来の半導体記憶装置を示す回路図
【図9】強誘電体の履歴特性図
【図10】外力による強誘電体キャパシタへの電位変動を示す図
【符号の説明】
M11・・・・メモリセル
C11・・・・ 記憶用強誘電体キャパシタ
TR11・・・ 選択用トランジスタ
BL1、/BL1・・・ビットライン
WL1、/WL1・・・ワードライン
PL1・・・・プレートライン
Cref1 ・・・基準用強誘電体キャパシタ
CBL、/CBL・・・・負荷用強誘電体キャパシタ
AMP1・・・センスアンプ

Claims (2)

  1. 記憶用強誘電体キャパシタを有するメモリセルをm行×n列(m、nは自然数)のマトリクス状に複数配置し、各行の前記メモリ群には、それぞれ、選択された前記メモリセルの前記記憶用強誘電体キャパシタ及び複数の強誘電体キャパシタにより生成される電位に基づき記憶されたデータを読み出す手段を有し、前記複数の強誘電体キャパシタは、それぞれ行方向に分散して配置され、前記複数の強誘電体キャパシタにより基準用強誘電体キャパシタ、該基準用強誘電体キャパシタに直列に電気的に接続される第1負荷用強誘電体キャパシタまたは前記記憶用強誘電体キャパシタに直列に電気的に接続される第2負荷用強誘電体キャパシタの少なくとも 1 つが合成される半導体記憶装置において、
    前記複数の強誘電体キャパシタにより合成されるキャパシタの、約1/2の容量を合成する前記強誘電体キャパシタが各行の前記メモリセル群の中央部近傍に配置され、かつ約1/4の容量を合成する前記強誘電体キャパシタがそれぞれ各行の前記メモリセル群の両端部近傍に配置された半導体記憶装置。
  2. 記憶用強誘電体キャパシタを有するメモリセルをm行×n列(m、nは自然数)のマトリクス状に複数配置し、各行の前記メモリ群には、それぞれ、選択された前記メモリセルの前記記憶用強誘電体キャパシタ及び複数の強誘電体キャパシタを有する複数の電位発生手段により生成される電位に基づき記憶されたデータを読み出す手段を有し、前記複数の強誘電体キャパシタは、それぞれ行方向に分散して配置され、前記複数の強誘電体キャパシタにより基準用強誘電体キャパシタ、該基準用強誘電体キャパシタに直列に電気的に接続される第 1 負荷用強誘電体キャパシタまたは前記記憶用強誘電体キャパシタに直列に電気的に接続される第2負荷用強誘電体キャパシタの少なくとも 1 つが合成される半導体記憶装置において、
    前記複数の強誘電体キャパシタにより合成されるキャパシタの、約1/2の容量を合成する前記強誘電体キャパシタが各行の前記メモリセル群の中央部近傍に配置され、かつ約1/4の容量を合成する前記強誘電体キャパシタがそれぞれ各行の前記メモリセル群の両端部近傍に配置された半導体記憶装置。
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