JP3757142B2 - 軸装、額装用版画用紙 - Google Patents

軸装、額装用版画用紙 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸装、額装用版画用紙に関し、さらに詳しくは、凸版、凹版、平版、孔版、併用版、インクジェットなどの異なった版画技法による印刷適性が優れ、且つ、容易に紙層間を剥離することが可能な、軸装用と額装用に兼用できる版画用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種の美術品や複製品の制作者(以下作家と称す)は、作家自身の作品を最大限に表現するために、それぞれ最適な版画技法と紙を選択して作品を制作しているのが現状である。また、版画工房の作家は、著名な作家の原画を複製するために、或いは時として自分の作品を制作するために、イメージとして油彩画を代表とする洋物と日本画や水墨画を代表とする和物に大別して、その作品のイメージを正確に再現することに努力を続けている。更に、書家の作品である墨書や古文書などの和紙を書写材料に使用したものや著名文筆家の原稿などもあって、複製の対象となる作品は非常に多種多様で広範囲に及んでいる。
【0003】
一方、作品を制作する版画技法には、凸版画(木版画、リノカット、紙版画、スタンピング)、凹版画(エッチング、アクアチントなどの銅版画全般)、平版画(リトグラフ、オフセット、コロタイプ)、孔版画(シルクスクリーン、ステンシル、ミメオグラフ)とそのどれにも属さない技法(モノタイプ、ガラスステロ版、コラージュ、ハンドメイドプリント、シバクローム、ジークレー版等)がある。さらにこれらの技法を2種以上併用し、一つの作品に重ね刷りする技法もある。
【0004】
また、各種の版画技法に適した版画用紙も、和紙を含め多種多様の紙が用いられている。しかしながら通常、作品は額縁に入れられるものと軸に仕立てられるものに区別され、それぞれ紙の種類と重さが異なったものが使用されている。通常、額縁に入れる作品には、坪量が120〜320g/mの洋紙が使用され、軸に仕立てるものは、坪量が30〜120g/mの機械漉き和紙や手漉き和紙あるいは絹布などが使用されている。両者の違いの理由は、額縁用には、銅版やリトグラフなどの印刷作業に耐える取扱い適性と、へたりやカールの無い形態保持性の良い厚い紙が適しており、軸装用には紙を巻いて軸に仕立てるため、紙の角や巻き癖の出にくい薄い紙が適しているからである。また、軸装用の薄い紙を印刷する際には、印圧に耐えるためにクッション性のある当て紙を併用し、水溶性の糊剤や粘着テープで当て紙と仮接着して使用するなど、その製作にはそれぞれの作家の経験とノウハウに頼るところが非常に多く、煩雑で手間のかかる作業が強いられている。
【0005】
さらに、前述した作品群は、複製品と雖も比較的長期にわたって鑑賞と保管が繰り返されるので、紙自身の変色や強度低下の少ないものが望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、軸装用と額装用の両方に兼用できる紙であって、比較的長期にわたる鑑賞と保管が繰り返されても変色や強度の低下が少ない版画用紙を提供することにある。更に詳しくは、凸版、凹版、平版、孔版、併用版、インクジェットなどの異なった版画技法による印刷適性が優れ、且つ、容易に紙層間を剥離することができる軸装、額装用版画用紙を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、各種の版画技法で印刷された作品を、額装する際はそのまま使用し、軸装用として使用する際は印刷層(1)を台紙層(2)または台紙層(4)、若しくは剥離層(3)から2層に剥がした後、台紙層(2)または台紙層(4)若しくは剥離層(3)を破棄し、あるいは台紙層(2)または台紙層(4)及び剥離層(3)を破棄し、印刷層(1)に裏打ちを施した後、軸に仕立てることができる版画用紙を開発するに至った。即ち、所定の坪量を有した漉き合わせ紙で、所定の坪量と層間剥離強度を有する印刷層(1)を設けた版画用紙を提供することが可能となった。
【0008】
また、各種の版画技法に対する優れた印刷適性を得るために、各種の製紙用繊維を検討した結果、印刷層(1)内には1種以上の非木材繊維を含み且つその含有量が印刷層(1)の30〜80重量%である必要があることを見出した。
【0009】
更に、比較的長期間にわたり鑑賞と保管が繰り返される版画用紙の保存性を検討した結果、冷水抽出pH値が7.5±1.0の中性紙である必要があることを見出した。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の軸装、額装用版画用紙とは、坪量120〜320g/mの2層以上の多層漉き合わせ紙であって、通常、既存の円網抄紙機や長網・円網コンビネーションマシンで製造される。その構成は基本的には印刷層(1)、剥離層(3)、台紙層(2)または台紙層(4)の組合せによって成る物である。坪量が120g/m以下であると、各種の版画技法による印刷において、印圧に耐える強度とクッション性が不足するため、当て紙の併用が必要となる。更に、大きな作品の場合、剛直性に乏しく、取扱いが困難になるので好ましくない。また、320g/m以上では前記の問題は無くなるが、紙の価格がアップし無駄となるので好ましくない。
【0011】
また、本発明では印刷層(1)の坪量が25〜90g/m2であることを必要とする。25g/m以下であると紙層間から剥離する際の強度が不足し、剥離作業で紙切れが生じやすくなり軸装用として好ましくない。また、90g/m以上であると紙が厚くなりすぎ、紙を巻いて軸に仕立てる際に、紙の角や巻き癖が出やすくなって軸装用として好ましくない。
【0012】
更に、印刷層(1)を剥がす際の強度、即ち層間剥離強度が13〜59N/mの範囲にあることが必要である。13N/m以下であると紙層間から剥がし易いが通常の紙の取扱い中に剥がれる心配があり好ましくない。また、59N/m以上であると逆に剥がし難くなり紙が破れることもあるので好ましくない。
【0013】
本発明で使用する製紙用繊維としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)などの晒化学パルプ及び塩素漂白法を用いないECF・TCFパルプなどの木材繊維とコットンラグ、リンター、麻、亜麻、竹、藁、ケナフ、エスパルト、バガス、楮、三椏、雁皮などの非木材繊維を単独であるいは混合して用いる。
【0014】
また、必要に応じてレーヨン、ビニロン、ナイロンなどの合成繊維や再生古紙も併用する場合がある。しかしながら、比較的長期間にわたって鑑賞と保管が繰り返されるため、作品群の変色や強度低下を来す危険のある繊維の使用は好ましくなく、基本的には純度の高いバージンパルプを使用することが好ましい。
【0015】
本発明では、印刷層(1)に使用される製紙用繊維の内、少なくとも1種以上の非木材繊維を含みその含有量が印刷層(1)の30〜80重量%である必要がある。本発明者らは、木材繊維に1種以上の非木材繊維を併用すると、印刷適性が著しく向上することを見出した。特に前述した版画技法の平版画の内、数十版の重ね刷りが必要とされるリトグラフ印刷では、通常、同一箇所に多量のインクが盛られる頻度が多いことは周知の事実である。この場合、インキの吸収量が少なく吸収速度が遅いと、重ね刷りした部分にインクの光沢ムラが発生し、目的とする作品が得られにくいという問題点があった。本発明者らは、木材繊維に非木材繊維を併用するとインクの吸収量が増加して吸収速度が速くなり、光沢ムラが抑えられることを見出した。この場合、非木材繊維の含有量が30重量%以下であると光沢ムラが発生しやすく、80重量%以上であると光沢ムラは発生しないが、紙の強度や抄紙適性に問題を生じるので好ましくない。
【0016】
更に、前述した和物の作品製作には、より印刷層に和紙のイメージが求められることがある。その場合、非木材繊維の内、麻、楮、三椏、雁皮などを木材繊維と混合して使用したり、1種類以上の非木材繊維と木材繊維とを併用して使用することで、触感と視感共に和紙風合いのある印刷層を得ることができる。
【0017】
本発明で使用する填料としては、冷水抽出pH値が7.5±1.0の中性紙を得るためにアルカリ性を示す填料を用いる必要がある。その填料とは、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの既存の安価な粉体が望ましく、これらを単独で或いは混合して使用できる。また、通常の製紙用填料であるチタン白やタルク及び白土などを併用することも差し支えない。アルカリ性を示す填料の使用量は、印刷層、剥離層、台紙層とも、基本的には製紙用繊維100重量部に対して、0.02〜5.0重量部である。0.02重量部以下であると冷水抽出pH値が6.5を下まわる場合があり好ましくない。また、5.0重量部以上であると冷水抽出pH値が8.5を越える場合があるので好ましくない。
【0018】
本発明における冷水抽出pH値とは、JIS P−8133「紙、板紙及びパルプ−水抽出液pHの試験方法」に基づいて測定した値である。保存性を考慮した紙の規格は我が国では制定されていないが、米国規格「ANSI Z39.48−1984」や国際標準化機構(ISO)の規格案によれば、定められた木材パルプを使用し、2%炭酸カルシウム相当量のアルカリ・リザーブを有する冷水抽出pH値が7.5〜10.0を示す紙を好適としている。しかしながら本発明者らが各種の冷水抽出pH値の異なる紙を互いに挿入して接触させて強制劣化試験を行った結果、冷水抽出pH値が7.5±1.0の範囲にある紙が最も変色の少ないことを見出したのである。即ち、冷水抽出pH値が異なる紙と紙を接触して使用する場合、両者の紙の冷水抽出pH値の差が余り大きすぎると、保存性にとって好ましくなくなる。
【0019】
本発明では、均一で良好な剥離性能を得るために剥離層(3)を設けることを特徴の一つとしている。軸装用に使用される場合には、印刷層(1)は印刷後に台紙層(2)または台紙層(4)若しくは剥離層(3)から剥離され破棄されることになる。図1−1、図1−3の如く同じ製紙原料で印刷層(1)と台紙層(2)を設ける場合は、印刷層(1)と台紙層(2)の重さの比率や叩解度などが剥がし易さに大きく影響するので、図1−2の如く異種製紙原料、あるいは図1−4、図1−5の如く、剥離層(3)が介在した方が均一な剥離性が得られ易い。また、剥離層(3)は、印刷層(1)と台紙層(2)または台紙層(4)に比較して繊維結合強度の弱い紙層であることが望ましい。そのために前述した填料含有量が0.02〜5.0重量部である場合は、叩解度の浅い短繊維の製紙原料と填料の定着剤のみを添加したものが好適である。更に、冷水抽出pH値の7.5±1.0を維持できるならば、剥離層には繊維間結合を弱める目的で、製紙用繊維100重量部に対して10〜100重量部の填料を多量に混入してもいっこうに差し支えない。
【0020】
本発明では、既存のサイズ剤や紙力増強剤及び防黴剤を必要にして最小限の量を、内部添加やサイズプレス装置で付与する。サイズ剤としては、アルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸などを用い、定着剤にはカチオン化澱粉などを用いる。また、必要に応じて、ポリエチレンオキサイドなどの分散剤や湿潤紙力増強剤及び染顔料などの着色剤も併用することができる。
【0021】
本発明の軸装・額装用版画用紙は、前記の製紙用繊維と填料を主体にスラリーを調整し、これにサイズ剤と定着剤を添加し、必要に応じて着色剤や紙力増強剤も添加した後、前記した既存の抄紙機で抄紙して得ることができる。
【0022】
【実施例】
実施例1
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)15重量部、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)35重量部、非木材繊維(エスパルト)50重量部を480ml C.F.S.に叩解して得られたパルプスラリーに、炭酸カルシウム(商品名「炭カルPライト100」、白石工業(株)製)を2.5重量部を混入し、5%濃度のスラリーに調整した。このスラリーの固形分重量に対してカチオン化澱粉(商品名「ネオタックL−1」、日本食品化工(株)製)を0.3%、紙力増強剤(商品名「ポリアクロンCH−100」、荒川化学工業(株)製)0.5%、サイズ剤(商品名「サイズパインK−903」、荒川化学工業(株)製)0.3%添加した後、図1の如く2層漉き円網抄紙機で坪量200g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は60g/m、台紙層(2)は140g/mであり、層間剥離強度は37N/mであった。また、冷水抽出pH値は7.6であった。
【0023】
実施例2
図1−2の如く印刷層(1)に供するために、実施例1と全く同一の製紙原料で5%濃度のスラリーを調整した。このスラリーとは別に、台紙層(4)に供するため針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)15重量部、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)85重量部を550ml C.F.S.に叩解して得られたパルプスラリーに、炭酸カルシウム3.5重量部と白土(商品名「白土1級」、金谷工業(株)製)40重量部を混入し、5%濃度スラリーに調整した後、このスラリーの固形分重量に対してカチオン化澱粉0.5%とサイズ剤(商品名「サイズパインK−903」、荒川化学工業(株)製)0.4%を添加調整した。原料配合の異なる2種類のスラリーを、円網抄紙機を用いて2層漉き合わせを行い、坪量207g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は58g/m、台紙層(4)は149g/mであり、層間剥離強度は26N/mであった。
【0024】
実施例3
図1−3の如く印刷層(1)に供するため、実施例1と全く同一の製紙原料で2種類のスラリーを調整した。このスラリーとは別に台紙層(2)に供するため、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)50重量部と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50重量部を550ml C.F.S.に叩解して得られたパルプスラリーに、炭酸カルシウム1.5重量部を混入し、5%濃度のスラリーに調整した。このスラリーの固形分重量に対してカチオン化澱粉を0.3%、サイズ剤0.2%を添加した後、3層漉き円網抄紙機で坪量204g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は2層にして、それぞれ40g/mと32g/mであり、台紙層(2)と接した面の層間剥離強度は42N/mであった。
【0025】
実施例4
図1−4の如く印刷層(1)と台紙層(2)に供するために、実施例1と全く同一の製紙原料で2種類のスラリーを調整した。このスラリーとは別に剥離層(3)に供するために針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)50重量部と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50重量部を550mlC.F.S.に叩解して得られたパルプスラリーに炭酸カルシウム1.5重量%を混入し、5%濃度スラリーに調整した。このスラリーの固形分重量に対してカチオン化澱粉を0.3%、サイズ剤(商品名「サイズパインK−903」、荒川化学工業(株)製)0.2%添加した後、3層漉き円網抄紙機で坪量202g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は53g/m、剥離層(3)は35g/m、台紙層(2)は114g/mであり、層間剥離強度は24N/mであった。
【0026】
実施例5
図1−5の如く印刷層(1)と台紙層(4)に供するために、実施例2と全く同一の2種類の製紙原料で5%濃度のスラリーを調整した。このスラリーとは別に、剥離層(3)に供するため針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)15重量部、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)85重量部を550ml C.F.S.に叩解して得られたパルプスラリーに、炭酸カルシウム3.5重量部と白土40重量部を混入し、5%濃度スラリーに調整した後、このスラリーの固形分重量に対してカチオン化澱粉0.5%とサイズ剤(商品名「サイズパインk−903」、荒川化学工業(株)製)0.4%を添加調整した。原料配合の異なる3種類のスラリーを、円網抄紙機を用いて3層漉き合わせを行い、坪量210g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は65g/m、剥離層(3)は55g/mであり、層間剥離強度は23N/mであった。
【0027】
比較例1
実施例1と全く同一の製紙原料と同一抄紙機を用いて、坪量100g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は50g/m、台紙層(2)は50g/mであり、層間剥離強度は34N/mであった。
【0028】
比較例2
実施例1と全く同一の製紙原料と同一抄紙機を用いて、坪量330g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は150g/m、台紙層(2)は180g/mであり、層間剥離強度は75N/mであった。
【0029】
比較例3
実施例1と全く同一の製紙原料と同一抄紙機を用いて、坪量203g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は18g/m、台紙層(2)は185g/mであり、層間剥離強度は10N/mであった。
【0030】
比較例4
実施例1と全く同一の製紙原料と同一抄紙機を用いて、坪量197g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は97g/m、台紙層(2)は100g/mであり、層間剥離強度は61N/mであった。
【0031】
実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例4の結果を表(1)に示す。
表(1)
Figure 0003757142
Figure 0003757142
【0032】
比較例5
図1−4の如く印刷層(1)と台紙層(2)に供するため、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)25重量部、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)55重量部、非木材繊維(エスパルト)20重量部を475ml C.F.S.に叩解して得られたパルプスラリーに、炭酸カルシウム2.5重量部を混入し、5%濃度スラリーに調整した後、このスラリーの固形分重量に対してカチオン化澱粉0.3%、紙力増強剤0.5%とサイズ剤(商品名「サイズパインK−903」、荒川化学工業(株)製)0.3%を添加調整した。このスラリーとは別に剥離層(3)に供するために、実施例2の剥離層と全く同一の製紙原料を調整した。原料配合の異なる2種類のスラリーを、円網抄紙機を用いて3層漉き合わせを行い、坪量208g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は64g/m、剥離層(3)は56g/mであり、層間剥離強度は24N/mであった。
【0033】
比較例6
図1−4の如く印刷層(1)と台紙層(2)に供するため、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)15重量部と非木材繊維(エスパルト)85重量部を485ml C.F.S.に叩解して得られたパルプスラリーに、炭酸カルシウム2.5重量部を混入し、5%濃度スラリーに調整した。このスラリーの固形分重量に対してカチオン化澱粉0.3%、紙力増強剤0.5%とサイズ剤(商品名「サイズパインK−903」、荒川化学工業(株)製)0.3%を添加調整した。このスラリーとは別に剥離層3に供するために、実施例2の剥離層と全く同一の製紙原料を調整した。原料配合の異なる2種類のスラリーを、円網抄紙機を用いて3層漉き合わせを行い、坪量332g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は67g/m、剥離層(3)は54g/mであり、層間剥離強度は22N/mであった。
【0034】
実施例5及び比較例5〜比較例6の結果を表(2)に示す。
表(2)
Figure 0003757142
剥離性、印刷時形態保持性、軸装適性は共に良好。
印刷時光沢ムラは、リトグラフ印刷の結果を表している。
紙の価格:適は廉価、不適は高価を意味している。
【0035】
比較例7
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)15重量部、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)35重量部、非木材繊維(エスパルト)50重量部を485ml C.F.S.に叩解して得られたパルプスラリーに、白土5.0重量部を混入し、5%濃度スラリーに調整した。このスラリーの固形分重量に対してサイズ剤(商品名「サイズパインE」荒川化学工業(株)製)を2.0%と硫酸アルミニウム(大明化学工業(株)製)5.0%を添加した後、2層漉き円網抄紙機を用いて坪量205g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は65g/mであり、層間剥離強度は35N/mであった。また、冷水抽出pH値は6.2であった。
【0036】
比較例8
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)15重量部、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)35重量部、非木材繊維(エスパルト)50重量部を490ml C.F.S.に叩解して得られたパルプスラリーに、炭酸カルシウム7.0重量部を混入し、5%濃度スラリーに調整した。このスラリーの固形分重量に対してカチオン化澱粉0.5%とサイズ剤(商品名「サイズパインK−903」荒川化学工業(株)製)を0.4%添加した後、2層漉き円網抄紙機を用いて坪量202g/mの軸装、額装用版画用紙を得た。この紙の印刷層(1)は59g/mであり、層間剥離強度は34N/mであった。また、冷水抽出pH値は8.8であった。
【0037】
本発明者らは、前述した実施例と比較例の軸装、額装用版画用紙とは別に、長網抄紙機を用いて坪量が85±5g/mの3種類の本文用紙を得た。3種類の本文用紙の冷水抽出pH値は、それぞれ6.0、7.1、9.5を示すものであった。それぞれの本文用紙をB−5判の小冊子に製本した後、実施例1と比較例7及び比較例8の紙片を3種類の小冊子の間にそれぞれ挟み、80℃で80%R.H.の恒温恒湿槽(型式:PLATINAUS PR−3SP、タバイエスベック(株)製)内に24日間暴露した。劣化処理前と処理後の冷水抽出pH値は、JIS P−8133に基づいて測定(型式:TOA pH Meter HM−78、東亜電波工業(株)製)し、変色は色差計(型式:CM−370od、ミノルタ(株)製)で色差(ΔE)を測定し、強度の変化は耐折強度(型式:MIT−S、東洋精機(株)製)を測定した。
【0038】
その結果を表(3)に示す。但し、残存率は、劣化処理後の耐折強度の回数を劣化処理前の耐折強度の回数で除した値に100を掛けたパーセント値で示した。
表(3)
Figure 0003757142
表(3)の如く3種類の冷水抽出pH値の異なる紙に接しても、実施例1は比較例7及び比較例8と比較して変色や強度低下が最も少ないことを示している。このことは、様々な冷水抽出pH値の異なる紙と長時間接触して軸や額に仕立てられても、変色や強度低下の心配のない版画用紙を提供できることを示すものである。
【0039】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の軸装、額装用版画用紙によれば、以下に示す顕著な効果を有する。
(1)凸版、凹版、平版、孔版、併用版、インクジェットなどの異なった版画技法を施しても、光沢ムラの無い印刷適性を有する。
(2)各種の版画技法による印刷を行った後、簡単に紙層間で剥離することができ、軸装用と額装用の両方で兼用できる版画用紙の提供が可能となった。
(3)冷水抽出pH値が異なる紙に長期にわたって接していても、変色や強度低下が少なく、保存性と安全性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
Figure 0003757142
(1)は印刷層25〜90g/m
(2)、(4)は台紙層30〜295g/m
(3)は剥離層30〜295g/m

Claims (8)

  1. 坪量が120〜320g/mである2層以上の多層漉き合わせ紙で、軸装、額装用として使用される印刷層(1)の坪量が25〜90g/mであり、且つ印刷層(1)と台紙層(2)または印刷層(1)と台紙層(4)、あるいは印刷層(1)と剥離層(3)との層間剥離強度が13〜59N/mの範囲にあって、印刷層(1)と台紙層(2)または印刷層(1)と台紙層(4)、あるいは印刷層(1)と剥離層(3)とを剥離可能とすることにより、軸装用と額装用とに兼用できることを特徴とする軸装、額装用版画用紙。
  2. 印刷層(1)が、非木材繊維を1種以上含み、且つその含有量が印刷層(1)の30〜80重量%であることを特徴とする請求項1に記載の軸装、額装用版画用紙。
  3. 冷水抽出pH値が7.5±1.0の範囲である中性紙で、製紙用繊維100重量部に対して0.02〜5.0重量部の炭酸カルシウムを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の軸装、額装用版画用紙。
  4. 印刷層(1)と同じ製紙原料を用いた台紙層(2)を設けた2層漉き合わせ紙よりなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸装、額装用版画用紙。
  5. 印刷層(1)と異なる製紙原料を用いた台紙層(4)を設けた2層漉き合わせ紙よりなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸装、額装用版画用紙。
  6. 印刷層(1)と異なる製紙原料を用いた剥離層(3)を中間層とし、印刷層(1)と同じ製紙原料を用いた台紙層(2)を設けた3層漉き合わせ紙よりなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸装、額装用版画用紙。
  7. 台紙層(4)が印刷層(1)とも剥離層(3)とも異なる製紙原料を用いた請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸装、額装用版画用紙。
  8. 印刷層(1)が2層以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸装、額装用版画用紙。
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