JP3757089B2 - 排ガス浄化触媒のイオウ被毒の再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車やディーゼル車などの内燃機関やガスエンジン、ガスタービン、ディーゼルエンジンなどの発電機から排出されるNOx、炭化水素等およびイオウ酸化物を含む排ガスを浄化する排ガス浄化触媒および排ガス浄化触媒のイオウ被毒からの再生処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の排ガス浄化用触媒は、3元触媒に代表されるように、NO、NO2などの窒素酸化物の窒素への還元反応と炭化水素(HC)やCOなどの還元物質の酸化反応を同じ触媒上で、低減する方法が用いられ、NOxやCO、HC排出量の削減に大きな役割を果たしてきた。しかし、内燃機関のより高い効率を目指して、燃料が希薄な条件で燃焼させる方式、例えばリーンバーンエンジンやGDIエンジンが用いられるようになってくると、NOxを還元するだけのHCやCOが常時供給できなくなった。そこで、炭酸バリウム(BaCO3)などのアルカリ土類金属化合物やカリウムなどのアルカリ金属を含む化合物をNOx吸収物質として用い、一時的にNOxを貯蔵しておき、1〜2分ごとに還元剤を投与したり、リッチな運転モードにしてHCやCOを供給して、貯蔵されていたNOxを還元処理するという方法が用いられるようになった。
【0003】
しかし、これら3元触媒やNOx吸収物質などの排ガス浄化触媒を長期間使用していると、ガソリンや軽油あるいは天然ガスなどに含まれるイオウ化合物が3元触媒やNOx吸収物質に付着して硫酸塩化し、触媒性能が著しく低下するという問題点があった。特に、NOx吸収物質はアルカリ性であるために、酸性物質であるイオウ酸化物を吸収して安定化しやすく、このためにNOx吸収能力が大きく変化するので、リッチな運転モードにするタイミングやイオウ被毒から再生させるタイミングを予測することが難しいなどの問題点があった。
【0004】
従来は、このようなイオウ被毒から再生する手段として、600℃以上に加熱した状態で還元剤を投与し、硫酸塩を還元して二酸化イオウに変換して排出するという方法が用いられていた。
【0005】
特開平6−66129号公報に、NOx吸収物質を用いた排ガス浄化装置が開示されているが、図3は同公報における触媒のイオウ被毒の再生を含めた従来のイオウ被毒再生の作用を示す模式図であり、図3では一般的な3元触媒をモデルにして示している。図において、1はイオウ被毒の少ない触媒粒子、2はイオウ被毒の著しい触媒粒子、3は担体であり、イオウ被毒している触媒粒子1、2表面にCO、水素あるいはHC(ハイドロカーボン)が接触した場合にのみ、イオウ化合物をSO2やSO3に還元除去することができる。しかし、イオウ被毒の著しい触媒粒子2のようにイオウ被毒している触媒表面は、イオウ被毒によってその触媒作用が著しく低下しており、また物理的にも、触媒粒子表面をイオウ化合物が覆っているために、CO、水素あるいはHCが触媒粒子と接近することが容易ではなく、従って、CO、水素あるいはHCの濃度を著しく高める、あるいは温度を高めて反応速度を速めるなどの必要があった。さらに、触媒粒子表面へのイオウ被毒の吸着が多くなると、もはや還元して除去することはできなかった。イオウ被毒の再生のために温度を高くしすぎると、触媒粒子の粒径が増大したり、担体が変質するなど回復不能な劣化に結びつく恐れがある。また還元剤の過剰な添加は、燃費の低下をまねくことになる。NOx吸収触媒やHC吸着触媒などを用いた場合にも同様の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の排ガス浄化触媒およびそのイオウ被毒の再生方法は、同じ触媒粒子の上で、CO、水素あるいはHCの酸化反応と触媒に吸着したイオウ化合物の還元反応を同時に行わせるので、気相にHC、CO、水素などの還元剤が高濃度で存在し、しかも高温を長時間保つ必要があった。また、イオウ被毒が進んでイオウ化合物が触媒粒子を覆ってしまうと、HC、CO、水素などの還元剤が触媒粒子に近づくことができず、イオウ被毒再生をすることができなくなるなどの問題点があった。
【0007】
本発明は、以上のような従来の欠点を解決するためになされたものであり、従来の排ガス浄化触媒のように、イオウ被毒再生について、単に化学的に触媒反応させるのではなく、電気化学的にイオウ化合物の還元反応とHC、CO、水素などの還元剤の酸化反応とを進めるものである。
【0008】
なお、2種類以上の触媒で、酸化反応と還元反応を電気化学的に行う『電気化学触媒』については、本出願人から出願された特開平10−270055号公報に開示されている。また『電気化学触媒』を用いて燃料電池のCO被毒耐久性を高める方法が、やはり本出願人から出願された特開平10−270056号公報に開示されている。本発明は、基本的には、この『電気化学触媒』を排ガス浄化触媒およびイオウ被毒の再生方法に応用したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1のイオウ被毒の再生方法は、窒素酸化物、還元物質及びイオウ酸化物を含む排ガス中の上記窒素酸化物を還元し、上記還元物質を酸化して上記排ガスを浄化する排ガス浄化触媒におけるイオウ被毒の再生方法であり、金属触媒を担体Aに担持した触媒Aと、貴金属以外の電子伝導性物質と、400℃以上の温度でイオン伝導性を発揮する物質とを含む混合物を担体Bに塗布してなる排ガス浄化触媒を用いて上記排ガスを浄化し、該排ガスの浄化に用いた排ガス浄化触媒を加熱手段によって一時的に500℃以上の温度に上昇させ、上記電子伝導性物質を介して電子を移動させるとともに、上記イオン伝導性物質を介してイオンを移動させることにより、上記触媒Aに吸着したイオウ化合物の還元反応と上記還元剤の酸化反応とを電気化学的に行うものである。
【0010】
本発明に係る第2のイオウ被毒の再生方法は、上記担体Bは、電子伝導体からなるものである。
【0011】
本発明に係る第3のイオウ被毒の再生方法は、上記貴金属以外の電子伝導性物質がニッケルであるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図2に基づき本発明の実施の形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に用いられている排ガス浄化触媒とイオウ被毒再生の作用を示す模式図である。図において、1はイオウ被毒の少ない触媒粒子、2はイオウ被毒の著しい触媒粒子、3は触媒粒子用担体、4は電子伝導物質B、5はイオン伝導物質Dである。触媒粒子1および2を担体3に担持して触媒Aを構成しており、さらに触媒A、電子伝導物質B4およびイオン伝導物質D5の混合物が図示していないセラミックス製のハニカムなどの混合物用担体に塗布されている。また、図中の矢印は電子の流れと酸素イオンの流れおよび反応物と生成物の流れを示している。触媒粒子1および2は同一の金属触媒であり、触媒粒子1および2の符号はイオウ被毒の程度が少ないものと著しいものとを区別している。
【0013】
触媒Aと、電子伝導性物質B4とイオン伝導性物質D5を混合することによって、触媒粒子1と触媒粒子2との間におけるイオンの伝達と電子の伝達の双方が可能になる。CO、水素やHCなどの還元剤の電気化学的酸化反応は、これらのガスが吸着可能なイオウ被毒の少ない触媒粒子1で起こり、硫酸塩などのイオウ化合物の電気化学的還元反応は主としてイオウ被毒の著しい触媒粒子2で起こり、酸素イオンはイオン伝導性物質D5、電子は電子伝導性物質B4を通って、酸化還元反応が進行する。CO、水素あるいはHCなどの還元剤の電気化学的酸化反応と硫酸塩などのイオウ化合物の電気化学的還元反応が異なる触媒粒子で起こることが可能であり、この効果は極めて大きい。
【0014】
まず、第1に、イオウ被毒の少ない触媒粒子1における還元剤の電気化学的酸化反応と、イオウ被毒の著しい触媒粒子2におけるイオウ化合物の電気化学的還元反応というように役割分担が可能になり、従来、触媒表面がイオウ化合物に覆われて還元剤が触媒表面に到達できないようなイオウ被毒の著しい触媒粒子2も再生させることが可能である。
【0015】
第2に、電子とイオンが届く位置にあれば、どの触媒粒子とも、電気化学的酸化還元反応を進行させることができる。すなわち、複数の還元触媒粒子と複数の酸化触媒粒子が、からまった電子伝導性物質Bとイオン伝導性物質Dの混合物を介してネットワークのように連絡し、さまざまなルートを通って反応が進む。
【0016】
イオウ化合物の電気化学的還元反応や還元剤の酸素イオンをイオン伝導体とした電気化学的酸化反応については、酸化還元電位など詳細なことは分からないが、およそ下記式(1)〜(5)のような反応になると推定される。
【0017】
[イオウ化合物の還元反応]
SO4 2−→SO3+O2− (1)
SO3+2e−→SO2+O2− (2)
【0018】
[還元剤の酸化反応]
C+2O2−→CO2+4e− (3)
H2+O2−→H2O+2e− (4)
CO+O2−→CO2+2e− (5)
【0019】
また、プロトンをイオン伝導体とする場合には、下記式(6)〜(10)のような反応になると推定される。
【0020】
[イオウ化合物の還元反応]
SO4 2−+2H+→SO3+H2O (6)
SO3+2H++2e−→SO2+H2O (7)
【0021】
[還元剤の酸化反応]
C+2H2O→CO2+4H++4e− (8) E=0.207V
H2→2H++2e− (9) E=0.000V
CO+H2O→CO2+2H++2e− (10) E=−0.103V
【0022】
これらイオウ化合物の還元反応と還元剤の酸化反応との酸化還元電位の差が駆動力になって、電池をショートさせたように酸化還元反応が起こると考えられるが、例え、標準酸化還元電位が逆転しているような場合でも、反応物や生成物の濃度の違いが酸化還元電位を変化させるので、酸化還元反応を進行させるための駆動力となりうる。
【0023】
一般的なイオン伝導性物質(固体電解質)としては、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)があり、500℃以上で高い酸素イオン伝導率が得られるが、さらに低温で酸素イオンを伝導する物質として、セリア系酸化物、とりわけSm2O3を固溶させたセリア酸化物(SDC)は、400℃程度でも高い酸素イオン伝導率を示すことが知られている。いずれのイオン伝導物質でも温度が上昇するとイオン伝導性が著しく改善される。しかし、排ガス触媒を長時間高温に保つには、余分の燃焼エネルギや電気ヒータの電力を必要とするとともに、触媒微粒子の粒径増大などを引き起こし、触媒性能の劣化につながる恐れがある。
【0024】
また、電子伝導性物質とイオン伝導性物質をそれぞれ加える方法以外に、両方の伝導性を備えた固体電解質を用いてもよい。電子伝導性およびイオン伝導性を有する固体電解質として、例えば特開平8−332342号公報に開示されているようなペロブスカイト型セラミックスがあり、排ガス浄化用触媒の動作温度と雰囲気で使用することができる。また、イオン伝導体と電子伝導体の複合材を用いても良く、例えば特開平10−255832号公報に開示されているようなイオン伝導体La1−xSrxGa1−yMgyO3(0.05<x<0.3、0.1<y<0.3)と電子伝導体La1−xSrxMnO3(0.05<x<0.3)の複合材を用いることができる。これらの固体電解質のイオン伝導は主として酸素イオンが受け持っているが、より低温で動作する固体電解質型燃料電池を目指して、プロトン伝導と酸素イオン伝導の両方を兼ね備えた固体電解質が検討されており、このような電解質を用いることもできる。いずれの場合も温度が上昇するとイオン伝導性が著しく改善される。
【0025】
実施の形態2.
図2は、本実施の形態2に用いられている排ガス浄化用触媒とイオウ被毒再生の作用を示す模式図である。図において、6は金属ハニカムであり、上記実施の形態1との相異は、電子伝導物質の代わりに金属ハニカム6を用い、金属ハニカム6が電子の伝達を担うようにしている点である。
【0026】
金属ハニカム6は、セラミックスのハニカムに比べて薄くて強度が保てるので、圧力損失が少なくてすむ。また、熱伝導が良いなどのメリットがあり、従来のコージェライトなどのセラミックス製ハニカムに代わる材料として排ガス浄化用触媒がコーティングされ、自動車用マフラーに組み込まれて使用されている。例えば、特開平5−301048号公報には、自動車排ガス触媒に用いられる金属ハニカムが記載されている。
【0027】
触媒Aと、イオン伝導性物質D5を混合し、この混合物を金属ハニカム6に塗布することで、実施の形態1の場合と同様に、触媒粒子1と触媒粒子2との間におけるイオンの伝達と電子の伝達の双方が可能になる。この場合でも、電子とイオンが届く位置にあれば、どの触媒粒子とも、電気化学的酸化還元反応を進行させることができる。すなわち、複数の還元触媒粒子と複数の酸化触媒粒子が、からまったイオン伝導性物質D5と低い電子伝導抵抗でつながっている金属ハニカム6とを介してネットワークのように連絡し、さまざまなルートを通って反応が進む。この様子は、電極基材に、触媒と電解質との混合物を塗布した状態と似ており、このような構造で用いられている燃料電池や各種のバッテリーの場合と同様に、触媒粒子1、2と金属ハニカム6との間の連絡はイオン伝導性物質D5(固体電解質)を介して充分に得られる。
【0028】
なお、触媒粒子1、2の担体3にニッケルなどの電子伝導物質を用いたり、ニッケルなどの金属を上記混合物中に電子伝導物質として添加してもよく、電子伝導性がより高められる効果がある。
【0029】
なお、上記実施の形態1および2では、イオン伝導物質として酸素イオン伝導物質の他、プロトン伝導物質あるいは炭酸イオン伝導物質を用いてもよく、いずれの場合も本実施の形態と同様に、一時的な加熱によってイオン伝導性が飛躍的に上昇し、イオウ被毒再生のための電気化学反応が加速される。
【0030】
また、上記実施の形態では、電気ヒータによって排気ガスを加熱する方法について示したが、排ガス浄化触媒そのものを電気ヒータなどの手段や燃焼熱などによって加熱してもよい。
【0031】
また、上記実施の形態では、担体として、セラミクス製のハニカムもしくは金属製のハニカムの場合を示したが、アルミナ粒子に触媒粒子を担持した後、ペレット状に成形したり、ハニカム以外の形状の担体や多孔質な担体に塗布して排ガス浄化触媒を形成してもよく、同様の効果が得られる。
【0032】
また、上記実施の形態では、リーンバーンエンジンやGDIエンジンの排ガスを対象にした場合を示したが、ディーゼルエンジンやガスエンジン、ガスタービンなどの排気ガスの浄化にも適用できることは明らかである。
【0033】
【実施例】
以下、電気化学触媒をセラミクス製のハニカムおよび金属性のハニカムに担持して、上記実施の形態1および2の構成で排ガスを処理した場合の実施例と比較例をもって、本発明の効果を説明する。
【0034】
下記実施例および比較例で用いた触媒Aの調整を次のように行った。
まず、アルミナ粉末500gに酢酸バリウム水溶液を含浸させ、110℃で3時間乾燥した後、500℃で1時間焼成し、アルミナ1kgあたりBaの担持量が2モルのBa担持アルミナ粉末を得た。
【0035】
次に、20g/リットルの重炭酸アンモニウム水溶液に15分間浸漬し、濾過した後、110℃で3時間乾燥し、炭酸バリウムが担持されたアルミナ粉末を作製した。
【0036】
この炭酸バリウムが担持されたアルミナ粉末にジニトロジアミン白金硝酸水溶液を含浸させ、110℃で3時間乾燥した後、さらに250℃で2時間乾燥して白金を担持し触媒Aを調整した。白金の担持量は、炭酸バリウムが担持されたアルミナ粉末1kgあたり、20gであった。
【0037】
実施例1.
本実施例は、セラミクス製のハニカムを用いた上記実施の形態1の具体例である。
【0038】
まず、触媒Aを100g、固体電解質としてイットリア安定化ジルコニア(ZrO2−Y2O3)の粉末20gおよびニッケル微粉末20gを混合し、混合粉末を作製した。
【0039】
次に、精製水に、この混合粉末を加え、バインダとしてキャスタパルD(ビスタケミカル社製)を用いてスラリー化し、このスラリーをウオッシュコート法によってコージェライト製のセラミクスハニカムにコーティングし、250℃で乾燥した後、600℃で20分間焼成してコート層を形成し、排ガス浄化触媒を作製した。
【0040】
比較例1.
触媒Aを100gを精製水に加え、固体電解質としてイットリア安定化ジルコニア(ZrO2−Y2O3)の粉末20gを混合し、混合粉末を作製した。
【0041】
次に、精製水に、この混合粉末を加え、バインダとしてキャスタパルD(ビスタケミカル社製)を用いてスラリー化し、このスラリーをウオッシュコート法によってコージェライト製のセラミクスハニカムにコーティングし、250℃で乾燥した後、600℃で20分間焼成してコート層を形成し、排ガス浄化触媒を作製した。なお、触媒Aの塗布量が実施例と同程度になるように調整した。
【0042】
[イオウ含有排ガスからの排ガス浄化試験]
上記実施例1および比較例1の排ガス浄化触媒を設置し、イオウ含有排ガス模擬ガスを用いてNOx除去試験を行った。また、比較例の触媒についても同様の試験を実施した。
イオウ含有排ガス模擬ガスとしては、二酸化イオウを300ppm、NOを500ppm、HC2000ppm、COを0.6%、酸素を0.4%、水蒸気を10%、二酸化炭素を10%含む混合ガスを用いた。
【0043】
上記実施例1と比較例1の排ガス浄化触媒をそれぞれ排ガス通気評価用の収納容器に入れ、排ガス温度を300℃に保ち、1日7時間、延べ10日間、トータル70時間の連続排ガス浄化試験を実施した。NOx浄化率は、それぞれ初期の3分の1以下の能力にまで低下した。その後、電気ヒータによって排ガスを500℃に10分間昇温した後、同じイオウ含有排ガス模擬ガスを供給して、再びNOx浄化率を測定した。その結果、比較例1の触媒の場合には、3分の2の能力にまでしか再生しなかったのに対して、実施例1の触媒の場合はほぼ90%の能力にまで回復した。さらに、それぞれ分解して触媒に残存しているイオウの定量分析を行った所、実施例1の触媒のイオウ残存量が、比較例1の触媒に比べて圧倒的に少ないことが判明した。これらの結果により、本発明の実施の形態1の排ガス浄化触媒およびそのイオウ被毒再生方法の効果が実証された。
【0044】
実施例2.
本実施例は、金属製のハニカムを用いた上記実施の形態2の具体例である。
【0045】
まず、触媒Aを100g、固体電解質としてイットリア安定化ジルコニア(ZrO2−Y2O3)の粉末20gおよびニッケル微粉末20gを混合し、混合粉末を作製した。
【0046】
次に、精製水に、この混合粉末を加え、バインダーとしてキャスタパルD(ビスタケミカル社製)を用いてスラリー化し、このスラリーをウオッシュコート法によってFe−Al−Cr合金製の金属ハニカムにコーティングし、250℃で乾燥した後、600℃で20分間焼成してコート層を形成し、排ガス浄化触媒を作製した。
【0047】
比較例2.
まず、触媒Aを100gを精製水に加え、固体電解質としてイットリア安定化ジルコニア(ZrO2−Y2O3)の粉末20gを混合し、混合粉末を作製した。
【0048】
次に、精製水に、この混合粉末を加え、バインダーとしてキャスタパルD(ビスタケミカル社製)を用いてスラリー化し、このスラリーをウオッシュコート法によってFe−Al−Cr合金製の金属ハニカムにコーティングし、250℃で乾燥した後、600℃で20分間焼成してコート層を形成し、比較例の排ガス浄化触媒とした。なお、触媒Aの塗布量が実施例と同程度になるように調整した。
【0049】
[排ガスからのNOx除去試験]
上記実施例2および比較例2の排ガス浄化触媒を、実施例1の触媒の場合と同様の試験を実施した。
【0050】
実施例2および比較例2の排ガス浄化触媒をそれぞれ排ガス通気評価用の収納容器に入れ、排ガス温度を300℃に保ち、1日7時間、延べ12日間、トータル84時間の連続排ガス浄化試験を実施した。NOx浄化率は、それぞれ初期の3分の1以下の能力にまで低下した。その後、電気ヒータによって排ガスを500℃に10分間昇温した後、同じイオウ含有排ガス模擬ガスを供給して、再びNOx浄化率を測定した。
【0051】
その結果、比較例2の排ガス浄化触媒の場合には、3分の2の能力にまでしか再生しなかったのに対して、実施例2の排ガス浄化触媒の場合はほぼ90%の能力にまで回復した。
【0052】
さらにそれぞれ分解して排ガス浄化触媒に残存しているイオウの定量分析を行った所、実施例2の排ガス浄化触媒のイオウ残存量は、比較例2の排ガス浄化触媒に比べて圧倒的に少ないことが判明した。これらの結果により、本発明の実施の形態2の排ガス浄化触媒およびそのイオウ被毒再生方法の効果が実証された。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係る第1の排ガス浄化触媒のイオウ被毒の再生方法によれば、窒素酸化物、還元物質及びイオウ酸化物を含む排ガス中の上記窒素酸化物を還元し、上記還元物質を酸化して上記排ガスを浄化する排ガス浄化触媒におけるイオウ被毒の再生方法であり、金属触媒を担体Aに担持した触媒Aと、貴金属以外の電子伝導性物質と、400℃以上の温度でイオン伝導性を発揮する物質とを含む混合物を担体Bに塗布してなる排ガス浄化触媒を用いて上記排ガスを浄化し、該排ガスの浄化に用いた排ガス浄化触媒を加熱手段によって一時的に500℃以上の温度に上昇させ、上記電子伝導性物質を介して電子を移動させるとともに、上記イオン伝導性物質を介してイオンを移動させることにより、上記触媒Aに吸着したイオウ化合物の還元反応と上記還元剤の酸化反応とを電気化学的に行うものであるので、還元剤の電気化学的酸化反応がイオウ被毒の少ない金属触媒で起こり、イオウ化合物の電気化学的還元反応がイオウ被毒の著しい金属触媒で起こるという役割分担が可能になり、従来、触媒表面がイオウ化合物に覆われて還元剤が触媒表面に到達できないようなイオウ被毒の著しい金属触媒も再生させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1による排ガス浄化触媒のイオウ被毒再生の作用を示す模式図である。
【図2】 実施の形態2による排ガス浄化触媒のイオウ被毒再生の作用を示す模式図である。
【図3】 従来の排ガス浄化用触媒のイオウ被毒再生の作用を示す模式図である。
【符号の説明】
1 イオウ被毒の少ない触媒粒子、2 イオウ被毒の著しい触媒粒子、3 担体、
4 電子伝導物質、5 イオン伝導物質、6 金属ハニカム。
Claims (3)
- 窒素酸化物、還元物質及びイオウ酸化物を含む排ガス中の上記窒素酸化物を還元し、上記還元物質を酸化して上記排ガスを浄化する排ガス浄化触媒におけるイオウ被毒の再生方法であり、金属触媒を担体Aに担持した触媒Aと、貴金属以外の電子伝導性物質と、400℃以上の温度でイオン伝導性を発揮する物質とを含む混合物を担体Bに塗布してなる排ガス浄化触媒を用いて上記排ガスを浄化し、該排ガスの浄化に用いた排ガス浄化触媒を加熱手段によって一時的に500℃以上の温度に上昇させ、上記電子伝導性物質を介して電子を移動させるとともに、上記イオン伝導性物質を介してイオンを移動させることにより、上記触媒Aに吸着したイオウ化合物の還元反応と上記還元剤の酸化反応とを電気化学的に行うことを特徴とするイオウ被毒の再生方法。
- 上記担体Bは、電子伝導体からなることを特徴とする請求項1記載のイオウ被毒の再生方法。
- 上記貴金属以外の電子伝導性物質は、ニッケルであることを特徴とする請求項1または2記載のイオウ被毒の再生方法。
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