JP3756713B2 - シリンダーヘッド用メタルガスケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関のシリンダーブロックとシリンダーヘッドとの間に介挿されるシリンダーヘッド用メタルガスケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリンダーヘッド用メタルガスケットとしては従来、例えば実開平4−71865号にて開示された、図4に断面図で示す如き構成のものが知られている。この従来のメタルガスケット1は、金属製の主板2と、金属製の副板3と、金属製の面圧調整板4とを具え、その主板2は、内燃機関のシリンダーブロックの各シリンダーボアに対応する位置に形成された主板シリンダー孔2aと、各主板シリンダー孔2aの周囲に下向きに突出するように形成された山形断面形状(いわゆるフルビード形)の主板環状ビード2bと、その主板環状ビード2bおよびその周辺部に位置する図示しない複数の主板冷却水孔を全体的に囲繞するように形成された片斜面形断面形状(いわゆるハーフビード形)の主板外周ビード2cとを有し、また上記副板3は、上記各主板シリンダー孔2aに対応して形成された副板シリンダー孔3aと、各副板シリンダー孔3aの周囲に上記主板2に向く側に折り返されて形成された、その主板2の主板環状ビード2bの山形全体と上下に重なる幅の折り返し部3bと、上記複数の主板冷却水孔に対応して形成された図示しない複数の副板冷却水孔とを有するとともに、全体的にビードのない平坦な形状に形成されて上記主板2の下側に重ね合わせられ、そして上記面圧調整板は、上記副板3の、上記折り返し部3b以外の部分と一致する平面形状を有するとともに、全体的に平坦な形状に形成されて、その副板3と上記主板2との間に介挿されており、その面圧調整板4の厚さは、副板3の、折り返し部3bの分を含まない厚さよりも薄くされている。
【0003】
かかる従来のシリンダーヘッド用メタルガスケット1は、図4に示すように、内燃機関のシリンダーブロック5とシリンダーヘッド6との間に介挿されて締め付けられることで、特にシリンダーブロック5の各シリンダーボア5aに対応する各主板シリンダー孔2aの周囲の主板環状ビード2bにより、シリンダーブロック5のシリンダーボア5aとそれに対向するシリンダーヘッド6の凹部6aとシリンダーボア5a内の図示しないピストンの頂部とが画成する燃焼室内の燃焼ガスが外部へ吹き抜けるのを防止するとともに、シリンダーブロック5とシリンダーヘッド6とに設けられて互いに連通する図示しない冷却水通路に対応する上記複数の主板冷却水孔を全体的に囲繞する主板外周ビード2cにより、冷却水が洩れ出すのを防止している。
【0004】
そしてこのシリンダーヘッド用メタルガスケット1は、主板2の主板環状ビード2bに対応する位置にて、副板3に折り返し部3bを設けることで副板3を厚くする一方、主板2の主板環状ビード2bに対応する位置以外では副板3にそれよりも薄い面圧調整板4を重ね合わせることで、主板環状ビード2bとそれ以外の部分との面圧配分を調整して主板環状ビード2bのシール性能を高めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、車両の軽量化による省燃費化のためにアルミニウム合金製エンジンが主流となり、シリンダーブロックにもアルミニウム合金製のものが多用されてきている。そしてそのようなアルミニウム合金製のシリンダーブロックの場合には、図4に示すように、シリンダーブロック5のシリンダーボアがあるべき位置に本来のシリンダーボアより一回り大きいスリーブ孔5bを形成し、そのスリーブ孔5b内に潤滑性の良い鋳鉄製スリーブ7を圧入して、その鋳鉄製スリーブ7の内側をシリンダーボア5aとすることでシリンダー内壁面の摩耗防止およびピストンの焼き付き防止を図ることが多く、かかる鋳鉄製スリーブ7は、シリンダーブロック5とシリンダーヘッド6とでメタルガスケット1を締め付ける際に反作用で押されて、図中tで沈み量を示すように、シリンダーブロック5の上端面よりも僅かに沈み込む(下降する)傾向がある。
【0006】
しかしながら上記従来のメタルガスケット1にあっては、副板3の折り返し部3aの幅が鋳鉄製スリーブ7の厚さより大きい場合に、その副板3の折り返し部3aが鋳鉄製スリーブ7を超えてシリンダーブロック5の上端面の上方まで延在してしまうことから、上記のように鋳鉄製スリーブ7が沈み込んでシリンダーブロック5の上端面と鋳鉄製スリーブ7の上端面との間に段差ができるとその段差に対応できず、シリンダーブロック5の上端面とシリンダーヘッド6の下端面との間に上記副板3の折り返し部3aが挟み込まれてしまうので、その折り返し部3aがメタルガスケット1のさらなる締め付けを妨げ、これがため、鋳鉄製スリーブ7の上端面とシリンダーヘッド6の下端面との間で主板2の主板環状ビード2bを充分に締め付けて高いシール性を得ることができないという問題があった。
【0007】
しかも上記従来のメタルガスケット1にあっては、上記折り返し部3aが鋳鉄製スリーブ7側でなく主板2側に向いていて、シリンダーブロック5と鋳鉄製スリーブ7との上端面には副板3の平坦な部分が向いているので、たとえ折り返し部3aの幅をシリンダーブロック5の上端面に掛からないように狭めても、副板3の上記平坦な部分をハーフビード状に変形させながらでなければ主板2の主板環状ビード2bを鋳鉄製スリーブ7の上端面で締め付けることができず、さらに面圧調整板4も、シリンダーブロック5の上端面とシリンダーヘッド6の下端面との間に挟み込まれて鋳鉄製スリーブ7の上端面での主板環状ビード2bの締め付けを妨げており、それゆえその主板環状ビード2bを充分に締め付けて高いシール性を得るのは困難であるという問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
この発明は、上記課題を有利に解決したメタルガスケットを提供することを目的とするものであり、この発明のシリンダーヘッド用メタルガスケットは、金属製の主板と、前記主板に重ね合わせられる金属製の副板と、を具えるシリンダーヘッド用メタルガスケットにおいて、前記主板が、内燃機関のシリンダーブロックの各シリンダーボアに対応する位置に形成された主板シリンダー孔と、前記各主板シリンダー孔の周囲に形成された山形断面形状の主板環状ビードと、前記各主板環状ビードの周辺部に形成された複数の主板冷却水孔と、前記主板環状ビードおよび前記複数の主板冷却水孔を全体的に囲繞する位置に形成された片斜面形断面形状の主板外周ビードとを有し、前記副板が、前記主板の各主板シリンダー孔に対応して形成された副板シリンダー孔と、前記各副板シリンダー孔の周囲に前記主板に向く側と反対の側に折り返されて形成された、少なくとも前記主板の主板環状ビードの山形全体と上下に重なる幅を持つ折り返し部と、前記折り返し部に前記主板の主板環状ビードと対向するとともにその主板環状ビードの突出方向と逆の方向に突出するように形成された山形断面形状の副板環状ビードと、前記主板の複数の主板冷却水孔に対応して形成された複数の副板冷却水孔と、前記主板の主板外周ビードと対向するとともにその主板外周ビードの傾斜方向と逆の方向に傾斜するように形成された副板外周ビードとを有し、前記副板の前記折り返し部の幅が、前記シリンダーブロックの各スリーブ孔に嵌め込まれて前記各シリンダーボアを画成するスリーブの厚さと等しいかまたはそれより狭くされていることを特徴とするものである。
【0009】
かかるシリンダーヘッド用メタルガスケットにあっては、内燃機関のシリンダーブロックとシリンダーヘッドとの間に介挿されて締め付けられることで、特にシリンダーブロックの各シリンダーボアに対応する各主板シリンダー孔の周囲の山形断面形状の主板環状ビードと、その主板環状ビードに対向するとともにその主板環状ビードの突出方向と逆の方向に突出するように形成された山形断面形状の各副板環状ビードとが、シリンダーブロックのシリンダーボアとそれに対向するシリンダーヘッドの凹部とシリンダーボア内のピストンの頂部とが画成する燃焼室内の燃焼ガスが外部へ吹き抜けるのを防止し、またシリンダーブロックとシリンダーヘッドとに設けられて互いに連通する冷却水通路に対応する複数の主板冷却水孔を全体的に囲繞する主板外周ビードと、その主板外周ビードに対応して形成されて、複数の主板冷却水孔に対応して形成された複数の副板冷却水孔を全体的に囲繞する副板外周ビードとが、冷却水が洩れ出すのを防止する。
【0010】
そしてこのシリンダーヘッド用メタルガスケットにあっては、主板の主板環状ビードの山形全体と上下に重なる幅の、副板の折り返し部が、主板環状ビードに対応する位置で副板を厚くしており、しかもその副板の折り返し部の副板環状ビードが、主板環状ビードと重ねられて一緒に締め付けられるので、副板の板厚を適宜選択することで、主板環状ビードと主板のそれ以外の部分との面圧配分が適正に調整されて、主板環状ビードのシール性能を高めるとともに、副板環状ビード自体も高いシール性能を発揮する。
【0011】
従ってこのシリンダーヘッド用メタルガスケットによれば、主板外周ビードと副板外周ビードとのシール性を担保して冷却水の洩れ出しを防止しつつ、主板環状ビードと副板環状ビードとのシール性を高めて燃焼室内の燃焼ガスの吹き抜けを有効に防止することができる。
【0012】
しかもこのシリンダーヘッド用メタルガスケットにあっては、副板の折り返し部が主板に向く側と反対の側に折り返されて形成されるとともに、その折り返し部の幅が、シリンダーブロックの各スリーブ孔に嵌め込まれて各シリンダーボアを画成するスリーブの厚さと等しいかまたはそれより狭くされていることから、シリンダーブロックとシリンダーヘッドとの間に当該メタルガスケットが介挿されて締め付けられる際に副板の折り返し部がシリンダーブロックの上端面とシリンダーヘッドの下端面との間に挟み込まれずにスリーブの上端面に対向して位置するので、スリーブの沈み込みがあっても、その折り返し部がスリーブ上端面でのメタルガスケットの締め付けを妨げたり、副板の平坦な部分がシリンダーブロックの上端面とスリーブの上端面との段差で変形を強いられてスリーブ上端面でのメタルガスケットの締め付けを妨げたりすることがない。
【0013】
従ってこのシリンダーヘッド用メタルガスケットによれば、シリンダーブロックの上端面に対するスリーブの沈み込みがあっても、主板環状ビードと副板環状ビードとのシール性を充分高くして燃焼室内の燃焼ガスの吹き抜けを確実に防止することができる。
【0014】
なお、この発明においては、前記副板環状ビードの幅は、前記主板環状ビードの幅と同一でも良いがそれよりも狭くされていても良く、かかる幅狭い副板環状ビードによれば、その副板環状ビードと同一高さで主板環状ビードと同一幅の副板環状ビードよりもビードの斜面が急傾斜となって潰れづらくなるので、主板環状ビードと副板環状ビードとのシール性をより高めることができる。
【0015】
また、この発明においては、前記副板環状ビードの高さは、前記主板環状ビードの高さと同一でも良いがそれよりも高くされていても良く、かかるより高い副板環状ビードによれば、その副板環状ビードと同一幅で主板環状ビードと同一高さの副板環状ビードよりもビードの斜面が急傾斜となって潰れづらくなるので、主板環状ビードと副板環状ビードとのシール性をより高めることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明のシリンダーヘッド用メタルガスケットの一実施例を示す、後述する図2のA−A線に沿う断面図、また図2は、その実施例のメタルガスケットを示す平面図であり、図中、図4に示すと同様の部分はそれと同一の符号にて示す。
【0017】
すなわち、図中符号1は上記実施例のシリンダーヘッド用メタルガスケットを示し、この実施例のメタルガスケット1は、金属製の主板2と、その主板2に重ね合わせられる金属製の副板3とを具えており、具体的には、主板1は、通常のメタルガスケットの主板用に使用されているSUS−301Hステンレス鋼材からなり、また副板2は、通常のメタルガスケットのグロメットを持つ副板用に使用されているSUS−304、SUS−310S、SUS−430等の、主板用よりも伸びが大きいため折り返し部を不具合なく形成し易いステンレス鋼材からなる。
【0018】
この実施例のメタルガスケット1における主板2は、図1および図2に示すように、このメタルガスケット1が用いられる内燃機関としてのガソリンエンジンのシリンダーブロック5の、図では三つのシリンダーボア5aの各々に対応する位置に形成された主板シリンダー孔2aと、各主板シリンダー孔2aの周囲に形成されてこの実施例では下向きに突出した山形断面形状(いわゆるフルビード形)の主板環状ビード2bと、各主板環状ビード2bの周辺部に形成された複数の主板冷却水孔2dと、上記三つのは主板環状ビード2bおよびそれらの周辺部の複数の主板冷却水孔2dを全体的に囲繞する位置に形成されてこの実施例ではガスケット外方へ向かうにつれて下降した(図では左下がりとなった)片斜面形断面形状(いわゆるハーフビード形)の主板外周ビード2cとを有し、さらに、シリンダーヘッド取付けボルト用の主板ボルト孔2eや、エンジン潤滑油の流通用の主板潤滑油孔2f等を有している。なお、図2では上記主板環状ビード2bの先端部(下端部)および上記主板外周ビード2cの外方端部(下端部)を一点鎖線で示している。
【0019】
また、この実施例のメタルガスケット1における副板3は、上記主板2の各主板シリンダー孔2aひいてはシリンダーブロック5の各シリンダーボア5aに対応して形成された副板シリンダー3a孔と、各副板シリンダー孔3aの周囲に主板2に向く側と反対の側(図1では下側)に折り返されて形成された、少なくとも主板1の主板環状ビード2bの山形全体と上下に重なる幅を持つ折り返し部3bと、その折り返し部3bに主板2の主板環状ビード2bと対向するように形成されてその主板環状ビード2bの突出方向と逆の方向すなわちこの実施例では上向きに突出した山形断面形状の副板環状ビード3cと、主板2の複数の主板冷却水孔2dに対応して形成された複数の副板冷却水孔3eと、主板2の主板外周ビード2cと対向するとともにその主板外周ビード2cの傾斜方向と逆の方向すなわちこの実施例ではガスケット外方へ向かうにつれて上昇する方向(図では左上がりの方向)に傾斜するように形成された片斜面形断面形状の副板外周ビード3dとを有し、さらに、上記主板ボルト孔2eや主板潤滑油孔2f等に対応する副板ボルト孔3fや副板潤滑油孔3g等を有している。
【0020】
そしてこの実施例のメタルガスケット1では、図1に示すように、副板3の折り返し部3bの幅L1が、シリンダーブロック5の各スリーブ孔5bに嵌め込まれて各シリンダーボア5aを画成する例えば鋳鉄製のスリーブ7の厚さL2より僅かに狭くされており、また、副板環状ビード3cの幅W2が、主板環状ビード2bの幅W1よりも狭くされており、さらに副板環状ビード3cの高さH2が、主板環状ビード2bの高さH1よりも高くされている。
【0021】
かかる実施例のメタルガスケット1にあっては、上記ガソリンエンジンのシリンダーブロック5とシリンダーヘッド7との間に介挿されてシリンダーヘッド取付けボルトで締め付けられることで、特にシリンダーブロック5の各シリンダーボア5aに対応する各主板シリンダー孔2aの周囲の山形断面形状の主板環状ビード2bと、その主板環状ビード2bに対向するとともにその主板環状ビード2bの突出方向と逆の方向に突出するように形成された山形断面形状の各副板環状ビード3cとが、シリンダーブロック5のシリンダーボア5aとそれに対向するシリンダーヘッド6の凹部6aとシリンダーボア5a内の図示しないピストンの頂部とが画成する燃焼室内の燃焼ガスが外部へ吹き抜けるのを防止し、またシリンダーブロック5とシリンダーヘッド6とに設けられて互いに連通する図示しない冷却水通路に対応する複数の主板冷却水孔2dを全体的に囲繞する主板外周ビード2cと、その主板外周ビード2cに対応して形成されて、複数の主板冷却水孔2dに対応して形成された複数の副板冷却水孔3eを全体的に囲繞する副板外周ビード3dとが、冷却水が洩れ出すのを防止する。
【0022】
そしてこの実施例のメタルガスケット1にあっては、少なくとも主板2の主板環状ビード2bの山形全体と上下に重なる幅L1の、副板3の折り返し部3bが、主板環状ビード2bに対応する位置で副板3を厚くしており、しかもその副板3の折り返し部3bの副板環状ビード3cが、主板環状ビード2bと重ねられて一緒に締め付けられるので、副板3の板厚を適宜選択することで、主板環状ビード2bと主板2のそれ以外の部分との面圧配分が適正に調整されて、主板環状ビード2bのシール性能を高めるとともに、副板環状ビード3c自体も高いシール性能を発揮する。
【0023】
従ってこの実施例のメタルガスケット1によれば、主板外周ビード2cと副板外周ビード3dとのシール性を担保して冷却水の洩れ出しを防止しつつ、主板環状ビード2bと副板環状ビード3cとのシール性を高めて燃焼室内の燃焼ガスの吹き抜けを有効に防止することができる。
【0024】
しかもこの実施例のメタルガスケット1にあっては、副板3の折り返し部3bが主板2に向く側と反対の側である下側に折り返されて形成されるとともに、その折り返し部3bの幅L1が、シリンダーブロック5の各スリーブ孔5bに嵌め込まれて各シリンダーボア5aを画成するスリーブ7の厚さL2より僅かに狭くされていることから、シリンダーブロック5とシリンダーヘッド6との間に当該メタルガスケット1が介挿されて締め付けられる際に副板3の折り返し部3bがシリンダーブロック5の上端面とシリンダーヘッド6の下端面との間に挟み込まれずにスリーブ7の上端面に対向して位置するので、スリーブ7の沈み込みがあっても、上記折り返し部3bがスリーブ7上端面でのメタルガスケット1の締め付けを妨げたり、副板3の平坦な部分がシリンダーブロック5の上端面とスリーブ7の上端面との段差で変形を強いられてスリーブ7上端面でのメタルガスケット1の締め付けを妨げたりすることがない。
【0025】
従ってこの実施例のメタルガスケット1によれば、シリンダーブロック5の上端面に対するスリーブ7の沈み込みがあっても、主板環状ビード2bと副板環状ビード3cとのシール性を充分高くして燃焼室内の燃焼ガスの吹き抜けを確実に防止することができる。
【0026】
そして、この実施例のメタルガスケット1によれば、副板環状ビード3cの幅W2が、主板環状ビード2bの幅W1よりも狭くされており、また副板環状ビード3cの高さH2が、主板環状ビード2bの高さH1よりも高くされていることから、その幅狭で高さの高い副板環状ビード3cが、主板環状ビード2bと同一幅で同一高さの副板環状ビードよりもビードの斜面が急傾斜となって潰れづらくなっているので、主板環状ビード2bと副板環状ビード3cとのシール性をより高めることができる。
【0027】
図3は、この発明のシリンダーヘッド用メタルガスケットの他の一実施例を示す、上記図2のA−A線に沿う断面図であり、図中、図4に示すと同様の部分はそれと同一の符号にて示す。
【0028】
この実施例のメタルガスケット1は、先の実施例に対して主板環状ビード2bと副板環状ビード3cとの突出方向が逆になっている点および主板外周ビード2cと副板外周ビード3dとの傾斜方向が逆になっている点のみ、先の実施例と異なっているものであり、かかる実施例のメタルガスケット1によっても、先の実施例と同様の作用効果をもたらすことができる。
【0029】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、上記実施例では副板環状ビード3cの幅を主板環状ビード2bよりも狭めるとともに副板環状ビード3cの高さ主板環状ビード2bよりも高くしたが、副板環状ビード3cの幅と高さとの一方あるいは両方を主板環状ビード2bと同一にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のシリンダーヘッド用メタルガスケットの一実施例を示す、図2のA−A線に沿う断面図である。
【図2】 上記実施例のメタルガスケットを示す平面図である。
【図3】 この発明のシリンダーヘッド用メタルガスケットの他の一実施例を示す、図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】 従来のシリンダーヘッド用メタルガスケットの、図2のA−A線に沿う位置と同様位置での構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダーヘッド用メタルガスケット
2 主板
2a 主板シリンダー孔
2b 主板環状ビード
2c 主板外周ビード
2d 主板冷却水孔
2e 主板ボルト孔
2f 主板潤滑油孔
3 副板
3a 副板シリンダー孔
3b 折り返し部
3c 副板環状ビード
3d 副板外周ビード
3e 副板冷却水孔
3f 副板ボルト孔
3g 副板潤滑油孔
4 面圧調整板
5 シリンダーブロック
5a シリンダーボア
5b スリーブ孔
6 シリンダーヘッド
6a 凹部
7 スリーブ
H1 主板環状ビード高さ
H2 副板環状ビード高さ
L1 折り返し部幅
L2 スリーブ厚さ
W1 主板環状ビード幅
W2 副板環状ビード幅
Claims (3)
- 金属製の主板(2)と、前記主板に重ね合わせられる金属製の副板(3)と、を具えるシリンダーヘッド用メタルガスケット(1)において、
前記主板が、内燃機関のシリンダーブロック(5)の各シリンダーボア(5a)に対応する位置に形成された主板シリンダー孔(2a)と、前記各主板シリンダー孔の周囲に形成された山形断面形状の主板環状ビード(2b)と、前記各主板環状ビードの周辺部に形成された複数の主板冷却水孔(2d)と、前記主板環状ビードおよび前記複数の主板冷却水孔を全体的に囲繞する位置に形成された片斜面形断面形状の主板外周ビード(2c)とを有し、
前記副板が、前記主板の各主板シリンダー孔に対応して形成された副板シリンダー(3a)孔と、前記各副板シリンダー孔の周囲に前記主板に向く側と反対の側に折り返されて形成された、少なくとも前記主板の主板環状ビードの山形全体と上下に重なる幅を持つ折り返し部(3b)と、前記折り返し部に前記主板の主板環状ビードと対向するとともにその主板環状ビードの突出方向と逆の方向に突出するように形成された山形断面形状の副板環状ビード(3c)と、前記主板の複数の主板冷却水孔に対応して形成された複数の副板冷却水孔と、前記主板の主板外周ビードと対向するとともにその主板外周ビードの傾斜方向と逆の方向に傾斜するように形成された副板外周ビード(3d)とを有し、
前記副板の前記折り返し部の幅(L1)が、前記シリンダーブロック(5)の各スリーブ孔(5b)に嵌め込まれて前記各シリンダーボア(5a)を画成するスリーブ(7)の厚さ(L2)と等しいかまたはそれより狭くされていることを特徴とする、シリンダーヘッド用メタルガスケット。 - 前記副板環状ビード(3c)の幅(W2)が、前記主板環状ビード(2b)の幅(W1)よりも狭くされていることを特徴とする、請求項1記載のシリンダーヘッド用メタルガスケット。
- 前記副板環状ビード(3c)の高さ(H2)が、前記主板環状ビード(2b)の高さ(H1)よりも高くされていることを特徴とする、請求項1または2記載のシリンダーヘッド用メタルガスケット。
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