JP3756097B2

JP3756097B2 - 密閉型電池

Info

Publication number: JP3756097B2
Application number: JP2001306655A
Authority: JP
Inventors: 実寺田; 宏幸鈴木
Original assignee: Ｎｅｃトーキン栃木株式会社
Priority date: 2001-10-02
Filing date: 2001-10-02
Publication date: 2006-03-15
Anticipated expiration: 2021-10-02
Also published as: JP2003115286A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉型電池に関し、特に電池缶の極性と異なる極性の電池端子を絶縁性部材を介して設けた電池ヘッダーを取り付けた密閉性が優れた密閉型電池に関する。
【０００２】
【従来の技術】
小型の電子機器用の電源として各種の電池が用いられており、携帯電話、ノートパソコン、カムコーダ等の電源として、小型で大容量の密閉型電池が用いられており、高容量のリチウム電池やリチウムイオン二次電池等の非水電解液を使用した密閉型電池が用いられている。
機器の小型化に対応して、円筒型電池に加えて、小さな空間を有効に利用することができる角型の密閉式電池がひろく用いられている。角型電池においては、電池の一方の電極として作用する電池缶と絶縁性部材によって隔離した電極端子が取り付けられている。
【０００３】
図２に、角型の密閉型電池および電池ヘッダー一例を説明する図を示す。
図２（Ａ）に示すように、密閉型電池１は、ステンレス鋼、ニッケルめっきを表面に施した軟鋼等からなる角筒状の金属容器２（以下、電池缶とも称す）に、正極電極および負極電極をセパレータを介して積層したものを巻回した電池要素が収納されており、電池缶２の上端には、金属板３に、外部絶縁板４Ａ、正極側の電極引出板５を、正極側の電極導出ピン６によって一体化して構成した電池ヘッダー７を電池缶２の開口部に取り付けて封口したものであり、電池ヘッダー７の一部には、電池の内部圧力の異常な上昇時に圧力を開放するために他の部分よりも肉厚が薄い薄肉部８、電解液を注液し、電解液の注液後に封口する小孔９が設けられており、小孔９から電解液を注入した後にステンレス鋼等の金属からなる部材を埋め込み、溶接して封口している。
【０００４】
図２（Ｂ）に電池ヘッダーの分解斜視図、図２（Ｃ）に断面図を示すように、ステンレス鋼、ニッケルめっきを施した軟鋼板等からなる金属板３に設けた貫通孔１０に下部よりポリプロピレン、フッ素樹脂等からなる内部絶縁板４Ｂを取り付け、上部には外部絶縁板４Ａを載置して、絶縁性部材４を形成したものである。そして、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の導電性の良好な金属からなるつば部６Ａを有する電極導出ピン６を内部絶縁板４Ｂに設けた孔を貫通させ、電極引出板５を装着して、電極導出ピンのつば部６Ａと柱状部６Ｂの先端を上下からかしめることによって電池ヘッダー７が形成される。
作製された電池ヘッダー７の電極導出ピン６のつば部６Ａに、電池要素に接合し絶縁性部材１１で被覆された導電タブ１２を接合した後に電池缶の開口部に嵌合させて周囲をレーザー溶接を行って封口される。
【０００５】
電池ヘッダーの組立時に電極導出ピン６はかしめによって押し潰されて、電極引出板５の平面と接触し、電極導出ピンと正極引出板５との間に導電接続が形成されるとともに、かしめによって押し潰された正極導出ピンは膨らんで絶縁性部材の平板状の表面および円筒状の壁面に均一に押し付けられて封口が行われる。ところが、このような密閉型電池には、電極導出ピンの部分での封口特性が不充分なものや、経時的に劣化をするものがあった。
【０００６】
図３は、電池ヘッダー部を示す図であり、図３（Ａ）は電池ヘッダーの中心部の平面図であり、図４（Ｂ）は、中心部を拡大した断面図である。
電池ヘッダー７は、電極導出ピン６を上下からかしめて押し潰されるが、押し潰しの際に加わる加圧力Ａによって、電極導出ピン６は押し潰されるとともに、柱状部６Ｂには、半径方向への膨張力Ｂが作用する。膨張力Ｂによって内部絶縁板４Ｂは、ｂ方向へ押し出される。その結果、肉厚が薄い部材によって作製された外部絶縁板４Ａは外側方向Ｃへ逃げるようになり、内部絶縁板４Ｂと外部絶縁板４Ａの接触面１３の密着性が不充分となり、電池内部の気密性が不充分なものとなったり、両絶縁板の間に電解液等が浸入して、異種の極性の部材からなる電池ヘッダーの金属板３と電極引出端子５との間に電気的な回路が形成されて絶縁が破壊されるという問題点があった。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電極導出ピンをかしめて封止した電極封止構造を有する電池において、絶縁性、気密性に優れ、電極導出ピンと電極引出板との導電接触が良好で、経時的な変化が小さく信頼性が高い密閉型電池を提供することを課題とするものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、電池缶の極性と異種の極性の電極引出板を、金属板の貫通孔に装着した絶縁性部材に電極導出ピンを貫通させてかしめて固着した電池ヘッダーを有する密閉型電池において、電池ヘッダーの金属板の電池缶の内部側の面に装着される内部絶縁板と、電池ヘッダーの金属板の電池缶の外部側に装着される外部絶縁板の接触面が電極導出ピンの軸となす角度が傾斜した密閉型電池によって解決することができる。
接触面は、電池ヘッダーの金属板に設けた貫通孔内部に位置する前記の密閉型電池である。
外部絶縁板は、電池ヘッダーの金属板に設けた凹所に取り付けた前記の密閉型電池である。
リチウムイオン電池である前記の密閉型電池である。
【０００９】
【発明の実施の形態】
本発明の密閉型電池は、金属板の両面に配置した絶縁性部材に電極導出ピンを貫通させた後に、電極導出ピンをかしめて電極引出板を一体化した電池ヘッダーにおいて、二つの絶縁性部材の間の接触面を電極導出ピンの軸となす角度が傾斜したものとすることにより、電極導出ピンのかしめに使用する加圧力、および電極導出ピンの膨張力を、内部絶縁板と外部絶縁板との間の接触面に作用する力として有効に利用することができ、二つの絶縁性部材の間の接触面には、空隙等が生じることはなく、電気的絶縁性の確保と電池内部の気密性の確保を確実に可能とすることが可能な密閉型電池の提供が可能であることを見いだしたものである。
【００１０】
以下に図面を参照して本発明を説明する。
図１は、本発明の密閉型電池の電池ヘッダーを説明する図であり、図１（Ａ）は、電池ヘッダーの一実施例を説明する断面図であり、図１（Ｂ）は、図１（Ａ）における中心部を拡大して示す図であり、図１（Ｃ）は他の実施例を説明する図である。
図１（Ａ）に示すように、密閉型電池を構成する電池ヘッダー７の金属板３には、上下から外部絶縁板４Ａ、内部絶縁板４Ｂからなる絶縁性部材４を配置し、外部絶縁板４Ａの上部に電極引出板５を設けて電極導出ピン６を、つば部６Ａと柱状部６Ｂに加圧力を加えてかしめることによって封口して一体化したものである。
外部絶縁板４Ａと内部絶縁板４Ｂは、金属板３の貫通孔１０の部分において設けた傾斜接触面１４によって接触している。
【００１１】
図１（Ｂ）に示すように、加圧力Ａによって電極導出ピン６が押し潰され、加圧力Ａは傾斜接触面１４を密着させる力として作用するとともに、加圧力Ａによって電極導出ピン６に発生する膨張力Ｂは、金属板３の貫通孔１０に位置する傾斜接触面１４に作用し、傾斜面の密着性を保持する力として作用する。
傾斜接触面１４が貫通孔１０に位置しているので、傾斜接触面１４に作用した膨張力は、金属板３の貫通孔１０の壁面において確実に受け止められるので、加圧力Ａによって外部絶縁板が外部方向Ｃへ逃げる方向への力は作用せず安定した密着性が保持される。
【００１２】
更に、図１（Ｃ）に示すように、傾斜接触面は、傾斜面の傾斜方向を図１（Ａ）に示したものと逆方向に形成したものであっても良く、同様の封口特性を実現することができる。
傾斜接触面が電極導出ピンの軸となす角度は、２０ないし４５°であることが好ましく、３０°ないし４０°であることが好ましい。
【００１３】
また、図１（Ａ）ないし図１（Ｃ）に示した例では、いずれも電池ヘッダー７の金属板３には、電池缶の内部へ向かって凹所１５が形成されており、凹所１５に外部絶縁板４Ａが嵌合されているので、電極導出ピンをかしめた際には外部絶縁板４Ａの外縁部が凹所１５によって移動を制限されるので、絶縁板の位置決め精度を高めることができる。また、凹所に電極引出端子が取り付けられるので、電極引出端子の電池の端面からの突出量が小さくなるという特徴も得られる。
【００１４】
内部絶縁板および外部絶縁板は、ポリプロピレン、あるいはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体（ＰＦＡ）、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体（ＦＥＰ）等の熱可塑性フッ素樹脂等を挙げることができる。
【００１５】
電池ヘッダーの外面に位置する外部絶縁板４Ａの上面に設ける電極引出板としては、ニッケル板、ニッケルめっきを施した軟鋼板、銅板、洋白板等を用いることができる。
また、これらの電極引出板としては、表面に更にめっきを施したものが好ましい。めっきは、電極引出板と電極導出ピンとの接触抵抗を低下させる効果と共に、電極端子部に付着した電解液によって電極端子部の化学的な腐食および接触電位差による電気化学的な溶出および腐食を防止する点で有効である。
電極引出板にめっきする金属としては、金等の貴金属、銀、錫等を挙げることができるが、とくに耐食性が大きな金等の貴金属を用いて行うことが好ましい。
【００１６】
また、電極導出ピンとしては、アルミニウムまたはその合金からなる金属素材を電極導出ピンの形状に加工後に焼き鈍しを行ったものを用いることが好ましい。電極導出ピンは焼き鈍しによって、かしめの際の変形が均一となるとともに、また表面硬度が低下し、表面のひび割れ等も生じにくくなったことによって絶縁性部材との間の密閉性等が良好とものとなる。
【００１７】
電極導出ピンは焼き鈍しによって一時的に硬度が低下するが、かしめ加工によって加えられた衝撃によって加工硬化が起こるので、かしめ後の電極導出ピンは、焼き鈍し加工を行っていないものと同様の硬度を示すので、封口特性の低下、あるいは電極導出ピンのかしめ強度の低下が生じることはない。
【００１８】
【発明の効果】
本発明の密閉型電池は、金属板に形成した貫通孔に装着した絶縁性部材に電極導出ピンを貫通させるとともにかしめて、電池ヘッダーの気密と外部接続端子の形成を行った電池ヘッダーにおいて、金属板の外側と内側から装着する絶縁性部材の接触面として、電極導出ピンの軸となす角度が傾斜した傾斜接触面を形成したので、電極導出ピンを押圧した際の加圧力によって両者の間に空隙等が形成されることがなく、両者の間での密閉性の保持され、電気的絶縁性が大きく、また信頼性の高い密閉型電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は、本発明の密閉型電池の電池ヘッダーを説明する図である。
【図２】図２に、角型の密閉型電池の一例を説明する図を示す。
【図３】図３は、電池ヘッダー部を示す図である。
【符号の説明】
１…密閉型電池、２…金属容器、３…金属板、４…絶縁性部材、４Ａ…外部絶縁板、４Ｂ…内部絶縁板、５…電極引出板、６…電極導出ピン、６Ａ…つば部、６Ｂ…柱状部、７…電池ヘッダー、８…薄肉部、９…小孔、１０…貫通孔、１１…絶縁性部材、１２…導電タブ、１３…接触面、１４…傾斜接触面、１５…凹所、Ａ…加圧力、Ｂ…膨張力、Ｃ…外側方向

Claims

電池缶の極性と異種の極性の電極引出板を、金属板の貫通孔に装着した絶縁性部材に電極導出ピンを貫通させてかしめて固着した電池ヘッダーを有する密閉型電池において、電池ヘッダーの金属板の電池缶の内部側の面に装着される内部絶縁板と、電池ヘッダーの金属板の電池缶の外部側に装着される外部絶縁板との接触面が、電極導出ピンの軸となす角度が傾斜したことを特徴とする密閉型電池。