JP3754993B2 - メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌の判別方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌の判別方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤と組あわせて用いたβ−ラクタム薬により形成される阻止円により、簡便にメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌か否かを判別できる方法に関する。さらに本発明は、本発明の方法に用いるキット及びこのキットを用いたメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌の判別方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決すべき課題】
メタロ−β−ラクタマーゼを産生することにより、ペニシリンからセフェム、セファマイシン、カルバペネムに至るまでの幅広い範囲のβ−ラクタム薬に耐性を獲得した緑膿菌やセラチアなどのグラム陰性桿菌が各地の医療設備から分離され問題となっている。メタロ−β−ラクタマーゼをプラスミド性に産生する菌は、これまでわが国でのみ分離されてきたが、最近、英国においても分離され、海外の専門家の間でも関心が高まりつつある。
【0003】
メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌は、セファロスポリナーゼ過剰産生株などと類似の薬剤耐性パターンを示すが、後者がカルバペネムに感受性を示すのに対し、前者は、当初カルバペネム薬に感受性を示している株も、カルバペネム薬の存在下で酵素の産生が誘導され、やがてカルバペネム薬に耐性を示すようになる。従って、有効かつ適正な化学療法を実施する上で、両者を早期に識別できる検査方法の確立が必要となっていた。
【0004】
メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌は、第3世代セフェム、セファマイシンに高度耐性を示し、カルバペネムにも低度〜高度耐性を示す。しかし、同様に第3世代セフェムに高度耐性を示すセファロスポリナーゼ過剰産生株などとメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を病院の検査室において日常的に実施されている薬剤感受性試験や酵素学的な検査方法(βチェックなど)により識別することはこれまでは不可能であった。PCR法によるメタロ−β−ラクタマーゼ遺伝子を検出する方法以外に確実にメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を判別する方法はなかった。
【0005】
そこで本発明の目的は、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を判別する方法であって、病院の検査室においても実施することが可能な程簡便な方法を提供することにある。
さらに本発明は、上記方法を利用して、より簡便にメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を判別する方法を実施できるキット及びこのキットを用いたメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を判別する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決すべき手段】
本発明は、検出対象である菌が塗布された固体培地の表面に、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を点在させ、さらに、この阻害剤からの距離が異なる2箇所にβ−ラクタム薬を点在させ、上記固体培地を培養し、培養後、上記2箇所のβ−ラクタム薬の周囲に形成される阻止円の違いにより、検出対象である菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌か否かを判別する方法に関する。
さらに本発明は、β−ラクタム薬を含有する2つのディスク及びメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるための1つのディスクを、ストリップ状の基体に1列に配置し、かつ上記メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクが列の一端になるようにしたことを特徴とするメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌判別用キットに関する。
加えて本発明は、上記本発明のキットのメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクに、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させ、このキットを検出対象である菌が塗布された固体培地の表面に置き、培養を行い、培養後、2つあるβ−ラクタム薬のディスクの周囲に形成される阻止円の違いにより、検出対象である菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌か否かを判別する方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は、固体培地を用い、形成された阻止円により、検出対象である菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌か否かを判別する方法である。本発明に用いられる固体培地は、通常の薬剤耐性試験等に汎用されている固体培地でよい。固体培地は、例えば、炭素源、窒素源等の栄養分を含む寒天培地であることができる。そのような固体培地としては、例えばミュラーヒントン寒天培地(Difco社)等を挙げることができる。
【0008】
上記固体培地の表面に検出対象である菌を塗布する。固体培地表面への菌の塗布方法や条件等は、薬剤耐性試験等で採用されているものをそのまま使用できる。例えば、日本化学療法学会標準法またはNCCLSで定められた寒天平板希釈法で指定されている方法を用い、ミュラーヒントン寒天培地に菌を塗布することができる。
【0009】
次いで、検出対象である菌が塗布された固体培地の表面に、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤(1箇所)とβ−ラクタム薬(2箇所)とを点在させる。各薬剤の点在には、具体的には、β−ラクタム薬を含有するディスクとメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有するディスクを用いることが適当である。β−ラクタム薬を含有するディスクは、市販品があり、これを用いることができる。また、β−ラクタム薬は、治療薬として市販されているものから適宜選択することが出来、例えば、第3世代セェフェム薬、セファマイン薬、カルバペネム薬等であることができる。また、第3世代セェフェム薬、セファマイン薬、カルバペネム薬としては、例えば、セフタジジム、セフピロム、ラタモキセフ、セフメノキシム、イミペネム等を挙げることができる。但し、これらの薬剤に限定される意図ではない。β−ラクタム薬であればいずれでも良い。尚、ディスクとして市販品がない場合でも、適当な寸法及び形状の濾紙にβ−ラクタム薬を、必要により、溶媒を用いて含浸させることで作成することができる。
【0010】
メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有するディスクは、適当な寸法及び形状の濾紙にメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含浸させることで作成することができる。メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤は、メタロ−β−ラクタマーゼに対して阻害効果を有する薬剤から適宜選択することができる。メタロ−β−ラクタマーゼに対して阻害効果を有する薬剤としては、例えば、有機チオール化合物等の含硫黄化合物、亜鉛(メタロ−β−ラクタマーゼが活性部位に有する金属)に対するキレート剤(例えば、EDTA等)、や金属化合物(例えば、HgCl2、FeCl2、CuCl2、Fe(OH)3 等の塩)を挙げることができる。但し、固体培地表面での拡散性や培地の成分に対して不活性であることから、有機チオール化合物であることが好ましい。有機チオール化合物としては、例えばメルカプト酢酸やメルカプトフロピオン酸等を挙げることができる。但し、これら以外の有機チオール化合物等の含硫黄化合物からも、固体培地表面での拡散性や培地の成分に対して不活性であることを考慮して、適当な化合物を適宜選択することができる。
【0011】
β−ラクタム薬及びメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の点在量は、各薬剤の固体培地表面での拡散性や培養時間(拡散時間)、さらにはメタロ−β−ラクタマーゼに対する阻害効果の強度等を考慮して適宜決定できる。例えば、β−ラクタム薬の場合、セフタジジムでは点在量を30〜50μgの範囲とすることが適当であり、またメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の場合、メルカプト酢酸やメルカプトフロピオン酸では、原液を2〜5μgの範囲とすることが適当である。但し、これらはあくまでも目安であり、検査対象とする菌の種類に応じて、β−ラクタム薬の周囲に形成される阻止円の形状や大きさ等を考慮して適宜変化させることができる。
【0012】
β−ラクタム薬の2箇所の点在位置は、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤からの距離が異なるようにする。より具体的には、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤に近い方のβ−ラクタム薬は、このβ−ラクタム薬が培養期間中に拡散する範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤が拡散する範囲とが重複する位置に置かれ、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤から遠い方のβ−ラクタム薬は、このβ−ラクタム薬が培養期間中に拡散する範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤が拡散する範囲とが重複しない位置に置かれる。好ましくは、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤に近い方のβ−ラクタム薬を、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲内に置く。
【0013】
β−ラクタム薬及びメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲は、各薬剤の種類と点在量、及び培養条件(主に時間)により変化するので、使用する薬剤の種類と点在量及び培養条件から予め求めておくことができる。例えば、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤に近い方のβ−ラクタム薬とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤との距離は、例えば、0.5〜2cm程度とし、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤から遠い方のβ−ラクタム薬とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤との距離は、固体培地を収納する容器(例えば、シャーレー)の大きさにもよるが、開口径が9cmのシャーレーの場合例えば、3〜6cm程度とすることができる。
【0014】
メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤及びβ−ラクタム薬を表面に置いた固体培地は、培養される。培養条件は、例えば、35〜37℃、12〜36時間の範囲とすることができる。但し、培養条件、特に時間は、上記薬剤の拡散範囲との兼ね合いを考慮して適宜決定する。
【0015】
上記培養により、固体培地表面に置かれたβ−ラクタム薬及びメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤は、固体培地表面及び内部を拡散する。対象とする菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌である場合、この菌は、メタロ−β−ラクタマーゼを産生することによりβ−ラクタム薬に耐性を示す。従って、固体培地表面にβ−ラクタム薬だけを置いたのでは、阻止円は観察されないか、観察されても、ディスクに近接した小さな阻止円が形成されるだけである。即ち、β−ラクタム薬とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤との拡散範囲が重複しない位置にあるβ−ラクタム薬の周囲には、検査対象がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌である場合には、阻止円は観察されないか、観察されても、ディスクに近接した小さな阻止円が形成されるだけである。これは、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌が産生するメタロ−β−ラクタマーゼの作用により、β−ラクタム薬だけでは菌の生育がほとんどまたは全く妨げられないためである。ところが、β−ラクタム薬とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤との拡散範囲が重複する位置にあるβ−ラクタム薬の周囲には、対象とする菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌であっても大きな阻止帯が観察される。これは、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤により、メタロ−β−ラクタマーゼの活性が阻害され、その結果、β−ラクタム薬が菌の生育を妨げることができるようになったためである。ここで観察される阻止帯の形状は、β−ラクタム薬の拡散範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲との重複の程度により変化する。重複範囲が広い場合には、円形になる場合(後述の図1中の(3))があるが、そうでない場合には、歪んだ形(後述の図1の(1)及び(2))になる。しかし、いずれの場合にも、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲と重複しない位置にあるβ−ラクタム薬の周囲に形成される(形成されない場合もあるが)阻止円とは大きさの違いから明確に区別できる。
【0016】
一方、検査対象がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌でない場合には、2つの場合がある。β−ラクタム薬が菌の生育を妨げ、大きめの阻止円を形成する菌(例えば、ペニシリナーゼ産生菌等の菌)である場合とメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌ではないが、β−ラクタム薬によっては菌の生育が妨げられず阻止円が形成されない場合(例えば、クラスCβ−ラクタマーゼ産生菌、ESBL産生菌等の菌の場合)である。前者は、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌でないので、β−ラクタム薬のみの薬剤耐性試験で判別できる。即ち、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を併用しないβ−ラクタム薬の周囲に大きな阻止円が形成され、判別できる。しかし、後者は、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を併用せずにβ−ラクタム薬のみを使用した薬剤耐性試験ではメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌であるのか否かは判別できない。それに対して本発明の方法では、この判別が可能となる。
【0017】
この点を図1に示す図面に代わる写真を用いてさらに説明する。
図中の左側の3つは、検査対象となる菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌(上から、(1)IMP-1(プラスミド性メタロ−β−ラクタマーゼ)産生セラチア・マルセセンス(S.marcescens)、(2)IMP-1産生クレブシエラ・ニューモニアエ (K.pneumoniae)(肺炎桿菌)、(3)IMP-1産生緑膿菌)である。一方、右側の3つは、検査対象となる菌が上から(4)AmpC過剰産生セラチア・マルセセンス(S.marcescens)、(5)SHV-5a産生クレブシエラ・ニューモニアエ(K.pneumoniae)、(6)AmpC過剰産生緑膿菌である。また、固体培地を敷きつめたシャーレー上の上方左側にあるディスクはメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤含有ディスクである。シャーレー上の下方と上方右側にあるディスクは、β−ラクタム薬含有ディスクであり、下方のディスクは、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲外にあり、かつβ−ラクタム薬の拡散範囲とも重複しない。上方右側にあるβ−ラクタム薬含有ディスクは、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲内にある。
【0018】
メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌である(1)〜(3)では、シャーレー上の下方のβ−ラクタム薬含有ディスク周辺に阻止円は形成されていない。それに対して上方のメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤含有ディスクと隣接して置かれたβ−ラクタム薬含有ディスクには阻止帯が観察され、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤含有ディスクに阻止円が現れている。このように、β−ラクタム薬の拡散範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲とが重複する位置に置かれたβ−ラクタム薬(上方のディスク)の周囲に阻止帯が観察され、β−ラクタム薬の拡散範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲とが重複しない位置に置かれたβ−ラクタム薬(下方のディスク)の周囲に阻止円が観察されない場合、検査対象の菌はメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌である。
【0019】
それに対して、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌でないが、β−ラクタム薬が効かないAmpC過剰産生セラチア・マルセセンス(S.marcescens)を塗布した(4)の場合、シャーレー上のいずれのβ−ラクタム薬含有ディスク周辺にも阻止円は形成されていない。メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌でないが、β−ラクタム薬が効かないSHV-5a産生クレブシエラ・ニューモニアエ(K.pneumoniae)及びAmpC過剰産生緑膿菌を塗布した(5)及び(6)の場合、いずれのβ−ラクタム薬含有ディスクにも小さな同様の形状の阻止円が観察される。このように、検査対象がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌である場合と検査対象がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌でない場合とで、得られる阻止円のパターンが異なり、両者を判別することが可能になる。
【0020】
本発明のメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌判別用キットは、β−ラクタム薬を含有する2つのディスク及びメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるための1つのディスクを、ストリップ状の基体に1列に配置し、かつ上記メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクが列の一端になるようにしたことを特徴とする。本発明のキットは、上記本発明の方法を簡便に実践することを目的として考案されたものである。本発明のキットに使用するβ−ラクタム薬を含有する2つのディスクは上記本発明の方法で説明したものと同様のディスクを使用できる。また、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるための1つのディスクは、濾紙等のメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させることができるものであれば良い。これらのディスクをストリップ状の基体に一列に、かつ上記メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクが列の一端になるよう配置する。これにより、β−ラクタム薬を含有する2つのディスクの一方は、このディスクに含有されるβ−ラクタム薬が培養期間中に拡散する範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤が拡散する範囲とが重複する位置とし、他方のディスクは、このディスクに含有されるβ−ラクタム薬が培養期間中に拡散する範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤が拡散する範囲とが重複しない位置とすることができる。
【0021】
本発明のキットの一例を図2に示す。図2の上図は、ディスクを配列した側の基体であり、下図はディスクを配列した基体の側面である。ストリップ状の基体に3つのディスクを1列に配置してある。ストリップ状の基体の形状や寸法には特に制限はない。このキットを使用する固体培地の大きさ等を考慮して適宜決定できる。尚、ストリップ状の基体は、阻止円の判読を容易にするため、透明性の高い素材で形成することもできる。各ディスクの間隔やβ−ラクタム薬のディスク中の含有量等は、上記本発明の方法において説明したと同様の点を考慮して適宜決定できる。尚、図中に記載してある薬剤名や寸法は例示として記載したものであり、本発明のキットはこれに限定されるものではない。また、本発明のキットを培地上に置いた後に、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるための1つのディスクに、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を添加することができるように、ストリップ状の基体のメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるための1つのディスクに通じる部分に小孔を設けることもできる。この小孔を介して、ディスクにメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を添加することができる。例えば、この小孔を介して、ディスクに液状のメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を滴下することができる。
【0022】
上記本発明のキットを用いる判別するメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌の方法は、このキットのメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクに、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させ、このキットを検出対象である菌が塗布された固体培地の表面に置き(図3の上図参照)、培養を行い、培養後、2箇所あるβ−ラクタム薬のディスクの周囲に形成される阻止円の違いにより、検出対象である菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌か否かを判別することからなる。上記キットを用いること以外は、上記本発明の方法をそのまま用いることができる。例えば、図3の左下に示すように、培養後、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させたディスクに隣接するβ−ラクタム薬のディスクの周囲には阻止円が形成され、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させたディスクと反対側の端にあるβ−ラクタム薬のディスクの周囲には阻止円が形成されないか、形成されても、ディスクに近接した小さな阻止円である場合、検査対象の菌は、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌であると判別できる。また、図3の右下に示すように、検査対象の菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌でない場合、培養後、いずれのβ−ラクタム薬含有ディスクの周囲にも阻止円が形成されないか、または形成されても、ディスクに近接した小さな阻止円である。
【0023】
メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤は、固体培地表面及びその内部での拡散性を考慮すると、比較的低分子量かつ低沸点の化合物から選ばれることがある。そのため、本発明のキットでは、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクには、使用直前にメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させることとした。しかし、ディスクに予め不揮発性のメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させ、このディスクを密封しておくことで、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の散逸を防止したキットとすることもできる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の試験方法を実施例によりさらに説明する。
検査対象となる菌として、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌として(1)IMP-1(プラスミド性メタロ−β−ラクタマーゼ)産生セラチア・マルセセンス(S.marcescens)、(2)IMP-1産生クレブシエラ・ニューモニアエ(K.pneumoniae)、及び(3)IMP-1産生緑膿菌)、並びにメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌ではない菌として(4)AmpC過剰産生セラチア・マルセセンス(S.marcescens)、(5)SHV-5a産生クレブシエラ・ニューモニアエ(K.pneumoniae)、及び(6)AmpC過剰産生緑膿菌を選び、以下の試験を行った。
日本化学療法学会標準法に従い、ミューラーヒントン液体培地でMacFarland 0.5に調整した被検菌の菌液を、感受性試験用の綿棒で取り、試験管の管壁に押し当てて絞った後、2回、薬剤感受性試験用の寒天培地(ミューラーヒントン寒天培地)に塗布し、短時間表面を軽く乾燥させる。
セフタジジム(CAZ)など、市販の第3世代セフェム薬の感受性ディスクと抗菌薬を含まない「ろ紙(厚みが0.5 〜1.0 mm, 直径が約6.3 mm)」を、約20 mm間隔をあけて置く。その中央より直角方向に40 mm隔てたところに、同様の3世代セフェム薬の感受性ディスクを置く。
寒天培地上に置いた、抗菌薬を含まない「ろ紙」に、阻害薬(メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸などのチオール化合物や含硫化合物の原液、重金属塩溶液、金属キレート剤等)を、3 μl、マイクロピペット等を用いて吸収させる。
37℃で一夜、培養し、感受性ディスクの周囲の、発育阻止円の形状の差を観察し、メタロ-β-ラクタマーゼを産生する菌か否かを判定する。結果を図1に示す。
2つの第3世代セフェム薬の感受性ディスクの周囲の阻止円の形状を比較し、
a.阻止円の形状に差が見られる場合〔(1)〜(3)の菌〕は、メタロ-β-ラクタマーゼ産生株
b.阻止円の形状に差が見られない場合〔(4)〜(6)の菌〕は、メタロ-β-ラクタマーゼ非産生株
と判定される。
【0025】
【発明の効果】
本発明のによれば、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を、PCR法など特殊な方法を用いることなく、病院の検査室においても実施することが可能な程簡便な方法で判別することができる。
さらに本発明によれば、より簡便にメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を判別する方法を実施できるキット及びこのキットを用いたメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を判別する方法を提供することがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で得られた固体培地上の阻止円の状態を示す図面に代わる写真。
【図2】 本発明のキットの説明図。
【図3】 本発明のキットを用いた方法の説明図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌の判別方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤と組あわせて用いたβ−ラクタム薬により形成される阻止円により、簡便にメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌か否かを判別できる方法に関する。さらに本発明は、本発明の方法に用いるキット及びこのキットを用いたメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌の判別方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決すべき課題】
メタロ−β−ラクタマーゼを産生することにより、ペニシリンからセフェム、セファマイシン、カルバペネムに至るまでの幅広い範囲のβ−ラクタム薬に耐性を獲得した緑膿菌やセラチアなどのグラム陰性桿菌が各地の医療設備から分離され問題となっている。メタロ−β−ラクタマーゼをプラスミド性に産生する菌は、これまでわが国でのみ分離されてきたが、最近、英国においても分離され、海外の専門家の間でも関心が高まりつつある。
【0003】
メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌は、セファロスポリナーゼ過剰産生株などと類似の薬剤耐性パターンを示すが、後者がカルバペネムに感受性を示すのに対し、前者は、当初カルバペネム薬に感受性を示している株も、カルバペネム薬の存在下で酵素の産生が誘導され、やがてカルバペネム薬に耐性を示すようになる。従って、有効かつ適正な化学療法を実施する上で、両者を早期に識別できる検査方法の確立が必要となっていた。
【0004】
メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌は、第3世代セフェム、セファマイシンに高度耐性を示し、カルバペネムにも低度〜高度耐性を示す。しかし、同様に第3世代セフェムに高度耐性を示すセファロスポリナーゼ過剰産生株などとメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を病院の検査室において日常的に実施されている薬剤感受性試験や酵素学的な検査方法(βチェックなど)により識別することはこれまでは不可能であった。PCR法によるメタロ−β−ラクタマーゼ遺伝子を検出する方法以外に確実にメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を判別する方法はなかった。
【0005】
そこで本発明の目的は、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を判別する方法であって、病院の検査室においても実施することが可能な程簡便な方法を提供することにある。
さらに本発明は、上記方法を利用して、より簡便にメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を判別する方法を実施できるキット及びこのキットを用いたメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を判別する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決すべき手段】
本発明は、検出対象である菌が塗布された固体培地の表面に、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を点在させ、さらに、この阻害剤からの距離が異なる2箇所にβ−ラクタム薬を点在させ、上記固体培地を培養し、培養後、上記2箇所のβ−ラクタム薬の周囲に形成される阻止円の違いにより、検出対象である菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌か否かを判別する方法に関する。
さらに本発明は、β−ラクタム薬を含有する2つのディスク及びメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるための1つのディスクを、ストリップ状の基体に1列に配置し、かつ上記メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクが列の一端になるようにしたことを特徴とするメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌判別用キットに関する。
加えて本発明は、上記本発明のキットのメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクに、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させ、このキットを検出対象である菌が塗布された固体培地の表面に置き、培養を行い、培養後、2つあるβ−ラクタム薬のディスクの周囲に形成される阻止円の違いにより、検出対象である菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌か否かを判別する方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は、固体培地を用い、形成された阻止円により、検出対象である菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌か否かを判別する方法である。本発明に用いられる固体培地は、通常の薬剤耐性試験等に汎用されている固体培地でよい。固体培地は、例えば、炭素源、窒素源等の栄養分を含む寒天培地であることができる。そのような固体培地としては、例えばミュラーヒントン寒天培地(Difco社)等を挙げることができる。
【0008】
上記固体培地の表面に検出対象である菌を塗布する。固体培地表面への菌の塗布方法や条件等は、薬剤耐性試験等で採用されているものをそのまま使用できる。例えば、日本化学療法学会標準法またはNCCLSで定められた寒天平板希釈法で指定されている方法を用い、ミュラーヒントン寒天培地に菌を塗布することができる。
【0009】
次いで、検出対象である菌が塗布された固体培地の表面に、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤(1箇所)とβ−ラクタム薬(2箇所)とを点在させる。各薬剤の点在には、具体的には、β−ラクタム薬を含有するディスクとメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有するディスクを用いることが適当である。β−ラクタム薬を含有するディスクは、市販品があり、これを用いることができる。また、β−ラクタム薬は、治療薬として市販されているものから適宜選択することが出来、例えば、第3世代セェフェム薬、セファマイン薬、カルバペネム薬等であることができる。また、第3世代セェフェム薬、セファマイン薬、カルバペネム薬としては、例えば、セフタジジム、セフピロム、ラタモキセフ、セフメノキシム、イミペネム等を挙げることができる。但し、これらの薬剤に限定される意図ではない。β−ラクタム薬であればいずれでも良い。尚、ディスクとして市販品がない場合でも、適当な寸法及び形状の濾紙にβ−ラクタム薬を、必要により、溶媒を用いて含浸させることで作成することができる。
【0010】
メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有するディスクは、適当な寸法及び形状の濾紙にメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含浸させることで作成することができる。メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤は、メタロ−β−ラクタマーゼに対して阻害効果を有する薬剤から適宜選択することができる。メタロ−β−ラクタマーゼに対して阻害効果を有する薬剤としては、例えば、有機チオール化合物等の含硫黄化合物、亜鉛(メタロ−β−ラクタマーゼが活性部位に有する金属)に対するキレート剤(例えば、EDTA等)、や金属化合物(例えば、HgCl2、FeCl2、CuCl2、Fe(OH)3 等の塩)を挙げることができる。但し、固体培地表面での拡散性や培地の成分に対して不活性であることから、有機チオール化合物であることが好ましい。有機チオール化合物としては、例えばメルカプト酢酸やメルカプトフロピオン酸等を挙げることができる。但し、これら以外の有機チオール化合物等の含硫黄化合物からも、固体培地表面での拡散性や培地の成分に対して不活性であることを考慮して、適当な化合物を適宜選択することができる。
【0011】
β−ラクタム薬及びメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の点在量は、各薬剤の固体培地表面での拡散性や培養時間(拡散時間)、さらにはメタロ−β−ラクタマーゼに対する阻害効果の強度等を考慮して適宜決定できる。例えば、β−ラクタム薬の場合、セフタジジムでは点在量を30〜50μgの範囲とすることが適当であり、またメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の場合、メルカプト酢酸やメルカプトフロピオン酸では、原液を2〜5μgの範囲とすることが適当である。但し、これらはあくまでも目安であり、検査対象とする菌の種類に応じて、β−ラクタム薬の周囲に形成される阻止円の形状や大きさ等を考慮して適宜変化させることができる。
【0012】
β−ラクタム薬の2箇所の点在位置は、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤からの距離が異なるようにする。より具体的には、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤に近い方のβ−ラクタム薬は、このβ−ラクタム薬が培養期間中に拡散する範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤が拡散する範囲とが重複する位置に置かれ、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤から遠い方のβ−ラクタム薬は、このβ−ラクタム薬が培養期間中に拡散する範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤が拡散する範囲とが重複しない位置に置かれる。好ましくは、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤に近い方のβ−ラクタム薬を、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲内に置く。
【0013】
β−ラクタム薬及びメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲は、各薬剤の種類と点在量、及び培養条件(主に時間)により変化するので、使用する薬剤の種類と点在量及び培養条件から予め求めておくことができる。例えば、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤に近い方のβ−ラクタム薬とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤との距離は、例えば、0.5〜2cm程度とし、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤から遠い方のβ−ラクタム薬とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤との距離は、固体培地を収納する容器(例えば、シャーレー)の大きさにもよるが、開口径が9cmのシャーレーの場合例えば、3〜6cm程度とすることができる。
【0014】
メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤及びβ−ラクタム薬を表面に置いた固体培地は、培養される。培養条件は、例えば、35〜37℃、12〜36時間の範囲とすることができる。但し、培養条件、特に時間は、上記薬剤の拡散範囲との兼ね合いを考慮して適宜決定する。
【0015】
上記培養により、固体培地表面に置かれたβ−ラクタム薬及びメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤は、固体培地表面及び内部を拡散する。対象とする菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌である場合、この菌は、メタロ−β−ラクタマーゼを産生することによりβ−ラクタム薬に耐性を示す。従って、固体培地表面にβ−ラクタム薬だけを置いたのでは、阻止円は観察されないか、観察されても、ディスクに近接した小さな阻止円が形成されるだけである。即ち、β−ラクタム薬とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤との拡散範囲が重複しない位置にあるβ−ラクタム薬の周囲には、検査対象がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌である場合には、阻止円は観察されないか、観察されても、ディスクに近接した小さな阻止円が形成されるだけである。これは、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌が産生するメタロ−β−ラクタマーゼの作用により、β−ラクタム薬だけでは菌の生育がほとんどまたは全く妨げられないためである。ところが、β−ラクタム薬とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤との拡散範囲が重複する位置にあるβ−ラクタム薬の周囲には、対象とする菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌であっても大きな阻止帯が観察される。これは、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤により、メタロ−β−ラクタマーゼの活性が阻害され、その結果、β−ラクタム薬が菌の生育を妨げることができるようになったためである。ここで観察される阻止帯の形状は、β−ラクタム薬の拡散範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲との重複の程度により変化する。重複範囲が広い場合には、円形になる場合(後述の図1中の(3))があるが、そうでない場合には、歪んだ形(後述の図1の(1)及び(2))になる。しかし、いずれの場合にも、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲と重複しない位置にあるβ−ラクタム薬の周囲に形成される(形成されない場合もあるが)阻止円とは大きさの違いから明確に区別できる。
【0016】
一方、検査対象がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌でない場合には、2つの場合がある。β−ラクタム薬が菌の生育を妨げ、大きめの阻止円を形成する菌(例えば、ペニシリナーゼ産生菌等の菌)である場合とメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌ではないが、β−ラクタム薬によっては菌の生育が妨げられず阻止円が形成されない場合(例えば、クラスCβ−ラクタマーゼ産生菌、ESBL産生菌等の菌の場合)である。前者は、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌でないので、β−ラクタム薬のみの薬剤耐性試験で判別できる。即ち、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を併用しないβ−ラクタム薬の周囲に大きな阻止円が形成され、判別できる。しかし、後者は、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を併用せずにβ−ラクタム薬のみを使用した薬剤耐性試験ではメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌であるのか否かは判別できない。それに対して本発明の方法では、この判別が可能となる。
【0017】
この点を図1に示す図面に代わる写真を用いてさらに説明する。
図中の左側の3つは、検査対象となる菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌(上から、(1)IMP-1(プラスミド性メタロ−β−ラクタマーゼ)産生セラチア・マルセセンス(S.marcescens)、(2)IMP-1産生クレブシエラ・ニューモニアエ (K.pneumoniae)(肺炎桿菌)、(3)IMP-1産生緑膿菌)である。一方、右側の3つは、検査対象となる菌が上から(4)AmpC過剰産生セラチア・マルセセンス(S.marcescens)、(5)SHV-5a産生クレブシエラ・ニューモニアエ(K.pneumoniae)、(6)AmpC過剰産生緑膿菌である。また、固体培地を敷きつめたシャーレー上の上方左側にあるディスクはメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤含有ディスクである。シャーレー上の下方と上方右側にあるディスクは、β−ラクタム薬含有ディスクであり、下方のディスクは、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲外にあり、かつβ−ラクタム薬の拡散範囲とも重複しない。上方右側にあるβ−ラクタム薬含有ディスクは、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲内にある。
【0018】
メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌である(1)〜(3)では、シャーレー上の下方のβ−ラクタム薬含有ディスク周辺に阻止円は形成されていない。それに対して上方のメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤含有ディスクと隣接して置かれたβ−ラクタム薬含有ディスクには阻止帯が観察され、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤含有ディスクに阻止円が現れている。このように、β−ラクタム薬の拡散範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲とが重複する位置に置かれたβ−ラクタム薬(上方のディスク)の周囲に阻止帯が観察され、β−ラクタム薬の拡散範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の拡散範囲とが重複しない位置に置かれたβ−ラクタム薬(下方のディスク)の周囲に阻止円が観察されない場合、検査対象の菌はメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌である。
【0019】
それに対して、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌でないが、β−ラクタム薬が効かないAmpC過剰産生セラチア・マルセセンス(S.marcescens)を塗布した(4)の場合、シャーレー上のいずれのβ−ラクタム薬含有ディスク周辺にも阻止円は形成されていない。メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌でないが、β−ラクタム薬が効かないSHV-5a産生クレブシエラ・ニューモニアエ(K.pneumoniae)及びAmpC過剰産生緑膿菌を塗布した(5)及び(6)の場合、いずれのβ−ラクタム薬含有ディスクにも小さな同様の形状の阻止円が観察される。このように、検査対象がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌である場合と検査対象がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌でない場合とで、得られる阻止円のパターンが異なり、両者を判別することが可能になる。
【0020】
本発明のメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌判別用キットは、β−ラクタム薬を含有する2つのディスク及びメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるための1つのディスクを、ストリップ状の基体に1列に配置し、かつ上記メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクが列の一端になるようにしたことを特徴とする。本発明のキットは、上記本発明の方法を簡便に実践することを目的として考案されたものである。本発明のキットに使用するβ−ラクタム薬を含有する2つのディスクは上記本発明の方法で説明したものと同様のディスクを使用できる。また、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるための1つのディスクは、濾紙等のメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させることができるものであれば良い。これらのディスクをストリップ状の基体に一列に、かつ上記メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクが列の一端になるよう配置する。これにより、β−ラクタム薬を含有する2つのディスクの一方は、このディスクに含有されるβ−ラクタム薬が培養期間中に拡散する範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤が拡散する範囲とが重複する位置とし、他方のディスクは、このディスクに含有されるβ−ラクタム薬が培養期間中に拡散する範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤が拡散する範囲とが重複しない位置とすることができる。
【0021】
本発明のキットの一例を図2に示す。図2の上図は、ディスクを配列した側の基体であり、下図はディスクを配列した基体の側面である。ストリップ状の基体に3つのディスクを1列に配置してある。ストリップ状の基体の形状や寸法には特に制限はない。このキットを使用する固体培地の大きさ等を考慮して適宜決定できる。尚、ストリップ状の基体は、阻止円の判読を容易にするため、透明性の高い素材で形成することもできる。各ディスクの間隔やβ−ラクタム薬のディスク中の含有量等は、上記本発明の方法において説明したと同様の点を考慮して適宜決定できる。尚、図中に記載してある薬剤名や寸法は例示として記載したものであり、本発明のキットはこれに限定されるものではない。また、本発明のキットを培地上に置いた後に、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるための1つのディスクに、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を添加することができるように、ストリップ状の基体のメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるための1つのディスクに通じる部分に小孔を設けることもできる。この小孔を介して、ディスクにメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を添加することができる。例えば、この小孔を介して、ディスクに液状のメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を滴下することができる。
【0022】
上記本発明のキットを用いる判別するメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌の方法は、このキットのメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクに、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させ、このキットを検出対象である菌が塗布された固体培地の表面に置き(図3の上図参照)、培養を行い、培養後、2箇所あるβ−ラクタム薬のディスクの周囲に形成される阻止円の違いにより、検出対象である菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌か否かを判別することからなる。上記キットを用いること以外は、上記本発明の方法をそのまま用いることができる。例えば、図3の左下に示すように、培養後、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させたディスクに隣接するβ−ラクタム薬のディスクの周囲には阻止円が形成され、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させたディスクと反対側の端にあるβ−ラクタム薬のディスクの周囲には阻止円が形成されないか、形成されても、ディスクに近接した小さな阻止円である場合、検査対象の菌は、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌であると判別できる。また、図3の右下に示すように、検査対象の菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌でない場合、培養後、いずれのβ−ラクタム薬含有ディスクの周囲にも阻止円が形成されないか、または形成されても、ディスクに近接した小さな阻止円である。
【0023】
メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤は、固体培地表面及びその内部での拡散性を考慮すると、比較的低分子量かつ低沸点の化合物から選ばれることがある。そのため、本発明のキットでは、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクには、使用直前にメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させることとした。しかし、ディスクに予め不揮発性のメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させ、このディスクを密封しておくことで、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の散逸を防止したキットとすることもできる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の試験方法を実施例によりさらに説明する。
検査対象となる菌として、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌として(1)IMP-1(プラスミド性メタロ−β−ラクタマーゼ)産生セラチア・マルセセンス(S.marcescens)、(2)IMP-1産生クレブシエラ・ニューモニアエ(K.pneumoniae)、及び(3)IMP-1産生緑膿菌)、並びにメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌ではない菌として(4)AmpC過剰産生セラチア・マルセセンス(S.marcescens)、(5)SHV-5a産生クレブシエラ・ニューモニアエ(K.pneumoniae)、及び(6)AmpC過剰産生緑膿菌を選び、以下の試験を行った。
日本化学療法学会標準法に従い、ミューラーヒントン液体培地でMacFarland 0.5に調整した被検菌の菌液を、感受性試験用の綿棒で取り、試験管の管壁に押し当てて絞った後、2回、薬剤感受性試験用の寒天培地(ミューラーヒントン寒天培地)に塗布し、短時間表面を軽く乾燥させる。
セフタジジム(CAZ)など、市販の第3世代セフェム薬の感受性ディスクと抗菌薬を含まない「ろ紙(厚みが0.5 〜1.0 mm, 直径が約6.3 mm)」を、約20 mm間隔をあけて置く。その中央より直角方向に40 mm隔てたところに、同様の3世代セフェム薬の感受性ディスクを置く。
寒天培地上に置いた、抗菌薬を含まない「ろ紙」に、阻害薬(メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸などのチオール化合物や含硫化合物の原液、重金属塩溶液、金属キレート剤等)を、3 μl、マイクロピペット等を用いて吸収させる。
37℃で一夜、培養し、感受性ディスクの周囲の、発育阻止円の形状の差を観察し、メタロ-β-ラクタマーゼを産生する菌か否かを判定する。結果を図1に示す。
2つの第3世代セフェム薬の感受性ディスクの周囲の阻止円の形状を比較し、
a.阻止円の形状に差が見られる場合〔(1)〜(3)の菌〕は、メタロ-β-ラクタマーゼ産生株
b.阻止円の形状に差が見られない場合〔(4)〜(6)の菌〕は、メタロ-β-ラクタマーゼ非産生株
と判定される。
【0025】
【発明の効果】
本発明のによれば、メタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を、PCR法など特殊な方法を用いることなく、病院の検査室においても実施することが可能な程簡便な方法で判別することができる。
さらに本発明によれば、より簡便にメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を判別する方法を実施できるキット及びこのキットを用いたメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌を判別する方法を提供することがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で得られた固体培地上の阻止円の状態を示す図面に代わる写真。
【図2】 本発明のキットの説明図。
【図3】 本発明のキットを用いた方法の説明図。
Claims (9)
- 検出対象である菌が塗布された固体培地の表面に、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を点在させ、さらに、この阻害剤からの距離が異なる2箇所にβ−ラクタム薬を点在させ、上記固体培地を培養し、培養後、上記2箇所のβ−ラクタム薬の周囲に形成される阻止円の違いにより、検出対象である菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌か否かを判別する方法。
- 一方のβ−ラクタム薬は、このβ−ラクタム薬が培養期間中に拡散する範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤が拡散する範囲とが重複する位置に置かれ、他方のβ−ラクタム薬は、このβ−ラクタム薬が培養期間中に拡散する範囲とメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤が拡散する範囲とが重複しない位置に置かれる請求項1に記載の方法。
- メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有するディスク及びβ−ラクタム薬を含有するディスクを用いて、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤及びβ−ラクタム薬をそれぞれ点在させる請求項1または2に記載の方法。
- メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤が有機チオール化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 有機チオール化合物がメルカプト酢酸またはメルカプトプロピオン酸である請求項4に記載の方法。
- β−ラクタム薬が第3世代セェフェム薬である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 第3世代セェフェム薬がセフタジジムである請求項6に記載の方法。
- β−ラクタム薬を含有する2つのディスク及びメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるための1つのディスクを、ストリップ状の基体に1列に配置し、かつ上記メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクが列の一端になるようにしたことを特徴とするメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌判別用キット。
- 請求項8に記載のキットのメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させるためのディスクに、メタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤を含有させ、このキットを検出対象である菌が塗布された固体培地の表面に置き、培養を行い、培養後、2つあるβ−ラクタム薬のディスクの周囲に形成される阻止円の違いにより、検出対象である菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌か否かを判別する方法。
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