JP3754868B2 - 金属箔付フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属箔付フィルムに関するものであり、より詳細には、半導体素子収納用パッケージなどの多層配線基板を製造するための回路シートや該回路シートからの多層配線基板の製造に有用な金属箔付フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化が進んでいるが、携帯情報端末の発達や、コンピュータを持ち運んで操作する所謂モバイルコンピューティングの普及によって、一層小型化が進み、これら電子機器に内蔵される多層配線基板には、一層の小型化、薄型化且つ回路の高精細化が要求されている。
また、通信機器に代表される様に、高速動作が求められる電子機器が広く使用されるようになってきたが、このような電子機器に対応するために、高速動作に適した多層のプリント配線基板が求められている。高速動作が求められるということは、高い周波数の信号に対して正確なスイッチングが可能であるなど、多種な要求を含んでおり、高速動作を行うためには、配線の長さを短くすると共に、配線の幅を細くし且つ配線の間隙を小さくして、電気信号の伝搬に要する時間を短縮することが必要である。即ち、高速動作に適応させるという見地からも、多層配線基板には、小型化、薄型化及び回路の高精細化(回路の高密度化)が求められる。
【0003】
ところで、上述した要求を満足するような多層配線基板の製造方法として、ビルドアップ法が知られている。
このビルドアップ法によれば、先ず、ガラスエポキシ複合材料等から成る絶縁基板の表面に配線回路層を形成し、且つその表面の配線回路層と電気的に接合するスルーホール導体を形成することにより、コア基板を作製する。
次に、上記コア基板の表面に感光性樹脂を塗布して絶縁層を形成し、露光現像により、この絶縁層にバイアホールを形成する。
バイアホールの表面を含む絶縁層の全表面に、銅などのメッキ層を形成する。
さらに、メッキ層表面に感光性レジストを塗布し、露光−現像−エッチング−レジスト除去の作業を行って配線回路層を形成する。
次いで、必要により、絶縁層の形成及びレジストによる配線回路層の形成を繰り返して行うことにより、コア基板上に複数の回路基板が積層された多層構造の配線基板が得られる。
【0004】
また、最近では、感光性樹脂を用いて絶縁層をコア基板上に積層する代わりに、未硬化の熱硬化性樹脂が塗布された銅箔をコア基板上に積層するビルドアップ法も開発されている。
即ち、前述したコア基板の表面に、熱プレスなどの方法により、未硬化の熱硬化性樹脂層を間に挟んで上記銅箔を貼り付けた後、加熱して熱硬化性樹脂を硬化させることにより、表面に銅箔を有する絶縁層を形成する。次いで、炭酸ガスレーザ等により、銅箔及び絶縁層にバイアホールを形成し、さらに前述した方法と同様にして、メッキ層の形成、レジスト塗布−露光−現像−エッチング−レジスト除去を行うことにより、配線回路層を形成する。次いで、必要により、上記の工程を繰り返すことにより、コア基板上に複数の回路基板が積層された多層構造の配線基板が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したビルドアップ法により多層配線基板を製造する場合には、以下に示す様な問題がある。
第1の問題は、コア基板上に積層された絶縁層を構成する樹脂の材料特性が劣るということである。即ち、前者のビルドアップ法では、絶縁層形成樹脂として、一般に感光性エポキシ樹脂が使用されるが、このようなエポキシ樹脂は、もともとガラス転移点が低い上、感光性を有している。従って、この方法で得られた多層配線基板を放置しておくと吸水率が高まり、特に高温高湿度下で放置すると絶縁性が低下し、この結果、回路の信頼性が損なわれるという欠点がある。
【0006】
第2の問題は、回路の密着強度が低いことである。特に絶縁層上の配線回路層をメッキ法により形成する前者のビルドアップ法では、この配線回路層と絶縁層との密着強度が低く、例えば、得られた多層配線基板を半田リフロー等で加熱すると、この際に配線回路層が剥がれたり膨れたりするという問題を生じる。
【0007】
第3の問題は、得られる多層配線基板は、表面平滑性に劣ることである。例えば、感光性樹脂の塗布により絶縁層を形成する前者のビルドアップ法では、この感光性樹脂が液状であるため、コア基板表面の凹凸が、ビルドアップされた多層配線基板表面にまで反映されて凹凸が生じてしまう。今後、多層配線基板の表面にフリップチップ等のシリコンチップを直接接続することがシリコンチップ実装の主流となることが予測されるが、フリップチップ実装では、基板表面に高い平坦性が要求され、上記で述べた様な表面に凹凸を有する基板では、シリコンチップ実装を行うことができないという問題がある。
【0008】
半硬化状態の熱硬化性樹脂が塗布された銅箔を用いる後者のビルドアップ法は、前記第1及び第2の問題を有する前者のビルドアップ法に比して優れているものの、絶縁層表面に形成されている配線回路層が、絶縁層表面から突出しているため、表面の平坦性に関する第3の問題は依然としてそのまま残されている。
しかも後者のビルドアップ法では、銅箔表面に銅メッキを施して配線回路層が形成されるため、配線回路層が厚くなり、高密度の微細な配線回路層を形成することが困難であるという問題を有している。このため、銅箔をハーフエッチングして薄くするなど、様々な改善が必要である。
【0009】
従って、本発明の目的は、前述したビルドアップ法における種々の問題が改善され、微細且つ高密度の配線回路層を備え、しかも表面の平坦性に優れた多層配線基板を製造するのに有用な金属箔付フィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、上記金属箔付フィルムを用いて、多層配線基板の各層を構成する回路シートを製造する方法並びに、該回路シートを用いて多層配線基板を製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、樹脂フィルムの一方の表面に粘着剤層を介して金属箔が貼着されている金属箔付フィルムにおいて、
前記粘着剤層は、(メタ)アクリル酸エステルとカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体とを共重合して得られるアクリル系ポリマーを、カルボキシル基と反応性を有する官能基を有する多官能性化合物により架橋して得られる粘着剤により形成されており、
前記粘着剤は、40℃での剪断貯蔵弾性率G’が2×105dyne/cm2(2×104Pa)以上且つ損失正接 tan δが0.1以上、120℃での剪断貯蔵弾性率G’が5×105dyne/cm2(5×104Pa)以上且つ損失正接 tan δが0.04以下であることを特徴とする金属箔付フィルムが提供される。
本発明によれば更に、上記金属箔付フィルムの金属箔を、レジスト法によって回路パターン形状に加工することにより、配線回路層を備えた転写シートを作製し、
半硬化状態の熱硬化性樹脂から成る絶縁シートの表面に、配線回路層が絶縁シート表面に対面する様に前記転写シートを圧着し、
次いで転写シートの樹脂フィルムを引き剥がすことにより、絶縁シート表面に配線回路層が埋め込まれた形で転写された回路シートを得ることを特徴とする多層配線基板用回路シートの製造方法が提供される。
本発明によればまた、上記で得られた回路シートを複数枚重ね合わせ、圧着しながら絶縁シートを加熱硬化させることを特徴とする多層配線基板の製造方法が提供される。
【0011】
本発明の金属箔付フィルムは、前述したアクリルポリマーを、カルボキシル基との反応性を有する多官能性化合物により架橋して得られる粘着剤を用いたことが顕著な特徴である。即ち、このような粘着剤によって金属箔が樹脂フィルムに貼り付けられていることから、樹脂フィルムを金属箔から容易に引き剥がすことができ、この特性を利用して、金属箔を軟質の樹脂シート(例えば半硬化状態の熱硬化性樹脂シート)の表面に転写することができる。また、この粘着剤は、耐薬品性にも優れており、レジストを塗布して露光、現像を行った後のエッチングやレジスト除去に用いられる薬液に対しても優れた耐性を示し、この様な薬液によっても粘着性が損なわれることがない。従って、この金属箔付フィルムは、レジスト塗布及びエッチングにより、その金属箔を所望の回路パターン状に容易に成形することができる。
【0012】
このように、本発明の金属箔付フィルムは、金属箔の転写性に優れ、しかも、金属箔を回路パターン状に成形することができるため、この金属箔付フィルムを用いて配線回路層を表面に有する転写シートを作製し、この転写シートを用いて、多層配線基板用回路シートを容易に製造することができる。
この多層配線基板用回路シートの製造方法では、半硬化状態の熱硬化性樹脂シート(多層配線基板におけるコア基板或いはコア基板上に積層される絶縁層に相当)の表面に、前記金属箔から形成された配線回路層が埋め込まれた形で転写される。従って、得られる回路シートは表面平滑性に優れており、例えば、この回路シートの所定枚数を重ね合わせて圧着した後に熱硬化性樹脂を加熱硬化させることにより、表面平滑性に優れた多層配線基板を作製することができる。
【0013】
このような回路シートを用いて得られる多層配線基板では、絶縁層の形成に感光性樹脂を用いていないため、これを高温高湿下に放置しておいた場合にも、吸湿による絶縁性の低下を生じることがない。
また、かかる多層配線基板では、各回路シートに形成されている配線回路層が絶縁層中に埋め込まれていることから、配線回路層と絶縁層との密着強度が高く、従って、半田リフロー等の後加工時においても、配線回路層の剥がれや膨れが有効に防止される。
さらに、配線回路層は、金属箔上に銅メッキなどを行うことなく形成されているため、配線回路層が必要以上に厚くなることがなく、配線回路層の高密度化、及び基板の小型化、薄型化を満足させるのに極めて適している。
また上述した金属箔付フィルムを用いて多層配線基板を製造する場合には、絶縁基板を構成する絶縁シートの作成と配線回路層の形成とを、別個の工程で且つ同時に進行させることができるため、生産性を著しく向上させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(金属箔付フィルム)
本発明の金属箔付フィルムは、樹脂フィルムの片面に粘着剤層を介して金属箔が貼り付けられている。
樹脂フィルムとしては、適度な柔軟性を有している公知の樹脂フィルムを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂から成るフィルムが使用される。
この樹脂フィルムの厚みは、10〜500μm、特に20〜300μmの範囲にあることが好ましい。厚みが上記範囲よりも薄いと、金属箔を回路パターン状に加工して配線回路層を形成した時、フィルムの変形や折れ曲がりにより、配線回路層の断線を生じ易くなり、一方、上記範囲よりも厚いと、フィルムの柔軟性が損なわれ、このフィルムを金属箔(配線回路層)から引き剥がし難くなる傾向がある。
【0015】
金属箔としては、配線基板の配線層を形成するのに好適な金属、例えば、金、銀、銅、アルミニウム等の低抵抗金属、或いはこれら低抵抗金属の少なくとも1種を含む合金などの箔が使用される。
この金属箔の厚みは、1〜100μm、特に5〜50μmの範囲にあるのが好ましい。この厚みが上記範囲よりも薄いと、この金属箔から形成される配線回路層の抵抗率が高くなり、配線基板の製造に不適当となる傾向がある。また上記範囲よりも厚いと、後述する配線基板を製造する際の積層時に、絶縁基板或いは絶縁層の変形が大きくなり、また金属箔から形成される配線回路層を絶縁シートに転写させる際に配線回路層の埋め込み量が多くなり、絶縁シートの歪みが大きくなってしまい、樹脂を硬化させる時に変形を生じ易くなる等の不都合を生じるおそれがある。更には、金属箔をエッチングして配線回路層を形成する際、このエッチングが困難となり、精度の高い微細な回路を得ることが困難となるという問題も生じる。
【0016】
また、上記金属箔には、前述した樹脂フィルムとの密着力を高めるために、その表面を粗面加工して、その樹脂フィルム側の表面に微細な凹凸を形成しておくこともできる。例えば、金属箔表面に、その表面粗さRa(JIS B0601)が0.2乃至0.7μm程度となるように微細な凹凸を形成することができる。更に、金属箔と樹脂フィルムとの密着力を高めるために、金属箔表面にカップリング剤を塗布してもよいが、樹脂フィルムの剥離を容易に行うためには、カップリング剤を使用しないことが望ましい。
尚、金属箔の樹脂フィルム側とは反対側の表面についても、上記と同様に粗面加工して、同様の表面粗さの微細な凹凸を形成しておくことにより、絶縁シートと配線回路層との接合力を高めることもできる。
【0017】
粘着剤層を形成する粘着剤としては、(メタ)アクリル酸エステルとカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体とを共重合して得られるアクリル系ポリマーを、カルボキシル基と反応性を有する官能基を有する多官能性化合物により架橋して得られるものが使用される。
このような粘着剤を用いて金属箔を樹脂フィルムに貼り付けることにより、エッチングによって金属箔を回路パターン形状に形成することができ、且つ後述する絶縁シートに圧着させた時に、粘着剤が金属箔に残らないように樹脂フィルムを引き剥がすことができる。
【0018】
本発明で用いる上記粘着剤において、(メタ)アクリル酸エステルとしては、下記一般式(1):
CH2=CR1−COOR2 (1)
(式中、R1は、水素原子またはメチル基であり、
R2は、炭素数4乃至10のアルキル基である、)
で表されるものが好適に使用される。
上記一般式(1)において、R2のアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、4−メチル−1−ペンチル基等を例示することができ、更に、これらアルキル基の水素原子の一部がハロゲン原子、水酸基等で置換された置換アルキル基であってもよい。
かかる一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルとして、本発明では、特にブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等が好ましく、これらは1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0019】
(メタ)アクリル酸エステルと共重合されるカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体は、生成するアクリルポリマーの極性をコントロールし、且つ後に示す多官能性化合物と化学的な結合を形成して架橋点となるものであり、例えばアクリル酸、メタクリル酸など、分子内にラジカル重合性不飽和二重結合とカルボキシル基とを有するものを例示することができる。
【0020】
上記のカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体は、前述した(メタ)アクリル酸エステル100重量部当り、1〜20重量部、特に3〜10重量部の割合で使用されることが好ましい。上記範囲よりも少ないと、適度な粘着力を有する粘着剤を得ることが困難となり、また上記範囲よりも多いと、生成ポリマーのガラス転移点が高くなり過ぎ、或いは架橋点が多くなり過ぎて、適度な柔軟性と粘着力を有する粘着剤を得ることが困難となる傾向がある。
【0021】
上記の(メタ)アクリル酸エステルとカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体とを共重合して得られるアクリル系ポリマーを架橋するための多官能性化合物は、カルボキシル基と反応し得る官能基、例えばイソシアネート基、エポキシ基、金属キレート等を分子内に複数有する化合物であり、具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート(AlCH−YR)等を例示することができる。
即ち、かかる多官能性化合物と、アクリルポリマーとが反応して架橋構造を形成し、適度な粘着性を有する粘着剤を得ることができる。
【0022】
また、上記多官能性化合物と共に、上記官能基を1個有する単官能性化合物、例えば、ブチルグリシジルエーテル等を併用することもできる。かかる単官能性化合物は、多官能性化合物100重量部当り50重量部以下の使用量とするのがよい。即ち、多官能性化合物に対する単官能性化合物の量が多くなり過ぎると、十分な架橋構造を得ることが困難となるおそれがある。
【0023】
上述したアクリルポリマーと多官能性化合物との混合物の架橋は、この混合物を塗布し、乾燥・加熱することにより容易に行うことができる。
また架橋の程度は、ゲル分率が70重量%以上、特に80重量%以上であることが好ましい。この架橋度は、常温或いは高温での粘着剤の凝集力に関連しており、ゲル分率が上記範囲よりも小さいと、転写等の工程で金属箔から形成される配線回路層と樹脂フィルムとの密着強度が高くなり過ぎ、樹脂フィルムの引き剥がしが困難となったり、配線回路層上に粘着剤が残存するおそれがある。
尚、このゲル分率は、溶媒として有機溶剤、例えばテトラヒドロフラン(THF)を用い、30℃の温度で、この溶媒中に粘着剤を浸漬して、一昼夜振盪下で溶媒に膨潤させたのちに不溶解分を200メッシュ網にて濾別し、溶媒を乾燥したのち、その重量を測定し、下記式(2):
により算出される。
【0024】
本発明において、上記粘着剤は、40℃において、2×105dyne/cm2(2×104Pa)以上の剪断貯蔵弾性率G’と0.1以上の損失正接 tan δとを有し、120℃において、5×105dyne/cm2(5×104Pa)以上の剪断貯蔵弾性率G’と0.04以下、特に0.03以下の損失正接 tan δを有するべきである。
40℃での剪断貯蔵弾性率G’が上記範囲よりも小さいと、粘着剤が柔らかすぎ、金属箔をエッチングして回路パターン状の配線回路層を形成する際に、金属箔が剥がれ、形成される配線回路層に断線を生じるおそれがある。また同温度における損失正接 tan δが上記範囲よりも小さい場合にも、同様に、エッチングに際して金属箔が剥がれ、配線回路層の断線等を生じるおそれがある。
また120℃での剪断貯蔵弾性率G’が上記範囲より小さいか或いは損失正接 tan δが上記範囲よりも大きいと、金属箔をエッチングして得られた転写シートを、絶縁シートに圧着して転写させる際に問題を生じるおそれがある。即ち、転写シートを絶縁シートに圧着しての配線回路層の埋め込みは、通常、80〜150℃程度の加温下で行われるが、120℃での剪断貯蔵弾性率G’或いは損失正接 tan δが上記範囲外であると、この転写工程で粘着剤が流動し、配線回路層の変形等を生じ、高精度で微細な配線回路層の形成が困難となる。また、粘着剤が絶縁シートと過密着してしまうため、樹脂フィルムの引き剥がしも困難となるおそれがある。
本発明においては、アクリルポリマーや多官能性化合物の種類及び量、並びにゲル分率等を調節して、40℃及び120℃における剪断貯蔵弾性率G’、損失正接 tan δを上記範囲となるようにすることにより、エッチングによる配線回路層の形成や、配線回路層を有する転写シートからの配線回路層の転写等を最も有効に行うことが可能となる。
【0025】
本発明において、上記粘着剤には、0.05〜5重量%の量で、可塑剤を配合しておくことが好ましい。即ち、可塑剤の配合により、金属箔と粘着剤との密着力を適度に高めることができる。例えば微細な凹凸が形成された金属箔表面に粘着剤が十分に密着し、この結果、エッチングに際して、エッチング液が粘着剤と金属箔との間にしみ込み難くなり、金属箔の剥離或いは配線回路層の断線を有効に防止することができる。また、適度な密着力を確保することができるため、金属箔のエッチングにより形成された配線回路層を絶縁シートに転写させた時も、樹脂フィルムを軽く引き剥がすことができる。可塑剤配合によるこのような利点は、おそらく微量の可塑剤が、粘着剤層の表面にブリードアウトして金属箔表面を濡らすために生じるものと思われる。可塑剤量が、上記範囲より少ない場合には、可塑剤配合による上記の利点が十分に発現せず、また上記範囲よりも多量に可塑剤を配合すると、粘着剤が柔らかくなり過ぎ、例えば配線回路層を転写して樹脂フィルムを引き剥がした時、配線回路層上に粘着剤が残存するおそれがある。
【0026】
上述した可塑剤としては、アジピン酸ジエステルなどの脂肪族二塩基酸、フタル酸ジエステルなどの芳香族二塩基酸エステル、或いはリン酸系可塑剤等を使用することができるが、アクリルポリマーとの相溶性やブリードアウト性等の見地から、フタル酸ジエステルや脂肪族二塩基酸エステルが好適であり、中でもアジピン酸ジエステル、特にアジピン酸ジ−2−エチルヘキシルが最も好適である。
【0027】
上述した粘着剤には、0.01〜1重量%の量でエポキシ可塑剤を配合しておくことが好ましい。エポキシ可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等が例示できる。このエポキシ可塑剤の配合により、金属箔と粘着剤との剥離性が向上する。尚、このエポキシ可塑剤の配合量が1重量%を超えると、金属箔と樹脂フィルムとの十分な接着力が得られず、エッチング工程での剥離を生じるおそれがある。
【0028】
また粘着剤には、ベンゾトリアゾール系腐食防止剤を配合することもできる。このような腐食防止剤を配合することにより、エッチング時における金属箔、特に配線回路層の細線部分や角部分の過度の腐食を有効に防止することができる。この腐食防止剤は、前述した粘着剤の特性が損なわれない限り、任意の量で配合することができる。
【0029】
尚、上述した可塑剤や腐食防止剤は、任意の段階で配合することができるが、一般的には、架橋前のアクリルポリマーに配合するのがよい。
【0030】
上記のような粘着剤を、金属箔表面或いは樹脂フィルム表面に塗布し、両者を圧着することにより、本発明の金属箔付フィルムを得ることができる。この場合、粘着剤により形成される粘着剤層の厚みは、1乃至30μm程度であるのがよい。この厚みが薄過ぎると、金属箔が樹脂フィルム上に十分な接着力で保持されず、金属箔が剥がれ易くなる。また、厚みが必要以上に厚いと、配線回路層を転写させた後に樹脂フィルムを引き剥がすとき、粘着剤が配線回路層上に残り易くなる等の不都合を生じることがある。
かくして得られる本発明の金属箔付フィルムは、粘着剤層の粘着力が、通常、50〜700g/20mm(約0.5〜7.0N/20mm)の範囲にあり、エッチング等に際しても金属箔が剥離することなく保持され、また配線回路層の転写後には、樹脂フィルムを容易に引き剥がすことができる。尚、粘着剤層の粘着力は、樹脂フィルムを引き剥がす時の180°ピール強度(JIS−Z−0237)により測定することができる。
【0031】
(多層配線基板用回路シートの製造)
本発明によれば、上述した金属箔付フィルムの金属箔を回路パターン形状に成形して配線回路層を形成して転写シートを得、この転写シートを絶縁シートに圧着して配線回路層を絶縁シート表面に転写し、次いで、転写シートの樹脂フィルムを引き剥がすことにより、多層配線基板用の回路シートを製造する。
【0032】
転写シートの作成:
金属箔付フィルムの金属箔を回路パターン状に成形するには、それ自体公知のレジスト法を採用することができる。
即ち、この金属箔の全面に、フォトレジストを塗布し、所定パターンのマスクを介して露光を行い、現像後、プラズマエッチングやケミカルエッチング等のエッチングにより、非パターン部(フォトレジストが除去されている部分)の金属箔を除去する。これにより、金属箔が回路パターン状に成形された配線回路層が形成される。勿論、スクリーン印刷等により、所定の回路パターン状にフォトレジストを金属箔表面に塗布し、次いで、上記と同様に露光後にエッチングすることにより配線回路層を形成することもできる。
エッチング終了後においては、配線回路層上にレジストが残存するが、レジスト除去液により、残存するレジストを除去し、洗浄することにより、配線回路層が樹脂フィルム表面上に形成された転写シートを得ることができる。
【0033】
本発明においては、前述した金属箔付フィルムを用い、上記の様にして配線回路層を備えた転写シートを作製するが、金属箔は適度な粘着力で樹脂フィルムに保持されており、粘着剤層がエッチングに際して用いる薬液に対する耐性を有し且つ薬液のしみ込みも抑制されているため、エッチングによる配線回路層形成時に金属箔が剥がれる等の不都合は有効に防止される。この結果、微細で且つ高密度の配線回路層を高精度で形成することが可能となる。
【0034】
絶縁シート:
転写シートに形成された配線回路層が転写される絶縁シートは、半硬化状態の熱硬化性樹脂から成るものであり、このような熱硬化性樹脂としては、ポリフェニレンエーテル(PPE)、BT(ビスマレイミドトリアジン)レジン等のビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができ、好ましくは、室温で液状の熱硬化性樹脂が用いられる。
【0035】
この絶縁シートは、回路基板における絶縁基板に相当するものであり、一般に強度を高めるために、フィラーが上記熱硬化性樹脂と共に使用される。このようなフィラーとしては、有機質又は無機質の粉末或いは繊維体が挙げられる。
例えば、無機質フィラーとしては、SiO2、Al2O3、ZrO2、TiO2、AlN、SiC、BaTiO3、SrTiO3、ゼオライト、CaTiO3、ホウ酸アルミニウム等、それ自体公知のものを使用することができる。これらの無機質フィラーは、平均粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下、最も好ましくは7μm以下のほぼ球形の粉末状であることが好適であるが、平均アスペクト比が2以上、特に5以上の繊維状のものであってもよい。更に繊維体のフィラーとしては、ガラスなどの繊維体があり、織布、不織布など、任意の性質のものを使用することができる。また、有機質フィラーとしては、アラミド繊維、セルロース繊維などを挙げることができる。
上述した各種のフィラーは、それぞれ単独或いは2種以上を組み合わせて使用することができ、一般に、熱硬化性樹脂とフィラーとは、体積基準で、熱硬化性樹脂/フィラー=15/85乃至65/35の割合で使用されるのがよい。
【0036】
この絶縁シートは、熱硬化性樹脂或いは熱硬化性樹脂と無機質フィラーとを含むスラリーをドクターブレード法等によってシート状に成形し、半硬化状態となる程度に加熱することによって得られる。
また、半硬化状態の絶縁シートには、炭酸ガスレーザ等によりバイアホールを形成し、このバイアホール内に、金、銀、銅、アルミニウム等の低抵抗金属の粉末を充填することによりバイアホール導体を形成しておくことが好ましい。
尚、この絶縁シートの厚みは、最終目的の多層配線基板の厚みに応じて適宜設定される。
【0037】
転写:
本発明においては、先に述べた転写シートを、その配線回路層が絶縁シートに対面する様に絶縁シートと重ね合わせて圧着する。この場合、絶縁シートに形成されているバイアホール導体の表面露出部分と配線回路層とが重なり合う様に位置設定される。
圧着は、0.01〜0.5N/cm2程度の圧力で行うのがよく、これにより、配線回路層が絶縁シート表面に完全に埋め込まれる。また、この圧着は、通常、80〜150℃程度の加熱下で行うのがよい。これにより、埋め込まれた配線回路層は、絶縁シートにしっかりと保持される。また、前述した金属箔の表面を粗面加工しておけば、配線回路層の表面に形成された微細な凹凸が絶縁シート表面に噛み合うため、この配線回路層と絶縁シートの接合強度は一層高められる。
次いで、転写シートの樹脂フィルムを引き剥がすことにより、配線回路層は、絶縁シート表面に転写され、表面に配線回路層を有する回路シートが得られる。
【0038】
このようにして得られた回路シートは、配線回路層がシート表面に埋め込まれているため、平坦度が極めて高く、この回路シートを用いて、フリップチップ実装にも適応し得る平坦性に優れた多層回路基板を得ることが可能となる。
【0039】
(多層配線基板の製造)
上記の回路シートを加熱して絶縁シートを完全に硬化させることにより単層の配線基板が得られるが、この回路シートを用いて多層の配線基板を製造することが、多層配線基板の生産性を高める上で有利である。
即ち、上記で得られた回路シート(例えばバイアホールが形成された回路シート)の所定枚数を、配線回路層と絶縁シートとが交互に位置する様に重ね合わせて圧着し、この状態で加熱を行って各絶縁シートを一括して完全に硬化させることにより、目的とする多層配線基板を得ることができる。
かかる方法によれば、絶縁基板を構成するバイアホール導体を備えた絶縁シートの作製と、配線回路層を備えた転写シートの作製とを、別個の工程で同時に進行させることができるため、極めて生産効率が高い。
また得られる多層配線基板では、各層に形成されている配線回路層が各層の絶縁基板中に完全に埋め込まれており、最上層の配線回路層も、その表面に埋め込まれている。従って、この多層配線基板は、フリップチップ実装にも適応し得るような平坦性に極めて優れたものであり、且つその厚みも可及的に薄くすることができる。
さらに、この多層配線基板は、絶縁基板材料として感光性樹脂を用いる必要がないため、高温高湿下に長時間放置された場合にも、回路の信頼性が損なわれることがない。さらに、配線回路層は、金属箔の上にさらにメッキを施すことなく、金属箔から直接形成されるため、配線回路層が必要以上に厚く形成されることもなく、従って、配線回路層の厚肉化による基板強度の変形や強度低下を有効に防止することができ、且つ基板の小型化の点でも極めて有利である。
【0040】
【実施例】
(実施例1)
アリル化ポリフェニレンエーテル(A−PPE)のプリプレグ(厚み:150μm)に、炭酸ガスレーザで直径0.1mmのバイアホールを形成し、そのホール内に、銀をメッキした銅粉末を含む銅ペーストを充填してバイアホール導体を形成し、多層配線基板用の絶縁シートを作製した。
【0041】
100重量部のブチルアクリレートと10重量部のアクリル酸とを共重合して得られるアクリルポリマーに対して、表1に示す割合で多官能性化合物(トリメチロールプロパンのTDI(トリレンジイソシアネート)アダクト体,日本ポリウレタン社製コロネートL−45)、可塑剤1(アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル)並びに腐食防止剤(ベンゾトリアゾール)を混合し、この混合物を溶融混練して、表1に示すゲル分率及び粘弾性指標の粘着剤を得た。粘弾性指標は、動的粘弾性スペクトル(周波数10Hz、昇温速度2℃/min)で測定した。
この粘着剤を、25μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム表面に塗布して、粘着剤厚み20μmの粘着フィルムを作製した。
また、電解メッキ法によって形成され且つ表面粗さ(Ra)が0.5μmの電解銅箔(厚み:12μm)を、粘着フィルムの粘着面に接着して、金属箔付フィルムを作製した。さらに、この金属箔付フィルムの銅箔表面を、蟻酸を用いてのエッチングにより粗面化処理し、その表面粗さ(Ra)を0.5μmに調整した。
【0042】
上記の金属箔付フィルムについて、以下の方法で、40℃剥離力、120℃剥離力及び40℃再剥離力を、剥離速度300mm/分で測定し、その結果を表3に示した。
40℃剥離力:
金属箔が接着された直後のフィルムを40℃で30分放置した後、40℃での180°剥離強度を測定した。
120℃剥離力:
金属箔が接着された直後のフィルムを120℃で30分放置した後、120℃での180°剥離強度を測定した。
40℃再剥離力:
130℃で30kg/cm2(約300N/cm2)の圧力を30秒加えた後の40℃剥離力を測定した。
【0043】
上記金属箔付フィルムの銅箔表面(粗面化処理面)に感光性レジストを塗布し、ガラスマスクを通しての露光により回路パターンを形成した後、これを塩化第二鉄溶液中に浸漬して、非パターン部を35μm/分のエッチング速度でエッチング除去して回路パターン状の配線回路層を形成した。更に、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、配線回路層上に残存するレジストを除去し、PETフィルム上に粘着剤層を介して配線回路層が形成された転写シートを得た。
尚、配線回路層の回路パターンは、線幅が1mmの線路と、線幅が50μm且つ線幅間隔が50μmの細線部分とを有しており、且つ先に作成された絶縁シートの50%に相当する面積を有するものとした。
また、エッチングに際しては、粘着剤層と金属箔との間への液のしみ込み状態を観察し、その結果を表3に示した。尚、液のしみ込みが観察されなかった場合には○、しみ込みが観察された場合には×で示した。
【0044】
上記で作製された転写シートを、配線回路層とバイアホール導体とが対面する様に位置合わせして絶縁シートに重ね合わせ、30kg/cm2(約300N/cm2)の圧力で130℃、30秒加圧して、転写シートの配線回路層を絶縁シートに埋め込み、次いで、転写シートのPETフィルムを粘着剤層と共に引き剥がし、配線回路層が転写された回路シートを作製した。
この回路シートにおいては、配線回路層が絶縁シート表面に完全に埋め込まれており、絶縁シート表面と配線回路層表面とが同一平面上に位置していることを確認した。
また、上記のPETフィルムの引き剥がしに際しては、転写された配線回路層の上面の粘着剤の有無を観察し、その結果を表4の転写剥離の欄に示した。尚、粘着剤の残存が観察されなかった場合には○、残存が観察された場合には×で示した。
【0045】
上記のようにして回路シートを6枚作製し、配線回路層と絶縁シートとが互い違いとなるように、これらの回路シートを重ね合わせ、30kg/cm2(約300N/cm2)の圧力で、200℃、1時間加熱圧着し、6層構成の多層配線基板を得た。
【0046】
得られた多層配線基板について、半田試験及びバイアス試験を以下の方法で行い、その結果を表4に示した。
半田試験:
260℃、2分間の半田加熱を行った後、配線回路層と絶縁層との積層不良を観察した。20枚の多層配線基板について、同じ試験を行い、積層不良が生じた数により、半田耐熱性を評価した。
バイアス試験:
130℃、相対湿度85%の雰囲気中に、試料基板を300時間放置した後、5.5Vの電圧を印加して、配線回路層の細線部分の絶縁抵抗を測定した。
20枚の試料基板について同じ試験を行い、109 Ω以上のものを良品とし、それよりも低い絶縁抵抗を示した基板の数によって、高温高湿特性を評価した。
【0047】
(実施例2〜4、比較例1〜4)
表1或いは表2に示した様に、アクリルポリマー中のアクリル酸の量、多官能性化合物、可塑剤1(アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル)及び腐食防止剤の配合量を変更して調製された粘着剤を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、金属箔付フィルム、転写シート、回路シート及び多層配線基板を作製し、実施例1と同様の観察及び評価を行った。結果を表3及び4に示す。
【0048】
(実施例5)
表1に示した様に、多官能性化合物に加えて単官能性化合物(ブチルグリシジルエーテル,日本化薬社製BGE)を使用して調製された粘着剤を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、金属箔付フィルム、転写シート、回路シート及び多層配線基板を作成し、実施例1と同様の観察及び評価を行った。結果を表3及び4に示す。
【0049】
(実施例6〜7、比較例5〜6)
表1或いは表2に示した様に、可塑剤1(アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル)に加えて可塑剤2(エポキシ化大豆油、旭電化社製 アデカサイザーO−130P)を使用し、可塑剤1及び可塑剤2の配合量を変更して調製された粘着剤を用いた以外は、実施例2と全く同様にして、金属箔付フィルム、転写シート、回路シート及び多層配線基板を作製し、実施例1と同様の観察及び評価を行った。その結果を表3及び表4に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表1及び表2において、可塑剤1は、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシルを示し、可塑剤2は、エポキシ化大豆油を示す。
また、多官能化合物、可塑剤1、可塑剤2及び腐食防止剤の配合量は、アクリルポリマー100重量部当りの配合量で示した。
さらに、表1における実施例5の多官能性化合物の欄中、「多」は多官能性化合物の配合量であり、「単」は単官能性化合物の配合量である。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】
以上の実施例の結果から理解される様に、本発明の金属箔付フィルムを用いて多層配線基板を製造する場合には、金属箔が粘着剤により適度な粘着力で保持されているため、エッチングにより該金属箔から配線回路層を形成する場合にも金属箔の剥がれ或いは形成される配線回路層に断線を生じることがなく、エッチング液が粘着剤と金属箔との間にしみ込むこともなく、さらに半硬化状態の絶縁シートに配線回路層を埋め込んだ状態で、容易に樹脂フィルムを引き剥がすことができる。この際に、粘着剤は、転写された配線回路層上に残ることなく、全て樹脂フィルムと共に剥がされる。
しかも得られる多層配線基板は、配線回路層が絶縁基板中に埋め込まれているため、その表面の平坦性が良好であり、フリップチップ実装にも適応し得る。さらに、各層の積層不良による基板の強度低下も有効に防止される。
かかる本発明は、小型で且つ薄型、高密度の微細回路を高精度で有する多層配線基板の製造に極めて有利であり、しかも、絶縁シートの作成と配線回路層の形成とを別個の工程で同時に進行させることができるため、生産効率も著しく向上する。
Claims (11)
- 樹脂フィルムの一方の表面に粘着剤層を介して金属箔が貼着されている金属箔付フィルムにおいて、
前記粘着剤層は、(メタ)アクリル酸エステルとカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体とを共重合して得られるアクリル系ポリマーを、カルボキシル基と反応性を有する官能基を有する多官能性化合物により架橋して得られる粘着剤により形成されており、
前記粘着剤は、40℃での剪断貯蔵弾性率G’が2×105dyne/cm2以上且つ損失正接 tan δが0.1以上、120℃での剪断貯蔵弾性率G’が5×105dyne/cm2以上且つ損失正接 tan δが0.04以下であることを特徴とする金属箔付フィルム。 - 前記アクリル系ポリマーは、100重量部の(メタ)アクリル酸エステルと1〜20重量部のカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体との共重合体である請求項1に記載の金属箔付フィルム。
- 前記(メタ)アクリル酸エステルは、下記一般式(1):
CH2=CR1−COOR2 (1)
(式中、R1は、水素原子またはメチル基であり、
R2は、炭素数4乃至10のアルキル基である、)
で表される請求項2に記載の金属箔付フィルム。 - 前記粘着剤は、前記官能基を有する単官能性化合物の存在下で、前記アクリル系ポリマーを前記多官能性化合物により架橋して得られる請求項1に記載の金属箔付フィルム。
- 前記粘着剤は、テトラヒドロフラン不溶解分量として示されるゲル分率が70重量%以上となるように架橋されたものである請求項1に記載の金属箔付フィルム。
- 前記粘着剤は、0.05乃至5重量%の量で可塑剤を含有している請求項1に記載の金属箔付フィルム。
- 前記可塑剤が、フタル酸ジエステル或いは脂肪族二塩基酸エステルである請求項6に記載の金属箔付フィルム。
- 前記粘着剤は、0.01〜1重量%の量でエポキシ可塑剤を含有している請求項7に記載の金属箔付フィルム。
- 請求項1の金属箔付フィルムの金属箔を、レジスト法によって回路パターン形状に加工することにより、配線回路層を備えた転写シートを作製し、
半硬化状態の熱硬化性樹脂から成る絶縁シートの表面に、配線回路層が絶縁シート表面に対面する様に前記転写シートを圧着し、
次いで転写シートの樹脂フィルムを引き剥がすことにより、絶縁シート表面に配線回路層が埋め込まれた形で転写された回路シートを得ることを特徴とする多層配線基板用回路シートの製造方法。 - 前記配線回路層の絶縁シートへの転写に先立って、該絶縁シートに、バイアホール導体が形成されている請求項9に記載の多層配線基板用回路シートの製造方法。
- 請求項9または請求項10の製造方法で得られた回路シートを複数枚重ね合わせ、圧着しながら絶縁シートを加熱硬化させることを特徴とする多層配線基板の製造方法。
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