JP3754807B2 - 画像処理装置、画像処理方法及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用放射線画像の階調を所望の階調に変換する場合等に用いて好適な画像処理装置、画像処理方法及びそれに用いるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医療用X線放射線画像は従来、人体を透過したX線強度分布を蛍光体の蛍光分布に変換し、光強度を直接銀塩フィルムに写し現像してきた長い歴史があるが、近年、輝尽性蛍光体にX線強度分布をエネルギーとして潜像化し読み出す方式や、X線による蛍光体の蛍光分布を直接画像として読み出す方式、蛍光を用いない技術などさまざまな方式により放射線画像を電気信号として読み出し、ディジタル変換することによりディジタル画像を構成するようになってきている。
【0003】
ディジタル画像を用いることにより、ファイリングの効率化、遠隔診断の実用化、診療技術・効率の改善がなされるようになる。さらに、ディジタル画像にすることにより、さまざまな画像処理が可能となり、診断方法も変貌しつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そのような画像処理のなかで、最も一般的なものは階調処理である。例えば画像中の画素の値を規則的に変換することにより、もとのままでは認識しにくいパターンを見やすく強調できる。また、X線画像撮影時の撮影条件を間違えたり、不安定であったりする場合などのように、従来のフィルムによる撮影では救済できない画像も、適切な階調処理で常に安定した特性の画像を取得することができる。
【0005】
そういった階調処理の中でヒストグラム(画素値の頻度分布)の平坦化は最も一般的で簡便な手法であるが、画像全体の画素値頻度分布の集中するところは広げ、そうでないところは狭めたり、統合することによって盲目的に平坦化する手法であるため、診療には適さない場合も多い。診断画像は、従来の銀塩フィルムを用いた長い歴史で培われたものであり、医師にとっては階調特性(見えかた)も銀塩フィルムと同様なものであるほうが診断効率・精度があがる。即ち、従来の銀塩フィルムの画像のヒストグラムは当然平坦ではなく、長年工夫・洗練された撮影技法により病変部などが特徴的に描出されたものであり、また、医師はそのような描出形態をもって病名を判断する訓練を重ねてきている。
【0006】
ディジタル画像の階調処理においても、そのような診断しやすい画像に変換し、安定した画像を取得することが望まれており、そのために本来銀塩フィルムと大きく異なる特性をもつディジタル画像取得デバイスによる画像を経験的な手法を含むかなり複雑な処理をもってその要求に応えてきているが、それらには一般的に多大な処理時間と煩雑な操作が必要になるという第1の問題点があった。
【0007】
また画像のディジタル化による大きな利点にファイリング・検索も容易になったことがあげられる。例えば同一の患者に対して、病変の変化具合を過去のファイリングされた画像から引き出し、比較検討することも非常に速やかに行えるようになった。その時、たまたまX線撮影条件が過去と異なる場合でも、階調処理を施すことにより撮影条件の差異をなくすことができる。しかし、その場合階調をほぼ過去のものと一致させるためには煩雑な処理が必要になるという第2の問題点があった。
【0008】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、同一部位を撮影した複数の画像の階調を簡単に所望の階調を有する画像に変換することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像処理装置は、標準画像のヒストグラムを平坦化するための階調変換の逆階調変換機能を有する逆階調変換手段と、入力画像のヒストグラムを平坦化するための階調変換機能を有する階調変換手段とを設け、前記階調変換手段により変換した前記入力画像を、前記逆階調変換手段により変換することを特徴とする。
また、本発明による画像処理装置は、標準となるヒストグラムを平坦化するための階調変換の逆階調変換機能を実現するための複数の逆変換テーブルと、前記複数の変換テーブルから1つの逆変換テーブルを選択するための選択手段と、入力画像の階調のヒストグラムを平坦化するための階調変換機能を有する階調変換手段と、前記階調変換手段により変換した前記入力画像を、前記選択手段により選択された逆変換テーブルに基づき変換する逆階調変換手段とを設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明による画像処理方法は、標準画像のヒストグラムを平坦化するための階調変換の逆階調変換を行う逆階調変換ステップと、入力画像のヒストグラムを平坦化するための階調変換を行う階調変換ステップとを設け、前記階調変換ステップにより変換した前記入力画像を、前記逆階調変換ステップにより変換することを特徴とする。
また、本発明による画像処理方法は、標準となるヒストグラムを平坦化するための階調変換の逆階調変換機能を実現するための複数の逆変換テーブルから1つの逆変換テーブルを選択するための選択ステップと、入力画像の階調のヒストグラムを平坦化するための階調変換を行う階調変換ステップと、前記階調変換ステップにより変換した前記入力画像を、前記選択ステップにより選択された逆変換テーブルに基づき変換する逆階調変換ステップとを設けたことを特徴とする。
【0011】
本発明によるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は上記画像処理方法を構成するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶している。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
まず、本発明による画像処理方法を原理的に説明する。
この方法の第1の段階では、標準画像のヒストグラム平坦化を行う階調変換テーブルを作成し、次に、その逆変換テーブルを作成する。
次の段階では、一般の任意の画像に対して、やはりヒストグラム平坦化を行う階調変換テーブルを作成し、その階調変換テーブルを用いてその画像の階調変換を行う。この段階で、一般の任意の画像のヒストグラムは平坦化される。
最後の段階で、上記ヒストグラムが平坦化された一般の任意の画像を上記標準画像の逆変換テーブルを用いて階調変換する。
この3段階の方法により、一般の任意の画像のヒストグラムは、大局的に標準画像のヒストグラムと同様の階調に変換することができる。
【0013】
ディジタル画像のヒストグラムは画像の画素値xの一画像中のすべてもしくは一部の頻度分布として得られ、これをf(x)と表わすと、そのf(x)を変形させ、大局的に分布の密度を均一平坦化させる技術がヒストグラム平坦化である。ヒストグラム平坦化は画像データを以下で示す階調変換テーブルH(x)を通過させることにより実施される。
【0014】
【数1】
【0015】
式(1)で、M0はディジタルデータのもつ最小値、M1はディジタルデータのもつ最大値を表わし、入力のディジタルデータの幅(ビット数)と出力ディジタルの幅(ビット数)を同じものとしている(例えば一般的な12ビットデータの場合M0=0、M1=4095)。この平坦化する階調変換テーブルH(x)によってヒストグラムf(x)を持つ画像、即ち、元の画像を階調変換すれば大局的に分布の密度を均一平坦化させることは容易に推測される。
【0016】
上述の第1段階では、標準画像のヒストグラムf0 (x)から式(1)を用いてヒストグラム平坦化階調変換テーブルH0 (x)を作り、さらにその逆変換テーブルH0 *(x)を作る。H0 (x)は一般的に解析的な関数でないため、逆関数である逆変換テーブルH0 *(x)も解析的に求め得ないが、入出力が逆になるような変換テーブルは簡便なルーチン作業(プログラム)によって容易に求められる。もしくは、H(x)を解析的な関数に近似して(最小2乗法などによる)H*(x)を解析的に近似してもかまわない。
【0017】
この求められた逆変換テーブルH0 *(x)には、平坦化されたヒストグラムをもつ画像を逆に標準画像と同様のヒストグラムを持つような画像に変換する機能があることは明らかである。この様子を図1に示す。図1において、(a)は標準画像のヒストグラムf0 (x)を示し、横軸が画素値、縦軸が頻度値である。(b)はヒストグラム平坦化のための階調変換テーブルH0 (x)であり、横軸が入力、縦軸が出力である。(c)は(a)のヒストグラムをもつ画像を(b)の入出力特性をもつ変換テーブルを通した出力画像のヒストグラムを摸式的に描いたものであり、平坦化されている。
【0018】
この図1(a)→(b)→(c)という流れは、逆にたどることができ、図1(c)→(b)→(a)という変換も可能である(当然、限られた階調数を持つテーブルでの変換であるため、失われる情報もないわけではなく、完全に可逆であるとは言い切れないが)。このとき(b)の階調変換テーブルは縦軸が入力、横軸が出力である逆関数H0 *(x)となる。
【0019】
上述の第2段階では、標準画像とは異なるヒストグラムをもつ別の任意の一般画像のヒストグラム平坦化をやはり式(1)により行う。即ち、別画像のヒストグラムf1 (x)から式(1)を用いてヒストグラム平坦化階調変換テーブルH1 (x)を作る。この様子を図1で示す。同図で(d)はヒストグラムf1 (x)であり、横軸が画素値、縦軸が頻度値である。(e)がヒストグラム平坦化階調変換テーブルH1 (x)であり、横軸が入力、縦軸が出力である。そして、やはり(c)が結果的に平坦化されたヒストグラムを表わす。
【0020】
上述の最終段階では、この(c)の平坦なヒストグラムをもつ画像を(b)のH0 *(x)を通すことによって変換されるので、結果的に(a)の標準的なヒストグラムを持つ画像に変換されることが容易に理解できる。
【0021】
以上の説明の中で、注意すべきは、画像は離散的なディジタル値であるため、ヒストグラム平坦化テーブルを通しても、完全にヒストグラムが平坦になるのではなく、大局的に見た密度が変化して一定になるのみであり、上述の3段階で得られる結果的な画像のヒストグラムも完全に標準画像のヒストグラムに一致するわけではない。しかし、大局的に見て一致していれば、人間の肉眼ではほぼ一致した特性の画像として認識される。
【0022】
次に、上述した原理に基づく本発明の第1〜第6の実施の形態について説明する。
まず、第1〜第3の実施の形態を説明するが、この第1〜第3の実施の形態は、前記第1の問題点を解決するためのものであり、一度階調変換されて診断に適した処理がなされた画像を標準画像とし、診断に適した処理がなされた画像の頻度分布(ヒストグラム)は、撮影部位が同じであればほぼ同じになることを利用して、任意の画像に対してはヒストグラムを標準画像と同一にするような階調処理を簡便な手法で実現したものである。
【0023】
以下、第1の実施の形態について説明する。
図2は本発明を実施したX線画像読み取りシステムの構成を示すブロック図である。図2において、1はX線発生装置、2は被写体である人体、3はX線強度分布を電気信号に変換する撮像素子、4は撮像素子4の出力をディジタル値に変換するA/D変換器、6は撮像素子4の暗出力のばらつき・変動を補正するためのオフセットメモリ、7は後段の除算を行うための対数変換を行う対数変換器、8は撮像素子4のゲインのばらつき・X線放射分布の補正を行うためのシェーディング分布メモリ、21は除算演算の最終段階として、対数変換された画素データを逆対数変換し、X線強度に線形な値にする逆対数変換器である。
【0024】
5は画像取り込み全体を制御するCPUを含むコントローラであり、画像読み取り部分それぞれのブロックに接続され、X線発生装置1のX線発生タイミングに合わせて画像取り込みを制御するとともに、図面では具体的に接続を省略してあるが、各変換器、階調変換テーブルにも接続され、記憶媒体24に記憶されたプログラムに従って制御を行う処理装置でもある。尚、このプログラムを格納する記憶媒体24としては、ROM、FD、CD−ROM、HD、メモリカード、光磁気ディスクなどを用いることができる。
【0025】
9はヒストグラムを自動的に作成するためのメモリコントローラ、10は画像のヒストグラムが格納されるヒストグラムメモリである。12は取得された画像を一旦格納するためのフレームメモリ、13は第1の階調変換テーブルであり、11で示すヒストグラム平坦化変換データを作成する変換データ作成部によって作成されたヒストグラム平坦化の変換データが書き込まれる。14は第2の階調変換テーブルであり、コントローラにより作成された階調変換データが書き込まれる。15は外部へ画像データを出力するためのインターフェース、22、23は減算器である。
【0026】
20の破線で囲まれた部分は外部の画像保管処理を受け持つ画像保管処理部である。19は画像データを貯えるファイリング部、17は画像モニタを含む操作卓、18は画像をフィルムなどへ出力するプリンタ、16は階調変換テーブル13をこの画像保管処理部20の演算結果に従って書き換えるためのインターフェース、25はバスである。
【0027】
全体を制御するのは26で示す中央処理装置(CPU)であり、27で示す記憶媒体中に記録されたプログラムに従って制御を行う。このプログラムを格納する記憶媒体27としては、ROM、FD、CD−ROM、HD、メモリカード、光磁気ディスクなどを用いることができる。
【0028】
次に動作について説明する。まず、コントローラ5はX線発生装置1からX線を発生させないで、撮像素子3の暗出力を取り込み、A/D変換器4でディジタル値に変換してオフセットメモリ6に格納する。次に被写体2が無い状態でX線を発生させてX線放射分布を取り込み、減算器22で上記の暗出力を引き去った後、対数変換器7で対数変換して、シェーディング分布メモリ8に格納する。
【0029】
次に標準画像を作成する動作を説明する。画像を取り込む前にヒストグラムメモリ10のすべてのアドレスは0にクリアしておく。被写体2をX線発生装置1と撮像素子3との間においた状態でX線を発生させ、そのX線強度分布を撮像素子3が電気信号に変換する。その電気信号はディジタル値(読み取り画素値)に変換され、対応する位置の暗出力をオフセットメモリ6から読み出しながら読み取り画素値から減算する。次に、減算された読み取り画素値は対数変換された後、対応する位置のX線放射分布を上述の処理したシェーディング分布メモリ8から読み出しながら減算器23で減算され、さらに逆対数変換されて、フレームメモリ12に一旦取り込まれる。このデータが撮像素子3のばらつき・X線放射分布の補正された、被写体2の内部構造を示す画素データである。
【0030】
上述の動作と同時に、画素データを読み取りながら、メモリコントローラ9はその画素データの値をヒストグラムメモリ10のアドレスとして、そのアドレスのメモリの値を1ずつインクリメントする。これによりすべての画像データがフレームメモリ12に取り込まれた時には、その画像のヒストグラムは自動的にヒストグラムメモリ10に格納されている。ここでは、標準画像を取り込む場合であるので、ヒストグラム平坦化は特に行われないため、階調変換テーブル13には入力:出力が1:1の線形なデータを格納しておき、上述のヒストグラムは特に用いない。また、階調変換テーブル14も特に用いないため、線形の1:1のデータを格納しておく。このようにして得られた画像データは、インターフェース15を通じて、外部の画像保管処理部20へ出力され、ファイリング部19へファイリングされる。
【0031】
操作者はある画像を上述の操作で取り込んだ後、画像保管処理部20の操作卓17を操作しながら被写体である患者の病変部を特徴的に描写するように、又はプリンタ18の出力結果が従来の銀塩フィルム系の特性に合うように、又は病変部が特徴的に描写されるように、又は医師の好みに合うように手作業で階調処理を行い、その画像を標準画像として登録する。次にこの標準画像のヒストグラム(図1(a))を式(1)により作成し、インターフェス16を介してそのヒストグラム平坦化の階調変換テーブル(図1(b))を作成した後、その逆変換テーブルを作成し、これを第2の階調変換テーブル14へ書き込む。
【0032】
次に、上記のようにして作成した標準画像に関する逆変換テーブルを用いて、実際に標準画像と撮影部位が同じ手順の画像を取り込んでヒストグラム変換を行う場合について説明する。
この場合は、上述と略同じ操作を行うが、異なるところは画像が取り込まれた段階で自動的にヒストグラムメモリ10において作成されているヒストグラムを用いて、変換データ作成部11が前述の式(1)に従ってヒストグラム平坦化階調変換テーブル(図1(e))を作成し、階調変換テーブル13に書き込む。
【0033】
そして、変換すべき画像をフレームメモリ12から画像保管処理部20へ読み出すときに、第1の階調変換テーブル13と第2の階調変換テーブル14とをシリアルに通過して読み出されるため、図1の(d)→(e)→(c)→(b)→(a)というような流れが実現でき、予め取り込んだ標準画像と同様のヒストグラムをもつ画像が得られることになる。
【0034】
尚、本実施の形態では、第1の階調変換テーブル13と第2の階調変換テーブル14は便宜上2つに分けてあるが、構成によって1つの変換テーブルに合成することも可能であり、その場合は、2つの階調変換テーブルを合成した階調変換テーブルを用いる。
【0035】
また、本実施の形態では、操作者が階調処理を行った画像を標準画像にするとしたが、プリンタ18での出力結果が従来の銀塩フィルム系での特性に合うようにするのであれば、予め取得した従来の銀塩フィルム系で得られたフィルムをフィルムデジタイザなどで一旦ディジタル化し、それを標準画像とすれば、操作者が行う標準画像を出力する階調処理を省略できる。
【0036】
また、本実施の形態では、ヒストグラムを自動的(ハードウエア的)に作成したが、コントローラ5が直接フレームメモリ12もしくは、画像データ取得時に記憶媒体27上のプログラムによってソフトウエア的に作成することも可能である。
【0037】
次に第2の実施の形態を図3と共に説明する。
図3は、図2の画像保管処理部20を省略したものである。さらに図2と異なるのは、変換データ作成部11の機能が階調変換テーブル13に書き込む時と階調変換テーブル14に書き込むときで異なる動作をするようにした点である。
【0038】
本実施の形態は、画像処理もしくはデジタイザなどで得られた画像を用いず、撮影条件が最適なときに得られた画像を標準画像とするものである。
操作者は、撮影時の被写体および撮影条件が適切で標準となるべき画像が得られたときに、不図示の入力手段でこれが標準画像であることを設定する。すると、ヒストグラム平坦化変換データ作成装置11はヒストグラムメモリ10のデータを用いて式(1)に従ってヒストグラム平坦化を行い、さらにその逆変換テーブルを作成して階調変換テーブル14に書き込む。
【0039】
一般の画像取得時には、変換データ作成部11が各画像がフレームメモリ12に取り込まれると同時にヒストグラム平坦化の階調変換テーブルを式(1)に従って作成し、階調変換テーブル13に書き込む。これによってインターフェース15から外部機器へ出力される一般の画像のヒストグラムは標準画像と同様のものに自動的に変換される。
【0040】
次に第3の実施の形態を図4に示す。図4において、28は複数のヒストグラム逆変換用のメモリ群であり、29はそれらを選択して第2の階調変換テーブル14へ書き込む選択部である。他の構成は図3と同一である。
【0041】
標準画像のヒストグラムは、当然撮影部位、描出しようとする病変の種類、診断する医師の好みなどによってさまざまに変化する。それらの標準となるべきヒストグラムを予め取得しておき、標準のヒストグラム平坦化の逆テーブルを複数のメモリ群24に記憶しておく。
【0042】
撮影時に操作者は不図示の手段によって選択部29を介して目的のヒストグラム平坦化の逆テーブルをメモリ群28から選択し、実際の撮影に入る。一般画像取得時は、変換データ作成部11は各画像がフレームメモリ12に取り込まれると同時にヒストグラム平坦化の階調変換テーブルを式(1)に従って作成し、階調変換テーブル13に書き込む。これによってインターフェース15から外部機器へ出力される一般の画像のヒストグラムは選択された標準画像と同様のものに自動的に変換される。
【0043】
尚、第1の実施の形態と同様に、外部に複数の標準となるべきヒストグラムもしくはヒストグラム逆平坦化の階調変換テーブルを持っておき、それらを選択しても同様の効果が得られる。
また、ヒストグラム平坦化と逆平坦化の階調変換テーブルをそれぞれ分割して持ち、利用するのではなく、それらを合成した一つの階調変換テーブルで同様の作用が得られる。
【0044】
また、第1〜第3の実施の形態において、ヒストグラムを求める場合、一画像すべての部分を用いるのではなく、特定の一部分のヒストグラムを用いて、その特定部分のヒストグラムを合致させるよう構成することも可能である。
【0045】
図5は第1〜第3の実施の形態に共通する外部ファイリング装置のプログラム処理のフローチャートを示す。図5において、ステップS1で標準画像を選択取得する。即ち、画像処理結果又はフィルムデジタイズ結果又は好条件における取得画像である。次にステップS2で、標準画像のヒストグラムf(x)を求める。ステップS3で(1)式に従ってヒストグラム平坦化の階調変換テーブルH(x)を作成する。ステップS4でH(x)の逆変換テーブルを、アドレスとデータを入れ替えるプログラム、もしくは解析的な関数でH(x)をフィッティングした後、その逆関数を解析的に求めて作成する。そしてステップS5でインターフェース16を通じて階調変換テーブル13を書き換える。
【0046】
次に第4〜第6の実施の形態について説明する。この第4〜第6の実施の形態は前述した第2の問題点を解決するためのものであり、ある一つの画像を標準画像とし、画像の見えかたは撮影部位が同じであれば、画素値の頻度分布(ヒストグラム)にほぼ依存していることを利用して、任意の画像に対してはヒストグラムを標準画像と同一にするような階調処理を簡便な手法で実現したものである。
【0047】
まず第4の実施の形態を説明する。
図6は本発明を実施した画像処理装置の構成を示したものであり、31は全体の制御演算を行う中央処理装置(CPU)、32は内部機器を接続するバス、33は操作者が画像を見ながら操作する操作卓であり、この操作卓上のモニタである程度の診断は可能となっている。34はこの装置に接続された別のモニタを持つ操作卓であり、操作者は2つの操作卓33、34のモニタを同時に観察して比較検討できる。これらモニタは2台に限らず複数台用いる場合もある。35は画像を銀塩フィルムなどの媒体上へ出力するプリンタ、36は画像のファイリング部、37は外部の画像読取装置などからの画像データを本画像処理装置へ取り込むためのインターフェースである。
【0048】
38はプログラムを格納した記憶媒体であり、CPU31はこのプログラムに従って動作する。本実施の形態の動作はすべてこのプログラムによる動作である。この記憶媒体38としては、ROM、FD、CD−ROM、HD、メモリカード、光磁気ディスクなどを用いることができる。
【0049】
次に動作を図7に従って説明する。図7において、まずステップS11において、ある患者の診断画像を本画像処理装置内へ取り込む(画像Aとする)。次のステップS12では、同一患者の過去の画像をファイリング部36から検索・抽出し、ステップS13では、それを画像Bとする。この時、この過去の画像と現時点の画像を上記2つのモニタ上で比較検討するために両者の階調特性をある程度合わせなければならない。
【0050】
次にステップS14で、この過去の画像Bのヒストグラムを求める。ステップS15で画像Bのヒストグラム平坦化階調変換テーブルH0 (x)(xは画素値)を計算する。さらにステップS16でこのH0 (x)の逆変換テーブルH0 *(x)を演算により求める。この演算はテーブルのアドレスとデータとを入れ替えるようなプログラム処理で可能であるが、テーブルデータを解析的な関数にフィットさせ、その関数の逆関数を演算することでも達成できる。
【0051】
一方、上記各処理と並行してステップS17で画像Aのヒストグラムを求め、ステップS18でそのヒストグラム平坦化階調変換テーブルH1 (x)を作成し、ステップS19で、現時点の画像をH1 (x)を用いて階調変換しておく(その画像を画像A′とする)。
【0052】
そしてステップS20で、画像A′を逆変換テーブルH0 *(x)を用いて、階調変換し画像A″とする。画像A″と画像Bは、ほぼ同じヒストグラムを持つようになり、操作者もしくは医師はステップS21で、過去の画像とこの画像Bを比較検討することにより、同患者の病変部の変化もしくは病状の変化をみることができる。
【0053】
尚、上記では過去の画像Bを標準画像としているが、現時点での画像Aを標準画像とすることも可能であり、その場合は、現時点の画像Aのヒストグラム逆平坦化階調変換テーブルを作成し、過去の画像Bはヒストグラム平坦化階調変換テーブルを通した後、上記逆平坦化階調変換テーブルを通して階調変換を行うようにすればよい。
【0054】
操作者は、上記のようにして得られた画像A″およびBをプリンタ35により別の媒体上に記録し観察するか、もしくは2つのモニタの一方又は両方に同時に出力して比較観察を行える。
【0055】
また、プログラムを格納した記憶媒体38をシステムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが、上記プログラムコードを読み出し実行することによっても、本発明は達成される。
【0056】
次に第5の実施の形態を説明する。
標準画像を同一患者の過去の画像にするのではなく、一般的な病変をよく抽出し得る画像のヒストグラムに合致させることも可能である。即ち、過去の経験から多数の病変抽出に適した画像があるとすれば、それらのヒストグラムの平均処理により標準的な病変抽出に適したヒストグラムが導かれる。
そのヒストグラムの逆平坦化階調変換テーブルを用い、一般の診断画像をヒストグラム平坦化した後、上記逆平坦化階調変換テーブルを用いて階調を合わせれば、すべての画像を均一な階調特性にすることができ、診断の効率が向上する。
【0057】
また標準的な病変抽出に適したヒストグラムは実際の画像から得るのではなく、ヒストグラムの理想形を描き、そのヒストグラム逆平坦化階調変換テーブルを作成することも可能である。
【0058】
次に第6の実施の形態を説明する。
標準画像又は標準的なヒストグラムは、病変部又は人体の撮影部位又は実際に診断する医師の好みによりさまざまであり、それぞれ毎回計算するのでは効率が悪い。そこで、本実施の形態では、病変部の違い又は人体の撮影部位の違い又は医師の違いに応じて、複数のヒストグラム逆平坦化階調変換テーブルを画像処理装置のファイリングシステムに保有させておく。
【0059】
操作者は、画像の使用目的、撮影部位などによって、操作卓より複数のヒストグラム逆平坦化階調変換テーブルの内の一つを選択する。そして、一般の画像をヒストグラム平坦化処理を行なった後、上記選択されたヒストグラム逆平坦化階調変換テーブルを用いて階調変換を行い、目的の階調特性の画像を高速に得ることが可能となる。
【0060】
上述の各実施の形態による階調変換において、階調変換はヒストグラム平坦化と標準画像へのヒストグラム逆平坦化と常に2回行われているが、それぞれの階調変換テーブルを合成し、一つの階調変換テーブルとすることによっても同様の効果が得られる。
また、上述のすべてのヒストグラムについて、画像の一部分のヒストグラムを求め、それらを用いることも可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一般のヒストグラムを標準画像のヒストグラムに変換するような階調変換を行うことができ、これにより、X線画像読取装置において撮影条件が不安定な場合でも、常に安定した画像、特に従来の銀塩フィルム系の出力特性に合わせた画像がディジタルX線画像からも非常に簡便な手法で取得することができる。
【0062】
また、本発明によれば、一般のヒストグラムを標準画像のヒストグラムに変換するような階調変換を行うことができることにより、同一患者の病状の変化をX線画像で診断する場合、X線画像撮影条件が過去と異なったり、もしくは不安定であっても、あらゆる時点の画像が、きわめて簡便な手法で同一の特性の画像に変換でき診断効率・精度の向上をはかることができる。また、確認したい病変をよりよく抽出するような階調変換も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を原理的に説明するための特性図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図5】第1〜第3の実施の形態に共通の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第4の実施の形態を示すブロック図である。
【図7】第4の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
5 コントローラ
9 メモリコントローラ
10 ヒストグラムメモリ
11 変換データ作成部
12 フレームメモリ
13 第1の階調変換テーブル
14 第2の階調変換テーブル
17、33、34 操作卓
26、31 CPU
24、27、38 記憶媒体
Claims (10)
- 標準画像のヒストグラムを平坦化するための階調変換の逆階調変換機能を有する逆階調変換手段と、
入力画像のヒストグラムを平坦化するための階調変換機能を有する階調変換手段とを設け、
前記階調変換手段により変換した前記入力画像を、前記逆階調変換手段により変換することを特徴とする画像処理装置。 - 前記標準画像の第1のヒストグラムを作成すると共に前記入力画像の第2のヒストグラムを作成するヒストグラム作成手段と、
前記第1のヒストグラムを用いて所定の演算を行うことにより前記逆階調変換機能のための第1の変換テーブルを作成して前記逆階調変換手段に保持させると共に、前記第2のヒストグラムを用いて所定の演算を行うことにより前記階調変換機能のための第2の変換テーブルを作成して前記階調変換手段に保持させる変換テーブル作成手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記標準画像と前記逆階調変換手段で変換された画像とを表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
- 標準となるヒストグラムを平坦化するための階調変換の逆階調変換機能を実現するための複数の逆変換テーブルと、
前記複数の変換テーブルから1つの逆変換テーブルを選択するための選択手段と、
入力画像の階調のヒストグラムを平坦化するための階調変換機能を有する階調変換手段と、
前記階調変換手段により変換した前記入力画像を、前記選択手段により選択された逆変換テーブルに基づき変換する逆階調変換手段とを設けたことを特徴とする画像処理装置。 - 前記ヒストグラム作成手段は、入力画像の全部又は一部からヒストグラムを作成することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
- 標準画像のヒストグラムを平坦化するための階調変換の逆階調変換を行う逆階調変換ステップと、
入力画像のヒストグラムを平坦化するための階調変換を行う階調変換ステップとを設け、
前記階調変換ステップにより変換した前記入力画像を、前記逆階調変換ステップにより変換することを特徴とする画像処理方法。 - 前記標準画像の第1のヒストグラムを作成する第1のヒストグラム作成ステップと、
前記入力画像の第2のヒストグラムを作成する第2のヒストグラム作成ステップと、
前記第1のヒストグラムを用いて所定の演算を行うことにより前記逆階調変換のための第1の変換テーブルを作成する第1の変換テーブル作成ステップと、
前記第2のヒストグラムを用いて所定の演算を行うことにより前記階調変換のための第2の変換テーブルを作成する第2の変換テーブル作成ステップとを設けたことを特徴とする請求項6に記載の画像処理方法。 - 前記標準画像と前記逆階調変換ステップで変換された画像とを表示手段に表示する表示ステップを設けたことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像処理方法。
- 標準となるヒストグラムを平坦化するための階調変換の逆階調変換機能を実現するための複数の逆変換テーブルから1つの逆変換テーブルを選択するための選択ステップと、
入力画像の階調のヒストグラムを平坦化するための階調変換を行う階調変換ステップと、
前記階調変換ステップにより変換した前記入力画像を、前記選択ステップにより選択された逆変換テーブルに基づき変換する逆階調変換ステップとを設けたことを特徴とする画像処理方法。 - 請求項6乃至9のいずれか1項に記載の画像処理方法を構成するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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