JP3754272B2 - 空気調和装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は室外ユニットと複数台の室内ユニットを有し、複数台の室内ユニットを同時に冷房運転もしくは暖房運転可能とし、または、これらの暖房運転と冷房運転を混在して実施可能とする空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数台の室内ユニットを同時に冷房運転もしくは暖房運転可能とし、または、これらの暖房運転と冷房運転を混在して実施可能とする空気調和装置は、例えば特許2804527号公報などに掲載されている。
【0003】
このような空気調和装置では、圧縮機及び室外熱交換器を備えた室外ユニットと、室内熱交換器を備えた複数台の室内ユニットとがユニット間配管により接続されている。そして、上記室外熱交換器の一端が、圧縮機の冷媒吐出管と冷媒吸込管とに択一に分岐して接続され、ユニット間配管が、上記冷媒吐出管に接続された高圧ガス管と、上記冷媒吸込管に接続された低圧ガス管と、上記室外熱交換の他端に接続された液管とを有して構成されている。
【0004】
上記構成によると、暖房運転と冷房運転を混在して運転する場合、高圧ガス管と低圧ガス管と液管の三本の冷媒管すべてが使用され、冷房運転のみが実行される場合、高圧ガス管が休止されて、低圧ガス管と液管の二本の冷媒管が使用される。また、暖房運転のみが実行される場合、低圧ガス管が休止されて、高圧ガス管と液管の二本の冷媒管が使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構成では、暖房運転のみが実行される場合、低圧ガス管が休止されるため、この低圧ガス管を通じて室外ユニットから室内ユニット側に冷媒が流出し、この冷媒が低圧ガス管内に寝込む恐れがある。通常では寝込むことがないものの、低圧ガス管の雰囲気温度によってはその飽和圧力が運転中の低圧圧力よりも低くなることがあるからである。
【0006】
冷媒が低圧ガス管内に寝込むと、その分だけシステム内の冷媒量が不足し、ガス欠の症状を呈するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上述した従来技術が有する課題を解消し、いわゆるガス欠を防止する空気調和装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、圧縮機及び空冷式室外熱交換器を備えた室外ユニットと、室内熱交換器を備えた複数台の室内ユニットとがユニット間配管により接続され、上記室外熱交換器の一端が、上記圧縮機の冷媒吐出管と冷媒吸込管とに択一に分岐して接続され、上記ユニット間配管が、上記冷媒吐出管に接続された高圧ガス管と、上記冷媒吸込管に接続された低圧ガス管と、上記室外熱交換の他端に接続された液管とを有して構成され、前記室内熱交換器の一端が上記高圧ガス管及び上記低圧ガス管に、他端が上記液管にそれぞれ接続され、複数台の上記室内ユニットを同時に冷房運転若しくは暖房運転可能とし、または、これらの冷房運転と暖房運転を混在して実施可能とするよう構成された空気調和装置において、上記室内ユニットがすべて暖房運転時に、上記低圧ガス管の冷媒の飽和圧力が運転中の低圧圧力よりも低くなって、休止状態の低圧ガス管を通じて室外ユニットから複数台の室内ユニット側に冷媒が流入しないように、上記室外ユニット内の低圧ガス管に冷媒流入防止手段を接続したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、冷媒流入防止手段が室外ユニット内の低圧ガス管に接続された逆止弁であることを特徴とする。
【0010】
本発明には、次の作用がある。
【0011】
一般に、暖房運転のみが実行される場合、低圧ガス管が休止されるため、この低圧ガス管を通じて室外ユニットから室内ユニット側に冷媒が流出し、この冷媒が低圧ガス管内に寝込む恐れがある。
【0012】
通常では寝込むことがないものの、低圧ガス管の雰囲気温度によってはその飽和圧力が運転中の低圧圧力よりも低くなることがあるからである。
【0013】
本発明では、暖房運転時に低圧ガス管内のガスの飽和圧力が運転中の低圧圧力より低くなっても、冷媒流入防止手段が設けられているため、室外ユニットから室内ユニット側に冷媒が流出することがなく、この冷媒が低圧ガス管内に寝込むことがない。冷媒流入防止手段が室外ユニット内の低圧ガス管に接続された逆止弁で構成されれば、構造が簡素化される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る空気調和装置の第一の実施の形態を示す冷媒回路図である。この空気調和装置30は、圧縮機2、室外熱交換器3及び室外膨張弁27を備えた室外ユニット1と、室内熱交換器6a及び室内膨張弁18aを備えた室内ユニット5aと、室内熱交換器6b及び室内膨張弁18bを備えた室内ユニット5bと、室内熱交換器6c及び室内膨張弁18cを備えた室内ユニット5cとを有して構成される。そして、これらの室外ユニット1と室内ユニット5a、5b、5cとがユニット間配管10により接続されて、空気調和装置30は、室内ユニット5a、5b、5cを同時に冷房運転もしくは暖房運転可能とし、または、これらの冷房運転と暖房運転とを混在して実施可能とする。
【0016】
上記室外ユニット1では、室外熱交換器3の一端が、圧縮機2の吐出管7と吸込管8とに、それぞれ切換弁9a、9bを介して択一に分岐して接続されている。また、吸込管8にアキュムレータ4が配設されている。
【0017】
上記ユニット間配管10は、高圧ガス管11、低圧ガス管12及び液管13を備えてなる。高圧ガス管11が吐出管7に接続され、低圧ガス管12が吸込管8に接続される。液管13は、室外膨張弁27を介して室外熱交換器3の他端に接続される。
【0018】
上記室内ユニット5a、5b、5cのそれぞれの室内熱交換器6a、6b、6cは、それらの他端が、室内膨張弁18aを配設した液分岐管19a、室内膨張弁18bを配設した液分岐管19b、室内膨張弁18cを配設した液分岐管19cを介して液管13にそれぞれ接続される。
【0019】
また、上記室内ユニット5aの室内熱交換器6aは、その一端が、ガス分岐管14aを介して高圧ガス管11に接続されるとともに、ガス分岐管15aを介して低圧ガス管12に接続される。上記室内ユニット5bの室内熱交換器6bは、その一端が、ガス分岐管14bを介して高圧ガス管11に接続されるとともに、ガス分岐管15bを介して低圧ガス管12に接続される。更に、上記室内ユニット5cの室内熱交換器6cは、その一端が、ガス分岐管14cを介して高圧ガス管11に接続されるとともに、ガス分岐管15cを介して低圧ガス管12に接続される。ガス分岐管14a、14b、14cのそれぞれに、第1開閉弁16a、16b、16cが配設される。また、ガス分岐管15a、15b、15cのそれぞれに、第2開閉弁17a、17b、17cが配設される。
【0020】
ガス分岐管15aには、第2開閉弁17aをバイパスして、第一バイパス管21a及び第二バイパス弁24aが並列接続される。ガス分岐管15bには、第2開閉弁17bをバイパスして、第一バイパス管21b及び第二バイパス弁24bが並列接続される。更にガス分岐管15cには、第2開閉弁17cをバイパスして、第一バイパス管21c及び第二バイパス弁24cが並列接続される。
【0021】
第一バイパス管21a、21b、21cのそれぞれに、第3開閉弁22a及びキャピラリチューブ23aが、第3開閉弁22b及びキャピラリチューブ23bが、第3開閉弁22c及びキャピラリチューブ23cがそれぞれ配設される。また、第二バイパス管24a、24b、24cのそれぞれに、第4開閉弁25a及びオリフィス26aが、第4開閉弁25b及びオリフィス26bが、第4開閉弁25c及びオリフィス26cがそれぞれ配設される。尚、図1中の符号20a、20b、20cは分岐ユニットである。
【0022】
本実施形態では、上記室内ユニット5がすべて暖房運転時に、休止状態の低圧ガス管12を通じて室外ユニット1から室内ユニット5に冷媒が流入しないように、上記室外ユニット1内の低圧ガス管13に逆止弁(冷媒流入防止手段)100が接続されている。
【0023】
次に運転動作を説明する。
【0024】
(A)全室内ユニット5a、5b、5cを同時に冷房する場合は、高圧ガス管11が休止状態におかれる。
【0025】
この場合、室外熱交換器3の一方の切換弁9aを開くとともに他方の切換弁9bを閉じ、且つ分岐ユニット20a、20b、20cの第1開閉弁16a、16b、16cを閉じるとともに、第2開閉弁17a、17b、17cと第3開閉弁22a、22b、22cと第4開閉弁25a、25b、25cを開く。これにより、圧縮機2から吐出された冷媒は、吐出管7、切換弁9a、室外熱交換器3へと順次流れ、この室外熱交換器3で凝縮液化した後、液管13と液分岐管19a、19b、19cを経て各室ユニット5a、5b、5cの室内膨張弁18a、18b、18cに分配され、ここで減圧される。しかる後、冷媒は、各室内熱交換器6a、6b、6cで蒸発気化した後、それぞれ第2開閉弁17a、17b、17cと第3開閉弁22a、22b、22cと第4開閉弁25a、25b、25cとを並流した後、低圧ガス管12、吸込管8、アキュムレータ4を順次経て圧縮機2に吸入される。このように、蒸発器として作用する各室内熱交換器6a、6b、6cで全室内ユニット5a、5b、5cが同時に冷房される。
【0026】
(B)全室内ユニット5a、5b、5cを同時に暖房する場合は、低圧ガス管12が休止状態におかれる。
【0027】
この場合、室外熱交換器3の一方の切換弁9aを閉じるとともに他方の切換弁9bを開き、且つ分岐ユニット20a、20b、20cの第1開閉弁16a、16b、16cを開くとともに、第2開閉弁17a、17b、17cと第3開閉弁22a、22b、22cと第4開閉弁25a、25b、25cとを閉じる。これにより、圧縮機2から吐出された冷媒は、吐出管7、高圧ガス管11を順次経てガス分岐管14a、14b、14cに分配された後、第1開閉弁16a、16b、16c、室内熱交換器6a、6b、6cへと流れ、ここでそれぞれ凝縮液化した後、各室内膨張弁18a、18b、18cで減圧され、液分岐管19a、19b、19cを経て液管13で合流される。しかる後、室外熱交換器3で蒸発気化した後、切換弁9b、吸込管8、アキュムレータ4を順次経て圧縮機2に吸入される。このように凝縮器として作用する各室内熱交換器6a、6b、6cで、全室内ユニット5a、5b、5cが同時に暖房される。
【0028】
(C)同時に、例えば室内ユニット5a及び5cを冷房し、室内ユニット5bを暖房する場合は、全ての冷媒管11、12、13が使用される。
【0029】
この場合、室外熱交換器3の一方の切換弁9aを開くとともに他方の切換弁9bを閉じ、且つ、冷房する室内ユニット5a、5cの分岐ユニット20a、20cにおける第1開閉弁16a、16cを閉じるとともに、第2開閉弁17a、17cと第3開閉弁22a、22cと第4開閉弁25a、25cを開き、且つ暖房する室内ユニット5bの分岐ユニット20bにおける第1開閉弁16bを開くとともに、第2開閉弁17bと第3開閉弁22bと第4開閉弁25bを閉じる。すると、圧縮機2から吐出された冷媒の一部が吐出管7、切換弁9aを順次経て室外熱交換器3に流れるとともに、残りの冷媒が高圧ガス管11を経て暖房する室内ユニット5bの分岐ユニット20bにおける第1開閉弁16b、室内熱交換器6bへと流れ、この室内熱交換器6bの室外熱交換器3で凝縮液化される。
【0030】
そして、これら熱交換器6b、室外熱交換器3で凝縮液化された冷媒は、液管13を経て室内ユニット5a、5cの室内膨張弁18a、18cで減圧された後、それぞれの室内熱交換器6a、6cで蒸発気化される。しかる後、冷媒は、第2開閉弁17a、17cと第3開閉弁22a、22b、22cと第4開閉弁25a、25b、25cを並流して低圧ガス管12で合流され、吸込管8、アキュムレータ4を順次経て圧縮機2に吸入される。このように、凝縮器として作用する室内熱交換器6bで室内ユニット5bが暖房され、蒸発器として作用する他の室内熱交換器6a、6cで室内ユニット5a、5cがそれぞれ冷房される。
【0031】
次に、例えば、室内ユニット5bで冷房し、室内ユニット5a、5cで暖房する場合には、室外熱交換器3の一方の切換弁9aを閉じるとともに他方の切換弁9bを開き、且つ冷房する室内ユニット5bの分岐ユニット20bにおける第1開閉弁16bを閉じるとともに、第2開閉弁17bと第3開閉弁22bと第4開閉弁25bとを開き、且つ暖房する室内ユニット5a、5cの分岐ユニット20a、20cにおける第1開閉弁16a、16cを開くとともに、第2開閉弁17a、17cと第3開閉弁22a、22cと第4開閉弁25a、25cとを閉じる。すると、圧縮機2から吐出された冷媒が吐出管7、高圧ガス管11を順次経て第1開閉弁16a、16cへと分配され、それぞれの室内熱交換器6a、6cで凝縮液化される。そして、この液化された冷媒は、それぞれ全開された室内膨張弁18a、18cを経て液管13に流れる。この液管中の液冷媒の一部が、室内膨張弁18bで減圧された後に室内熱交換器6bで、且つ、残りの液冷媒が室外膨張弁27で減圧された後に室外熱交換器3でそれぞれ蒸発気化され、吸引管8、アキュムレータ4を順次経て圧縮機2に吸入される。このように、凝縮器として作用する室内熱交換器6a、6cで室内ユニット5a、5cが暖房され、蒸発器として作用する他の室内熱交換器6bで室内ユニット5bが冷房される。
【0032】
以上の如く、冷房する室内ユニット5a、5b、5cの数(冷房容量)が暖房する室内ユニット5a、5b、5cの数(暖房容量)よりも多いときは室外熱交換器3を凝縮器として、逆に、冷房する室内ユニット5a、5b、5cの数(暖房容量)が暖房する室内ユニット5a、5b、5cの数(冷房容量)よりも少ないときは室外熱交換器3を蒸発器として作用させることにより、任意の室内ユニット5a、5b、5cを自由に冷暖房することができる。
【0033】
(D)本実施形態では、上記した(B)項の状態、すなわち全室内ユニット5a、5b、5cを同時に暖房する場合、休止状態の低圧ガス管12に冷媒が寝込まないように対策が講じられる。
【0034】
このように暖房運転のみが実行される場合、低圧ガス管12が休止されるため、この低圧ガス管12を通じて室外ユニット1から室内ユニット5側に冷媒が流出し、この冷媒が低圧ガス管12内に寝込む恐れがある。
【0035】
通常では低圧ガス管12に冷媒が寝込むことがないものの、低圧ガス管12の雰囲気温度によっては、その飽和圧力P1が運転中の低圧圧力P2よりも低くなる(P1<P2)ことがあるからである。
【0036】
本実施形態では、このP1<P2の状態が発生しても、室外ユニット1内の低圧ガス管13に逆止弁100が接続されているため、室外ユニット1から室内ユニット5に冷媒が流入することはない。
【0037】
従って、低圧ガス管内への冷媒の寝込みが防止されるため、いわゆるシステム内のガス欠の発生が防止される。
【0038】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、冷媒流入防止手段は、逆止弁に限定されず、全暖房運転時にのみ閉じられる制御弁であってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、低圧ガス管に冷媒流入防止手段が接続されているため、低圧ガス管を通じて、室外ユニットから室内ユニットに冷媒が流入することがなく、低圧ガス管内への冷媒の寝込みが防止される。従って、いわゆるシステム内のガス欠の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空気調和装置の第一の実施の形態を示す冷媒回路図である。
【符号の説明】
1 室外ユニット
2 圧縮機
3 室外熱交換器
5a、5b、5c 室内ユニット
6a、6b、6c 室内熱交換器
7 吐出管
8 吸込管
10 ユニット間配管
11 高圧ガス管
12 低圧ガス管
13 液管
16a、16b、16c 第1開閉弁
18a、18b、18c 室内膨張弁
30 空気調和装置
100 逆止弁(冷媒流入防止手段)

Claims (2)

  1. 圧縮機及び空冷式室外熱交換器を備えた室外ユニットと、室内熱交換器を備えた複数台の室内ユニットとがユニット間配管により接続され、上記室外熱交換器の一端が、上記圧縮機の冷媒吐出管と冷媒吸込管とに択一に分岐して接続され、上記ユニット間配管が、上記冷媒吐出管に接続された高圧ガス管と、上記冷媒吸込管に接続された低圧ガス管と、上記室外熱交換の他端に接続された液管とを有して構成され、前記室内熱交換器の一端が上記高圧ガス管及び上記低圧ガス管に、他端が上記液管にそれぞれ接続され、複数台の上記室内ユニットを同時に冷房運転若しくは暖房運転可能とし、または、これらの冷房運転と暖房運転を混在して実施可能とするよう構成された空気調和装置において、上記室内ユニットがすべて暖房運転時に、上記低圧ガス管の冷媒の飽和圧力が運転中の低圧圧力よりも低くなって、休止状態の低圧ガス管を通じて室外ユニットから複数台の室内ユニット側に冷媒が流入しないように、上記室外ユニット内の低圧ガス管に冷媒流入防止手段を接続したことを特徴とする空気調和装置。
  2. 上記冷媒流入防止手段が室外ユニット内の低圧ガス管に接続された逆止弁であることを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
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