JP3754130B2 - 電動機の速度制御回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部の位相制御用トリガ回路により、サイリスタ、またはトライアックを点弧させる単相誘導電動機の速度制御回路に関し、特に、該電動機の速度安定性を改善した速度制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、単相誘導電動機の回転速度を変える方法としては、位相制御用トリガ回路により、サイリスタ、またはトライアックの点弧位相角を制御する方法が広く採用されている。
この種の、電動機の速度制御回路については、例えば、図7の構成回路図に示すものがある。この回路は、簡単な構成で実現できるため、送風機、特に、電子装置の冷却などに用いられる小型の交流ファンモータの回転速度制御回路として使用されている。
【0003】
図7によれば、交流電源1に、単相誘導電動機2と直列にダイオードブリッジ3が接続され、該ダイオードブリッジ3の直流出力側にサイリスタSCRが接続されている。また、該サイリスタSCRのアノード、カソード間に並列に、可変抵抗器VRとコンデンサC1とからなる直列回路が接続され、この直列回路の中間接続点4と前記サイリスタSCRのゲートとの間に、トリガ素子である、例えばダイアックDIが接続されている。そして、前記コンデンサC1の充電電圧が、定められた値(以下、トリガ電圧という)を超えたとき、前記サイリスタSCRを点弧、導通させて、前記電動機2の回転速度を制御している。
【0004】
すなわち、前記コンデンサC1は、可変抵抗器VRを介して、交流電源1に接続されているため、電源電圧の上昇とともに、コンデンサC1に電荷が蓄積され、その端子間電圧が上昇する。このコンデンサC1の端子間は、トリガ素子である、例えばダイアック5を介して、サイリスタSCRに接続されているため、コンデンサC1の充電電圧が、定められた値(トリガ電圧)を超えたとき、前記ダイアックDIは導通状態になり、サイリスタSCRに、そのゲートから電荷を注入、点弧して、導通状態にさせる。なお、前記トリガ素子であるダイアックDIは、前記端子間の電圧が20ないし40Vを超えたとき、導通状態になる素子である。
【0005】
前記サイリスタSCRが導通すると、該サイリスタSCRを介して、前記電動機2に電圧が印加されると同時に、サイリスタSCRに並列に接続された可変抵抗器VRとコンデンサC1との直列回路に加わっていた電圧は、ほぼ零となり、該コンデンサC1に蓄積された電荷は、ほぼ完全に放電される。そして、電源電圧が、再び零になると、サイリスタSCRは非導通状態となり、もとの状態に戻る。
図7の回路構成は、交流電源1に、単相誘導電動機2と直列にダイオードブリッジ3が接続されているため、一方向導通型のサイリスタSCRで交流の位相制御が可能となる。
【0006】
以上の動作を繰り返すことにより、前記電動機2には、一定間隔の非導通状態を含む電圧が加わる。ここで、前記直列回路の可変抵抗器VRの抵抗値を変えることにより、コンデンサC1への電荷の蓄積速度が変わり、結果として該コンデンサC1の充電電圧が変わり、前記サイリスタSCRを導通させるタイミングを変更することができ、前記電動機2のトルク−回転速度特性(以下、単にトルク特性という)を変更できる。
【0007】
この関係を、各部の電圧、電流波形として、図8に示す。図8(a)は交流電源1の電圧波形、(b)はダイオードブリッジ3からの出力電圧波形、(c)および(d)は、可変抵抗器VRの抵抗値が小の場合の、コンデンサC1の充電電圧波形とサイリスタの電流波形、(e)および(f)は、可変抵抗器VRの抵抗値が大の場合の、コンデンサC1の充電電圧波形とサイリスタの電流波形である。
【0008】
回転速度については、例えば、ファンモータの場合、図9に示すように、前記電動機2のトルク特性曲線(可変抵抗器VRの抵抗値が小の場合のトルク特性曲線をa、可変抵抗器VRの抵抗値が大の場合のトルク特性曲線をbとする)と、羽根のトルク特性曲線cの交点が回転速度となる。同図において、可変抵抗器VRが小の場合、d点が、可変抵抗器VRが大の場合、e点が、トルク特性曲線のそれぞれの交点となって、前記ファンモータの回転速度となる。すなわち、位相制御とは、前記電動機2のトルク特性を変化させることにより、羽根との組み合わせにおける回転速度を変化させる方法といえる。
【0009】
ちなみに、図7の回路の中で、前記サイリスタSCRに並列に接続される抵抗器RとコンデンサC2からなる直列回路は、スナバ回路と呼ばれ、前記電動機を位相制御する際に、必要となるものである。このスナバ回路の作用については、次のとおりである。
図7の回路で、トリガ信号を発生する部分は、サイリスタSCRに並列に接続されているため、該サイリスタSCRが導通すると該トリガ信号も消失する。ここで、誘導電動機2のようなインダクタンス負荷では、サイリスタSCRが、導通状態を維持する負荷電流に到達するのに時間がかかる場合があり、最悪、該サイリスタSCRが、また非導通状態に戻る可能性がある。このような現象を防止するため、該サイリスタSCRに並列にコンデンサC2を接続しておき、導通初期には、該コンデンサC2に充電された電荷を放出して、前記誘導電動機2の負荷電流が定常に達するまで前記サイリスタSCRを導通状態に維持し続けるのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の図7の回路構成では、前記電動機2の回転速度が不安定になるという問題点があった。
すなわち、例えばファンモータでは、騒音が周期的に変動し、耳障りな印象を与えるといった不具合のため、あまり使われていない。この現象を図9により説明すると、回転速度を変化させることは、該誘導電動機2のトルク特性曲線をaからbに変え、羽根のトルク特性曲線cとの交点を、d点からe点にすることである。
【0011】
しかし、誘導電動機は本来、同期回転数を大幅に下回る回転速度では、トルクが低くなり、同図のe点のように、回転速度の上昇に対して、右上がりの前記トルク曲線b,cが交差することになる。このため、何らかの原因でトルク特性曲線bが同図の破線のように変化すると、交点のe点は大きく変化し、大きな回転速度の変動につながることになる。これが、前述の低速での回転速度の不安定現象となって現れるのである。
【0012】
この対策として、既に知られているのが、図10に示すように回転速度を検出し、これを速度設定側に負帰還させることにより、その回転速度を安定にするものである。同図の回路動作を説明すると、誘導電動機2の出力軸に結合された速度検出発電器5の出力を、交流の場合、これを整流平滑部6により整流、平滑して直流電圧に変換する。
一方、速度設定部7では、設定速度に相当する基準電圧を発生させ、前記速度検出発電器5の出力から変換された直流電圧と、該設定速度に相当する基準電圧とが、等しくなるような非導通時間を比較部8で算出する。さらに、算出された非導通時間となるように、電源に接続された電源同期信号発生部9からの信号をもとに、サイリスタSCRを導通させるタイミングを位相制御部10で決定し、該サイリスタSCRを導通させることにより、前記誘導電動機2の回転速度は設定速度付近に安定化され、低速時の速度安定化が可能であることが分かる。
しかしながら、図10の回路構成は、複雑であり、簡単な回路構成で安価に実現できるとはいい難いという問題点があった。
【0013】
本発明はかかる点に鑑みなされたもので、その目的は前記問題点を解消し、ファンモータなどの誘導電動機の、低速での回転速度を安定化させるとともに、簡単な回路構成で、安価に実現でき、かつコンパクトな電動機の速度制御回路を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、誘導電動機の回転速度の不安定現象に起因する騒音の周期的な変動がない電動機の速度制御回路を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明の構成は、次のとおりである。
【0016】
(1) 交流電源に、単相誘導電動機と直列に接続されるダイオードブリッジの直流出力側にサイリスタを接続し、該サイリスタのアノード、カソード間に並列に、可変抵抗器とコンデンサとからなる直列回路を接続し、該直列回路の中間接続点と前記サイリスタのゲートとの間に接続されるトリガ素子を介して、前記コンデンサの充電電圧が、定められた値(以下、トリガ電圧という)を超えたとき、前記サイリスタを点弧、導通させて、前記電動機の速度を制御する回路において、次のとおりである。
【0017】
前記トリガ素子に代えて、プログラマブルユニジャンクショントランジスタを配設し、そのアノードを前記直列回路の中間接続点に、そのカソードを前記サイリスタのゲートにそれぞれ接続し、他方、前記電動機の出力軸に、その回転速度を検出する検出器を結合し、該検出器の直流出力電圧を、順方向に接続される、少なくとも前記サイリスタを導通させるに足る電圧以上の定電圧である定電圧ダイオードを介して、前記プログラマブルユニジャンクショントランジスタのゲート、カソード間に印加し、前記サイリスタを点弧、導通させて、前記電動機の速度を制御することを特徴とする。
【0018】
(2) 前記(1)において、前記定電圧ダイオードの定電圧が、少なくとも前記サイリスタを導通させるに足る電圧以上の電圧であることを特徴とする。
【0019】
(3) 交流電源に、単相誘導電動機と直列に接続されるトライアックのゲートから、該トライアックを位相制御して、前記電動機の速度を制御する回路において、次のとおりである。
【0020】
前記トライアックの出力2端子間に並列に、可変抵抗器とコンデンサとからなる直列回路を接続し、該直列回路の中間接続点と前記トライアックのゲートとの間に、ダイオードブリッジとプログラマブルユニジャンクショントランジスタとを配設し、前記中間接続点と前記トライアックのゲートとを、前記ダイオードブリッジの交流側にそれぞれ接続するとともに、前記プログラマブルユニジャンクショントランジスタのアノードおよびカソードを、該ダイオードブリッジの直流側カソードおよびアノードにそれぞれ接続し、他方、前記電動機の出力軸に、その回転速度を検出するための検出器を結合し、該検出器の直流出力電圧を、順方向に接続される、少なくとも前記トライアックを導通させるに足る電圧以上の定電圧である定電圧ダイオードを介して、前記プログラマブルユニジャンクショントランジスタのゲート、カソード間に印加し、前記トライアックを点弧、導通させて、前記電動機の速度を制御することを特徴とする。
【0021】
(4) 前記(3)において、前記定電圧ダイオードの定電圧が、少なくとも前記トライアックを導通させるに足る電圧以上の電圧であることを特徴とする。
【0022】
以上のように構成された電動機の速度制御回路によれば、プログラマブルユニジャンクショントランジスタを配設してトリガ回路を構成し、トリガ電圧が、回転速度検出器の出力電圧を超えたとき、トリガ信号を発生することで、前記電動機の回転速度が大きい場合には、位相角を後方に移行して、回転速度を低下させ、逆に、回転速度が小さい場合には、位相角を前方に移行して、回転速度を増加させるようにしている。このトリガ電圧は、前記電動機の回転速度が大きくなるほど大となる。
【0023】
さらに、プログラマブルユニジャンクショントランジスタのゲート側に接続される定電圧ダイオードの定電圧を、サイリスタSCRのゲートトリガ電圧以上にし、前記プログラマブルユニジャンクショントランジスタの導通時、該定電圧ダイオードの定電圧がサイリスタSCRのゲート側に加わるようにして、前記電動機の静止時には、少なくとも前記サイリスタSCRを導通させるに足る電圧にしている。
【0024】
単相誘導電動機を位相制御して、速度制御する場合、その速度の安定化が、簡単かつ安価な回路により達成可能となり、例えば、ファンモータのように安価に回転速度を変化させたい場合にも、回転速度の不安定現象に起因する騒音の周期的な変動がない速度制御が可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
(第1実施例)
図1ないし図4は、本発明の電動機の速度制御回路の第1実施例を示し、図1は、単相誘導電動機の速度制御回路を示す図で、図7と同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。図2は、プログラマブルユニジャンクショントランジスタPUTと同等の機能を有するトランジスタで構成した説明図、図3は、図1の回路における各部の電圧、電流波形を示す図、図4は、本実施例の単相誘導電動機のトルク−回転速度特性を示す図である。
【0026】
図1において、11は、誘導電動機2の出力軸に結合された速度検出発電器で、交流電圧出力の場合、これをダイオードブリッジ12で整流し、コンデンサC3で平滑して直流電圧に変換する。この速度検出信号の直流電圧は、順方向に接続される定電圧ダイオードZDを介して、プログラマブルユニジャンクショントランジスタPUTのゲート、カソード間に接続され、該プログラマブルユニジャンクショントランジスタPUTのアノードおよびカソードは、それぞれ、前記直列回路の可変抵抗器VRとコンデンサC1との接続点4およびサイリスタSCRのゲートに接続されている。ここで、前記速度検出発電器11が、直流電圧出力の場合は、直流電圧に変換するためのダイオードブリッジ12とコンデンサC3は不要となる。
【0027】
図2(a)に示す前記プログラマブルユニジャンクショントランジスタPUTとは、アノードAに加わる電圧が、ゲートGに加わる電圧を上回ると、以後、そのアノードA、カソードK間の電圧が再び零になるまで、該アノードA、カソードK間を導通し続ける素子である。これは図2(b)に示すようにPNPトランジスタQ1とNPNトランジスタQ2との組み合わせでも実現できる。
【0028】
図2の回路の動作を説明すると、前記プログラマブルユニジャンクショントランジスタPUTのゲートに相当するPNPトランジスタQ1のベースに加わる電圧を、アノードに相当するPNPトランジスタQ1のエミッタに加わる電圧が上回ると、該トランジスタQ1が動作して、下段のトランジスタQ2を動作させる。前記トランジスタQ1とQ2のベースはそれぞれ互いに接続されているため、トランジスタQ1のエミッタに加わる電圧が零になるまで、トランジスタQ1とQ2は導通し続け、前記プログラマブルユニジャンクショントランジスタPUTと同じ働きをさせることができる。
【0029】
前記定電圧ダイオードZDは、前記電動機2の起動時(静止時)における速度検出発電機11の出力電圧が零のときでも、前記サイリスタSCRをトリガさせるためにあり、該定電圧ダイオードZDに要求される仕様としては、前記サイリスタSCRを導通させるに足るゲート電圧(またはゲートトリガ電圧)以上の定電圧特性が必要である。
【0030】
図1の各部の電圧、電流波形を図3に示す。図3(a)は交流電源1の電圧波形、(b)はダイオードブリッジ3からの出力電圧波形、(c)および(d)は、可変抵抗器VRの抵抗値が小の場合で、回転速度が大きいときの、コンデンサC1の充電電圧波形とサイリスタの電流波形、(e)および(f)は、可変抵抗器VRの抵抗値が小の場合で、回転速度が小さいときの、コンデンサC1の充電電圧波形とサイリスタの電流波形である。
【0031】
図1の回路において、可変抵抗器VRの抵抗値が小さく、コンデンサC1の端子間電圧の上昇が遅い場合、なんらかの原因で、前記電動機2の回転速度が大きくなったとき、前記速度検出発電機11の出力電圧が大きくなるため、トリガ電圧は図3(c)の破線のように高くなり、サイリスタSCRが導通するタイミングは、後方に移行し、前記電動機2への入力を低下させる。その結果、電動機2のトルクは低下し、図4に示すように前記電動機2および羽根のトルク特性曲線b,cとの交点は、f点からe点に移行し、回転速度の上昇を抑制する。
【0032】
一方、電動機2の回転速度が小さくなったときは、同様に、トリガ電圧は図3(e)の破線のように低下し、サイリスタSCRが導通するタイミングを前方に移行させて該記電動機2への入力を増加させ、回転速度の降下を抑制する。かくして、前記電動機2の回転速度の上昇、降下に対して、抑制効果が働き、安定化させることができる。
【0033】
なお、前記電動機2の起動時(静止時)には、速度検出発電器11の出力電圧は零で、サイリスタSCRを導通させることができない。つまり、自力では起動できないため、静止時にも、ある程度の電圧にならないと導通しないようにしている。この電圧が、少なくとも前記サイリスタSCRを導通させるに足るトリガ電圧にしている。このトリガ電圧は、通常、約1.5Vであるが、多少余裕をみて、約5Vにしている。
【0034】
本実施例における単相誘導電動機2を、交流ファンモータに応用した場合の回転速度の時間的推移を図5に示す。
この交流ファンモータは、縦横それぞれ180mm、厚さ90mmの市販品であり、時間的推移によるその回転速度の変動を測定したもので、同図中、本実施例のものを●−●で示し、従来のものを○−○で示す。
交流ファンモータは本来、交流電源周波数にほぼ同期した回転数、例えば、50Hzでは2800rpm程度で回転させると回転速度は安定するが、ここでは、1500rpmで回転させて、その回転速度の変動を記録した。○−○で示す従来の回路との組み合わせでは、その回転速度が1200〜1800rpmと大きく変動するのに対して、●−●で示す本発明の回路との組み合わせでは、その回転速度の変動は1450〜1550rpmと変動が小さくなっていることが分かる。
【0035】
(第2実施例)
図1においては、交流電源1に、前記電動機2とダイオードブリッジ3とが直列に接続されているため、一方向導通型のサイリスタSCRで位相制御ができるが、双方向導通型のトライアックBCRを用いると、交流電源1に、該電動機2をダイオードブリッジ3なしで接続することができる。
これを示したのが、図6による本発明の第2実施例で、図1と同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
図6において、トライアックBCRのトリガ信号は、交流電源1の電圧に合わせて、正負に反転させる必要がある。このため、前記可変抵抗器VRとコンデンサC1とからなる直列回路の中間接続点4と前記トライアックBCRのゲートとの間に、ダイオードブリッジ13を配設し、前記中間接続点4と前記トライアックBCRのゲートとを、前記ダイオードブリッジ13の交流側(ダイオード素子のアノードとカソードとの接続点)にそれぞれ接続するとともに、前記プログラマブルユニジャンクショントランジスタのアノードおよびカソードを、該ダイオードブリッジ13の直流側カソードおよびアノードにそれぞれ接続している。そして、交流電源1の正負の電圧波形に応じて、正負に反転するトリガ信号を発生させ、前記トライアックBCRを導通させている。
【0037】
前記電動機2の回転速度を安定化させる動作については、前記サイリスタSCRを用いた第1実施例と同じである。
図6の回路は、第1実施例の図1の回路に比べて、電源整流用のダイオードブリッジ12が不要になる代わりに、トリガ信号発生用にダイオードブリッジ13が必要になるが、該ダイオードブリッジ13に要求される電流容量は、結果として、小さなものでよく、回路の小型化、低コスト化が可能である。
【0038】
また、本発明の技術は前記実施例における技術に限定されるものではなく、同様な機能を果たす他の態様の手段によってもよく、また本発明の技術は前記構成の範囲内において種々の変更、付加が可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の電動機の速度制御回路によれば、コンデンサの充放電を利用して、サイリスタまたはトライアックの点弧位相角を制御して、交流電源に接続された単相誘導電動機の速度制御回路において、プログラマブルユニジャンクショントランジスタを設けるとともに、前記電動機の出力軸に、その回転速度を検出するための検出器を結合し、該検出器の直流出力電圧を、順方向に接続される、少なくとも前記サイリスタまたはトライアックを導通させるに足る電圧以上の定電圧である定電圧ダイオードを介して、前記プログラマブルユニジャンクショントランジスタのゲート、カソード間に印加し、前記サイリスタまたはトライアックを点弧、導通させて、前記電動機の速度を制御するので、ファンモータなどの誘導電動機が、簡単な回路構成により、低速で回転速度が安定化されるとともに、安価で、かつコンパクトに実現することができる。
【0040】
また、例えば、ファンモータのように安価に回転速度を変化させたい場合にも、回転速度の不安定現象に起因する騒音の周期的な変動がない速度制御ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動機の速度制御回路の第1実施例を示し、単相誘導電動機の速度制御回路図である。
【図2】プログラマブルユニジャンクショントランジスタPUTと同等の機能を有するトランジスタで構成した説明図で、図2(a)はプログラマブルユニジャンクショントランジスタPUTの図、図2(b)はトランジスタで構成した図ある。
【図3】図1の回路における各部の電圧、電流波形を示す図で、図3(a)は交流電源電圧波形、図3(b)はダイオードブリッジ3からの出力電圧波形、図3(c)および(d)は、可変抵抗器VRの抵抗値が小の場合で、回転速度が大きいときの、コンデンサC1の充電電圧波形とサイリスタの電流波形、図3(e)および(f)は、可変抵抗器VRの抵抗値が小の場合で、回転速度が小さいときの、コンデンサC1の充電電圧波形とサイリスタの電流波形のそれぞれを示す図である。
【図4】本実施例の単相誘導電動機のトルク−回転速度特性を示す図である。
【図5】本実施例を、交流ファンモータに応用した場合の回転速度の時間的推移を、従来例と比較して示す図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す単相誘導電動機の速度制御回路図である。
【図7】従来の、単相誘導電動機の速度制御回路図である。
【図8】図7の回路における各部の電圧、電流波形を示す図で、図8(a)は交流電源電圧波形、図8(b)はダイオードブリッジ3からの出力電圧波形、図8(c)および(d)は、可変抵抗器VRの抵抗値が小の場合の、コンデンサC1の充電電圧波形とサイリスタの電流波形、図8(e)および(f)は、可変抵抗器VRの抵抗値が大の場合の、コンデンサC1の充電電圧波形とサイリスタの電流波形のそれぞれを示す図である。
【図9】従来の、単相誘導電動機のトルク−回転速度特性を示す図である。
【図10】他の従来の、単相誘導電動機の速度制御回路図である。
【符号の説明】
1 交流電源
2 単相誘導電動機
3,12,13 ダイオードブリッジ
4 中間接続点
11 速度検出発電器
BCR トライアック
C3 コンデンサ
PUT プログラマブルユニジャンクショントランジスタ
SCR サイリスタ
VR 可変抵抗器
ZD 定電圧ダイオード

Claims (2)

  1. 交流電源に接続された単相誘導電動機と直列に接続されるダイオードブリッジの直流出力側にサイリスタを接続し、該サイリスタのアノード、カソード間に並列に、可変抵抗器とコンデンサとからなる直列回路を接続し、該直列回路の中間接続点と前記サイリスタのゲートとの間に接続されるトリガ素子を介して、前記コンデンサの充電電圧が、定められた値(以下、トリガ電圧という)を超えたとき、前記サイリスタを点弧、導通させて、前記電動機の速度を制御する回路において、
    前記トリガ素子に代えて、プログラマブルユニジャンクショントランジスタを配設し、そのアノードを前記直列回路の中間接続点に、そのカソードを前記サイリスタのゲートにそれぞれ接続し、他方、前記電動機の出力軸に、その回転速度を検出する検出器を結合し、該検出器の直流出力電圧を、順方向に接続される少なくとも前記サイリスタを導通させるに足る電圧以上の定電圧である定電圧ダイオードを介して、前記プログラマブルユニジャンクショントランジスタのゲート、カソード間に印加し、前記サイリスタを点弧、導通させて、前記電動機の速度を制御することを特徴とする電動機の速度制御回路。
  2. 交流電源に接続された単相誘導電動機と直列に接続されるトライアックのゲートから、該トライアックを位相制御して、前記誘導電動機の速度を制御する回路において、
    前記トライアックの出力2端子間に並列に、可変抵抗器とコンデンサとからなる直列回路を接続し、該直列回路の中間接続点と前記トライアックのゲートとの間に、ダイオードブリッジとプログラマブルユニジャンクショントランジスタとを配設し、前記中間接続点と前記前記トライアックのゲートとを、前記ダイオードブリッジの交流側にそれぞれ接続するとともに、前記プログラマブルユニジャンクショントランジスタのアノードおよびカソードを、該ダイオードブリッジの直流側カソードおよびアノードにそれぞれ接続し、他方、前記電動機の出力軸に、その回転速度を検出する検出器を結合し、該検出器の直流出力電圧を、順方向に接続される少なくとも前記トライアックを導通させるに足る電圧以上の定電圧である定電圧ダイオードを介して、前記プログラマブルユニジャンクショントランジスタのゲート、カソード間に印加し、前記トライアックを点弧、導通させて、前記電動機の速度を制御することを特徴とする電動機の速度制御回路。
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