JP3753993B2 - 高濃度のフッ素を有する光ファイバを他のタイプの光ファイバに低損失接続するためのシステムおよび方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は全般に光ファイバの接続に使用する技術の改良に関し、より詳細には、高濃度のフッ素を有する光ファイバを他のタイプの光ファイバに低損失接続するためのシステムおよび方法の有利な態様に関する。
【0002】
【従来の技術】
新しい種類の光ファイバが最近開発され、スロープの急な負の分散特性を有する分散補償ファイバ(DCF)として知られている。DCFの1つの使用方法は、標準のシングル・モード・ファイバ(SSMF)から製造された既存の光ファイバ・リンクの分散特性を最適化して、異なる波長で動作するようにすることである。この技法は、2000年6月19日に提出され、本出願の譲受人に譲渡された米国特許出願第09/596454号に開示されており、この図面および開示をそのまま参照により本明細書に組み入れる。
【0003】
DCFの重要なパラメータは、DCFがSSMFに接続される際に生じる過度の損失である。高い負の分散を得るために、DCFは、SSMFの1550nmで約10.5μmのモードフィールド直径に比べて、1550nmで約5.0μmのモードフィールド直径を有する、高い屈折率を持つ小さなコアを使用する。コア直径が異なることにより、融着接続技法を使用してDCFをSSMFに接続するとき、かなりの信号損失が生じる。DCFのコアを拡散させる接続パラメータを選択し、それによってDCFコアのモードフィールド直径を外側に向かってテーパ状とし、収束効果をもたらすことにより、信号損失の量を減らすことができる。しかし、収束効果を生み出すために必要とされる熱の量および持続期間により、DCFコア周囲のクラッド内で望ましくないフッ素ドーパントの拡散が生じる。このフッ素拡散は、モードフィールド拡大技法を使用して得られる接続損失減少の量を制限する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、接続損失を現在の制限以下に減少させる、DCFをSSMFに接続するための改良された技法が必要である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記およびその他の問題は本発明により解決され、本発明の態様は、第1および第2の光ファイバを共に接続するための方法およびシステムを提供する。本発明の1つの態様は、シャーシと、接続点で共に接続された一対の光ファイバを保持し、接続点を露出させる切欠き部を含む、ファイバ保持ブロックと、トーチとを備えた熱処理ステーションを提供する。ファイバ保持ブロックおよびトーチは、接続点が炎の中にあるように接続点およびトーチの位置を互いに調節できるように、シャーシに取り付けられることが好ましい。本発明の更なる態様は、光ファイバが、まず溶着スプライサを使用して共に接続され、次に接続損失を監視しながら接続点を炎の中に配置することにより熱処理される、2本の光ファイバを共に接続するための方法を提供する。
【0006】
本発明の更なる特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより明らかになろう。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の態様は、比較的高濃度のフッ素を持つファイバを他のタイプの光ファイバに接続するための技術を提供する。この技術の好適な用途は、分散補償ファイバ(DCF)を、標準シングル・モード・ファイバ(SSMF)等のDCFよりも大きいスポットサイズを有する他のタイプの光ファイバに接続する際に、接続損失を減らすことである。本技術の1つの態様によれば、電気アーク加熱を使用するDCFのモードフィールド拡大を、炎、炉、またはその他の適宜の加熱源を使用するDCFドーパントの熱誘導拡散と組み合わせる。この光ドーパントの熱誘導拡散は、「熱拡散拡大コア」(TEC)技術としても知られている。
【0008】
一般に、DCFはその屈折率(RI)分布のために接続することが難しい。図1Aは典型的なDCF10の例の横断面図であり、図1Bは図1Aに示すDCF10に対応する屈折率(RI)分布20を示す図である。図1Aに示すように、DCFはコア12を含み、このコア12の周囲を第1、第2、第3のクラッド領域14、16、18を含むクラッドが囲んでいる。図1Bに示すように、RI分布は、DCFコア10に対応する中央スパイク22と、第1のクラッド領域14に対応するスパイク22の両側の溝24と、第2のクラッド領域16に対応する各溝24の両側の突条26と、第3のクラッド領域18に対応する各突条26の両側の平坦部28とを含む。
【0009】
DCFは典型的に、二酸化珪素(SiO2)ベースのガラスから製造される。コア12およびクラッド領域14、16、18を適切なドーパントでドープすることにより、所望のRI分布が達成される。1つのDCF設計では、コア12がゲルマニウム(Ge)でドープされ、第1のクラッド領域がフッ素(F)でドープされ、第2のクラッド領域がゲルマニウムとフッ素(G/F)でドープされ、第3のクラッド領域が、第1のクラッド領域より低い濃度のフッ素でドープされる。別法として、DCF設計には、第3のクラッド領域をドープしないものがある。
【0010】
スパイク22の両側に十分な深さの溝24を得るために、第1のクラッド領域14は比較的高濃度のフッ素ドーパントでドープされる。フッ素は、溶着接続中に達する典型的な温度よりもはるかに低い温度で拡散し始めるので、典型的な溶着接続動作中に、かなりの量のフッ素拡散が生じる。非常に短い溶着時間を使用しない限り、この拡散により比較的高い接続損失が生じる。
【0011】
ある光伝送リンク設計では、DCFをSSMF等の他のタイプのファイバに接続する必要がある。これらの設計では、一般にDCF内のコア22と凹領域24の両方を変更して、DCF光分布が、他のファイバのスポットサイズと同様のスポットサイズを有する分布に低損失変換されるようにしなければならない。フッ素と、典型的にはゲルマニウムであるコア・ドーパントとが、異なる温度で拡散し始めるので、コアと凹領域の拡散を2ステップ・プロセスで生じさせることができる。まず、ゲルマニウム・コアを適切に拡大するように最適化された接続プログラムを使用した標準溶着接続により、DCFが他のファイバに接続される。同時に、ゲルマニウムよりも低い温度で拡散するフッ素がかなり拡散する。従って、プロセスのこの点では、フッ素ドーパントの拡散により接続損失が非常に高くなる。
【0012】
スプライスは炎または炉のいずれかを使用して加熱される。フッ素拡散が始まるように温度が調整されるが、大幅なゲルマニウム拡散は生じない、すなわち、DCFのコア拡大が維持される。同時に、第2のファイバがDCFほど多量にフッ素でドープされない限り、第2のファイバのRI分布の大幅な変化は生じない。熱処理により、DCFのフッ素分布が滑らかになり、溶着スプライサの使用によってのみ得られる値よりも低い値まで接続損失が減少する。
【0013】
以下に、前記のステップを、1本のDCFと1本のSSMFを共に接続することに関連して、より詳細に説明する。損失を監視しながらスプライスが作られ、アークがオフになる点である目標接続損失値に達するまで、加熱アークがオンに維持される。目標接続損失値、並びにアーク電流等の接続プログラム・パラメータが、実際に使用したDCFおよびSSMFに合わせて最適化することにより決定される。この方法の実施についての詳細は、実際に使用したスプライサによって決まる。
【0014】
例えば、Ericsson FSU925について、以下の手法により、高い再現性を持つ結果が得られる。DCFは、比較的短い溶着時間、例えば0.3秒を使用してSSMFに接続される。この接続後、アークを手動でオン、オフすることのできる、サービス・モードに入る。例えば11mAの低いアーク電流を使用して、プロセスが非常にゆっくりであるために接続損失の評価を手動で確実に観察することができるようにする。その後、所望の値に達するとアークはオフにされる。接続後の最適な接続損失は、典型的には3〜6dBの範囲である。
【0015】
これでスプライスは、熱処理を受ける準備が整う。炉、または以下の例で述べるトーチを使用することができる。図2は、本発明の更なる態様による、接続された光ファイバ32を加熱するために使用される熱処理ステーション30の実施形態を示す。光ファイバ32の接続点34はガス・トーチ37の炎36上方に配置される。トーチ36を正確に調整するために、トーチのガス供給源38にはマス・フロー・コントローラ40が設けられている。トーチ36上方には煙突42が配置されて加熱中の炎を安定させる。光ファイバ32および煙突42は、接続点34を露出させるための切欠き部45を含むプレート44により定位置に保持される。すなわち、光ファイバ32は、切欠き部45の両側に配置された第1および第2のクランプ46、48によりプレート44上の定位置に保持され、煙突42は煙突42を把持するアーム50によりプレート44上の定位置に保持される。
【0016】
ファイバの一端に着脱可能に取り付けられるおもりにより、加熱プロセス中に光ファイバ32のわずかな張力が維持される。この張力は、加熱プロセス中に光ファイバ32が炎に対して移動するのを防ぐ。ファイバが加熱される際に伸張するのを避けるため、適切なおもりを決めるには注意が必要である。本例では、0.7gのおもりを使用する。第1のクランプ46は、光ファイバ32を十分な緩さを持って保持してファイバの張力がこのように制御されるようにし、クランプとしてよりもガイドとして機能する。ファイバに曲りによる損傷が生じるのを防ぐため、曲面のガイドが設けられ、加熱プロセス中にその上にファイバのおもり部分が置かれる。更に以下に述べるように、プレート44は、上にプレート44が取り付けられた並進ステージ58を使用して、トーチ36に対して移動可能である。プレート44の配置に関して正確な情報を提供する位置読取装置60が設けられる。
【0017】
接続された光ファイバ32が熱処理ステーション30内に取り付けられると、プレート44が炎のはるかに上方に配置される。取付け後、並進ステージ58を使用して、接続点34が炎の中に移動される。再現可能な結果となるように、位置読取装置60を使用して並進ステージ58の位置が監視される。トーチ36に対する接続点34の最適な位置が一旦決定されると、この位置は次の熱処理に使用される。
【0018】
本実施形態では、トーチ37は約4mmの内径を有する石英管から製造される。フッ素を拡散させるのに必要な温度が1200〜1300℃と推定されるので、追加の酸素供給のないプロパンまたは水素等のガスを使用することができる。マス・フロー・コントローラ40を使用して、ガス流を適切な値に維持する。典型的な流れは、約10ml/分(プロパンの場合)である。やはりこの値も使用する特定のファイバに合わせて最適化しなければならない。
【0019】
接続点34が炎36の中にある際に、接続損失を監視する。約10分で最小接続損失に達したら、並進ステージ58を使用してスプライス34を炎36から取り外す。これで、スプライス34を熱処理ステーション30から取り外すことができるようになる。図2に示す熱処理ステーション設計では、接続点34にむき出しのファイバが1cmだけ必要である。これは小型のスプライス保護に有用である。
【0020】
図3は前記の技術を実施する方法70を説明するフローチャートである。ステップ72では、第1および第2のファイバが、溶着スプライサを使用して共に接続される。前記したように、第1および第2のファイバのコア・サイズの不一致から生じる接続損失を減少させるために、溶着接続パラメータを選択して、第1のファイバのコアの最適なモードフィールド拡大を達成する。ステップ74では、接続されたファイバが、図2に示すステーション等の熱処理ステーションに装入される。ステップ76では、接続点が炎の中に配置される。これは、接続点の移動、トーチの移動、または接続点とトーチの両方の移動のいずれかにより達成することができる。ステップ78では、スプライスが炎の中にある状態で接続損失が監視される。ステップ80では、所望の最小接続損失が達成されたら、スプライスが炎から取り外される。最後に、ステップ82では、熱処理されたファイバが熱処理ステーションから取り外される。
【0021】
図4は、熱処理時間の関数としての接続損失の典型的な動作を説明するグラフ90である。比較として、実際のDCF設計について得られる最低接続損失は、溶着スプライサのみを使用した場合の約0.8dBである。本技術の1つの特徴は、比較的短い時間で行うことができる点である。溶着スプライサを使用して2本のファイバを共に接続し、所望のコア拡大を生じさせるのに必要な時間は、典型的にほんの数分である。熱処理を使用してフッ素ドーパントの所望の拡散を生じさせるのに必要な時間は、典型的に最小接続損失値に達するための約10分のみである。
【0022】
図5は、前記のTEC技術を行う際に使用する熱処理ステーション100の更なる実施形態を示す。図5に示すように、熱処理ステーション100では、シャーシ101の上部に、熱処理すべき光ファイバを保持する一連のクランプ104を有するファイバ保持ブロック102と、ファイバに炎を当てるトーチ106と、トーチの炎を安定させる煙突108とが配置されている。ガス供給は、引火性ガスおよび酸素を各々搬送するための一対のガス・ライン110を含む。各ラインを通るガス流はフロー・コントローラ112により調整される。更に、各ガス・ラインはフィルタ114と弁116を含み、両ラインはガス警報機118を介して送られる。更に詳細に以下に述べるように、熱処理ステーション100は、トーチ106に対する、ファイバ保持ブロック102内に保持されたファイバのx軸、y軸、z軸に沿った並進移動に備えたものである。第1に、ファイバ保持ブロック102が、y軸に沿って、すなわちステーション・オペレータに向けて、手動で引張られるように取り付けられ、その後、定位置に押し戻される。第2に、並進ステージ120が、x軸、y軸、z軸に沿ったトーチ106の正確な並進移動に備えたものとなっている。トーチ106の正確な位置は、並進ステージ120から突出する3つのねじ122により監視することができ、各ねじは並進移動の軸に対応している。熱処理ステーション100にはランプ124またはその他の装置が設けられ、接続点の適宜の照明を提供する。本発明の更なる実施形態は、炎に対してスプライスを位置合わせする助けとして使用できるような、接続点に対して取り付けられたレーザまたはその他の適宜の装置を含む。
【0023】
図6Aは、図5に示す熱処理ステーション100を、説明のためにガス供給ラインを取り外した状態で示す、分解斜視図である。図6Bは、熱処理ステーション100の組立斜視図である。図6Aおよび6Bに示すように、熱処理ステーション100は炎の上方の定位置に煙突108を保持する煙突ホルダ130とトーチ・ホルダ132を含む。更に、図6Aに示すように、熱処理ステーション100は、トーチの炎が不注意で消えることを確実に防ぐために用いる電熱線アセンブリを保持するのに使用される、小さな取付けブロック134を含む。電熱線アセンブリは、以下に説明する図10に示される。煙突ホルダ130、トーチ・ホルダ132、および取付けブロック134は、すべて並進ステージ120に取り付けられるので、ファイバ保持ブロック102に対して単一のユニットとして移動することができる。
【0024】
煙突ホルダ130により、煙突が炎のすぐ周囲に配置されて炎を安定させることが確実になる。煙突が適切に配置されると、接続点近傍のファイバ塗布が炎で燃やされるのを避けるために、比較的短いむき出しのファイバが必要になる。これは、最終製品のパッケージが、非常に短いスプライス保護を必要とする場合に有用である。
【0025】
図6Aは更に、上にファイバ保持ブロック102が置かれた側部サポート136を示す。前記したように、ステーション・オペレータがファイバ保持ブロックをy軸に沿って移動できるように、ファイバ保持ブロック102は側部サポート136の上面に摺動可能に配置される。図6Aおよび6Bでは、ファイバ保持ブロック102は、側部サポート136の外面に密接してまたがる一対の脚部を含むことが見て取れる。この構成により、ファイバ保持ブロック102が、ステーション・オペレータにより前後に移動される際に、軸を外れて摺動することが防止される。図6Aでは、各側部サポート136が、その上面後部に、ファイバ・ブロックの作業位置を確立するための逆転防止装置として機能する、上方突出部材138を含むことが更に見て取れる。従って、トーチ上方にファイバ保持ブロック102を配置する際に、ステーション・オペレータは、ファイバ保持ブロック102を、一対の上方突出部材138に当接するまで前方に押すだけでよい。
【0026】
図6Cは、図5、6A、および6Bに示す並進ステージ120の斜視図である。図6Cは、ねじ122を回すことにより制御される3つの移動軸を示す。x軸に沿った移動は左右、y軸に沿った移動は内外、z軸に沿った移動は上下である。
【0027】
図7は、図5に示す、単一の要素110としてのガス供給ラインと酸素供給ラインの構成部分の線図である。本発明を説明するため、2つの供給ラインを、引火性ガスまたはガスの混合物をトーチ106に供給する第1のガス・ライン110aと、酸素をトーチ106に供給する第2のガス・ライン110bとして、別個に表示する。図7に示すように、各供給ラインはフラッシュバック・アレスタ140a、140b、マス・フロー・コントローラ112a、112b、フィルタ114a、114b、弁116a、116bを含む。マス・フロー・コントローラ112a、112bは別個に制御され、ガスまたは酸素の流れを各々、毎分0〜20ミリメートルの送出率で正確に制御する。酸素の使用により、必要に応じて炎の温度を上げることができる。
【0028】
図8Aは、図5に示す熱処理ステーション100と共に適宜使用できる、修正した単一のジェット・トーチ106の横断面図、図8Bは正面図である。トーチ106は酸素供給源に接続された上部導管150と、ガス供給源に接続された下部導管152を含む。上部導管150は、下部導管152の終端を囲むジャケット154で終わっている。従って、図8Bに示すように、トーチ106の炎の端部は、下部導管152により供給されたガスの中心ジェットと、ガス・ジェット周囲の、ジャケット154により供給された酸素のリング・ジェットを含む。トーチ106の本実施形態では、トーチの長さは80mm、ジャケットの長さは55mm、導管の中心から中心までの距離は20mmである。導管は4mmの内径と6mmの外径を有する。ジャケットは、9mmの内径と11mmの外形を有する。
【0029】
図9Aは、図6A、6Bに示した脚部103のない、ファイバ保持ブロック102の斜視図、図9Bは平面図である。ファイバ保持ブロック102は、処理すべき光ファイバを受けるチャネル160を含む。更に、光ファイバを定位置に保持する3つのクランプ162、164、166がある。第1および第3のクランプ162、166はファイバを固定位置に保持するタイプのものである。第2のクランプ164はガイドとして動作するタイプのものであるが、その位置を固定するものではない。このようにクランプを組み合わせる理由は、接続点が熱処理のために炎の中に置かれると、接続点168でファイバの正確な量の張力が生じるからである。図9Bに示すように、第1および第2のクランプ162、164は、接続点168を露出させる第1の切欠き部169の両側に配置される。
【0030】
ファイバの位置が第2のクランプ164に対して固定されないため、「重み領域170」内のファイバ自体の重さが十分にあり、接続点168で正確な量の張力が生じる。図9Bに示すように、重み領域170は、この重み領域170上に張り出す光ファイバの長さが十分な重さを持ち接続点168に所望の張力を生じさせるような、十分な長さの第2の切欠き部である。重み領域170に約200mmの長さがあれば、接続点に十分な張力が生じ、ファイバが炎によって曲るのを確実に防ぐことができることがわかっている。しかし、同時に、この張力はかなり低いため、加熱したファイバは先細にならず、また伸張しない。
【0031】
図10は、トーチ106に炎が確実にあるようにするために使用される電熱線アセンブリ180の斜視図である。電熱線アセンブリ180はセラミック・ブロック182と1本のワイヤ184とを含む。本発明の本実施形態では、電熱線184は、直径約0.3mmの白金(Pt)である。ワイヤは電流を加えることにより加熱される。熱処理ステーション100が始動されると、加熱されたワイヤは炎をオンにし、装置の稼働中は常に炎が確実にオンになっているようにする。ガス流は非常に小さいことが多く、炎は不注意により消えやすいので、電熱線アセンブリ180は有用である。
【0032】
図11Aは可視レーザ源190を近接して配置したファイバ保持ブロック102の平面図である。レーザ190は、接続されたファイバが溶着スプライサから熱処理ステーション100へ移動した後に、スプライスが確実にファイバ保持ブロック102内でx軸に沿って正確に位置合わせされるようにするために使用することができる。スプライスをトーチの炎の中心に正確に配置することが望ましい。
【0033】
可視レーザ源190はファイバ保持ブロック102に取り付けられる。図11Bに示すように、レーザ・ビームが、接続した光ファイバ192の接続点194を通過する際に、結果として、特徴的な直線干渉パターン198がレーザ・ビーム・スポット196と共に生じる。この直線干渉パターンを参照することにより、並進ステージ120を使用して接続点に対してトーチを配置することができる。
【0034】
図12は、図5〜11に示す熱処理ステーションを使用するための方法200を示すフローチャートである。ステップ202では、ガス供給源を開くことにより、および電熱線に電流を加えることにより炎がオンされる。ステップ204では、ファイバ保持ブロックがy軸に沿ってステーション・オペレータの方へわずかに引き出され、スプライスがファイバ保持ブロックに装入される際に、スプライスが確実に炎の中にないようにする。ステップ206では、溶着スプライサを使用して共に接続された一対のファイバが、ファイバ保持ブロックに装入される。接続されたファイバの位置はファイバ保持クランプを閉じることにより固定される。ステップ208では、接続点が炎の中心になるように、トーチをx軸に沿って位置合わせする。前記のように、これは、レーザを使用して、その結果生じる干渉パターンを観察することにより達成することができる。ステップ210では、トーチをz軸に沿って最低位置まで下降させる。ステップ212では、ファイバ保持ブロックを内側に移動して、スプライスがトーチ中心のすぐ上方に位置するようにする。ステップ214では、トーチをその最終位置まで上昇させる。最終位置は、並進ステージ上のz軸並進ねじで読み取る位置を取ることにより制御することができる。ステップ216では、熱処理プロセス中に接続損失が連続して監視される。ステップ218では、最小接続損失が得られたら、スプライスを取り外す。ファイバの取外しは、まずトーチをz軸に沿って最低位置まで下降させ、その後ファイバ保持ブロックをy軸に沿ってトーチから離すことにより達成される。スプライスは、クランプを解除することにより取り外すことができる。
【0035】
図13は、1本のSSMFに接続された1本のDCFに前記の技術を適用することにより生じる、1550nmでの典型的な損失値を示す表220である。スプライスに使用したDCFは、Lucent Technologies Denmark I/Sで製造されたStandard Dispersion Compensating Fiberであった。SSMFは、例えばCorning SMF28ファイバとすることができる。プロパン・ブタンと酸素の組合せを使用して、これらの接続損失を得た。また、前記の技術を適用すると、十分な強度のスプライスを得ることができる。図14は、高強度の接続セットアップで作られ、続いて本発明により熱処理されたスプライスについて得られた最適な破壊荷重のいくつかを有する、1550nmでの接続データを示す表230である。やはり、プロパン・ブタンおよび酸素の組合わせを使用した。
【0036】
前述の記載には、当業者が本発明を実施することを可能にする詳細が含まれているが、この記載は例示的な性質のものであって、多くの修正および変形形態が、これらの教示の利益を受ける当業者には明らかであることを理解すべきである。従って、本明細書中の発明は、以下に添付する特許請求の範囲のみによって定義されるものであり、この特許請求の範囲は、従来の技術によって許可される限り広く解釈されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1A】典型的な分散補償ファイバの横断面図である。
【図1B】図1Aに示す分散補償ファイバの屈折率分布を示す図である。
【図2】本発明の態様による熱処理ステーションの斜視図である。
【図3】本発明の更なる態様による方法のフローチャートである。
【図4】熱処理時間と接続損失との関係を説明するグラフである。
【図5】本発明による熱処理ステーションの更なる実施形態の斜視図である。
【図6A】図5に示す熱処理ステーションを、説明のためにガス供給ラインを取り外した状態で示す、分解斜視図である。
【図6B】図5に示す熱処理ステーションを、説明のためにガス供給ラインを取り外した状態で示す、組立斜視図である。
【図6C】図5に示す熱処理ステーションでの使用に適した並進ステージの斜視図である。
【図7】図5に示す熱処理ステーションでの使用に適したガス供給ラインおよび酸素供給ラインの線図である。
【図8A】図5に示す熱処理ステーションでの使用に適したトーチの横断面図である。
【図8B】図5に示す熱処理ステーションでの使用に適したトーチの正面図である。
【図9A】図5に示す熱処理ステーションで使用されるファイバ保持ブロックの斜視図である。
【図9B】図5に示す熱処理ステーションでの使用されるファイバ保持ブロックの平面図である。
【図10】本発明の更なる態様による、トーチ・ヘッドに近接して配置された電熱線アセンブリの斜視図である。
【図11A】本発明の更なる態様による、可視レーザ源を近接して配置した状態の、図9Aに示すファイバ保持ブロックの平面図である。
【図11B】図11Aに示す可視レーザ源の斜視図であり、可視レーザ・ビームが光ファイバの接続点を通って方向付けされる際に生じる特徴的な干渉パターンを示す図である。
【図12】図5に示す熱処理ステーションを使用する、本発明の更なる態様による方法のフローチャートである。
【図13】図5に示す熱処理ステーションを使用して得られる接続損失の結果を示す表である。
【図14】図5に示す熱処理ステーションを使用して処理された、高強度スプライスのための接続損失および破壊荷重を示す表である。
Claims (5)
- 熱処理ステーション(100)であって、
シャーシ(101)と、
接続点(168)で共に接続された一対の光ファイバを保持し、そして接続点を露出させる第1の切欠き部(169)を含む、ファイバ保持ブロック(102)と、
トーチ(106)とを備え、
接続されたファイバをファイバ保持ブロック(102)に装入する第1の位置から、接続点(168)が炎の上方に位置する第2の位置へ、ファイバ保持ブロックが前後に移動することができるように、ファイバ保持ブロック(102)がシャーシ(101)に取り付けらており、
ファイバ保持ブロック(102)が、シャーシ(101)に取り付けられた第1及び第2の側部サポート(136)の上面に置かれ、ファイバ保持ブロック(102)は第1及び第2の脚部(103)を含み、第1の脚部(103)は第1の側部サポート(136)の外部表面に当接する内部表面を有し、そして第2の脚部(103)は第2の側部サポート(136)の外部表面に当接する内部表面を有しており、これによりファイバ保持ブロック(102)は、第1及び第2の側部サポート(136)の外部表面によって規定される経路に沿って、前後に移動することができることを特徴とする熱処理ステーション。 - 各側部サポート(136)の上面が、ファイバ保持ブロック(102)の第2の位置を規定する上方突出部材(138)を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱処理ステーション。
- ファイバ保持ブロック(102)は、接続された一対の光ファイバを定位置に保持する第1のクランプ(162)と、光ファイバがそれを通って移動できるようにする、ガイドとして機能する第2のクランプ(164)とを含み、第1及び第2のクランプ(162、164)は、切欠き部(169)の両側のファイバ保持ブロック(102)上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の熱処理ステーション。
- ファイバ保持ブロック(102)は、第2の切欠き領域(170)を含み、前記第2の切欠き領域(170)は、第1の切欠き領域(169)との間に第2のクランプ(164)があるように配置されており、第2の切欠き領域(170)は、一対の接続された光ファイバが、光ファイバの一部が第2の切欠き領域にかかるように配置された状態で、ファイバ保持ブロックに装入される際に、第2の切欠き領域にかかる光ファイバの一部が十分な重さを持ち接続点に所望のレベルの張力を生じさせるような、十分な長さであることを特徴とする請求項3に記載の熱処理ステーション。
- 熱処理ステーション(100)であって、
シャーシ(101)と、
接続点(194)で共に接続された一対の光ファイバ(192)を保持し、そして接続点を露出させる第1の切欠き部(169)を含む、ファイバ保持ブロック(102)と、
トーチ(106)とを備え、
ファイバ保持ブロック(102)およびトーチ(106)が、接続点(194)が炎の中にあるように接続点(194)およびトーチ(106)の位置を互いに調節できるように、シャーシに取り付けらており、前記熱処理ステーションはさらに、
接続された光ファイバ(192)がファイバ保持ブロック(102)に装入される際に特徴的な干渉パターン(198)が生じるように、ファイバ保持ブロック(102)に取り付けられたレーザ源(190)を含み、前記干渉パターン(198)が接続点(194)の場所を示すことを特徴とする熱処理ステーション。
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