JP3753929B2 - ガスガバナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスコンロ等のガス器具に使用するガスガバナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のガスガバナは、ガス流入室と、ガス流入室に弁孔を介して挿通するガス流出室と、弁孔の開度を可変する弁体と、ガス流出室内の2次ガス圧を受けるダイヤフラムとを備え、ダイヤフラムに弁体を連結して、弁体をダイヤフラムの背面のばね部材により開き側に付勢し、ガス流入室内の1次ガス圧の変化で2次ガス圧が変化したとき、ダイヤフラムを介しての弁体の変位で弁孔の開度を変化させ、1次ガス圧が変化しても2次ガス圧が所定の一定値に維持されるように構成されている(特開平6−159654号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のガスガバナは、部品点数が多く、且つ、ダイヤフラムの単価も高いため、コストが高くなる。また、ダイヤフラムはゴム製であって、耐熱温度が低いため、温度の高い場所での使用が制限され、更に、ダイヤフラムを小さくすると温度変化による影響を受け易くなるため、小形化が困難になる。
【0004】
本発明は、以上の点に鑑み、ダイヤフラムを用いない、小形・低コストで、且つ、耐熱性に優れたガスガバナを提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、ガス流入室と、ガス流入室に弁孔を介して連通するガス流出室と、ガス流入室内の1次ガス圧が変化してもガス流出室内の2次ガス圧が一定に維持されるように弁孔の開度を可変する弁体とを備えるガスガバナにおいて、ガス流入室を画成する筒状壁を設けて、筒状壁に、ガス流入室内のガスが流入する筒状の弁体を軸線方向に摺動自在に内挿すると共に、筒状壁に、弁体の周壁部に形成した開口に重なる軸線方向に長手のスリット状の弁孔を形成して、弁体が軸線方向一方に移動したとき開口に重なる弁孔の部分の開度が減少するようにし、更に、弁体の軸線方向一方の端部を閉塞して、この閉塞端の外面に二次ガス圧を作用させると共に、弁体を軸線方向他方に付勢するばね部材を設け、該ばね部材は、弁体を軸線方向一方に押圧する1次ガス圧と2次ガス圧との圧力差による押圧力に等しい付勢力を2次ガス圧が所定の一定値になる位置に弁体が変位したときに得られるようなばね特性を有するものに構成されている
【0006】
本発明によれば、弁体の閉塞端の内面に1次ガス圧が作用し、1次ガス圧と閉塞端の外面に作用する2次ガス圧との圧力差で弁体が軸線方向一方に押圧され、この押圧力とばね部材の付勢力とがバランスする位置に弁体が変位する。そして、1次ガス圧が上昇したときは、弁体の軸線方向一方への変位で弁孔の開度が減少して2次ガス圧の上昇が抑制され、1次ガス圧が低下したときは、弁体の軸線方向他方への変位で弁孔の開度が増加して2次ガス圧の低下が抑制される。
【0007】
ここで、ばね部材として、弁体を軸線方向一方に押圧する1次ガス圧と2次ガス圧との圧力差による押圧力に等しい付勢力を2次ガス圧が所定の一定値になる位置に弁体が変位したときに得られるようなばね特性を有するものを用いれば、1次ガス圧が変化しても2次ガス圧は所定の一定値に維持され、正確なガバナ作用が得られる。尚、ばね部材として、弁体の変位に対し付勢力が直線的に変化するばね特性を有するものを用いても、弁孔のスリット幅を変化させて、弁体の変位に対し弁孔の開度が非直線的に変化されるようにすることで、正確なガバナ作用が得られる。
【0008】
何れにしても、本発明によれば、部品点数が少なく、且つ、単価の高い部品を用いずに済むため、コストが安くなり、更に、ダイヤフラムを用いないため、温度の高い場所での使用が可能になると共に、小形化が可能になる。
【0009】
ところで、ガスガバナを収納するバルブブロックに前記筒状壁を一体に形成することも可能であるが、弁孔のスリット幅は使用するガス種に応じて変更する必要があり、筒状壁をバルブブロックに一体成形したのでは、バルブブロックがガス種に応じた専用品となってしまい、コストが高くなる。また、このものではガスガバナをサブアッセンブリしておくことができず、ガスガバナ単体での性能検査が不可能になる。
【0010】
この場合、筒状壁を、ガスガバナを収納するバルブブロックに挿脱自在であって、軸線方向一方の端部に端壁を設けた筒状のケースで構成し、ケース内にばね部材と弁体とを収納すると共に、ケースの軸線方向他方の開口端内に弁体を抜け止めするキャップを装着すれば、ケースはガス種に応じた専用品になっても、単価の高いバルブブロックは複数のガス種に共用可能となって、コストダウンを図ることができ、また、ガスガバナをサブアッセンブリしておくことができるため、ガスガバナ単体での性能検査が可能となり、性能保証がしやすくなる。
【0011】
また、ガス種が同一であっても、バーナの大きさによる定格流量の大小に応じて弁孔の初期開度やばね部材の初期セット荷重を変更することが必要になる。この場合、前記ケースに対する前記キャップの装着位置を軸線方向に調整自在としておけば、キャップの位置調整による弁体の変位で弁孔の初期開度を変更することができ、ケース及び弁体の共用化が可能になる。更に、ケースの軸線方向一方の端壁に、ばね部材用のばね受けとなる調整ねじを螺挿しておけば、調整ねじの調整でばね部材の初期セット荷重を変更でき、ばね部材の共用化も可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1はガスコンロ等のガス器具に使用するガス弁装置を示している。このガス弁装置は、前後方向に長手の第1バルブブロック1と、第1バルブブロック1の前部上方に設けた第2バルブブロック2とを備えており、第1バルブブロック1の後部に、図外のバーナの火炎を検知する熱電対の起電力で励磁される電磁石3aを有する電磁安全弁3を収納すると共に、第1バルブブロック1の中間部に、電磁安全弁3に対向する操作ロッド4に取付けた遮断弁5を収納し、また、第2バルブブロック2の下部にガスガバナ6を収納すると共に、第2バルブブロック2の上部に、火力調整レバー7aによりカム7bを介して上下動される流量調整弁7を収納している。第1バルブブロック1の前方には点消火用の操作釦8が設けられており、操作釦8にプッシュプッシュ機構8aを連結して、操作釦8の1回目の押し操作によれば、操作ロッド4を介して電磁安全弁3が押圧開弁されると共に遮断弁5が開弁されて、第1バルブブロック1の後部下面のガス入口1aからのガスが電磁安全弁3と遮断弁5とガスガバナ6と流量調整弁7とを介して第2バルブブロック2の上部後方のガス出口2aに流れ、ガス出口2aに接続したガスノズル(図示せず)からバーナにガスが供給され、操作釦8の2回目の押し操作によれば、操作釦8が前方の非押込み位置に復帰して遮断弁5が閉弁され、バーナへのガス供給が停止されるようにしている。
【0013】
ガスガバナ6は、遮断弁5に連通するガス流入室60と、流量調整弁7に連通する、ガス流入室60の上側のガス流出室61とを備えている。そして、第2バルブブロック2に挿脱自在な筒状のケース62を設けて、該ケース62によりガス流入室60を画成する筒状壁を構成している。また、ケース62に、ガス流入室60内のガスが流入する筒状の弁体63を軸線方向に摺動自在に内挿している。尚、ケース62と弁体63とは、図2に示す如く、上側を平坦面とした非円筒形に形成されており、ケース62と弁体63とが夫々第2バルブブロック2とケース62とに対し回り止めされるようにしている。また、ケース62は、第2バルブブロック2のガバナ装着部の開口端をパッキン64を介して密閉する蓋板65によって第2バルブブロック2に対し抜け止めされる。図中66はケース62の軸線方向内方の端面と該端面に対向する第2バルブブロック2内の肩面との間に介設したパッキンである。
【0014】
ケース62の周壁部のガス流入室60に面する上側面には、軸線方向に長手のスリット状の弁孔62aが形成されており、弁体63の周壁部上側面に開口63aを形成して、開口63aに重なる弁孔62aの部分を介してガス流入室60からガス流出室61にガスが流れるようにしている。そして、弁体63がケース62に対し軸線方向外方に移動したとき、開口63aに重なる弁孔62aの部分の面積、即ち、弁孔62aの開度が減少されるようにしている。
【0015】
弁体63の軸線方向外方の端部は閉塞されており、ケース62の上側面の軸線方向外方の端部に切欠き62bを形成して、ガス流出室61内の2次ガス圧P2が切欠き62bを介して弁体63の閉塞端63bの外面に作用するようにし、また、弁体63閉塞端63bと蓋板65との間にばね部材67を介設して、弁体63をばね部材67により軸線方向内方に付勢している。
【0016】
ここで、弁体63の閉塞端63bの内面にはガス流入室60内の1次ガス圧P1が作用する。そのため、弁体63は1次ガス圧P1と2次ガス圧P2との圧力差により軸線方向外方に押圧され、この押圧力とばね部材67の付勢力とがバランスする位置に変位する。図3を参照して、弁孔62aの長さと幅を夫々L,W、弁体63の変位量をx、ガスノズルのノズル径をDとすると、弁孔62aとガスノズルとでのガス流量収支により、
Figure 0003753929
(Cは係数)
が成立し、また、弁体63の受圧面積(閉塞端63bの面積)をS、ばね部材67の初期セット荷重とばね定数を夫々Fo,kとすると、1次ガス圧P1と2次ガス圧P2との圧力差による押圧力とばね部材67の付勢力とのバランスにより、
Figure 0003753929
が成立する。そして、P2を所定の一定値にしたときのP1の変化によるxの値とばね部材67の付勢力(=Fo+kx)の値とを(1)式と(2)式とから求めてプロットすると、図4に示すようになる。尚、図4のa線は定格火力(流量調整弁7を全開にしたときの火力)の大きなバーナに適合するようにノズル径Dを大きくした場合を示し、b線は定格火力の小さなバーナに適合するようにノズル径Dを小さくした場合を示している。図4のa,b線は、P1とP2との圧力差による押圧力に等しいばね付勢力をP2が所定の一定値になる位置に弁体63が変位したときに得られるようなばね特性を表わしており、弁体63の変位に対しばね付勢力が非直線的に変化する。そのため、ばね部材67として不等ピッチコイルばねや重ね板ばね等のばね定数が変化するばねを用い、図4のa,b線に近似したばね特性が得られるようにすれば、1次ガス圧P1が変化しても2次ガス圧P2が所定の一定値に維持される。また、1次ガス圧P1が狭い範囲でのみ変化する場合には、図4のa,b線の限られた範囲を直線近似したばね定数を持つばねを用いることも可能である。更に、弁孔62aを不等幅のスリット状に形成し、弁体63の変位に対し弁孔62aの開度が非直線的に変化されるようにすれば、ばね部材67としてばね定数が一定の通常のばねを用いることも可能である。
【0017】
ところで、ガス種によって2次ガス圧P2の目標値が変わり、また、同一ガス種であっても大バーナと小バーナとではノズル径Dの大小による定格流量の変化で、1次ガス圧P1が基準値であるときに2次ガス圧P2を目標値にするのに必要な弁孔63aの開度(基準開度)も変わる。図4は弁孔63aのスリット幅Wを一定にしたときのばね特性を示しているが、スリット幅Wを定格流量の大小に合わせて変えれば、定格流量の差によるばね特性の差を無くすことも可能である。
【0018】
ここで、ガス流入室60を画成する筒状壁を第2バルブブロック2に一体成形することも考えられるが、これでは、弁孔63aのスリット幅Wをガス種や定格流量に応じて変える場合、第2バルブブロック2がガス種や定格流量に応じた専用品になってしまう。これに対し、上記第1実施形態の如く、ガス流入室60を画成する筒状壁をケース62で構成すれば、ケース62のみを専用品として、第2バルブブロック2は共用化でき、コストダウンを図る上で有利である。
【0019】
然し、第1実施形態のものでは、第2バルブブロック2にケース62と弁体63とばね部材67とを組込んで初めてガスガバナ6が組立てられるため、ガバナ単体での性能検査ができなくなる。かかる不具合を解消したのが、図5及び図6に示す第2実施形態である。即ち、第2実施形態では、ケース62の軸線方向外方の端部に端壁62cを設けて、この端壁62cと弁体63の閉塞端63bとの間にばね部材67が介設されるようにばね部材67と弁体63とをケース62に収納すると共に、ケース62の軸線方向内方の開口端内に弁体63を抜け止めするキャップ68を装着している。これによれば、ガスガバナ6を構成するケース62と弁体63とばね部材67とから成る主要3部品を予めサブアッセンブリしておくことができ、ガバナ単体での性能検査が可能となって、性能保証がしやすくなる。また、第2実施形態では、キャップ68をケース62の開口端内に螺入して、ケース62に対するキャップ68の装着位置を軸線方向に調整自在としている。そのため、キャップ68の位置調整による弁体63の変位で弁孔62aの初期開度を変更することができる。ここで、初期開度は、1次ガス圧P1がその変動範囲の下限値より若干低い圧になったときの開度に設定すべきであり、定格流量の大小で弁孔62aのスリット幅W及び弁体63を変更しない場合、図4のxaが定格流量が大きいときの初期開度に対応する弁体63の初期位置となり、同図xbが定格流量が小さいときの初期開度に対応する弁体63の初期位置となる。そして、第2実施形態では、キャップ68の位置調整で弁体63の初期位置を定格流量に合わせて変更できるため、ケース62及び弁体63の共用化が可能となる。
【0020】
尚、図4から明らかなように、弁体63の初期位置におけるばね部材67の付勢力(初期セット荷重)は、初期位置の変位量xが小さな定格流量大の場合よりも初期位置の変位量が大きな定格流量小の場合の方が小さくなるように設定すべきであり、定格流量に合わせてばね部材67を変更することが必要になる。
【0021】
そこで、図7及び図8に示す第3実施形態では、ケース62の軸線方向外方の端壁62cに、ばね部材67用のばね受けとなる調整ねじ69を螺挿し、調整ねじ69の調整でばね部材67の初期セット荷重を任意に可変し得るようにしている。これによれば、ばね部材67の共用化も可能になり、一層のコストダウンを図れる。
【0022】
以上、ガス弁装置に組込むガスガバナに本発明を適用した実施形態について説明したが、ガス弁装置と分離独立して設けるガスガバナにも同様に本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のガスガバナを組込んだガス弁装置の断面図
【図2】 第1実施形態のガスガバナの分解斜視図
【図3】 本発明ガスガバナの原理を示す図
【図4】 ガバナ作用を得るために必要なばね特性を示すグラフ
【図5】 本発明の第2実施形態のガスガバナを組込んだガス弁装置の断面図
【図6】 第2実施形態のガスガバナの截断斜視図
【図7】 本発明の第3実施形態のガスガバナを組込んだガス弁装置の断面図
【図8】 第3実施形態のガスガバナの截断斜視図
【符号の説明】
2 第2バルブブロック 6 ガスガバナ
60 ガス流入室 61 ガス流出室
62 ケース 62a 弁孔
62c 端壁 63 弁体
63a 開口 63b 閉塞端
67 ばね部材 68 キャップ
69 調整ねじ

Claims (4)

  1. ガス流入室と、ガス流入室に弁孔を介して連通するガス流出室と、ガス流入室内の1次ガス圧が変化してもガス流出室内の2次ガス圧が一定に維持されるように弁孔の開度を可変する弁体とを備えるガスガバナにおいて、
    ガス流入室を画成する筒状壁を設けて、筒状壁に、ガス流入室内のガスが流入する筒状の弁体を軸線方向に摺動自在に内挿すると共に、
    筒状壁に、弁体の周壁部に形成した開口に重なる軸線方向に長手のスリット状の弁孔を形成して、弁体が軸線方向一方に移動したとき開口に重なる弁孔の部分の開度が減少するようにし、
    更に、弁体の軸線方向一方の端部を閉塞して、この閉塞端の外面に二次ガス圧を作用させると共に、弁体を軸線方向他方に付勢するばね部材を設け、該ばね部材は、弁体を軸線方向一方に押圧する1次ガス圧と2次ガス圧との圧力差による押圧力に等しい付勢力を2次ガス圧が所定の一定値になる位置に弁体が変位したときに得られるようなばね特性を有するものに構成されることを特徴とするガスガバナ。
  2. 筒状壁を、ガスガバナを収納するバルブブロックに挿脱自在であって、軸線方向一方の端部に端壁を設けた筒状のケースで構成し、ケース内にばね部材と弁体とを収納すると共に、ケースの軸線方向他方の開口端内に弁体を抜け止めするキャップを装着することを特徴とする請求項に記載のガスガバナ。
  3. ケースに対するキャップの装着位置を軸線方向に調整自在とすることを特徴とする請求項に記載のガスガバナ。
  4. ケースの軸線方向一方の端壁に、ばね部材用のばね受けとなる調整ねじを螺挿することを特徴とする請求項に記載のガスガバナ。
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