JP3753205B2 - 光ディスク及びその再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光ディスク及びその再生装置に係り、特に音楽ソフトやゲームソフト等を記録した光ディスクが正規の製品か否かを厳密に確認し、著作権の侵害を構成する不正な複製を防止するための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーディオディスクであるCD(Compact Disc)やテレビゲームの記録媒体に用いられている光ディスク、更には最近注目されている映像ディスクであるDVD(Digital Video Disc)は、その情報がディジタルデータで記録されているために多数回の複製によっても音質や映像の劣化がなく、アナログ記録の音楽磁気テープ等の記録媒体よりも不正な複製が横行し易い。
特に、それらの光ディスクが「海賊版」と称される光ディスクとして複製されると、著作権者や出版社に多大な不利益をもたらすことになる。
【0003】
従って、著作権法でも特別な考慮が図られていると共に、出版社側では光ディスクのレーベル面や最内周側の鏡面領域に正規の製品であることを示す識別情報(製造ロット番号やシリアル番号等)を印刷・刻印して製造・出荷を管理することが行われている。
しかし、前記の識別情報を印刷や刻印によって行うのではその複製も容易である。
そこで、光ディスクの製造に際して、その保護層を形成する前又は形成した後に、高出力レーザビームで鏡面領域の反射層にディスクの中心から見て放射方向に長いバーコードエレメントとなる貫通孔を形成してバーコードシンボルを構成する方式が提案されている(特開平6-203412号)。
また、本願出願人は、主情報を一定の符号化手段で記録しておくと共に、前記の鏡面領域等に主情報の復号化手段を示すキー情報をバーコードシンボルで記録しておき、再生装置がそのキー情報を読取ってその情報で示される復号化方式で主情報を復号化・再生する方式(特開平7-85574号)や、キー情報を主情報を構成するピットの変形態様で与えておき、そのキー情報を先に読取って復号化手段等を選択するという再生方式(特開平8-124219号)を提案している。
【0004】
尚、ソフトウェア製品の複製を防止する対策には、前記のような物理的手法が絡まない論理的手法のみによる対策もあるが、一般には物理的手法の方がより有効である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特開平6-203412号の方式による場合、従来のレーベル面への印刷や鏡面領域への刻印による方式よりも複製が困難になるが、比較的簡単な設備を用いて低コストで実施でき、放射方向への貫通穴の形成は技術的にもそれほど難しいことではないため、実際には光ディスクの複製防止対策としてどれだけ有効であるかは疑問である。
【0006】
一方、特開平7-85574号及び特開平8-124219号の方式では、再生装置側の復号化方法が関連して再生の許可/不許可を決定させるためにより有効な複製防止対策となる。
しかし、特開平7-85574号については、前記の特開平6-203412号の場合と同様にバーコードシンボルの形成が比較的容易であるためにその有効性が失われてしまうという問題が残る。
また、特開平8-124219号については、ピットの変形という特殊な方式を採用しているために極めて高いセキュリティ機能を実現できるが、ディスクの製造段階又は製造後に極めて微細なピットを変調するための複雑で高度な技術を必要とし、高価な製造設備が必要になり、歩留まりが低下することを避けられない。
【0007】
そこで、本発明は、鏡面領域に対してバーコード等の識別情報を記録すると共に、加工が技術的に困難な態様で別のセキュリティ情報を記録した光ディスクを提供し、再生装置側の構成と相俟って不正な複製を有効に防止することを目的として創作された。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、光ディスクの主情報の記録領域以外であって光ピックアップで読取り可能な領域の反射層に、ディスクの中心を通過する直線に対して異なる角度をなす線分状の各溝又は各貫通孔を、円周方向に沿って前記角度毎に設定された異なるピッチで同一区間に重複形成したことを特徴とする光ディスクに係る。
【0009】
また、その光ディスクの再生装置としては、光ディスクの主情報の再生に先立って、光ディスクを回転させながら光ピックアップを反射層が存在する半径区間へ移動させて信号の読取りを実行させる読取り制御手段と、前記読取り制御手段による制御過程で前記光ピックアップの読取り信号から異なる角度とピッチに設定されている溝又は貫通孔に基づく信号成分を個別に抽出する各フィルタ手段と、前記の全てのフィルタ手段が信号成分の抽出したか否かを確認する確認手段と、前記確認手段による肯定的確認を条件として光ディスクの主情報の再生許可を与える判定手段を具備した装置が適用される。
【0010】
この発明の光ディスクでは、溝又は貫通孔がディスクの中心を通過する直線に対して傾斜させて形成されており、従来技術のようにディスクの中心から見て放射方向へバーコードエレメントを形成する場合と比較して遥かに高度な形成技術が必要となるため、その複製品の作製が困難である。
また、傾斜角度が異なる溝群又は貫通孔群毎に円周方向のピッチを相違させることによって一定の領域により多くの判定情報が記録でき、ディスク表面をマクロ的に見ると溝又は貫通孔の交叉領域が構成されているだけであり、判定情報が記録されていることをカモフラージュできる。
【0011】
一方、再生装置では、光ディスクの傾斜角度が異なっている溝群又は貫通孔群の円周方向のピッチが異なっていることを利用して、各フィルタ手段で光ピックアップの読取り信号から各溝群又は貫通孔群による信号を個別に抽出し、確認手段によって全ての溝群又は貫通孔群が形成されていることが確認されたことを必要条件として判定手段が再生許可を与える。
従って、光ディスクに対して前記の溝群又は貫通孔群が所定条件で完全に形成されていなければ再生ができず、不正な複製品を排除できる。
尚、この再生装置における「確認手段による肯定的確認を条件として」とは、必要条件となる場合及び必要十分条件となる場合を含む。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に係る溝群又は貫通孔群に加えて、ディスクの中心を通過する直線に対して異なる角度をなす線分状の溝又は貫通孔を重複形成した区間以外の反射層部分に、ディスクの中心から見て放射方向に長い線分状の溝又は貫通孔として形成したバーエレメントからなるバーコードシンボルを構成した光ディスクに係る。
【0013】
また、その光ディスクの再生装置としては、前記の再生装置と同様の読取り制御手段とフィルタ手段と確認手段を具備すると共に、前記読取り制御手段による制御過程で前記光ピックアップの読取り信号からバーコードシンボルの信号を検出する信号検出手段と、前記信号検出手段が検出した信号をデコードしてバーコードデータを作成するデコード手段と、光ディスクにバーコードシンボルとして付与される識別データ群を記憶した記憶手段と、前記デコード手段が作成したバーコードデータと前記記憶手段の各識別データを比較する比較手段と、前記比較手段によってバーコードデータと識別データとの一致結果が得られ、且つ前記確認手段で肯定的確認が得られた場合に、光ディスクを正規なものとみなして主情報の再生許可を与える判定手段を具備した装置が適用される。
【0014】
この発明の光ディスクは、第1の発明に係る溝群又は貫通孔群と従来技術(特開平6-203412号)のバーコードシンボルを併用したものである。
第1の発明に係る溝群又は貫通孔群は円周方向のピッチを異ならしめることで個別に存在を確認させるものであり、それ自体では光ディスクに固有の識別データを含めることができない。
この発明では、バーコードシンボルに識別データを持たせると共に、形成が技術的に困難である溝群又は貫通孔群を構成しておくことで、不正な複製に対するセキュリティ機能を高めている。
【0015】
再生装置では、予め記憶手段に記憶させておいた識別データ群とバーコードシンボルから得られるデータとが一致することと、全ての溝群又は貫通孔群の存在が確認されたことを必要十分条件として光ディスクの正規性を判定し、その判定に基づいて再生許可を与える。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の「光ディスク及びその再生装置」の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
先ず、図1はこの実施形態に係る光ディスクの読取り面側の平面図(B)とその要部拡大図(A)を示す。
同図において、1は光ディスクであり、その主情報の記録領域2のリードイン部の内側でクランパ領域3の外側に相当する領域には環状の鏡面領域4が構成されている。
ここに、鏡面領域4は、光ディスク1における透明プラスチック層(カーボネイ ト層)と保護層の間に介装されている反射層(アルミニウム等の金属層)に主情報 が記録されておらず、鏡面状の反射面として構成されている。
【0017】
そして、この実施形態では、鏡面領域4におけるディスク1の中心に関して対称位置に相当する円周方向区間の反射層に、それぞれバーコード区間5と交叉溝区間6が構成されている。
バーコード区間5は、光ディスク1の中心から見て放射方向へ長い溝として形成したバーエレメント5aを円周方向に整列させた構成になっており、ナロー/ワイドバー及びナロー/ワイドスペースによって光ディスク1に係るシリアル番号やロット番号等を含んだ識別情報を与えている。
【0018】
一方、交叉溝区間6は、前記のバーエレメント5aより幅が狭い細溝を交叉させた態様で形成されている。
具体的には、図1(A)に示されるように、光ディスク1の中心を通過する直線に対して角度θxをなす線分状の細溝Xiと、角度θyをなす線分状の細溝Yiが円周方向にピッチを異にして同一区間に多数本形成されており、各細溝群が相互に交叉した態様になっている。尚、ここではθx(=45°)>θy(=30°)に設定されている。
また、交叉溝区間6の一部を更に拡大して斜視図として表現すると図2に示されるような構成になっており、細溝Xiは円周方向にLxのピッチで、細溝Yiは円周方向にLyのピッチでそれぞれ形成されていると共に、各ピッチの関係は前者が後者の2倍(Lx=2・Ly)になっている。
【0019】
そして、前記の光ディスク1は図3に示す再生装置で再生される。但し、図3のシステム回路は主に再生装置におけるディスク確認に関連した部分のシステム回路であり、それ以外の部分は省略されている。
同図において、21は光ピックアップ、22はスピンドルモータ、23はスピンドル・トラッキング制御等を実行するサーボ回路、24は光ピックアップ21に対するアクチュエータドライバ、25は光ピックアップ21の検出信号を増幅する光量検出アンプ、27はバーコード区間5のバーエレメント5aとスペースエレメントによって比較的大きな振幅と周期で現れる光検出信号成分のみを通過させるローパスフィルタ(LPF)、28は閾値電圧をVtbとしてLPF27の出力信号を2値化するコンパレータ、29x,29yはそれぞれ交叉溝区間6の各細溝Xi,Yiに基づいて現れる光検出信号成分のみを通過させるバンドパスフィルタ(BPF)、30x,30yはそれぞれBPF29x,29yの出力信号を検波する検波回路、31x,31yはそれぞれ閾値電圧をVtx,Vtyとして検波回路30x,30yの出力信号を2値化するコンパレータ、32はコンパレータ28の出力信号をデコードしてバーコードデータを作成するバーコードデコーダ、33はコンパレータ31x,31yの出力信号を論理積処理するAND回路、35は再生装置のシステム全体を統括的に制御すると共にディスク確認モードにおいてセットされた光ディスク1の再生の許可/不許可を判定するマイクロコンピュータ回路(以下「マイコン回路」という)である。
【0020】
次に、この再生装置において前記の光ディスク1を再生する際の動作手順を図4のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、図3のシステム回路において、マイコン回路35に対して光ディスク1の再生指示がなされると、CPUはROMに格納されている制御プログラムに基づいて以下の手順を実行する。
通常の再生装置では、再生指示に基づいて直ちに再生モードを設定し、一般にはサーボ回路23が光ピックアップ21を光ディスク1のインナーエリアに移動させてそのエリアのTOC(Table of Contents)情報を読込み、そのTOC情報に基づいて指示された主情報の読取りを開始することになるが、この再生装置ではその再生モードに先立ってディスク確認モードを設定する(S1,S2)。
【0021】
そのディスク確認モードでは、先ずCPUがサーボ回路23に同モードでの制御信号を出力し、光ピックアップ21を光ディスク1の鏡面領域4における半径方向のほぼ中央位置にセットし、その状態でスピンドルモータ22を起動させて光ディスク1を等速回転させる(S3,S4)。
【0022】
この時、図1の点線で示すように、光ピックアップ21の集光スポットは光ディスク1の回転に伴ってバーコード区間5と交叉溝区間6を横切る態様で通過し、その状態を直線的に展開すると、図5に示されるように集光スポットが相対的に鏡面領域4を円周方向に沿って走査し、鏡面領域4での反射光はバーコード区間5と交叉溝区間6で変調を受けることになる。
そして、バーコード区間5では溝として形成されているバーエレメントを横切る度に光量が低下する状態での変調を受け、また、交叉溝区間6では各細溝Xi,Yiを横切る度に光量が低下する状態での変調を受けることから、光ピックアップ21の出力を増幅している光量検出アンプ25の出力信号は図6のような信号波形となる。
【0023】
ところで、図3の回路図から明らかなように、光量検出アンプの出力はLPF27と2つのBPF29x,29yへ個別に入力されているが、それらのフィルタは図10に示すような周波数特性を有しており、LPF27はバーコード区間5で得られる信号のスペクトラムを含む帯域を通過帯域に、BPF29x,29yはそれぞれ細溝Xi,Yiによる信号のスペクトラムを含む帯域を通過帯域に設定してある。
即ち、前記のディスク確認モードで設定された光ディスク1の回転速度とバーコード区間5におけるバーコード規格との関係で、バーコード区間5の走査状態における信号のスペクトラムの最大周波数:fbmaxが定まり、また前記回転速度と細溝Xi,Yiの各円周方向ピッチとの関係で各信号のスペクトラムの最大/最小周波数:fxmin/fxmax,fymin/fymaxが定まるが、バーエレメント5a及び各細溝Xi,Yiの各円周方向ピッチの付与条件によって各信号のスペクトラムの帯域は十分に離れており(fbmax≪fxmin,fxmax≪fymin)、LPF27はfbmax以下の周波数帯域の信号のみを通過させ、BPF29xはfxminとfxmaxの間の信号のみを通過させ、BPF29yはfyminとfymaxの間の信号のみを通過させるようになっている。尚、図10のfxとfyは各細溝Xi,Yiに基づいて得られる信号の中心周波数であるが、図2に示したように各円周方向ピッチについてLx=2・Lyの関係が設定されているため、fy=2・fxである。
【0024】
従って、LPF27を通過した信号をコンパレータ28へ入力し、その信号の振幅の略中間値に相当するVbtを閾値として比較すると、図7に示すようなバーコード区間5のバーコードシンボルに対応したパルス波形のみが得られる。
一方、図6に示した光量検出アンプの出力信号における交叉溝区間6の信号は、基本周波数がfx(=1/Tx;Txは細溝Xiの円周方向ピッチLxに対応した基本周期)とfy(=1/Ty;Tyは細溝Yiの円周方向ピッチLyに対応した基本周期)である信号が重畳したものとなっているが、BPF29x,29yを通過せしめられることにより、それぞれ図8(A)と図9(A)に示されるような周波数fxとfyの正弦波形信号となり、他の区間での信号は直流波形となる。
そして、BPF29x,29yの各出力信号をそれぞれ検波回路30x,30yへ入力させて検波すると図8(B)と図9(B)に示す信号が得られ、更にその各信号をそれぞれコンパレータ30x,30yへ入力し、前記正弦波形信号の振幅の略中間値に相当するVtx,Vtyを閾値として比較すると、その出力として図8(C)と図9(C)に示すように交叉溝区間6へ差しかかった時点で立ち上がるパルス波形が得られる。
【0025】
ここで、図4のフローチャートに戻って、コンパレータ28の出力であるバーコード区間5でのパルス波形(図7)はバーコードデコーダ32へ入力され、その解析によってバーコードデータにデコードされてマイコン回路35へ入力されるが、マイコン回路35はそのデータを一旦RAMにセーブし、予めROMに格納されている識別データ群と比較する(S5,S6)。
このROMの識別データ群は光ディスク1にバーコードシンボルとして付与される各識別データを集録・テーブル化したものであり、光ディスク1が正規のものであれば前記のバーコードデータとROMのテーブルに含まれている識別データが必ず一致する筈である。
【0026】
そこで、マイコン回路35のCPUはバーコードデータをキーとしてROMのテーブルを検索し、一致する識別データが存在するかを確認するが、この実施形態では一致する識別データが存在してもそれだけでは光ディスク1の正規性を確定させずに、直ちにAND回路33の出力が“H"状態になっているか否かを確認する(S6,S7)。
【0027】
ここに、AND回路33は図3で示すように各コンパレータ31x,31yの出力を論理積処理して出力を得ており、図8(C)と図9(C)のように双方のコンパレータ31x,31yの出力が交叉溝区間6で立ち上がって“H"状態になっていれば、図11のように交叉溝区間6で“H"状態になるが、それ以外の場合には“L"状態となる。
換言すれば、AND回路33の出力は、光ディスク1の鏡面領域4に2種類の細溝Xi,Yiが前記のように円周方向に所定ピッチLx,Lyで同一区間に形成されていることを条件に“H"状態になるが、それらの細溝Xi,Yiが存在しないとき、存在してもピッチが規定値Lx,Lyでないとき、又は一方のみの細溝が形成されているとき等の所定条件に合致しない場合には“L"状態となり、細溝Xi,Yiの存在を厳格な条件で確認することができる。
【0028】
そして、マイコン回路35は、バーコードデータがROMの識別データと一致し、且つAND回路33の出力が“H"状態になったことが確認できた場合にのみ光ディスク1を正規なディスクであると確定的に判定し、ディスク確認モードを解除して本来の再生モードへ移行する(S7→S8)。
【0029】
一方、バーコードデータが識別データと一致しない場合、及びAND回路33の出力が“L"状態のままである場合には、マイコン回路35はサーボ回路23へ制御信号を再度出力し、前記のステップS3〜S7を繰り返して実行させる(S6,S7→S9)。
そして、前記の繰り返し動作を3回実行しても確定的な判定が得られない場合には、装填されている光ディスク1を不正な複製品であると判定し、再生不許可の表示信号を表示部(図示せず)へ出力してその旨を表示させると共に、その光ディスク1の排出させてディスク確認モードを抜ける(S9〜S11)。
【0030】
以上のように、この実施形態によると、光ディスク1の鏡面領域4にバーコードシンボルと2種類の細溝Xi,Yiを形成しておき、バーコードシンボルから識別データの内容確認を行うと共に各細溝Xi,Yiの存在確認も行なって光ディスク1の正規性を判定している。
ところで、前記のように細溝Xi,Yiはそれらが光ディスク1の中心を通過する直線に対して傾斜しており、且つそれぞれが所定の円周方向ピッチを有しているが、傾斜した細溝Xi,Yiを正確なピッチで重複形成することは放射方向の溝を形成する場合よりも高度な形成技術を要する。
従って、技術的に形成が容易なバーコードシンボルが付されていても、細溝Xi,Yiまで形成することは困難であり、その多重化されたセキュリティ機能によって光ディスク1の不正な複製を有効に防止できる。
【0031】
また、この実施形態では交叉溝区間6に2種類の細溝Xi,Yiを形成しているが、他の傾斜角度と円周方向ピッチを設定して3種類以上の細溝群を同一区間に重複形成することも可能である。即ち、交叉溝区間6の各細溝群に異なる傾斜角度をもたせ、各細溝群毎に円周方向ピッチを異ならしめているため、交叉溝区間6に多種類の細溝群を再生装置側で弁別可能な態様で高密度に構成できる。
その場合、再生装置側にそれに対応したBPF(29)と検波回路(30)とコンパレータ(31)を追加し、AND回路(33)の入力端子を増加させることになるが、正規性判定の必要条件を多くして複製をより困難にすることができる。
更に、細溝群を高密度化すると、交叉溝区間がマクロ的に暗面として見えるだけで、その区間にセキュリティ情報が記録されていることが気付かれ難くなるという利点もある。
【0032】
前記の高密度化に関して、もし、細溝Xi,Yiに傾斜角度θx,θyを与えずに、バーコード区間5のバーエレメント5aと同様に光ディスク1の中心から見て放射方向に形成すると、細溝Xiの円周方向ピッチLxが細溝Yiの円周方向ピッチLyの2倍になっているため、細溝Xiと細溝Yiの円周方向位置をズラせておかなければ再生装置側では細溝Yiに基づく信号成分しか検出できないことになる。即ち、細溝を放射方向に形成すると、交叉溝区間6に多種類の細溝群を高密度で重複形成する場合に制限を受けることになる。
しかし、この実施形態のように各細溝群に異なる傾斜角度を与えるようにすれば、各細溝群の円周方向の位置関係を考慮する必要がなく、より多種類の細溝群を重複形成することが可能になる。
【0033】
ところで、この実施形態においても、光ピックアップ21が図2における点線で示される円周線上に集光スポットを構成する位置にセットされてその線上を走査した場合には、再生装置では細溝Xiに基づく信号成分を弁別できず、細溝Yiに基づく信号成分だけを抽出してしまうことになる。
しかし、殆どの光ディスク1は偏芯しており、実際には前記の円周線上をそのまま走査することはあり得ず、光量検出アンプの出力には必ず各細溝Xi,Yiに基づく信号成分が重畳して現れるために前記の不具合を懸念する必要がない。
【0034】
尚、この実施形態では、バーコードシンボルと所定条件で形成された細溝Xi,Yiの組み合わせによって光ディスクの不正な複製を防止させているが、識別データを付与しない光ディスクや識別データをレーベル面に印刷しておくような光ディスクについては、鏡面領域に細溝Xi,Yiのみを形成しておく簡易な方式も採用できる。
また、バーコードエレメント5a及び細溝Xi,Yiを反射層に形成した溝として説明したが、それらは貫通孔であってもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明の光ディスク及びその再生装置は、以上の構成を有していることにより、次のような効果を奏する。
請求項1の発明は、光ディスクの主情報の記録領域以外の反射層に記録されるディスクの正規性確認情報を、その形成が技術的に困難であるディスクの中心を通過する直線に対して傾斜した溝又は貫通孔で構成すると共にその溝群や貫通孔群を多重化させて高密度に形成・記録できるようにし、請求項3の再生装置の発明と相俟って光ディスクの不正な複製を有効に防止する。
また、前記の傾斜した溝又は貫通孔の加工設備には、従来のバーコード形成設備を利用して、その動作制御のソフトウェアを変更する等の簡単な改変だけで足り、新たに大きな設備コストを投入する必要がないという利点もある。
請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、従来のバーコードシンボルの形成・記録を行い、請求項4の再生装置の発明と相俟って更に有効な複製防止対策を提供する。
請求項3及び請求項4の発明は、それぞれ簡単な回路構成で請求項1及び請求項2の光ディスクの正規性判定を実行する再生装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ディスクの実施形態に係る読取り面側の平面図(B)とその要部拡大図(A)である。
【図2】光ディスクの交叉溝区間の拡大斜視図である。
【図3】本発明の再生装置の実施形態に係るシステム回路図である。
【図4】再生装置のディスク確認モードでの動作手順を示すフローチャートである。
【図5】光ディスクのバーコード区間と交叉溝区間を直線的に展開した断面図である。
【図6】光量検出アンプの出力信号波形を示すグラフである。
【図7】コンパレータ28の出力信号波形を示すグラフである。
【図8】BPF29xの出力信号波形(A)、検波回路30xの出力信号波形(B)、及びコンパレータ31xの出力信号波形を示すグラフである。
【図9】BPF29yの出力信号波形(A)、検波回路30yの出力信号波形(B)、及びコンパレータ31yの出力信号波形を示すグラフである。
【図10】光量検出アンプの出力信号に含まれるスペクトラム及びLPF27とBPF29x,29yの周波数特性を示すグラフである。
【図11】AND回路の出力信号波形を示すグラフである。
【符号の説明】
1…光ディスク、2…主情報の記録領域、3…クランパ領域、4…鏡面領域、5…バーコード区間、5a…バーエレメント、6…交叉溝区間、21…光ピックアップ、22…スピンドルモータ、23…サーボ回路、24…アクチュエータドライバ、25…光量検出アンプ、27…LPF、28,31x,31y…コンパレータ、29x,29y…BPF、30x,30y…検波回路、32…バーコードデコーダ、33…AND回路、35…マイコン回路、Xi,Yi…細溝、Lx…細溝Xiの円周方向ピッチ、Ly…細溝Yiの円周方向ピッチ、θx,θy…光ディスクの中心を通過する直線に対して細溝Xi,θyがなす角度。
Claims (4)
- 光ディスクの主情報の記録領域以外であって光ピックアップで読取り可能な領域の反射層に、ディスクの中心を通過する直線に対して異なる角度をなす線分状の各溝又は各貫通孔を、円周方向に沿って前記角度毎に設定された異なるピッチで同一区間に重複形成したことを特徴とする光ディスク。
- ディスクの中心を通過する直線に対して異なる角度をなす線分状の溝又は貫通孔を重複形成した区間以外の反射層部分に、ディスクの中心から見て放射方向に長い線分状の溝又は貫通孔として形成したバーエレメントからなるバーコードシンボルを構成した請求項1の光ディスク。
- 請求項1の光ディスクの再生装置であって、光ディスクの主情報の再生に先立って、光ディスクを回転させながら光ピックアップを反射層が存在する半径区間へ移動させて信号の読取りを実行させる読取り制御手段と、前記読取り制御手段による制御過程で前記光ピックアップの読取り信号から異なる角度とピッチに設定されている溝又は貫通孔に基づく信号成分を個別に抽出する各フィルタ手段と、前記の全てのフィルタ手段が信号成分の抽出したか否かを確認する確認手段と、前記確認手段による肯定的確認を条件として光ディスクの主情報の再生許可を与える判定手段を具備したことを特徴とする光ディスクの再生装置。
- 請求項2の光ディスクの再生装置であって、光ディスクの主情報の再生に先立って、光ディスクを回転させながら光ピックアップを反射層が存在する半径区間へ移動させて信号の読取りを実行させる読取り制御手段と、前記読取り制御手段による制御過程で前記光ピックアップの読取り信号からバーコードシンボルの信号を検出する信号検出手段と、前記信号検出手段が検出した信号をデコードしてバーコードデータを作成するデコード手段と、光ディスクにバーコードシンボルとして付与される識別データ群を記憶した記憶手段と、前記デコード手段が作成したバーコードデータと前記記憶手段の各識別データを比較する比較手段と、前記読取り制御手段による制御過程で光ピックアップが読取った信号から異なる角度とピッチに設定されている溝又は貫通孔に基づく信号成分を個別に抽出するフィルタ手段と、前記の全てのフィルタ手段が信号成分の抽出したか否かを確認する確認手段と、前記比較手段によってバーコードデータと識別データとの一致結果が得られ、且つ前記確認手段で肯定的確認が得られた場合に、光ディスクを正規なものとみなして主情報の再生許可を与える判定手段を具備したことを特徴とする光ディスクの再生装置。
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