JP3752200B2 - 大豆の加工方法及び加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大豆の加工方法及び加工装置に関し、特にオカラを発生させず、大豆原料の全てを機能性全豆乳及び機能性豆腐などの大豆加工食品に加工することのできる大豆の加工方法及びこの加工方法の実施に使用される加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
豆乳及び豆腐を製造するときには、多量のオカラが発生する。多量に発生するオカラの一部は、飼料、肥料として、あるいは極一部が食品材料として利用されているが、オカラは水分が多く、栄養分が豊宮であるため腐敗しやすく、その殆どが産業廃棄物として処理されている。このように、産業廃棄物として処理すると、環境問題を引き起こし、また栄養分に富んだオカラを廃棄処分することは食糧問題上望ましいことではない。このような理由から、オカラの利用検討が進められ、豆乳及び豆腐の製造時におけるオカラの発生量を下げる、あるいはゼロにするための幾つかの方法が、例えば特開平5−3761号公報、同11−299442号公報、同11−299443号公報により提案されている。
【0003】
前者の特開平5−3761号公報には、大豆を水に浸漬・粉砕・煮沸してからこれを絞汁して豆乳とオカラとに分離した後、このオカラを機械的に摩砕して微細化し、微細化したオカラを加熱殺菌し、このオカラを冷却してpH4〜6、温度40〜60℃に調整し、植物細胞壁分解酵素を添加して前記オカラをぺ一スト状に分解し、次いで分解したオカラペーストをpH調整して冷凍保存し、これを前記豆乳と混合して凝固剤を添加して容器に充填包装した後、これを加熱して熱凝固させると共に、前記酵素の失活と殺菌を行なう豆腐の製造方法が記載されている。また、後者の特開平11−299442号には、豆乳及び豆腐などの大豆食品を製造する過程において生成するオカラに対して、水と植物組織崩壊酵素を添加し、これに液中で機械的微粉砕処理を加えながら酵素反応を施して、食物繊維を多く合む機能性オカラ乳を製造する製造方法が記載され、また特開平11−299443号には、機能性オカラ乳に凝固剤を添加混合して機能性豆腐を得る機能性豆腐の製造方法が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特開平5−3761号公報に記載されている製造方法によると、オカラは機械的に摩砕して微細化され、そして植物細胞壁分解酵素が添加されてペースト状に分解されるので、オカラに含まれる食物繊維は食べ易くなり、オリゴ糖など糖分が産出され、しかもオカラを廃棄する手問や費用がなくなるという利点は認められる。しかしながら、pH調整、温度調整、冷凍保存、解凍工程等を必要とし、製造時間が長くなり、製造コストが高くなる恐れがある。また、特開平11−299442号に開示されている発明によると、オカラには水と植物組織崩壊酵素が添加され、これに液中で機械的微粉砕処理を加えながら酵素反応が施されるので、美味しく機能性に優れた豆乳が得られ、商業ベースとして最も普及している豆乳の製造方法といえる。しかし、液中における機械的微粉砕処理にやや時間がかかるきらいがある。また、特開平11−299443に示されている機能性豆腐の製造方法についても、豆乳の製造段階において同様なことがいえる。
【0005】
以上のように従来の豆乳の製造方法には、比較的時間がかかるという問題があるが、その主な理由に大豆組織の機械的微細化方法を挙げることができる。この機械的微細化方法の実施に使用される摩砕装置には、円筒状固定歯のステータと回転歯のロータとからなるコロイドミル、ピストンの衝撃力で組織を粉砕するホモゲナイザ等があるが、前者のコロイドミルは被処理物すなわちオカラを循環させながら摩砕するようになっているので、摩砕工程に時間がかかる欠点がある。また、後者のホモゲナイザによると、キャビテーションを生じ生成物に泡が混入し、それを除去しなければならないので、除去処理工程を実施するための除去装置を格別に必要とし、微細化はできるが経済性に問題がある。
本発明は、上記したような従来の事情に鑑みてなされたものであって、外皮を含む全粒の大豆原料から、健康的機能性を持たせた食品として利用できる機能性全豆乳及び機能性豆腐を得ることができる大豆の加工方法を提供することを発明の目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、概略的には、大豆原料を微粒化する第1工程、酵素反応工程を経て機能性全豆乳を生成する第2工程、蛋白架橋反応及び凝固工程経て機能性豆腐を製造する第3工程等からなっている。
なお、本明細書で用いる用語としての、「全豆乳」は、外皮を含む大豆すべてを微粒化した食品であり、従来の豆乳とは異なり、従来の概念にない大豆食品を意味し、「機能性全豆乳」の「機能性」とは、従来の豆乳に含まれない食物繊維や、セルロースが変化してできたオリゴ糖など健康食品として保健性の高い成分を含有して構成されることを意味し、「機能性豆腐」とは前記機能性全豆乳を使用してつくられた豆腐を意味している。
【0007】
本発明の第1工程を実施する目的は、大豆原料を全粒まるごと短時間、旦つ短工程で一挙に微粒化することであり、本発明の第2工程の目的は、前工程で得られた微粒化大豆を食品として適した口触りや滑らかさを得ることと、美味しさを作り出す元となる成分に変化させ、更に健康性成分に変化させ食品的に機能性ある「機能性全豆乳」を製造することであり、そして本発明の第3工程の目的は、前工程で得られた製品を用いて、全粒まるごと大豆の豆腐である「機能性豆腐」を製造することである。
【0008】
本発明の第1工程である大豆原料の微粒化方法は、望ましくは電解水に浸漬したのち粗砕して蒸煮された大豆原料を、シリンダバレル内に軸方向に駆動可能に設けられているピストンを後方へ引いてシリンダバレルの先端部分に蓄積し、次いでピストンを前方へ駆動することにより蓄積された大豆原料を加圧して前記シリンダバレルの先端部に取付けられた均質化ユニットすなわちスクリーンを通過させ、押出すことにより大豆原料の極微細化された機能性全豆乳を製造することを特徴とする。このとき、目の大きさが20〜500メッシュのスクリーンを適用するのが望ましい。このようなスクリーンを適用することにより、微細化された大豆粒径を120μm以下に抑えることができ、食用に適する「滑らかさ」が得られる。
【0009】
機能性全豆乳は、上記のようにして得られるが、次のようにして製造しても、本発明の前記目的が達成される。すなわち、大豆煮呉を豆乳とオカラとに分離する。このとき、大豆煮呉は、従来周知の方法で得ることもできる。分離されたオカラは、水と植物組織崩壊酵素と植物繊維素分解酵素とを混合添加してシリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、そして前記シリンダバレル内に軸方向に駆動可能に設けられているピストンを軸方向に駆動して蓄積されたオカラを前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させて微細化し、次いで攪拌しながら酵素反応を施してオカラ豆乳を生成する。このオカラ豆乳に、大豆煮呉から分離した豆乳を混合して機能性全豆乳を製造することができる。このとき、望ましくは大豆煮呉から分離した豆乳は、蛋白結合酵素を添加し酵素反応を施してからオカラ豆乳と混合する。
【0010】
上記のように分離したオカラに各種の酵素を添加してスクリーンを通過させる処理するときも、目の大きさが20〜500メッシュのスクリーンを適用することができる。また、大豆煮呉から分離したオカラを処理する工程と、分離した豆乳を蛋白結合酵素を添加し酵素反応を施す工程とを並行的に実施するのが望ましい。同時並行的に実施すると、上記のようにして得られるオカラ豆乳と酵素反応処理された豆乳との混合工程に時間的な無駄がなくなる。
【0011】
本発明は、次のように構成することによっても、発明の目的が達成される。すなわち、シリンダバレルの先端部に蓄積した大豆原料を、ピストンを軸方向に駆動してスクリーンを通過させることにより極微細化して大豆呉を得、そしてこの大豆呉を加熱・冷却して、水と植物組織崩壊酵素と植物繊維素分解酵素とを混合添加して撹枠しながら酵素反応を施して、食味、食感に優れた機能性全豆乳を製造することもできる。
【0012】
また、本発明による機能性豆腐の製造方法は、上記発明の目的を達成するために、機能性全豆乳に凝固剤を添加混合するように構成される。または、機能性全豆乳に蛋白結合酵素を添加結合して酵素反応を施し、これに凝固剤を添加混合して機能性豆腐を製造するように構成される。
【0013】
本発明の第1工程を実施するための大豆加工装置、具体的には大豆原料を極微細化して大豆呉あるいは機能性全豆乳を製造する装置、あるいは分離したオカラに水と各種酵素とを添加しオカラ豆乳を製造する微細化装置は、シリンダパレルと、該シリンダバレル内に軸方向に駆動可能に設けられているピストンと、前記シリンダバレルの先端部に取付けられた均質化ユニットとから構成される。そして、望ましくはピストンの先端部には軸方向に移動可能なリングが設けられる。そして、前記ピストンの内部には、大豆原料供給路が設けられ、該大豆原料供絵路は、前記ピストンを後退させると、前記リングと前記ピストンのピストンヘッド部との間に形成される通路を介して前記シリンダバレルの先端部の蓄積室に通じ、前記ピストンを前進させると前記通路が遮断されるように構成されている。
【0014】
かくして、請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、大豆煮呉を豆乳とオカラに分離する分離工程と、前記分離工程で分離したオカラに、水と植物組織崩壊酵素と植物繊維素分解酵素とを混合添加してシリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、そして前記シリンダバレル内に軸方向に駆動可能に設けられているピストンを軸方向に駆動して蓄積されたオカラを前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させて微細化し、次いで攪拌しながら酵素反応を施してオカラ豆乳を生成するオカラ豆乳生成工程と、前記分離工程で分離した豆乳に、蛋白結合酵素を添加し酵素反応を施す豆乳処理工程とからなり、前記オカラ豆乳生成工程で得られたオカラ豆乳と、前記豆乳処理工程で処理された豆乳とを混合して食物繊維を多く含む機能性全豆乳を生成するように構成される。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の加工方法において、オカラ豆乳生成工程と豆乳処理工程とを同時並列的に実施するように構成される。
請求項3に記載の発明は、大豆原料を、シリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、次いで前記シリンダバレル内に設けられているピストンを軸方向に駆動して蓄積された大豆原料を前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させることにより極微細化された大豆呉を得る極微細化処理工程と、前記極微細化処理工程で得られた大豆呉を加熱し、水と植物組織崩壊酵素と植物繊維素分解酵素とを混合添加して撹枠しながら酵素反応を施す酵素反応処理工程とから、食物繊維を多く含む機能性全豆乳を生成するように構成される。請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの項に記載の加工方法を用いて生成された機能性全豆乳に、凝固剤を添加混合して機能性豆腐を製造するように構成され、請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの項に記載の加工方法を用いて生成された機能性全豆乳に、蛋白結合酵素を添加結合して酵素反応を施し、これに凝固剤を添加混合して機能性豆腐を製造するように構成される。
【0015】
かくして、請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、浸漬あるいは蒸煮された大豆原料を、シリンダバレル内に軸方向に駆動可能に設けられているピストンを引いて、前記シリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、次いで前記ピストンを軸方向に駆動して蓄積された大豆原料を前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させることにより極微細化された大豆呉あるいは機能性全豆乳を得るように構成される。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスクリーンに、目大きさが20〜500メッシュのスクリーンを使用するように構成される。
請求項3に記載の発明は、大豆煮呉を豆乳とオカラに分離する分離工程と、前記分離工程で分離したオカラに、水と植物組織崩壊酵素と植物繊維素分解酵素とを混合添加してシリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、そして前記シリンダバレル内に軸方向に駆動可能に設けられているピストンを軸方向に駆動して蓄積されたオカラを前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させて微細化し、次いで攪拌しながら酵素反応を施してオカラ豆乳を生成するオカラ豆乳生成工程と、前記分離工程で分離した豆乳に、蛋白結合酵素を添加し酵素反応を施す豆乳処理工程とからなり、前記オカラ豆乳生成工程で得られたオカラ豆乳と、前記豆乳処理工程で処理された豆乳とを混合して食物繊維を多く含む機能性全豆乳を生成するように構成される。請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のオカラ豆乳生成工程と豆乳処理工程とを同時並列的に実施するように構成される。
請求項5に記載の発明は、大豆原料を、シリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、次いで前記シリンダバレル内に設けられているピストンを軸方向に駆動して蓄積された大豆原料を前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させることにより極微細化された大豆呉を得る極微細化処理工程と、前記極微細化処理工程で得られた大豆呉に、水と植物組織崩壊酵素と植物繊維素分解酵素とを混合添加して撹枠しながら酵素反応を施す酵素反応処理工程とから、食物繊維を多く含む機能性全豆乳を生成するように構成され、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかの項に記載の製造方法を用いて製造された機能性全豆乳に、凝固剤を添加混合して機能性豆腐を製造するように、請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかの項に記載の製造方法を用いて製造された機能性全豆乳に、蛋白結合酵素を添加結合して酵素反応を施し、これに凝固剤を添加混合して機能性豆腐を製造するように構成される。
請求項8に記載の発明は、シリンダバレルと、該シリンダバレル内に軸方向に駆動可能に設けられているピストンと、前記シリンダバレルの先端部に設けられている均質化ユニットとからなり、前記シリンダバレルの前方に蓄積される大豆原料が、前記ピストンが軸方向に駆動されると、前記均質化ユニットから外部へ押出されるようになっている大豆の加工装置であって、前記均質化ユニットは、20〜500メッシュのスクリーンからなるように構成される。そして、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のピストンの内部には、大豆原料供給路が設けられ、該大豆原料供給路は、前記ピストンを後退させると、該ピストンの先端部に軸方向に移動可能に設けられているリングと前記ピストンのピストンヘッド部との間に形成される通路を介して前記シリンダバレルの先端部の蓄積室に通じ、前記ピストンを前進させると前記通路が遮断される構造となるように構成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
初めに、図1、2によって本発明に係る大豆の加工装置すなわち微細化装置の実施の形態を説明する。本実施の形態に係わる微細化装置は、概略的には図1に示されているように、シリンダバレル1、該シリンダバレルの内部に軸方向に駆動可能に設けられているピストン10、前記シリンダバレル1の先端部に取り付けられている均質化ユニット50、前記シリンダバレル1の後端部に取り付けられているピストン駆動装置40、大豆原料を供給するための供給管7等から構成されている。
【0017】
シリンダバレル1は、軸方向に所定長さを有し、図1に示されているように軸心が横方向に配置されることを前提とされている。そして、シリンダバレル1の後方部寄りには、ピストン10内に大豆原料を供給するための供給管7を取り入れるための開口部2が明けられている。この開口部2は、軸方向に所定長さに開けられている。したがって、ピストン10が軸方向に駆動されるとき、供給管7はピストン10に追従して軸方向に移動できる。このように構成されているシリンダバレル1の先方部分の内部は、蓄積室4となり、後端部にピストン駆動装置40が設けられている。
【0018】
シリンダバレル1の内孔3に、ピストン10が軸方向すなわち進退方向に駆動可能に設けられている。ピストン10は、その軸部はシリンダバレル1の内孔3よりも小さいが、先端部のピストンヘッド部11は大きくなり、その外周面はシリンダバレル1の内孔3の内周面に接して駆動される。ピストンヘッド部11の先端部分は、先方に向かって縮経されたテーパ部12になり、その先端部にメネジが軸方向に形成されている。このように構成されているピストン10の内部に、原料供給路13が軸方向に設けられている。この原料供給路13の後端部は、半径外方に開けられている半径方向供給路14に連通している。この半径方向供給路14の位置は、シリンダバレル1の開口部2に対応している。原料供給路13の先端部は、複数個の分岐供給路15、15、…に連通している。これらの分岐供給路15、15、…は、テーパ状に広がり、そしてピストンヘッド部11のテーパ部12に開口している。半径方向供給路14には、アダプタ5が装着され、このアダプタ5に大豆原料を供給するための可撓管6からなる供給管7が接続されている。なお、ピストン10は、適宜分割されて原料供給路13、半径方向供給路14、分岐供給路15、15、…等が機械加工されているが、図1には加工のために分割されてた状態は示されていない。
【0019】
ピストン10の先端に、リングヘッド30によりリング20が取付けられている。リング20は、軸方向に所定長さの略筒状を呈し、その外周面はシリンダバレル1の内孔3の内周面と密に接して軸方向に移動可能になっている。また、その内部孔21は、リングヘッド30の外周部のとの間に所定の通路が構成される大きさになっている。このようなリング20の先端部は、大豆原料を押し出す押圧部22となり、後端部はピストンヘッド部11のテーパ部12と同じテーパ角のテーパ部23となっている。
【0020】
リングヘッド30の詳細は、図2の(ロ)によって説明する。リングヘッド30は、先端の頭部31と、この頭部31よりも小径の軸部32と、該軸部32よりも大径の当接部33と、ネジ部34とからなっている。そして、このネジ部34をピストン10の先端部に形成されているメネジにねじ込むことにより、リング20がピストン10の先端部に取り付けられている。リングヘッド30の軸部31には、複数本の放射状に広がったアーム35、35、…の軸受部が緩く嵌合されている。そして、これらのアーム35、35、…の先端部は、リング20の内周部に係止っされている。したがって、ピストン10を図1において右方へ駆動すると、アーム35、35、…が所定量だけ軸部32を移動して頭部31に当接する。頭部31に当接すると、リング20はピストン10と一体的に駆動されるが、当接するまでの距離が、ピストンヘット部11のテーパ部12とリング20のテーパ部23との間隔で、この間隔により、面状供給通路36が確保される。また、左方向すなわち押出方向に駆動すると、アーム35、35、…が軸部32を移動し、リング20のテーパ部23がピストンヘット部11のテーパ部12に着座する。これにより、面状供給通路36が閉鎖される。
【0021】
上記のように構成されているピストン10は、シリンダバレル1の後端部から外部へ出てピストン駆動装置40に機械的に接続されている。ピストン駆動装置40は、モータ41を備えている。モータ41の出力軸42は、伝動機構43及びその出力軸44を介してピストン10の後端部に接続されている。この伝動機構43は、ボールネジ、このボールネジに螺合しているボールナット等を備えている。これにより、モータ41の回転運動がピストン10を軸方向に駆動する直線運動に変換される。
【0022】
均質化ユニット50は、図2の(イ)に拡大して示されている実施の形態では、第1、2のスクリーン51、52、第1、2のスクリーンサポータ53、54、スクリーン押部材56等から構成されている。これらのスクリーン51、52は、様々な目開きのスクリーンを組合せたものであり、その目の大きさは、本実施の形態では20〜500メッシュに選定されている。また、第1、2のスクリーンサポータ53、54は、本実施の形態では所定厚さの板状体から構成され、その面には直径が1〜3mmの透孔55、55、…が多数形成されている。このように、スクリーンサポータ53、54は、所定厚さの板状体から構成されているので、スクリーン51、52にかかる圧力を受けるに充分な強度を有する。なお、スクリーンサポータ53、54の大きさは、スクリーン51、52と略同じ大きさになっている。また、スクリーン押部材56の外経は、シリンダバレル1のそれと略同じで、内孔もシリンダバレル内孔3と略同じ大きさになっている。スクリーン押部材56のシリンダバレル1側には、所定深さの段部57が形成されている。
【0023】
上記のように構成されている第1、2のスクリーン51、52と第1、2のスクリーンサポータ53、54は、図2の(イ)に示されているように、2段に組み合わされ、そしてスクリーン押部材56の段部57により位置決めされた状態で複数本のボルト58、58、…によりしシリンダバレル1の先端部に取り外し自在に取り付けられている。
【0024】
大豆原料の供給には、その形態により、色々なタイプのポンプが適用できる。例えば強制的に供給できるスネークポンプなどのポンプが適用できるが、図1及び図2には、このようなポンプからなる原料供給装置は示されていない。
【0025】
次に、上記加工装置すなわち微細化装置を使用した大豆呉あるいは機能性全豆乳の製造方法を、自動操作もできるが、便宜上自動と手動操作が混合したような操作例にっいて説明する。まず、計量ストローク、計量時間及び押出速度を設定する。図1に示すように、モータ41を駆動して、ピストン10を設定された計量時間で設定の計量ストロークまで後退させる。これにより、前述したように、ピストンヘット部11のテーパ部12とリング20のテーパ部23との間に面状供給通路36が形成される。このような面状供給通路36が形成された状態が、図1に示されている。ピストン10が後退を始めると同時に、図示していない原料供給装置が駆動して蒸煮された粗粉砕大豆あるいは浸漬された大豆原料を供給管7を通して半径方向供給管14よりピストン10内に供給する。供給された大豆原料は、ピストン10内の原料供給路13を通り、複数個の分岐供給路15、15、…から、ピストンヘット部11のテーパ部12とリング20のテーパ部23との間の面状供給通路36及びリング20の内周面とリングヘッド30の外周面との間を通りシリンダバレル1の先端部の蓄積室4に蓄積される。設定した計量時間になると、ピストン10の後退駆動及び図示していない原料供給装置が停止して大豆原料の供給が止まり計量が終了する。この時、設定した計量時間でピストン10が後退することによって発生するシリンダバレル1の先端の蓄積室4の未充填空間は、大豆原料で全て満たされ、空間がないように原料供給装置の供給量が調整されている。
【0026】
計量が終了すると、再びモータ41を駆動して、ピストン10を設定された押出速度で前方に駆動する。これにより、リング20の外周面とシリンダバレル1の内周面との間には所定の摩擦力が存在するので、前述したように、アーム35、35、…が軸部32を移動し、リング20のテーパ部23がピストンヘット部11のテーパ部12に着座する。したがって、面状供給路36は閉鎖される。着座し、閉鎖されている状態が、図2の(ロ)に示されている。
【0027】
次いで、ピストン10とリング20が一体となって前方に駆動される。これにより、シリンダバレル1の蓄積室4に蓄積された大豆原料は、リング20の押圧面22とリングヘッド30の頭部31とにより、均質化ユニット50の方へ押される。そして、第1、2のスクリーン51、52及び第1、2のスクリーンサポータ53、54を通って外部へ押出される。これらのスクリーン51、52を通過するときに大豆原料は超微細化されながら押出される。これにより、超微細化された、大豆呉あるいは機能性全豆乳が得られる。なお、押出すときの圧力によるスクリーン51、52の変形は、スクリーンサポータ53、54により防止される。押出が終了すると、再び、モータ41を起動させて計量作業に移る。以下、同様にして大豆原料を超微細化し、大豆呉あるいは機能性全豆乳を得る。
【0028】
本発明は上記実施の形態に限定されることなく、色々な形で実施可能である。例えば、原料供給路13をシリンダバレル1の後端部よりも後方まで延ばすこともできる。そうすると、半径方向供給管14を、図1においてAで示すように、シリンダバレル1の外側で形成することができる。さらには、図1においてBで示すように出力軸44を管状部材から構成し、その内部を大豆原料供給路とし、そしてピストン10の後端部に管状フランジで接続することもできる。また、ピストン10のピストンヘッド部11、リング20、リングヘッド30は、協働して大豆原料を押し出す作用を奏するが、逆止弁の作用も奏するので、射出成形機に適用されている逆流防止リングのように構成することもできる。
【0029】
また、均質化ユニット50は、図1、2に示されている実施の形態ではスクリーンは2段に組み合わされているが、1段でもあるいは3段以上の複数段で実施できることは明らかである。さらには、スクリーンサポータ53、54は、主としてスクリーン51、52の変形を防止するものであるから、図示の実施の形態に限定されることがなく、例えばクロス状のバーで実施できることも明らかである。また、作動油の管理を充分に行えば、ピストン10は油圧ピストン機構で駆動するように実施できることも明らかである。
【0030】
次に、上記のようにして得られる大豆呉は、20〜500メッシュのスクリーンを通過しているので、加熱・冷却するだけで機能性全豆乳が得られるが、上記大豆呉からさらに食味、食感が向上した機能性全豆乳を得る加工方法を図3を参照しながら説明する。前記したようにして大豆呉を得る(ステップS0)。大豆呉を加熱して大豆煮呉を得る(ステップS1)。ある程度冷却して反応槽に入れる。また、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等の植物組織崩壊酵素あるいは植物繊維素分解酵素、トランスグルタミナーゼのような蛋白結合酵素等の酵素を適宜添加混合し、所定の条件下で酵素反応を実施する(ステップS2)。このとき、植物組織崩壊酵素は、植物組織を崩壌して単細胞化させ細胞中層の線に沿ってバラバラにし細胞の不溶性ペクチンを可溶化する。また、植物繊維素分解酵素は組織を崩壊し細胞膜を分解して細胞内容物を軟化し低分子の繊維に分解する酵素であり、オカラを構成する繊維組織であるセルロース、ヘミセルロース、分岐したペクチン質などの分子構造の長い不溶性植物繊維を低分子のものに分解する。また、セルロースに作用してオリゴ糖などを生成するCX一活性(CMC糖化力)をもち低分子化して粘度を低下し、食味・食感を向上させる。蛋自架橋結合酵素は、蛋白を共有結合の形成で架橋重合させる機能をもっており、蛋白のネットワークが強化されて、良好な食感及びコシ(コシは粘りと弾力を付加する)を与えると共に優れた保水性を付与し、大豆臭、オカラ臭もマスキングする。必要に応じて、濾過して混入した固形物を除去する(ステップS3)。酵素失活のため加熱し、そして冷却して(ステップS4)、ステップS5で機能性全豆乳を得る。
【0031】
本実施の形態に係わる大豆の加工装置のスクリーンの目の大きさは20〜500メッシュに選定されているので、オカラは発生しないが、従来の方法により得られる大豆煮呉には多量のオカラを含んでいる。そこで、このようなオカラを含んでいる大豆煮呉からオカラ豆乳を得て、機能性全豆乳を得る加工方法を、図4を参照しながら説明する。図4に示されているように、従来の方法により大豆煮呉を得る(ステップT0)。得られた大豆煮呉を分離装置によりオカラと豆乳とに分離する(ステップT1)。
【0032】
ステップT1で分離したオカラを、上記した大豆の微細化装置により微細化する(ステップT2)。すなわち、シリンダバレル1の前方の蓄積室4に所定量蓄積する。そうして、ピストン20を軸方向に駆動する。そうすると、オカラは20〜500メッシュのスクリーン51から外部へ押し出される。これにより、オカラは微細化される。次いで、反応槽に入れ、上記したよな植物組織分解酵素と植物繊維素分解酵素を添加混合して所定時間反応させる(ステップT3)。この酵素反応により、上記したような効果が得られる。適宜濾過(ステップT4)してオカラ豆乳を得る(ステップT5)。
【0033】
大豆煮呉から分離された豆乳は、そのまま上記のようにして得られるオカラ豆乳と混合して機能性全豆乳を得ることもできるが、図4に示されているように酵素反応を実施する。すなわち、豆乳にはトランスグルタミナーゼのような蛋白結合酵素を適宜添加混合し、所定の条件下で酵素反応を実施する(ステップU1)。この反応により、前述したように良好な食感とコシが与えられると共に優れた保水性が付与され、大豆臭、オカラ臭等も消去される。次いで、酵素処理された豆乳とオカラ豆乳とを混合(ステップU2)して、ステップU3により機能性全豆乳を得る。
【0034】
図3及び図4に示されている工程により得られる機能性全豆乳に凝固剤を添加して機能性豆腐を得ることができることは明らかである。図4には、ステップU3により得られた機能性全豆乳にステップU4により凝固剤、例えば塩化マグネシウムにグルコノデルタラクトン(商品名、赤穂化成社の凝固剤)を加えた凝固剤を添加して加熱・冷却して機能性豆腐を得る(ステップU5)工程が示されている。
【0035】
次に、継続して機能性豆腐を製造する実施の形態を図5により説明する。なお、前述したステップと同じようなステップには同じ参照文字を入れて詳しい説明はしない。前述したようにして大豆呉を得る(ステップS0)。次いで加熱・冷却し、そして適宜濾過して機能性全豆乳を得る(ステップS5)。このステップS5で得られた機能性全豆乳をタンクに移し、蛋白架橋結合酵素、例えばトランスグルタナーゼを添加混合し酵素反応(ステップS6)をさせた後、凝固剤を混合(ステップU4)して機能性豆腐を製造する(ステップU5)。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明の幾つかの実施例を説明する。
実施例1:本例は、請求項1に記載の発明に対応した実施例である。
微細化装置:図1に示されているような、シリンダバレルの径が120mm、シリンダバレルの軸長が600mmのものを使用した。スクリーンは、60メッシュのスクリーンと300メッシュのスクリーンの組が3段重ねられているものを使用した。このとき、スクリーンサポータには入口直径が1mmの孔が1450個形成されているものを使用した。
大豆原料:水と共に粗粉砕し蒸煮した煮呉を使用した。
テスト条件:ピストンの押出速度は25〜250mm/s、押出圧力は8.0〜55.0MPaであった。なお、このとき30℃の大豆原料をシリンダバレルに供給したが、押出圧力による温度上昇は殆ど見られなかった。
テスト結果:大豆原料がスクリーンを通過するときに、大豆の胚軸、外皮までも均一に超微細化されていた。図6に示すような粒度分布が得られた。
【0037】
実施例2:本例は、請求項3に記載の発明に対応した実施例である。
微細化装置:実施例1と同じ装置を使用した。
大豆原料:大豆煮呉12.0kgを濾過して得られた豆乳9.6L(リットル)とオカラ2.4kgを使用した。
テスト条件:このオカラに水2.2LとRhizopus sp起源の植物組織崩壊酵素ペクチナーゼ9.2gとAspergillus niger起源の植物繊維素分解酵素セルラーゼ、9.2gを添加混合して、前記微細化装置によつて微細化し、次いで反応槽に入れ温度50℃に調整し、30分間攪拌しながら酵素反応を施し、この後90℃で加熱・冷却して4.6Lのオカラ豆乳を得た。また、前記の豆乳9.6LにSt.verticillium mobarance起源の蛋白架橋結合酵素トランスグルタナーゼ18.5gを添加し酵素反応を施した。この酵素反応を施した豆乳と、上記のようにして得られたオカラ豆乳とを混合して14.2Lの機能性全豆乳を得た。
テスト結果:この機能性全豆乳は、固形物の粒度が50〜100μで、香味、食味、食感において従来の豆乳と比較してコクがあり、パネラーテストにおいて良好であると高い評価を得た。それは酵素処理前の糖度が10.8度から酵素処理後はに12.0度に増加したことによるものと推定される。実施例2で得られた機能性全豆乳と従来法により得られた豆乳とのパネラーテスト(15名)の比較評価結果を表1に示す。
表1
【0038】
実施例3:本例は、請求項5に記載の発明に対応した実施例である。
微細化装置:実施例1と同じ装置を使用した。
大豆原料:水に浸漬した丸大豆50.0kgを使用した。
テスト条件:実施例1の微細化装置を通過させて極微細化し、加熱・冷却した後、植物組織崩壊酵素Rhizpus spペクチナーゼ272g、植物繊維素分解酵素Aspergillus nigerセルラーゼ272gを添加混合し、水86Lを加え反応槽に入れて温度50℃に調整しながら30分間攪拌して酵素反応を施して機能性全豆乳136Lを得た。
テスト結果:取り出された機能性全豆乳は、固形物の直径が50〜100μで、香り、食味、食感において従来の豆乳と比較して格段にコクがあるとのパネラーテストの評価を得た。それは、酵素処理前の糖度が10.8度であるのに対し、酵素処理後の糖度が12度に増加した結果と推定される。実施例3で得られた機能性全豆乳と従来法により得られた豆乳とのパネラーテスト(15名)の比較評価結果を表2に示す。
表2
【0039】
また、実施例3で得られた機能性全豆乳と従来法により得られた豆乳とを比較分析したところ、表3に示されるような結果が得られた。この表3から、本機能性全豆乳には、従来法により得られた豆乳には含有されない植物繊維、不溶性ペクチン、可溶性ペクチン等が多量に含まれており、また糖類、オリゴ糖も多く含まれていることが理解される。
表3
【0040】
実施例4:本例は、請求項6に記載の発明に対応した実施例である。
大豆原料:実施例2により得られた機能性全豆乳14.2Lを使用した。
テスト条件:機能性全豆乳14.2Lに凝固剤{塩化マグネシウム+グルコノデルタラクトン(商品名、赤穂化成社の凝固剤)}56.6gを添加混合し、これを容器に充填し、90℃で20分間加熱した後、冷却して47丁/300gの機能性豆腐を得た。
テスト結果:凝固した機能性豆腐は、香り、食味、食感において従来の豆腐と比較し、格段にコクのあるものであるとのモニターの評価を得た。それは、酵素処理前の糖度が10.8度であるのに対し、酵素処理後の糖度が12度に増加した結果によるものと推定される。表4に、機能性豆腐(実施例4)と従来法により得られたの豆腐とのパネラーテスト(15名)の比較評価結果を示す。
表4
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、大豆煮呉から分離したオカラに、水と植物組織崩壊酵素と植物繊維素分解酵素とを混合添加してシリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、そして前記シリンダバレル内に軸方向に駆動可能に設けられているピストンを軸方向に駆動して蓄積されたオカラを前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させて微細化し、次いで攪拌しながら酵素反応を施して得られるオカラ豆乳と、分離した豆乳を蛋白結合酵素により酵素反応処理した豆乳とを混合して機能性全豆乳を得るので、従来の大豆煮呉から発生するオカラを有効に利用できる。このとき、格別な摩砕装置を必要としないで短時間に且つ短工程でオカラを安価に微細化することができるという本発明に特有の効果が得られる。このように、本発明によると、短時間、短工程により機能性全豆乳が生成されるが、特に食品製造分野においては、製造コストの削減は勿論のこと、食品の主に酸化による劣化と食品衛生上の問題でその益するところは大きい。また、オカラは植物組織崩壊酵素により生化学的に細胞レベルでさらに分解極微粒化され、セルローズは分解されてて糖類に変えられ、また食物繊維やオリゴ糖成分など健康的機能性を持った性質に変性するなど、これらの総合作用により食品としての優れた食味・食感を有する機能性全豆乳が得られる。このような酵素反応は、本発明によると、先に機械的に極微細化されて反応面積が広がっているので、短時間で反応が行われる効果も得られる。
また、他の発明によると、大豆原料を、シリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、次いで前記シリンダバレル内に設けられているピストンを軸方向に駆動して蓄積された大豆原料を前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させることにより極微細化された大豆呉を得る極微細化処理工程と、前記極微細化処理工程で得られた大豆呉を加熱し、水と植物組織崩壊酵素と植物繊維素分解酵素とを混合添加して撹枠しながら酵素反応を施す酵素反応処理工程とから、食物繊維を多く含む機能性全豆乳を生成するので、格別な摩砕装置を必要としないで短時間に且つ短工程で外皮を含む全粒大豆原料を安価に、しかも食品としての優れた食味・食感の機能性全豆乳が得られる。
さらに他の発明によると、機能性全豆乳に、凝固剤を添加混合して、あるいは蛋白結合酵素を添加結合して酵素反応を施し、これに凝固剤を添加混合して機能性豆腐を製造するので、全粒大豆から、香り、食味、食感において従来の豆腐と比較し格段にコクがあり、従来の豆腐に含まれない多くの食物繊維やオリゴ糖などが含まれる機能性豆腐が得られる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、浸漬あるいは蒸煮された大豆原料を、シリンダバレル内に軸方向に駆動可能に設けられているピストンを引いて、前記シリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、次いで前記ピストンを軸方向に駆動して蓄積された大豆原料を前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させることにより極微細化された大豆呉あるいは機能性全豆乳を得るので、格別な摩砕装置を必要としないで短時間に且つ短工程で外皮を含む全粒大豆原料を安価に微細化することができるという、本発明に特有の効果が得られる。このように、本発明によると、短時間、短工程により大豆呉あるいは機能性全豆乳が製造されるが、特に食品製造分野においては、製造コストの削減は勿論のこと、食品の主に酸化による劣化と食品衛生上の問題でその益するところは大きい。
また、分離したオカラに、水と植物組織崩壊酵素と植物繊維素分解酵素とを混合添加してシリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、そして前記シリンダバレル内に軸方向に駆動可能に設けられているピストンを軸方向に駆動して蓄積されたオカラを前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させて微細化し、次いで攪拌しながら酵素反応を施して得られるオカラ豆乳と、分離した豆乳を蛋白結合酵素により酵素反応処理した豆乳とを混合して機能性全豆乳を製造する発明によると、従来の大豆煮呉から発生するオカラを有効に利用できる。このとき、オカラは植物組織崩壊酵素により生化学的に細胞レベルでさらに分解極微粒化され、セルローズは分解されてて糖類に変えられ、また食物繊維やオリゴ糖成分など健康的機能性を持った性質に変性するなど、これらの総合作用により食品としての優れた食味・食感を有する機能性全豆乳が得られる。このような酵素反応は、本発明によると、先に機械的に極微細化されて反応面積が広がっているので、短時間で反応が行われる効果も得られる。
また、大豆原料を、シリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、次いで前記シリンダバレル内に設けられているピストンを軸方向に駆動して蓄積された大豆原料を前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させることにより極微細化された大豆呉を得る極微細化処理工程と、前記極微細化処理工程で得られた大豆呉に、水と植物組織崩壊酵素と植物繊維素分解酵素とを混合添加して撹枠しながら酵素反応を施す酵素反応処理工程とから、食物繊維を多く含む機能性全豆乳を生成する発明によると、格別な摩砕装置を必要としないで短時間に且つ短工程で外皮を含む全粒大豆原料を安価に、しかも食品としての優れた食味・食感の機能性全豆乳が得られる。
機能性全豆乳に、凝固剤を添加混合して、あるいは蛋白結合酵素を添加結合して酵素反応を施し、これに凝固剤を添加混合して機能性豆腐を製造する発明によると、全粒大豆から、香り、食味、食感において従来の豆腐と比較し格段にコクがあり、従来の豆腐に含まれない多くの食物繊維やオリゴ糖などが含まれる機能性豆腐が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる大豆の微細化装置の一部を断面にして示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる大豆の微細化装置の要部を示す断面図で、その(イ)は均一化ユニット部分の、そしてその(ロ)はシリンダバレルの前方部分をピストンが押出方向に駆動されている状態で示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる機能性全豆乳の製造工程を示す図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係わる機能性全豆乳の製造工程を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わる機能性豆腐の製造工程を示す図である。
【図6】本発明の実施例により得られた機能性全豆乳の粒度分布を示す図である。
【符号の説明】
1 シリンダバレル 4 蓄積室
10 ピストン 20 リング
50 均質化ユニット
51、52 第1、2のスクリーン
53、54 第1、2のスクリーンサポータ
Claims (5)
- 大豆煮呉を豆乳とオカラに分離する分離工程と、
前記分離工程で分離したオカラに、水と植物組織崩壊酵素と植物繊維素分解酵素とを混合添加してシリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、そして前記シリンダバレル内に軸方向に駆動可能に設けられているピストンを軸方向に駆動して蓄積されたオカラを前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させて微細化し、次いで攪拌しながら酵素反応を施してオカラ豆乳を生成するオカラ豆乳生成工程と、
前記分離工程で分離した豆乳に、蛋白結合酵素を添加し酵素反応を施す豆乳処理工程とからなり、
前記オカラ豆乳生成工程で得られたオカラ豆乳と、前記豆乳処理工程で処理された豆乳とを混合して食物繊維を多く含む機能性全豆乳を生成することを特徴とする大豆の加工方法。 - 請求項1に記載の加工方法において、オカラ豆乳生成工程と豆乳処理工程とを同時並列的に実施する大豆の加工方法。
- 大豆原料を、シリンダバレルの前方の蓄積室に蓄積し、次いで前記シリンダバレル内に設けられているピストンを軸方向に駆動して蓄積された大豆原料を前記シリンダバレルの先端部に取付けられているスクリーンを通過させることにより極微細化された大豆呉を得る極微細化処理工程と、
前記極微細化処理工程で得られた大豆呉を加熱し、水と植物組織崩壊酵素と植物繊維素分解酵素とを混合添加して撹枠しながら酵素反応を施す酵素反応処理工程とから、食物繊維を多く含む機能性全豆乳を生成することを特徴とした大豆の加工方法。 - 請求項1〜3のいずれかの項に記載の加工方法を用いて生成された機能性全豆乳に、凝固剤を添加混合して機能性豆腐を製造することを特徴とする大豆の加工方法。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載の加工方法を用いて生成された機能性全豆乳に、蛋白結合酵素を添加結合して酵素反応を施し、これに凝固剤を添加混合して機能性豆腐を製造することを特徴とする大豆の加工方法。
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