JP3751570B2 - 小型滑走艇 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型滑走艇に係り、特にそのエンジンのオイルフィルタ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
4サイクルエンジンにはその内部を潤滑する潤滑オイル内の異物を濾過するオイルフィルタが備えられている。エンジンのクランクケース下部には潤滑オイルの主通路であるオイルギャラリーが設けられているため、オイルフィルタはこのギャラリー近傍のクランクケース下側面部に設置される場合が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、小型滑走艇のように船体の進行方向軸に沿った細長いエンジンルームを備える場合、エンジンの横幅に制限があるため、上述したようなエンジン側部にオイルフィルタが突出する配置構造は好ましくない。また、オイルフィルタの着脱作業用の空間確保も問題となる。
【0004】
さらに、小型滑走艇のエンジンルーム開口部はエンジンの上方に開口するため、エンジンの下部にオイルフィルタが配置されると着脱作業も含めた整備性が劣る。
【0005】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、エンジンのコンパクト化を図ると共に整備作業性の向上を図った小型滑走艇を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る小型滑走艇は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、クランクケース内に配置されたクランクシャフトの出力を、このクランクシャフトと平行に配置されたドライブシャフトを介して取出すと共に、上記クランクケースはそのドライブシャフトの収納部が側方に張り出して形成され、シリンダが船体の進行方向軸に沿って並設されたシリンダブロックを有するエンジンを搭載し、船体の中央上部にハンドルバーを備えてその後方に跨座式のシートが設けられた小型滑走艇において、上記シート下方のエンジンルーム4内で、上記シリンダブロック14を船体の進行方向軸10から船体幅方向に変位させてエンジンルーム4内の上部にシリンダブロック14を配置し、このシリンダブロック14の側部に吸気装置15を配置し、オイルポンプ24,25を駆動する上記ドライブシャフト20の収納部23を上記吸気装置15側に設け、この吸気装置15の下方にオイルフィルタ29を上記船体の幅方向に向けて配設したものである。
【0007】
また、上述した課題を解決するために、請求項2に記載したように、上記オイルフィルタ29を、上記シリンダブロック14に排気装置16が接続された側とは反対の側に設けたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、この発明を適用した小型滑走艇の一例を示す左側面図であり、その一部を破砕して示す。また、図2は図1に示す滑走艇の平面図であり、図1同様その一部を破砕して示す。
【0010】
図1および図2に示すように、この小型滑走艇1は、船体の中央上部にハンドルバー2を備え、その後方に跨座式のシート3が設けられる。また、船体内にはエンジンルーム4が形成され、エンジン5や熱交換器6、消音器7や燃料タンク8等が収納される。
【0011】
エンジン5の後部からはインペラシャフト9が後方に向かって船体の進行方向軸10と平行に延び、船底に設けられたジェットポンプ11内に挿通してその後端部に図示しないインペラが設けられる。また、ジェットポンプ11の後部にはジェットノズル12が設けられ、船体の最後部に突出する。
【0012】
エンジン5が作動してインペラシャフト9が回転すると、インペラの作用によって船底の水がジェットポンプ11に船底から吸入されてジェットノズル12から後方に向かって噴射される。そして、この噴射の反動で小型滑走艇1が前進する。また、ジェットノズル12はハンドルバー2の操作により左右に回動し、小型滑走艇1の進行方向を任意に変更可能とする。
【0013】
図3は図2のIII矢視図であり、エンジン5を後方から眺めた状態を示す。また、図4はエンジン5単体の左側面図であり、図5はエンジン5単体の平面図である。図1〜図5に示すように、このエンジン5は直列四気筒エンジンであり、アッパーケース13aとロアーケース13bとに上下に分割可能なクランクケース13の上面に図示しないシリンダが船体の進行方向軸10に沿って並設されたシリンダブロック14が載置される。また、シリンダブロック14はエンジンルーム4内上部に船体の進行方向軸10の一側に変位して配置される。
【0014】
シリンダブロック14の、船体の進行方向に向かって左側には吸気装置15が配置されると共に、向かって右側には排気装置16が配置され、この排気装置16に前記消音器7が接続される。また、クランクケース13の左前方にはオイルタンク17が配置される。
【0015】
図6は、図3のVI−VI線に沿う断面図である。図6に示すように、クランクケース13内にはクランクシャフト18が配置される。クランクシャフト18は、上下に分割されるクランクケース13の割面19上に配置され、船体の進行方向軸10と平行に延びる。また、クランクケース13内にはクランクシャフト18よりその長さが短いドライブシャフト20がクランクケース13の割面19より離れた位置、例えば下方にクランクシャフト18と平行に配置される。そして、このドライブシャフト20の出力端、本実施形態においては後端に前記インペラシャフト9が接続される。
【0016】
クランクシャフト18の後端にはドライブギヤ21が設けられる。また、ドライブシャフト20のほぼ中間にはドリブンギヤ22が設けられる。そして、ドライブギヤ21とドリブンギヤ22とが作動連結することによりクランクシャフト18の回転力がドリブンギヤ22に伝達される。なお、本実施形態においては、ドリブンギヤ22はドライブギヤ21より大径で且つ歯数が多く設定され、クランクシャフト18の回転数は減速されてドライブシャフト20に伝達される。
【0017】
クランクシャフト18より長さの短いドライブシャフト20をクランクシャフト18と平行に配置し、クランクシャフト18の後端とドライブシャフト20の中間とをギヤ21,22で連結することにより、クランクケース13はそのドライブシャフト20の収納部23が吸気装置15側に張り出して設けられ、その平面外形が図6に示すようなL字状に形成される。
【0018】
ところで、このエンジン5はドライサンプ式の潤滑方式を採用するため上述したようにオイルタンク17をエンジン5とは別体に備え、ドライブシャフト20の収納部23内にエンジン5内下部に溜まる潤滑オイルを回収し、オイルタンク17に送り込む回収用オイルポンプ24およびオイルタンク17内の潤滑オイルをエンジン5各部に圧送する送出し用オイルポンプ25を備える。
【0019】
これらのオイルポンプは二軸連動式のものであって、両オイルポンプ24,25の軸のうち、一方の軸26は上記ドライブシャフト20の出力端とは反対側、すなわち前端に連結される。また、他方の軸27端には冷却水循環用のウォータポンプ28が連結される。すなわち、ドライブシャフト20が回転すると両オイルポンプ24,25が駆動され、さらにウォータポンプ28も同時に駆動される。
【0020】
図7は、シリンダブロック14を取り除いた状態のアッパーケース13aの平面図であり、図8は図7のVIII−VIII線に沿う断面図、図9は図7のIX−IX線に沿う断面図である。図3、図4および図7〜図9に示すように、吸気装置15下方の、L字状に形成されたアッパーケース13aの前記ドライブシャフト20収納部23上面にはオイルフィルタ29の取付部30が設けられる。そして、この取付部30にオイルフィルタ29が船体の幅方向に向けてほぼ水平状態で取り付けられる。
【0021】
オイルフィルタ29の取付部30には前記送出し用オイルポンプ25から延びてオイルフィルタ29に繋がるオイル導入路31と、オイルフィルタ29からロアーケース13b内の図示しないオイルギャラリーに繋がるオイル吐出路32が形成され、オイルタンク17内の潤滑オイルを、この潤滑オイルがエンジン5内部に導かれる前に濾過するように構成される。なお、回収用オイルポンプ24直上のアッパーケース13a上面で、オイルフィルタ29の取付部30近傍には回収用オイルポンプ24に繋がる潤滑オイル吐出口33が形成される。
【0022】
また、図4に示すように、クランクケース13の下部には送出し用オイルポンプ25に繋がるオイルパン34が形成され、このオイルパン34には潤滑オイルの取入口35が形成される。そして、この取入口35とオイルタンク17の下部に形成された送出し口36とがオイルホース37によって接続される。
【0023】
さらに、アッパーケース13aの上面に形成された潤滑オイルの吐出口33とオイルタンク17の上部に形成された回収口38とがオイルホース39によって接続される。
【0024】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0025】
エンジン5が始動すると、クランクシャフト18の回転はドライブシャフト20に伝達されてインペラシャフト9が回転されると共に、回収用オイルポンプ24および送出し用オイルポンプ25、そしてウォータポンプ28が駆動される。
【0026】
オイルタンク17内の潤滑オイルはオイルタンク17下部の潤滑オイル送出し口36からオイルパン34の潤滑オイル取入口35を経て送出し用オイルポンプ25によってオイルフィルタ29に導かれ、濾過された後ロアーケース13b内の図示しないオイルギャラリーを経てエンジン5各部に圧送される。エンジン5各部を潤滑した潤滑オイルは回収用オイルポンプ24によってアッパーケース13a上面の潤滑オイル吐出口33からオイルタンク17上部の潤滑オイル回収口38を経てオイルタンク17内に回収される。
【0027】
クランクケース13内にその側方に張り出すドライブシャフト20の収納部23を形成したことによりL字状に形成されたクランクケース13のドライブシャフト20収納部23上面と、その上方に配置された吸気装置15下部との間にデッドスペースが形成される。そこで、アッパーケース13aのドライブシャフト20収納部23上面にオイルフィルタ29の取付部30を設け、この取付部30にオイルフィルタ29を取り付けることにより、オイルフィルタ29がエンジン5の幅方向に大きく突出することがないので、エンジン5がコンパクト化する。
【0028】
また、オイルフィルタ29は従来の取付位置に比較して上方寄りに配置されると共に、吸気装置15は着脱が容易なため、オイルフィルタ29の着脱作業用の空間が充分に確保でき、オイルフィルタ29の整備作業性が向上する。
【0029】
さらに、吸気装置15は従来エンジン5の熱が伝わりにくい場所に配置されるため、オイルフィルタ29をエンジン5の吸気装置15側に配置したことによりオイルフィルタ29内の潤滑オイルがエンジン5の熱から受ける影響が少なくなり、潤滑オイルの性能低下を防止できる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る小型滑走艇によれば、オイルフィルタの整備作業性が向上すると共に、エンジンの熱がオイルフィルタ内の潤滑オイルに伝わりにくくなり、潤滑オイルの性能低下が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る小型滑走艇の一実施形態を示す左側面図。
【図2】図1に示す滑走艇の平面図。
【図3】図2のIII矢視図。
【図4】図4はエンジン単体の左側面図。
【図5】エンジン単体の平面図。
【図6】図3のVI−VI線に沿う断面図。
【図7】アッパーケースの平面図。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図。
【図9】図7のIX−IX線に沿う断面図。
【符号の説明】
1 小型滑走艇
5 エンジン
13 クランクケース
14 シリンダブロック
15 吸気装置
16 排気装置
17 オイルタンク
18 クランクシャフト
20 ドライブシャフト
23 ドライブシャフトの収納部
24 回収用オイルポンプ
25 送出し用オイルポンプ
29 オイルフィルタ
30 オイルフィルタの取付部
Claims (2)
- クランクケース内に配置されたクランクシャフトの出力を、このクランクシャフトと平行に配置されたドライブシャフトを介して取出すと共に、上記クランクケースはそのドライブシャフトの収納部が側方に張り出して形成され、シリンダが船体の進行方向軸に沿って並設されたシリンダブロックを有するエンジンを搭載し、船体の中央上部にハンドルバーを備えてその後方に跨座式のシートが設けられた小型滑走艇において、
上記シート下方のエンジンルーム4内で、上記シリンダブロック14を船体の進行方向軸10から船体幅方向に変位させてエンジンルーム4内の上部にシリンダブロック14を配置し、このシリンダブロック14の側部に吸気装置15を配置し、オイルポンプ24,25を駆動する上記ドライブシャフト20の収納部23を上記吸気装置15側に設け、この吸気装置15の下方にオイルフィルタ29を上記船体の幅方向に向けて配設したことを特徴とする小型滑走艇。 - 上記オイルフィルタ29を、上記シリンダブロック14に排気装置16が接続された側とは反対の側に設けた請求項1記載の小型滑走艇。
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