JP3750823B2 - 異形状延し生地材料の成形方法と成形延し機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は柏餅の外皮のような餅状の生地や表面に凹凸模様を形成した煎餅生地等を自動的に連続して成形する方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりある煎餅生地の連続型抜き用延し機は、例えば図9に示すように、圧延した板状の生地の移送用ベルトコンベア(2)の途中に煎餅の形に生地を抜く型抜きロール(3)を設け、型抜き後の移送用ベルトコンベア(2)の下流には、ガイドロール(4)により該ベルトコンベア(2)を一旦後方に折返した後これを再び適宜のガイドロール(5)を介して前方に導き上記ガイドロール(4)に対向して引剥しロール(6)を設けたものである。そして移送用ベルトコンベア(2)の上流の上方には1対の表面が滑かな円筒状圧延ロール(1)(1)を設け、移送用ベルトコンベア(2)の型抜きロール(3)より下流側と該圧延ロール(1)(1)の上方とをリターン用ベルトコンベア(7)で連絡してある。
【0003】
このような延し機によれば餅状にした煎餅生地を圧延ロール(1)(1)の上から供給し、これを板状に圧延して移送用ベルトコンベア(2)で送る。そして途中の型抜きロール(3)で板状の生地に対して所定形状に連続して型抜きしていく。さらに型抜きされた残部の生地はリターン用ベルトコンベア(7)により圧延ロール(1)(1)の生地供給側に戻されて再び圧延されて板状生地となり、型抜きされた生地は引剥しロール(6)によりベルトコンベア(2)のベルトと密着状態が剥され、先端ロール(8)から次工程へ送られていく。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通常の煎餅生地のような均一な厚さの平坦形状を連続的に自動型抜きするには上記の従来の延し機は有効であるが、例えば柏餅の外皮のように中央部ほど肉厚の厚い餅生地や、表面に波模様を形成した煎餅生地等異形状の延し生地を連続して成形する機械的方法は今までになく、人手により作られていたのが現状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はこれに鑑み検討の結果、異形状の延し生地を連続して生産する方法及び装置を開発したものである。
【0006】
即ち本発明の方法は、表面に凹凸を有する1対の圧延ロールで餅状生地を連続して圧延することにより、表面に凹凸を形成した連続延し生地を得、該連続延し生地の所定位置を型抜きロールの表面に設けた型枠により所定形状に型抜きすることを特徴とするものである。
【0007】
また本発明装置は、表面に凹凸を有する1対の圧延ロールと、該圧延ロールの下方に該圧延ロールにより圧延された連続延し生地を移送する移送用ベルトコンベアを設け、該ベルトコンベアの下流に表面に所定形状の型枠を設けた型抜きロールを設置し、該型抜きロールより下流の上記移送用ベルトコンベアの上方に所定形状に抜かれた残部の生地を上記圧延ロールの供給側に戻すリターン用ベルトコンベアを設けたことを特徴とするものであり、この際型抜きロールの外周面に接触することにより回転するフリーロールブラシを設け、且つ該フリーロールブラシに食用アルコールを噴霧するスプレーノズル装置を設けるのは効果的であり、また圧延ロールとして、中央に向って漸次深くなる凹所を対向する表面にそれぞれ設けた1対の圧延ロールを用い、且つ該凹所の周縁形状に対応した形状の型枠を有する型抜きロールを用いて、これらを同期させて駆動するのは有効であり、さらに移送用ベルトコンベア上のリターン用ベルトコンベアより下流に少くとも表面部が弾性材料からなる整形ロールを設置するのも有効である。
【0008】
【実施例】
次に本発明の実施例について柏餅の外皮の連続製造装置により説明する。
用いる柏餅用圧延ロール(10)としては図1に示すように、中央に向って漸次深くなる円形の凹所(11)を表面に形成した圧延ロール(10)を2個、該凹所(11)を互いに対向させて、図2に示すように移送用ベルトコンベア(2)上流の上方に設置した。そしてこの1対の圧延ロール(10)(10)の上方に生地原料供給用ホッパー(12)を設け、該ホッパー(12)上にリターン用ベルトコンベア(7)の先端を位置させた。さらにリターン用ベルトコンベア(7)の他端を移送用ベルトコンベア(2)の下流側に位置させ、且つ該リターン用ベルトコンベア(7)の他端位置と圧延ロール(10)(10)位置との中間の移送用ベルトコンベア(2)のベルトの上側に型抜ロール(13)と、該ベルトの下側に該型抜ロール(13)に対向して型抜受ゴムロール(14)を設置した。
【0009】
また移送用ベルトコンベア(2)のさらに下流には、図3に示すようなロール全体がウレタン製中実丸棒からなる弾力のある整形ロール(15)を該ベルトコンベア(2)のベルト上面にほとんど接触させて取付け、且つ該ベルト下面には受ロール(16)を配置した。なお該整形ロール(15)の表面には餅状生地が該ロール(15)に粘着しないようにテフロンシート(17)を固設してある。そして整形ロール(15)のさらに下流には従来の延し機と同様引剥しロール(6)により移送用ベルトコンベア(2)のベルトを折り返す引剥し機構を設けた。
【0010】
このような本発明の延し機によれば、ホッパー(12)内に餅状の柏餅の生地(A)を投入して圧延ロール(10)(10)を駆動することにより、中央部に円形の盛り上りのある板状生地(B)を連続的に作り、これを移送用ベルトコンベア(2)上で受けて下流へ送る。そして圧延ロールの回転と同期させて上記板状生地(B)の円形盛り上り部(p)の周縁を円形に型抜きする型枠(20)を表面に設けた型抜きロール(3)を該板状生地(B)上で回転させているので中央部が盛り上った柏餅の型抜き後外皮(q)が連続的に型抜きされて該型抜き後外皮(q)と型抜き残部(r)とからなる型抜き済板状生地(C)が得られる。その後型抜き残部(r)は図のようにリターン用ベルトコンベア(7)により生地原料供給用ホッパー(12)に戻すようにした。
【0011】
そして得られた柏餅の外皮(q)は図4に示すように中央部が盛り上り、周縁は型抜き残部と同じ厚さを有する形状となる。そこでこのままの形状で最終製品としてもよいが、この周縁の厚さをより薄くして中央部の盛り上り形状を整えるため整形ロール(15)で処理することもできる。即ち該整形ロール(15)は図5に示すように移送用ベルトコンベア(2)のベルトの片側から自動調心ベアリング(18)で取付けられている。さらに該整形ロール(15)の整形能を高めるため該整形ロール(15)の上方に、該ロール(15)の回転中であっても該ロール(15)が、その中央部は盛り上り可能で、両端部は該ベルトコンベア(2)のベルト面に密接する程度に押え付ける整形ロール押圧コロ(19)を取付けた。なお図中13は押圧調整ねじを示す。
このような整形ロールアセンブリーで上記型抜き後外皮(q)を整形処理すると図6に示すように周縁の厚さがほとんどゼロで中央部が盛り上った形状の整形外皮(s)が得られる。
【0012】
なお整形ロールアセンブリーの具体的な製作例を以下に示す。
まず移送ベルト下側にそのベルト速度と同周速度で回転するローラを設け、そのすぐ上方の移送ベルトをはさんだ上側に整形ロールを設ける。該整形ロールは例えば、必要な外径の丸みを持つウレタン製のパイプローラを有し、これを保持できる丸シャフトを該パイプローラの両端面よりそれぞれ必要最低限の長さだけ挿入し止めボルトなどで固定し一体としたものである。
こうして上記丸シャフトを回動させるベアリングやスプロケットなどを取り付け、移送ベルトに沿う方向の回転を与える。当然回転用スプロケット側のベアリングに対し抜け止めなどの固定はするが、反対の側は抜け止め加工はせずさらに相方のベアリングは自動調心のベアリングを使うのは言うまでもない。
こうすることで適度に弾力のある整形ロールが製作でき、さらに押圧力やその形状を調整する押圧コロ(19)により押圧状態を与えることにより一層見栄えの良い菓子生地が得られる。
【0013】
従来この様な形状の生地の加工をしようとすれば、通常のロールで圧延し型抜きした後に職人による人力の加工で行なっていたり、機械的に行おうとすれば複雑な機構を求められるが、本発明装置であれば連続的に凸レンズ状のものやさらには別の形状のものも可能となる。
圧延ロールの製作に際しては、上記の柏餅の生地の場合は極端に中心部が厚すぎないもの、例えば外径 100ミリ位の円形で中心の厚みが10ミリ、周縁の厚み2ミリ位であれば片側のロールにだけ凹み加工をすれば充分であるが、2本のロールにこの凹所を振り分けて加工し位置合わせをしてもよい。
【0014】
さらにロール同志の間隙も凹加工していない所で任意であるが、原料を入れて圧延され凹所によりふくらみ部を有する板状の生地が型抜ローラまで速かに移送する際にふくらみ部以外の部分の厚みを維持できるような厚みに設定する。そしてロールの凹み加工はそれを差し引いた加工となる。従って当然ある程度の間隙を設ければ多少の厚み調整も可能となる。
また図7の様に当該圧延ロールの外周部分のみを周方向に複数に分割できる様にすれば、さまざまな形状や厚みなど簡易に交換可能なロールも得られる。
【0015】
また本発明では図8に示すように、型抜きロール(3)に接触することにより回転するフリーロールブラシ(20)を設置し、さらに該フリーロールブラシ(20)に食用アルコールを噴霧するスプレーノズル装置(21)を設置することもできる。このスプレーノズル装置(21)は圧縮エアー(X)により食用アルコール(Y)としてエチルアルコール(第4類アルコールでアルコール度78.3%)を混合して該アルコールを微噴霧するものである。
従来からこの種の型抜き手段においては型抜きロールに人手や他の機械的方法で離型用油、例えば食ろうなどを該型抜きロールの型抜きを行う型枠の内外面に付着させることで容易に型抜き生地と型枠との離型を行っていた。しかしながら離型用油が付着しすぎるとこれが型抜きされた菓子生地にも付着されることになり後工程で米菓の味付けの正油などを塗布したときにその部分が油ではじかれて正油が付着しないといった問題があった。さらに離型用油に代えて水を用いることもあるが、この場合も水滴が生地に付着するとその部分の乾燥に時間がかかるばかりかその部分だけが縮みが大きいといった問題があった。
【0016】
そこで本発明では図8のような装置により揮発性のある食用アルコールを型抜きロールに塗布する方法を用いた。これは型抜きロール(3)に接触して回転力を得るフリーロールブラシ(20)の軸にロータリーエンコーダ(22)を取付けて回転を検出する。そしてこれが所定の回転数になったときに所定の時間だけスプレーノズル装置(21)の供給元の電磁弁を開き食用アルコールを該フリーロールブラシ(20)の外周面に向けてスプレーする。なおこの場合タイマーなどによる時間設定で任意の時間毎に任意の時間だけ食用アルコールをスプレーすることもできる。こうして食用アルコールをフリーロールブラシにスプレーすることで、該食用アルコールは該ブラシの毛先から型抜きロールの型枠に移着して離型効果を生ずる。このように食用アルコールを間接的に型抜きロールに塗布することで型枠の表面には型抜き時に適当量の該食用アルコールが付着することになり効果的且つ作業能率上も良好である。
さらにロールブラシが常に型抜きロールの外周面に当っているので型枠等に付着してくる生地のカス等やゴミ等も取り除く効果もある。
【0017】
本発明によれば適当な間隙を設けて凹所を形成した1対の圧延ロールにより圧延されたふくらみを有する板状の原料生地は米菓原料などの柔らかくベタベタしたものであってもなんの支障なく移送ベルトを介して型抜用ロールまで案内できる。そして圧延ロールの凹所部分と位置合わせをされて回転作動をする型抜ロールにより必要なふくらみ部分のみ切り離す型抜きを、適度な粘着力を持つ米菓原料自身の作用も利用しながら位置ずれも起さず次々に連続的に実施できる。
【0018】
こうして本実施例によれば移送ベルト上には柔らかい生地の移送ベルトに接している部分はそれに従って平にはなるが上側は充分盛り上がった凸レンズ状の柏餅の生地ができ上がる。
そして必要とあれば適度に弾力のある柔らかい材質でできた整形ロールで回転押圧されることにより型抜ロールで切り離されたときの切口部分の厚みをさらに薄く形を整え、しかも凸レンズ状の形状はそのままに保つことができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば表面が平坦でない米菓生地や柏餅のような異形状の生地の連続整形が簡単な装置で完全に自動化できるので省力化、コスト低減に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧延ロールの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明装置の一例を示す斜視図である。
【図3】整形ロールの一例を示す正面図である。
【図4】本発明実施例による型抜き後の柏餅外皮を示す一部断面の斜視図である。
【図5】整形ロールの一例を示す正面図である。
【図6】整形ロール処理後の柏餅外皮を示す一部断面の斜視図である。
【図7】圧延ロールの他の例を示す斜視図である。
【図8】型抜きロールにフリーロールブラシを作用させた状態を示す説明図である。
【図9】従来装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 円筒状圧延ロール
2 移送用ベルトコンベア
3 型抜きロール
4,5 ガイドロール
6 引剥しロール
7 リターン用ベルトコンベア
8 先端ロール
10 柏餅用圧延ロール
11 凹所
12 供給用ホッパー
13 押圧調整ねじ
14 型抜受ゴムロール
15 整形ロール
16 受ロール
17 テフロンシート
18 自動調心ベアリング
19 整形ロール押圧コロ
20 フリーロールブラシ
21 スプレーノズル装置
22 ロータリーエンコーダ
Claims (4)
- 表面に凹凸を有する1対の圧延ロールを設け、その下方に該圧延ロールにより圧延された連続延し生地を移送する移送用ベルトコンベアを設け、該ベルトコンベアの下流に表面に所定形状の型枠を設けた型抜きロールを設置し、該型抜きロールの下流の上記移送用ベルトコンベアの上方に所定形状に打抜かれた残部の生地を上記圧延ロールの供給側に戻すリターン用ベルトコンベアを設け、該リターン用ベルトコンベアより下流に少なくとも表面部が弾性材料からなる整形ロールアセンブリーを置き、上記型抜きロールの外周面にはフリーロールブラシとスプレー装置からなる離型手段を取付けてなるシステムであり、上記表面に凹凸を有する1対の圧延ロールが、中央に向って漸次深くなる凹所を対向する表面にそれぞれ設けた1対の圧延ロールであることを特徴とする異形状延し生地材料の成形延し機。
- 上記の少なくとも表面部が弾性材料からなる整形ロールアセンブリーが、ウレタン製で適度に弾力性をもつ整形ロール、その表面に固設した粘着防止用のテフロン(登録商標)シート、該整形ロールに対向して移送ベルトの速度と同じ周速度で回転する受ロール、該受ロールから整形ロールへの駆動手段および該整形ロールを適度に押えつけるための押圧コロからなる請求項1記載の異形状延し生地材料の成形延し機。
- 上記型抜きロールの外周面に取付けるフリーロールブラシとスプレー装置からなる離型手段が、該型抜きロールに接触して回転するフリーロールブラシとその軸に取付けて回転数を検出するロータリーエンコーダと該ロータリーエンコーダの作用によって所定の時間だけスプレーすることのできるスプレーノズルからなる請求項1または2に記載の異形状延し生地材料の成形延し機。
- 上記スプレー装置から噴霧する液体がアルコールである請求項3記載の異形状延し生地材料の成形延し機。
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