JP3750004B2 - 豆腐脱水成形用型箱の洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、豆腐脱水成形用型箱における蛋白性皮膜により汚染される部分を洗浄する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の方法としては、豆腐脱水成形用型箱を洗浄する場合、型箱の表面に蛋白性皮膜洗浄用洗剤を付着させ、これに工業用水や水道水を吹付けるものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記方法によれば型箱に付着している蛋白性皮膜は落とすことができる。ところが、型箱には、蛋白性皮膜以外に、半透明(乳白色)のしみのような汚れが付着しており、これを洗剤で落とすことができなかった。その汚れの性状は定かではないが、汚れに豆腐が付着してしまい、型箱から豆腐を取出す際に、付着した豆腐の一部が剥がれて型箱内に残存し、得られた豆腐は一部を欠いた不良品となって、商品価値が無くなり、出荷することができなかった。
【0004】
この発明は、豆腐脱水成形用型箱における蛋白性皮膜により汚染される部分に付着した汚れを全て洗浄することのできる豆腐脱水成形用型箱の洗浄方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明による豆腐脱水成形用型箱の洗浄方法は、豆腐脱水成形用型箱における蛋白性皮膜により汚染される部分を洗浄する方法であって、洗浄に際し、苛性ソーダまたは炭酸ソーダを主成分とする弱アルカリ性洗剤を用い、ついで、チオ硫酸塩、重亜硫酸塩および亜硫酸塩の1種または2種以上の水溶液を用いることを特徴とするものである。
【0006】
チオ硫酸塩、重亜硫酸塩および亜硫酸塩は、それぞれを別々に用いてもよく、いくつかを組合わせて用いても良い。
【0007】
この発明による豆腐脱水成形用型箱の洗浄方法では、苛性ソーダまたは炭酸ソーダを主成分とする弱アルカリ性洗剤についで、チオ硫酸塩、重亜硫酸塩および亜硫酸塩の1種または2種以上の水溶液を用いるから、豆腐脱水成形用型箱における蛋白性皮膜により汚染される部分に付着した汚れを全て落とすことができる。
【0008】
また、チオ硫酸塩がチオ硫酸ナトリウムであり、重亜硫酸塩が重亜硫酸ナトリウムであり、亜硫酸塩が無水亜硫酸ナトリウムであることが好ましい。
【0009】
チオ硫酸ナトリウムを用いると、汚れを落とすのに最も顕著な効果を示し、これと同じ性質を有する重亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸ナトリウムを用いても、汚れを落とす効果が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、豆腐製造機の型箱に適用した例について図面を参照して説明する。
【0011】
図1を参照すると、型箱11は、上端開口縦長直方体状型箱本体12と、これに上下動自在にはめ入れられる押え蓋13とよりなる。箱本体12および押え蓋13は、いずれも、厚さ0.6mmのステンレス板よりなる。ステンレス板には、テフロン加工またはナイロン、シリコン樹脂がコーティングされる場合もある。
【0012】
箱本体12は、胴壁21および底壁22よりなりかつ成形する1丁の豆腐の容積が400ccとすると、750ccの凝固豆乳を収容しうる容積を有している。胴壁21の上端開口縁部には上向きのテーパ部23が設けられている。胴壁21の下部には多数の脱水孔24が所定のピッチであけられている。脱水孔24のピッチは4mmで、その径は0.8mmである。最上位の脱水孔24のレベルは、脱水成形後の豆腐の上面レベルと一致する。底壁22にも脱水孔25が同じようにあけられている。底壁脱水孔25のピッチは2.5mmであり、その径は0.8mmである。押え蓋13は、型箱本体胴壁21内面にそわされる外周を有する方形平板状のもので、外周の長短一対づつの4辺中央部に立上状長短リブ31,32を有している。押え蓋のほぼ全体には多数の脱水孔33があけられている。この脱水孔33のピッチは1.2mmで、その径は0.8mmである。押え蓋13の上面には、その四隅から立ち上がった鞍状ホルダ34が固着されている。ホルダ34の頂面中央部には垂直棒状シャンク35が固着されている。
【0013】
図2および図3に、上記型箱を用いた豆腐製造機が示されている。
【0014】
豆腐製造機は、チャンバ41内に並列状に配置されている型箱コンベヤ42および押え蓋コンベヤ43とを備えている。
【0015】
型箱コンベヤ42は、右駆動スプロケット51および左従動スプロケット52と、これらスプロケット51,52に巻き掛けられかつ多数の型箱本体12を所定間隔をおいて取付けているエンドレスチェーン53を備えている。
【0016】
押え蓋コンベヤ43は、大径駆動駆動スプロケット61およびこれの左方複数適所に配置されている小径従動スプロケット62と、これらスプロケット61,62に巻き掛けられているエンドレスチェーン63と、チェーン63に所定間隔をおいて取付けられかつ押え蓋13を着脱自在に保持する多数のホルダ64とを備えている。
【0017】
型箱本体12の上側移動経路始端には凝固豆乳供給シュート71が配置されている。同上側移動経路の中程からホルダ13の上側移動経路の始端近くにかけて押え蓋供給装置72が配置されている。型箱本体12の下側移動経路の中程からホルダ13の上側移動経路の中程にかけて豆腐取出装置73が配置されている。型箱本体12の下側移動経路における豆腐取出装置73より下流に可動洗剤ノズル74が、これより1つのステーションをおいた下流に可動洗浄水ノズル75がそれぞれ上向きに配置されている。洗剤ノズル74および洗浄水ノズル75は、ともに、型箱本体12内に対し進退しうるように昇降自在である。
【0018】
ホルダ13の上側移動経路の終端近くには容器供給装置81が配置されている。ホルダ13の上側移動経路終端から下側移動経路終端にかけての反転経路の途中には豆腐排出シュート82が配置されている。豆腐排出シュート82の下方には排出コンベヤ83が配置されている。ホルダ13の下側移動経路における豆腐取出装置73より下流に固定洗剤ノズル84が、これより1つのステーションをおいた下流に固定洗浄水ノズル85がそれぞれ下向きに配置されている。
【0019】
凝固豆乳供給シュート71から型箱コンベヤ12の型箱本体に凝固豆乳Mが投入される。凝固豆乳Mを入れた型箱本体12が押え蓋供給装置72のところまで搬送されると、押え蓋供給装置72によって同型箱本体12に押え蓋13が施される。この後、押え蓋13には図示しない弾性手段によって押圧力が作用させられ、豆腐取出装置73のところまで搬送される間に凝固豆乳Mが豆腐Bに脱水成形される。豆腐取出装置73は、型箱本体12内の豆腐Bを押え蓋13にのせたまま取出し、型箱コンベヤ42から押え蓋コンベヤ43に移替えて、ホルダ64に保持させる。ホルダ64に保持された押え蓋13にのせられた豆腐Bには容器供給装置によって容器Cが被せられる。容器Cを被せた豆腐Bは、ホルダ64の上側から下側への反転経路を移動する間に、上下の向きが変えられ、押え蓋13上から落下しシュート82およびコンベヤ83によって所定の場所へ搬送される。
【0020】
豆腐取出装置73によって豆腐Bとともに押え蓋13を取り除かれた型箱本体12にはノズル74から洗剤が吹付けられ、ついで、ノズル75から洗浄水が吹付けられる。洗剤は、苛性ソーダを主成分とする弱アルカリ性のもので、例えば、エクリン47号、エクリン110号F(商品名、理工協産(株))である。苛性ソーダ系のものに代えて、炭酸ソーダ系のものでもよい。この洗剤を0.2%の水溶液とし、これを80℃に加熱して使用する。洗剤吹付けの程度は、型箱本体1つあたり、2〜4秒間に10〜15mlであり、型箱本体12の表面全体が軽く濡れればよい。洗浄水は、チオ硫酸塩であるチオ硫酸ナトリウムの10%水溶液を濃度0.3〜5ppm に薄め、50〜80℃に加熱して用いる。型箱本体1つあたり、10〜15秒間に3〜5lの洗浄液で洗剤を洗い落とすように勢い良く吹付ける。
【0021】
チオ硫酸塩の例としては、チオ硫酸ナトリウムの他に、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸マグネシウム、チオ硫酸カルシウムがあげられる。さらに、チオ硫酸塩に代えて、重亜硫酸塩または亜硫酸塩を用いても良い。重亜硫酸塩の例としては、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸マグネシウム、重亜硫酸カルシウムがあげられる。亜硫酸塩の例としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸カルシウムがあげられる。
【0022】
反転経路を通過して上下逆様となった押え蓋13は、図示しない手段によってホルダ64を180度回転させることにより、再び、正立姿勢となる。この後に、押え蓋13にはノズル84から洗剤が吹付けられ、ついで、ノズル85から洗浄水が吹付けられる。洗剤および洗浄水は、型箱本体12の洗浄に用いたものと同じものである。押え蓋1つあたり、洗剤の吹付けは、2〜4秒間に5〜10ml、洗浄水の吹付けは、1〜2秒間に1〜2lの程度でよい。
【0023】
洗浄水の吹付後に、水道水または工場水を吹付けて、洗浄水を洗い流すようにしてもよい。
【0024】
図4は、洗浄水ノズル75,85に洗浄水を送るシステムを示している。洗浄水タンク91には、薬液タンク92からのびてきた給液パイプ93および水道、工場用水のような水源からのびてきた給水パイプ94が接続されている。給液パイプ93には定量ポンプ95が備えられている。給水パイプ94の出口端には開閉弁96が設けられている。開閉弁96にはフロート97が備えられている。洗浄水タンク91とノズル75,85は洗浄液パイプ98によって接続されている。洗浄液パイプ98には定量ポンプ101 および熱交換器102 が備えられている。
【0025】
薬液タンク92にはチオ硫酸ナトリウム等の10%濃度の薬液が溜められている。ポンプ95によって薬液は一定量ずつ洗浄水タンク91に送られる。一方、フロート97によって弁96が開閉されることにより、洗浄液タンク91内の液面レベルは一定となるように制御される。洗浄液タンク91からポンプ101 によって送り出された洗浄水は、熱交換器102 によって加熱された後、ノズル75,85に送られる。
【0026】
型箱本体12および押え蓋13の表面に形成された蛋白性皮膜は、洗剤および洗浄水によって完全に落とされる。もし、仮に、洗浄水として、チオ硫酸ナトリウム等を混入していない工業用水や水道水な水を用いると、汚れを落とすことはできない。汚れは、型箱本体12と押え蓋13が摺動する部分(図1にハッチングDで示す部分)に発生し易く、これには豆腐が付着し易い。汚れに豆腐を付着させたままで型箱本体12から押え蓋13を取出すと、取出された豆腐の一部が欠けることになるが、洗浄水として、水にチオ硫酸ナトリウム等を混入したものを用いると、汚れは完全に取り除かれる。
【0027】
【発明の効果】
この発明によれば、豆腐脱水成形用型箱における蛋白性皮膜により汚染される部分に付着した汚れを全て洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施に用いられる型箱の分解斜視図である。
【図2】 同型箱を用いる豆腐製造機の型箱コンベヤ周辺の垂直縦断面図である。
【図3】 同豆腐製造機の押え蓋コンベヤ周辺の垂直縦断面図である。
【図4】 同豆腐製造機に洗浄水を送るシステムの説明図である。
【符号の説明】
11 型箱
12 型箱本体
13 押え蓋
Claims (2)
- 豆腐脱水成形用型箱における蛋白性皮膜により汚染される部分を洗浄する方法であって、洗浄に際し、苛性ソーダまたは炭酸ソーダを主成分とする弱アルカリ性洗剤を用い、ついで、チオ硫酸塩、重亜硫酸塩および亜硫酸塩の1種または2種以上の水溶液を用いることを特徴とする豆腐脱水成形用型箱の洗浄方法。
- チオ硫酸塩が、チオ硫酸ナトリウムであり、重亜硫酸塩が、重亜硫酸ナトリウムであり、亜硫酸塩が、無水亜硫酸ナトリウムである請求項1記載の豆腐脱水成形用型箱の洗浄方法。
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