JP3749966B2 - 繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材からなる成型品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材からなる成型品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、添付の図面の図5に図示の自動車用床マット製品100は本発明者らの特開平9−314697号により開示されたもので、軟質または半硬質の発泡ポリウレタンの小片(チップ)102をウレタン系接着剤を介して圧縮固化した発泡チップ本体層101の上部に、反毛機によって解繊した反毛繊維106をウレタン系接着剤を介して圧縮固化した解繊繊維表面層105が所定形状に一体に成型されてなるものである。このような製品100は廃材繊維分が分離されている場合に有用である。
【0003】
しかるに、自動車に用いられる床面材として、プラスチックのベースシート上に繊維層である植毛部が形成された自動車用カーペットや繊維分からなるフロアマットあるいはフェルトなどがあるが、これらは混在して廃棄され回収されることが多い。また、その他自動車に用いられるところの繊維分を含む合成樹脂製品であるシート材、内張材、天井材などについても、上記と同様に混在して廃棄され回収されることが多い。このような自動車用合成樹脂の廃棄物の中から繊維分のみを分離することは容易ではなく、煩雑な工程と大きなコストを必要とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、繊維分とプラスチック分とを含む自動車用合成樹脂廃材をそのままで再利用することを目的として、繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材を切断した廃材片と発泡ポリウレタンの小片とからなる成型品を得る方法を提案するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1の発明は、繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材を切断した廃材片と発泡ポリウレタンの小片とからなる成型品を得る方法であって、前記廃材片を、切断刃を有するドラムとピンを有するドラムとによって構成される反毛機によってほぐす予備ほぐし工程と、前記予備ほぐし工程によってほぐされた廃材片を50ないし70%、前記ポリウレタン小片を30ないし50%の混合比率で混合機内に導入してこれにウレタン系接着剤を塗布しつつ混合する混合工程と、前記混合工程によって接着剤を塗布させた廃材片及びポリウレタン小片をさらに切断刃を有するドラムとピンを有するドラムとによって構成される反毛機によってほぐして前記接着剤をからませるからみ工程と、前記接着剤をからませた廃材片及びポリウレタン小片をプレス型内に載置し、これに水分と熱を導入して前記ウレタン系接着剤を反応させつつ所定形状に一体にプレス成型して、硬度が73ないし92で比重が0.08ないし0.1の成型品を成型する工程とからなることを特徴とする繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材からなる成型品の製造方法に係る。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従って、この発明の実施例について説明する。図1はこの発明の繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材からなる成型品の製造工程を示す流れ図、図2は前記工程で使用される切断刃を有するドラムの一例を示す概略斜視図、図3は同じくピンを有するドラムの一例を示す概略斜視図、図4はこの発明製法によって得られる成型品の一実施例を示す部分斜視図である。
【0007】
図1に従って、本発明の繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材からなる成型品の製造方法の説明をする。この発明は、繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材を切断した廃材片と発泡ポリウレタンの小片とからなる成型品を得る方法であって、前記したように、繊維分とプラスチック分とを含む廃材をそのままで再利用するものである。
【0008】
この発明製法は、図1に示したように、繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材片の予備ほぐし工程と、ほぐされた廃材片と発泡ポリウレタン小片との混合及びウレタン系接着剤塗布工程と、前記接着剤を塗布された廃材片及びポリウレタン小片をさらに反毛機によってほぐし前記接着剤をからませる工程と、前記接着剤をからませた廃材片及びポリウレタン小片を所定形状に一体にプレス成型する成型工程とを含む。
【0009】
まず、繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材片の予備ほぐし工程について説明すると、繊維分とプラスチック分とからなる廃材片は反毛機10によって一緒に解繊されて綿状の反毛材とされる。このとき、繊維分は解繊されて繊維が糸状になるが、プラスチック分は細かい片となり繊維分と一体に塊状の反毛材となる。
【0010】
予備ほぐし工程によってほぐされた廃材片の反毛材は、発泡ポリウレタン小片とともに所定の比率でミキサー等の混合機15内に導入され、ここでウレタン系接着剤を塗布しつつ混合攪拌される。なお、後述するように、発泡ポリウレタン小片の混合量によって成型品の硬度が変化するので、所定の配合比により計量して混合される。
【0011】
前記接着剤の混合工程後、接着剤を塗布された廃材片およびポリウレタン小片は、さらに反毛機20にかけられてほぐされる。この工程によって、前記廃材片及びポリウレタン小片に付着した接着剤が十分になじみ、からまされる。
【0012】
プレス成型工程では、前記工程でウレタン系接着剤が塗布された所定量の廃材片及びポリウレタン小片が、プレス型25内に載置されてプレス成型される。この工程では、前記廃材片及びポリウレタン小片に塗布されたウレタン系接着剤が反応するに十分な水分と熱が付与される。実施例では図示しないが、下型に蒸気噴出孔が形成されていて、上型による圧縮成型とともに該蒸気によってウレタン系接着剤が反応硬化するようになっている。下型から噴出される蒸気は型内の廃材片及びポリウレタン小片に十分に行き渡って、所定の硬化時間経過とともに所定形状に一体に固化形成される。なお、前記廃材片とポリウレタン小片の混合比率及び圧縮率は、成型される製品の性質、物性によって適宜決定されることはいうまでもない。
【0013】
このプレス成型に際しては、必要に応じて、製品に用いられる表皮材または裏打材と一体成型することが可能である。これらの表皮材または裏打材は、特に接着剤を必要とすることなく、しかも効率よく所定の形状に一体に付着形成される。プレス成型後、脱型された成型品は、必要な仕上げ工程を経て図4に示すような廃材片51とポリウレタン小片52とが均一に混在した製品50となる。
【0014】
ここで、前記予備ほぐし工程及び接着剤をからませる工程で使用される反毛機10,20が、図2及び図3で示すような、切断刃31を有するドラム30とピン41を有するドラム40とによって構成される。このような2つの他タイプの異なったドラム30,40を用いることによって、繊維分とプラスチック分とを含む廃材片を効果的にかつ効率よくほぐしかつ接着剤をからませることができる。なお、ほぐし及び接着剤のからみが十分でないと、成型品表面が毛羽立ってばさついたりあるいは廃材片やポリウレタン小片が脱落したりして商品価値を大きく損ねる。
【0015】
この発明製法によって得られた製品50は図4に示すような廃材片51とポリウレタン小片52とが均一に混在したものとなるのであるが、廃材片51とポリウレタン小片52の混合比率によって、次のような製品特性を有する。なお、以下の成型品は、縦横が350mm×350mmで、厚みは30mmである。
(イ)混合比率が廃材片50%、ポリウレタン小片50%の場合には、硬度が73ないし90で、平均では80、比重は0.08である。
(ロ)混合比率が廃材片70%、ポリウレタン小片30%の場合には、硬度が82ないし92で、平均では88、比重は0.1である。
(ハ)なお、ポリウレタン小片が100%の場合には、硬度が69ないし73で、平均では71、比重は0.1である。
【0016】
上述したように、この発明製法からなる成型品にあっては、廃材片を混入することによってポリウレタン小片のみからなるものに比して重量が大きくならずに、製品の硬度を高めることができる。また、製品硬度は廃材片の混合比率を高めることによって実現することができるという利点がある。
【0017】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、この発明にあっては、廃材片を、切断刃を有するドラムとピンを有するドラムとによって構成される反毛機によってほぐす予備ほぐし工程と、前記予備ほぐし工程によってほぐされた廃材片を50ないし70%、前記ポリウレタン小片を30ないし50%の混合比率で混合機内に導入してこれにウレタン系接着剤を塗布しつつ混合する混合工程と、前記混合工程によって接着剤を塗布させた廃材片及びポリウレタン小片をさらに切断刃を有するドラムとピンを有するドラムとによって構成される反毛機によってほぐして前記接着剤をからませるからみ工程と、前記接着剤をからませた廃材片及びポリウレタン小片をプレス型内に載置し、これに水分と熱を導入して前記ウレタン系接着剤を反応させつつ所定形状に一体にプレス成型して、硬度が73ないし92で比重が0.08ないし0.1の成型品を成型する工程とからなるため、繊維分とプラスチック分とを含む自動車用合成樹脂廃材をそのままで再利用することができ、しかも成型品の商品価値を損ねることなく製造を効率よく行うことができる。
【0018】
さらに、この発明によって得られた成型品は、廃材片とポリウレタン小片の混合比率によって重量及び硬度を変えることができ、加えて、ポリウレタン小片のみからなるものに比して重量が大きくならずに製品の硬度を高めることがでできて、必要によって異なる製品特性を有する成型品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材からなる成型品の製造工程を示す流れ図である。
【図2】 図1の工程で使用される切断刃を有するドラムの一例を示す概略斜視図である。
【図3】 図1の工程で使用されるピンを有するドラムの一例を示す概略斜視図である。
【図4】 この発明製法によって得られる成型品の一実施例を示す部分斜視図である。
【図5】 自動車用床マット製品の部分斜視図である。
【符号の説明】
10 反毛機
15 混合機
20 反毛機
25 プレス型
30 切断刃を有するドラム
40 ピンを有するドラム
50 成型製品
51 廃材片
52 ポリウレタン小片
Claims (1)
- 繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材を切断した廃材片と発泡ポリウレタンの小片とからなる成型品を得る方法であって、
前記廃材片を、切断刃を有するドラムとピンを有するドラムとによって構成される反毛機によってほぐす予備ほぐし工程と、
前記予備ほぐし工程によってほぐされた廃材片を50ないし70%、前記ポリウレタン小片を30ないし50%の混合比率で混合機内に導入してこれにウレタン系接着剤を塗布しつつ混合する混合工程と、
前記混合工程によって接着剤を塗布させた廃材片及びポリウレタン小片をさらに切断刃を有するドラムとピンを有するドラムとによって構成される反毛機によってほぐして前記接着剤をからませるからみ工程と、
前記接着剤をからませた廃材片及びポリウレタン小片をプレス型内に載置し、これに水分と熱を導入して前記ウレタン系接着剤を反応させつつ所定形状に一体にプレス成型して、硬度が73ないし92で比重が0.08ないし0.1の成型品を成型する工程
とからなることを特徴とする繊維分を含む自動車用合成樹脂廃材からなる成型品の製造方法。
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