JP3749878B2 - 深物成形品の射出成形方法および射出成形用金型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、深物成形品の射出成形方法および射出成形用金型に関し、さらに詳しくは深さ方向に2分割され略樋状を呈する一対の半成形品を接合端部を有するように射出成形する1次成形と、この1次成形により成形された一対の半成形品の接合端部を対向させ、対向させることにより構成される接合空間部に溶融樹脂を射出して接合する2次成形とにより、少なくとも一方が開口した深物成形品を成形する射出成形方法およびこの方法の実施に使用される射出成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばボールペンの軸部、注射器のシリンダ、電気掃除機のパイプ等は、口径に対して軸方向に長い深物となっている。すなわち、これらの深物成形品を代表して模式的に図4の(イ)に示されているように、口径「d」に対して軸方向の長さあるいは深さは「L」となってd/Lの値は小さい。このような深物成形品も射出成形により成形することはできる。その金型の例が、図4の(ロ)に示されている。固定金型50には、パーティングライン側に開口した深さ「L」の凹部51が形成され、この固定金型50に対して型開閉される可動金型55には、コア56が一体的に形成されている。したがって、図4の(ロ)に示されているように、可動金型55を固定金型50に対して型締めすると、固定金型50の凹部51と可動金型55のコア56とにより深さ「L」のキャビティ52が構成される。そこで、このキャビティ52に、固定金型50のスプル53から溶融樹脂を射出充填すると、長さあるいは深さ「L」の深物成形品が成形される。冷却固化を待って可動金型55を開くと、深物成形品が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように深物成形品も射出成形により成形することはできるが、コア56が長いあるいは深いので色々な問題がある。例えば、深さ「L」が大きいので、金型50、55が高精度に製作されていても、図4の(ロ)に示されているように、型締めすると、コア56の先端部と凹部51の奥部との間にはμ単位のズレが生じる。このようなズレが生じると、所定の肉厚の深物成形品は得られないことになる。また、スプル53は、キャビティ52に対して対称の位置に設けられていても、金型50、56の温度、溶融樹脂の温度等のバラツキあるいは加工精度の影響を受けて、溶融樹脂は入り易い方へ流れる。そうすると、溶融樹脂の充填のバランスが崩れ、入りやすい方の樹脂圧力によりコア56が点線で示されているように倒れることになる。倒れると、入り易い方はさらに入りやすくなるので、倒れは助長されることになる。例えば、金型内の樹脂圧が30Mpaで、口径が100mm、深さが300mmの成形品の場合、コアの側面に作用する圧力は、約90トン(30Mpa×300cm2)となるが、このような高圧に耐えるようにコア56を形成することは形状的に不可能で、コア56は倒れる方向に変形する。そうすると、前述したように、所望の肉厚の深物が得られないことになる。実際、口径「d」と深さ「L」の比d/Lが「1/5」以上でなければ成形し難く、エンジニアリングプラスチックの場合は「1/4」が限界となっている。
【0004】
また、コア56が長いので、抜け難く、抜け勾配を付けなければならないという問題もある。抜け勾配を付けると、深物成形品の肉厚にも勾配が付くことになる。さらには、コア56が長いので、可動金型55を開く間隔が大きく、型締装置等が大型になる欠点もある。
本発明は、上記したような従来の欠点を解消した深物成形品の射出成形方法および成形用金型を提供しようとするもので、具体的には、深物成形品を高精度に射出成形することができ、またコアが抜けやすく、深さには関係無く、しかも安価に成形することができる深物成形品の射出成形方法およびこの方法の実施に使用される射出成形用金型を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、深物成形品を深さ方向に2分割され略樋状を呈する一対の半成形品を成形し、そして一対の半成形品の接合端部を接合するように構成することにより達成されるが、接合するとき一対の半成形品を成形する時に使用したスライドコアを内部に残して対向させ、対向させることにより、スライドコアの外表面と一対の半成形品の接合端部とにより構成される接合空間部に溶融樹脂するように構成される。すなわち、請求項1に記載の発明は、深さ方向に2分割され略樋状を呈する一対の半成形品を接合端部を有するように射出成形する1次成形と、前記1次成形により成形された一対の半成形品の接合端部を、前記1次成形時に使用したスライドコアを内部に残して対向させ、対向させることにより、前記スライドコアの外表面と一対の半成形品の接合端部とにより構成される接合空間部に溶融樹脂を射出して接合する2次成形とにより、少なくとも一方が開口した深物成形品を成形するように構成される。
請求項2に記載の発明は、固定側スライドコアと共働する固定金型と、該固定金型に対して型開閉されると共にスライド的に駆動され、可動側スライドコアと共働する可動金型とを使用し、前記固定側スライドコアと固定金型の凹部とで構成されるキャビティと、前記可動側スライドコアと可動金型の凹部とで構成されるキャビティとに溶融樹脂を射出して、深さ方向に2分割され略樋状を呈する一対の半成形品を接合端部を有するように成形する1次成形と、前記1次成形により成形された一方の半成形品と前記固定側スライドコアとが残った状態の前記固定金型に、同様に1次成形された他方の半成形品と前記可動側スライドコアとが残った状態の前記可動金型を位置合わせ、位置合わせることにより前記スライドコアの外表面と一対の半成形品の接合端部とにより構成される接合空間部に溶融樹脂を射出して接合する2次成形とにより、少なくとも一方が開口した深物成形品を成形するように構成される。請求項3に記載の発明は、固定側スライドコアと共働する固定金型と、該固定金型に対して型開閉されると共にスライド的に駆動され、可動側スライドコアと共働する可動金型とを使用し、前記固定側スライドコアと固定金型の凹部とで構成されるキャビティと、前記可動側スライドコアと可動金型の凹部とで構成されるキャビティとに溶融樹脂を射出して、深さ方向に2分割され略樋状を呈する一対の半成形品を接合端部を有するように成形する1次成形と、前記1次成形により成形された他方の半成形品と前記可動側スライドコアとが残った状態で前記可動金型を、同様に1次成形された一方の半成形品と前記固定側スライドコアとが残った状態の前記固定金型に位置合わせ、位置合わせることにより前記固定側スライドコアの外表面と一対の半成形品の接合端部とにより構成される接合空間部と、前記可動側スライドコアの外表面と一対の半成形品の接合端部とにより構成される接合空間部とに溶融樹脂を射出して接合する2次成形とにより、少なくとも一方が開口した深物成形品を成形するように構成される。
請求項4に記載の発明は、固定金型と、該固定金型に対して型開閉されると共にスライド的に駆動される可動金型とからなり、前記固定金型には、該固定金型の凹部と共働する固定側スライドコアが、前記可動金型には、該可動金型の凹部と共働する可動側スライドコアがそれぞれ設けられ、前記可動金型を第1の位置で前記固定金型に対して型締めすると、前記固定金型の凹部と前記固定側スライドコアとにより、深さ方向に2分割され略樋状を呈する一方の半成形品を接合端部を有するように成形する第1のキャビティと、前記可動金型の凹部と前記可動側スライドコアとにより、深さ方向に2分割され略樋状を呈する他方の半成形品を接合端部を有するように成形する第2のキャビティとが構成され、前記可動金型を第2の位置で前記固定金型に対して型締めすると、前記固定側スライドコアと可動側スライドコアとを内部に残して前記固定金型の凹部と前記可動金型の凹部とが整合するように構成される。請求項5に記載の発明は、固定金型と、該固定金型に対して型開閉されると共にスライド的に駆動される可動金型とからなり、前記固定金型には、前記可動金型により位置決めされ前記固定金型の凹部と共働する固定側スライドコアが、前記可動金型には、前記固定金型により位置決めされ前記可動金型の凹部と共働する可動側スライドコアがそれぞれ設けられ、前記可動金型を第1の位置で前記固定金型に対して型締めすると、前記固定金型の凹部と前記固定側スライドコアとにより、深さ方向に2分割され略樋状を呈する一方の半成形品を接合端部を有するように成形する第1のキャビティと、前記可動金型の凹部と前記可動側スライドコアとにより、深さ方向に2分割され略樋状を呈する他方の半成形品を接合端部を有するように成形する第2のキャビティとが構成され、前記可動金型を第2の位置で前記固定金型に対して型締めすると、前記固定側スライドコアと可動側スライドコアとを内部に残して前記固定金型の凹部と前記可動金型の凹部とが整合するように構成されている金型であって、前記固定側スライドコアは、型締めされると、前記可動金型のパーティングラインから外方へ突き出た固定コアに形成されている垂直面と斜面とからなるガイド溝により位置決め・保持され、前記可動側スライドコアも型締めされると、前記固定金型のパーティングラインから同様に外方へ突き出た固定コアに形成されている垂直面と斜面とからなるガイド溝により位置決め・保持されるように構成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、便宜上図4の(イ)に示されているような断面が方形の深物成形品を成形する実施の形態について説明する。図1の(イ)は、上下方向にスライドすると共に、型開閉される可動金型10を第1の位置で閉じた状態で示す断面図であるが、同図に示されているように、本実施の形態に係わる金型は、図1の(イ)において右方に位置する固定金型1と、この固定金型1の左方に示されている可動金型10とから概略構成されている。なお、固定金型1が固定的に取り付けられている固定盤、可動金型10を型開閉方向に駆動する可動盤、可動盤を上下方向にスライド的に駆動する駆動装置、固定金型1あるいは可動金型10に設けられるエジェクタ装置、型締装置等は図には示されていない。
【0007】
固定金型1の略中心部には、この固定金型1を横切るようにして1、2次成形用の共通のスプル2が設けられている。このスプル2は、パーティングラインP側に開口している。一方、可動金型10のパーティングラインP側には、図1の(イ)に示されている第1の位置でスプル2に整合するスプル受16が形成され、このスプル受16からパーティングラインPに沿って上下方向に略等距離の第1、2のランナ17、18が形成されている。第1のランナ17は、固定金型1に形成されているゲート3に連なっている。ゲート3は、後述する固定金型1の凹部4に開口している。
【0008】
このように形成されているスプル2の上方に、パーティングラインP側に開口した側面形状が方形を呈する凹部4が形成されている。この凹部4は、紙面に垂直方向に所定深さに延びて、端部は閉鎖されている。この凹部4により、一方が閉鎖され、他方が開口した略樋状を呈する一方の半成形品が成形されることになる。また、スプル2の下方の、固定金型1のパーティングラインP側には、低い固定コア5が形成されている。この固定コア5も、紙面に垂直方向に所定だけ延びている。この固定コア5により、後述するように、他方の半成形品に接合端部が成形されることになる。固定コア5内側には、図2の(イ)に明瞭に示されているように、後述する可動側スライドコアを保持し、そして紙面に垂直方向に案内するガイド溝6が形成されている。このガイド溝6は、パーティングラインPに垂直な所定深さの垂直面7と斜面8とから断面が略三角形状を呈するように形成されている。
【0009】
可動金型10の、上方のパーティングラインP側には、低い固定コア11が形成されている。この固定コア11は、固定金型1の凹部4と共働するもので、紙面に垂直方向に所定だけ延びている。この固定コア11により、後述するように、一方の半成形品に接合端部が成形されることになる。固定コア11の内側には、固定側スライドコアを保持し、そして紙面に垂直方向に案内するガイド溝12が形成されている。このガイド溝12も、図2の(イ)にも示されているように、パーティングラインPに垂直な所定深さの垂直面13と斜面14とから断面が略三角形状を呈するように形成されている。
【0010】
スプル受16の下方の可動金型10には、パーティングラインP側に開口した側面形状が方形を呈する凹部15が形成されている。この可動金型10の凹部15も、紙面に垂直方向に所定深さに延びて、固定金型1の凹部4と同様に端部は閉鎖されている。この凹部15により、一方が閉鎖され、他方が開口した略樋状を呈する他方の半成形品が成形されることになる。この凹部15に、第2のランナ18に連なっているゲート19が開口している。可動金型10の、下方のパーティングラインP側には、可動金型10を2次成形用の第2の位置へスライドしたとき、スプル2と整合する2次成形用のスプル受16’が設けられている。この2次成形用のスプル受16’は、2次成形用のゲート19’に連なっている。なお、2次成形用のゲート19’は、固定コア5の側部に至っている。
【0011】
深物成形品の内周面を成形するためのスライドコアは、図1に示されている実施の形態によると、可動金型10のガイド溝12により、第1の位置で型締めするとき、位置決め、保持され、そして固定金型1の凹部4内に位置する固定側スライドコア20と、固定金型1のガイド溝6により同様に位置決め、保持され、そして可動金型10の凹部15内に位置する可動側スライドコア30とからなっている。固定側スライドコア20は、固定金型1の凹部4よりも深物成形品に肉厚分だけ小さく、図1の(ロ)にも示されているように、底面21と上面22と垂直面23と斜面24とから断面形状が略台形を呈するように構成されている。この固定側スライドコア20は、その斜面24と底面21とが可動金型10のガイド溝12により位置決め・保持される。なお、この固定側スライドコア20は、図1の(ロ)に示されている実施の形態では、2次接合したのちに、深物成形品から固定側スライドコア20を抜け易くするために、その上面22は手前側が後ろ側よりも広くなっている。
【0012】
可動側スライドコア30も、可動金型10の凹部15よりも深物成形品に肉厚分だけ小さく、図1の(ロ)にも示されているように、底面31と上面32と垂直面33と斜面34とから断面形状が略逆台形を呈するように構成されている。そして、斜面34と底面31とが固定金型1のガイド溝6により、第1の位置で型締めするとき、位置決め・保持されるようになっている。このように、固定側スライドコア20は台形形状に、そして可動側スライドコア30が逆台形形状に構成されているので、後述するように2次成形時に固定側スライドコア20と可動側スライドコア30とを、斜面24、34同志を合わせると、図1の(ロ)に示されているように、全体として略方形を呈するようになる。なお、固定側スライドコア20と可動側スライドコア30を保持し、そしてスライド的に駆動する駆動装置は、図1において紙面の上方、すなわち金型1、10の側面に設けられているが、図1には示されていない。また、後述する第1、2のキャビティの手前側を封鎖する部材も示されていない。
【0013】
次に、上記の固定金型1と可動金型10と、スライドコア20、30とを使用して、1次成形により略樋状を呈する一対の第1、2の半成形品A、Bを成形し、次いで2次成形により第1、2の半成形品A、Bの接合端部を接合して、深物成形品を成形する成形法について説明する。
【0014】
固定金型1には固定側スライドコア20を装着し、可動金型10には可動側スライドコア30を装着して、可動金型10を1次成形する第1の位置で固定金型1に対して型締めする。そうすると、図1の(イ)に示されているように、固定金型1の凹部4と、固定側スライドコア20の底面21と上面22と垂直面23と、固定コア11とにより、第1の半成形品Aを成形するための第1のキャビティCaが構成される。また、可動金型10の凹部15と、可動側スライドコア30の底面31と上面32と垂直面33と、固定コア5とにより、第2の半成形品Bを成形するための第2のキャビティCbが構成される。
【0015】
次に、固定金型1のスプル2から従来周知のようにして、1次成形用の溶融樹脂を射出する。射出された溶融樹脂は、スプル2から第1のランナ17およびゲート3を通って第1のキャビティCaに充填される。同時に、スプル2から第2のランナ18およびゲート19を通って第2のキャビティCbに充填される。この1次成形により、深さ方向に2分割された形状の一対の第1、2の半成形品体A、Bが同時に成形される。このとき、図2の(イ)に示されているように、半成形品A、Bには、接合端部a、bが成形される。これらの接合端部a、bは、固定コア11、5の高さ分だけ低くなっている。
【0016】
ある程度の冷却固化を待って、可動金型10を所定間隔だけ開く。そうすると、図2の(イ)に示されているように、第1の半成形品Aと固定側スライドコア20は、固定金型1の凹部4に残った状態で、そして第2の半成形品Bと可動側スライドコア30は、可動金型10の凹部15に残った状態で開かれる。次いで、可動金型10を、第2の半成形品Bの接合端部bが第1の半成形品Aの接合端部aに整合する2次成形位置すなわち第2の位置へスライドさせる。そして、型締めする。第2の位置で型締めした状態が、図2の(ロ)に示されている。型締めすると、可動側と固定側のスライドコア30、20の斜面34、24が当接し、一対の第1、2の半成形品A、Bの接合端部a,bの間には所定の間隔あるいは隙間が生じる。これにより、可動側スライドコア30と固定側スライドコア20の表面と、第1、2の半成形品A、Bの接合端部a,bと、固定金型1の凹部4と可動金型10の凹部15とにより閉鎖された接合空間部Sが構成される。
【0017】
次に、射出成形機から2次成形用の溶融樹脂を射出する。射出された溶融樹脂は、固定金型1のスプル2から2次成形用のゲート19’を通って接合空間部Sに充填される。これにより、第1、2の半成形品A、Bが一体化される。冷却固化を待って、可動金型10を開く前に、可動側と固定側のスライドコア30、20を開口部の方から抜く。可動金型10を開くと深物成形品が得られる。以下、上記操作を繰り返して成形する。
【0018】
本実施の形態によると、可動側スライドコア30も、固定側スライドコア20もその高さは、深物成形品の口径の約半分で、極めて低いので、射出される溶融樹脂が偏ることなく充填される。例え、偏って充填されても、低いのでこれらのスライドコア20、30を倒そうとする力は小さい。したがって、倒れることはない。また、2次成形用の溶融樹脂の樹脂圧力は、接合端部a,bを互いに押し広げるようにも作用するので、半成形品A,Bの内表面をスライドコア20、30の外表面から剥離するような力の性質もある。したがって、スライドコア20、30には抜け勾配がなくても抜くことができる。さらには、接合端部a,bの隙間は、スライドコア20、30の内表面でカバーされているので、2次成形用の溶融樹脂が内部へ漏れるようなことはない。漏れないので、高い射出圧力で充填することができ、接合強度が大きく、また一対の半成形品A,Bの内表面は滑らかに接合され、品質の高い深物成形品を得ることができる。さらには、スライドコア20、30の高さが低いので、可動金型10を開く間隔が狭く、型締装置等を小型化することもできる。
【0019】
図3に、本発明の他の実施の形態が示されている。図1、2に示されている実施の形態の構成要素と同じ要素には同じ参照数字を付け、同じような要素にはダッシュ「’」を付けて重複説明はしないが、本実施の形態によると、スライドコアの形状が異なっている。図3に示されているように、スライドコア20’、30’の形状が異なっていても、前述したようにして、深物成形品を成形できることは明らかである。また、本実施の形態によると、可動側スライドコア30’が、V字形の斜面34’、34’で案内されるようになっているので、第2の位置で型締めすると、図3の(ロ)に示されているように、固定側スライドコア20’のV字形の斜面24’、24’の先端部は、固定金型1の凹部4の内側へ入り込む。したがって、図3の(イ)に示されているように、1次成形では一方の半成形品Aのみを成形し、そして、可動金型10を第2の位置へスライドさせ、そうして型締めすると、図3の(ロ)に示されているように、一方の半成形品Aの接合端部aと、可動側スライドコア30’の表面と、固定金型1の凹部4と可動金型10の凹部15とによりキャビティC'bが構成される。そこで、このキャビティC'bに溶融樹脂を射出充填すると、他方の半成形品が成形されると共に、一方の半成形品Aと一体化された深物成形品が成形される。
【0020】
上記実施の形態では、固定側スライドコア20’の斜面24’と、可動側スライドコア30’の斜面34’は、合わせ面となっているが、この合わせ面は接合端部aから外れている。したがって、得られる深物成形品の接合部の内周面は、これらのスライドコア20’、30’の外表面で成形されるので、滑らかになっている。なお、合わせ面が接合端部aに位置するようにして成形できることは明らかである。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、深さ方向に2分割され略樋状を呈する一対の半成形品を接合端部を有するように射出成形する1次成形と、前記1次成形により成形された一対の半成形品の接合端部を、前記1次成形時に使用したスライドコアを内部に残して対向させ、対向させることにより、前記スライドコアの外表面と一対の半成形品の接合端部とにより構成される接合空間部に溶融樹脂を射出して接合する2次成形とにより、少なくとも一方が開口した深物成形品を成形するので、すなわち深物成形品を深さ方向に2分割され略樋状を呈する一対の半成形品を接合して深物成形品を得るので、一対の半成形品を成形する1次成形のスライドコアの高さは、深物成形品の口径の約半分の高さとなり、極めて低いので、射出される溶融樹脂は偏ることなく充填される。したがって、スライドコアに偏った樹脂圧力は作用し難い。また、偏って充填されても、低いのでスライドコアは、倒れることはない。したがって、本発明によると、肉厚が均一な高精度の深物成形品を得ることができるという、本発明に特有の効果が得られる。また、2次成形用の溶融樹脂の樹脂圧力は、接合端部を互いに押し広げるようにも作用するので、この力は半成形品の内表面をスライドコアの外表面から剥離するようにも作用する。したがって、スライドコアの表面は抜け勾配がなくても抜くことができる。抜け勾配を必要としないので、所望の肉厚の深物成形品を得ることができる。さらには、スライドコアが低いので、可動金型を開く距離が短く、金型がコンパクトになる効果も得られる。また、接合端部の隙間は、スライドコアの内表面でカバーされているので、2次成形用の溶融樹脂が内部へ漏れるようなことはない。漏れないので、射出圧力を高くして接合強度の大きい深物成形品を得ることができる。
また、他の発明によると、固定側スライドコアと共働する固定金型と、該固定金型に対して型開閉されると共にスライド的に駆動され、可動側スライドコアと共働する可動金型とを使用し、前記固定側スライドコアと固定金型の凹部とで構成されるキャビティと、前記可動側スライドコアと可動金型の凹部とで構成されるキャビティとに溶融樹脂を射出して、深さ方向に2分割され略樋状を呈する一対の半成形品を接合端部を有するように成形する1次成形と、前記1次成形により成形された他方の半成形品と前記可動側スライドコアとが残った状態で前記可動金型を、同様に1次成形された一方の半成形品と前記固定側スライドコアとが残った状態の前記固定金型に位置合わせ、位置合わせることにより前記固定側スライドコアの外表面と一対の半成形品の接合端部とにより構成される接合空間部と、前記可動側スライドコアの外表面と一対の半成形品の接合端部とにより構成される接合空間部とに溶融樹脂を充填して接合させる2次成形とにより、成形するので、すなわち接合空間部には、固定側スライドコアと可動側スライドコアの合わせ面が位置しないので、上記のような効果に加えて一対の半成形品の内表面は滑らかに接合され、品質の高い深物成形品を得ることができる効果がさらに得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金型の実施の形態を示す図で、その(イ)は可動金型が第1の位置で閉じられている状態で示す断面図、その(ロ)は一対のスライドコアの斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態の作用を説明するための図で、その(イ)は1次成形が終わって可動金型を開いた状態を示す断面図、その(ロ)は可動金型はスライド後に第2の位置で閉じられ2次成形をしている状態を示す断面図である。
【図3】 本発明の他の実施の形態を示す図で、その(イ)は可動金型が第1の位置で閉じられ、一方の半成形品が成形されているている状態で示す断面図、その(ロ)は可動金型が第2の位置で閉じられている状態を示す断面図である。
【図4】 従来例を示す図で、その(イ)は深物成形品の例を示す斜視図、その(ロ)はその成形用金型の断面図であり、射出する溶融樹脂が偏って充填されコアが倒れる状態を示す。
【符号の説明】
1 固定金型 4 凹部
6 ガイド溝 10 可動金型
15 凹部 12 ガイド溝
20 固定側スライドコア 30 可動側スライドコア
A 第1の半成形品 B 第2の半成形品
a 接合端部 b 接合端部
S 接合空間部 Ca 第1のキャビティ
Cb 第2のキャビティ
Claims (5)
- 深さ方向に2分割され略樋状を呈する一対の半成形品を接合端部を有するように射出成形する1次成形と、
前記1次成形により成形された一対の半成形品の接合端部を、前記1次成形時に使用したスライドコアを内部に残して対向させ、対向させることにより、前記スライドコアの外表面と一対の半成形品の接合端部とにより構成される接合空間部に溶融樹脂を射出して接合する2次成形とにより、少なくとも一方が開口した深物成形品を成形することを特徴とする深物成形品の射出成形方法。 - 固定側スライドコアと共働する固定金型と、該固定金型に対して型開閉されると共にスライド的に駆動され、可動側スライドコアと共働する可動金型とを使用し、
前記固定側スライドコアと固定金型の凹部とで構成されるキャビティと、前記可動側スライドコアと可動金型の凹部とで構成されるキャビティとに溶融樹脂を射出して、深さ方向に2分割され略樋状を呈する一対の半成形品を接合端部を有するように成形する1次成形と、
前記1次成形により成形された一方の半成形品と前記固定側スライドコアとが残った状態の前記固定金型に、同様に1次成形された他方の半成形品と前記可動側スライドコアとが残った状態の前記可動金型を位置合わせ、位置合わせることにより前記スライドコアの外表面と一対の半成形品の接合端部とにより構成される接合空間部に溶融樹脂を射出して接合する2次成形とにより、少なくとも一方が開口した深物成形品を成形することを特徴とする深物成形品の射出成形方法。 - 固定側スライドコアと共働する固定金型と、該固定金型に対して型開閉されると共にスライド的に駆動され、可動側スライドコアと共働する可動金型とを使用し、
前記固定側スライドコアと固定金型の凹部とで構成されるキャビティと、前記可動側スライドコアと可動金型の凹部とで構成されるキャビティとに溶融樹脂を射出して、深さ方向に2分割され略樋状を呈する一対の半成形品を接合端部を有するように成形する1次成形と、
前記1次成形により成形された他方の半成形品と前記可動側スライドコアとが残った状態で前記可動金型を、同様に1次成形された一方の半成形品と前記固定側スライドコアとが残った状態の前記固定金型に位置合わせ、位置合わせることにより前記固定側スライドコアの外表面と一対の半成形品の接合端部とにより構成される接合空間部と、前記可動側スライドコアの外表面と一対の半成形品の接合端部とにより構成される接合空間部とに溶融樹脂を射出して接合する2次成形とにより、少なくとも一方が開口した深物成形品を成形することを特徴とする深物成形品の射出成形方法。 - 固定金型と、該固定金型に対して型開閉されると共にスライド的に駆動される可動金型とからなり、
前記固定金型には、該固定金型の凹部と共働する固定側スライドコアが、前記可動金型には、該可動金型の凹部と共働する可動側スライドコアがそれぞれ設けられ、前記可動金型を第1の位置で前記固定金型に対して型締めすると、前記固定金型の凹部と前記固定側スライドコアとにより、深さ方向に2分割され略樋状を呈する一方の半成形品を接合端部を有するように成形する第1のキャビティと、前記可動金型の凹部と前記可動側スライドコアとにより、深さ方向に2分割され略樋状を呈する他方の半成形品を接合端部を有するように成形する第2のキャビティとが構成され、
前記可動金型を第2の位置で前記固定金型に対して型締めすると、前記固定側スライドコアと可動側スライドコアとを内部に残して前記固定金型の凹部と前記可動金型の凹部とが整合するように構成されていることを特徴とする深物成形品の射出成形用金型。 - 固定金型と、該固定金型に対して型開閉されると共にスライド的に駆動される可動金型とからなり、
前記固定金型には、前記可動金型により位置決めされ前記固定金型の凹部と共働する固定側スライドコアが、前記可動金型には、前記固定金型により位置決めされ前記可動金型の凹部と共働する可動側スライドコアがそれぞれ設けられ、前記可動金型を第1の位置で前記固定金型に対して型締めすると、前記固定金型の凹部と前記固定側スライドコアとにより、深さ方向に2分割され略樋状を呈する一方の半成形品を接合端部を有するように成形する第1のキャビティと、前記可動金型の凹部と前記可動側スライドコアとにより、深さ方向に2分割され略樋状を呈する他方の半成形品を接合端部を有するように成形する第2のキャビティとが構成され、
前記可動金型を第2の位置で前記固定金型に対して型締めすると、前記固定側スライドコアと可動側スライドコアとを内部に残して前記固定金型の凹部と前記可動金型の凹部とが整合するように構成されている金型であって、
前記固定側スライドコアは、型締めされると、前記可動金型のパーティングラインから外方へ突き出た固定コアに形成されている垂直面と斜面とからなるガイド溝により位置決め・保持され、前記可動側スライドコアも型締めされると、前記固定金型のパーティングラインから同様に外方へ突き出た固定コアに形成されている垂直面と斜面とからなるガイド溝により位置決め・保持されるようになっていることを特徴とする深物成形品の射出成形用金型。
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