JP3749430B2 - ウインドレギュレータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤ式のウインドレギュレータに関し、更に詳しくは、長手方向がガラスの昇降方向と合致するように配置されたガイドと、正逆両方向に回転可能なモータと、該モータにより回転駆動されるドラムと、ガイドに案内されて昇降すると共にガラスに固着されたスライダベースと、ガイドの上端側に位置する上側の定滑車と、ガイドの下端側に位置する下側の定滑車と、ドラムに巻回されると共に上側の定滑車及び下側の定滑車に巻き掛けられ、スライダベースを牽引するワイヤとを有し、モータによりドラムを回転させることにより、ワイヤを介してスライダベースをガイドの長手方向に移動させ、ガラスを昇降させるウインドレギュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のウインドレギュレータは、ワイヤの巻き掛け方式で分類すると次の2タイプになる。
▲1▼ドラムから繰り出されたワイヤの一端側を、上側の定滑車で下方に変向した後、スライダベースに係止し、ワイヤの他端側についても同様に、下側の定滑車で上方に変向した後、スライダベースに係止したもの。
▲2▼スライダベース上の上部と下部に動滑車を回転可能に枢支し、ドラムから繰り出されたワイヤの一端側を、上側の定滑車で下方に変向した後、スライダベース上部の動滑車に巻き掛けて上方に変向し、ガイドの上端側でその先端を係止し、ワイヤの他端側についても同様に、下側の定滑車で上方に変向した後、スライダベース下部の動滑車に巻き掛けて下方に変向し、ガイドの下端側でその先端を係止したもの(例えば、特開平6−167166号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
巻き掛け方式▲2▼は、同一のドラムを用いる場合は、ガラスを昇降させるのに必要なモータ(ギヤボックスを含む)の出力が、巻き掛け方式▲1▼に比べて1/2になる。その結果、駆動源であるモータとして低出力のものを使用できるため、モータ部分の小形化・軽量化やコストダウンを実現でき、ドアの薄肉化による車室スペースの拡大も可能になるという利点がある。
【0004】
反面、巻き掛け方式▲2▼では、スライダベース上の上部と下部に動滑車を設ける必要が生じると共に、ワイヤ長も膨大になるため、この部分の構成が巻き掛け方式▲1▼に比べて複雑になりコストが高くなるという欠点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、モータ部分の小形化・軽量化やコストダウンが可能であると同時に、スライダベース部分の構成も比較的簡単にでき、ワイヤ長もさほど長くならないウインドレギュレータを実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、長手方向がガラスの昇降方向と合致するように配置されたガイドと、正逆両方向に回転可能なモータと、該モータにより回転駆動されるドラムと、前記ガイドに案内されて昇降すると共に前記ガラスに固着されたスライダベースと、前記ガイドの上端側に位置する上側の定滑車と、前記ガイドの下端側に位置する下側の定滑車と、前記ドラムに巻回されると共に前記上側の定滑車及び前記下側の定滑車に巻き掛けられ、前記スライダベースを牽引するワイヤとを有し、前記モータにより前記ドラムを回転させることにより、前記ワイヤを介して前記スライダベースを前記ガイドの長手方向に移動させ、前記ガラスを昇降させるウインドレギュレータにおいて、前記スライダベースには、動滑車が回転可能に枢支され、前記ドラムには、前記ワイヤの巻回用胴部として、大径胴部と該大径胴部に対して外径が1/2の小径胴部とが形成され、前記ワイヤにおける前記ドラムの前記大径胴部から繰り出された部分は、前記上側の定滑車で下方に変向され、更に前記動滑車に巻き掛けられて上方に変向された後に、その先端が前記ガイドの上端側に係止され、一方、前記ワイヤにおける前記ドラムの前記小径胴部から繰り出された部分は、前記下側の定滑車で上方に変向された後に、前記スライダベースにその先端が係止されていることを特徴とするものである。
【0007】
ガラスを上昇させる場合にはガラスを下降させる場合に比べて格段に大きな力が必要になる。本発明では、このガラスを上昇させる際に必要なモータの出力が、上記巻き掛け方式▲1▼に比べて1/2になる。その結果、駆動源であるモータとして低出力のものを使用でき、モータ部分の小形化・軽量化やコストダウンが可能になる。
【0008】
しかも、スライダベース上には、ガラスを上昇させるための動滑車だけが設けられるため、上記巻き掛け方式▲2▼に比べてスライダベース部分の構成を簡単にでき、ワイヤ長も短くできる。
【0009】
請求項2記載の発明は、上側の定滑車がガイドの上端部に回転可能に固着され、下側の定滑車がガイドの下端部に回転可能に固着され、ワイヤにおけるドラムの大径胴部から繰り出された部分の先端が、ガイドの上端部に係止されていることを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、上側及び下側の定滑車がガイドに固定され、ドラムの大径胴部から繰り出されたワイヤ部分の先端もガイドに係止されるため、、ワイヤの張架を含め、予めウインドレギュレータを組み立てておき、その後に、これをドアパネルに装着することが可能になり、ウインドレギュレータの組み付けが容易になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態例を図1〜図3を用いて説明する。図1に示すように、ガイド1は、長手方向がガラス2の昇降方向(図1における上下方向)と合致するように配置されている。ガイド1には、長手方向に延びた線状のガイド部1aが形成されている。ガイド1の上端部には、定滑車3が回転可能に固着され、ガイド1の下端部には、定滑車4が回転可能に固着されている。尚、ガイド1は、ドアパネル(インナパネル:図示せず)に取り付けられる。
【0012】
スライダベース6上に設けられた二つのスライダ5A,5Bは、ガイド1のガイド部1aに昇降可能に嵌合し、スライダベース6の昇降を可能にしている。スライダベース6には、一つの動滑車11が回転可能に枢支されている。又、このスライダベース6とガラス2の下部とは、二つの保持具7を用いて固着されている。これにより、ガラス2は、ガイド1に沿って昇降可能となっている。
【0013】
ガイド1の側方には、ドラムベース8が配置されている。このドラムベース(ハウジング)8には、図3に示すように、円筒形のドラム保持部8aが形成され、ここに、ドラム9が回転可能に保持されている。モータ10の駆動シャフト10aは、ドラム9に嵌合し、ドラム9を回転駆動する。
【0014】
このドラム9には、ワイヤ(インナケーブル)12,13の巻回用胴部として、大径胴部9aと小径胴部9bとが形成されている。大径胴部9aと小径胴部9bの外周面には、螺旋状の溝が刻設されている。ここで、小径胴部9bの外径は、大径胴部9aの外径の1/2に選ばれている。
【0015】
大径胴部9aに巻回されたワイヤ12は、一端がドラム9に係止され、大径胴部9aから繰り出された部分は、上側の定滑車3で下方に変向され、更に動滑車11に巻き掛けられて上方に変向された後に、その先端がガイド1の上端部に係止されている。ワイヤ12の先端とガイド1との連結は、係止ブロック1bを用いて行っている。
【0016】
小径胴部9bに巻回されたワイヤ13も、一端がドラム9に係止され、小径胴部9bから繰り出された部分は、下側の定滑車4で上方に変向された後に、スライダベース6にその先端が係止されている。ワイヤ13の先端とスライダベース6との連結は、係止ブロック6aを用いて行っている。
【0017】
ワイヤ12,13の大径胴部9a,小径胴部9bへの巻き方向は、ドラム9が回転したときに、ワイヤ12,13の繰り出し側部分の一方が巻き取られ、他方が一層繰り出されるように選ばれている。尚、ドラムベース8とガイド1との間のワイヤ12,13は、それぞれ、アウタケーブル14,15内に摺動自在に嵌挿されている。又、ドラムベース8やモータ10はドアパネルに支持されている。
【0018】
次に、上記形態例の作動を説明する。モータ10を駆動することにより、ドラム9が回転する。ドラム9の回転により、例えば、ワイヤ12の繰り出し側部分はドラム9より一層繰り出され、ワイヤ13の繰り出し側部分はドラム9に巻き取られる。モータ10を逆転させ、ドラム9を逆方向に回転させると、今度は、ワイヤ13の繰り出し側部分がドラム9より一層繰り出され、ワイヤ12の繰り出し側部分がドラム9に巻き取られる。
【0019】
ここで、大径胴部9aと小径胴部9bとの外径比が2:1であることから、ドラム9からのワイヤ12の繰り出し量(又は巻き取り量)とドラム9によるワイヤ13の巻き取り量(又はからの繰り出し量)との比も、2:1になる。しかし、ワイヤ12は動滑車11に巻き掛けられているため、スライダベース6の昇降速度に注目すると、この昇降速度は、ワイヤ12におけるガイド1に沿った部分(正確には図1の右側に位置する垂下部分)の上下動の速度の1/2になる。一方、ワイヤ13におけるガイド1に沿った部分の上下動の速度は、スライダベース6の昇降速度と同一である。
【0020】
よって、ワイヤ12,13がスライダベース6を移動させようとする速度は一致し、ドラム9の回転によりワイヤ12,13に不適切な張り状態が生じることはない。このワイヤ12,13の運動により、スライダベース6がガイド1に沿って移動し、ガラス2の昇降が行われる。
【0021】
本形態例において、ガラス2の上昇はワイヤ12が受け持つことになるが、この場合には、動滑車11の存在により、ワイヤ12に加わる張力の2倍の力が、スライダベース6に引き上げ力として作用することになる。言い換えれば、モータ10としては、スライダベース6を引き上げるのに要する力の半分の力をワイヤ12に出力できればよい。
【0022】
一方、ガラス2の下降はワイヤ13が受け持つことになるが、この場合には、ワイヤ13の張力そのものが、スライダベース6に引き下げ力として作用することになる。しかし、スライダベース6を引き下げる力は、引き上げる力に比べて格段に小さいため、スライダベース6を引き下げるのに要する力は小さい。
【0023】
よって、本形態例では、ガラス2の昇降に際して、ドラム9がワイヤ12,13を引く力は小さくてよく、その駆動源であるモータ10として低出力のものを使用でき、モータ10部分の小形化・軽量化やコストダウンが可能になる。
【0024】
又、スライダベース6が上死点若しくは下死点に到達した瞬間では、モータ10の電源がオフになっていないため、一時的にモータ10が全出力でワイヤ12,13を引っ張ることになる。しかし、本形態例では、モータ10として低出力のものを用いているため、この瞬間でも、ワイヤ12,13に大きな張力はかからない。よって、ワイヤ12,13として、小径で低強度の、安価なワイヤを用いることができる。
【0025】
更に、スライダベース6上には、ガラス2を上昇させるための動滑車11だけが設けられるため、スライダベース6部分の構成も、上記巻き掛け方式▲2▼に比べて、簡単になり、ワイヤ13の全長を短くできる。すなわち、スライダベース6部分の構成を比較的簡単にでき、上記巻き掛け方式▲1▼に比べて、ワイヤ長もさほど長くならない。
【0026】
又、上側及び下側の定滑車3,4をガイド1の上端部及び下端部に回転可能に固着し、ワイヤ12におけるドラム9の大径胴部9aから繰り出された部分の先端を、ガイド1の上端部に係止したので、ワイヤ12,13の張架を含め、予めウインドレギュレータを組み立てておくことができ、この組み立てた状態のウインドレギュレータをドアパネルに装着することにより、ウインドレギュレータの組み付けが容易になる。
【0027】
尚、本発明は上記形態例に限るものではない。例えば、上記形態例では、定滑車3,4をガイド1に固着し、ワイヤ12の先端をガイド1に係止したが、これらをドアパネル若しくはドアパネルと一体の他の部材に固着したり係止してもよい。又、ワイヤ12,13の一端をドラム9に係止することをやめ、この端部を連結し、ワイヤ12,13を連続した一本のワイヤとして形成してもよい。更に、ガイド1に対するスライダベース6の摺動構造は、その機能を発揮できるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1及び2記載の発明によれば、ガラスを昇降させる際に必要なモータの出力が小さくて済むため、モータとして低出力のものを使用でき、モータ部分の小形化・軽量化やコストダウンが可能になる。しかも、スライダベース上には、ガラスを上昇させるための動滑車だけが設けられるため、スライダベース部分の構成も比較的簡単にでき、ワイヤ長もさほど長くならない。又、モータとして低出力のものを使用できた結果、ワイヤとして、小径で低強度の、安価なワイヤを用いることができる。
【0029】
加えて、請求項2記載の発明によれば、上側及び下側の定滑車がガイドに固定され、ドラムの大径胴部から繰り出されたワイヤ部分の先端もガイドに係止されるため、ワイヤの張架を含め、予めウインドレギュレータを組み立てておき、その後に、これをドアパネルに装着することが可能になり、ウインドレギュレータの組み付けが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例を示す構成図である。
【図2】図1の切断線A−A(図示しないが、切断線A−Aは、定滑車3及び動滑車11だけでなく係止ブロック1b,6aをも通る)での断面図である。
【図3】図1の形態例におけるドラム及びその周辺部分の構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 ガイド
1a ガイド部
2 ガラス
3,4 定滑車
5A,5B スライダ
6 スライダベース
8 ドラムベース
9 ドラム
9a 大径胴部
9b 小径胴部
10 モータ
10a 駆動シャフト
11 動滑車
12,13 ワイヤ

Claims (2)

  1. 長手方向がガラスの昇降方向と合致するように配置されたガイドと、正逆両方向に回転可能なモータと、該モータにより回転駆動されるドラムと、前記ガイドに案内されて昇降すると共に前記ガラスに固着されたスライダベースと、前記ガイドの上端側に位置する上側の定滑車と、前記ガイドの下端側に位置する下側の定滑車と、前記ドラムに巻回されると共に前記上側の定滑車及び前記下側の定滑車に巻き掛けられ、前記スライダベースを牽引するワイヤとを有し、前記モータにより前記ドラムを回転させることにより、前記ワイヤを介して前記スライダベースを前記ガイドの長手方向に移動させ、前記ガラスを昇降させるウインドレギュレータにおいて、
    前記スライダベースには、動滑車が回転可能に枢支され、前記ドラムには、前記ワイヤの巻回用胴部として、大径胴部と該大径胴部に対して外径が1/2の小径胴部とが形成され、
    前記ワイヤにおける前記ドラムの前記大径胴部から繰り出された部分は、前記上側の定滑車で下方に変向され、更に前記動滑車に巻き掛けられて上方に変向された後に、その先端が前記ガイドの上端側に係止され、一方、前記ワイヤにおける前記ドラムの前記小径胴部から繰り出された部分は、前記下側の定滑車で上方に変向された後に、前記スライダベースにその先端が係止されていることを特徴とするウインドレギュレータ。
  2. 前記上側の定滑車は前記ガイドの上端部に回転可能に固着され、前記下側の定滑車は前記ガイドの下端部に回転可能に固着され、前記ワイヤにおける前記ドラムの前記大径胴部から繰り出された部分の先端は、前記ガイドの上端部に係止されていることを特徴とする請求項1記載のウインドレギュレータ。
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