JP3749408B2 - 集合住宅における逆梁工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、集合住宅を構築する工法に係り、更に詳しくは、戸境壁において逆梁を使用して工期の短縮を図る逆梁工法と、それに使用する逆梁用鉄筋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多数の住戸が左右に隣接し上下方向に同一タイプの重なる規格型集合住宅を施工するにおいて、例えば、8区画のある住宅の場合、図5に示すように、1フロアー毎の作業を各階毎に作業を繰り返している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来工法においては、図6に示すように、特に戸境壁における配筋において、コンクリート壁厚寸法が一例として約180mm程度しかなくコンクリート打設口として非常に狭く、しかも張間方向の梁筋1aが有るため、打設下したコンクリートの流れが悪く、これに伴い揚重機によるコンクリートバケット搬送の作業時間が勢い増大することになり、揚重機の稼働率が悪化する。
【0004】
また、従来の梁筋の張間方向の配筋作業では、全区画に亘って作業することから、各区画毎に作業できないので地組が不可能で、1フロアーの工区の分割が出来ず作業効率が悪くなる等して、全体の工期が長期化する。
【0005】
更に、張間方向の配筋作業において、高所作業となるので足場が必要であって、しかも戸境壁用の型枠を設置するために当該梁筋用の足場を撤去しなければならないので手間が掛かり、これによっても作業時間が増えて工期が長期化するという課題がある。本発明に係る集合住宅における逆梁工法と逆梁用鉄筋は、このような課題を解消するために提案されるものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る集合住宅における逆梁工法の上記課題を解決するための要旨は、柱配筋をした後に、張間方向における梁用の主筋とあばら筋と当該あばら筋間に架設して軸力のみを柱に伝達する伝達筋とでなる逆梁用鉄筋を、地組にて組立てて前記柱配筋間の張間においてスラブ上に設置して逆梁とし、戸境壁用の配筋を行い、その後に戸境壁用の型枠を配設してコンクリートを当該型枠内に打設することである。
【0007】
また、隣接する複数の逆梁用鉄筋は、張間に設置する作業が各々独立して施工されること、;更に、桁梁は、地組された後で、戸境壁を構築後に桁方向における柱配筋間に架設されることを含むものである。
【0009】
本発明に係る集合住宅における逆梁工法によれば、逆梁用鉄筋が地組にて組み立てて張り間に設置できるので、梁配筋工事が分割して各々独立に設置することが出来るようになる。それにより、集合住宅の区画毎に分けて作業が可能となり、作業能率が向上する。
【0010】
また、前記逆梁用鉄筋の設置作業においては、その作業用の足場を必要としないで逆梁用鉄筋を設置できて作業が容易となり、狭い開口の型枠内にコンクリートを打設するにも、当該型枠内の上部から下部の逆梁用鉄筋までは戸境壁用配筋だけなので、コンクリートの流入を邪魔するものが少なくなって、打設コンクリートの充填作業がスムーズになって、工期の短縮が可能となる。
【0011】
本工法では、戸境壁を構築する工期が短縮されるので、隣接する多数の住戸のある集合住宅を構築することにおいて、1フロアーを複数の工区に区分して同時に施工することができる。そして、各工区の作業及び作業員を順次隣接の工区に移行させて施工することで全体の工期が短縮される。また、桁梁についても、逆梁用鉄筋の逆梁化によって地組が可能となる。更に、伝達筋を設けた逆梁用鉄筋と桁梁とを地組することで、従来の戸境壁用の鉄筋工事における主筋を柱に定着させる必要がなく、桁梁を地組ヤードから吊り下げて搬入すれば良くなって配筋作業が簡略化され、パネルゾーンが簡素化される。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る規格型集合住宅における逆梁工法と逆梁用鉄筋について図面を参照して説明する。なお、発明の理解の容易のため従来例に対応する部分には従来例と同一符号を付けて説明する。
【0013】
本発明に係る逆梁用鉄筋(張間梁とも言う)1は、図1に示すように、張間(スパン)方向における梁用の主筋2とあばら筋3からなる梁用鉄筋4に、その梁用鉄筋4の両端部に軸力を伝達する伝達筋5が設けられている。
【0014】
前記伝達筋5は、梁用鉄筋4の上下のあばら筋3間に溶接手段で固着して架設され、その端部を張間方向に突出させ、更に、上下方向に屈曲させてある。この逆梁用鉄筋1は、工場若しくはサイト工場において組立して地組するものである。
【0015】
前記逆梁用鉄筋1を使用して、本発明に係る集合住宅における逆梁工法を説明する。図2に示すように、例えば、規格型集合住宅の適宜階において、墨出しを行って柱用の柱配筋6をした後に、地組にて組立てた前記逆梁用鉄筋1を揚重機(図示せず)で吊り上げて、前記柱配筋6,6間の張間においてスラブ上に設置して逆梁とする。よって、この逆梁用鉄筋1の設置のために足場を組む必要がない。前記逆梁用鉄筋1の主筋2を柱に定着させ、前記伝達筋5を柱配筋6内に配置する。当該伝達筋5により、軸力のみが柱に伝達されることになる。なお、戸境壁は連続壁となるので、逆梁用鉄筋1に曲げ応力は発生しない。
【0016】
その後、戸境壁用の鉄筋7の配筋を行い、更に、その後に、図3に示すように、戸境壁用の型枠8,8を配設する。該型枠8,8の間にコンクリート(Vcon)を打設する。前記型枠8,8内の上部から下部の逆梁用鉄筋1までは戸境壁用の鉄筋7が配筋されているだけなので、コンクリートの流入を邪魔するものが少なくなって、打設コンクリートの充填作業がスムーズになるものである。
【0017】
そして、前記型枠8を脱型させて、内装材等の搬入を行う。次ぎに、柱型枠や桁梁用の型枠を設置し、地組した桁梁9,9を揚重機で吊り上げて桁方向における柱配筋間に架設する。
【0018】
その後、バルコニーにするPc版を配設して、スラブ配筋した後にコンクリート(Hcon)を打設する。このような工程を繰り返すものである。
【0019】
前記戸境壁を構築することにおいて、隣接する複数の逆梁用鉄筋1は、張間に設置する作業が各々独立して施工される。これにより、前記逆梁用鉄筋1の設置作業が容易となり、狭い開口幅であるにもかかわらず、コンクリートの打設もスムーズになって、工期が短縮される。
【0020】
よって、1フロアーの作業を各工区に分割して、且つ、同時に作業することが出来るようになって作業能率が効率化され、全体の工期が大幅に短縮されるようになる。この本発明の集合住宅における逆梁工法における作業サイクルを図4に示す。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る集合住宅における逆梁工法は、柱配筋をした後に、張間方向における梁用の主筋とあばら筋と当該あばら筋間に架設して軸力のみを柱に伝達する伝達筋とでなる逆梁用鉄筋を、地組にて組立てて前記柱配筋間の張間においてスラブ上に設置して逆梁とし、戸境壁用の配筋を行い、その後に戸境壁用の型枠を配設してコンクリートを当該型枠内に打設することとしたので、戸境壁を構築する工期が短縮され、1フロアーを複数の工区に区分して同時に施工することができて作業能率が向上し全体の工期が短縮されるという優れた効果を奏するものである。
【0022】
また、桁梁についても、逆梁用鉄筋の逆梁化によって地組が可能となって、工期が短縮される。更に、伝達筋を設けた逆梁用鉄筋と桁梁とを地組することで、配筋作業が簡略化され、パネルゾーンが簡素化される。
【0024】
また、隣接する複数の逆梁用鉄筋は、張間に設置する作業が各々独立して施工されるので、1フロアーを複数の区画に分割することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る逆梁用鉄筋の斜視図である。
【図2】同本発明に係るさての使用状態であり、本発明の集合住宅における逆梁工法の説明図である。
【図3】同本発明に係る集合住宅における逆梁工法の説明図である。
【図4】同本発明に係る集合住宅における逆梁工法の作業サイクルを示す説明図である。
【図5】従来例に係る集合住宅における工法の作業サイクルを示す説明図である。
【図6】同従来例に係る戸境壁用の型枠にコンクリートを打設している説明図である。
【符号の説明】
1 逆梁用鉄筋、2 主筋、3 あばら筋、4 先組鉄筋、
5 伝達筋、6 柱配筋、7 戸境壁用の鉄筋、8 戸境壁用の型枠、
9 桁梁。
Claims (3)
- 柱配筋をした後に、張間方向における梁用の主筋とあばら筋と当該あばら筋間に架設して軸力のみを柱に伝達する伝達筋とでなる逆梁用鉄筋を、地組にて組立てて前記柱配筋間の張間においてスラブ上に設置して逆梁とし、戸境壁用の配筋を行い、その後に戸境壁用の型枠を配設してコンクリートを当該型枠内に打設すること、
を特徴とする集合住宅における逆梁工法。 - 隣接する複数の逆梁用鉄筋は、張間に設置する作業が各々独立して施工されること、
を特徴とする請求項1に記載の集合住宅における逆梁工法。 - 桁梁は、地組された後で、戸境壁を構築後に桁方向における柱配筋間に架設されること、
を特徴とする請求項1または2に記載の集合住宅における逆梁工法。
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