JP3748974B2 - ビルドアップ多層プリント配線板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内層パターン上に絶縁層が配置され、その絶縁層上に外層パターンが形成されたビルドアップ多層プリント配線板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来例のビルドアップ工法による多層プリント配線板の製造工程を示す上面図であり、図6は図5に示されるビルドアップ多層プリント配線板の破線A−A’における略断面図であり、図5と図6はそれぞれの工程を対比して、示してある。以下図5および図6を用いて従来例のプリント配線板の製造工程を説明する。
【0003】
両面銅張積層板に基準穴およびバイアホールをドリル等を用いて形成し、基準穴およびバイアホール内面をメッキした後、バイアホールに樹脂を充填し、再度両面銅張積層板両面にメッキを施した後、表面をパターンニングして図5(a)および図6(a)に示される基板51を形成する。図5(a)および図6(a)において、52は絶縁板であり、53は内層パターンであり、54は基準穴であり、55はバイアホールである。バイアホール55内面にはメッキが施されており、両面の内層パターン53を導通させている。またバイアホール55内部には樹脂等の充填材56が充填されている。内層パターン53の一部はランド部53a、53b、53cが形成されている。
【0004】
内層パターン53を覆うように基板51上に感光性エポキシ樹脂等の感光性樹脂を積層する。続いて、基準穴54を露光機の画像認識により認識して位置決めを行って露光して、現像することにより、図5(b)および図6(b)に示される絶縁層57およびフォトバイア58a、58b、58c形成する。フォトバイア58a、58b、58cは内層パターン53のランド53a、53b、53cに対応する位置にそれぞれ設けられている。フォトバイア58a、58b、58cの大きさは150μm程度であり、露光機の位置決めは±50μmの精度で行われる。
【0005】
次に、基板51両面に銅メッキを施して、図5(c)および図6(c)に示されるように、絶縁層57を覆うように導体層59を形成する。このときフォトバイア58a、58b、58cの内面も導体層59が形成される。
【0006】
続いて、導体層59上にドライフィルムをラミネートし、露光機の画像認識により、基準穴54を認識して位置決めを行い、露光、現像を行う。このとき、露光機の位置決めは±50μmの精度で行われる。次に、導体層59のエッチングを行うことにより、図5(d)および図6(d)に示される外層パターン60を形成することによりビルドアップ多層プリント配線板50が形成される。なお、ドライフィルムはエッチング完了後に取り除かれる。外層パターン60の一部はランド部60a、60b、60cとして形成されている。ランド部53aとランド部60aはフォトバイア58aによって導通しており、ランド部53bとランド部60bはフォトバイア58bによって導通しており、また、ランド部53cとランド部60cはフォトバイア58cによって導通している。
【0007】
ここに、バイアホールとは異なった層間を電気的に接続するたるに用いる経由孔であり、フォトバイアとは露光、現像などのフォトプロセスによって形成されたバイアホール用の絶縁層への孔のことであり、ビルドアップ工法とは1層づつの絶縁(樹脂)層、バイアホール、メッキ等、というプロセスを繰り返し複数の層を積み上げ(build up)て多層基板を得る工法のことである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
外層パターン60のランド部60a、60b、60cは、内層パターン53との確実な導通を確保するためにその内部にフォトバイア58a、58b、58cが位置するように形成されなければならないが、そのために露光機の位置決めの際の基準穴54に対する誤差を考慮して所定の大きさ以上に形成する必要がある。
【0009】
図7は従来例のビルドアップ多層プリント配線板の位置決めを説明する説明図である。図7(a)は、左右の2つの基準穴54(図示省略)を基準として位置決めを行い形成したフォトバイア58bが、設計上の基準位置Pに対して、右方向に50μmずれている様子を示している。フォトバイア58bの直径は150μmである。次に、図7(b)は、この状態で、再び左右の2つの基準穴54(図示省略)を基準として位置決めを行い形成したランド部60bが、設計上の基準位置Pに対して、左方向に50μmずれている様子を示している。
【0010】
このように、左右の2つの基準穴54を基準として2度目の位置決めを行うと、図7(b)に示されるように、ずれが最大の場合、設計上の基準位置Pに対して、左方向に50μmずれる場合があり、この時、フォトバイア58bとランド部60bとは、設計上の基準位置Pに対して、100μmの位置ずれがある。その結果、ランド部60bの領域内にフォトバイア58bが形成されるためには、外層パターン60のランド部60bの直径は少なくとも350μmは必要となる。
【0011】
以上の例から明らかなように従来例のビルドアップ多層プリント配線板ではフォトバイアによって内層パターンと外層パターンとの導通を確保するために位置ずれを考慮して、外層パターン、特に内層パターンとの接続部分であるランド部等の部分を大きくする形成する必要があり、回路の密度を高めることができなかった。
【0012】
本発明は上述の課題を鑑みてなされたものであり、位置決めの基準方法を改善することにより、外層パターンを小さく形成できるビルドアップ多層プリント配線板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のビルドアップ多層プリント配線板は、基準穴及び内層パターンを有するプリント配線板上に絶縁層を形成し、該絶縁層上に外層パターンを形成して成るビルドアップ多層プリント配線板において、該絶縁層に該基準穴を基準として同時に同一工程で、かつ、位置関係のずれがゼロになるように形成されたフォトバイア及び位置決め用のフォトバイアを有し、該位置決め用のフォトバイアを基準として外層パターンを形成したことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項2記載のビルドアップ多層プリント配線板の製造方法は、前記内層パターン上に前記絶縁層を形成する工程、前記絶縁層に前記基準穴を基準として同時に、かつ、位置関係のずれがゼロになるようにフォトバイア及び位置決め用のフォトバイアを形成する工程、前記位置決め用のフォトバイアを基準として外層パターンを形成する工程、を含むことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は本発明の一実施の形態よりなるビルドアップ多層プリント配線板に関する図である。
【0016】
図4は本発明の一実施の形態よりなるビルドアップ多層プリント配線板の位置精度を説明するための図である。図4(a)おいて、絶縁層に形成されたフォトバイア18b及び位置決め用のフォトバイア21は基準穴14(図1参照)を基準として形成されたものであり、設計上の基準位置Qに対して最大50μmの位置ずれが発生する。しかし、フォトバイア18bと位置決め用のフォトバイア21とは同時に同一工程で形成されるため、フォトバイア18bと位置決め用のフォトバイア21との位置関係のずれは0(ゼロ)である。
【0017】
次に、位置決め用のフォトバイア21(基準点R)を基準にして、外層パターンのランド部20b(図1参照)を形成すると、基準点Rに対してランド部20bの位置ずれは50μm以内に抑えられる。設計上の基準位置Qと位置決め用のフォトバイア21の基準点Rとの位置関係のずれは0(ゼロ)である。従って、フォトバイア18bの直径が150μmの場合には、ランド部20bの直径は250μmあればよく、ランド部20bの領域内にフォトバイア18bを形成することができる。この結果、従来例ではランド部の直径が350μm必要であったものが、ランド部の直径が250μmで十分となり、本発明により、ランド部の直径を100μm程度小さくすることができる。
【0018】
図1は本発明の一実施の形態であるビルドアップ多層プリント配線板を示す図であり、図1(a)はその上面図、図1(b)は図1(a)に示す破線A−A’における略断面図である。図1の回路パターンは本発明の前記の図4の知見に基づき設計されている。
【0019】
図1(a)において、10はビルドアップ多層プリント配線板である。11は基板であり、14は基板11に形成された基準穴であり絶縁板12を貫通している。13は基板11上に配置された内層パターンであり、銅などの導電体をエッチングすることにより形成されている。内層パターン13はランド部13a、13b、13cを有している。17は絶縁層であり、内層パターン13を覆うよう形成されている。
【0020】
絶縁層17上には銅などの導電体をエッチングすることにより形成された外層パターン20が設けられている。外層パターン20の一部分にランド部20a、20b、20cが形成されている。ランド部の20a、20b、20cにはフォトバイア18a、18b、18cが形成されている。フォトバイア18a、18b、18cの内面は外層パターン20と一体となった導体層が形成されており、フォトバイア18a、18b、18cによって、外層パターン20と内層パターン13とは電気的に接続している。21は位置決め用のフォトバイアであり、絶縁層17に形成され、外層パターン20の形成時の位置決め用の基準穴として機能する。
【0021】
図1(b)において、10はビルドアップ多層プリント配線板であり、基板11上に形成されたランド部13aの直下にはバイアホール15が設けられている。バイアホール15の内面はメッキが施されており、上面の内層パターン13と下面の内層パターン13とを電気的に接続している。バイアホール15はその内部がを充填材16よって穴埋めされている。また、基準穴14は基板11の絶縁板12を貫通して設けられている。
【0022】
内層パターン13を覆うように絶縁層17が設けられている。絶縁層17にはフォトバイア18bが設けられ、内層パターンのランド13bと外層パターンのランド20bとを電気的に接続している。また、絶縁層17には位置決めのためのフォトバイア21が形成されている。また、フォトバイア21の下面は導体層23が形成されている。
【0023】
図2および図3は図1に示したビルドアップ多層プリント配線板の製造工程を示す工程図であり、図2は上面から見た上面図であり、図3は図2のに示される破線A−A’における略断面図である。以下、図2および図3を用いて図1に示されるビルドアップ多層プリント配線板の製造工程を説明する。
【0024】
(工程1)両面銅張積層板(厚み150μm〜250μm)に基準穴およびバイアホールをドリル等を用いて形成し、基準穴およびバイアホール内面にメッキを施した後、バイアホールに樹脂を充填し、両面銅張積層板両面にメッキを施した後、表面をパターニングして図2(a)および図3(a)に示される基板11を形成する。図2(a)および図3(a)において、12は絶縁板であり、13は内層パターンであり、14は基準穴である。15はバイアホールであり、バイアホール15の内面にはメッキが施されており、両面の内層パターン13を導通させている。又、バイアホール14内部には充填材16が充填されている。内層パターン13の一部はランド部13a、13b、13cが内蔵されている。また、23は導体層であり、後の工程でその上に位置あわせ用のフォトバイアを形成する部分である。
【0025】
(工程2)内層パターン13を覆うように感光性のエポキシ樹脂等の感光性樹脂を40μm程度積層し、基準穴14を露光機の画像認識機能により認識して位置決め行い露光する。その後、現像を行い図2(b)及び図3(b)に示される絶縁層17を形成する。このとき、絶縁層17にはフォトバイア18a、18b、18cおよび、位置決め用のフォトバイア21が同時に形成されている。このとき、フォトバイア18a、18b、18cおよびフォトバイア21の位置精度は±50μmである。
【0026】
(工程3)次に、位置決め用のフォトバイア21上にメッキレジストを100μm程度スクリーン印刷等の方法により印刷し、図2(c)および、図3(c)に示されるメッキレジスト22を形成する。
【0027】
(工程4)続いて、銅メッキ等を施して図2(d)および図3(d)に示される導体層19を形成する。導体層19の厚さは約25μmである。このとき、フォトバイア18a、18b、18cの内面もメッキされている。
【0028】
(工程5)メッキレジスト22上の導体層19を研磨により剥離させ、図2(e)および図3(e)に示されるようにメッキレジスト22を露出させる。
【0029】
(工程6)メッキレジスト22を溶剤により溶解させて、図2(f)および図3(f)に示されるように、位置決め用のフォトバイア21を露出させる。
【0030】
(工程7)回路形成用のドライフィルムをラミネートし、露光機の画像認識機能により位置決め用フォトバイア21を基準穴として用いて位置決めを行い、現像してドライフィルムをパターニングする。続いてエッチングにより導体層19をパターニングして、図2(g)、図3(g)に示される外層パターン20を形成し、ビルドアップ多層プリント配線板10が形成される。外層パターン20はランド部20a、20b、20cを有している。フォトバイア18a、18b、18cはその内面がメッキされており、ランド部13aと20a、13bと20bおよび13cと20cとをそれぞれ導通させている。
【0031】
以上説明したように、図7に示した従来例においては、フォトバイアと外層パターンのランド部を同じ基準穴に基づいて形成する場合には、ランド部の直径を少なくとも350μmにする必要があったが、本発明により、ランド部の直径を100μm程度小さくすることができる。
【0032】
本発明により、外層パターンのフォトバイアと位置決め用のフォトバイアを同時に形成して、両者の相対的な位置ずれをなくすことにより、外層パターンのランド部の直径を小さくすることができ、ビルドアップ多層プリント配線板の回路の高密度化を図ることができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載のビルドアップ多層プリント配線板によれば、基準穴及び内層パターンを有するプリント配線板上に絶縁層を形成し、該絶縁層上に外層パターンを形成して成るビルドアップ多層プリント配線板において、該絶縁層に該基準穴を基準として同時に同一工程で、かつ、位置関係のずれがゼロになるように形成されたフォトバイア及び位置決め用のフォトバイアを有し、該位置決め用のフォトバイアを基準として外層パターンを形成したことを特徴とするものであり、前記外層パターンの位置決め精度を高めることができる。さらに、前記外層パターンを小さく形成することができ、ビルドアップ多層プリント配線板の集積度を高めることができる。
【0034】
また、本発明の請求項2記載のビルドアップ多層プリント配線板の製造方法によれば、前記内層パターン上に前記絶縁層を形成する工程、前記絶縁層に前記基準穴を基準として同時に、かつ、位置関係のずれがゼロになるようにフォトバイア及び位置決め用のフォトバイアを形成する工程、前記位置決め用のフォトバイアを基準として外層パターンを形成する工程、を含むことを特徴とするものであり、外層パターンとフォトバイアとの位置決め精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるビルドアップ多層プリント配線板を示す図であり、(a)はその上面図であり、(b)はその略断面図である。
【図2】本発明のビルドアップ多層プリント配線板の製造工程を示す上面図である。
【図3】本発明のビルドアップ多層プリント配線板の製造工程を示す略断面図である。
【図4】本発明のビルドアップ多層プリント配線板の位置精度を説明する説明図である。
【図5】従来例のビルドアップ多層プリント配線板の製造工程を示す上面図である。
【図6】従来例のビルドアップ多層プリント配線板の製造工程を示す略断面図ある。
【図7】従来例のビルドアップ多層プリント配線板の位置決めを説明する説明図である。
【符号の説明】
10 ビルドアップ多層プリント配線板
11 基板
13 内層パターン
17 絶縁層
18a、18b、18c フォトバイア
20 外層パターン
20a、20b、20c ランド部
21 位置決め用のフォトバイア
Claims (2)
- 基準穴及び内層パターンを有するプリント配線板上に絶縁層を形成し、該絶縁層上に外層パターンを形成して成るビルドアップ多層プリント配線板において、該絶縁層に該基準穴を基準として同時に同一工程で、かつ、位置関係のずれがゼロになるように形成されたフォトバイア及び位置決め用のフォトバイアを有し、該位置決め用のフォトバイアを基準として外層パターンを形成したことを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板。
- 請求項1記載のビルドアップ多層プリント配線板の製造方法において、前記内層パターン上に前記絶縁層を形成する工程、前記絶縁層に前記基準穴を基準として同時に、かつ、位置関係のずれがゼロになるようにフォトバイア及び位置決め用のフォトバイアを形成する工程、前記位置決め用のフォトバイアを基準として外層パターンを形成する工程、を含むことを特徴とするビルドアップ多層プリント配線板の製造方法。
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