JP3748636B2 - ガスシールドアーク溶接ノズル用素材およびその製造方法 - Google Patents

ガスシールドアーク溶接ノズル用素材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスシールドアーク溶接用トーチに用いられるノズルを製造するためのガスシールドアーク溶接用ノズル用素材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図3に例示するようなガスシールドアーク溶接用トーチが知られている。すなわち図3のトーチは、トーチボディ56と、トーチボディ56の先端に上端をねじ入れて取り付けられたチップボディ55と、チップボディ55の下端に嵌着されたコンタクトチップ54と、チップボディ55の外面に大径部を螺合して取り付けられた絶縁カバー53と、絶縁カバー53の小径部外面に螺合して取り付けられたオリフィス52と、絶縁カバー53の大径部外面に上端を螺合してコンタクトチップ54と同心に取り付けられたノズル51とを備えている。
【0003】
このように構成されたトーチでは、図示しない電極ワイヤにより、トーチボディ56からチップボディ55を介してコンタクトチップ54へ電流が供給され、トーチボディ56からチップボディ55およびオリフィス52を介してシールドガスが供給される。そして、コンタクトチップ54に供給された電流によりアーク溶接を行うことができる。
【0004】
ところが、この種のガスシールドアーク溶接用トーチは、溶接中常に高温雰囲気に曝され、溶接により飛散する高温のスパッタがノズル51の内面やコンタクトチップ54の外面に付着する。これらの部材には、従来から純銅やクロム銅が用いられており、スパッタが付着するとそのスパッタが合金化し、ノズル51等に溶着していた。この溶着が激しくなるとシールドガスの正常な流れが妨げられ、溶接不良が生じる可能性がある。そこで、スパッタが溶着する毎にトーチを分解し、各部品を研磨してスパッタを除去することが行われていた。しかしながら、スパッタの除去を頻繁に繰り返すと、部品の変形や早期摩耗の原因となり、トーチの寿命を縮めてしまう。
【0005】
そこで、例えば特公平3−71943号公報に記載のように、ノズル51の内外面にセラミックスをライニングしてスパッタの溶着を抑制することが考えられている。ところが、この技術では、トーチの製造に手間とコストがかかるばかりでなく、ライニングされたセラミックスがスパッタ除去の際に割れてしまう可能性もある。また、特公平3−44873号公報に記載のように、ノズル51をカーボンで製造することも考えられているが、この場合、ノズル51が割れ易く高価になる上に、溶接中にスパッタが溶接部に落下する可能性がある。スパッタが落下した場合、溶接部近傍が腐食する等の問題が発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、ノズル51を分散強化銅で製造することが考えられる。分散強化銅は、高温に曝されても軟化せず、スパッタに対して濡れ性の悪い性質を有している。従って、ガスシールドアーク溶接用トーチのノズル51として使用した場合、スパッタが溶着してガスの流れを妨げることが少なく、スパッタが付着しても容易に除去することができる。また、分散強化銅はスパッタと適度に馴染むので、溶接時にはスパッタが落下せず、研磨の際にのみスパッタを落下させることができる。更に、分散強化銅は耐熱性,耐摩耗性にも優れているので、スパッタの除去によっても変形し難く、ノズル51の寿命が非常に長くなる。また、耐熱性に優れているのでノズル51の肉厚も薄くすることができる。
【0007】
しかしながら、分散強化銅は、従来、セラミックス粒子を均一に分散させたり内部酸化を均一にするために、粉末材料から熱間押出等によって製造されている。このため、分散強化銅は棒材の形で供給されており、ノズル51を製造するためには棒材の中央を切削してくり抜く必要があった。分散強化銅は、強固であるためこの切削作業には多大な手間とコストがかかる。
【0008】
そこで、本発明は、分散強化銅製のノズルを容易に製造することのできるガスシールドアーク溶接ノズル用素材を提供することを目的としてなされた。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達するためになされた請求項1記載の発明は、
ガスシールドアーク溶接用トーチに用いられるノズルを製造するための素材であって、
銅または黄銅からなり、上記ノズルの内径に対して50%以上100%未満の外径を有する柱状またはパイプ状の芯材と、
0.05〜1.7重量%のアルミナを含み残部が銅と不可避不純物からなるアルミナ分散強化銅により、上記芯材を中心として形成され、上記ノズルの外径と同一またはそれより大きい外径を有する分散強化銅部と、
を備えたことを特徴とするガスシールドアーク溶接ノズル用素材を要旨としている。
【0010】
このように構成された本発明では、分散強化銅部の中心に、ノズルの内径に対して50%以上100%未満の外径を有する銅または黄銅製の芯材を有している。そこで、この芯材を周囲の分散強化銅と共にくり抜くことにより、ノズルの中空部を形成することができる。また、分散強化銅部はノズルの外径と同一またはそれより大きい外径を有しており、外周を必要に応じて切削することによりノズルの外周部を形成することができる。
【0011】
ここで、銅および黄銅は、分散強化銅に比べてきわめて加工性に優れている。このため、上記素材の中心を切削してくり抜く作業はきわめて容易となる。なお、芯材の外径がノズルの内径に対して50%未満であると、切削性を改善する効果が少ないと共に、高価な分散強化銅部が多量に無駄になる。また、芯材の外径がノズルの内径と同一かそれより大きい(100%以上)と、完成品のノズル内面に銅または黄銅が残る。この場合、その銅または黄銅に従来のノズルと同様のスパッタが付着し、耐摩耗性の低下、スパッタの溶着等の問題が生じる。
【0012】
これに対して、本発明では、芯材の外径をノズルの内径に対して50%以上100%未満としているので、切削性を良好に向上させると共に、材料のコストを低減することができ、更に、完成品のノズル内面に銅または黄銅が残留することもない。
【0013】
また、分散強化銅部を構成するアルミナ分散強化銅のアルミナ含有量が、0.05重量%未満であると、充分な耐摩耗性や耐スパッタ溶着性,耐熱性が得られない。更に、この種の素材は熱間押出等の加工法によって製造されるが、上記アルミナ含有量が1.7重量%を超えると、加工性が低下して素材自身の製造が困難になる。これに対して、本発明では、上記アルミナ含有量を0.05〜1.7重量%としているので、素材自身の製造が容易であると共に、完成品のノズルに充分な耐摩耗性および耐スパッタ溶着性が得られる。
【0014】
従って、本発明の素材を用いれば、変形し難く耐摩耗性および耐スパッタ溶着性に優れた分散強化銅製のノズルを容易に製造することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成に加え、
上記芯材が、その芯材の外径に対して70〜98%の内径を有するパイプ状に構成されたことを特徴としている。
【0015】
このように、本発明では、芯材としてパイプ状のものを使用しているので、ノズルの中空部を形成するための切削作業が一層容易となる。なお、芯材の内径がその外径に対して70%未満であると、芯材をパイプ状にした効果が充分に現れず、柱状の芯材を使用した場合に比べて有意な切削性向上が見られない。また、芯材の内径が大きくなるにつれて芯材自身の強度が低下するが、内径が外径の98%を超えると芯材を熱間押出等によって製造することが困難となる。
【0016】
本発明では、芯材の内径を外径の70〜98%としているので、請求項1記載の発明の効果に加えて、ノズルの製造を一層容易にすることができるといった効果が生じる。
請求項3記載の発明は、
請求項1または2記載のガスシールドアーク溶接ノズル用素材を製造する製造方法であって、
上記分散強化銅部の外径よりも大きい内径を有する銅または黄銅製の容器の内側に、該容器の内径より小さくかつ上記芯材の外径より大きい外径を有する銅または黄銅製の柱体またはパイプを配設し、
該柱体またはパイプと上記容器との間に、粉末状の上記アルミナ分散強化銅を充填してビレットとし、
該ビレットを熱間押出することを特徴とするガスシールドアーク溶接ノズル用素材の製造方法を要旨としている。
【0017】
このように構成された本発明では、上記ビレットを熱間押出する際に粉末状のアルミナ分散強化銅が加圧され、上記分散強化銅部となる。また、このとき黄銅製の柱体またはパイプが縮径されて上記芯材となり、この結果、請求項1または2記載のガスシールドアーク溶接ノズル用素材が得られる。
【0018】
このように、本発明では、請求項1または2記載のガスシールドアーク溶接ノズル用素材を、熱間押出によって容易に製造することができる。従って、本発明によって上記素材を製造し、続いてその素材からノズルを製造すれば、変形し難く耐摩耗性および耐スパッタ溶着性に優れた分散強化銅製のノズルをきわめて容易に製造することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。図1(A)は本発明が適用されたガスシールドアーク溶接ノズル用素材(以下単にノズル用素材と記載)1の構成を表す断面図である。図1(A)に示すように、ノズル用素材1は、銅または黄銅によって円柱状に形成された芯材3と、その芯材3を中心として円柱状に形成された分散強化銅部(以下ODS部という)5と、そのODS部5の周囲に形成された外皮7とを備えている。なお、外皮7は、ノズル用素材1に必須の構成ではないが、次のような製造工程によって形成される。
【0020】
ノズル用素材1の製造工程は以下の通りである。先ず、銅または黄銅製の円筒状容器の内側に、その容器の内径よりも小さい外径を有する銅または黄銅製の円柱体を配設する。続いて、その円柱体と容器との間にアルミナ分散強化銅の粉末を充填してビレットとする。このビレットを熱間押出することによりノズル用素材1が得られる。外皮7は、上記容器が縮径されたものである。なお、この外皮7は、上記熱間押出時にビレットのダイス通過を円滑にする作用を有する。
【0021】
このようにして製造された図1(A)のノズル用素材1には、芯材3およびその周囲のODS部5をドリル等により破線9で示す位置までくり抜く加工と、外皮7およびその内側のODS部5をバイト等により破線11で示す位置まで切削する加工とが施される。この加工によって、図1(B)に示すノズル51を製造することができる。こうして製造されたノズル51は、図3に例示したようなガスシールドアーク溶接用トーチの部品として使用することができる。
【0022】
ここで、銅または黄銅は分散強化銅に比べてきわめて加工性に優れている。このため、ノズル用素材1の中心をドリル等でくり抜く上記作業はきわめて容易となる。なお、芯材3の外径はノズル51の内径(破線9の直径)に対して50%以上100%未満とした。
【0023】
芯材3の外径がノズル51の内径に対して50%未満であると、切削性を改善する効果が少ないと共に、高価なODS部5が多量に無駄になる。また、100%以上であると、ノズル51内面に銅または黄銅が残る。この場合、その銅または黄銅に従来のノズルと同様のスパッタが付着し、耐摩耗性の低下、スパッタの溶着等の問題が生じる。これに対して、ノズル用素材1では、芯材3の外径を上記範囲に設定しているので、切削性を良好に向上させると共に、材料のコストを低減することができ、更に、ノズル51の内面に銅または黄銅が残留することもない。なお、芯材3を構成する材料としては、純銅と黄銅とでは、黄銅の方が加工性に優れており、切削性を一層良好に向上させることができる。
【0024】
また、ODS部5を構成する分散強化銅は、0.05〜1.7重量%のアルミナを含み残部が銅と不可避不純物からなるアルミナ分散強化銅の粉末を、上記熱間押出により加圧して形成した。アルミナ分散強化銅のアルミナ含有量が、0.05重量%未満であると、充分な耐摩耗性や耐スパッタ溶着性,耐熱性が得られない。一方、上記アルミナ含有量が1.7重量%を超えると、熱間押出における加工性が低下して素材自身の製造が困難になる。これに対して、ノズル用素材1では、アルミナ含有量を上記範囲に設定しているので、素材自身の製造が容易であると共に、完成品のノズル51に充分な耐摩耗性および耐スパッタ溶着性,耐熱性が得られる。
【0025】
従って、ノズル用素材1を用いれば、変形し難く耐摩耗性および耐スパッタ溶着性に優れた分散強化銅製のノズル51を容易に製造することができる。
次に、図2(A)は、本発明が適用された他のノズル用素材21の構成を表す断面図である。このノズル用素材21は、芯材23が中空部23aを有するパイプ状に形成された点を除いて、ノズル用素材1と同様に構成されている。なお、図2(A)では、ノズル用素材1と同様に構成された部分に図1で用いたものと同一の符号を使用し、構成の詳細な説明を省略する。また、ノズル用素材21の製造工程は、ノズル用素材1の製造に用いた円柱体の代わりに銅または黄銅製のパイプを使用する点、および、熱間押出に当たってそのパイプを貫通する雄型マンドレルを使用する点において異なる。
【0026】
このノズル用素材21でも、芯材23およびその周囲のODS部5を破線9で示す位置までくり抜くと共に、外皮7およびその内側のODS部5を破線11で示す位置まで切削して、図2(B)に示すノズル51を製造することができる。また、ノズル用素材21では、芯材23がパイプ状に形成されているので、中央をくり抜く切削作業が一層容易となる。
【0027】
なお、ノズル用素材21では、芯材23の内径を外径に対して70〜98%としている。芯材23の内径が外径に対して70%未満であると、芯材23をパイプ状にした効果が充分に現れず、有意な切削性向上が見られない。また、芯材23の内径が大きくなるにつれて芯材23自身の強度が低下するが、内径が外径の98%を超えると芯材23を熱間押出によって製造することが困難となる。ノズル用素材21では、芯材23の内径を上記範囲に設定したので、ノズル51の製造をきわめて容易にすることができる。
【0028】
【実施例】
次に、本発明の作用・効果を検証するため、次のようにして種々のノズル用素材を実際に製造し、更にそのノズル用素材からノズル51を製造した。なお、以下に述べるように、完成品のノズル51は全て同じ規格とした。
【0029】
[実施例1]
粒径149μm以下のCu−0.4重量%Al合金粉末を350℃で1時間大気中に保持し、粉末表面を酸化させた。これをArガス雰囲気中で850℃×3時間加熱保持することにより粉末表面の酸素を粉末内部に拡散させ、Cu中のAlを酸化させてアルミナとし、更に、水素ガス雰囲気中で700℃×1時間加熱保持して粉末表面の過剰な酸素を除去した。この粉末をCIP(冷間静水圧プレス)により密度80%まで固化成形し、黄銅(73黄銅)製のφ150mmの棒を中央に配置した隣脱酸銅製容器(φ254mm×φ234mm×500mmL)にTIG溶接にて封入した。これをビレットとしてφ28mmに熱間押出し、抽伸によりφ22mmの棒(ノズル用素材1)とした。この芯材3の外径は15mmであり、ODS部5のアルミナ量は0.7重量%であった。この素棒からφ20mm×φ16mm×73mmLのノズル51を、外側はバイトによる旋盤加工、内側はドリルによる1回の穴通し加工により成形した。
【0030】
[実施例2]
粒径74μm以下のCu−0.2重量%Al合金粉末を400℃×1時間大気中で酸化させた。これを窒素ガス雰囲気中で900℃×3時間加熱保持し、更に、水素ガス雰囲気中で500℃×1時間加熱保持した。この粉末を黄銅製のφ115mmの棒を中心にして黄銅製容器(φ254mm×φ234mm×500mmL)と上記棒との間に充填し、TIG溶接にて封入した。これをビレットとしてφ60mmに熱間押出し、圧延および抽伸によりφ22mmの棒(ノズル用素材1)とした。この芯材3の外径は12mmであり、ODS部5のアルミナ量は0.3重量%であった。この素棒からφ20mm×φ16mm×73mmLのノズル51を成形した。
【0031】
[実施例3]
粒径74μm以下のCu−0.7重量%Al合金粉末を400℃×1時間大気中で酸化させた。これを窒素ガス雰囲気中で900℃×3時間加熱保持し、更に、水素ガス雰囲気中で700℃×1時間加熱保持した。この粉末を黄銅製のφ115mm×φ95mmのパイプを中心にして黄銅(64黄銅)製容器(φ254mm×φ234mm×500mmL)と上記パイプとの間に充填し、TIG溶接にて封入した。これをビレットとしてφ90mm×φ13mmに熱間押出し、圧延および抽伸によりφ22mm×φ9mmの管(ノズル用素材21)とした。この芯材23の外径は10.5mmであり、ODS部5のアルミナ量は1.3重量%であった。この素管からφ20mm×φ16mm×73mmLのノズル51を成形した。
【0032】
[実施例4]
粒径74μm以下のCu−0.4重量%Al合金粉末を400℃×1時間大気中で酸化させた。これを窒素ガス雰囲気中で900℃×3時間加熱保持し、更に、水素ガス雰囲気中で700℃×1時間加熱保持した。この粉末を黄銅製のφ115mm×φ95mmのパイプを中心にして無酸素銅製容器(φ254mm×φ234mm×500mmL)と上記パイプとの間に充填し、TIG溶接にて封入した。これをビレットとしてφ90mm×φ13mmに熱間押出し、圧延および抽伸によりφ22mm×φ9mmの管(ノズル用素材21)とした。この芯材23の外径は10.5mmであり、ODS部5のアルミナ量は0.7重量%であった。この素管からφ20mm×φ16mm×73mmLのノズル51を成形した。
【0033】
[実施例5]
粒径74μm以下のCu−0.4重量%Al合金粉末を400℃×1時間大気中で酸化させた。これを窒素ガス雰囲気中で900℃×3時間加熱保持し、更に、水素ガス雰囲気中で700℃×1時間加熱保持した。この粉末を黄銅製のφ115mm×φ70mmのパイプを中心にして黄銅製容器(φ254mm×φ234mm×500mmL)と上記パイプとの間に充填し、TIG溶接にて封入した。これをビレットとしてφ90mm×φ30mmに熱間押出し、圧延および抽伸によりφ22mm×φ5.0mmの管(ノズル用素材21)とした。この芯材23の外径は8mmであり、ODS部5のアルミナ量は0.7重量%であった。この素管からφ20mm×φ16mm×73mmLのノズル51を成形した。
【0034】
[比較例1]
粒径149μm以下のCu−0.4重量%Al合金粉末を350℃×1時間大気中で酸化させた。これをArガス雰囲気中で850℃×3時間加熱保持し、更に、水素ガス雰囲気中で700℃×1時間加熱保持した。この粉末を、CIPにより密度比80%まで固化成形し、黄銅製のφ75mmの棒を中心にして無酸素銅製容器(φ254mm×φ234mm×500mmL)と上記棒との間に充填し、TIG溶接にて封入した。これをビレットとしてφ28mmに熱間押出し、抽伸によりφ22mmの棒とした。この芯材の外径は7.5mmであり、ODS部のアルミナ量は0.7重量%であった。この素棒からφ20mm×φ16mm×73mmLのノズル51を成形した。
【0035】
[比較例2]
粒径149μm以下のCu−0.4重量%Al合金粉末を350℃×1時間大気中で酸化させた。これをArガス雰囲気中で850℃×3時間加熱保持し、更に、水素ガス雰囲気中で700℃×1時間加熱保持した。この粉末を、CIPにより密度比80%まで固化成形し、黄銅製のφ190mmの棒を中心にして隣脱酸銅製容器(φ254mm×φ234mm×500mmL)と上記棒との間に充填し、TIG溶接にて封入した。これをビレットとしてφ28mmに熱間押出し、抽伸によりφ22mmの棒とした。この芯材の外径は16.2mmであり、ODS部のアルミナ量は0.7重量%であった。この素棒からφ20mm×φ16mm×73mmLのノズル51を成形した。
【0036】
[比較例3]
粒径74μm以下のCu−0.02重量%Al合金粉末を350℃×1時間大気中で酸化させた。これをArガス雰囲気中で850℃×3時間加熱保持し、更に、水素ガス雰囲気中で700℃×1時間加熱保持した。この粉末を、黄銅製のφ150mmの棒を中心にしてゴム型と上記棒との間に充填し、CIPにより密度比77%まで固化成形し、黄銅製容器(φ254mm×φ234mm×500mmL)にTIG溶接にて封入した。これをビレットとしてφ28mmに熱間押出し、抽伸によりφ22mmの棒とした。この芯材の外径は10.5mmであり、ODS部のアルミナ量は0.04重量%であった。この素棒からφ20mm×φ16mm×73mmLのノズル51を成形した。
【0037】
[比較例4]
粒径74μm以下のCu−1.0重量%Al合金粉末を400℃×1時間大気中で酸化させた。これをArガス雰囲気中で900℃×3時間加熱保持し、更に、水素ガス雰囲気中で700℃×1時間加熱保持した。この粉末を、CIPにより密度比80%まで固化成形し、黄銅製のφ150mmの棒を中心にして隣脱酸銅製容器(φ254mm×φ234mm×500mmL)にTIG溶接にて封入した。これをビレットとしてφ28mmに熱間押出したところ、V字形の割れが多発したので製造を中止した。
【0038】
[比較例5]
従来は中央に芯材を設けず、銅製缶に分散強化銅粉末を入れるだけで作製されており、ノズルに切削する場合、中央のODS部を多量に切削除去せねばならず切削効率が悪いと共に、高価なODS部が多く無駄になっていた。この比較例は、芯材を設けないその製造方法である。
【0039】
粒径149μm以下のCu−0.4重量%Al合金粉末を350℃×1時間大気中で酸化させた。これをArガス雰囲気中で850℃×3時間加熱保持し、更に、水素ガス雰囲気中で700℃×1時間加熱保持した。この粉末を、CIPにより密度比80%まで固化成形し、隣脱酸銅製容器(φ254mm×φ234mm×500mmL)に充填し、TIG溶接にて封入した。これをビレットとしてφ28mmに熱間押出し、抽伸によりφ22mmの棒とした。このODS部のアルミナ量は0.7重量%であった。この素棒からφ20mm×φ16mm×73mmLのノズル51を成形した。
【0040】
上記実施例および比較例の方法によって製造したノズル用素材からノズル51を成形するのに要した切削時間、および、成形されたノズル51の寿命を表1に示す。なお、表1では、切削時間およびノズル寿命を、従来材である比較例5を1とした比で表した。また、表1には、ノズル51の内径に対する芯材3,23の外径の割合(X%)を併せて記載し、パイプ状の芯材23を使用したものについては、その外径に対する内径の割合(Y%)をも併せて記載した。
【0041】
【表1】
Figure 0003748636
【0042】
表1に示すように、X%が50%未満である比較例1では、切削時間が0.9と長く、切削性を改善する効果が余り見られなかった。また、高価なODS部が多量に無駄になるという問題も生じた。X%が100%以上である比較例2では、ノズル51内面に黄銅部が残留した。このため、比較例2によって製造されたノズル51には、残留した黄銅部にスパッタが付着した。ODS部のアルミナ含有量を0.05重量%未満とした比較例3では、ノズル寿命比が0.2と短く、充分な耐摩耗性や耐スパッタ溶着性が得られなかった。また、上記アルミナ含有量が1.7重量%を超えている比較例4では、押出時に割れが発生してノズル用素材自身の製造が困難であった。
【0043】
これに対して、実施例1〜5では、X%を50%以上100%未満としているので、切削性を良好に向上させると共に、材料のコストを低減することができ、更に、ノズル51の内面に銅または黄銅が残留することもなかった。また、上記アルミナ含有量を0.05重量%〜1.7重量%としているので、素材自身の製造が容易であると共に、完成品のノズル51に充分な耐摩耗性および耐熱性,耐スパッタ溶着性が得られた。
【0044】
更に、パイプ状の芯材23を使用した実施例3〜5同士を比較すると、Y%を70%未満とした実施例5では、芯材23をパイプ状にした効果が充分に現れず、有意な切削性向上が見られない。また、Y%が98%を超えると、芯材23の熱間押出による製造が困難となることが予想される。実施例3,4では、Y%を70〜98%としたので、切削時間が0.3と、ノズル51の製造をきわめて容易にすることができた。
【0045】
なお、本発明では、芯材を銅または黄銅で構成しているが、例えばブロンズ等のように、分散強化銅よりも加工性の優れた銅合金を用いて芯材を構成しても本発明と同様の作用・効果が得られることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたノズル用素材の構成を表す断面図である。
【図2】本発明が適用された他のノズル用素材の構成を表す断面図である。
【図3】ガスシールドアーク溶接用トーチの構成を例示する断面図である。
【符号の説明】
1,21…ガスシールドアーク溶接ノズル用素材 3,23…芯材
5…分散強化銅部 7…外皮 23a…中空部 51…ノズル

Claims (3)

  1. ガスシールドアーク溶接用トーチに用いられるノズルを製造するための素材であって、
    銅または黄銅からなり、上記ノズルの内径に対して50%以上100%未満の外径を有する柱状またはパイプ状の芯材と、
    0.05〜1.7重量%のアルミナを含み残部が銅と不可避不純物からなるアルミナ分散強化銅により、上記芯材を中心として形成され、上記ノズルの外径と同一またはそれより大きい外径を有する分散強化銅部と、
    を備えたことを特徴とするガスシールドアーク溶接ノズル用素材。
  2. 上記芯材が、その芯材の外径に対して70〜98%の内径を有するパイプ状に構成されたことを特徴とする請求項1記載のガスシールドアーク溶接ノズル用素材。
  3. 請求項1または2記載のガスシールドアーク溶接ノズル用素材を製造する製造方法であって、
    上記分散強化銅部の外径よりも大きい内径を有する銅または黄銅製の容器の内側に、該容器の内径より小さくかつ上記芯材の外径より大きい外径を有する銅または黄銅製の柱体またはパイプを配設し、
    該柱体またはパイプと上記容器との間に、粉末状の上記アルミナ分散強化銅を充填してビレットとし、
    該ビレットを熱間押出することを特徴とするガスシールドアーク溶接ノズル用素材の製造方法。
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