JP3748364B2 - 飛灰溶融炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ごみや産業廃棄物等の廃棄物を焼却処理するストーカ式焼却炉や流動床式焼却炉の排ガス処理設備で捕集された焼却飛灰を溶融処理する溶融炉に係り、特に、焼却飛灰を単独で灯油や天然ガス等の化石燃料の燃焼熱により溶融処理するようにした燃料燃焼式の飛灰溶融炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、都市ごみ等の廃棄物は、その多くがストーカ式焼却炉や流動床式焼却炉により焼却処理されている。前者のストーカ式焼却炉に於いては、焼却残渣として炉内に残る焼却灰と、排ガス中に持ち出されて集塵器等の排ガス処理設備により捕集される焼却飛灰とが発生する。一方、後者の流動床式焼却炉に於いては、その構造上、焼却残渣は全て焼却飛灰として排ガス処理設備により捕集されている。
【0003】
ところで、ストーカ式焼却炉や流動床式焼却炉から排出されて排ガス処理設備で捕集された焼却飛灰は、粉体状で低沸点の重金属類等の揮散成分やダイオキシン類を多く含んでいるばかりでなく、排ガス処理設備に於いて排ガス中に含まれるHClやSOx等の酸性ガス処理として消石灰Ca(OH)2 を吹き込む乾式処理を行った場合には、高塩基度(CaO/SiO2 )で且つ高融点物質となっている。
【0004】
そこで、近年、焼却灰や焼却飛灰の減容化や無害化、安定化を図る為、焼却灰や焼却飛灰の溶融固化処理が注目され、現実に実用に供されている。特に、焼却飛灰は、焼却灰に比べてダイオキシン類の濃度や重金属類の含有量が高く、溶融固化することが強く求められている。
【0005】
焼却灰や焼却飛灰の溶融処理には、灯油や天然ガス等の化石燃料の燃焼熱を熱源とする燃料燃焼式溶融炉(例えば表面溶融炉、旋回溶融炉、コークスベッド炉)や、電気エネルギーを熱源とする電気式溶融炉(例えばアーク溶融炉、プラズマアーク炉、電気抵抗炉)等があり、何れも実用に供している。一般的に、発電設備を有する焼却設備の場合には電気式溶融炉が、又、発電設備を持たない場合や広域処理を行う場合には燃料燃焼式溶融炉が用いられている。
【0006】
燃料燃焼式溶融炉の代表的なものとしては表面溶融炉が挙げられる。即ち、表面溶融炉は、炉内に4方向から焼却灰や焼却飛灰が供給されて傾斜状の溶融面を形成する4面式構造若しくは炉内に対面2方向から焼却灰や焼却飛灰が供給されて傾斜状の溶融面を形成する対面式構造となっており、溶融炉の周囲のホッパに貯められた焼却灰や焼却飛灰を灰供給装置により炉内に押し出し、炉天井に設けた予熱空気を支燃ガスとするバーナの燃焼熱により押し出された焼却灰や焼却飛灰の表面を溶融するようにしたものである。この表面溶融炉は、焼却灰のように粗物を含む粒径の不均一な被溶融物を溶融するのに適していること、構造が簡単で多様な化石燃料を使用できること等の利点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、焼却飛灰を表面溶融炉等の燃料燃焼式溶融炉で単独溶融する場合には次の▲1▼〜▲4▼のような問題がある。
▲1▼ 酸性ガス処理として消石灰Ca(OH)2 を吹き込んだ焼却飛灰は、高塩基度で且つ高融点となっている為、焼却飛灰を燃料燃焼式溶融炉で溶融する場合には、通常の空気を支燃ガスとしたバーナでは燃焼温度が低く、完全溶融は困難である。
▲2▼ 焼却飛灰には重金属類等の揮散成分が多く含まれ且つ粉粒状である為、未溶融のまま排ガスと一緒に持ち出される焼却飛灰も多く、排ガス中に含まれるダスト濃度が高くなってダクト等の閉塞を招く虞があるうえ、スラグ化率の低下を招くと云う問題がある。
▲3▼ 燃料燃焼式溶融炉に於いては、灯油等の化石燃料を燃焼するに予熱空気を用いるのが一般的であるが、排ガスの持出熱量が多くなって燃比が高くなると云う問題がある。
▲4▼ 焼却飛灰がバーナの燃焼熱を受けるのは、炉内に押し出されて安息角で形成された溶融面の表面であり、溶融するのに十分な受熱をする為には大きな表面積を必要とする。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は廃棄物を焼却炉で焼却処理した際に発生する焼却飛灰を低燃比で安定溶融することができるようにした飛灰溶融炉を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願請求項1の発明は、下端部に溶融スラグの出滓口及び排ガス出口を有する耐火物構造の縦型円筒状の溶融炉本体と、溶融炉本体の天井壁に下向き姿勢で設けた酸素バーナとを具備し、焼却炉の排ガス処理設備で捕集された焼却飛灰を酸素バーナに供給される酸素により気体輸送し、該焼却飛灰を酸素と一緒に酸素バーナの高温火炎中に吹き込んで燃焼溶融するようにした飛灰溶融炉において、前記酸素バーナを、支燃ガスである酸素を炉内へ一次酸素と二次酸素に分けて二段に供給し、前記焼却飛灰を気体輸送する一次酸素を酸素バーナの中心部から旋回させながら酸素バーナの高温火炎中に吹き込むと共に、二次酸素を溶融炉本体の天井壁に形成した二次酸素ノズルから旋回させながら炉内へ吹き込む構造とし、また、前記溶融炉本体を、溶融炉本体の炉底に飛灰の溶融スラグを溜める湯溜まり部を備え、湯溜まり部に溜まった飛灰の溶融スラグを溶融炉本体の側壁の下方部に形成した出滓口からオーバーフローさせて炉本体外部へ出湯すると共に、炉内で発生した燃焼排ガスを前記出滓口と対向する位置に形成した排ガス出口から炉本体外部へ排出する構造とし、更に、前記排ガス出口に連通する二次燃焼室と二次燃焼室内へ二次燃焼用酸素を吹き込む酸素吹込みノズルを有する二次燃焼塔を前記溶融炉本体に接続し、飛灰溶融炉の酸素バーナに供給する酸素量を燃料の理論燃焼酸素量以下として炉内を還元雰囲気にして、溶融炉本体から二次燃焼室内へ排出した燃焼排ガス中の未燃ガスを二次燃焼用酸素により完全燃焼させる構成としたことを特徴とする飛灰溶融炉。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る飛灰溶融炉1を用いた焼却飛灰Aの溶融処理設備の一例を示すものであり、図1於いて、1は飛灰溶融炉、2は溶融炉本体、3は酸素バーナ、4は酸素飛灰供給機構、5は一次酸素供給管、6は二次酸素供給管、7は二次燃焼用酸素供給管、8は酸素供給源、9は制御弁、10は流量計、11は二次燃焼塔、12は二次燃焼室、13は酸素吹込みノズル、14は減温塔、15はスラグ冷却水槽、16は水封式スラグコンベヤ、17は焼却飛灰供給装置、18は飛灰用サイロ、19はサイロ定量切出し装置、20は飛灰供給コンベヤ、21は飛灰計量機、22は計量機排出装置、23はホッパ、24はホッパ定量切出し装置、25はホッパレベルセンサーである。
【0014】
前記飛灰溶融炉1は、耐火物構造の縦型円筒状の溶融炉本体2と、溶融炉本体2に設けた酸素バーナ3と、酸素バーナ3に接続されて酸素バーナ3へ酸素及び焼却飛灰Aを供給する酸素飛灰供給機構4と、溶融炉本体2に接続した二次燃焼塔11等から構成されており、酸素バーナ3の支燃ガスである酸素により焼却飛灰Aを酸素バーナ3へ気体輸送してこれを酸素バーナ3の高温火炎中に吹き込んで燃焼溶融すると共に、炉内で発生した燃焼排ガスGを二次燃焼塔11に導いて燃焼排ガスG中の未燃ガスを二次燃焼塔11内で二次燃焼用酸素Dにより完全燃焼するようにしたものである。
【0015】
即ち、前記溶融炉本体2は、図1に示す如く、金属製のケーシング及びキャスタブル耐火物や耐火煉瓦等の耐火物で夫々形成された側壁2a、天井壁2b及び炉底2cにより縦型円筒状に構成されており、側壁2aの下部には溶融スラグHを排出する出滓口2d及び傾斜状の樋2eと燃焼排ガスGを排出する排ガス出口2fとが夫々形成されている。この出滓口2dと排ガス出口2fとは、側壁2aの下部に対向状で且つ反対方向に形成されている。
又、溶融炉本体2の炉底2cには、溶融スラグHを溜める窪み状の湯溜まり部2gが形成されており、湯溜まり部2gに溜まった溶融スラグHが出滓口2dからオーバーフローして出湯されるようになっている。
更に、溶融炉本体2の出滓口2dには、耐火物構造の溶融スラグ落下シュート26が接続されており、出滓口2d及び樋2eから排出された溶融スラグHが溶融スラグ落下シュート26を経てスラグ冷却水槽15内へ落下するようになっている。
【0016】
前記酸素バーナ3は、溶融炉本体2の天井壁2bの中心部に下向き姿勢で設けられており、後述する酸素飛灰供給機構4により供給された支燃ガスである酸素を炉内へ一次酸素Bと二次酸素Cに分けて二段供給できると共に、一次酸素Bにより気体輸送された焼却飛灰Aを一次酸素Bと一緒に炉内へ吹き込める構造となっている。即ち、酸素バーナ3は、一次酸素Bを焼却飛灰Aと一緒に酸素バーナ3の中心部から旋回させながら酸素バーナ3の高温火炎中に吹き込めると共に、二次酸素Cを溶融炉本体2に形成した二次酸素ノズル33から旋回させながら炉内へ吹き込めるように構成されている。
【0017】
具体的には、酸素バーナ3は、図2に示す如く、溶融炉本体2の天井壁2bの中心に形成したバーナスロート27及びバーナタイル28と、バーナスロート27の中心位置に配置され、先端部に炉内へ燃料E(灯油等の液体燃料や天然ガス等の気体燃料)を吹き込むノズル29aを備えたバーナガン29と、バーナガン29に接続された燃料供給管30と、バーナガン29に接続された噴霧媒体供給管31(燃料Eが気体燃料の場合には不要)と、バーナスロート27に連通状に接続され、バーナスロート27へ一次酸素Bと焼却飛灰Aを供給するウインドボックス32と、天井壁2b(若しくは側壁2a)に設けられ、炉内へ二次酸素Cを吹き込む複数の二次酸素ノズル33等から構成されており、バーナスロート27及び二次酸素ノズル33から炉内へ一次酸素B及び二次酸素Cを吹き込みつつ、バーナガン29から炉内へ燃料Eを吹き込み、これらをパイロットバーナ等の着火器(図示省略)で着火燃焼させることによって、炉内に下向きの高温火炎を形成できるようになっている。
又、酸素バーナ3のウインドボックス32には、後述する酸素飛灰供給機構4の一次酸素供給管5が接線方向に接続されており、ウインドボックス32内に供給された一次酸素B及び焼却飛灰Aが旋回しながらバーナスロート27から炉内へ吹き込まれるようになっている。
更に、酸素バーナ3の二次酸素ノズル33は、炉内へ吹き込まれる二次酸素Cが一次酸素Bと同じ方向へ旋回するように溶融炉本体2の天井壁2bの数箇所に設けられており、二次酸素Cを炉内へ吹き込んで炉内に旋回流を形成できるようになっている。この二次酸素ノズル33は、後述する酸素飛灰供給機構4の二次酸素供給管6に接続されている。
【0018】
而して、前記酸素バーナ3によれば、一次酸素供給管5からウインドボックス32内に供給された一次酸素B及び焼却飛灰Aは、ウインドボックス32内で旋回を与えられ、旋回しながらバーナスロート27から酸素バーナ3の高温火炎中に吹き込まれる。又、二次酸素Cは、二次燃焼用酸素供給管7から二次酸素ノズル33へ供給された二次酸素Cは、二次酸素ノズル33から一次酸素Bと同じ方向の旋回を与えられて炉内へ吹き込まれる。
【0019】
尚、この酸素バーナ3に於いては、燃料Eに液体燃料を使用する場合、噴霧媒体Fとして蒸気、酸素、圧縮空気を使用することができるが、NOxの発生量は蒸気<酸素<圧縮空気の順で高くなることから、NOxの抑制を考えると、噴霧媒体Fとして蒸気の使用が望まれる。
【0020】
前記酸素飛灰供給機構4は、酸素バーナ3に支燃ガスとして一次酸素B及び二次酸素Cを供給すると共に、酸素バーナ3に気体輸送により焼却飛灰Aを供給するものであり、図1に示す如く、酸素バーナ3のウインドボックス32に接続され、ウインドボックス32に一次酸素B及び焼却飛灰Aを供給する一次酸素供給管5と、二次酸素ノズル33に接続された二次酸素供給管6と、一次酸素供給管5及び二次酸素供給管6に接続された酸素供給源8と、一次酸素供給管5及び二次酸素供給管6に夫々介設された制御弁9及び流量計10等から構成されている。
【0021】
前記二次燃焼塔11は、図1に示す如く、内部に二次燃焼室12を有する縦型円筒状の耐火物構造となっており、溶融炉本体2の排ガス出口2fに連通状に接続されている。この二次燃焼塔11は、酸素バーナ3の酸素吹込み量を燃料Eの燃焼に必要な酸素量より少なくして炉内を還元性雰囲気とした場合に、燃焼排ガスG中に含まれる未燃ガスを完全燃焼するものである。この場合には、炉内を還元性雰囲気にすることができ、燃焼排ガスGの低NOx化を図れる。
又、二次燃焼塔11の上流側位置(図1に示す二次燃焼塔11の下部位置)には、二次燃焼室12内に二次燃焼用酸素Dを吹き込む酸素吹込みノズル13が設けられている。この酸素吹込みノズル13は、二次燃焼室12の内周面に沿ってその接線方向に二次燃焼用酸素Dを吹き込んで二次燃焼室12内に旋回流を形成できるようになっており、二次燃焼用酸素供給管7を介して酸素供給源8に接続されている。
【0022】
前記焼却飛灰供給装置17は、ストーカ式焼却炉や流動床式焼却炉の排ガス処理設備で捕集された焼却飛灰Aを貯留する飛灰用サイロ18と、飛灰用サイロ18内の焼却飛灰Aを切り出すサイロ定量切出し装置19と、切り出した焼却飛灰Aを搬送する飛灰供給コンベヤ20と、焼却飛灰Aを計量する飛灰計量機21と、飛灰計量機21内の焼却飛灰Aを排出する計量機排出装置22と、計量機排出装置22から排出された焼却飛灰Aを貯留するホッパ23と、ホッパ23内の焼却飛灰Aを一次酸素供給管5内へ切り出すホッパ定量切出し装置24と、ホッパ23内の焼却飛灰Aの貯留量を検出するホッパレベルセンサー25と、サイロ定量切出し装置19、飛灰供給コンベヤ20及び計量機排出装置22等を制御する制御装置(図示省略)等から構成されており、ホッパ23内の焼却飛灰Aをホッパ定量切出し装置24により定量ずつ切り出して一次酸素供給管5内へ供給するようになっている。一次酸素供給管5内に切り出された焼却飛灰Aは、酸素供給源8から供給される一次酸素Bにより気体輸送され、一次酸素Bと一緒に酸素バーナ3へ供給される。
又、焼却飛灰供給装置17は、ホッパ23内へ随時焼却飛灰Aを供給してホッパ23内の焼却飛灰Aのレベルが一定となるように制御装置(図示省略)により駆動制御されている。即ち、制御装置は、ホッパレベルセンサー25からホッパ23内の焼却飛灰Aのレベルが低下した信号を受けると、飛灰計量機21が設定された重量を検出するまでサイロ定量切出し装置19及び飛灰供給コンベヤ20を運転し、次に飛灰計量機21が設定された重量を検出すると、サイロ定量切出し装置19及び飛灰供給コンベヤ20を順次停止し、その後計量機排出装置22を運転して焼却飛灰Aをホッパ23へ供給するようになっている。
【0023】
次に、上述した飛灰溶融炉1を備えた溶融処理設備を用いて焼却炉の排ガス処理設備で捕集された焼却飛灰Aを溶融処理する場合について説明する。
焼却飛灰Aの溶融開始に際しては、予め酸素バーナ3等を作動させて溶融炉本体2の炉内温度を所定の温度(焼却飛灰Aを溶融できる温度)に予熱しておく。
【0024】
溶融炉本体2の炉内が所定の温度まで達すると、焼却飛灰供給装置17及び酸素飛灰供給機構4により焼却飛灰Aが一次酸素Bと一緒に酸素バーナ3へ供給される。即ち、飛灰用サイロ18に投入された焼却飛灰Aは、サイロ定量切出し装置19、飛灰供給コンベヤ20、飛灰計量機21、計量機排出装置22、ホッパ23及びホッパ定量切出し装置24を順次経て一次酸素供給管5に供給され、一次酸素供給管5内を流れる一次酸素Bにより気体輸送されて一次酸素Bと一緒にウインドボックス32内に供給される。
【0025】
ウインドボックス32内に供給された一次酸素B及び焼却飛灰Aは、旋回を与えられてバーナスロート27から炉内へ吹き込まれ、酸素バーナ3の高温火炎中で燃焼溶融されて溶融スラグHとなる。このとき、酸素バーナ3は、支燃ガスとして酸素を用いている為、支燃ガスに空気を用いるバーナに比較して高温の火炎が得られる。その結果、高融点の焼却飛灰Aでも単独で確実に燃焼溶融することができる。又、支燃ガスである一次酸素Bにより焼却飛灰Aを高温火炎中に気体輸送するようにしている為、個々の飛灰粒子の表面積を受熱面として十分活用することができ、焼却飛灰Aを効率良く溶融することができる。
【0026】
前記溶融スラグHは、炉内へ旋回しながら吹き込まれる一次酸素B及び二次酸素Cにより生じる燃焼排ガスGの旋回流により溶融炉本体2の側壁2a内面に付着して炉底2c側へ流れて行く。このとき、溶融炉本体2の側壁2a内面に付着する溶融スラグHによって、側壁2a内面には溶融スラグHのコーティング層が形成される。これによって、側壁2aを形成する耐火物の表面を酸素バーナ3の高温火炎から保護することができる。
【0027】
そして、炉底2c側へ流れた溶融スラグHは、炉底2cに形成した湯溜まり部2gに一時的に貯留された後、出滓口2dから順次オーバーフローして樋2eを流れてその下方のスラグ冷却水槽15内へ落下し、冷却水により急冷固化されて粒状の水砕スラグとなって水封式スラグコンベヤ16により運び出される。このとき、溶融炉本体2の炉底2cに形成した湯溜まり部2gに溶融スラグHを一時的に貯留するようにしている為、炉底2cを形成する耐火物の表面を酸素バーナ3の高温火炎から保護することができる。又、炉底2cの湯溜まり部2gに溶融スラグHを溜めるようにしている為、溶融スラグHの炉内への滞留時間が長くなって溶融スラグH中の重金属類の含有量が低下すると共に、燃焼排ガスG中の未溶融物が湯溜まり部2gに落下して完全溶融される。
【0028】
一方、炉内で発生した高温の燃焼排ガスGは、排ガス出口2fを通って二次燃焼室12内に送り込まれ、ここで酸素吹込みノズル13から二次燃焼室12内に吹き込まれる二次燃焼用酸素Dにより二次燃焼室12内に於いて二次燃焼される。このとき、酸素吹込みノズル13から二次燃焼室12の内周面に沿ってその接線方向に二次燃焼用酸素Dを吹き込んで二次燃焼室12内に旋回流を形成するようにしている為、排ガスG中に含まれる未燃ガスは二次燃焼室12内に於いて十分な滞留時間と温度をもって攪拌・燃焼される。その結果、溶融炉本体2から排出される排ガスG中の未燃ガスは完全燃焼されることになる。
【0029】
二次燃焼室12内で二次燃焼された後の排ガスGは、引き続き減温塔14へ送られ、ここで冷却水や圧縮空気等の冷却媒体Iの噴射によって減温された後、集塵器や触媒脱硝塔等の排ガス処理設備(図示省略)を経てクリーンガスとなって煙突(図示省略)から大気中へ放出される。
【0030】
【発明の効果】
上述の通り、本発明の飛灰溶融炉は、溶融炉本体に高温火炎を作る酸素バーナを設けると共に、酸素バーナの支燃ガスである酸素により焼却飛灰を気体輸送し、該焼却飛灰を酸素と一緒に酸素バーナの高温火炎中に吹き込んで燃焼溶融するようにしている為、高融点の焼却飛灰を単独で溶融処理することができると共に、支燃ガスである酸素により焼却飛灰を高温火炎中に気体輸送することで個々の飛灰粒子の表面積を受熱面として十分活用することができ、焼却飛灰を効率良く溶融することが可能になり、炉自体をコンパクト化することができる。然も、飛灰溶融炉は、酸素バーナを用いている為、排ガス量を減少することができる。その結果、排ガスの持ち出し熱量を低減することができ、燃比の削減が可能になると共に、溶融炉以降の排ガス処理設備を縮小することができ、設置スペースや設備コストの低減を図れる。
又、本発明の飛灰溶融炉は、酸素バーナの支燃ガスである酸素を炉内へ一次酸素と二次酸素に分けて二段供給し、一次酸素及び二次酸素を旋回させながら炉内へ吹き込めるようにしている為、炉内へ旋回しながら吹き込まれる一次酸素及び二次酸素により生じる燃焼排ガスの旋回流により、溶融スラグは溶融炉本体の側壁内面に付着して炉底側へ流れて行く。その結果、溶融炉本体の側壁内面に付着する溶融スラグによって、側壁を形成する耐火物の表面を酸素バーナの高温火炎から保護することができる。
更に、本発明の飛灰溶融炉は、溶融炉本体の炉底に溶融スラグを溜める湯溜まり部を設け、湯溜まり部に溜まった溶融スラグを出滓口からオーバーフローさせて出湯するようにしている為、湯溜まり部に一時的に貯留した溶融スラグよって、炉底を形成する耐火物の表面を酸素バーナの高温火炎から保護することができる。然も、溶融スラグの炉内への滞留時間が長くなって溶融スラグ中の重金属類の含有量の低減を図れると共に、燃焼排ガス中の未溶融物が湯溜まり部に落下して完全溶融される。
加えて、本発明の飛灰溶融炉は、溶融炉本体に二次燃焼室及び酸素吹込みノズルを有する二次燃焼塔を接続し、溶融炉本体から二次燃焼室内に送り込まれた燃焼排ガス中の未燃ガスを二次燃焼室内に於いて二次燃焼用酸素により二次燃焼させるようにしている為、燃焼排ガス中の未燃ガスを完全燃焼することができると共に、酸素バーナへの酸素を少なくして炉内を還元性雰囲気にすることができ、燃焼排ガスの低NOx化を図れる。然も、焼却飛灰を高温火炎中で且つ還元性雰囲気で溶融することで、溶融スラグ中の重金属類の含有量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る飛灰溶融炉を用いた溶融処理設備の概略系統図である。
【図2】飛灰溶融炉に用いる酸素バーナの概略縦断面図である。
【符号の簡単な説明】
1は飛灰溶融炉、2は溶融炉本体、2bは天井壁、2cは炉底、2dは出滓口、2fは排ガス出口、2gは湯溜まり部、3は酸素バーナ、11は二次燃焼塔、12は二次燃焼室、13は酸素吹込みノズル、33は二次酸素ノズル、Aは焼却飛灰、Bは一次酸素、Cは二次酸素、Dは二次燃焼用酸素、Gは燃焼排ガス、Hは溶融スラグ。
Claims (1)
- 下端部に溶融スラグの出滓口及び排ガス出口を有する耐火物構造の縦型円筒状の溶融炉本体と、溶融炉本体の天井壁に下向き姿勢で設けた酸素バーナとを具備し、焼却炉の排ガス処理設備で捕集された焼却飛灰を酸素バーナに供給される酸素により気体輸送し、該焼却飛灰を酸素と一緒に酸素バーナの高温火炎中に吹き込んで燃焼溶融するようにした飛灰溶融炉において、前記酸素バーナを、支燃ガスである酸素を炉内へ一次酸素と二次酸素に分けて二段に供給し、前記焼却飛灰を気体輸送する一次酸素を酸素バーナの中心部から旋回させながら酸素バーナの高温火炎中に吹き込むと共に、二次酸素を溶融炉本体の天井壁に形成した二次酸素ノズルから旋回させながら炉内へ吹き込む構造とし、また、前記溶融炉本体を、溶融炉本体の炉底に飛灰の溶融スラグを溜める湯溜まり部を備え、湯溜まり部に溜まった飛灰の溶融スラグを溶融炉本体の側壁の下方部に形成した出滓口からオーバーフローさせて炉本体外部へ出湯すると共に、炉内で発生した燃焼排ガスを前記出滓口と対向する位置に形成した排ガス出口から炉本体外部へ排出する構造とし、更に、前記排ガス出口に連通する二次燃焼室と二次燃焼室内へ二次燃焼用酸素を吹き込む酸素吹込みノズルを有する二次燃焼塔を前記溶融炉本体に接続し、飛灰溶融炉の酸素バーナに供給する酸素量を燃料の理論燃焼酸素量以下として炉内を還元雰囲気にして、溶融炉本体から二次燃焼室内へ排出した燃焼排ガス中の未燃ガスを二次燃焼用酸素により完全燃焼させる構成としたことを特徴とする飛灰溶融炉。
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