JP3754472B2 - ガス燃料を使用した表面溶融炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ごみ焼却炉から排出される焼却残滓(焼却灰及び焼却媒塵)や破砕不燃物等を溶融処理するためのガス燃料を使用した表面溶融炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市ごみ等の焼却炉から排出される焼却残滓や飛灰の減容化及び無害化を図るため、焼却残滓等の溶融固化処理法が注目され、現実に実用に供されている。焼却残滓等は溶融固化することにより、その容積を1/2〜1/3に減らすことができると共に、重金属等の有害物質の溶出防止や溶融スラグの再利用、最終埋立処分場の延命等が可能になるからである。
【0003】
而して、前記焼却残滓等の溶融固化処理方法には、アーク溶融炉やプラズマアーク炉、電気抵抗炉等を使用し、電気エネルギーによって被溶融物を溶融固化する方法と、表面溶融炉や旋回溶融炉、コークスベッド炉等を使用し、燃料の燃焼エネルギーによって被溶融物を溶融固化する方法とが多く利用されており、都市ごみ焼却設備に発電設備が併置されている場合には、前者の電気エネルギーを用いる方法が、また発電設備が併置されていない場合には、後者の燃焼エネルギーを用いる方法が夫々多く採用されている。
更に、後者の燃焼エネルギーを用いる溶融固化処理方法にあっては、従来から灯油や重油等の液体燃料をエネルギー源とする溶融固化処理設備が多く利用されている。
【0004】
図9は、従前のごみ焼却処理設備に併置した液体燃料を用いる燃焼残滓等の溶融固化処理設備の一例を示す説明図であり、図9に於いて、21は液体燃料燃焼式の表面溶融炉、22はホッパ、23はプッシヤ、24は溶融炉本体天井、25は灯油バーナ、26は被溶融物、27はスラグタップ、28は高温煙道、29は空気予熱器、30は水封式スラグ排出用コンベア、31は燃料タンク、32は送油ポンプ、33は燃料制御装置、34は空気圧縮機、35はエアータンク、36は押込送風機、37は空気供給ダクト、38は空気量調整ダンパである。
【0005】
A重油や灯油等の液体燃料はローリー車等で溶融固化処理設備まで搬入され、燃料タンク31に一担貯留される。また、ごみ焼却残滓や飛灰は、ごみ焼却設備からコンベアー(図示省略)等により溶融固化処理設備へ搬入され、表面溶融炉21のホッパ22内へ貯留されたあと、プッシャ23により溶融炉本体内へ順次供給されて行く。
【0006】
前記送油ポンプ32により圧送された液体燃料は、空気圧縮機34からの高圧空気若しくはごみ焼却炉の廃熱ボイラからの蒸気(図示省略)によって溶融バーナ25のノズル内で微粒化され、溶融炉本体内の被溶融物26へ向けて噴射される。そして、これに空気供給ダクト37を通して高温の燃焼用空気が供給されることにより、前記微粒化された燃料油が燃焼される。
尚、溶融バーナ25の作動等は、全て燃焼制御装置33によってコントロールされている。
【0007】
前記溶融バーナ25からの燃焼火炎によって加熱溶融されたスラグは、スラグタップ27を通して水封式のスラグ排出用コンベア30上へ排出され、冷却固化されたあと外部へ排出されて行く。
更に、溶融炉本体内の燃焼ガスは空気予熱器29で冷却されたあと、ガス冷却設備(図示省略)を通して大気中へ排出されて行く。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記液体燃料を用いる表面溶融炉は比較的安定した被溶融物の溶融が出来、優れた実用的効用を有するものである。
しかし、当該液体燃料を用いる表面溶融炉にも解決すべき多くの問題が残されている。
【0009】
先ず第1の問題は溶融固化処理設備が大形化し、イニシャルコストやランニングコストが高騰すると云う点である。即ち、前記図9に示す如く、液体燃料式表面溶融炉では、燃料タンクや送油設備(送油ポンプ及び空気圧縮機等)を必要とするため、必然的に設備が大形化し、大きな設置スペースを必要とする。
これに対して、従来のごみ焼却処理設備は都市の周辺地域に多く設置されており、また、溶融固化処理設備の方もごみ焼却処理設備の中にその殆んどが設置されている。そのため、広い設置スペースの確保が一層困難になりつつあり、溶融固化設備の小形化は最も緊急性の高い問題となっている。
【0010】
第2の問題は溶融固化処理設備のランニングコストの問題である。従前の液体燃料を用いる表面溶融炉では、燃料の輸送や送油ポンプ等の運転を必要とするため、機械設備の補修を含めてそのランニングコストが大幅に上昇し、溶融固化処理費の引下げが図り難いと云う難点がある。
【0011】
第3の問題は環境汚損の問題である。灯油や重油を燃料とするため必然的にNOxやSOxの発生量が増え、大都市近傍には益々設置し難くなると云う問題がある。
【0012】
第4の問題は溶融処理能力の問題である。従前の液体燃料を用いる表面溶融炉では、油噴霧バーナとして例えば高負荷運転が可能な多孔式バーナや液膜式バーナを使用し、液体燃料を高圧蒸気或いは高圧圧縮空気で噴霧燃焼させるようにしている。
そのため、燃焼火炎の形状が、所謂ホロコーン形状等の火炎断面に対して熱量分布が比較的不均一な形状となり、溶融炉本体天井から被溶融物の溶融面に向って火炎を形成する表面溶融炉においては、溶融面の全域を均一に加熱することが困難となる。その結果、表面溶融炉の小形化や単位炉容積当りの溶融処理量の増加が図れないと云う問題がある。
【0013】
本発明は、従前の液体燃料を用いた表面溶融炉に於ける上述の如き問題を解決せんとするものであり、液体燃料に代えて都市ガスやLPG、LNG等のガス燃料を用いることにより、溶融炉本体やその他の設備の小形化、溶融処理容量の大幅な増加、イニシャルコストやランニングコストの大幅な引下げ、環境汚損の防止等を可能としたガス燃料を用いた表面溶融炉を提供せんとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は、ガス燃料を用いる都市ごみ焼却残滓等の表面溶融炉を用いて、バーナから噴射したガス燃料の燃焼火炎の形状と被溶融物の溶融量との関係を、各種の火炎形状について繰り返し実測した。
また、上記溶融試験の過程とその結果から、▲1▼都市ごみ焼却残滓等の被溶融物の溶融量はバーナからの火炎形状によって大きく変り、図5に示すような火炎形状Aの局所加熱型バーナの方が、図6のような火炎形状Bの分割火炎型バーナや図7のような火炎形状Cのフラットフレーム型バーナよりも優れていること、▲2▼ガスバーナではガス燃料と空気の混合がよいため、負荷が増大しても火炎が比較的長くならず、有効に燃焼熱量が利用できて溶融処理量の低下率が低いこと、▲3▼空気過剰率を低くして運転することにより、燃焼排ガス内のNOxの引き下げと溶融量の増加の両方を図れること、等の事象を見い出した。
【0015】
本願発明は、本願発明等の前記知見に基づいて創作されたものであり、プッシャにより溶融炉本体内へ供給した都市ごみの焼却残滓や破砕不燃物等の被溶融物を、溶融炉本体の天井に設けた都市ガスやLPG、LNG等のガス燃料と空気とを燃焼させるガスバーナからの燃焼火炎によって加熱し、前記被溶融物を順次溶融させるようにしたガス燃料を使用した表面溶融炉において、ガスバーナを被溶融物の溶融面に対してほぼ垂直状に溶融炉本体の天井に取り付けると共に、溶融炉本体の天井に設けたバーナタイルの断面形状をほぼ半円状とし、横断面形状がほぼ円形状の燃焼火炎を形成する高密度ガス流が、被溶融物の溶融面へ8〜12m/secの速度で衝突する構成としたことを発明の基本構成とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態の一例を示すものであり、図2はバーナタイルの部分の拡大断面図である。
図1及び図2に於いて1はガス燃料を用いる表面溶融炉、2はホッパ、3はプッシヤ、4は溶融炉本体天井、5はガスバーナ、6はバーナータイル、7は都市ごみ焼却炉からの燃焼残滓等の被溶融物、8はスラグタップ、9は高温煙道、10は空気予熱器、11は水封式スラグ排出用コンベア、12は押込送風機、13は燃焼制御装置、14はガス燃料、15は燃焼用空気、16は空気供給ダクト、17は空気量調整ダンパ、18は2次燃焼用空気、19は燃焼排ガス、20は2次燃焼用空気供給ノズルである。
尚、本発明に係る表面溶融炉1の構成は、ガスバーナ5、バーナタイル6及び2次燃焼用空気供給ノズル20の部分を除いて、前記図4の従前の液体燃料を用いる表面溶融炉21の場合とほぼ同一である。従ってここでは、前記バーナタイル6等の部分を除いてその詳細説明は省略をする。
【0017】
前記ガスバーナ5は、断面形状が逆へ状の溶融炉本体天井4に2基設けられており、後述する被溶融物7の外表面(溶融面)に対して略垂直状の姿勢で支持固定されている。
また、前記バーナタイル6はガスバーナ5からの燃焼火炎の形状を制御するものであり、本実施態様では高密度で且つ均等なガス流分布を有する断面がほぼ円形状の短火炎を形成するため、図2に示すように、炉本体天井に断面形状がほぼ半円状の窪部を形成し、これをバーナタイル6としている。
【0018】
都市ごみの焼却残滓や媒塵、破砕不燃物等の被溶融物7はコンベア等によってホッパ2内へ搬入され、ここに一時貯留される。その後、被溶融物7は並列状に設置された複数のプッシヤ3によって下方向へ傾斜した炉本体の床面上へ順次供給され、被溶融物7に固有の安息角で床面上に傾斜状に堆積することにより、ガスバーナ5の軸線とほぼ垂直状の溶融面7aが形成される。
尚、溶融炉本体そのものは、所謂中心軸線に対して対称状に形成されており、2基のバーナ5と合計6基のプッシヤー3を備えている。
【0019】
一方、都市ガス、LPG、LNG等のガス燃料14はガス供給配管を通して溶融固化処理設備へ供給され、所定の使用圧に減圧されたのち、燃焼制御装置13の制御下に表面溶融炉1のガスバーナ5へ供給される。
【0020】
同様に、押込送風機12から供給された燃焼用空気は輻射式空気予熱器10に於いて350°〜400℃に加熱されたあと、燃焼制御装置13の制御下にガスバーナ5へ供給され、ここで前記ガス燃料14と混合、燃焼される。
【0021】
前記、ガスバーナ5へ供給されるガス燃料14と燃焼用空気15の比率は0.75〜1.0に調整されており、その結果、溶融炉本体内は所謂還元雰囲気に保持されている。また、2次燃焼用空気18が溶融炉本体の出口近傍へ供給され、ここで燃焼ガスの再燃焼が行なわれている。
還元雰囲気下で燃焼及び溶融が行なわれるため、燃焼排ガス19内のNOx量が減少すると共に、発生したCOもほぼ完全に2次燃焼空気の供給により燃焼され、外部へのCOの排出が有効に防止されることになる。
【0022】
前記ガスバーナ5のバーナノズルより噴射されたガスは、直ちに燃焼を開始し、燃焼火炎が形成されるが、当該燃焼火炎はバーナタイル6によってその横断面形状がほぼ円形の火炎形状に制御され、図3に示す如く断面形状がほぼ円形で、高密度で均等なガス流分布を有する短炎状の火炎Aとなる。
また、火炎を形成する高密度ガス流は、被溶融物7の溶融面7aに対して8〜12m/secの速度で衝突するように、溶融面7aとガスバーナ5間の距離やガス及び空気の噴出圧力、噴出速度等が設定されている。溶融面7aへ衝突するガス流の速度vを8〜12m/secとした際に、溶融効率が最も良い状態となることが、溶融実験によって確認されているからである。
【0023】
即ち、前記燃焼火炎は図4に示す如く、その断面形状がほぼ円形に絞られた短炎となり、火炎のガス流密度が火炎の断面全域に亘ってほぼ均一となる。また、溶融面7aに於ける火炎の直径Dは、溶融炉本体の横幅Wの約30〜60%に絞られる(D=(0.3〜0.6)W)。
【0024】
被溶融物7の溶融面7aへ向けて垂直状に放射された火炎により、被溶融物7は順次溶融され、スラグタップ8を通してスラグは水封式スラグ排出用コンベア11上へ排出されて行く。
【0025】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。
先ず、都市ごみ焼却炉から乾式灰として取り出された焼却灰を30mm×30mmのメッシュスクリーンにより処理して夾雑物を取り除き、その後磁選機で磁性物を除去することにより、被溶融物である供試灰を形成した。
灰貯留ヤードで前記被溶融物の重量を測定し、全体としての処理量を把握した。計量後の被溶融物7は灰供給コンベアで溶融炉ホッパ2に搬送貯留し、ブッシャ3にて順次炉本体内へ供給した。
【0026】
ガスバーナ5で溶融された後の溶融物はスラグタップ8から水封のスラグコンベヤ11上に落下する。水中に落下したスラグは、スラグコンベヤ11により取り出し、1時間毎にその重量を測定し、これによって時間当たりのスラグ量を把握した。溶融排ガスは、スラグコンベヤ上部の高温煙道9および空気予熱器10を通し、水噴射式ガス冷却室(図示省略)で180℃〜200℃に冷却した後、バグフィルタ(図示省略)で溶融飛灰を捕集し、煙突から排出する。
【0027】
燃焼用空気は輻射式空気予熱器10で350℃〜400℃に昇温した後ガスバーナ5へ供給される。溶融炉本体は水冷ジャケット構造とし、冷却水は専用の冷却塔(図示省略)で冷却し、循環使用される。
【0028】
溶融試験に際しては、液体燃料を使用する場合との対比を考慮して、灯油換算で60l/h、70l/h及び80l/hに相当するLPGを燃料ガス14として2本のガスバーナ5へ夫々供給した。
【0029】
ガスバーナ5としては、燃焼火炎の形状が図5に示す如くバーナタイル6に沿って流れる太く短かい円形の火炎Aとなるもの(局所加熱型バーナと呼ぶ)と、図6に示すようなバーナタイル及び炉壁に沿って広がる薄い火炎Bとなるもの(フラットフレーム型バーナと呼ぶ)と、図7に示すようなバーナタイルから放射状に広がる火炎Cとなるもの(分割火炎型バーナと呼ぶ)との、三種のバーナを夫々順に取りつけて、前記LPG燃料ガス14を供給した。
【0030】
そして、上記各形式のガスバーナ5を用いた溶融試験の結果から溶融特性の変化を調査し、当該溶融炉に適した火炎形状を把握した。
また、3種類のガスバーナのうち最も溶融原単位が優れていたバーナについては、さらに燃焼空気比を0.70〜1.1まで変化させ、溶融量や発生NOx量に与える空気比の影響を調べた。
【0031】
試験の結果、上記3種類のバーナは、ガス燃焼の特性を活かしてガスと空気の混合のさせ方を工夫する事により、それぞれ特長を持つ火炎形状を形成することができた。局所加熱型バーナはバーナタイル6に沿って流れる太く短い火炎で、バーナ前面の被溶融物を局所的に加熱する。また、フラットフレーム型バーナはバーナタイル6に沿った広くて薄い火炎を形成し、タイル及び火炎からの輻射で炉全体を均一に加熱する事で被溶融物を加熱する。更に、分割火炎型バーナはバーナタイル6から放射状に広がる火炎で、前二者の中間的な性格を有している。これらの火炎形状を持つバーナを用いることで、炉に適した火炎形状はどの様なものかを確認した。
【0032】
図8は各種バーナによる燃焼量と溶融原単位(被溶融物1tonを溶融するのに必要なガスの灯油換算量)の関係を示すものである。局所加熱、分割火炎、フラットフレームの順に溶融原単位が優れ、灯油換算80l/h相当で最も優れた値を示し、それぞれ230、260、270l/灰tonであった。局所加熱バーナの溶融原単位230l/灰tonという値は、同じこの実験炉で行った灯油バーナでの溶融原単位(280l/灰ton)を上回る値であった。
【0033】
この様に3種類のバーナで溶融原単位に差が生じるのは、表面溶融炉の溶融特性によるところが大きな要因である。
【0034】
即ち、焼却灰は溶融した際に炉材への侵食性が高く、炉材の損傷が激しい。表面溶融炉では、この侵食性の高いスラグから炉材を保護するためにスラグ溜まりを持っていないという特徴を持っている。このため、溶融物から未溶融物への熱伝導による伝熱はスラグ溜まりを持つ場合に比べて少なく、未溶融物をいかに連続して安定的に溶融するかが鍵となる。
【0035】
実際に炉内での溶融の様子を観察すると、プッシャ3により炉内に供給された未溶融の焼却灰は、溶融しやすい低融点に物質から溶融を開始し、その溶融した物質が核となって他の溶融していない部分を溶かし込んで溶融が進行している。
【0036】
局所加熱バーナは太く短い火炎を形成するため、炉内に供給された焼却灰に高密度の高温ガス流が直接衝突することにより熱伝達が促進され、バーナ全面に高温場を形成し、溶融の核を作りやすい。この結果として溶融原単位が最も優れた値が得られたものと考えられる。それに対して炉内を均一に加熱する目的で作られたフラットフレームバーナでは局所的な高温場ができず、供給された灰に対して溶融の核となる部分が出来にくいために、処理量は局所加熱バーナに比べて低下したものと考えられる。
【0037】
分割火炎バーナは前二者の中間的火炎形状であるため、溶融原単位もその中間となった。結論として本試験では、炉内の均一加熱よりも局所加熱の方がが最も適したものであることが分かった。
また、灯油バーナの火炎形状は本実験の分割火炎バーナに近いものであり、ほぼ分割火炎バーナに近い値を示している。この事からも、溶融原単位の差は燃料の種類よりも、火炎形状に大きく依存している事が分かる。
【0038】
更に、灯油バーナでは70l/hで溶融原単位が最も優れており、80l/hでは火炎長さが長くなり過ぎて炉内で完全に燃焼しきれずにスラグタップから一部排出され、有効に燃焼熱量が利用できずに溶融原単位が低下した。一方、ガスバーナでは、ガスと空気の混合が良いため負荷が増大しても火炎が比較的長くならず、有効に燃焼熱量が利用できて溶融原単位の低下がみられなかった。
【0039】
3種類のガスバーナ中、最も溶融原単位の優れていた局所型加熱バーナについて、空気比による溶融原単位の変化を調べた。その結果空気とガスを予め混合した予混合燃焼では、空気比が1を若干下回ったところで断熱火炎温度が最高になるため、空気比0.95で約270l/灰tonの溶融原単位が得られ、また空気比1.05で250l/灰ton、空気比0.75で約260l/灰tonの値が得られた。その結果、空気比の最低値は溶融原単位の点から0.75位いに保持するのが望ましい。
【0040】
同様に、最も溶融原単位の優れていた局所型加熱バーナについて、空気比を変化した場合のNOx発生量について調査した。その結果、空気比0.75で約50ppm(O2 =12%換算)、空気比1.0で約100ppm(O2 =12%換算)であった。これ等の結果からも、空気比の範囲は0.75〜1.00位いの間が最適であることが判った。
【0041】
尚、低空気比燃焼では、炉内のCO発生量が増加して投入熱量を有効に利用し切れないと云う不利があるが、炉出口側へ二次燃焼空気を供給することにより排ガス内のCO量を引下げることができ、環境汚損の危険は無い。
【0042】
表1は、前記溶融試験に使用した焼却灰と、形成したスラグ及び溶融飛灰の組成分析結果である。また、焼却灰の軟化点は1120℃、溶融点は1140℃、溶流点は1170℃であり、且つその塩基度(CaO/SiO2 )は約0.6であった。
【0043】
【表1】
【0044】
表2は、溶融試験に使用した焼却灰、および生成したスラグ、溶融飛灰の溶出テスト結果の一例を示すものである。
溶出試験は環告13号陸上埋立基準によった。焼却灰、スラグについては陸上埋立の溶出基準をクリアしておりこのまま最終処分場での処分が可能となる。しかし、溶融飛灰は低沸点物質のPb,Cdが濃縮しているため溶出基準値をオーバーしており、適正な無害化処理(セメント固化、薬剤処理等)または重金属類の回収等が必要であることが判った。
【0045】
【表2】
【0046】
また、当該溶融試験に於ける物質収支及び熱収支は下記の通りであり、バーナ型式及び空気比が変っても大きな差異は認められなかった。
物質収支
供試灰100%(可燃分3%+灰分97%)→(スラグ86%+溶融飛灰2%+排ガスその他12%)
熱収支
(燃焼空気持込熱量12%+未燃分燃焼熱持込等8%+LPG燃焼熱8%)→排ガス持出50%+スラグ持出13%+放熱37%)
【0047】
上記各種の溶融試験を通して得られた結果から、▲1▼表面溶融炉を用いた場合、ガス燃料であっても焼却灰等の溶融処理が可能であり、溶融原単位は液体燃料を用いた場合と同等以上であること、▲2▼溶融原単位はガスバーナからの火炎形状によって大きく影響され、表面溶融炉を用いた場合には局所的な高温場を形成する局所加熱型バーナが最も適していること、▲3▼燃焼空気比を0.75〜1.00位いにし且つ溶融炉出口から二次燃焼空気を供給することにより、溶融原単位の大幅な低下を招くことなく、しかも低NOx及び低COの環境汚損を生じない溶融処理が行なえること、及び▲4▼局所加熱型バーナからの火炎を形成するガス流が溶融面へ衝突する際の流速を、8〜12m/sec程度とするのが、溶融原単位の点から最も好都合であること、等が確認された。
【0048】
【発明の効果】
本発明に於いては、従前の液体燃料を用いる表面溶融炉の場合に比較して、燃料貯槽や送油ポンプ及びこれ等に関する附帯機器設備が不要となるため、所要建築面積が小さくなり、イニシャルコストやランニングコストの大幅な削減が可能となる。
【0049】
また、バーナタイルの形状によって燃焼火炎の形状を、水平断面が円形となる短火炎にしているため、溶融面を均一に加熱することができ、安定した連続溶融処理を行なうことができる。
【0050】
更に、火炎を形成する高密度な燃焼ガス流が均一に、しかも8〜12m/secの高速度で溶融面へ衝突するため、輻射による熱伝達だけでなしに、衝突によるガス流と溶融物との接触熱伝達も行なわれる。その結果被溶融物の溶融速度が高くなって溶融処理量が増加し、溶融炉の大幅な小形化が可能となる。
【0051】
加えて、火炎径Dが、溶融炉本体の内幅Wに対してD=(0.3〜0.6)Wとなるように絞られている。
その結果、溶融面のレベルに於ける炉本体内壁面と火炎両端との間には200mm〜300mm程度の間隙ができ、炉内壁面への火炎の直接接触を避けて炉本体内壁の耐久性を高めることができると共に、溶融炉本体の内幅Wの全部を被溶融物の溶融に有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガス燃焼式表面溶融炉の実施形態の一例を示す縦断面概要図である。
【図2】図1のバーナタイル部分の拡大断面図である。
【図3】バーナからの燃焼火炎の形状を示す断面概要図である。
【図4】溶融炉本体の炉内横幅Wと火炎径Dの関係を示す説明図である。
【図5】溶融試験に使用した局所加熱型バーナの火炎形状の説明図である。
【図6】溶融試験に使用したフラットフレーム型バーナの火炎形状の説明図である。
【図7】溶融試験に使用した分割火炎型バーナの火炎形状の説明図である。
【図8】溶融試験結果(ガスバーナのLPG燃焼量と溶融原単位の関係)を示す線図である。
【図9】従前の液体燃料を用いた都市ごみ焼却残滓等の溶融固化処理施設の説明図である。
【符号の簡単な説明】
1 … ガス燃焼式表面溶融炉 11 … 水封式スラグ排出用コンベア
2 … ホッパ 12 … 押込送風機
3 … プッシャ 13 … 燃焼制御装置
4 … 溶融炉本体天井 14 … ガス燃料
5 … ガスバーナ 15 … 燃焼用空気
6 … バーナタイル 16 … 空気供給ダクト
7 … 被溶融物 17 … 空気量調整ダンパ
7a … 溶融面 18 … 2次燃焼用空気
8 … スラグタップ 19 … 燃焼排ガス
9 … 高温煙道 20 … 2次燃焼用空気供給ノズル
10 … 空気予熱器
Claims (3)
- プッシャにより溶融炉本体内へ供給した都市ごみの焼却残滓や破砕不燃物等の被溶融物を、溶融炉本体の天井に設けた都市ガスやLPG、LNG等のガス燃料と空気とを燃焼させるガスバーナからの燃焼火炎によって加熱し、前記被溶融物を順次溶融させるようにしたガス燃料を使用した表面溶融炉において、ガスバーナを被溶融物の溶融面に対してほぼ垂直状に溶融炉本体の天井に取り付けると共に、溶融炉本体の天井に設けたバーナタイルの断面形状をほぼ半円状とし、横断面形状がほぼ円形状の燃焼火炎を形成する高密度ガス流が、被溶融物の溶融面へ8〜12m/secの速度で衝突する構成としたことを特徴とするガス燃料を使用した表面溶融炉。
- 燃焼用空気の空気過剰率を0.75〜1.0とし、還元雰囲気の溶融炉本体内でガス燃料を燃焼させると共に、溶融炉本体の出口近傍へ二次燃焼空気を供給し、排ガス内のNOx濃度及びCO濃度を減少させるようにした請求項1に記載のガス燃料を使用した表面溶融炉。
- 溶融炉本体の炉内横幅Wと燃焼火炎の外径Dとの関係が、D=(0.3〜0.6)×Wとなる構成とした請求項1に記載のガス燃料を使用した表面溶融炉。
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JP2007315719A (ja) * | 2006-05-29 | 2007-12-06 | Takuma Co Ltd | 表面溶融炉 |
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JP2007315719A (ja) * | 2006-05-29 | 2007-12-06 | Takuma Co Ltd | 表面溶融炉 |
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JPH0979533A (ja) | 1997-03-28 |
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