JP3748143B2 - 分岐取出し継手及びその穿孔工具 - Google Patents

分岐取出し継手及びその穿孔工具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス等の流体が流通している既設のポリエチレン等の樹脂製本管から流体を外部に漏洩させずに分岐管を取出し配管する樹脂製の分岐取出し用継手とその分岐取出し用穿孔工具に関するもので、主として分岐取出し継手に内装したホルソーで本管表面に穴明けするものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平5ー177597号公報で開示された図5に示すものがある。
このものは、樹脂管1に融着するサドル部4と穿孔具を内装する第1筒部8と第1筒部8に連通連結した第2筒部5とからなり、第1筒部8には内周部に全体にわたって穿孔具2に対する雌ねじ部7を形成し、雌ねじ部7に穿孔具2を装着した樹脂製サービスチー3である。
穿孔具2は雌ねじ部7に螺合する雄ねじ部15を有すねじ部材18と円筒状の刃先部16を備えた刃体17とを別体に設けて軸芯周りに相対回転自在に連結したもので、雌ねじ部7に螺合する雄ねじ部材18の螺進によって樹脂管1に向けて刃体17を移動し食い込ませて穿孔するものである。
また穿孔用治具10はサービスチー3の第1筒部8に形成した上端雄ねじ部6に螺合する雌ねじ部11を備えた筒状のキャップ12とキャップ12に挿通させた回動操作部材13からなり、回動操作部材13の端部を穿孔具2の雄ねじ部材18に係合して回転操作することにより穿孔具2の雄ねじ部材18を回転させ第1筒部8の雌ねじ部7に螺進させるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のサービスチー3は、第1筒部8の雌ねじ部7内に金属製の雄ねじ部材18と刃体17が一緒になった穿孔具2を装着して使用される。このため第1筒部8の先工具2を保持する部分の長さを長くする必要があり、全体として大きな形状のものとなる。また穿孔具2をサービスチー1個毎に装着しなければならないから、雄ねじ部材18付の穿孔具2のコストが大で、全体として重量が重くコスト高になる。
またサービスチー3は樹脂製であり、第1筒部8の雌ねじ部7も樹脂製である。このため雌ねじ部7のねじ山強度が穿孔具2の金属製雄ねじ部材18に比べて弱く、更に樹脂製雌ねじ7のため螺合中に相手の雄ねじ山を乗り越えて伝達が行なわれなくなるジャンピング現象が生じ易い。このた雄ねじ部材18が刃体17を押すための雌ねじ部7との螺合長さを長くする必要があり、雄ねじ部材18を金属製にして強度を持たせても雌ねじ部7の長さを長くしなければならず、従って第1筒部8の長さが長く大きな形状のものとなる。
【0004】
また前記ジャンピング現象を防止するためには、雌ねじ部7と雄ねじ部材18との螺合ねじのねじ山ピッチを大きくしてねじ山高さを大きくすればジャンピング現象が生じにくくなるが、ねじ山のピッチが大きいと回転あたりの進む距離が大きくなるので、穿孔時に回動操作部材13を回転するためのハンドル操作トルクが大きくなる。
更にサービスチーの第一筒部8の内面に雌ねじ部7を形成しなければならないから、サービスチー3を射出成形で形成する際、雌ねじ部7も同時に射出成形で成形しようとすると射出成形作業に困難が伴う。また機械加工で雌ねじ部7を形成しようとすると、射出成形後に雌ねじ部7の機械加工工程が必要となる。
本発明は上記の課題を解消して、サービスチー3および穿孔具2の形状および重量を小さくして、コンパクトで製造が容易で分岐取出し作業が容易に行なわれる分岐取出し継手とその穿孔工具を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、サドル部に穿孔管部と該穿孔管部に分岐管部を一体に設け、前記穿孔管部にホルソーを内装し、前記サドル部を本管に連結し、前記ホルソーで前記本管に穿孔して本管内の流体を分岐管部から取出し配管する分岐取出し継手において、
前記穿孔管部に工具を取り付けるための工具取付部と穿孔管部内面にホルソーを保持するためのホルソー保持部を設け、前記工具取付部に取り付けた工具によって前記ホルソーを本管の表面を押圧して穿孔し、穿孔した後のホルソーを前記穿孔管部内面のホルソー保持部に保持することを特徴とする分岐取出し継手である。
また上記において、分岐取出し用継手の穿孔管部内面に凹溝を設けてゴムリングを装着し、このゴムリングがホルソーの外面に形成した環状凹溝に係止するようにして、穿孔管部に設けたホルソー保持部とすることができる。
【0006】
また、サドル部に穿孔管部と該穿孔管部に分岐管部を一体に設け前記穿孔管部にホルソーを内装し前記サドル部を本管に連結し前記ホルソーで前記本管に穿孔して本管内の流体を分岐管部から取出し配管する分岐取出し継手用の工具であって、
前記穿孔管部に取り付ける取付け部を有する工具本体と、該工具本体の内面に螺合して上下に進退する外ねじ軸と、該外ねじ軸の端部に前記ホルソーに係合するホルソー係合部と回転自在にホルソーの上端面を押圧する押圧部とを設け、
前記工具本体に外ねじ軸を螺合させて前記外ねじ軸の押圧部でホルソーを本管側に押圧して本管表面に穿孔し、穿孔した後前記外ねじ軸の係合部でホルソーを係合して前記穿孔管部の上部に引き上げることを特徴とする分岐取出し用穿孔工具である。
【0007】
上記において、外ねじ軸内に貫挿する中軸を設け、前記外ねじ軸の端部付近で外ねじ軸と回転自在に前記ホルソーの端面を押圧するベアリングを設け、前記外ねじ軸の端面と中軸の端部外面との間に環状弾性体を装着し、外ねじ軸と中軸との螺合によって環状弾性体を圧縮して拡径し前記ホルソーを外ねじ軸に係合させホルソー係合部とすることができる。
また上記において、外ねじ軸の端部がホルソーの上端面に挿通しかつ挿通位置の位相を変えると外ねじ軸の端部がホルソーに係合するように外ねじ軸の端部とホルソー上端面の穴に設けて、穿孔後外ねじ軸にホルソーを係合させて穿孔管部の上部に引き上げるようにしてもよい。
【0008】
【作用】
本発明は上記の構成であって、分岐取出し用継手の穿孔管部に内装したホルソーが穿孔管部に取付けた工具によって押圧されて本管表面に穿孔する。従って、穿孔管部内面には従来の雌ねじ部を設ける必要がなく、ホルソーにも雄ねじ部材を設ける必要がない。穿孔した後のホルソーは本管穿孔時の切片をホルソー内に保持した状態で、工具の外ねじ部材に係止されて穿孔管部内面上部まで引き上げられ、穿孔管部に設けたホルソー保持部で保持される。
その後穿孔管部から工具を取外し別のキャップ等を装着して永久閉塞する場合でも、穿孔管部に保持されたホルソーの内部には本管穿孔時の切片が保持されているので、ホルソーが穿孔管部を閉塞した状態に保ち、穿孔工具とキャップとの取り替え作業時においても本管内の流体が流出するのを防止する。
【0009】
穿孔工具は工具本体に螺合する外ねじ軸の端部付近に、押圧部材が外ねじ軸と回転自在に装着されており、外ねじ軸の螺進によって押圧部材が外ねじ軸の回転と関係なくホルソーを押圧して本管表面を穿孔する。外ねじ軸の先端部にはホルソーの上端部と係合する係合部を設けてあるので、穿孔後外ねじ軸を引き上げることによりホルソーが引き上げられ、穿孔管部に設けたホルソー保持部に保持される。
本発明では上記のようにホルソーは穿孔工具で押圧されるから、穿孔管部内に装着するホルソーには従来の雄ねじ部材をなくともよく、従って継手の穿孔管部の長さが短くでき、また穿孔管部内面に雌ねじ部を設ける必要もない。このため継手の形状をコンパクトに形成でき、雌ねじ部がないので射出成形作業が容易に行なえる。またホルソーに雄ねじ部がないので重量的に非常に軽いものにすることができ、分岐取出し配管作業が容易に行なえる。
【0010】
【発明の実施形態】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施例の分岐取出し継手を示す断面図で、ガス本管40にホルソー24で穿孔した後の状態を示す。図2は本発明の一実施例の穿孔工具50の断面図で、図1の分岐取出し用継手に取付けて穿孔する際の状態を示す。
分岐取出し継手20はポリエチレン樹脂製で、鞍状のサドル部21とこのサドル部21に連結した筒状の穿孔管部22と、穿孔管部22に連通する分岐管部23と、穿孔管部22内に装着したホルソー30とからなる。
【0011】
サドル部21の内面はガス本管40の外周面に大略合致する内周面で、中央部に分岐取出し穴25を有し、穴25の周りには加熱用電熱線26を埋設してあり、電熱線26を加熱させてガス本管40の表面に一体的に融着する。
穿孔管部22の内面は円筒状で、この円筒状内面の上部に凹溝27を設け、凹溝27にはゴムリング28を装着してある。ゴムリング28の内周面は円筒状内面より内側に突出しており、穿孔管部22内に装着したホルソー30の外周面と係止して保持される。穿孔管部22の上端には図2の穿孔工具50を取付けるおねじ35を有し、穿孔後は図1のごとくキャップ24で穿孔管部22が閉塞される。
尚、穿孔管部22の内周断面形状は、穿孔管部22内に装着するホルソー30の外周面形状に合わせて図示の円筒状の他、ホルソー24が楕円形状の場合は穿孔管部22の内周断面形状も楕円筒形状に設けることができる。
【0012】
ホルソー30は、上部に穴31を有す椀状の鋼製で、外周面に設けた環状凹溝32が継手の前記穿孔管部21内に装着してあるゴムリング28に係止するようになっている。先端部は円筒状端部に先細りの切刃33を有し、ホルソーの椀状上端面34が工具によって押付けられて押切り状態でガス本管40の表面を穿孔する。穿孔した後の本管40の切片41はホルソー30の切刃内に嵌着して保持される。
尚、ホルソー30は回転せずに押切り状態で穿孔されるので、ホルソーの外周面は図示のごとく円筒状の他、楕円の筒状等種々のホルソー形状であっても穿孔できる。
【0013】
穿孔工具50は図2にその断面を示し、前記分岐取出し継手の穿孔管部22のおねじ35に取付ける工具本体51と、工具本体51の貫通めねじ52に螺合する外ねじ軸53と、外ねじ軸53に貫挿する中軸54と、外ねじ軸53の端部に回転自在に装着した押圧部材55と、中軸54の端部に装着し外ねじ軸53の端面との間で挟着される環状弾性体56とからなる。
押圧部材55は本実施例ではスラストベアリング55aを用いており、スラストベアリング55aの下面が外ねじ軸53と回転自在に前記ホルソー30の椀形上端面34に当接して押圧する。この押圧部材55はスラストベアリング55aに代えて、外ねじ軸53に回転自在に遊嵌する環状円盤であってもよい。
【0014】
環状弾性体56は外ねじ軸53の端面で中軸54に装着してあり、穿孔管部22に穿孔工具50を取付けた状態でホルソー30の上端穴31内に貫挿する。中軸54の端部に設けたおねじ57が外ねじ軸端部のめねじ58に螺合しており、中軸54を外ねじ軸52に対して回転することにより、中軸先端の係止端部59と外ねじ軸53の端面60との間で環状弾性体56が軸方向に圧縮されて環状弾性体56の外径が拡径する。この拡径した環状弾性体56により外ねじ軸53がホルソー30の上部穴31と係合し、外ねじ軸53を回転して引き上げることにより、ホルソー30も継手穿孔管部22内の上部に引き上げられる。
【0015】
尚、図3で示すごとくホルソー30の上部穴31に切欠き穴36、36を設け、穿孔工具50の外ねじ軸53の端部に、この上部穴31と切欠き穴36に挿通し上部穴31の裏面で係止する係止片61を設けて、穿孔時は外ねじ軸53の端部が及び係止片61がホルソー30内で回転するが、穿孔後外ねじ軸を引き上げ時は係止片61がホルソーの上部穴31裏面に係止してホルソー30が外ねじ部材53で引き上げられるようにしてもよい。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明のごとく本発明によれば、ホルソーは穿孔工具で押圧されるから継手の穿孔管部内面に従来の雌ねじ部を設ける必要がなく、ホルソーにも雄ねじ部材を設ける必要がない。このため穿孔管部の長さを短くでき、継手の形状をコンパクトに軽量に形成でき、また雌ねじ部設ける必要がないので容易に射出成形が行なえる。またホルソーに雄ねじ部がないので重量的に非常に軽いものにすることができ、分岐取出し配管作業が容易に行なえる。更に穿孔工具の側で螺合したねじによりホルソーを進退するので、ねじ送りのねじ山のピッチを自由に調節でき、しかも金属製同志のねじによるため、伝達強度が大きく、従来の相手のねじ山を乗り越えて伝達が行なわれなくなるジャンピング現象が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の分岐取出し継手を示す断面図で、ガス本管40にホルソー24で穿孔した後の状態を示す。
【図2】 本発明の一実施例の穿孔工具50の断面図で、図1の分岐取出し用継手に取付けて穿孔する際の状態を示す。
【図3】 本発明の別の実施例の穿孔具外ねじ部材53とホルソー30との係合部を示す部分斜視図である。
【図4】 従来技術を示す継手と穿孔工具の断面図である。
【符号の説明】
20 分岐取出し用継手 21 サドル部
22 穿孔管部 23 分岐管部
27 凹溝 28 ゴムリング
30 ホルソー 31 上部穴
32 環状凹溝 33 切刃
34 上部端面 36 切欠き部
40 ガス本管 41 切片
50 穿孔工具 51 工具本体
52 貫通めねじ 53 外ねじ部材
54 中軸 55 押圧部材
55a スラストベアリング 56 環状弾性体
57 おねじ 58 めねじ
59 係止端部 60 外ねじ軸の端面
61 係止片

Claims (4)

  1. サドル部に穿孔管部と該穿孔管部に分岐管部を一体に設け、前記穿孔管部にホルソーを内装し、前記サドル部を本管に連結し、前記ホルソーで前記本管に穿孔して本管内の流体を分岐管部から取出し配管する分岐取出し継手において、
    前記穿孔管部に工具を取り付けるための工具取付部と穿孔管部内面にホルソーを保持するためのホルソー保持部を設け、前記工具取付部に取り付けた工具によって前記ホルソーを本管の表面を押圧して穿孔し、穿孔した後のホルソーを前記穿孔管部内面のホルソー保持部に保持することを特徴とする分岐取出し継手。
  2. サドル部に穿孔管部と該穿孔管部に分岐管部を一体に設け前記穿孔管部にホルソーを内装し前記サドル部を本管に連結し前記ホルソーで前記本管に穿孔して本管内の流体を分岐管部から取出し配管する分岐取出し継手用の工具であって、
    前記穿孔管部に取り付ける取付け部を有する工具本体と、該工具本体の内面に螺合して上下に進退する外ねじ軸と、該外ねじ軸の端部に前記ホルソーに係合する係合部と回転自在にホルソーの上端面を押圧する押圧部とを設け、
    前記工具本体に外ねじ軸を螺合させて前記外ねじ軸の押圧部でホルソーを本管側に押圧して本管表面に穿孔し、穿孔した後前記外ねじ軸の係合部でホルソーを係合して前記穿孔管部の上部に引き上げることを特徴とする分岐取出し用穿孔工具。
  3. 前記外ねじ軸内に貫挿する中軸を設け、前記外ねじ軸の端部付近で外ねじ軸と回転自在に前記ホルソーの端面を押圧するベアリングを設け、前記外ねじ軸の端面と中軸の端部外面との間に環状弾性体を装着し、外ねじ軸と中軸との螺合によって環状弾性体を圧縮して拡径し前記ホルソーを外ねじ軸に係合するホルソー係合部としたことを特徴とする請求項2記載の分岐取出し用穿孔工具。
  4. 前記外ねじ軸の端部がホルソーの上端面に挿通しかつ挿通位置の位相を変えると外ねじ軸の端部がホルソーに係合するように外ねじ軸の端部とホルソー上端面の穴に設けて、ホルソー係合部としたことを特徴とする請求項2記載の分岐取出し用穿孔工具。
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