JP3748020B2 - タイルユニットの加工板およびタイルユニットの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は壁や床に使用するタイルユニットの加工板およびタイルユニットの製造方法に係り、特にユニット用のタイル表面に貼着する台紙を必要としないユニットで、且つ連結強度を高めたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、複数のタイルが連結されたタイルユニットを作成する際、平板の上に、複数のタイル間の目地部に相当する箇所に、熱硬化性樹脂を適量注出して塊とした結合塊を配置させた後、その上に各タイルを目地幅を確保して整列させ載せ、そのまま加熱乾燥させて、熱硬化性樹脂の結合塊を硬化させる方法により、複数のタイルが連結されたタイルユニットを製造している。
【0003】
このような製造方法で作成されたタイルユニットでは、平板の上に注出する熱硬化性樹脂の結合塊の大きさにバラツキが生じるため、熱硬化性樹脂が多量に注出された箇所は強固に結合し、熱硬化性樹脂が少量注出された箇所は結合が弱くなり、これにより各タイル間の連結強度にバラツキができて、輸送中や施工時に、連結されたタイルユニットの連結強度が不十分な部分からタイルが剥がれたり、目地幅が不均一になるなどの不具合が見られていた。
【0004】
このため、特許第2897955号に記載のような、タイルを載せる受け台に結合塊を配設するための凹部を形成させて位置および配置数を規定させ、この凹部に結合塊である樹脂を充填した後、受け台上にタイルを載せて裏面を密着させたまま硬化させ、タイルユニットを製造する方法も提供されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような、タイル群を載せる受け台に結合塊を配設するための凹部を形成させ、この凹部に結合塊を樹脂を充填した後、受け台上にタイル郡を載せて裏面を密着させたまま硬化させるタイルユニットを製造する方法では、結合塊の大きさのバラツキは解消されるが、目地空間を取ってタイルを隣接接合させる場合に、目地間隔を目算しながら、受け台にタイルを載置しなければならず、非常に手間がかかり、生産性が悪い。
【0006】
また、結合塊を配設するための凹部の位置および配置数が規定されて、各タイル間の結合塊は均一化され強固なタイルユニットが確保できるにも拘わらず、タイルの載置位置にバラツキができるため、輸送中や施工時に、連結されたタイルユニットの縦横を矯正することによるタイルユニット全体における連結剥離が発生したり、目地幅が不均一になるなどの不具合が見られる。また、タイルユニットに一般形状のタイルを用いているため、強度な衝撃下におけるタイルと結合塊の接合が弱い。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、熱硬化性樹脂の結合塊でタイル間を結合したタイルユニットの製造に際し、簡単な作業で、十分な連結強度を有するとともに仕上がりが良好であり、且つ高い接着耐久性を有するタイルユニットの加工板およびこの加工板を用いたタイルユニットの製造方法を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、タイルユニットを作成する手段として、タイルユニットに相当する大きさの平板上に、タイルを載置するタイル落とし込み用凹部と、縦横目地に相当する目地スペーサー凸部と、前記目地スペーサー凸部の一部を切削させて隣接する前記タイル落とし込み用凹部を部分的に連結させた連結切削部と、この連結切削部で、且つ隣接する前記タイル落とし込み用凹部に亘る位置に前記タイル落とし込み用凹部の一部を切削して形成した樹脂充填用凹部とが形成されたタイルユニット加工板を提供する。タイルユニット加工板の四隅のタイル落とし込み用凹部の隅部分に、樹脂充填用凹部が形成する。タイルユニット加工板の樹脂充填用凹部は、前記隣接するタイル落とし込み用凹部の各端部より30mm以内の位置に形成され、幅は3mm以上とする。
【0010】
タイルユニットの製造方法は、前記加工板の樹脂充填用凹部に沿って樹脂を注出充填させた後、タイルをタイル落とし込み用凹部上に載置させ、そのままの状態で加熱乾燥させる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るタイルユニット10とその製造方法を、図1から図4に基づいて説明する。図1に示す1は加工板である。加工板1は、図4に示すタイルユニット10を形成させるためのものであり、タイルユニット10より目地分大きな四角形の平板上に、タイルを敷き詰めるためのタイル落とし込み用凹部1aが、タイルの大きさに合わせて、縦横目地部に相当する部分に目地スペーサー凸部2a、2b、2cを残して、複数切削形成されている。
【0012】
また、複数形成されたタイル落とし込み用凹部1aは、隣接するタイル落とし込み用凹部1aを部分的に連結するよう、目地スペーサー凸部2a、2b、2cの一部を切削させて、連結切削部2dを形成している。この連結切削部2dおよび隣接するタイル落とし込み用凹部1aの各タイル落とし込み用凹部1aに亘る部分に、タイル落とし込み用凹部の底面より更にもう一段低く切削させて、タイルと熱硬化性樹脂とを接合させるための樹脂充填用凹部3a、3b、3cが形成されている。
【0013】
加工板1は、タイル落とし込み用凹部1aが縦方向に数列、横方向に数列形成され、且つ、隣接する各タイル落とし込み用凹部1aの間は、隣接するタイル間に形成した目地相当部の配設形状に合せて縦横に形成させた目地スペーサー凸部2a、2b、2cを形成しており、目地スペーサー凸部2a、2b、2cに沿ってタイルを落とし込むことにより、目地間隔を測定することなく、タイルは縦幅および横幅を揃えて配列可能となっている。目地スペーサーを形成させたことにより、樹脂を加熱乾燥させる際の、硬化中のタイルのズレがなくなり、目地幅が不均一となる不具合もなくなる。目地スペーサー凸部2a、2b、2cの高さは、タイルの高さ寸法の2分の1以下とすることが好ましく、タイルの移動を防止可能な高さであればよい。また、目地スペーサー凸部2a、2b、2cに、上方に向かって狭まるテーパを形成すれば、タイルの挿入および排出が容易となる。本実施例の加工板は、タイル18枚を接合するためのものであるが、所望のタイルユニットに応じて大きさは自由に変更可能である。
【0014】
樹脂充填用凹部3a、3b、3cの形状は、隣接する2枚のタイルを連結するI字形のものや、隣接する4枚のタイルを連結するU字形やO字形のもの、隣接するタイルがない箇所に形成する丸形の形状のもの等、これらの形状に限定されず用いられる。また、樹脂充填用凹部3a、3b、3cの形成位置は、隣接するタイル落とし込み用凹部1aの各端部より30mm以内とし、幅は3mm以上とする。形成位置が30mm以上であると、各タイルの連結が上手くいかず端部から剥がれ易くなり、幅が3mm以内であると樹脂量が少ないため、タイルと樹脂塊とが剥離しやすくなる。樹脂充填用凹部3a、3bの長さは、隣接するタイルの裏面端部にかかると共に、充分な接合が可能な範囲であれば適宜変更可能である。
【0015】
加工板1にタイル落とし込み用凹部1aおよび樹脂充填用凹部3a、3b、3cを形成させることにより、連結位置を明確化することができ、目地幅を均一に保つことができる。加工板1の四隅のタイル落とし込み用凹部1aの隅部分に、樹脂充填用凹部3cが形成させることにより、四隅の樹脂塊7でタイルユニット全体のガタツキがなく、剥離防止が図れる。均一幅の目地部が形成されていることにより、製造時の目地幅のバラツキを防止することができ、施工後の仕上がりが良好になる。また、連結用樹脂塊7の形状の均一化を図り、タイル裏面への余分な樹脂の廻りが防止できる。加工板は、加工板の表面に熱硬化性樹脂が付着しないよう表面処理を施すことにより、繰り返し使用することができ、経費節減を図ることができる。
【0016】
樹脂充填用凹部3a、3b、3cの形成位置および配設箇所数は、タイルの大きさ、ユニット枚数、樹脂の結合塊の大きさ等により適宜規定されるもので、隣接するタイルを少ない連結用樹脂塊数および量で、確実に連結できるように設定することができる。また、目地用スペーサー2a、2b、2cは、加工板1にタイル落とし込み用凹部1aを切削して形成させたが、均一の幅の目地用スペーサーを貼着させて形成させてもよい。
【0017】
図2は、図4に示すタイルユニット10に使用するタイルの形状を示す図である。図2に示すように、樹脂充填用凹部3a、3b、3cの配設箇所に相当するタイル8のコバ面に突起物4を設けている。突起物4を設けることにより、前記加工板1にタイル8を載置した場合、樹脂充填用凹部3a、3bに充填させた熱硬化性樹脂が突起物4に絡みつく状態となり、各タイル間を確実に結合することができ、剥離することのない良質なタイルユニット10を得ることができる。
【0018】
図3は、タイルユニット10に使用するタイルの別の形状を示す図である。図3に示すように、樹脂充填用凹部3a、3b、3cの配設箇所に相当するタイル9の裏面に切り欠き部6を設けている。切り欠き部6を設けることにより、前記加工板1にタイル9を落とし込み載置した場合、樹脂充填用凹部3a、3b、3cに充填させた熱硬化性樹脂を切り欠き部6に絡みつく状態となり、各タイル間を確実に結合することができ、剥離することのない良質なタイルユニット10を得ることができる。
【0019】
このタイルユニットにおいて使用するタイルは、実施例のコバ面に突起物を形成させているもの、裏面の底面部に切り欠け部を形成さたものを使用しているが、これに限定されず一般に使用される種々のタイルが使用できる。
【0020】
次に、本願の加工板1とタイル8とを用いて、タイルユニット10を製造する方法を工程に沿って説明する。予め表面を表面処理した加工板1を準備する。表面処理剤は特に限定しないが、加工板と加工板に充填された樹脂塊とが癒着しないものであればよい。加工板1の樹脂充填用凹部3a、3b、3cの部分に、樹脂充填用凹部3a、3b、3cの形状に沿い熱硬化性樹脂を注入充填させて樹脂塊7を形成した後、タイル落とし込み用凹部1aの部分にタイル5を裏面を下にして、タイル落とし込み用凹部1aまで押圧させながら嵌合載置させる。その後、熱硬化性樹脂の硬化温度で加熱硬化させる。
【0021】
樹脂の硬化後、加工板1より取り外すことで、縦幅および横幅が揃って配列された複数のタイルが、連結用樹脂塊7により連結され、1つのタイルユニットが作成される。この時、コバ面に突起物4を設けたタイル8を使用し、タイル落とし込み用凹部1aまで押圧させながら嵌合載置すれば、この突起物4と樹脂塊7とが絡みあい、タイル8と熱硬化性樹脂とが嵌合し合うため、更に連結強度を高めることができる。
【0022】
同様に、裏面に切り欠き部6を形成させたタイル9を使用し、タイル落とし込み用凹部1aまで押圧させながら嵌合載置すれば、タイル落とし込み用凹部1aの部分の樹脂塊7がこの切り欠き部6に入り込み、樹脂塊7との接着面積が増えるため、更に強力に連結強度を高めることができる。
【0023】
[実施例1]
縦45mm、横95mmの加工板1上に、タイル落とし込み用凹部1aが縦方向に6列、横方向に3列形成され、且つ、隣接する各タイル落とし込み用凹部1aの間は、隣接するタイル間に形成した目地部の配設形状に合せて縦横に、幅5mmの目地スペーサー凸部が形成されている。また、目地スペーサー凸部の一部を切削させて連結切削部2dを形成させて、目地スペーサー凸部2a、2b、2cを形成している。
【0024】
接着用樹脂を充填する樹脂充填用凹部として、この連結切削部2d部分の横目地側に目地スペーサー凸部2aを挟んで2箇所、横目地と交差する方向へ、幅5mm、長さ15mmでI字形の樹脂充填用凹部3aを、タイル落とし込み用凹部1aの表面から凹ませて形成し、縦目地側に目地スペーサー凸部2bを挟んで2箇所、縦目地と交差する方向へ、幅5mmの長さ15mmでI字形の樹脂充填用凹部3bを、タイル落とし込み用凹部1aの表面から更に凹ませて形成している。また、加工板1の4隅で、縦横目地スペーサー凸部2cの内側端部から、20mmの位置に丸形の樹脂充填用凹部3cを、タイル落とし込み用凹部1aの表面から更に凹ませて形成している。
【0025】
連結切削部2d部分は、幅5mmの樹脂充填用凹部3a、3bの端部より、タイル落とし込み用凹部1aの表面に沿って両側に2.5mmずつ広く切削して形成している。また、樹脂充填用凹部3a、3bの配置位置は、配設するタイルの各端辺部から30mmの位置に相当する箇所に中心をもって配設されている。
【0026】
製造方法として、まず、予め表面全体に離型剤が塗布された加工板1を準備し、加工板1の樹脂充填用凹部3a、3b、3cの部分に、樹脂充填用凹部3a、3b、3cの形状に沿って熱硬化性樹脂を、タイル落とし込み用凹部1aの表面より少し盛り上がるように注入充填させて連結用樹脂塊7を配設させた後、このタイル落とし込み用凹部1aの部分にタイル5を裏面を下にして載置させる。
【0027】
その後、連結用樹脂塊7を加熱硬化させる。連結用樹脂塊7の硬化後、加工板1より取り外すことで、縦幅を揃えて縦方向に6枚、横幅を揃えて横方向に3枚が配列された18枚のタイルが、樹脂充填用凹部3a、3b、3cに注入充填された熱硬化性樹脂である連結用樹脂塊7により連結され、1つのタイルユニットを得た。
【0028】
【発明の効果】
本発明のコバ面に突出部を形成したり、タイルの裏面に切り欠け部を形成したタイルを接合用樹脂で結合させるタイルユニットに用いることで、タイルと接合用樹脂との結合が強固なタイルユニットが得られる。本発明の加工板を用いることで、簡単な作業で、目地間隔が均一化され、接合用樹脂の充填量及び接合位置が均一化されたタイルユニットが得られる。
【0029】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるタイルユニットの加工板1を示す図。
【図2】本発明によるタイルユニットに用いるタイルの一例を示す図。
【図3】本発明によるタイルユニットに用いるタイルの別の例を示す図。
【図4】本発明により作成されたタイルユニットを示す図。
【符号の説明】
1…加工板
1a…タイル落とし込み用凹部
2a、2b、2c…目地スペーサー凸部
2d…連結切削部
3a、3b、3c…樹脂充填用凹部
4…突起物
5、8、9…タイル
6…切り欠き部
7…樹脂塊
10…タイルユニット
Claims (3)
- タイルユニットに相当する大きさの平板上に、縦横目地に相当する目地スペーサー凸部と、前記目地スペーサー凸部にて形成されるタイルを載置する大きさに分割されたタイル落とし込み用凹部と、前記目地スペーサー凸部の一部を切削させて隣接する前記タイル落とし込み用凹部を部分的に連結させた連結切削部に、前記タイル落とし込み用凹部の一部を切削して形成した樹脂充填用凹部とが形成されたタイルユニット加工板であって、前記タイルユニット加工板の四隅のタイル落とし込み用凹部の隅部分に、樹脂充填用凹部が形成されていることを特徴とするタイルユニットの加工板。
- 請求項1に記載のタイルユニットの加工板において、前記樹脂樹脂充填用凹部は、前記隣接するタイル落とし込み用凹部の各端部より30mm以内の位置に形成され、幅は3mm以上であることを特徴とするタイルユニットの加工板。
- 請求項1または請求項2のいずれかに記載のタイルユニットの加工板の樹脂充填用凹部に沿って樹脂を注出充填させた後、タイルをタイル落とし込み用凹部上に載置させ、そのままの状態で加熱乾燥させることを特徴とするタイルユニットの製造方法。
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